タイトル: | 公開特許公報(A)_皮膚弾性向上材及び皮膚弾性向上用タンパク質溶液 |
出願番号: | 2012123984 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 38/00,C07K 2/00,A61P 17/16,A61K 9/08,A61K 8/64,A61Q 19/08 |
川端 慎吾 JP 2013249272 公開特許公報(A) 20131212 2012123984 20120531 皮膚弾性向上材及び皮膚弾性向上用タンパク質溶液 三洋化成工業株式会社 000002288 川端 慎吾 A61K 38/00 20060101AFI20131115BHJP C07K 2/00 20060101ALI20131115BHJP A61P 17/16 20060101ALI20131115BHJP A61K 9/08 20060101ALI20131115BHJP A61K 8/64 20060101ALI20131115BHJP A61Q 19/08 20060101ALI20131115BHJP JPA61K37/02C07K2/00A61P17/16A61K9/08A61K8/64A61Q19/08 7 OL 16 4C076 4C083 4C084 4H045 4C076AA12 4C076BB31 4C076CC18 4C076FF32 4C083AD411 4C083AD412 4C083CC02 4C083DD27 4C083EE12 4C084AA02 4C084BA44 4C084CA59 4C084MA17 4C084MA63 4C084NA14 4C084ZA891 4C084ZA892 4H045AA10 4H045AA30 4H045EA15 4H045FA74 4H045GA26 4H045HA06 本発明は、皮膚弾性向上材及び皮膚弾性向上用タンパク質溶液に関する。 皮膚の老化(皮膚弾性の低下)は、加齢や紫外線等のストレスによって進行する。皮膚弾性低下の具体的な組織学的現象としては、真皮中のエラスチン、コラーゲン及びグリコサミノグリカンなどの細胞外マトリックス成分の変化(変性や量の減少等)が挙げられる。 これまで皮膚外用剤の分野では、かかる皮膚弾性低下を防止するべく、多くの検討がなされている。例えば、真皮組織の主成分であるコラーゲンの変化について、真皮線維芽細胞を賦活し、加齢やストレスにより低下したコラーゲンの産生を促進又は亢進するような成分の探索(特許文献1及び特許文献2)や、コラーゲンの分解を抑制するような成分の探索(特許文献3)が盛んに行われている。しかしながら、コラーゲンの産生促進・減少抑制だけでは、皮膚弾性の向上・低下抑制には不十分である。皮膚弾性は、コラーゲン線維をエラスチン線維が支えることで得られるものであり、エラスチンの変化も皮膚弾性に大きく寄与するためである。 そこで、エラスチンの量の減少を抑える方法についての検討も行われている。例えば、エラスチンを分解する酵素であるエラスターゼの活性を阻害する皮膚外用材がある。しかしながら、加齢等で生体内機能が低下したためエラスチンが生体内で生合成される量が少ない場合は、エラスターゼの活性阻害だけでは皮膚弾性低下抑制の効果が望めないのが現状である。したがって、生体内機能に頼らず、外部から直接適用(注入)でき、エラスチンと同様の機能を持つ皮膚弾性向上のための成分(皮膚弾性向上材)が望まれている。特開2003−292417号公報特開2005−281284号公報特開2007−126368号公報 本発明は、皮膚に適用することで、皮膚弾性を向上することができる皮膚弾性向上材を提供することを目的とする。 本発明の皮膚弾性向上材は、人工タンパク質(A)からなる皮膚弾性向上材であって、(A)が、下記アミノ酸配列(X)が2〜200個連続したポリペプチド鎖(Y)及び/又は下記ポリペプチド鎖(Y’)を有し、(A)中の(Y)と(Y’)との合計個数が1〜100個であり、(A)の疎水性度が0.2〜1.5である。アミノ酸配列(X):VPGVG配列(2)又はGVGVP配列(3)。ポリペプチド鎖(Y’):(Y)の全アミノ酸の0.1〜5%がリシン及び/又はアルギニンで置換され、置換したリシン及びアルギニンの合計個数が1〜100個であるポリペプチド鎖。 本発明の皮膚弾性向上材は、皮膚弾性を向上させることができる。 本発明において、人工タンパク質(A)は、動物由来成分を排除するために、人工的に製造されるものであり、有機合成法(酵素法、固相合成法及び液相合成法等)及び遺伝子組み換え法等によって製造できる。有機合成法に関しては、「生化学実験講座1、タンパク質の化学IV(1981年7月1日、日本生化学会編、株式会社東京化学同人発行)」又は「続生化学実験講座2、タンパク質の化学(下)(昭和62年5月20日、日本生化学会編、株式会社東京化学同人発行)」に記載されている方法等が適用できる。遺伝子組み換え法に関しては、特許第3338441号公報に記載されている方法等が適用できる。有機合成法及び遺伝子組み換え法とも、人工タンパク質(A)を作製できるが、アミノ酸配列を簡便に変更でき、安価に大量生産できるという観点等から、遺伝子組み換え法が好ましい。 本発明の皮膚弾性向上材は、人工タンパク質(A)からなるものであって、(A)が、下記アミノ酸配列(X)が2〜200個連続したポリペプチド鎖(Y)及び/又は下記ポリペプチド鎖(Y’)を有し、(A)中の(Y)と(Y’)との合計個数が1〜100個であり、(A)の疎水性度が0.2〜1.5である皮膚弾性向上材である。アミノ酸配列(X):VPGVG配列(2)又はGVGVP配列(3)。ポリペプチド鎖(Y’):(Y)の全アミノ酸の0.1〜5%がリシン及び/又はアルギニンで置換され、置換したリシン及びアルギニンの合計個数が1〜100個であるポリペプチド鎖。 本発明においてポリペプチド鎖(Y)は、具体的には、(VPGVG)b配列又は(GVGVP)c配列である。(なお、b及びcは、それぞれ、アミノ酸配列(X)の連続する個数であり、2〜200の整数である)。 人工タンパク質(A)1分子中に、ポリペプチド鎖(Y)を複数有する場合は、(VPGVG)b配列又は(GVGVP)c配列を有しても良く、(VPGVG)b配列及び(GVGVP)c配列を有しても良い。 また、人工タンパク質(A)中にアミノ酸配列(X)が同種類のポリペプチド鎖(Y)を複数有する場合は、上記(X)の連続する個数は、(Y)ごとに同一でも異なっていてもよい。すなわち、上記b及びcが同じポリペプチド鎖(Y)を複数有してもよく、(X)の連続する個数b及びcが異なるポリペプチド鎖(Y)を複数有してもいい。 ポリペプチド鎖(Y)は、アミノ酸配列(X)が2〜200個連続した(上記b及びcがそれぞれ2〜200)ポリペプチド鎖であるが、皮膚弾性を長期的に向上させる観点から、連続する個数は2〜50個(上記b及びcがそれぞれ2〜50)が好ましく、さらに好ましくは2〜30個(上記b及びcがそれぞれ2〜30)である。 本発明において、ポリペプチド鎖(Y’)は、(Y)の全アミノ酸の0.1〜5%がリシン及び/又はアルギニンで置換され、置換したリシン及びアルギニンの合計個数が1〜100個であるポリペプチド鎖である。具体的には、ポリペプチド鎖(Y)を構成するアミノ酸配列(X)の一部又は全部が、下記アミノ酸配列(X’)に置換され、(Y)中の1〜100個のアミノ酸がK及び/又はRで置換されたものとなったポリペプチド鎖である。アミノ酸配列(X’):アミノ酸配列(X)中の1〜5個のアミノ酸がK及び/又はRで置換され、アミノ酸の置換の割合[{(K及び/又はRで置換された個数)}/{(X’)のアミノ酸の個数}×100%]が20〜80%であるアミノ酸配列。 アミノ酸配列(X’)において、アミノ酸配列(X)中のアミノ酸の置換の数(K及び/又はRで置換された数)は、人工タンパク質の水への溶解性の観点から、1〜4個が好ましく、さらに好ましくは1〜3個である。 また、アミノ酸配列(X’)において、アミノ酸配列(X)中のアミノ酸の置換の割合[{(K及び/又はRで置換された個数)}/{(X’)のアミノ酸の個数}×100%]は、人工タンパク質(A)の水への溶解性の観点から、20〜60%が好ましい。 また、アミノ酸配列(X’)としては、人工タンパク質(A)の水への溶解性の観点から、GKGVP配列(4)、GKGKP配列(5)、GKGRP配列(6)及びGRGRP配列(7)からなる群より選ばれる少なくとも1種の配列が好ましく、さらに好ましくはGKGVP配列(4)及びGKGKP配列(5)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。 人工タンパク質(A)はアミノ酸配列(X)及び/又はアミノ酸配列(X’)を有するので、コラーゲンとの親和性が高い。また、コラーゲンとの親和性が高いことで、後述する本発明の皮膚弾性向上材及び水を含む皮膚弾性向上用タンパク質溶液を作成し、皮膚に適用(投与等)した際に、(A)がエラスチンと同様に機能し、真皮中のコラーゲンに絡みつき、皮膚弾性を向上させることができると推察される。 ポリペプチド鎖(Y’)であるかどうかは、人工タンパク質(A)の配列中の全てのK及びRを、他のアミノ酸(G、V又はP)に置きかえたときに、ポリペプチド鎖(Y)となるかによって判断する。 ポリペプチド鎖(Y’)において、(Y)中の置換されるアミノ酸の数は、(A)の水への溶解性及びコラーゲンとの親和性の観点から、1〜70個が好ましく、さらに好ましくは1〜30個である。 また、ポリペプチド鎖(Y’)は、(Y)の全アミノ酸の0.1〜5%がリシン及び/又はアルギニンで置換されたポリペプチド鎖であるが、(A)の水への溶解性の観点から、0.1〜4%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜3%である。 本発明において、人工タンパク質(A)は、ポリペプチド鎖(Y)及び/又は下記ポリペプチド鎖(Y’)を有し、(A)中の(Y)と(Y’)との合計個数が1〜100個である人工タンパク質である。(A)が、(X)の種類及び/又は連続する個数が異なる(Y)を有している場合は、それぞれを1個として数え、(Y)の個数はその合計である。(Y’)も同様である。 人工タンパク質(A)は、(A)1分子中にポリペプチド鎖(Y)及び/又はポリペプチド鎖(Y’)を合計1〜100個有するものであるが、皮膚弾性向上の観点から、1〜80個が好ましく、特に好ましくは1〜60個である。 人工タンパク質(A)において、同じアミノ酸配列(X)が繰り返し結合している部分はポリペプチド鎖(Y)1個とし、(X)とは異なる配列が結合するまでを1個とする。例えば、(GVGVP)100GAGAGS(VPGVG)20である場合、ポリペプチド鎖(Y)は(GVGVP)100と(VPGVG)20との2個である。また、人工タンパク質(A)の配列中の全てのK及びRを、他のアミノ酸(G、V又はP)に置きかえたときに、アミノ酸配列(X)が繰り返し結合しているものとなる部分をポリペプチド鎖(Y’)1個とし、(X)とは異なる配列が結合するまでを1個とする。例えば、(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3GAGAGS(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3には、2個のポリペプチド鎖(Y’)である(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3がある。 本発明において、人工タンパク質(A)の疎水性度は0.2〜1.5であるが、(A)の水への溶解性及びコラーゲンとの親和性の観点から、0.25〜1.4が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.3であり、次にさらに好ましくは0.35〜1.2である。 (A)の疎水性度は、(A)分子の疎水性の度合いを示すものであり、(A)分子を構成するそれぞれのアミノ酸の数(Mα)、それぞれのアミノ酸の疎水性度(Nα)及び(A)1分子中のアミノ酸の総数を、下記数式に当てはめることにより算出することができる。なお、それぞれのアミノ酸の疎水性度は、非特許文献(レ−ニンジャ−の新生化学 上,p.346−347)に下記の数値が記載されている。疎水性度=Σ(Mα×Nα)/(MT)Mα:(A)1分子中のそれぞれのアミノ酸の数Nα:各アミノ酸の疎水性度MT:(A)1分子中のアミノ酸の総数A(アラニン):1.8R(アルギニン):−4.5N(アスパラギン):−3.5D(アスパラギン酸):−3.5C(システイン):2.5Q(グルタミン):−3.5E(グルタミン酸):−3.5G(グリシン):−0.4H(ヒスチジン):−3.2I(イソロイシン):4.5L(ロイシン):3.8K(リシン):−3.9M(メチオニン):1.9F(フェニルアラニン):2.8P(プロリン):−1.6S(セリン):−0.8T(トレオニン):−0.7W(トリプトファン):−0.9Y(チロシン):−1.3V(バリン):4.2 例えば、(A)が(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(10)である場合、(A)の疎水性度={16(Gの数)×(−0.4)+15(Vの数)×4.2+8(Pの数)×(−1.6)+1(Kの数)×(−3.9)}/40(アミノ酸の総数)=1.00である。 本発明においては、人工タンパク質(A)が上記ポリペプチド鎖(Y)及び/又はポリペプチド鎖(Y’)を有していることで、コラーゲンとの親和性が高く、皮膚弾性向上作用に優れた皮膚弾性向上材となる。また、上記ポリペプチド鎖(Y)及び/又はポリペプチド鎖(Y’)を有し、且つ(A)の疎水性度が上記範囲内であることにより、人工タンパク質(A)を水に溶解することができ、生体内での適用性に優れ、皮膚真皮に容易に適用させることができるものとなる。 本発明において、人工タンパク質(A)は、さらにGAGAGS配列(1)を有していてもいい。(A)がGAGAGS配列(1)を有していると、(A)が生体内で分解されにくくなり、長期的に皮膚弾性向上作用を得ることができる。 GAGAGS配列(1)は、生体内難分解性の観点から、GAGAGS配列(1)が2〜100個連続して結合したポリペプチド鎖(S)を有していることが好ましい。 ポリペプチド鎖(S)において、配列(1)が連続する数は、生体内難分解性の観点から、2〜100個が好ましく、さらに好ましくは2〜50個であり、次にさらに好ましくは3〜40個であり、特に好ましくは4〜30個である。 (A)において、ポリペプチド鎖(S)を有する際、(A)1分子中に(S)を1つ以上有すればよいが、生体内難分解性の観点から、1〜20個が好ましく、さらに好ましくは3〜10個である。 人工タンパク質(A)において、ポリペプチド鎖(Y)、ポリペプチド鎖(Y’)及びポリペプチド鎖(S)を合計2個以上有する場合は、ポリペプチド鎖とポリペプチド鎖との間に、介在アミノ酸配列(Z)を有していてもいい。(Z)は、アミノ酸1個、アミノ酸配列(X)1個又はアミノ酸が2個以上結合したペプチド配列である。(Z)を構成するアミノ酸の数は、生体内難分解性の観点から、1〜30個が好ましく、さらに好ましくは1〜15個、特に好ましくは1〜10個である。(Z)として、具体的には、VAAGY配列(18)、GAAGY配列(19)及びLGP配列等が挙げられる。 人工タンパク質(A)中の両末端の各ポリペプチド鎖(Y)、ポリペプチド鎖(Y’)及びポリペプチド鎖(S)のN及び/又はC末端には、末端アミノ酸配列(T)を有していてもいい。(T)は、アミノ酸1個、アミノ酸配列(X)1個又はアミノ酸が2個以上結合したペプチド配列である。(T)を構成するアミノ酸の数は、生体内難分解性の観点から、1〜100個が好ましく、さらに好ましくは1〜50個、特に好ましくは1〜40個である。(T)として、具体的には、MDPVVLQRRDWENPGVTQLNRLAAHPPFASDPM配列(8)等が挙げられる。 人工タンパク質(A)は、上記(T)以外に、発現させた(A)の精製または検出を容易にするために、(A)のN及び/又はC末端に特殊なアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド(以下これらを「精製タグ」と称する)を有してもいい。精製タグとしては、アフィニティー精製用のタグが利用される。そのような精製タグとしては、ポリヒスチジンからなる6×Hisタグ、V5タグ、Xpressタグ、AU1タグ、T7タグ、VSV−Gタグ、DDDDKタグ、Sタグ、CruzTag09TM、CruzTag22TM、CruzTag41TM、Glu−Gluタグ、Ha.11タグ及びKT3タグ等がある。 以下に、各精製タグ(i)とそのタグを認識結合するリガンド(ii)との組み合わせの一例を示す。(i−1)グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GTS) (ii−1)グルタチオン(i−2)マルトース結合タンパク質(MBP) (ii−2)アミロース(i−3)HQタグ (ii−3)ニッケル(i−4)Mycタグ (ii−4)抗Myc抗体(i−5)HAタグ (ii−5)抗HA抗体(i−6)FLAGタグ (ii−6)抗FLAG抗体(i−7)6×Hisタグ (ii−7)ニッケル又はコバルト 前記精製タグ配列の導入方法としては、発現用ベクターにおける人工タンパク質(A)をコードする核酸の5’又は3’末端に精製タグをコードする核酸を挿入する方法や市販の精製タグ導入用ベクターを使用する方法等が挙げられる。 人工タンパク質(A)1分子中のアミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計含有量(重量%)は、コラーゲンとの親和性の観点から、(A)の分子量を基準として10〜80重量%が好ましく、さらに好ましくは15〜75重量%である。 人工タンパク質(A)中のアミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計含有量は、プロテインシークエンサーによって求めることができる。具体的には、下記の測定法により求めることができる。<アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の含有量の測定法> 特定のアミノ酸残基で切断出来る切断方法から2種類以上を用いて、人工タンパク質(A)を30残基以下程度まで分解する。その後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分離した後、プロテインシークエンサーにてアミノ酸配列を読み取る。得られたアミノ酸配列からペプチドマッピングして、人工タンパク質(A)の全配列を決定する。その後、以下記載の測定式にてアミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計含有量を測定する。アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計含有量(%)=[{アミノ酸配列(X)の分子量}×{アミノ酸配列(X)の数}+{アミノ酸配列(X’)の分子量}×{アミノ酸配列(X’)の数}]/{(A)の分子量}×100 タンパク質(A)1分子中の、GAGAGS配列(1)の個数とアミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計個数との比率(GAGAGS配列(1)の個数:アミノ酸配列(X)及び(X’)の合計個数)は、(A)の水への溶解性及びコラーゲンとの親和性の観点から、1:2〜1:20が好ましく、さらに好ましくは1:2〜1:10である。 人工タンパク質(A)の分子質量は、長期的に皮膚弾性向上機能を発揮する観点から、15〜200kDaが好ましく、さらに好ましくは15〜100kDaである。 なお、人工タンパク質(A)の分子質量は、SDS−PAGE(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動)法により、測定サンプルを分離し、泳動距離を標準物質と比較する方法によって求められる。 好ましい人工タンパク質(A)の一部を以下に例示する。(1)アミノ酸配列(X)がGVGVP配列(3)の人工タンパク質(1−1)GVGVP配列(3)が連続したポリペプチド鎖(Y1)中の1個のアミノ酸がK(リシン)で置換されたポリペプチド鎖(Y’1)を有する人工タンパク質(A1)であり、さらに好ましくは、(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(10)であるポリペプチド鎖(Y’11)及び(GAGAGS)4配列(9)であるポリペプチド鎖(S1−1)を有する人工タンパク質(A11)、ポリペプチド鎖(Y’11)及び(GAGAGS)2配列(11)であるポリペプチド鎖(S1−2)を有する人工タンパク質(A12)、並びにポリペプチド鎖(Y’11)、ポリペプチド鎖(S1−1)及びポリペプチド鎖(S1−2)を有する人工タンパク質(A13)である。 具体的には、GAGAGS配列(1)が4個連続した(GAGAGS)4配列(9)のポリペプチド鎖(S1−1)を12個及びGVGVP配列(3)が8個連続したポリペプチド鎖(Y11)中のV(バリン)のうち1個がK(リシン)に置換された(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(10)(Y’11)を13個有し、これらが交互に化学結合してなるものに、GAGAGS配列(1)が2個連続した(GAGAGS)2配列(11)のポリペプチド鎖(S1−2)1個が化学結合した構造を有する分子質量が約80kDaの配列(13)の人工タンパク質(SELP8K、疎水性度0.618);GAGAGS配列(1)が2個連続した(GAGAGS)2配列(11)のポリペプチド鎖(S1−2)及び(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(10)のポリペプチド鎖(Y’11)をそれぞれ17個有し、これらが交互に化学結合してなる構造を有する分子質量が約82kDaの配列(12)の人工タンパク質(SELP0K、疎水性度0.718)等である。(1−2)GVGVP配列(3)が連続したポリペプチド鎖(Y2)を有する人工タンパク質(A2)であり、さらに好ましくは、GVGVP配列(3)が2個連続したポリペプチド鎖(Y21)及びGAGAGS配列(1)が6個連続したポリペプチド鎖(S2−1)を有する人工タンパク質(A21)であり、具体的には、ポリペプチド鎖(Y21)とポリペプチド鎖(S2−1)が結合したアミノ酸ブロック(L−1)が29個繰り返し化学結合した構造を有する分子質量が約93kDaの配列(14)の人工タンパク質(SLP4.1、疎水性度0.47)である。(1−3)GVGVP配列(3)が連続したポリペプチド鎖(Y1)中の2個のアミノ酸がK(リシン)で置換されたポリペプチド鎖(Y’3)を有する人工タンパク質(A3)であり、さらに好ましくは、GKGVP配列(4)が2個連続したポリペプチド鎖(Y’31)、GAGAGS配列(1)が6個結合したポリペプチド鎖(S2−1)及びGAGAGS配列(1)が10個結合したポリペプチド鎖(S2−2)を有する人工タンパク質(A31)である。 具体的には、ポリペプチド鎖(S2−1)にポリペプチド鎖(Y’31)が結合し、さらにポリペプチド鎖(S2−2)が結合したアミノ酸ブロック(L−2)が10個繰り返し化学結合した構造を有する分子質量が約73kDaの配列(15)の人工タンパク質(SLP4.2、疎水性度0.2)等である。(2)アミノ酸配列(X)がVPGVG配列(2)の人工タンパク質(2−1)VPGVG配列(2)が連続したポリペプチド鎖(Y4)を有する人工タンパク質(A4)であり、具体的には、VPGVG配列(2)が160個連続したポリペプチド鎖(Y41)を有する分子質量が約65kDaの配列(16)の人工タンパク質(ELP1、疎水性度1.2)である。(2−2)VPGVG配列(2)が4個連続したポリペプチド鎖(Y5−1)及びVPGVG配列(2)が8個連続したポリペプチド鎖(Y5−2)を有する人工タンパク質(A5)であり、さらに好ましくは、VPGVG配列(2)が4個連続したポリペプチド鎖(Y5−1)、VPGVG配列(2)が8個連続したポリペプチド鎖(Y5−2)及びGAGAGS配列(1)を有する人工タンパク質(A51)であり、具体的には、ポリペプチド鎖(Y5−1)にGAGAGS配列(1)が結合し、さらにポリペプチド鎖(Y5−2)が結合したアミノ酸ブロック(L−3)が40個繰り返し化学結合した構造を有する分子質量が約220kDaの配列(17)の人工タンパク質(ELP1.1、疎水性度1.12)である。 本発明の皮膚弾性向上材の適用方法としては、特に限定はないが、下記に一例を示す。(1)人工タンパク質(A)及び水を所定量含む、後述する皮膚弾性向上用タンパク質溶液を4〜25℃で作製する。皮膚弾性向上用タンパク質溶液には、必要により無機塩及び/又はリン酸(塩)を含んでもよい。また、皮膚弾性向上用タンパク質溶液は、必要により皮膚に適用する直前に温めてもよい。(2)皮膚に皮膚弾性向上用タンパク質溶液を適用する。 皮膚弾性向上用タンパク質溶液中の各成分の量は、後述する本発明の皮膚弾性向上用タンパク質溶液と同様であり、好ましい範囲も同様である。 また、皮膚に適用する際の皮膚弾性向上用タンパク質溶液の温度は、皮膚弾性向上材の熱安定性及びハンドリング性の観点から、4〜80℃が好ましく、さらに好ましくは4〜60℃、次にさらに好ましくは25〜50℃、特に好ましくは30〜40℃である。 皮膚弾性向上用タンパク質溶液の皮膚への適用方法としては、注射器やマイクロニードルで皮膚内部又は外部に投与する方法等が挙げられる。 本発明において皮膚は、身体の外皮または被膜を意味し、真皮および表皮からなり、皮下組織上にあるものを意味する。 また、皮膚は、人の皮膚に限定されることなく、動物(ペットや家畜)の皮膚にも使用することができる。 本発明の皮膚弾性向上材は、動物由来の血清等が含まれていないので、抗原性が低いと推察される。また、人工タンパク質(A)は、生物由来配列を有するので、生体適合性が高いと推察される。さらに、人工タンパク質(A)は大腸菌等の細菌により、安価に大量生産できるので、皮膚弾性向上材を容易に入手できる。 また、本発明の皮膚弾性向上材は、水に溶解できるので、皮膚弾性向上材を含む水溶液を皮膚内部又は外部に投与することで、老化により低下した皮膚弾性の向上や皺を消失・予防することができ、顔面や腕部、脚部、胸部、頚部等の身体部分の緩み弛んだ肌を引き締めることができる。 本発明の皮膚弾性向上用タンパク質溶液は、皮膚弾性向上材及び水を含有する皮膚弾性向上用タンパク質溶液であって、皮膚弾性向上材及び水の合計重量を基準として、皮膚弾性向上用タンパク質溶液中の皮膚弾性向上材の含有量が5〜30重量%、水の含有量が70〜95重量%である皮膚弾性向上用タンパク質溶液である。 皮膚弾性向上用タンパク質溶液中の人工タンパク質(A)の含有量(重量%)は、効率よく皮膚弾性向上機能を発揮する観点から、皮膚弾性向上材及び水の合計重量を基準として、10〜30が好ましく、さらに好ましくは15〜30である。 皮膚弾性向上用タンパク質溶液中の水の含有量(重量%)は、人工タンパク質(A)の溶解性の観点から、70〜90が好ましく、さらに好ましくは70〜85である。 本発明の皮膚弾性向上用タンパク質溶液において、皮膚弾性向上材は、上記皮膚弾性向上材であり、皮膚弾性向上用タンパク質溶液に使用する皮膚弾性向上材として好ましいものは、上記皮膚弾性向上材として好ましいものと同様である。 皮膚弾性向上用タンパク質溶液中の水としては、滅菌されたものであれば特に限定するものではなく、滅菌方法としては、0.2μm以下の孔径を持つ精密ろ過膜を通した水、限外ろ過膜を通した水、逆浸透膜を通した水及びオートクレーブで121℃20分加熱して過熱滅菌したイオン交換水等が挙げられる。 皮膚弾性向上用タンパク質溶液中には、上記皮膚弾性向上材及び水以外に無機塩及びリン酸(塩)を含んでもいい。 無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム及び炭酸水素マグネシウム等が挙げられる。リン酸塩は無機塩に含まない。 皮膚弾性向上用タンパク質溶液中の塩の含有量(重量%)は、人間の体液と同等にするというの観点から、皮膚弾性向上用タンパク質溶液の重量を基準として0〜1.3が好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.3であり、次にさらに好ましくは0.7〜1.1であり、特に好ましくは0.85〜0.95である。 リン酸(塩)は、リン酸及び/又はリン酸塩を意味する。 皮膚弾性向上用タンパク質溶液中のリン酸(塩)としては、リン酸及びリン酸塩が挙げられる。 塩としては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が挙げられ、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩等が挙げられる。 皮膚弾性向上用タンパク質溶液中のリン酸(塩)の含有量(重量%)は、タンパク質溶解性の観点から、皮膚弾性向上用タンパク質溶液の重量を基準として0〜0.30が好ましく、さらに好ましくは0.10〜0.30であり、次にさらに好ましくは0.12〜0.28であり、特に好ましくは0.14〜0.26である。 皮膚弾性向上用タンパク質溶液のpHは、組織親和性の観点から、5〜9が好ましく、さらに好ましくは6〜8である。 また、皮膚弾性向上用タンパク質溶液には、上記以外に、コラーゲン、ヒアルロン酸等を含んでもいい。 本発明の皮膚弾性向上用タンパク質溶液は、上記皮膚弾性向上材を含んでいるので、顔面や腕部、脚部、胸部、頚部等の身体部分において、老化により弾性が低下した皮膚の皮膚弾性を向上させたり、皺のある皮膚や緩み弛んだ肌を引き締めるために皮膚に投与する溶液として有効である。 以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。<実施例1>○SELP8Kの生産 特許第4088341号公報の実施例記載の方法に準じて、SELP8KをコードしたプラスミドpPT0345を作製した。 作製したプラスミドを大腸菌にトランスフォーメーションし、SELP8K生産株を得た。 30℃で生育させたSELP8K生産株の一夜培養液を使用して、250mlフラスコ中のLB培地50mlに接種した。カナマイシンを最終濃度50μg/mlとなるように加え、該培養液を30℃で攪拌しながら(200rpm)インキュベートした。培養液がOD600=0.8(吸光度計UV1700:島津製作所製を使用)となった時に、40mlを42℃に前もって温めたフラスコに移し、同じ温度で約2時間インキュベートした。該培養体を氷上で冷却し、培養液のOD600を測定した。大腸菌を遠心分離で集めた。集菌した大腸菌から人工タンパク質を取り出すために、超音波破砕(4℃、30秒×10回)をして溶菌した。 この大腸菌により産生された人工タンパク質を、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に供した後、ポリフッ化ビニリデン膜にトランスファーした。その後、一次抗体に抗ラビットSELP8K抗体、2次抗体に抗ラビットIgG HRP標識抗体(GEヘルスケア社製)を用いたウエスタンブロット分析を行なった。該生成物の見かけ分子量は約80kDaであった。よってSELP8K生産株は、見かけ分子質量80,000の抗ラビットSELP8K抗体反応性を有するSELP8Kを生成したことが分かった。○SELP8Kの精製 上記で得たSELP8Kを、菌体溶解、遠心分離による不溶性細片の除去、及びアフィニティークロマトグラフィーにより大腸菌バイオマスから精製した。このようにして、皮膚弾性向上材である分子量が約80kDaの人工タンパク質(A−1)(SELP8K)を得た。○SELP8Kの同定 得られた人工タンパク質(A−1)を下記の手順で同定した。 抗ラビットSELP8K抗体及びC末端配列の6×Hisタグに対する抗ラビット6×His抗体(Roland社製)を用いたウエスタンブロットにより分析した。見かけ分子質量80,000のタンパク質バンドが、各抗体に抗体反応性を示した。また得られたタンパク質をアミノ分析供した結果、該生成物が、グリシン(43.7%),アラニン(12.3%),セリン(5.3%),プロリン(11.7%)及びバリン(21.2%)に富むものであった。また、該生成物はリシンを1.5%含んでいた。下記の表1は、精製された生成物の組成と、合成遺伝子配列から推測された予測理論組成との相関関係を示す。 したがって、SELP8K(A−1)がGVGVP配列(3)が8個連続したポリペプチド鎖(Y)であり、(Y)中のVのうち1個がKに置換された(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(10)(Y’11)を13個及びGAGAGS配列(1)が4個連続した(GAGAGS)4配列(9)のポリペプチド鎖(S1−1)を12個有し、これらが交互に化学結合してなるものに、GAGAGS配列(1)が2個連続した(GAGAGS)2配列(11)のポリペプチド鎖(S1−2)が化学結合した配列(13)の人工タンパク質であることを確認した。<実施例2> 製造例1において、「SELP8KをコードしたプラスミドpPT0345」に変えて、「SELP0KをコードしたプラスミドpPT0364」を用いる以外は同様にして、皮膚弾性向上材である分子質量が約82kDaの配列(12)の人工タンパク質(A−2)を得た。<実施例3> 製造例1において、「SELP8KをコードしたプラスミドpPT0345」に変えて、「SLP4.1をコードしたpSY1398−1」を用いる以外は同様にして、皮膚弾性向上材である分子質量が約93kDaの配列(14)の人工タンパク質(A−3)を得た。<実施例4> 製造例1において、「SELP8KをコードしたプラスミドpPT0345」に変えて、「ELP1.1をコードしたプラスミドpPT0102−1」を用いる以外は同様にして、皮膚弾性向上材である分子質量が約220kDaの配列(17)の人工タンパク質(A−4)を得た。<実施例5> 製造例1において、「SELP8KをコードしたプラスミドpPT0345」に変えて、「ELP1をコードしたプラスミドpPT0102」を用いる以外は同様にして、皮膚弾性向上材である分子質量が約65kDaの配列(16)の人工タンパク質(A−5)を得た。<比較例1> コラーゲン(井原水産社製)を比較用の皮膚弾性向上材として用いた。<皮膚弾性向上用タンパク質溶液の作成> 人工タンパク質(A−1)〜(A−5)及びコラーゲンを、それぞれ水に溶解して20重量%の濃度にした皮膚弾性向上用タンパク質溶液(L−1)〜(L−6)を作成した。<モルモット背部での皮膚弾性評価> モルモット(Hartley系)7週齢の背部を剃毛し、皮膚弾性向上用タンパク質溶液(L−1)〜(L−6)100μLをそれぞれ皮内投与した。3日後、14日後、28日後、56日後に背部を剃毛した後、皮膚弾性を測定した。皮膚弾性はキュートメーターSEM575(インテグラル社製)を用いて測定した。投与前の皮膚弾性を100%とした相対値で表し、結果を表2にまとめた。 表2の皮膚弾性評価の結果から、コラーゲンを皮膚弾性向上材とした比較例1では、投与3日後に95%と100%未満であり、投与前よりも皮膚弾性が低下していることが分かる。特に、56日後には加齢により93%にまで皮膚弾性が低下しており、皮膚弾性向上効果が低いことが分かる。 一方、実施例1〜5の本発明の皮膚弾性向上材を投与したモルモットの皮膚弾性は100%以上であり、投与前の皮膚弾性よりも向上していることが分かる。したがって、皮膚弾性向上効果が高いことがわかる。また、実施例1〜4においては、56日後も112%以上であり、長期的に皮膚弾性を向上できることがわかる。 本発明の皮膚弾性向上材は、老化により低下した皮膚弾性の向上や皺を消失・予防することができ、顔面や腕部、脚部、胸部、頚部等の身体部分の緩み弛んだ肌を引き締めることができる。また、本発明の皮膚弾性向上用タンパク質溶液は、顔面や腕部、脚部、胸部、頚部等の身体部分において、老化により弾性が低下した皮膚の皮膚弾性を向上させたり、皺のある皮膚や緩み弛んだ肌を引き締めるために皮膚に投与する溶液として有効である。人工タンパク質(A)からなる皮膚弾性向上材であって、(A)が、下記アミノ酸配列(X)が2〜200個連続したポリペプチド鎖(Y)及び/又は下記ポリペプチド鎖(Y’)を有し、(A)中の(Y)と(Y’)との合計個数が1〜100個であり、(A)の疎水性度が0.2〜1.5である皮膚弾性向上材。アミノ酸配列(X):VPGVG配列(2)又はGVGVP配列(3)。ポリペプチド鎖(Y’):(Y)の全アミノ酸の0.1〜5%がリシン及び/又はアルギニンで置換され、置換したリシン及びアルギニンの合計個数が1〜100個であるポリペプチド鎖。人工タンパク質(A)が、GAGAGS配列(1)が2〜50個連続したポリペプチド鎖(S)を有する請求項1に記載の皮膚弾性向上材。人工タンパク質(A)1分子中の、GAGAGS配列(1)の個数とアミノ酸配列(X)及び下記アミノ酸配列(X’)の合計個数との比率{配列(1):アミノ酸配列(X)及び(X’)の合計}が、1:2〜1:20である請求項2に記載の皮膚弾性向上材。アミノ酸配列(X’):アミノ酸配列(X)の1〜5個のアミノ酸がリシン及び/又はアルギニンで置換され、アミノ酸の置換の割合[(リシン及び/又はアルギニンで置換された個数)/{(X’)のアミノ酸の個数}×100%]が20%〜80%であるアミノ酸配列。人工タンパク質(A)のSDS−PAGE(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動)法による分子量が15〜200kDaである請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚弾性向上材。人工タンパク質(A)が、アミノ酸配列(X)がGVGVP配列(3)であるポリペプチド鎖(Y1)中の1個のアミノ酸がリシンで置換されたポリペプチド鎖(Y’1)を有する人工タンパク質(A1)である請求項1〜4のいずれかに記載の皮膚弾性向上材。人工タンパク質(A)が、(GAGAGS)4配列(9)であるポリペプチド鎖(S1−1)及び(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(10)であるポリペプチド鎖(Y’1)を有する人工タンパク質(A11)である請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚弾性向上材。請求項1〜6のいずれかに記載の皮膚弾性向上材及び水を含有するタンパク質水溶液であって、タンパク質水溶液中の皮膚弾性向上材の含有量が5〜30重量%、水の含有量が70〜95重量%である皮膚弾性向上用タンパク質水溶液。 【課題】皮膚弾性を向上することができる皮膚弾性向上材を提供することを目的とする。【解決手段】人工タンパク質(A)からなる皮膚弾性向上材であって、(A)が、下記アミノ酸配列(X)が2〜200個連続したポリペプチド鎖(Y)及び/又は下記ポリペプチド鎖(Y’)を有し、(A)中の(Y)と(Y’)との合計個数が1〜100個であり、(A)の疎水性度が0.2〜1.5である皮膚弾性向上材。アミノ酸配列(X):VPGVG配列(2)又はGVGVP配列(3)。ポリペプチド鎖(Y’):(Y)中の1〜100個のアミノ酸がリシン及び/又はアルギニンで置換され、置換されたアミノ酸の割合{(リシン及び/又はアルギニンに置換された個数)/((Y’)のアミノ酸の個数)×100%}が0.1%〜5%であるポリペプチド鎖。【選択図】なし配列表