タイトル: | 公開特許公報(A)_蛍光X線分析用の試料処理方法およびそれを用いた蛍光X線分析方法 |
出願番号: | 2012121995 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | G01N 23/223 |
山田 康治郎 JP 2013246137 公開特許公報(A) 20131209 2012121995 20120529 蛍光X線分析用の試料処理方法およびそれを用いた蛍光X線分析方法 株式会社リガク 000250339 杉本 修司 100087941 野田 雅士 100086793 堤 健郎 100112829 山田 康治郎 G01N 23/223 20060101AFI20131112BHJP JPG01N23/223 2 3 OL 6 2G001 2G001AA01 2G001BA04 2G001CA01 2G001EA01 2G001FA08 2G001GA01 2G001KA01 2G001MA04 2G001NA03 2G001NA04 2G001QA02 2G001RA01 本発明は、微量の粉末試料を蛍光X線分析に供するための試料処理方法およびそれを用いた蛍光X線分析方法に関する。 従来、微量の粉末試料を蛍光X線分析に供するための試料処理方法としては、セルロースパウダーやホウ酸を基材として予備加圧成形しておき、その表面に粉末試料を載置するなどしてさらに加圧成形して分析試料とする方法(非特許文献1参照)や、高分子フィルムの表面に粉末試料を載置し加圧成形して分析試料とする方法(特許文献1参照)などがあり、基材だけでは成形性が不十分な場合には、例えばステアリン酸をバインダーとして混合する場合もある(特許文献2参照)。特開2006−78386号公報特開2000−74858号公報中井泉編,「蛍光X線分析の実際」,初版,朝倉書店,2005年10月20日,p.75−77 しかし、従来用いられている基材、バインダー、高分子フィルムには、ホウ素、炭素、窒素、酸素などのいわゆる超軽元素が相当量含まれており、1次X線が照射されると蛍光X線を発生してそれが不純線となる。これに対し、粉末試料が体積で耳掻き約1杯以下、重量で約10mg以下の微量である場合には、粉末試料から発生する蛍光X線が特に微弱で不純線の影響を受けやすく、それらの超軽元素を分析対象元素として蛍光X線分析を行うことが事実上不可能であった。また、高分子フィルムの表面に粉末試料を載置し加圧成形して分析試料とする方法では、粉末試料が約10mg以下であると成形性が確保できず分析面積(成形後の粉末試料の面積)を広げることが困難な場合が多く、超軽元素に対する感度が低くなり、正確な蛍光X線分析を行えないこともあった。 本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、微量の粉末試料についてホウ素、炭素、窒素または酸素を分析対象元素として蛍光X線分析を行うことを可能とする試料処理方法およびそれを用いた蛍光X線分析方法を提供することを目的とする。 前記目的を達成するために、本発明の第1構成は、微量の粉末試料を蛍光X線分析するための試料処理方法であって、フッ化リチウム粉末からなる基材と、ホウ素、炭素、窒素および酸素のうちの少なくとも1つを含む粉末のバインダーとを、バインダーの含有率が0wt%よりも大きく50wt%以下になるように混合した混合した混合基材の表面を押し固め、その混合基材の表面に粉末試料を載置して加圧成形し、混合基材と粉末試料とを一体化して分析試料とする。 第1構成の試料処理方法で使用する混合基材には、ホウ素、炭素、窒素および酸素のうち少なくとも1つが、バインダーの成分として含まれているが、混合基材に含まれるフッ素からの蛍光X線の測定強度を利用した補正により、不純線の影響を除去できる。したがって、微量の粉末試料についてホウ素、炭素、窒素または酸素を分析対象元素として蛍光X線分析を行うことが可能となる。 本発明の第2構成は、第1構成の試料処理方法で作製した分析試料に1次X線を照射し、発生する蛍光X線の強度を測定して、粉末試料中の各元素の含有率を求める蛍光X線分析方法であって、分析対象元素に、ホウ素、炭素、窒素および酸素のうちの少なくとも1つが含まれている。この分析方法では、分析試料の作製に用いたバインダーに含まれる、フッ素以外の元素を補正対象元素とし、あらかじめ、分析試料の作製に用いた混合基材のみを加圧成形したブランク試料について、補正対象元素とフッ素の蛍光X線の強度を測定し、フッ素の測定強度に対する補正対象元素の測定強度の強度比を求めておく。そして、粉末試料中の補正対象元素の含有率を求める際には、分析試料についてのフッ素の測定強度に前記強度比を乗じて不純線強度とし、分析試料についての補正対象元素の測定強度から前記不純線強度を差し引いて補正する。 第2構成の蛍光X線分析方法では、第1構成の試料処理方法で微量の粉末試料を処理するので、使用する混合基材には、ホウ素、炭素、窒素および酸素のうち少なくとも1つが、バインダーの成分として含まれているが、混合基材に含まれるフッ素からの蛍光X線の測定強度を利用した補正により、不純線の影響を除去できる。したがって、微量の粉末試料についてホウ素、炭素、窒素または酸素を分析対象元素とすることが可能となる。本発明の第1実施形態の試料処理方法により表面を押し固めた混合基材を示す側面図である。同方法により表面に粉末試料を載置した混合基材を示す側面図である。同方法により作製した分析試料を示す側面断面図である。本発明の第2実施形態の蛍光X線分析方法において用いるブランク試料を示す側面図である。同方法において用いる蛍光X線分析装置を示す概略図である。 以下、本発明の第1実施形態の試料処理方法について、図にしたがって説明する。この方法は、微量の粉末試料を蛍光X線分析するための試料処理方法であって、まず、図1に示すように、フッ化リチウム粉末からなる基材と、粉末のバインダーとを混合した約5gの混合基材3bを、周知の加圧成形機を用いて手動による低い圧力で予備加圧成形することにより、混合基材3bを例えば直径40mmの円板状に成形して、表面を押し固める。ここで、バインダーは、ホウ素、炭素、窒素および酸素のうちの少なくとも1つを含んでおり、例えばSpectro Blend (商品名。組成はC19H38ONで表される)であって、混合基材3bにおけるバインダーの含有率は、0wt%よりも大きく50wt%以下であり、20wt%以下が好ましく、例えば10wt%である。バインダーとしては、Spectro Blendの他に、例えば組成がC13H14O4またはH3BO3で表されるものであってもよく、基材と同様にフッ素を含むものであってもよい。 次に、図2に示すように、混合基材3bの押し固められた表面の中央に、例えば体積で耳掻き約1杯、重量で約7mgの粉末試料3aを載置する。そして、粉末試料3aが混合基材3bの内部(深さ方向)に分散しないように、予定される蛍光X線分析での測定範囲(例えば直径10mm)内で粉末試料3aを混合基材3bの表面上で広げて、例えば50〜100MPa の高い圧力で十分に加圧成形し、図3に示すように、混合基材3bと粉末試料3aとを一体化して円板状の分析試料3とする。このとき、粉末試料3aは薄い円板状に成形されつつ混合基材3bに埋没して、露出した部分が円形になり、その直径は例えば約4mmである。 第1実施形態の試料処理方法で使用する混合基材3bには、ホウ素、炭素、窒素および酸素のうち少なくとも1つが、バインダーの成分として含まれているが、後述するように、混合基材に含まれるフッ素からの蛍光X線の測定強度を利用した補正により、不純線の影響を除去できる。したがって、微量の粉末試料3aについてホウ素、炭素、窒素または酸素(これら4元素の任意の組合せを含む)を分析対象元素として蛍光X線分析を行うことが可能となる。 次に、本発明の第2実施形態の蛍光X線分析方法について説明するが、それにあたり、まず、同方法において用いる蛍光X線分析装置について説明する。図5に示すように、この装置は、分析試料3が載置される試料台8と、分析試料3に1次X線2を照射するX線管などのX線源1と、分析試料3から発生する蛍光X線4の強度を測定する検出手段9と、検出手段9での測定強度に基づいて分析試料3の一部となった粉末試料3a(図3)中の各元素の含有率を算出するコンピュータなどの算出手段10とを備えている。 検出手段9は、分析試料3から発生する蛍光X線4を分光する分光素子5と、分光された蛍光X線6ごとにその強度を測定する検出器7で構成される。なお、分光素子5を用いずに、エネルギー分解能の高い検出器を検出手段としてもよい。また、分析試料3に1次X線2を照射する際には、所定の寸法形状のマスク孔を有するマスクで分析試料3の表面を覆う等の周知技術により、分析試料3の一部となった粉末試料3a(図3)が露出している部分に集中的に照射するようにする。 第2実施形態の蛍光X線分析方法は、第1実施形態の試料処理方法で作製した分析試料3に対し、上述した蛍光X線分析装置を用いて、1次X線2を照射し、発生する蛍光X線4の強度を測定して、粉末試料3a中の各元素の含有率を求める蛍光X線分析方法であって、分析対象元素に、ホウ素、炭素、窒素および酸素のうちの少なくとも1つが含まれている。 この分析方法では、分析試料3の作製に用いたバインダーに含まれる、フッ素以外の元素を補正対象元素とする。この例では、Spectro Blend であるバインダーの主成分すなわち炭素を補正対象元素とする。また、あらかじめ、分析試料3の作製に用いた混合基材のみを例えば50〜100MPa の高い圧力で十分に加圧成形して、図4に示すような円板状のブランク試料13を作製し、上述した図5の蛍光X線分析装置を用いて、炭素(補正対象元素)とフッ素の蛍光X線4の強度をそれぞれ測定し、フッ素の測定強度IF0に対する炭素の測定強度IC0の強度比IC0/IF0をあらかじめ求めて算出手段10に記憶させておく。 そして、その蛍光X線分析装置を用いて、分析試料3について測定し、粉末試料3a中の炭素の含有率を求める際には、算出手段10によって、分析試料3についてのフッ素の測定強度IF に前記強度比IC0/IF0を乗じて不純線強度IC0・IF /IF0とし、分析試料3についての炭素の測定強度IC から前記不純線強度IC0・IF /IF0を差し引いて補正する。つまり、補正後の分析試料3についての炭素の測定強度ICAは、IC −IC0・IF /IF0で算出され、この補正後の測定強度ICAを分析試料3の一部となった粉末試料3aから発生した炭素の蛍光X線4の強度とし、分析試料3からの他の元素の蛍光X線4の測定強度と併せ用いて、粉末試料3a中の各元素の含有率を求める。 第2実施形態の蛍光X線分析方法では、第1実施形態の試料処理方法で微量の粉末試料3aを処理するので、使用する混合基材3bには、ホウ素、炭素、窒素および酸素のうち少なくとも1つが、バインダーの成分として含まれているが、上述したように、混合基材に含まれるフッ素からの蛍光X線4の測定強度IF0,IF を利用した補正により、不純線の影響を除去する。したがって、微量の粉末試料3aについてホウ素、炭素、窒素または酸素(これら4元素の任意の組合せを含む)を分析対象元素とすることが可能となる。2 1次X線3 分析試料3a 粉末試料3b 混合基材4 蛍光X線 微量の粉末試料を蛍光X線分析するために処理する方法であって、 フッ化リチウム粉末からなる基材と、ホウ素、炭素、窒素および酸素のうちの少なくとも1つを含む粉末のバインダーとを、バインダーの含有率が0wt%よりも大きく50wt%以下になるように混合した混合基材の表面を押し固め、 その混合基材の表面に粉末試料を載置して加圧成形し、混合基材と粉末試料とを一体化して分析試料とする試料処理方法。 請求項1に記載の試料処理方法で作製した分析試料に1次X線を照射し、発生する蛍光X線の強度を測定して、粉末試料中の各元素の含有率を求める蛍光X線分析方法であって、 分析対象元素に、ホウ素、炭素、窒素および酸素のうちの少なくとも1つが含まれており、 分析試料の作製に用いたバインダーに含まれる、フッ素以外の元素を補正対象元素とし、分析試料の作製に用いた混合基材のみを加圧成形したブランク試料について、補正対象元素とフッ素の蛍光X線の強度を測定し、フッ素の測定強度に対する補正対象元素の測定強度の強度比を求めておき、 粉末試料中の補正対象元素の含有率を求める際には、分析試料についてのフッ素の測定強度に前記強度比を乗じて不純線強度とし、分析試料についての補正対象元素の測定強度から前記不純線強度を差し引いて補正する蛍光X線分析方法。 【課題】微量の粉末試料についてホウ素、炭素、窒素または酸素を分析対象元素として蛍光X線分析を行うことを可能とする試料処理方法を提供する。【解決手段】微量の粉末試料3aを蛍光X線分析するための試料処理方法であって、フッ化リチウム粉末からなる基材と、ホウ素、炭素、窒素および酸素のうちの少なくとも1つを含む粉末のバインダーとを、バインダーの含有率が0wt%よりも大きく50wt%以下になるように混合した混合基材3bの表面を押し固め、その混合基材3bの表面に粉末試料3aを載置して加圧成形し、混合基材3bと粉末試料3aとを一体化して分析試料3とする。【選択図】図3