生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_簡易培地
出願番号:2012109758
年次:2013
IPC分類:C12N 1/00,C12Q 1/04,C12M 1/16,C12M 1/34


特許情報キャッシュ

三品 正俊 阿部 康次 寺本 彰 鎌田 英樹 JP 2013236553 公開特許公報(A) 20131128 2012109758 20120511 簡易培地 日水製薬株式会社 000226862 株式会社クラレ 000001085 国立大学法人信州大学 504180239 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 三品 正俊 阿部 康次 寺本 彰 鎌田 英樹 C12N 1/00 20060101AFI20131101BHJP C12Q 1/04 20060101ALI20131101BHJP C12M 1/16 20060101ALI20131101BHJP C12M 1/34 20060101ALI20131101BHJP JPC12N1/00 FC12Q1/04C12M1/16C12M1/34 B 8 OL 8 4B029 4B063 4B065 4B029AA03 4B029AA08 4B029BB02 4B029CC02 4B029CC07 4B029EA20 4B029FA01 4B029FA09 4B029GA01 4B029GB06 4B029GB09 4B029HA02 4B029HA04 4B063QA18 4B063QQ06 4B063QR69 4B063QS39 4B063QX01 4B065AA26X 4B065AA53X 4B065BB03 4B065BB15 4B065BB18 4B065BB24 4B065BB40 4B065BC31 4B065BC46 4B065CA46 本発明は、被検液を滴下し、そのまま培養することにより簡易に微生物の検出、固定等が可能な簡易培地及びこれを用いた微生物の検出方法に関する。 種々の微生物を検出、同定するための培地として、被検液を培地上に滴下し、該培地上で培養して検出できる簡易培地が数多く報告されている。例えば、防水性基体の上面部に、接着剤層、水可溶性ゲル化剤粉末層、繊維質吸水性シート等を順次積層した培地(特許文献1〜3)、濾紙等に菌体栄養成分を含浸させた培地(特許文献4)等がある。しかし、これらの培地には、製造上の問題や、コロニーの観察が容易にできない等の問題があった。 これに対し、(a)水及びアルコールに可溶な接着剤、(b)水に可溶でアルコールに不溶なゲル化剤、及び(c)菌体栄養成分を含有する培地組成物を、該ゲル化剤により大きいメッシュを有する繊維状吸水性シートに担持させた簡易培地(特許文献5)、多孔質マトリックス層と水溶性高分子化合物層を積層した積層物を有するシート状培地(特許文献6)が報告された。この培地は、被検液を滴下し、そのまま培養するだけで微生物のコロニーが容易に観察できることから、広く使用されている。特開昭57−502200号公報特開平3−15379号公報特開平6−181741号公報特開平2−65798号公報特開平9−19282公報特開2001−169772号公報 しかし、前記特許文献5及び6の簡易培地は、多孔質マトリックス層や繊維状吸水性シートを有するため、不透明であり、白色のコロニーの検出性が悪い、シート内のコロニーの検出性が悪い等の問題があった。 従って、本発明の課題は、簡易培地でありながら、透明で寒天培地と同様の使用感、コロニーの検出性を有する簡易培地を提供することにある。 そこで本発明者は、簡易培地の成分について種々検討した結果、防水性平板上に、水溶性高分子と菌体栄養成分と水溶性繊維片とを実質的に均一に含有する薄膜を形成すれば、被検水性液を滴下した時、該被検水性液が薄膜中に速やかに拡散するとともに、薄膜が透明になり、寒天培地と同様の使用性、検出性が得られることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、防水性平板の表面の少なくとも一部に、(a)水溶性高分子、(b)水溶性繊維片及び(c)菌体培養成分を実質的に均一に含有する薄膜を形成してなる簡易培地を提供するものである。 また、本発明は、上記の簡易培地の薄膜上に被検水性液を滴下した後培養し、該薄膜上に形成されるコロニーを検出することを特徴とする微生物の検出方法を提供するものである。 本発明の簡易培地を用いれば、被検水性液を培地の薄膜上に滴下するだけで、透明な薄膜培地となり、そのまま培養後に生成したコロニーを観察することが可能であり、コロニー検出、釣菌が容易である。また、コロニーの観察が容易となるため、検出精度も向上する。本発明簡易培地による大腸菌の検出を示す図である。本発明の簡易培地を用いた黄色ブドウ球菌の検出を示す図である。比較例1における、生理食塩水滴下後の状態を示す図である。(左から、未滴下、滴下30秒後、滴下1時間後) 本発明の簡易培地は、防水性平板の表面の少なくとも一部に、(a)水溶性高分子、(b)水溶性繊維片及び(c)菌体栄養成分を実質的に均一に含有する薄膜を形成してなる。 防水性平板は、プラスチック、ガラス等の防水性の材質の平板である。当該平板は、プラスチックシャーレであるのが好ましく、無色透明なプラスチックシャーレであるのが特に好ましい。 薄膜に含まれる(a)水溶性高分子としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸等の(a1)水及びアルコールに可溶な高分子;キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、カラギーナン等の水に可溶でアルコールに不溶な高分子が挙げられる。これらの水溶性高分子のうち、(a1)水及びアルコールに可溶な高分子と、(a2)水に可溶でアルコールに不溶な高分子を併用するのが、製造が簡便である点、培地性能保持の点から好ましい。(a1)水及びアルコールに可溶な高分子としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンオキサイドが好ましく、特にヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。(a2)水に可溶でアルコールに不溶な高分子としては、キサンタンガムが特に好ましい。ここでアルコールは、低級アルコールを意味し、特にメタノール、エタノール、イソプロパノールが好ましい。また水に可溶とは、1質量%以上水に溶解することを意味し、アルコールに可溶とは、1質量%以上アルコールに溶解することをいう。 (a)水溶性高分子の薄膜中の含有量は、被検水性液の薄膜への分散性、透明性、コロニー形成能の点から、測定時の濃度として0.1〜20質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましい。このうち、(a1)水及びアルコールに可溶な高分子の含有量は、薄膜中に測定時の濃度として0.05〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましい。また、(a2)水に可溶でアルコールに不溶な高分子の含有量は、薄膜中に測定時の濃度として0.1〜20質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましい。ここで測定時の濃度とは、簡易培地に所定量の被検水性液を添加したときの濃度をいう。 (b)水溶性繊維片としては、水溶性ポリマーの繊維片が好ましく、特にポリビニルアルコール系繊維片が、被検水性液滴下時の透明性、拡散性の点から好ましい。(b)水溶性繊維片は、被検水性液滴下前は薄膜中に均一に分散しているが、被検水性液滴下時に徐々に水に溶解して薄膜を透明にし、かつ薄膜中に被検水性液を毛細管現象によって速やかに拡散させる作用を有し、さらに被検水性液中に存在する微生物が増殖する際の足場となる。当該(b)水溶性繊維片が薄膜中に均一に分散していることにより、被検水性液を滴下した時に、被検水性液が薄膜に速やかに拡散し、かつ薄膜が透明となり、被検水性液中の微生物が増殖した時に良好なコロニーが形成されやすくなる。ここで、透明とは、約400〜700nmの波長の光に対する無色透明のガラスの光透過率を100%としたときに、80%以上が透過することをいう。 (b)水溶性繊維片は、被検水性液滴下時の透明性の点から、直径1〜100μm、長さ0.1〜5mm、アスペクト比10〜150の水溶性ポリマー繊維であるのが好ましい。さらに直径1〜50μm、長さ0.1〜3mm、アスペクト比10〜150が好ましく、さらに直径1〜50μm、長さ0.1〜2mm、アスペクト比20〜100が好ましい。さらに好ましくは、直径1〜50μm、長さ0.2〜0.8mm、アスペクト比20〜100のポリビニルアルコール系繊維片である。 (b)水溶性繊維片の含有量は、検出しようとする微生物に対する栄養成分量が異なるため大きく異なるが、被検水性液滴下時の透明性及び拡散性の点から、薄膜中に測定時の濃度として0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.1〜4質量%がさらに好ましい。 (c)菌体栄養成分としては、検出しようとする微生物の生育に適し、水可溶性の成分であれば特に限定されないが、一般的な栄養培地成分が用いられる。そのような栄養成分としては、ペプトン、酵母エキス、ブドウ糖、無機塩等が挙げられる。 前記薄膜中には、前記成分(a)〜(c)が実質的に均一に分散しているのが、被検水性液滴下時の透明性の確保及び拡散性の点から好ましい。ここで実質的に均一に分散しているとは薄膜中に、前記成分が層を形成したりせずに、略均一に分散して含まれていることをいう。 本発明の簡易培地は、例えば成分(a)〜(c)を含有するアルコール懸濁液を作製し、これを防水性平板上に分注し、均一に拡散、乾燥後、滅菌することにより製造することができる。アルコール懸濁液中の各成分の濃度は、各成分の薄膜中の濃度を考慮して決定すればよい。得られた簡易培地の表面は、フイルムで覆うか、フタをするのが好ましい。 本発明の簡易培地を用いて微生物を検出するには、薄膜上に被検水性液を滴下後培養し、該薄膜上に形成されるコロニーを検出すればよい。被検水性液を滴下すると、被検水性液が毛細管現象によって容易に拡散し、薄膜は透明になり、それに続いて水溶性高分子のゲル化が起こって、被検水性液中の微生物は捕捉され、自由移動が抑制され、培養によってコロニーが形成される。従って、薄膜を観察すれば、形成したコロニーが容易に観察できる。試料を定量的に簡易培地へ接種すれば、培養後出現したコロニーを計測することにより、容易に菌数を算定することができる。 なお、菌体液の接種は通常ピペット等により一定量を接種する方法が採用されるが、水分の多い個体へスタンプする方法や試料液へ浸す方法でもよい。また、被検液接種後の培養は、静置して行っても、また輸送期間中に行ってもよい。実施例1 ペプトン10g、エキス末10g、ブドウ糖2g、ピルビン酸ナトリウム2.5g、塩化ナトリウム8g、リン酸2水素カリウム3.6g、リン酸水素2ナトリウム7.2g、キサンタンガム70g、ポリビニルアルコール系繊維片(直径13〜15μm、長さ約0.5mm、アスペクト比33〜38)6.6g及びヒドロキシプロピルセルロース2gをエタノール1.0Lに懸濁し良く攪拌した。このエタノール懸濁液を1.0mLずつプラスチック製防水性平板(50mmφ)に分注し、均一に拡散・乾燥後、γ線で滅菌し簡易培地を調製した。 大腸菌及び黄色ブドウ球菌をSCD寒天培地にて35℃で20時間培養後、滅菌生理食塩水にマックファーランド0.5(1.5×108cfu/mL相当)に菌液を調製した。滅菌生理食塩水でマックファーランド0.5菌液より10倍希釈系列を作製し、その10-5〜10-8希釈液のそれぞれ1mLずつを本簡易培地に接種した。対照法として、10-5〜10-8希釈液のそれぞれ0.1mLずつをSCD寒天培地に滴下し滅菌コンラージ棒にて培地全体に菌液を分散接種した。35℃で24時間培養後、それぞれの希釈段階における菌数を測定し、対照法については得られたコロニー数に10を乗じて菌数とした。対照と比較したところ同等の発育性能を有していることが確認された。実施例2 実施例1における培地調製に準じ、ポリビニルアルコール系繊維片(直径13〜15μm)の繊維長及び添加量を変えて調製し、影響について検討した。 繊維長約0.5mm(アスペクト比33〜38)、約1mm(アスペクト比67〜77)、約3mm(アスペクト比200〜230)の繊維片それぞれについて添加量を測定時濃度として1.7質量%、3.3質量%、6.6質量%になるように培地を調製した。 培地調製の可否、培地分注時培地液拡散性、乾燥後の生理食塩水の拡散性を評価した結果、アスペクト比150以下、好ましくはアスペクト比100以下で培地調製が可能であった。 繊維長0.5mmで繊維片添加量6.6質量%では懸濁物質が全体に行き渡らず、液性成分のみが周囲に拡散した。添加量が5質量%以下になると全体へ拡散した。実施例3 実施例1における培地調製に準じ、ヒドロキシプロピルセルロースの濃度0.1質量%及び0.2質量%、培地液分注量を0.9mL、1mL、1.2mL、1.4mLと変えた培地を調製し、培地液拡散性及び乾燥後の生理食塩水の拡散性についてへの影響について検討した。 ヒドロキシプロピルセルロースの濃度0.2質量%、培地分注量は1.2〜1.4mLで良好に拡散した。比較例1 実施例1における培地調製に準じ、ポリビニルアルコール系繊維片を添加せずに培地を調製し、分注、乾燥後、γ線滅菌した。 得られた簡易培地に、生理食塩水を滴下したところ拡散性が悪く、全面に均一に拡散しなかった(図3)。 防水性平板の表面の少なくとも一部に、(a)水溶性高分子、(b)水溶性繊維片及び(c)菌体培養成分を実質的に均一に含有する薄膜を形成してなる簡易培地。 (b)水溶性繊維片が、水溶性ポリマー繊維片である請求項1記載の簡易培地。 (b)水溶性繊維片が、直径1〜100μm、長さ0.1〜5mm、アスペクト比10〜150の水溶性ポリマー繊維片である請求項1又は2記載の簡易培地。 (b)水溶性繊維片が、ポリビニルアルコール系繊維片である請求項1〜3のいずれか1項記載の簡易培地。 (b)水溶性繊維片の含有量が、薄膜中に0.1〜10質量%である請求項1〜4のいずれか1項記載の簡易培地。 (a)水溶性高分子の含有量が、薄膜中に0.1〜20質量%である請求項1〜5のいずれか1項記載の簡易培地。 薄膜上に被検水性液を滴下した時、該水性液が薄膜中に拡散し、薄膜が透明になる請求項1〜6のいずれか1項記載の簡易培地。 請求項1〜7のいずれか1項記載の簡易培地の薄膜上に被検水性液を滴下した後培養し、該薄膜上に形成されるコロニーを検出することを特徴とする微生物の検出方法。 【課題】簡易培地でありながら、透明で寒天培地と同様の使用感、コロニーの検出性を有する簡易培地を提供する。【解決手段】防水性平板の表面の少なくとも一部に、(a)水溶性高分子、(b)水溶性繊維片及び(c)菌体培養成分を実質的に均一に含有する薄膜を形成してなる簡易培地。【選択図】なし


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