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タイトル:公開特許公報(A)_1−オクタンスルホン酸ナトリウムの製造方法
出願番号:2012101761
年次:2013
IPC分類:C07C 303/32,C07C 309/04,H01L 31/04


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森 博志 山本 博将 佐藤 誠 村田 昭子 岸 真由美 人見 達矢 JP 2013227262 公開特許公報(A) 20131107 2012101761 20120426 1−オクタンスルホン酸ナトリウムの製造方法 株式会社トクヤマ 000003182 森 博志 山本 博将 佐藤 誠 村田 昭子 岸 真由美 人見 達矢 C07C 303/32 20060101AFI20131011BHJP C07C 309/04 20060101ALI20131011BHJP H01L 31/04 20060101ALI20131011BHJP JPC07C303/32C07C309/04H01L31/04 H 5 OL 16 4H006 5F151 4H006AA02 4H006AA03 4H006AB99 4H006AC61 5F151CB21 5F151GA04 5F151GA15 本発明は、1−オクタンスルホン酸ナトリウムの製造方法に関する。特にシリコン基板用テクスチャー剤に好適に配合できる純度の高い1−オクタンスルホン酸ナトリウムの新規な製造方法に関する。 近年、結晶系シリコン太陽電池等に用いられるシリコン基板は、太陽電池の効率を高めるために、基板表面に凹凸構造(例えば、ピラミッド状の微細な凹凸構造)を形成させ、表面からの入射光を効率良く基板内部に取り込む方法が用いられている。これらの凹凸構造は、「テクスチャー」と呼ばれている。入射光をより効率よく基板内部に取り込み、光電変換効率をより向上させるためには、該凹凸構造を有する基板面の光反射率をより低くすることが望まれている。 このようなテクスチャーを基板表面に形成する方法として、従来、単結晶シリコン基板表面に、塩基性水溶液に添加剤を加えたテクスチャー形成剤を接触させて異方性エッチング処理を行い、ピラミッド状(四角錐状)の微細な凹凸構造(テクスチャー)を形成する方法が知られている。そして、添加剤として、イソプロピルアルコールや脂肪族カルボン酸が使用されている(例えば、非特許文献1、特許文献1参照)。しかしながら、これら方法によれば一定の効果は得られるものの、基板表面に形成された凹凸構造にむらが生じてしまい、外観不良の原因となる他、基板表面において光反射率が十分に低減されない箇所が発生して光電変換効率を向上させることが困難であるという問題があった。また、添加物の揮発等による液組成の変動を防ぐため厳密な管理が必要とされることから、基板の製造コストを低減する上で障害となっていた。そのため、シリコン基板に対して凹凸構造のむらがなく、均一にテクスチャーを形成することができ、且つ煩雑な管理を必要としないテクスチャー形成剤の開発が望まれていた。 このような要求に応えるテクスチャー形成剤として、本出願人は、特定のアルキルスルホン酸アニオンを与える添加剤を溶解した塩基性水溶液からなるテクスチャー形成剤を提案している(国際出願第PCT/JP2011/068792号)。上記特定のアルキルスルホン酸アニオンは、シリコン基板表面に均―に分散して吸着し易く、その吸着点を起点にシリコン基板表面を均一にエッチングすることができ、さらに従来の添加剤と比較してシリコン基板の表面から汚れを除去する能力が高い。そのため、上記特定のアルキルスルホン酸アニオンを用いたテクスチャー形成剤は、表面に更に均―なピラミッド状凹凸構造を有し、かつ、表面の光反射率が更に低減されたシリコン基板を得ることができるものであって、優れたテクスチャー形成効果を有するものである。 また、上記テクスチャー形成剤においては、特定のアルキルスルホン酸アニオンとして1−オクタンスルホン酸ナトリウムが好適に使用されており、上記1−オクタンスルホン酸ナトリウムの合成法としては、1−オクチルハライドと亜硫酸ナトリウムとを加圧条件下または大気圧下にて、高温で反応させる方法が知られている(特許文献2、非特許文献1および2参照)。この方法によって得られる1−オクタンスルホン酸ナトリウムを使用したテクスチャー形成用組成物によれば、シリコン基板表面に良好なテクスチャー構造を形成することができる。特開2002−571339号公報中国特許第101429664号明細書Progress in Photovoltaics:esearch and Applications, Vol.4, 435−438(1996).Journal of the American Chemical Society Vol.157 570−571(1935).Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 14, 5145−5149(2004). しかしながら、該テクスチャー形成組成物について本発明者等が検討したところ、1−オクタンスルホン酸ナトリウムの製造ロットによって、テクスチャー形成用組成物の性質および効果が異なり、所期の効果を有する組成物が安定的に得られないという新たな問題があることが明らかになった。 本発明者等は、1−オクタンスルホン酸ナトリウムの純度が安定していないことにより上記問題が発生するのではないかと考え、安定して高純度の1−オクタンスルホン酸ナトリウムを得ることができる精製方法について種々検討した。その結果、通常の分析方法による純度確認においては上記要求を満足する精製方法を確立し、テクスチャー形成用組成物の性能についても一定の効果を得ることはできたが、その効果は必ずしも満足のいくものではなかった。 したがって、本発明は、1−オクタンスルホン酸ナトリウムを添加したテクスチャー形成剤であって、高いテクスチャー形成能を安定して発揮することのできるテクスチャー形成剤を提供すること、および当該テクスチャー形成剤に好適に使用できる1−オクタンスルホン酸ナトリウムを再現性よく安定して製造することができる方法を提供することを目的とする。 本発明者等は、独自に開発した上記精製方法を施した1−オクタンスルホン酸ナトリウムを使用したテクスチャー形成用組成物の性能が十分に安定しない原因は、通常の分析方法では検出されない何らかの不純物(現在のところ、その構造は確認できていない。)がテクスチャー形成能に悪影響を与え、上記精製方法を適用した場合には当該不純物を完全に取り除くことができず、その含有量が変動していることにあるのではないかと考えた。そして、上記不純物は精製による除去が困難であることから、発想を転換し、そのような不純物を生成させずに1−オクタンスルホン酸ナトリウムを製造する方法について鋭意検討を行った。 その結果、1−オクチルハライドと亜硫酸ナトリウムとを水溶媒中にて反応させて1−オクタンスルホン酸ナトリウムを製造する方法において、該反応を大気圧下で行うと共に特定の単離方法を採用して得られた1−オクタンスルホン酸ナトリウムを使用した場合には、製造ロット間のバラつきが極めて少なく、再現性よく優れたテクスチャー形成効果を有するテクスチャー形成用組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、第一の本発明は、1−オクチルハライドと亜硫酸ナトリウムとを水溶媒中にて大気圧下で反応させる反応工程、該反応工程で得られた反応液から、水溶媒を除去して不純物を含む1−オクタンスルホン酸ナトリウムの粗体を得る粗体分離工程、炭素数1〜5のアルコール又は水溶性有機溶媒と水との混合溶媒からなる溶媒と該粗体とを混合して該粗体中の1−オクタンスルホン酸ナトリウムを溶解させると共に得られた混合物から前記溶媒に不溶な不純物成分を除去する不溶性不純物除去工程、及び当該不溶性不純物除去工程で得られた前記溶媒に不溶な不純物成分が除去された溶液から1−オクタンスルホン酸ナトリウムを分離する精製物分離工程を含んでなることを特徴とする1−オクタンスルホン酸ナトリウムの製造方法である。 上記第一の本発明においては、前記粗体と前記溶媒と混合する前に、1−オクタンスルホン酸ナトリウムに対して不溶性又は難溶性の有機溶媒で前記粗体を洗浄することが好ましい。 第二の本発明は、第一の本発明の方法により得られた1−オクタンスルホン酸ナトリウムと、塩基性水溶液とを混合することを特徴とするテクスチャー形成剤の製造方法である。 第一の本発明によれば、高純度の1−オクタンスルホン酸ナトリウムを温和な条件下、短時間かつ高収率で得ることができる。さらに、第二の本発明によれば、良好なテクスチャー効果を発揮するテクスチャー形成剤を再現性よく得ることができる。本図は、比較例8で得られた1−オクタンスルホン酸ナトリウムをガスクロマトグラフィー分析したときに得られたチャートである。本図は、比較例9で得られた1−オクタンスルホン酸ナトリウムをガスクロマトグラフィー分析したときに得られたチャートである。 以下、第一の本発明について工程ごとに詳しく説明する。 (反応工程) 反応工程では、1−オクチルハライドと亜硫酸ナトリウムとを水溶媒中にて大気圧下で反応させる。 該反応工程において使用される1−オクチルハライドは特に制限されず、公知のものが使用できるが、反応性の点から1−オクチルブロマイドを使用することが好ましい。また、亜硫酸ナトリウムは特に制限されず市販のものを使用することができ、水溶媒についても特に制限されず、蒸留水や水道水などを使用することができる。 また、反応工程において使用される1−オクチルハライドと亜硫酸ナトリウムの使用量は特に制限されるものではないが、反応性を考慮すると1−オクチルハライド1.0モルに対して、亜硫酸ナトリウムを0.8〜1.5モルとすることが好ましく、1.0〜1.2モルとすることがより好ましい。 反応工程においては、1−オクチルハライド、亜硫酸ナトリウム、水溶媒を混合して反応させればよく、これらを添加、混合する順序は制限されるものではない。また、混合する方法は特に制限されず、適宜装置などを用いて攪拌するなどして混合することができる。 本発明の反応工程は、大気圧下にて行われる。大気圧下で反応を行うことによって、従来知られていた加圧下での反応と比べて、不純物の生成を大幅に抑制することができ、高純度の1−オクタンスルホン酸ナトリウムを安定的に得ることが可能となる。 また、反応工程における反応は、加熱して行うことが好ましい。反応温度としては、転化率および1−オクタンスルホン酸ナトリウムの純度の点から85〜105℃が好ましく、90〜99℃がより好ましい。反応時間は、特に制限されるものではないが、通常10〜100時間の範囲で行われる。 さらに、反応工程における反応は、不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。不活性ガスは特に制限されるものではなく、窒素ガス、アルゴンガスなど一般的に用いられる不活性ガスから選択することができる。不活性ガス雰囲気下とする方法は特に制限されず、反応系に不活性ガスを連続して通気して置換する方法や、反応系を真空状態にしてから不活性ガスを通気して置換する方法などを適宜採用することができる。このように、反応工程を不活性ガス雰囲気下で実施することにより、酸化による不純物の生成が抑制され、不純物量が低減した1−オクタンスルホン酸ナトリウムを得ることができる。また、不活性ガス雰囲気下は、閉鎖系ではなく、ガスを連続して通気している系であることが好ましい。これにより、揮発性不純物が除去され易くなり、これらの不純物由来の不純物の生成が抑制される。 このような不活性ガス雰囲気下で反応を行うことによる効果は、反応工程における条件の影響を見るために(不溶性不純物除去工程を省略して)行った後述する比較例8および9の結果を対比することによって確認することができる。すなわち、窒素ガスを連続して通気下で反応を行った反応液から得られた1−オクタンスルホン酸ナトリウム(比較例9)のガスクロマトグラフィー分析結果を図1に、大気雰囲気中で反応を行った反応液から得られた1−オクタンスルホン酸ナトリウム(比較例9)のガスクロマトグラフィー分析結果を図2にそれぞれ示すが、図1では図2で見られる分子量の不純物に起因するピークが観測されず、これら不純物の生成が抑制されていることがわかる。 本発明の反応工程で得られた反応液は、水溶媒及び1−オクタンスルホン酸ナトリウムの他、未反応の亜硫酸ナトリウムまたは副生するハロゲン化ナトリウムなどの無機不純物、及び副生物などの有機不純物を含む。 (粗体分離工程) 粗体分離工程では、前記反応工程で得られた反応液から、水溶媒を除去して不純物を含む1−オクタンスルホン酸ナトリウムの粗体を得る。ここで、粗体に含まれる不純物としては上記無機不純物及び有機不純物である。 前記反応液から水溶媒を除去して前記粗体を得る方法としては、反応液から溶媒を留去することによって上記粗体を固体化させる方法又は反応工程で得られた反応液から上記粗体を析出させる方法などが好適に採用できる。 前者の方法、即ち反応液から溶媒を留去することによって粗体を固体化させる方法によれば、反応液から水および揮発性の不純物は除去されるが、それ以外の成分は固体化され、目的物である1−オクタンスルホン酸ナトリウムのロスはないものの、特に大量に副生するハロゲン化ナトリウムは全く除去されないため、該方法によって得られる粗体(以下、第一粗体ともいう。)は多量の無機不純物を含むものとなる。これに対し、後者の方法、即ち反応工程で得られた反応液から粗体を析出させる方法を採用した場合には、目的物である1−オクタンスルホン酸ナトリウムを全量析出させることは困難であるが、粗体析出時において水溶性の不純物、特に大量に副生するハロゲン化ナトリウムの大部分は水に溶解しているので得られる粗体(以下、第二粗体ともいう。)は。第一粗体に比べてこれら不純物の含有量は大幅に少ないものとなっている。 上記第一粗体を得る方法では、溶媒を留去する方法として、常圧濃縮、減圧濃縮などの方法も採用することができる。反応溶媒の濃縮量は、特に制限されるものではないが、収率の点で、反応工程で使用した水溶媒の量の70質量%以上を濃縮することが好ましい。また、濃縮操作を行った後で、水を共沸除去できる溶媒を加えて、共沸処理を実施し、さらに水溶媒の量を減らすこともできる。 また、上記第二粗体を得る方法において粗体を析出させる方法としては、反応液を冷却する方法が好適に採用される。このとき析出させる温度は、収率の観点から2〜20℃の範囲で行うことが好ましく、5〜10℃の範囲で行うことがより好ましい。析出した上記第二粗体を反応溶液から分離する方法としては、デカンテーション、ろ過、遠心分離などの方法を採用することができる。 粗体分離工程で得られた粗体(たとえば第一粗体又は第二粗体)は、そのまま不溶性不純物除去工程に供しても良い。しかしながら、該粗体に含まれる有機不純物の少なくとも一部を除去でき、最終的により高純度の1−オクタンスルホン酸ナトリウムを得ることができるという理由から、不溶性不純物除去工程を行う前に、以下に説明する粗体洗浄工程を行うことが好ましい。 (粗体洗浄工程) 粗体洗浄工程では、粗体分離工程で得られた粗体を、1−オクタンスルホン酸ナトリウムに対して不溶性又は難溶性の有機溶媒(以下、洗浄溶媒ともいう。)で洗浄する。洗浄溶媒は、1−オクタンスルホン酸ナトリウムに対して不溶性又は難溶性の有機溶媒であるので、粗体を該洗浄溶媒で洗浄することにより、粗体中の目的物である1−オクタンスルホン酸ナトリウムを殆どロスすることなく該洗浄溶媒に可溶な不純物のみを選択的に除去することができる。洗浄溶媒としては、ケトン類、エーテル類、炭素数5〜8の炭化水素などを好適に使用することができる。これら溶媒を具体的に例示すれば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、石油エーテル、ヘキサン、へプタン、ペンタンなどを挙げることができる。これらの中でも、有機不純物を除去する効果に優れることから、ヘキサン、ヘプタン、アセトンを使用することが好ましい。上記洗浄溶媒の使用量は、その種類により適宜決定すればよいが、回収率などを考慮すると、粗体100質量部に対して300〜1000質量部の範囲であることが好ましい。 粗体の洗浄は、粗体と上記洗浄溶媒とを混合した後に、洗浄溶媒に不溶な固体成分を回収することにより好適に行うことができる。上記混合に際しては、混合液を攪拌してスラリー状態とすることが好ましく、このときの液温は10〜30℃とすることが好ましい。また、攪拌時間は、反応容器の種類、反応容器の攪拌効率、使用する有機溶媒の種類、使用量により適宜決定すればよいが、通常、1〜10時間であればよい。 上記スラリーから、洗浄溶媒に不溶な固体成分(以下、洗浄粗体ともいう。)を分離・回収する方法としては、デカンテーション、ろ過、遠心分離などの固液分離法が特に限定なく使用できる。 (不溶性不純物除去工程) 不溶性不純物除去工程では、炭素数1〜5のアルコール又は水溶性有機溶媒と水との混合溶媒からなる溶媒と、粗体(たとえば第一粗体或いは第二粗体)又は洗浄粗体と、を混合して該粗体中の1−オクタンスルホン酸ナトリウムを溶解させると共に得られた混合物から前記溶媒に不溶な不純物成分を除去する。 不溶性不純物除去工程で使用する上記溶媒は、1−オクタンスルホン酸ナトリウムが溶解は溶解するが不純物を溶解し難いという性質を有するため、本工程により粗体又は洗浄粗体中の不純物量を効率的に低減することができ、後段の精製物分離工程において、高純度の1−オクタンスルホン酸ナトリウムを効率よく得ることが可能となる。 不溶性不純物除去工程で使用する溶媒として、炭素数1〜5のアルコールを使用する場合には、純度が99.5質量%以上のものを使用することが好ましい。また、溶媒として前記混合溶媒使用する場合における水溶性有機溶媒としては、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフランなどを挙げることができる。また、前記混合溶媒における水溶性有機溶媒と水との混合割合は、使用する水溶性有機溶媒の種類により適宜決定すればよいが、通常、水100質量部に対して、上記水溶性有機溶媒を300〜1900質量部とすることが好ましく、特に上記水溶性有機溶媒としてアセトンを使用する場合には、水100質量部に対して、アセトンを400〜900質量部とすることがより好ましい。この範囲を満足することによって、混合溶媒の使用量を低減され、且つ、効率よく有機不純物を低減することが可能となる。本工程においては、1−オクタンスルホン酸ナトリウムの収率および純度の点で、溶媒としては炭素数1〜5のアルコール、または水とアセトンの混合溶媒を選択することが好ましく、メタノール、エタノール、または水とアセトンの混合溶媒を使用することがより好ましい。さらに前記第一粗体をそのまま本工程に用いる場合には、該第一粗体に多量含まれるハロゲン化ナトリウムなどの無機不純物を効率よく分離できるという理由から、溶媒としてはメタノール及び/又はエタノールを選択することが好ましい。 不溶性不純物除去工程において、粗体又は洗浄粗体を前記溶媒と混合に際しては1−オクタンスルホン酸ナトリウムの溶解を促進するために攪拌を行うことが好ましい。また、このときの温度は、特に制限されるものではないが、1−オクタンスルホン酸ナトリウムを溶解させるためにはより高いことが好ましく、用いる溶媒(混合溶媒の場合は、水溶性有機溶媒を基準とする)の沸点よりも5〜15℃低い温度とすることが好ましく、上記沸点よりも5〜10℃低い温度とすることがより好ましい。このような温度範囲で10分〜1時間、攪拌下保持することにより、粗体又は洗浄粗体中の1−オクタンスルホン酸ナトリウムをほぼ完全に溶解させることができる。 不溶性不純物除去工程において1−オクタンスルホン酸ナトリウムが溶解した溶液と、前記溶媒に不溶な不純物成分と、の分離には、公知の固液分離法により液体成分を回収する方法が特に限定なく使用できるが、上記不純物成分の除去を行う前に1−オクタンスルホン酸ナトリウムが析出するのを防止するという観点から、溶液の温度を低下させずに固液分離し、液体成分を回収することが好ましい。このような方法としては、溶解後の溶液をそのまま熱時ろ過し、ろ液を回収する方法を挙げることができる。この際、ろ過の効率を向上させる目的で、セライト、ラヂオライトなどのろ過助剤を使用することもできる。このような方法で回収された液体成分(1−オクタンスルホン酸ナトリウムが溶解した溶液)は、前記溶媒に不溶な不純物成分が分離除去されているので、該溶液から高純度の1−オクタンスルホン酸ナトリウムを効率よく結晶化させることが可能となる。 (精製物分離工程) 精製物分離工程では、前記不溶性不純物除去工程で分離・回収された前記溶液から1−オクタンスルホン酸ナトリウムを分離する。1−オクタンスルホン酸ナトリウムを分離する方法としては、前記溶液溶媒を留去することによって1−オクタンスルホン酸ナトリウムを固体化させて分離する方法又は溶液から1−オクタンスルホン酸ナトリウム結晶化させて分離する方法などが好適に採用できる。1−オクタンスルホン酸ナトリウムをより高純度で取得する為には、1−オクタンスルホン酸ナトリウムを結晶化させて分離する方法を採用することが好ましい。溶液から1−オクタンスルホン酸ナトリウムの結晶を析出させる方法としては、所謂晶析法が特に制限なく採用できる。これら方法としては、例えば、溶液を冷却することにより結晶を析出させる方法、或いは溶液に貧溶媒を添加することにより結晶を析出される方法などを挙げることができる。前者の方法を採用する場合には、結晶化させる温度は、用いる溶媒の種類により適宜決定すれば良いが、通常0〜30℃の範囲で行うことが好ましく、10〜20℃で行うことがより好ましい。また、結晶を析出させる際には、種結晶を加えることもできる。析出した結晶は、デカンテーション、ろ過、遠心分離などの方法により分離・回収すればよい。 回収された1−オクタンスルホン酸ナトリウムは、前記における溶媒と同種の溶媒を用いて洗浄することが好ましい。さらに、該溶媒を用いて再結晶を繰り返し行うことによって、より高純度の1−オクタンスルホン酸ナトリウムを得ることもできる。 精製物分離工程で分離・回収された1−オクタンスルホン酸ナトリウムは、純度が高く、おそらく該方法によりテクスチャー形成能に悪影響を与える不純物の含有量も極めて少なくなっていることによると思われるが、シリコン基板用テクスチャー形成剤の添加剤として使用したときに、安定して高い添加効果を発揮することができる。即ち、本発明の方法で得られる1−オクタンスルホン酸ナトリウムは、シリコン基板用テクスチャー形成剤の添加剤として好適に使用される。以下、本発明の方法で得られる1−オクタンスルホン酸ナトリウムを用いたテクスチャー形成剤の製造方法について説明する。 (テクスチャー形成剤の製造方法) 本発明の方法で得られる1−オクタンスルホン酸ナトリウムを用いたテクスチャー形成剤を製造するためには、前記した本発明の方法により1−オクタンスルホン酸ナトリウムを製造し、前記精製物分離工程で分離・回収された1−オクタンスルホン酸ナトリウムと、塩基性水溶液とを混合すればよい。 このとき、塩基性水溶液としては、従来のテクスチャー形成剤で使用される塩基の水溶液が特に制限なく使用できる。このような塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの無機塩基;テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、またはテトラブチルアンモニウムハイドロオキサイドなどの第4級アンモニウム化合物などの有機塩基が挙げられる。この内、シリコンのエッチング速度やテクスチャー形成効果を考慮すると、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、TMAHが特に好ましい。 本発明の方法で使用するこれら塩基の水溶液における塩基と水の量比も従来のテクスチャー形成剤で使用される塩基の水溶液と特に変わる点はなく、好ましい量比は水100質量部に対して塩基0.3〜15質量部である。また、前記水溶液における水100質量部に対して前記1−オクタンスルホン酸ナトリウム0.001〜10質量部を混合することが好ましい。 本発明の製造方法では、均一な溶液からなるテクスチャー形成剤を得ることができるという理由から、炭素数6〜14のアルコールを更に混合することが好ましい。更に、任意成分として、ケイ酸塩、消泡剤、その他の添加成分等を添加しても良い。ケイ酸塩を混合することにより、本発明のテクスチャー形成剤を複数回バッチ方式で使用した際に得られるシリコン基板のテクスチャー形成効果においてバッチ間のばらつきを抑制し、特に初期バッチから高いテクスチャー形成効果を有するシリコン基板をより安定的に得ることができる。本発明においてケイ酸塩を用いる場合、その種類は特に限定されないが、製造の効率性の点からメタケイ酸ナトリウムやケイ酸ソーダ等を用いることが好ましく、水100質量部に対してケイ酸塩を0.1〜10.0質量部とすることが好ましい。また、消泡剤は水の表面張力を低下させて泡の発生を抑制する作用や生じた泡を破壊する作用を有するものであればよく、消泡剤を用いる場合は、水100質量部に対して消泡剤を0.01〜5.0質量部とすることが好ましい。その他の添加成分としては、本発明の効果を阻害しない範囲で通常のテクスチャー形成剤に使用される公知の添加剤や有機溶媒を用いることができ、具体的には、テトラヒドロフランやアセトン等の水溶性有機溶剤等が挙げられる。その他の添加成分の量は、水100質量部に対して5質量部以下とすることが好ましく、3質量部以下とすることがより好ましい。 これら成分を混合する方法は、特に制限されるものではなく、所定濃度の塩基性水溶液に所定量の1−オクタンスルホン酸ナトリウムを添加し、溶解させる方法を採用することができる。また、所定濃度の1−オクタンスルホン酸ナトリウムの水溶液や、所定濃度の炭素数6〜14のアルコール水溶液を予め調製しておき、これらに所定量の塩基を添加し、溶解させる方法も採用できる。さらに、所定濃度の塩基性水溶液と所定濃度の1−オクタンスルホン酸ナトリウムの水溶液、所定濃度の炭素数6〜14のアルコール水溶液とを混合する方法を採用することもできる。 このようにして製造されたテクスチャー形成剤はシリコン基板と公知の方法によって接触させることにより、該基板表面にテクスチャー構造を形成することができる。しかも、該テクスチャー形成剤は、良好なテクスチャー形成効果を安定的に発揮することができる。すなわち、該テクスチャー形成剤は、後述するエッチング量(テクスチャーの均一性を示す指標である)の値が8.0μm以下であり、該テクスチャー形成剤により処理されたシリコン基板の表面は、波長700nmの光に対する光反射率が13.0%以下、更には11.0%以下という低い光反射率を示し、表面からの入射光を効率良く基板内部に取り込むことができる。したがって、該テクスチャー形成剤により処理されたシリコン基板を、結晶系シリコン太陽電池等に使用することによって、高効率の太陽電池を製造することが可能となる。 以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。 なお、実施例、比較例および参考例で得られた1−オクタンスルホン酸ナトリウムの純度測定、有機不純物の含有量測定、テクスチャー形成効果の評価、反射率の測定、並びにエッチング量の測定は、以下のように行った。 <1−オクタンスルホン酸ナトリウムの純度測定>測定方法:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置:島津製作所製 型式/SIL10AF−LC20AD−CTO10A−SPDM20A検出器:蒸発光散乱法(ELSD) SofTA社製 型式/400ELSDカラム:東ソー株式会社製 商品名 TSKgel ODS−100V、内径4.6mm、長さ15cm(粒子径5μm)カラム温度:40℃ 一定温度サンプル温度:25℃ 一定温度注入量:2.0μl移動相A:アセトニトリル移動相B:10mM酢酸アンモニウム水溶液測定条件:グラジエント(0〜30分において、A:20%→100%、B:80%→0% とする。)流量:1.0ml/分測定時間:30分 上記条件において、1−オクタンスルホン酸ナトリウムは約8.0分にピークが確認される。以下の実施例、および比較例における1−オクタンスルホン酸ナトリウムの純度は、実施例1で取得した1−オクタンスルホン酸ナトリウムを純度100%の標準サンプルとして作成した検量線をもとに算出した値である。 <有機不純物の含有量測定>測定方法:ガスクロマトグラフィー(GC)装置:島津製作所製 GC−2010 Plus検出器:水素炎イオン化検出器(FID)カラム:アジレント・テクノロジー社製 DB−1(ID:0.25mm×30mm、膜厚:0.25μm)キャリアーガス:He昇温パターン:50℃→300℃昇温速度:20℃/minスプリット比:100/1測定時間:35分 上記条件によって、1−オクタンスルホン酸に含まれる分子量80〜600の有機不純物の検出の有無を確認した。 <テクスチャー形成効果の評価> 約80℃に加熱したテクスチャー形成剤に、基板表面の面方位が(100)である単結晶シリコン基板を30分間浸漬した。所定時間後、シリコン基板を該テクスチャー形成剤から取り出し、基板表面を純水で洗浄し、乾燥させて、テクスチャー形成基板を得た。得られたテクスチャー形成基板について、下記の通り、反射率およびエッチング量を測定し、反射率が13.0%以下、エッチング量が8.0μm以下のとき、良好と判定した。 <反射率の測定>紫外可視赤外分光光度法装置:日本分光株式会社製 型式V−670 波長700nmの光を照射したときの反射率を基板表面の任意の5箇所で測定し、得られた値の平均値を反射率として示した。 <エッチング量の測定> エッチング前後のシリコンウエハの重量差から重量減少率を求め、処理前のシリコンウエハの厚みに該重量減少率をかけて算出された値をエッチング量とした。 実施例1(1−オクタンスルホン酸ナトリウムの製造) 直径5cmの2枚撹拌翼を供えた200mL三つ口フラスコに、窒素ガスを流通させ、該容器内を窒素ガス置換した後、1−ブロモオクタン35g、水135g(3.9w/w)、亜硫酸ナトリウム26g(1.15eq)を加えた。窒素ガスを反応容器内へ流通させながら、大気圧条件下にて100℃で30時間反応を行った。反応終了後、40℃で水溶媒を減圧濃縮し(濃縮量:98g)、1−オクタンスルホン酸ナトリウムの第一粗体を得た。得られた第一粗体にヘキサン68gを加え、10〜30℃にて2時間攪拌を行った。攪拌終了後、得られたスラリー溶液を減圧ろ過し、1−オクタンスルホン酸ナトリウムの洗浄粗体を湿体として得た。該洗浄粗体の湿体にエタノール1300gを加え、75℃にて加熱溶解した。溶解後、得られた溶液を熱時ろ過し、溶液中の不溶成分である臭化ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムを除去した。熱時ろ過後、得られた濾液を冷却し、10〜30℃で20時間攪拌した。攪拌終了後、析出した結晶を減圧ろ過して分取した。該結晶を40℃で16時間乾燥することで1−オクタンスルホン酸ナトリウムを20.0g得た(1−オクタンスルホン酸ナトリウム純度:100%)。 実施例2(テクスチャー形成剤の調製) 水酸化ナトリウム5.0gを純水100gに溶解させた溶液に、実施例1で得られた1−オクタンスルホン酸ナトリウム2.0gを混合し、テクスチャー形成剤とした。このテクスチャー形成剤のテクスチャー形成効果は、反射率は10.9%であり、エッチング量は6・5μmであり、良好であった。 実施例3 実施例1と同様にして1−オクタンスルホン酸ナトリウム19.4gを得た。この1−オクタンスルホン酸ナトリウムを用いた以外は、実施例2と同様にして得たテクスチャー形成剤のテクスチャー形成効果は、反射率が10.5%であり、エッチング量が6.8μmであり、良好であった。 実施例4 1−ブロモオクタン174g、水675g(3.9w/w)、亜硫酸ナトリウム131g(1.15eq)を用い、実施例1と同様にして1−オクタンスルホン酸ナトリウム95gを得た。この1−オクタンスルホン酸ナトリウムを用いた以外は、実施例2と同様にしてテクスチャー形成剤を得た。このテクスチャー形成剤のテクスチャー形成効果は、反射率が10.5%であり、エッチング量が6.7μmであり、良好であった。 実施例5 直径3.5cmの2枚撹拌翼を供えた100mL三つ口フラスコに、窒素ガスを流通させ、該容器内を窒素ガス置換した後、1−ブロモオクタン10g、水40g(3.9w/w)、亜硫酸ナトリウム7g(1.15eq)を加えた。窒素ガスを反応容器内へ流通させながら、大気圧条件下にて100℃で30時間反応を行った。反応終了後、40℃で水溶媒を減圧濃縮(濃縮量:30g)し、1−オクタンスルホン酸ナトリウムの第一粗体を得た。得られた第一粗体にエタノール395gを加え、75℃にて加熱溶解した。溶解後、得られた溶液を熱時ろ過し、溶液中の不溶成分である臭化ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムを除去した。熱時ろ過後、得られた濾液を冷却し、10〜30℃で15時間攪拌した。攪拌終了後、析出した結晶を減圧ろ過して分取した。該結晶を40℃で20時間乾燥することで1−オクタンスルホン酸ナトリウム6gを得た。この1−オクタンスルホン酸ナトリウムを用いた以外は、実施例2と同様にしてテクスチャー形成剤を得た。このテクスチャー形成剤のテクスチャー形成効果は、反射率が10.5%であり、エッチング量が7.7μmであり、良好であった。 実施例6 直径5cmの2枚撹拌翼を供えた200mL三つ口フラスコに、窒素ガスを流通させ、該容器内を窒素ガス置換した後、1−ブロモオクタン35g、水135g(3.9w/w)、亜硫酸ナトリウム26g(1.15eq)を加えた。窒素ガスを反応容器内へ流通させながら、大気圧条件下にて100℃で30時間反応を行った。反応終了後、5℃まで冷却し、内温5〜10℃の範囲で1時間攪拌した。次いで、析出した結晶を減圧ろ過して分取し、1−オクタンスルホン酸ナトリウムの第二粗体を湿体として得た(含溶媒率:約27%)。得られた第二粗体の湿体にテトラヒドロフラン225gを加え、10〜30℃にて2時間攪拌を行った。攪拌終了後、得られたスラリー溶液を減圧ろ過し、1−オクタンスルホン酸ナトリウムの洗浄粗体を湿体として得た。該洗浄粗体の湿体に90wt%テトラヒドロフラン水溶液190gを加え、60℃にて加熱溶解した。溶解後、得られた溶液を熱時ろ過し、溶液中の不溶成分である亜硫酸ナトリウムを除去した。熱時ろ過後、得られた濾液を冷却し、10〜30℃で20時間攪拌した。攪拌終了後、析出した結晶を減圧ろ過して分取し、1−オクタンスルホン酸ナトリウムを得た。該結晶を40℃で16時間乾燥することで1−オクタンスルホン酸ナトリウムを20g得た。この1−オクタンスルホン酸ナトリウムを用いた以外は、実施例2と同様にしてテクスチャー形成剤を得た。このテクスチャー形成剤のテクスチャー形成効果は、反射率が9.7%であり、エッチング量が7.1μmであり、良好であった。 実施例7(再結晶品によるテクスチャー形成剤の調製) 実施例3で得られた1−オクタンスルホン酸ナトリウム13gに90wt%テトラヒドロフラン水溶液190gを加え、60℃にて加熱溶解した。これを冷却し、10〜30℃で20時間攪拌した。攪拌終了後、析出した結晶を減圧ろ過して分取した。該結晶を40℃で16時間乾燥することで1−オクタンスルホン酸ナトリウムを10g得た。この1−オクタンスルホン酸ナトリウムを用いた以外は、実施例2と同様にしてテクスチャー形成剤を得た。このテクスチャー形成剤のテクスチャー形成効果は、反射率が9.3%であり、エッチング量が6.5μmであり、良好であった。 比較例1(1−オクタンスルホン酸ナトリウムの製造) 1−ブロモオクタン70g、水270g(3.9w/w)、亜硫酸ナトリウム52g(1.15eq)を500mLのオートクレーブ(SUS316製、圧力計付属)に仕込み、オートクレーブ内の空気を窒素ガスで置換した後、オイルバスにて130℃まで昇温し、反応を開始した。反応時の圧力は11MPaであった。30時間反応を行った後、内温40℃となるまで冷却した。内温40℃で40gの水溶媒を減圧濃縮した。濃縮終了後、得られたスラリー溶液を減圧ろ過し、1−オクタンスルホン酸ナトリウムの第一粗体を湿体として分取した。得られた第一粗体の湿体にアセトン165gを加え、10〜30℃にて2時間攪拌を行った。攪拌終了後、得られたスラリー溶液を減圧ろ過し、1−オクタンスルホン酸ナトリウムの洗浄粗体を湿体として得た。該洗浄粗体の湿体にメタノール832gを加え、60℃にて加熱溶解した。溶解後、得られた溶液を熱時ろ過し、溶液中の不溶成分である亜硫酸ナトリウムおよび一部の臭化ナトリウムを除去した。熱時ろ過後、得られた濾液を冷却し、10〜30℃で20時間攪拌した。攪拌終了後、析出した結晶を減圧ろ過して分取した。該結晶を40℃で20時間乾燥することで1−オクタンスルホン酸ナトリウムを35g得た(1−オクタンスルホン酸ナトリウム純度:99.5%)。 比較例2(テクスチャー形成剤の調整) 比較例1で得られた1−オクタンスルホン酸ナトリウムを用いた以外は、実施例2と同様にしてテクスチャー形成剤を得た。このテクスチャー形成剤のテクスチャー形成効果は、反射率が10.6%であり、エッチング量が9.0μmであり、所望の効果は得られなかった。 比較例3 比較例1と同様にして1−オクタンスルホン酸ナトリウム33gを得た。この1−オクタンスルホン酸ナトリウムを用いた以外は、実施例2と同様にしてテクスチャー形成剤を得た。このテクスチャー形成剤のテクスチャー形成効果は、反射率が10.9%であり、エッチング量が9.4μmであり、所望の効果は得られなかった。 比較例4 1−ブロモオクタン105g、水405g(3.9w/w)、亜硫酸ナトリウム78g(1.15eq)を用い、比較例1と同様にして1−オクタンスルホン酸ナトリウム50gを得た。この1−オクタンスルホン酸ナトリウムを用いた以外は、実施例2と同様にしてテクスチャー形成剤を得た。このテクスチャー形成剤のテクスチャー形成効果は、反射率が11.4%であり、エッチング量が10.9μmであり、所望の効果は得られなかった。 比較例5(再結晶品によるテクスチャー形成剤の調製) 比較例1で得られた1−オクタンスルホン酸ナトリウム10gにメタノール120gを加え、60℃にて加熱溶解した。溶解確認後、反応溶液を冷却し10〜30℃で20時間攪拌した。攪拌終了後、析出した結晶を減圧ろ過して1−オクタンスルホン酸ナトリウムを湿体として分取した。得られた湿体を40℃で16時間乾燥することで1−オクタンスルホン酸ナトリウムを7g得た。この1−オクタンスルホン酸ナトリウムを用いた以外は、実施例2と同様にしてテクスチャー形成剤を得た。このテクスチャー形成剤のテクスチャー形成効果は、反射率が10.5%であり、エッチング量が8.3μmであり、所望の効果は得られなかった。 比較例6 比較例2で得られた1−オクタンスルホン酸ナトリウム40gにメタノール475gを加え、60℃にて加熱溶解した。溶解確認後、反応溶液を冷却し10〜30℃で15時間攪拌した。攪拌終了後、析出した結晶を減圧ろ過して1−オクタンスルホン酸ナトリウムを湿体として分取した。得られた湿体を40℃で18時間乾燥することで1−オクタンスルホン酸ナトリウムを31g得た。この1−オクタンスルホン酸ナトリウムを用いた以外は、実施例2と同様にしてテクスチャー形成剤を得た。このテクスチャー形成剤のテクスチャー形成効果は、反射率が10.4%であり、エッチング量が8.8μmであり、所望の効果は得られなかった。 比較例7 比較例3で得られた1−オクタンスルホン酸ナトリウム10gにメタノール119gを加え、60℃にて加熱溶解した。溶解確認後、反応溶液を冷却し10〜30℃で20時間攪拌した。攪拌終了後、析出した結晶を減圧ろ過して1−オクタンスルホン酸ナトリウムを湿体として分取した。得られた湿体を40℃で16時間乾燥することで1−オクタンスルホン酸ナトリウムを7g得た。この1−オクタンスルホン酸ナトリウムを用いた以外は、実施例2と同様にしてテクスチャー形成剤を得た。このテクスチャー形成剤のテクスチャー形成効果は、反射率が10.8%であり、エッチング量が9.7μmであり、所望の効果は得られなかった。 比較例8(窒素雰囲気下にて反応) 直径5cmの2枚撹拌翼を供えた200mL三つ口フラスコに、窒素ガスを流通させ、該容器内を窒素ガス置換した後、1−ブロモオクタン35g、水135g(3.9w/w)、亜硫酸ナトリウム26g(1.15eq)を加えた。窒素ガスを反応容器内へ流通させながら、大気圧条件下にて100℃で30時間反応を行った。反応終了後、5℃まで冷却し、内温5〜10℃の範囲で1時間攪拌した。次いで、析出した結晶を減圧ろ過して分取し、1−オクタンスルホン酸ナトリウムの第二粗体を湿体として得た。得られた第二粗体の湿体を40℃で16時間乾燥することで1−オクタンスルホン酸ナトリウムの第一粗体を45g得た。該第二粗体の有機不純物の含有量を測定した結果を図1に示す。この第二粗体を用いた以外は、実施例2と同様にしてテクスチャー形成剤を得た。このテクスチャー形成剤のテクスチャー形成効果は、反射率が12.7%であり、エッチング量が7.1μmであり、所望の効果は得られなかった。 比較例9(空気雰囲気下にて反応) 窒素ガスの流通をなしとした以外は、実施例8と同様にして1−オクタンスルホン酸ナトリウムの第二粗体42gを得た。該第二粗体の有機不純物の含有量を測定した結果を図2に示す。この第二粗体を用いた以外は、実施例2と同様にしてテクスチャー形成剤を得た。このテクスチャー形成剤のテクスチャー形成効果は、反射率が15.5%であり、エッチング量が8.5μmであり、所望の効果は得られなかった。 1−オクチルハライドと亜硫酸ナトリウムとを水溶媒中にて大気圧下で反応させる反応工程、該反応工程で得られた反応液から水溶媒を除去して不純物を含む1−オクタンスルホン酸ナトリウムの粗体を得る粗体分離工程、炭素数1〜5のアルコール又は水溶性有機溶媒と水との混合溶媒からなる溶媒と該粗体とを混合して該粗体中の1−オクタンスルホン酸ナトリウムを溶解させると共に得られた混合物から上記溶媒に不溶な不純物成分を除去する不溶性不純物除去工程、及び該不溶性不純物除去工程で得られた上記溶媒に不溶な不純物成分が除去された溶液から1−オクタンスルホン酸ナトリウムを分離する精製物分離工程を含んでなることを特徴とする1−オクタンスルホン酸ナトリウムの製造方法。 前記粗体と前記溶媒とを混合する前に、1−オクタンスルホン酸ナトリウムに対して不溶性又は難溶性の有機溶媒で前記粗体を洗浄する工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。 前記反応工程において、不活性ガス雰囲気下で反応を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。 請求項1乃至3の何れか一に記載の方法で得られる1−オクタンスルホン酸ナトリウムと、塩基性水溶液とを混合することを特徴とするテクスチャー形成剤の製造方法。 前記塩基性水溶液として水100質量部に対して塩基0.3〜15質量部溶解した塩基性水溶液を使用し、前記水100質量部に対して前記1−オクタンスルホン酸ナトリウム0.001〜10質量部を混合することを特徴とする請求項4に記載の方法。 【課題】 安定して良好なテクスチャー形成能を有するテクスチャー形成剤用の添加剤として好適に使用できる高純度の1−オクタンスルホン酸ナトリウムを安定的に製造する方法を提供する。【解決手段】 大気圧下の1−オクタンスルホン酸ナトリウム合成反応によって得られ反応液から得た1−オクタンスルホン酸ナトリウムの粗体を、炭素数1〜5のアルコール又は水溶性有機溶媒と水との混合溶媒からなる溶媒と混合して、1−オクタンスルホン酸ナトリウムを溶解させると共に該溶媒に不溶な不純物成分を除去し、得られた溶液から1−オクタンスルホン酸ナトリウムを分離回収する。【選択図】 なし


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