生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_抗老化関連遺伝子転写促進剤
出願番号:2012129386
年次:2013
IPC分類:A61K 36/48,A61P 43/00,A23L 1/30,A23K 1/16


特許情報キャッシュ

高橋 千尋 池野 博貴 西村 太輔 許 善花 ワン チー JP 2013253031 公開特許公報(A) 20131219 2012129386 20120606 抗老化関連遺伝子転写促進剤 日生バイオ株式会社 598043054 廣田 雅紀 100107984 小澤 誠次 100102255 東海 裕作 100096482 大▲高▼ とし子 100123168 ▲高▼津 一也 100120086 堀内 真 100131093 高橋 千尋 池野 博貴 西村 太輔 許 善花 ワン チー A61K 36/48 20060101AFI20131122BHJP A61P 43/00 20060101ALI20131122BHJP A23L 1/30 20060101ALI20131122BHJP A23K 1/16 20060101ALI20131122BHJP JPA61K35/78 JA61P43/00 111A61P43/00 107A23L1/30 BA23K1/16 304C 6 OL 10 2B150 4B018 4C088 2B150AB10 2B150DD42 2B150DD57 4B018LB10 4B018MD57 4B018ME10 4B018MF02 4C088AB59 4C088MA52 4C088NA14 4C088ZB22 4C088ZC52 4C088ZC80 本発明は、小豆エキスを有効成分とする転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤や、該活性化剤を含む寿命延長又は老化防止のための予防・治療剤、サプリメント、食品添加物、食品、飼料添加物、飼料に関する。 現在、先進諸国では、寿命の延長が顕著である。なかでも我が国は世界有数の長寿国である。しかし近年、運動量の減少、ストレスの増加、食事の欧米化によるカロリーの過剰摂取、栄養バランスの欠如等により健康寿命の延長には至っていない。 健康寿命の延長には抗老化が必要となっている。抗老化、換言すれば寿命を延長させる一つの手段として、カロリー制限が挙げられている。カロリー制限は、酵母、線虫、げっ歯類という幅広い生物種に対して寿命延長モデルとして確立している。さらに、アカゲザルを使ったカロリー制限に関する実験により、霊長類の新陳代謝に変化を及ぼし延命効果を高めるという、有力な証拠が提示された(非特許文献1)。 カロリー制限による寿命延長効果は、ヒトにも一定の効果があると考えられる。しかしながら、カロリー制限は、精神的ストレスを増加し、感染に対する抵抗性を低下させる可能性が考えられ、管理された条件下におけるアカゲザルでの結果がそのままヒトに当てはまらない可能性がある。従って、カロリー制限に替わる新たな抗老化法の開発が求められている。 抗老化物質をスクリーニングする方法としては、線虫(Caenorhabditis elegans、以下C.elegansとする)を用いた寿命測定試験や、各種動物の老化関連遺伝子の発現量解析が挙げられる。C.elegansは老化研究に適したモデル動物として広く知られている。その老化プロセスは遺伝子レベルでも研究が進められ、ヒトをはじめとする哺乳類の老化研究には欠かせないモデル系である(非特許文献2)。その平均寿命は遺伝的に制御され一定(20℃でおよそ20日)である上、加齢と共に細胞内及び組織の代謝活性が低下し、過酸化物が蓄積するなど高等動物と同様のプロセスを経て死に至る。即ち、C.elegansの寿命は細胞及び組織の老化の指標といえる。これらのことは、C.elegansの寿命を延ばすことが老化を抑制することに他ならないことを意味する。 FOXO1(フォークヘッド型クラスO1;Forkhead Box Class O1)はインスリンシグナルの下流で負に制御される転写因子であり、糖新生律速酵素の発現調節を介した血糖値の恒常性維持や、活性酸素除去酵素の発現誘導による抗酸化ストレスなどに寄与する。また線虫を用いた遺伝学的解析から、FOXO1の線虫オルソログであるdaf−16の活性が寿命と正の相関を示すことも報告されている。線虫の場合、Sir2オーソログであるsir−2.1を人工的に発現させると約50%寿命が延びることから、このSir2の効果はインスリン/IGF−I・シグナル伝達系に深く関与していることが明らかになっている。またdaf−16はインスリン/IGF−I・シグナル伝達系の下流に位置する転写因子で、daf−2はインスリン/IGF−I・シグナル伝達系のはじめに位置するインスリン様因子受容体である。sir−2.1はdaf−16の上流でdaf−2からのシグナルに反応する遺伝子を制御しているか、daf−2のリガンドとなる因子あるいはその産生をコントロールする因子をコードする遺伝子を制御していると考えられている(図3)。 遺伝子発現量解析を用いて抗老化効果を測定する場合、指標となる抗老化関連遺伝子としてdaf−16/FOXO1を用い、daf−16/FOXO1を活性化することが抗老化につながることが示されている(特許文献1)。daf−16/FOXO1は、その欠損変異体では寿命延長効果が消失することなどから、daf−16/FOXO1は老化を調整する遺伝子であるとされている(非特許文献3、4)。また、カロリー制限でもNAD依存的脱アセチル化酵素sir2−1がdaf−16/FOXO1を介して長寿命をもたらしていることが知られている(非特許文献5)。また、寿命延長効果のある物質としてレスベラトロール(非特許文献6)やスペルミジン(非特許文献7)が知られている。その他、小豆の塩漬け発酵抽出物を有効成分として含有する抗老化作用を有する化粧料組成物(特許文献2)や発芽小豆由来成分を含有する抗老化作用を有する皮膚外用剤(特許文献3)が知られている。特開2008−120726(P2008−120726A)特表2011−529874(P2011−529874A)特開2007−210915(P2007−210915A)Science Vol. 325, Issue 5937Journal of the American Geriatrics Society 40(9).1992. 936-945Javier Apfeld & Cynthia Kenyon, Nature, 402, 804-809 (1999)Journal of Visualized Experiments;(2011)Nature. 2001 Mar 8;410(6825):227-30.Nature 444, 337-342 (16 November 2006)Nature Cell Biology 11, 1305 - 1314 (2009) 本発明の課題は、カロリー制限とは異なる手法による新たな抗老化アプローチとして、摂取して安全な寿命延長又は老化防止の作用を有する抗老化剤を提供することにある。 本発明者らは、抗老化関連遺伝子であるdaf−16/FOXO1の遺伝子発現量を解析することは、カロリー制限と同様の抗老化効果をもつ物質のスクリーニングに非常に有効であると考え、天然の食品素材を標的としたスクリーニングを行い、小豆エキスが抗老化関連遺伝子のdaf−16/FOXO1を活性化して、老化形質を発現することを見いだし、本発明を完成するに至った。 すなわち本発明は、(1)小豆エキスを有効成分として含有することを特徴とする転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤や、(2)上記(1)記載の転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤を含むことを特徴とする寿命延長又は老化防止のための予防・治療剤に関する。 また本発明は、(3)上記(1)記載の転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤を含むことを特徴とする寿命延長又は老化防止のためのサプリメントや、(4)上記(1)記載の転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤を含むことを特徴とする寿命延長又は老化防止のための食品添加物や、(5)上記(1)記載の転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤を含むことを特徴とする寿命延長又は老化防止のための飼料添加物や、(6)上記(1)記載の転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤を配合することを特徴とする寿命延長又は老化防止のための飼料に関する。 本発明によると、抗老化関連遺伝子の転写を促進する転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤や、該活性化剤を含む寿命延長又は老化防止のための予防・治療剤、サプリメント、食品添加物、食品、飼料添加物、飼料を提供することができる。線虫を小豆エキス含有培地で培養したときの線虫生存率(平均生存日数を各サンプルそれぞれとコントロールで割った値)の測定結果を示す図である。小豆エキス含有培地で培養した線虫におけるdaf−16/FOXO1の遺伝子の発現量解析相対定量結果を示す図である。daf−16遺伝子のシグナル伝達経路を示す図である。 本発明の転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤としては、小豆エキスを有効成分とするものであれば特に制限されるものではなく、抗老化関連遺伝子daf−16/FOXO1の転写を促進し、抗老化関連遺伝子のdaf−16/FOXO1の発現量の増加を促進する作用を有するものである。 本発明の寿命延長又は老化防止のための、予防・治療剤やサプリメントや食品添加物や飼料添加物は、本発明の転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤を含むものであればよく、予防・治療剤やサプリメントは、ヒトの他に家畜・家禽やペット動物に適用される。また、本発明の寿命延長又は老化防止のための、食品や飼料は、本発明の転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤を配合したものであればよい。ここで、寿命延長とは、ヒトを含む動物の寿命を延ばすことをいい、また老化防止とは、ヒトを含む動物の身体的能力の低下、身体の機能の低下など身体に現れる老化現象を防止することをいう。 本発明における小豆エキスには、小豆そのものやその処理物が含まれる。その処理物としては、小豆の粉砕処理物、細断処理物、乾燥処理物、焙煎処理物、抽出処理物、超音波ホモジナイズ処理物、凍結処理物の他、抽出処理物を噴霧乾燥したもの等のこれらの処理の組み合わせにより得られる処理物を挙げることができる。また、小豆の種類としては、白小豆、大納言、小豆、ささげ等のマメ科アズキ属に属するものであれば特に制限されない。 本発明の転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤、予防・治療剤、サプリメント、食品添加物、又は飼料添加物の剤型としては、粉剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤などを挙げることができ、通常経口的に投与される。また、これらの剤型は、従来から知られている通常の製剤方法で製造することができる。例えば、製剤の製造上許可される担体、賦形剤、香料、乳化剤、防腐剤、分散剤等と混合して成型する。また、必要に応じてさらに他の有効成分を配合することもできる。上記賦形剤の例としては、ラクトース、デキストロース、セルロース、メチルセルロース、澱粉などがあげられる。 本発明の寿命延長又は老化防止のための食品の製法としては、本発明の転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤を食品又は食品素材に配合することにより製造することができる。例えば、小豆を細断したもの、あるいは、その乾燥物、小豆を液状にしたもの(ピューレ、ジュース等)、あるいはその乾燥物、小豆を粉末化したものを、製造工程又は製造後に食品や食品素材に添加・配合する方法を挙げることができる。また、上記食品又は食品素材としては、クッキー、パン、ケーキ、煎餅などの焼き菓子、ラムネ菓子等などの錠菓、羊羹などの和菓子、プリン、ゼリー、アイスクリーム類などの冷菓、チューインガム、キャンディ等の菓子類や、クラッカー、チップス等のスナック類や、うどん、そば等の麺類や、かまぼこ、ハム、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品や、チーズ、バターなどの乳製品や、みそ、しょう油、ドレッシング、マヨネーズ、甘味料等の調味類や、豆腐、こんにゃく、その他佃煮、餃子、コロッケ、サラダ、スープ、シチュー等の各種総菜や、ヨーグルト、ドリンクヨーグルト、ジュース、牛乳、豆乳、酒類、コーヒー、紅茶、煎茶、ウーロン茶、スポーツ飲料等の各種飲料などを具体的に例示することができる。 本発明の寿命延長又は老化防止のための飼料の製法としては、本発明の転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤を飼料又は飼料素材に配合することにより製造することができる。例えば、小豆を細断したもの、あるいは、その乾燥物、小豆を液状にしたもの(ピューレ、ジュース等)、あるいはその乾燥物、小豆を粉末化したものを、ブタ、ウシ、ニワトリ等の家畜・家禽用や、イヌ、ネコ等のペット用、養殖魚介類用の飼料又は飼料素材に製造工程又は製造後に添加・配合する方法を挙げることができる。小豆エキスの製造方法: 小豆200gに水2500mlを加え2時間煮た後、煮汁を熱水抽出物として得、不溶物を濾過により取り除き、上清をスプレードライして試験用サンプルとした。試料の調製: 試験用サンプルを滅菌水に溶解して、φ0.45μmフィルターでろ過滅菌を行った。終濃度が0μg/ml(コントロール)、15μg/ml、50μg/ml、150μg/mlとなるよう添加した。培地及び緩衝液の調製:1)M9バッファー組成1000ml当たり Na2HPO4 60g、KH2PO4 30g、NaCl 50g、1M MgSO4 1ml、2%ゼラチン 10mlをイオン交換水1000mlに溶かし、121℃、20分間滅菌。2)S−Basalバッファー組成1000ml当たり NaCl 5.84g、KH2PO4 6.81gを、イオン交換数1000mlに溶解し、121℃、20分間滅菌した。液温が60℃程度になるまで放冷し、コレステロール/エタノール(5mg/ml)を1ml加えた。3)NGM(Nematode growth medium)培地1000ml当たり ポリペプトン 2.5g、NaCl 3.0g、1M MgSO4 1ml、1M CaCl2 1ml、1M KH2PO4(pH6.0) 25ml、コレステロール(5mg/ml)1ml、寒天 17.0gをイオン交換水972mlに溶かし、121℃、20分間滅菌。4)S−液体培地1000ml当たり S−Basal 1L、1M KH2PO4(pH6.0) 10ml、1M CaCl2 3ml、1M MgSO4 3ml、Trace metal solution 10ml(全て滅菌済みのものを使用)5)Trace metal solution組成(1000ml当たり) EDTA・2Na 1.86g、FeSO4・7H2O 0.69g、MnCl2・4 H2O 0.20g、ZnSO4・7H2O 0.29g、CuSO4・5H2O 0.025gをイオン交換水1000mlに溶かし、121℃、20分間滅菌。C.elegansの培養方法: NGM培地上でEscherichia coli OP50株(以下「OP50」という)を12〜16時間培養後、C.elegansを植え継ぎ20±2℃で飼育した。寿命試験方法: 寿命試験を行うために、孵化が同じ日であるC.elegansが必要であり、このようなC.elegansを得るために同調培養を行った。具体的には、C.elegansを上記培養方法にて大量飼育し、NGM培地から卵を抱えた線虫を、M9バッファーを用いて回収し、15ml遠心管に移した。5〜10分間静置し、遠心管の底に沈んだ線虫を残すように上清を除いた。新たにM9バッファーを1ml加え軽くピペッティングしながら混合し、1.5mlマイクロチューブに移した。5分間静置し、チューブの底に沈んだ線虫を残すように上清を除いた。新たにM9バッファーを1ml加え、更に266μlの次亜塩素酸ナトリウム、133μlのNaOHを加え、室温で約4〜4.5分間激しく転倒混合した。線虫が溶解しているのを確認し、800g、4℃の条件で5分間遠心分離し、卵を集めた。上清を捨て1.4mlのM9バッファーを加え、800g、4℃の条件で5分間遠心分離する同様の操作を5回行い洗浄した。上清を捨て回収した卵に新たに1mlのS−basalバッファーを加えよく混合し、ピペットマンを用いて、混合液をOP50の塗布していないNGM培地に撒き、20℃で、一晩静置して、孵化させた。孵化してきた幼虫を集め、さらにOP50を塗布したNGM培地上に移し、24時間飼育し、同調培養とした。線虫生存率の測定: 同調培養後群分けを行い各群に30匹のC.elegansが入るようにした。使用する培地はS−液体培地にOP50と5−フルオロ−2′−デオキシウリジン(終濃度0.04mM)、試験サンプルを添加したものを使用し、以後、マイクロピペットを用いて一日おきに新たに調製した同培地へ生存しているC.elegansを移動した。移動の際、生存しているC.elegans数をカウントした。培養初日の生存C.elegans数30匹から、培養日数ごとに何割のC.elegansが生存し続けているかを計算し線虫生存率とした。試験は、実験の再現性を高めるため、同一試験サンプルにそれぞれ3群のC.elegansを用いた。尚、5−フルオロ−2′−デオキシウリジンは、DNA合成阻害剤であり、寿命試験中に次世代のC.elegansが混入し生存しているC.elegans数が正しくカウントできなくなるのを防ぐための薬剤である。 線虫生存率の測定を行った結果(表1、図1)、コントロールに比べ小豆エキス摂取群の寿命が延長していた。また、小豆エキス摂取群は寿命延長効果のあるとされているレスベラトロールやスペルミジンに比べ寿命延長効果が高いことが分かった。さらに小豆エキスは濃度依存的に寿命を延長する傾向がみられた。遺伝子発現量解析: 次により詳しく調べるためコントロールと小豆エキス50μg/ml摂取群のdaf−16/FOXO1の遺伝子発現量解析を行うこととした。 同調培養が終了した線虫を、培養液と共に50ml遠心管に移した。室温で数分放置し、遠心管の底に線虫を沈殿させた。上清を除去し、1群当たり、線虫匹数5,000匹程度となるように群分けを行った。線虫を培養する培地は、S−液体培地にOP50と5−フルオロ−2′−デオキシウリジンを添加したものを用いた。75cm2滅菌フラスコに、上記培地を20ml加え、群分けした線虫を加えた。緩やかに混合し、20℃±2のインキュベーター内に静置し、培養を開始した。その後、2日毎に培地の交換を行い、4日培養後、8日培養後に線虫を回収し、遺伝子発現解析用サンプルとした。遺伝子発現解析用サンプルからのtotal RNAの抽出は、乳鉢を用い液体窒素下で入念に線虫をすり潰し、QIAGEN RNeasy Midi/Maxi Handbook. Midi Kitを用いて行った。抽出したtotalRNAをエタノール沈殿し、遠心分離(12,000rpm、30分)を行った。ピペットで上清を除去し、更に完全にエタノールを除くために、10分間真空乾燥を行った。その後、100μlのRNase Free waterでtotalRNAを溶解し、水で10倍希釈を行ってから、260nmの吸光度を測定し、吸光度から、totalRNA量の計算を行った。計算値から、1μgRNA/μlとなるように濃度調製した。逆転写反応を用い、totalRNAからcDNAを合成するため、滅菌済みマイクロチューブにtotalRNA溶液5μl(totalRNA重量として5μg)、Oligo(dT)12−18プライマー1μl(0.5μl/ml)及び、10mM dNTP mix 1μl、RNase Free Waterを6μl加えタッピングし、よく混合した。65℃に設定した湯浴で5分加温後、氷上に1分間放置した。5×First Strand Buffer 4μl、0.1M DTT 1μl、を加え混合し、Superscript(R)III Reverse Transcriptase 1μlを加え50℃で1時間酵素反応させた。その後、70℃に設定した湯浴で15分加温し、酵素反応を停止した。溶液が冷却した事を確認し、エタノール沈殿を行った。遠心分離後上清を捨て、真空乾燥機にて残ったエタノールを完全に揮発させ、精製cDNAを得た。精製cDNAを滅菌水で溶解し260nmの吸光度を測定した。吸光度の値から算出したcDNA量から、リアルタイムPCR時の検量線として、0.0001μg/μl、0.001μg/μl、0.01μg/μl、0.1μg/μlとそれぞれなるように濃度調整を行い、サンプルは0.01μg/μlとなるように調整した。リアルタイムPCR用96穴プレート1穴当たり、上記濃度のcDNA 10μl、SYBR Green 12.5μl、プライマー(L:tggaattcaatcgtgtggaa,配列番号1)0.1μl 、プライマー(R:atgaatatgctgccctccag,配列番号2)0.1μl、滅菌水 2.3μlを添加した。プライマーは、KEGG(http://www.genome.jp/kegg/)にて、遺伝子配列を検索し、Primer3(http://frodo.wi.mit.edu/)を用いてプライマーをピックアップした。SIGMA-ALDRICHカスタムオリゴDNAによるプライマー合成を行った。リアルタイムPCR条件は表2の条件で行った。 先の寿命延長効果のあった小豆エキスを摂取した線虫の遺伝子発現量解析を行った。その結果、抗老化関連遺伝子であるdaf−16/FOXO1の遺伝子発現量が増加することが認められた(表3、図2)。これらの結果から、小豆エキス摂取することは抗老化関連遺伝子daf−16/FOXO1遺伝子の発現量を促進し、抗老化効果をもたらしたものであると考えられる。小豆エキスを有効成分として含有することを特徴とする転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤。請求項1記載の転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤を含むことを特徴とする寿命延長又は老化防止のための予防・治療剤。請求項1記載の転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤を含むことを特徴とする寿命延長又は老化防止のためのサプリメント。請求項1記載の転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤を含むことを特徴とする寿命延長又は老化防止のための食品添加物。請求項1記載の転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤を含むことを特徴とする寿命延長又は老化防止のための飼料添加物。請求項1記載の転写因子daf−16/FOXO1の活性化剤を配合することを特徴とする寿命延長又は老化防止のための飼料。 【課題】カロリー制限とは異なる手法による新たな抗老化アプローチとして、摂取して安全な寿命延長又は老化防止の作用を有する抗老化剤の提供。【解決手段】小豆エキスを有効成分として含有する抗老化関連遺伝子のdaf−16/FOXO1の活性化剤。【選択図】なし配列表


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