生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_髄膜炎菌由来の誘導体化多糖類−タンパク質の多価コンジュゲートおよびワクチン
出願番号:2012087349
年次:2012
IPC分類:A61K 39/095,C07K 14/195,A61K 47/48,A61K 47/42


特許情報キャッシュ

ロバート ピー ライヤル JP 2012140456 公開特許公報(A) 20120726 2012087349 20120406 髄膜炎菌由来の誘導体化多糖類−タンパク質の多価コンジュゲートおよびワクチン サノフィ パストゥール インコーポレイテッド 503263001 柳田 征史 100073184 佐久間 剛 100090468 ロバート ピー ライヤル US 60/605,579 20040830 A61K 39/095 20060101AFI20120629BHJP C07K 14/195 20060101ALI20120629BHJP A61K 47/48 20060101ALI20120629BHJP A61K 47/42 20060101ALI20120629BHJP JPA61K39/095C07K14/195A61K47/48A61K47/42 20 2007530326 20050829 OL 121 4C076 4C085 4H045 4C076CC32 4C076EE41 4C076EE59 4C085AA03 4C085BA16 4C085CC07 4C085CC21 4C085DD23 4C085DD51 4C085EE01 4H045AA30 4H045BA05 4H045BA53 4H045CA11 4H045DA50 4H045DA83 4H045DA86 4H045EA31 4H045FA73 4H045GA01 関連出願の相互参照 本出願は、2004年8月30日に受理された米国仮特許出願第60/605,579号について優先権を主張する。 1.発明の背景 本発明は、薬物一般の分野に関し、さらに特定すると、微生物学、免疫学、ワクチン、および免疫化による病原菌からの感染予防に関する。 2.関連分野の概要 髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)は、全世界における細菌性髄膜炎および敗血症の主因であり、過去30年間における髄膜炎の発症率は、先進国においては人口10万人あたり1〜5人、発展途上国においては10万人あたり10〜25人である(非特許文献1)。髄膜炎の流行期には、発症率は10万人あたり1000人に達する。アメリカ合衆国における細菌性髄膜炎の年間発症数は約2600件であり、発展途上国においては平均330,000件である。致死率は10〜20%である。 病原性髄膜炎菌は多糖類の莢膜に包まれており、該膜は細菌の外膜表面に付着している。髄膜炎菌は、莢膜多糖類の免疫学的特異性に基づき、13の別異の血清群に分類されている(非特許文献2)。これら13の血清群のうち、5つが髄膜炎の大部分を引き起こしており、それらは、血清群A、B、C、W135およびYである。血清群Aが流行性疾患の大部分に関与している。血清群B、CおよびYは、流行性疾患および地域的突発の大部分の原因である。 ヒトの鼻口咽頭粘膜は、髄膜炎菌の唯一の天然の保有宿主であることが知られている。菌の定着は、粘膜細胞の外表面および鼻咽頭の上皮下組織の両方で起こる。髄膜炎菌は長期間保有される。髄膜炎菌の拡散は、直接接触または空気飛沫によって生じる。髄膜炎菌は、エンドサイトーシスの結果、貪食空胞を介して粘膜上皮を通過することによって侵襲性になる。侵襲性の髄膜炎菌に対する宿主の防御は、補体を介した細菌分解である。補体を介した細菌分解に関与する血清抗体は、その大多数が外側の莢膜多糖類に対するものである。 髄膜炎菌の多糖類に基づくワクチンについては、莢膜多糖類に対して免疫応答を誘起するものについて報告がなされている。これらの抗体は、補体を介し、特定の血清群の髄膜炎菌を分解できる。髄膜炎菌の多糖類に基づくワクチンには、小児および成人に対して有効であることが示されている(非特許文献3;非特許文献4)が、その有効性は、乳児および低年齢の子供に限定される(非特許文献5)。低年齢の集団に多糖類を連続投与しても弱い応答しか誘起されないか、あるいは、ブースター効果は全くなかった(非特許文献6;非特許文献7)。髄膜炎菌多糖類ワクチンによって誘起された防御期間は長続きせず、成人および4歳以上の小児においては、3〜5年であることが確認されている(非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10)。1〜4歳の小児に関しては、防御期間は3年以下である(非特許文献5)。 多糖類は、抗原呈示およびT−ヘルパーリンパ球刺激に対する必要条件である主要組織適合コンプレックス分子への結合ができないが、それはすなわち、多糖類がT細胞非依存性抗原であるからである。多糖類は、T−ヘルパーリンパ球の助けを借りることなく、抗体産生Bリンパ球を刺激できる。T細胞とは無関係にBリンパ球を刺激する結果、これらの抗原による免疫後の記憶が得られない。多糖類抗原は、成人においては、T細胞非依存性の非常に効果的な応答を誘起できるが、これらのT細胞非依存性応答は、乳児および低年齢の小児の未熟な免疫系では弱い。 T細胞非依存性の多糖類抗原は、多糖類をタンパク質分子(「キャリヤー」または「キャリヤータンパク質」)に共有結合させることにより、T細胞依存性抗原に転換できる。コンジュゲートワクチンの多糖類構成成分に結合するB細胞は、コンジュゲートキャリヤータンパク質の一部であるポリペプチドに対して特異的なヘルパーT細胞によって活性化される。キャリヤータンパク質に対してTヘルパー細胞が応答することにより、多糖類に対する抗体産生が増加する。 血清群B多糖類は、ヒト集団においては、非免疫原性が不十分であることが示されている(非特許文献11)。この血清群の多糖類がタンパク質に化学的に結合しても、実験動物においては、免疫応答に顕著な変化はなかった(非特許文献12)。この血清群の多糖類に免疫応答が欠如している理由は、血清群Bの多糖類とポリシアル酸化された宿主の糖タンパク質(例えば、中性細胞接着分子など)との間の構造類似性によるものと考えられる。 血清群Cの多糖類に基づく髄膜炎菌コンジュゲートワクチンについてはすでに記載されている。この1価ワクチンは、血清群Cに対応する髄膜炎菌株が有する莢膜多糖類に対し、強力な機能性抗体応答を誘起する。そのようなワクチンは、血清群Cの菌によって引き起こされた疾患に対してのみ防御することができる。 髄膜炎菌多糖類に基づく現行のワクチンは、低年齢の小児に使用が限定されており、成人において長期間の防御を提供するものではない。小児を含むすべての集団において長期間の防御を誘起できることが示されている唯一の髄膜炎菌ワクチンは、髄膜炎菌の一つの血清群由来の多糖類に基づくものであり、他の血清群による感染に対しては防御しない。従って、髄膜炎感染の危険性がある小児および成人において、髄膜炎に対して広汎かつ長期にわたって防御を提供できるコンジュゲートワクチンが希求されている。本発明に従う髄膜炎菌の多価多糖類は、ワクチン調製物を提供することによってそのような要求を満たすものであり、該ワクチン調製物においては、髄膜炎菌の主要病原性血清群由来の免疫原性多糖類をキャリヤータンパク質にコンジュゲートさせることにより、T細胞依存性抗原に転換している。 髄膜炎菌多糖類に対するワクチンに関するFDAの認可は、仔ウサギ補体(SBA-BR)を用いた殺菌アッセイに基づいて判断されるが、これは、認可ワクチンを用いて免疫した仔ウサギの血液サンプルを用いて行う。多数の政府および専門家の委員により、そのようなアッセイによって髄膜炎菌多糖類ワクチンを評価するための最新の要件および推奨事項について刊行されている。そのようなものとしては例えば、以下のようなものが挙げられる: 髄膜炎菌血清群AおよびCに対する髄膜炎菌ワクチンを用いて免疫化した健康な成人対象における殺菌抗体産生の誘導を証明するための生物学的標準化に関するWHO専門委員会(WHO1976); CDC SBA−BRアッセイの標準化用のパラメータ確立のための国際比較試験。該アッセイにおいては、比較試験用の品質管理血清(Quality Control serum)の一つであるCDCドナーR21654-3430107という同一の標準参照血清を使用する(非特許文献13);さらに、 ワクチンおよび生物学分野に関するWHO専門家委員会から最適な方法として推薦された標準化CDC法(WHO1999)。 髄膜炎に対するヒトの免疫が血清殺菌アッセイ(Serum Bactericidal Assay(SBA))によって検出された補体を介する殺菌抗体のレベルとよく一致していることを理由に認可が与えられる(非特許文献14;非特許文献15)。血清群Cに対する1:4のSBA力価という代理レベルは、アッセイにおいてヒト補体(SBA-H)を用いることによって確立されている。しかしながら、髄膜炎菌多糖類ワクチンの認可に際しては、アッセイにおける補体源として仔ウサギ補体(SBA-BR)を用いて血清殺菌応答を誘導することを必要としている(非特許文献16)。この勧告に従えば、髄膜炎菌多糖類ワクチンを接種した対象の少なくとも90%に由来する血清の抗体価は、以下の標的株または同等の株に対して試験した場合に、免疫2〜4週間後に4倍またはそれ以上に上昇していなければならない:血清群Aに対するA1、血清群Cに対するC11、血清群Yに対するS-1975、および血清群W-135に対するS-4383(非特許文献17)。生物製剤局(Bureau of Biologics)はWHOの勧告を受け入れ、この要件に基づき、アメリカ合衆国において、血清群AおよびC混合、ならびに血清群A、C、YおよびW-135混合の髄膜炎菌多糖類ワクチンが認可された。髄膜炎菌ワクチンによって誘導された生物学的活性に関して実験室間比較を行うことを目的として、多実験室試験を実施し、仔ウサギ補体(SBA-BR)を用いた標準化SBAを確立した(被特許文献13)。 髄膜炎コンジュゲートCワクチンを用いたデータが利用できるようになるに従い、アッセイにウサギ補体を使用することにより、SBA力価が不当に高くなるという懸念が明らかになり始めた。髄膜炎血清群AおよびC特異的抗体に対するヒト血清の分析のための実験室アッセイに関連する問題点を明らかにし、解決するために開催された1999年3月の会合に続き、生物学的標準化に関するWHOの専門家委員会は、血清群Cに対する抗体応答測定のためには仔ウサギ補体を用いたSBAの使用を推奨した(非特許文献18)。仔ウサギ補体を用いることによって生じる防御の過剰評価をさけるための試みとして、WHOは、ヒト補体を用いて測定したSBA力価に対して、仔ウサギ補体を用いたSBAアッセイによって測定した閾値力価を相関させる実験を行うことを推奨した。追跡会合が開催され、仔ウサギ補体を用いた場合の<1:8のSBA力価は、血清群Cに対する防御なしの状態と相関しており、また、仔ウサギ補体を用いた≧1:128のSBA力価は、ヒト補体を用いた場合の1:4の防御SBA力価によく相関しているという一般的結論を支持する結果が示された。他の髄膜炎菌血清群、例えば、A、YまたはW-135、あるいは多糖類コンジュゲートに対するSBA-BR力価の相関に関しては、情報提供がなされていない。 仔ウサギ補体を用いて得られた1:8〜1:64の間のSBA力価は、ヒト補体を用いて得られた1:4というSBA防御力価とよく相関している必要はない(非特許文献19)。WHOの専門家委員会は、ワクチン接種後のSBA-BR力価1:8、1:16、1:32、1:64については、ヒト補体を用いて再評価することを勧告している。SBA-BR力価1:8、1:16、1:32、1:64に関する不確定要素を解決するためのその他の測定としては、ワクチン接種前および後における抗体SBA力価の4倍上昇の評価などが挙げられる。防御の相関として記憶の立証も提示されたが、専門家委員会は、これらの代理物に対して得られるデータは不適切であるか限界があることを悟った。 免疫前から免疫後約15〜45日後のSBA-BR力価が1:8以上であることは、4倍以上の上昇と同様に、髄膜炎に対するヒト免疫の良好な指標である。 一つの実施態様においは、本発明は、髄膜炎菌多糖類多価コンジュゲート組成物を用いてヒト患者を免疫する方法を提供し、ここで、ヒト患者は血清SBA-BR力価が1:16以上、好ましくは1:32以上、さらに好ましくは1:64以上、さらにより好ましくは1:128以上である。さらなる実施態様においては、本発明は、髄膜炎菌多糖類コンジュゲート組成物を用いてヒト患者を免疫する方法を提供し、ここで、該ヒト患者は、ワクチン接種の前後で抗体SBA力価が4倍以上上昇する。 さらに別の実施態様においては、本発明は、髄膜炎菌多糖類多価コンジュゲート組成物を用いてヒト患者を免疫することにより、髄膜炎菌の複数の血清群に対してヒト患者に免疫を付与する方法を提供し、ここで、該組成物は、髄膜炎菌血清群AおよびW-135;YおよびW-135;CおよびY;CおよびW-135;A、CおよびY;A、CおよびW-135;C、YおよびW-135;A、YおよびW-135;ならびにA、C、YおよびW-135から選択される2つもしくはそれ以上の多糖類を含む。 さらにまた別の実施態様においは、本発明は、髄膜炎菌(精製)多糖類多価コンジュゲート組成物を用いてヒト患者を免疫することにより、髄膜炎菌の複数の血清群に対してヒト患者に免疫を付与する方法を提供し、ここで、該多糖類は、100,000ダルトン以下に誘導体化されている。本発明のひとつの実施態様においては、精製多糖類は、解重合されて平均分子量が約5,000〜約75,000ダルトンになっており、好ましくは、平均分子量は約7,000〜約50,000ダルトンであり、より好ましくは約8,000〜約35,000ダルトンであり、さらに好ましくは約12,000〜約25,000ダルトンである。本発明のひとつの実施態様においては、組成物中の多糖類の平均分子量は、約15,000〜約22,000ダルトンである。Reido,F.X.,et.al.,(1995)Ped.Infect.Dis.J.14,pp.643-657Frasch,C.E.,et.al.,(1985)Rev.Infect.Dis.7,pp.504-510Peltola,H.,et.al.,(1997)New Engl.J.Med.,297,pp.686-691Artenstein,M.S.,et.al.,(1970)New Engl.J.Med.,282,pp.417-420Reingold,A.L.,et.al.,(1985)Lancet,2,pp.114-118Goldschneider,I.,et.al.,(1973)J.Infect.Diseases,128,pp.769-776Gold.,R.,et.al.,(1977)J.Infect.Diseases,136,S31-S35Brandt,B.L.and Artnenstein,M.S.(1975)J.Infect.Diseases,131,pp.S69-S72Kyhty,H.,et.al.,(1980)J.Infect.Diseases,142,pp.861-868Cessey,S.J.,et.al.,(1993)J.Infect.Diseases,167,pp.1212-1216Wyle,F.A.,et.al.,(1972)J.Infect.Diseases,126,pp.514-522Jennings,H.J. and Lugowski,C.(1981)J.Immunol.,127,pp.1011-1018Maslanka,S.E.,et.al.,(1997)Clin.Diagn.Lab.Immunol.,4:156-167Goldschneider,I.,et.al.,(1969)J.Exp.Med.,129:1307-1326Goldschneider,I.,et.al.,(1969)J.Exp.Med.,129:1327-1348World Health Organization,(1976)Requirements for meningococcal polysaccharide vaccine. World Health Organization technical report series, no.594,World Health Organization,Geneva,SwitzerlandWHO1976,WHO1981,Bureau of Biologics,Food and Drug Administration, July 17,1985The World Health Organization,1999,Standardization and validation of serological assays for the evaluation of immune responses to Neisseria meningitidis serogroup A/C vaccines. Geneva,WHO/V&B/99,19(WHO1999)Jodar,L.,et.al.,(2002)Biologicals,30:323-329 本発明は、病原性髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)によって引き起こされる髄膜炎に対し、髄膜炎菌多糖類−タンパク質コンジュゲート(conjugate)からなる免疫学的組成物を投与することによってヒトに免疫を付与する方法を提供する。 ひとつの実施態様においは、免疫学的組成物は、2つもしくはそれ以上のタンパク質−多糖類コンジュゲートを含み、ここで、各コンジュゲートにおいては、髄膜炎菌由来の莢膜多糖類がキャリヤータンパク質に結合している。好ましい実施態様においては、免疫学的組成物は、2つもしくはそれ以上の別異のタンパク質−多糖類コンジュゲートを含み、、ここで、各コンジュゲートにおいては、髄膜炎菌の別異の血清群由来の莢膜多糖類がキャリヤータンパク質に結合している。 本発明は、病原性髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)によって引き起こされる髄膜炎に対し、2つもしくはそれ以上の別異のタンパク質−多糖類コンジュゲートからなる免疫学的組成物を投与することによってヒトに免疫を付与する方法を提供するが、ここで、各コンジュゲートにおいては、髄膜炎菌の別異の血清群由来の莢膜多糖類がキャリヤータンパク質に結合している。 本発明は、病原性髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)によって引き起こされる髄膜炎に対し、髄膜炎菌多糖類−タンパク質コンジュゲートを投与することによってヒトに免疫を付与する方法を提供する。本発明は、免疫学的に有効量の2〜4つの別異のタンパク質−多糖類コンジュゲートを含有する髄膜炎菌多価ワクチンを提供し、ここで、各コンジュゲートにおいては、髄膜炎菌の別異の莢膜多糖類がキャリヤータンパク質に結合しており、さらに、各莢膜多糖類は、血清群A、C、W-135およびY由来の莢膜多糖類を含む群から選択される。さらに、本発明は、髄膜炎菌の莢膜多糖類に対する免疫学的応答の誘導法を提供し、そのような方法は、免疫学的に有効な量の本発明に従う免疫学的組成物をヒトに投与することを含む。ひとつの実施態様においては、髄膜炎菌の多価ワクチンは、免疫学的に有効量の2つの別異のタンパク質−多糖類コンジュゲートを含み、各コンジュゲートにおいては、別異の莢膜多糖類がキャリヤータンパク質に結合しており、さらに、各莢膜多糖類は、血清群A、C、W-135およびY由来の莢膜多糖類から選択され、より好ましくは、莢膜多糖類は、AおよびW-135、AおよびY、CおよびW-135、CおよびY、ならびにW-135およびYを含む。ひとつの実施態様においては、髄膜炎菌多価ワクチンは、免疫学的に有効量の3つの別異のタンパク質−多糖類コンジュゲートを含み、各コンジュゲートにおいては、別異の莢膜多糖類がキャリヤータンパク質に結合しており、さらに、各莢膜多糖類は、血清群A、C、W-135およびY由来の莢膜多糖類を含む群から選択され、より好ましくは、莢膜多糖類は、A、CおよびW-135;A、CおよびY;C、YおよびW-135;C、W-135およびY;ならびにA、W-135およびYを含む。別の実施態様においては、髄膜炎菌多価ワクチンは、免疫学的に有効量の4つの別異のタンパク質−多糖類コンジュゲートを含み、各コンジュゲートにおいては、別異の莢膜多糖類がキャリヤータンパク質に結合しており、さらに、各莢膜多糖類は、血清群A、C、W-135およびY由来の莢膜多糖類を含む群から選択される。 さらに、本発明は、髄膜炎菌の莢膜多糖類に対する免疫学的応答の誘導法を提供し、そのような方法は、ヒトまたは動物に免疫学的に有効量の本発明に従う免疫学的組成物を投与することを含む。 本発明は、免疫学的に有効量の2〜4つの髄膜炎菌の別異のタンパク質−多糖類コンジュゲートを含む多価ワクチンを提供し、各コンジュゲートにおいては、別異の莢膜多糖類がキャリヤータンパク質に結合しており、さらに、各莢膜多糖類は、血清群A、C、W-135およびY由来の莢膜多糖類を含む群から選択される。 本発明は、髄膜炎菌に感染しやすいヒトまたは動物の防御法を提供し、そのような方法は、ヒトまたは動物に、免疫学的に有効量の本発明に従うワクチンを投与することを含む。 さらなる実施態様においては、本発明は、髄膜炎菌ワクチンまたは免疫原性組成物を1回、2回、3回などの回数投与した後に誘起される応答の促進法を提供する。これらの実施態様のうちのいくつかにおいては、髄膜炎菌ワクチンまたは免疫原性組成物の1回目投与には、ひとつもしくはそれ以上の髄膜炎菌血清群(血清群A、B、C、Y、W-135など)に由来する莢膜多糖類を含有する。別のいくつかの実施態様においは、髄膜炎菌ワクチンまたは免疫原性組成物の1回目投与には、ひとつもしくはそれ以上の髄膜炎菌血清群(例えば、血清群A、B、C、Y、W-135など)に由来する莢膜多糖類を含有しており、該多糖類はひとつもしくはそれ以上のキャリヤー(例えば、キャリヤータンパク質など)にコンジュゲートしている。好ましい実施態様においては、キャリヤータンパク質は、免疫原性である、および/または、治療上もしくはその他の利点をさらに提供する。いくつかの好ましい実施態様においては、髄膜炎菌ワクチンまたは免疫原性組成物の1回目投与後に対象(たとえば、ヒトなど)の体内で誘起された一次応答は、髄膜炎菌の別異の1、2、3、4もしくはそれ以上の血清群に由来する莢膜多糖類を含有するワクチンまたは免疫原性組成物をさらに1回もしくはそれ以上連続して投与することによって促進される。しかしながら、本発明は、非コンジュゲート莢膜多糖類を含有するワクチンまたは免疫原性組成物を1回もしくはそれ以上投与して初回抗原刺激を行うことに限定されるわけではなく、あるいは、本発明は、多糖類−キャリヤータンパク質コンジュゲート免疫原性組成物またはワクチンを1回もしくはそれ以上追加投与することに限定されるわけでもない。同様に、本発明は、初回抗原刺激または追加抗原投与の時間間隔によって制限されるわけではない。 本明細書中に引用しているすべての特許、特許出願およびその他の刊行物の全体を参照として取り入れておく。 図1〜15Bは、本発明の好ましい実施態様を示す。髄膜炎菌血清群Aに対するSBA抗体価に関する逆累積分布曲線髄膜炎菌血清群Cに対するSBA抗体価に関する逆累積分布曲線髄膜炎菌血清群W-135に対するSBA抗体価に関する逆累積分布曲線髄膜炎菌血清群Yに対するSBA抗体価に関する逆累積分布曲線髄膜炎菌血清群Aに対するSBA抗体価に関する逆累積分布曲線髄膜炎菌血清群Cに対するSBA抗体価に関する逆累積分布曲線髄膜炎菌血清群W-135に対するSBA抗体価に関する逆累積分布曲線髄膜炎菌血清群Yに対するSBA抗体価に関する逆累積分布曲線協力者に関する調査のまとめ(全協力者について)MTA02およびMTA19試験への登録の間に経過した時間についてのまとめ(MTA02に登録済みの協力者)ワクチン接種後のSBA-BR力価における血清群ごとのセロコンバージョン率血清群ごとの抗体価の幾何平均(GMT)のまとめ血清群ごとの抗体価の幾何平均(GMT)のまとめSBA-BR力価がベースラインから4倍上昇した協力者の血清群ごとの割合MTA02およびMTA19において、共通の年齢群(14〜18歳)に対する血清群ごとの抗体価の幾何平均(GMT)のまとめMTA02およびMTA19において、共通の年齢群(14〜18歳)に対する血清群ごとの抗体価の幾何平均(GMT)のまとめ血清群ごとの抗体価の幾何平均(GMT)のまとめ、MTA19に含まれている協力者に対するMTA02の結果血清群ごとの抗体価の幾何平均(GMT)のまとめ、MTA19に含まれている協力者に対するMTA02の結果 本発明は、2つもしくはそれ以上の別異のタンパク質−多糖類コンジュゲートを含む免疫学的組成物に関し、ここで、各コンジュゲートにおいては、莢膜多糖類がキャリヤータンパク質に結合している。従って、本発明は、誘導体化された2つもしくはそれ以上の別異の莢膜多糖類であって、ひとつもしくはそれ以上のキャリヤータンパク質にコンジュゲートしているものを含有する組成物に関する。 莢膜多糖類は、当業者において既知の標準的な技術を用いて調製できる。本発明においては、髄膜炎菌の血清群A、C、W-135およびYから調製された莢膜多糖類が好ましい。 好ましい実施態様においては、これらの髄膜炎菌血清群コンジュゲートは、別々の過程で調製してからひとつの投与製剤に調製する。例えば、髄膜炎菌の血清群A、C、W-135およびY由来の莢膜多糖類を別々に精製する。 本発明の好ましい実施態様においは、精製した多糖類を脱重合し、活性化した後に、キャリヤータンパク質にコンジュゲートさせる。本発明の好ましい実施態様においては、髄膜炎菌の血清群A、C、W-135およびY由来の莢膜多糖類は、緩和な酸化条件を用いて部分脱重合させる。 天然の髄膜炎菌多糖類は、約500,000〜1,500,000ダルトンである。本発明は、分子量が小さい髄膜炎菌多糖類を対象としている。天然の多糖類を精製すると、ある程度の割合で分子量が小さい多糖類が得られる。しかしながら、より収率を高めるためには、一般的には、天然の髄膜炎菌多糖類を脱重合または誘導体化して好ましい分子量範囲(例えば、100,000ダルトン以下など)にすることが好ましい。本発明のひとつの好ましい実施態様においては、精製多糖類を脱重合し、平均分子を約5,000〜約75,000ダルトン、好ましくは、平均分子量を約7,000〜約50,000ダルトン、さらに好ましくは平均分子量を約8,000〜約35,000ダルトン、さらにより好ましくは、平均分子量を約12,000〜約25,000ダルトンにする。本発明のひとつの実施態様においては、組成物中の多糖類の平均分子量は約15,000〜約22,000ダルトンである。 次に、脱重合または部分脱重合した多糖類を活性化段階に移す。「活性化」とは、多糖類を化学的に処理し、キャリヤータンパク質と反応できる化学基を付与することを意味する。好ましい活性化法としては、pH5.0±0.1の生理食塩水中、アジピン酸ヒドラジドを用いて15〜30℃で約2時間処理することが挙げられる。活性化のためのひとつの方法が米国特許第5,965,714号に記載されている。 莢膜多糖類はいったん活性化されると、ひとつもしくはそれ以上のキャリヤータンパク質にコンジュゲートすることができる。本発明の好ましい実施態様においては、莢膜多糖類は、それぞれ、ひとつのキャリヤータンパク質種に個別にコンジュゲートしている。好ましい実施態様においては、髄膜炎菌の血清群A、C、W-135およびY由来の莢膜多糖類は、同一のキャリヤータンパク質種に個別に結合している。 キャリヤータンパク質としては、ジフテリア毒素などの細菌毒素、ジフテリアトキソイド、CRM197、破傷風菌トキソイド、結核菌トキソイド、大腸菌(E.coli)LT、大腸菌(E.coli)ST、および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の外毒素などの不活化細菌毒素などが挙げられる。細菌の外膜タンパク質(例えば、外膜コンプレックスc(OMPC)、ポーリン、トランスフェリン結合タンパク質、ニューモリシス(pneumolysis)、肺炎球菌表面タンパク質A(PspA)、または肺炎球菌アドヘジンタンパク質(PsaA)などの)も用いることができる。卵白アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、または精製ツベルクリンタンパク質誘導体(PPD)などのようなその他のタンパク質も用いることができる。好ましくは、キャリヤータンパク質は、非毒性かつ非反応原性であって、十分な量および純度で入手できるものである。キャリヤータンパク質は、標準的なコンジュゲート過程に適用できるものでなければならない。本発明の好ましい実施態様においては、ジフテリア菌(Corynebacteria diphtheriae)の培養物から精製し、ホルムアルデヒドを用いて化学的に非毒化したジフテリア毒素をキャリヤータンパク質として使用する。別のキャリヤータンパク質としては、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)の外膜表面に露出しているタンパク質であるプロテインDが挙げられる。 本発明のひとつの実施態様においては、誘導体化された各多糖類のキャリヤータンパク質に対する平均比は、約1:1〜約1:20(w/w)である。本発明の好ましい実施態様においては、誘導体化された全多糖類のキャリヤータンパク質に対する比は、約1:2〜約1:10(w/w)であり、さらに好ましくは、誘導体化された各多糖類のキャリヤータンパク質に対する平均比は、約1:2〜約1:6(w/w)である。より好ましい実施態様においては、誘導体化された全多糖類のキャリヤータンパク質に対する比は、約1:(4±1)であり、より好ましくは1:(4±0.5)であり、さらに好ましくは、1:(4±0.25)(w/w)である。 莢膜多糖類をキャリヤータンパク質にコンジュゲートさせた後、多様な技術を用いて多糖類−タンパク質を精製する(多糖類−タンパク質コンジュゲートの割合を増やす)。精製のひとつの目標は、多糖類−タンパク質コンジュゲートから非結合多糖類を除去することである。硫酸アンモニウムの存在下で実施する限外濾過を含む精製法のひとつについては、米国特許第6,146,902号に記載されている。別の方法としては、任意の標準的な技術を用い、未反応のタンパク質および多糖類からコンジュゲートを精製することができ、そのような技術としては、特に、分子ふるいクロマトグラフィー、密度勾配遠心分離、疎水性相互作用クロマトグラフィーまたは硫酸アンモニウム濾過などが挙げられる。例えば、P.W.アンダーソン(Anderson)ら、(1986) J.Immunol.,137:1181-1186を参照。また、H.J.ジェニングス(Jennings)およびC.ルゴウスキ(Lugowski)(1981)J.Immunol.,127:1011-1018も参照。 本発明に従う免疫学的組成物は、多糖類とキャリヤータンパク質をコンジュゲートさせた後、誘導体化多糖類−タンパク質の多様なコンジュゲートを混合することによって調製する。本発明に従う免疫学的組成物は、ひとつもしくはそれ以上のキャリヤータンパク質にコンジュゲートしている2つもしくはそれ以上の別異の莢膜多糖類を含む。本発明に従う好ましい実施態様は、2価の免疫学的組成物であって、髄膜炎菌血清群AおよびC由来の誘導体化莢膜多糖類がジフテリア毒素もしくはトキソイドに個別にコンジュゲートしているものを含有する。より好ましくは、本発明は、髄膜炎菌血清群A、C、W-135およびY由来の莢膜多糖類がジフテリア毒素もしくはトキソイドに個別にコンジュゲートしている4価の免疫学的組成物である。 本発明は、部分的には、誘導体化多糖類コンジュゲートの多成分組成物に関し、ここで、誘導体化された各多糖類は、1投与量あたり約0.5〜約15μg存在する。従って、組成物は、総量として1〜60μgの誘導体化多糖類を含有する。好ましい実施態様においては、組成物中のそれぞれの誘導体化多糖類の相対量は、約±50%以内;より好ましくは±30%以内、さらに好ましくは±20%以内である。 キャリヤータンパク質の調製および使用法、ならびに多様な利用可能なコンジュゲーション法は、当業者において既知である。当業者であれば、本発明に従うコンジュゲートは、本発明中に記載されている教示、ならびに一般的文献から入手可能な情報を用いて調製できる。手引きについては、以下の米国特許のうちの任意のものまたはすべてからも入手でき、それらの内容を参照として本明細書中に取り入れておく:米国特許第4,356,170号、第4,619,828号、第5,153,312号、第5,422,427号および第5,445,817号など。 別の方法としては、免疫学的組成物は、髄膜炎菌の2つもしくはそれ以上の血清群を共培養し、さらに、共精製、共脱重合、活性化して多糖類にコンジュゲートさせることにより、あるいは、精製した髄膜炎菌血清群を個別に培養し、次に、脱重合、活性化および多糖類へのコンジュゲートの段階のうちの任意の段階を行う前後に、2つもしくはそれ以上の血清群を混合することによって調製することができる。 本発明に従う免疫学的組成物は、髄膜炎菌の別異の血清群に由来する多糖類−タンパク質コンジュゲートを個別に調製し、その後、コンジュゲートを混合することによって調製される。本発明に従う免疫学的組成物はワクチンとして使用できる。本発明に従うワクチンの調製は、当該分野において既知の方法を用いて行うことができる。本発明に従うワクチン組成物は、ひとつもしくはそれ以上のアジュバントを含有する場合がある。アジュバントとしては次のようなものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない:アルミニウムアジュバント(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなどのアルミニウム塩類またはそれらの組合わせなど)、フロインドアジュバント(完全または不完全)、BAY、DC-chol、pcpp、一リン酸リピドA、CpG、QS-21、コレラ毒素およびホルミルメチオニルペプチドなど。例えば、「ワクチン設計、サブユニットおよびアジュバントアプローチ(Vaccine Design, the Subunit and Adjuvant Approach)」、1995年(M.F.パウエル(Powell)およびM.J.ニューマン(Newman)編、プレナムプレス(Plenum Press)社、ニューヨーク)などを参照。好ましくは、アジュバントは、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムなどのアルミニウムアジュバントである。 その他のアジュバントとしては、次のようなものが挙げられる:水中油エマルション調製物(例えば、PCT公開公報第WO 90/14837号に記載されているMF59など);SAF(10%のSqualane、0.4%のTween80、5%のプルロニックブロックポリマー(pluronic-blocked polymer )L121およびthr-MDPを含有);RibiTMアジュバントシステム(RAS)(リビ・イムノケム(Ribi Immunochem)社、マサチューセッツ州ハミルトン)(2%のSqualene、0.2%のTween80、ならびに、一リン酸リピドA(MPL)、トレハロースジミコリン酸(trehalose dimycolate:TDM)、および細胞壁骨格(CWS)を含む群から選択されるひとつもしくはそれ以上の細菌細胞壁構成成分、好ましくはMPL+CWS(Detox TM)を含有);サポニンアジュバント(例えば、Stimulon TM(ケンブリッジ・バイオサイエンス(Cambridge Bioscience)社、マサチューセッツ州ウーセスター)、または、ISCOM(免疫刺激コンプレックス)などから精製される粒子など);サイトカイン類(IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12などのインターロイキン類、γインターフェロンなどのインターフェロン類、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)など)などが挙げられる。 本発明のひとつの実施態様においては、タンパク質−多糖類コンジュゲートの平均グリコシル化率(タンパク質に対する多糖類の比率)は、約0.05〜約2であり、より好ましくは、平均比率は約0.08〜約1.25であり、さらに好ましくは、約0.1〜約0.9である。ひとつの好ましい実施態様においては、タンパク質−多糖類コンジュゲートの平均グリコシル化率(タンパク質に対する多糖類の比率)は、約0.2〜約0.8であり、より好ましくは、平均比率は約0.2〜0.6であり、さらに好ましい実施態様においては、平均比率は約0.3〜約0.5である。 以下に示すように、本発明に従うワクチンおよび免疫学的組成物は、多様な動物モデルにおいてT細胞依存性様免疫応答を誘起するが、多糖類ワクチンはT細胞非依存性様免疫応答を誘起する。従って、本発明に従う組成物は、髄膜炎菌抗原に対するT細胞依存性様免疫応答に関与する生物学的経路および過程を研究するための有用な研究材料でもある。 ヒトもしくは動物に投与するワクチンの量、ならびに投与様式は、薬剤学および獣医学について通常の技量を有する当業者において既知である標準的な技術に従って決定することができ、その際には、特定の抗原、(存在するならば)アジュバント、年齢、性別、体重、種別、および特定の動物もしくは患者の状態、ならびに投与経路などの因子を考慮する。本発明においては、髄膜炎菌に対するワクチン接種用に有効な投与量を確保するために必要な多糖類−タンパク質コンジュゲートの量は、体重1kgあたり約0.02〜約5μgである。本発明に従う好ましい組成物および方法においは、投与量は体重1kgあたり約0.1〜3μgである。例えば、感染後あまり時間が経過していない場合には、有効投与量中の抗体量は少なくてよいが、これは、細菌が増殖するための時間が短いからである。同様に、有効投与量は、診断時の細菌負荷量によって決まる。治療用としては、一定期間内に複数回注射することなどが考えられる。 本発明に従う多価コンジュゲートは、単回投与または連続して(すなわち、「ブースター」)投与できる。例えば、生後の早い時期に単回投与された子には、小児疾患予防のために現在その他のワクチンに対して推奨されているように、10年以内にブースターを投与する。 ブースター投与により、感作されたB細胞から抗体が産生される、すなわち、既往性応答が発生する。つまり、多価コンジュゲートワクチンは、承認されている多糖類ワクチンと比較して、若年集団において高い一次(すなわち、ワクチンの単回投与後)機能性抗体応答を誘起し、さらに、既往性応答(すなわち、ブースター投与後)を誘起でき、本発明に従う多価コンジュゲートワクチンによって誘起された防御免疫応答は長期間維持されることを示すことができた。 本発明に従う組成物には、開口部、例えば、経口、経鼻、経肛門、経膣、口周囲、消化管内、粘膜内(例えば、舌下、上歯経、歯肉、嗅覚器または呼吸器の粘膜など)などに投与するための液体調製物(例えば、懸濁液、シロップまたはエリキシルなど);ならびに、非経口、皮下、皮内、筋肉内、腹膜内または静脈内投与(例えば、注射など)のための調製物(例えば、滅菌懸濁液またはエマルションなど)が含まれる。静脈内および非経口投与が好ましい。そのような組成物は、適切なキャリヤー、希釈剤または賦形剤、例えば、滅菌水、生理的食塩水、グルコースなどと混合することができる。組成物は凍結乾燥することもできる。該組成物は、投与経路および所望する調製物に応じて、湿潤もしくは乳化剤、pH緩衝剤、ゲル化もしくは増粘剤、保存料、香料、色素などの補助物質を含有する場合がある。「レミントン 製剤学(Remington's Pharmaceutical Science)第17版」(1985年)などのような標準的な教科書をひもとくことにより、不要な実験をすることなく適切な調製物を調製できる。上掲の書籍を参照として本明細書中に取り入れておく。 本発明のひとつの実施態様においは、好ましい投与経路は、筋肉内または皮下であるが、筋肉内投与が好ましい。投与は、注射またはその他の送達装置によって行う。 本発明の組成物は、液体調製物、例えば、等張水溶液、懸濁液、エマルションまたは粘性組成物などとして適宜提供されるが、それらの液体は、選択されたpHに調整されている。消化管吸収が好ましい場合には、本発明に従う組成物は、丸剤、錠剤、カプセル、カプレットなどの「固体」型にすることができ、そのような「固体」調製物には、時効性製剤または液体充填製剤(例えば、腸送達用のゼラチン封入液体製剤など、この場合、ゼラチンは胃内で溶解する)が含まれる。経鼻または呼吸器(粘膜)投与が所望される場合には、組成物を製剤化し、圧搾スプレーディスペンサー(squeeze spray dispenser)、ポンプディスペンサーまたはエアロゾルディスペンサーによって投薬できる。エアロゾルは、通常、炭化水素によって加圧されている。好ましくは、ポンプディスペンサーを用い、一定量または特定の粒子径を有する投与単位を投薬する。 一般的には、液体調製物は、ゲル、その他の粘性組成物および固体組成物よりも調製が容易である。さらに、液体調製物は投与がしやすく、特に、動物、小児(特に若年齢の小児)、ならびに、丸剤、錠剤、カプセルなどの嚥下が困難な対象、あるいは複数回投与の場合には尚更である。一方、粘性組成物は、粘膜(例えば、胃または鼻粘膜の内膜など)に長時間接触させることを目的として、適切な粘度範囲に調製できる。 本発明の好ましい実施態様においては、ワクチン組成物は、滅菌液体、すなわち、保存料含有、または不含の発熱物質不含リン酸緩衝生理食塩水として調製する。ひとつの好ましい実施態様においては、投与あたりの調製物は、約0.3〜約1.0mgのリン酸ナトリウム、および約3.5〜約6.0mgの塩化ナトリウムに水を加えて1.5mlにする。ひとつの好ましい実施態様においては、投与あたりの調製物は、約0.6±0.2mgのリン酸ナトリウム、および4.4±0.2mgの塩化ナトリウム、ならびに約0.5±0.2ml以下の水を含む。 適切なキャリヤーおよびその他の添加物の選択は、正確な投与経路および特定の投与剤形の性質によって決まることは明らかであり、そのような剤形としては、例えば、液体投与剤形(例えば、液体、懸濁液、ゲルまたはその他の液体状態の製剤に調製する)、または固体投与剤形(例えば、丸剤、錠剤、カプセル、カプレット、時効性製剤または液体充填製剤などに調剤する)などが挙げられる。 一般的に、溶液、懸濁液およびゲルは、活性成分に加え、大量の水(好ましくは精製水)を含有する。微量のその他の原料、例えば、pH調整剤(例えば、NaOHなどの塩基など)、乳化もしくは分散剤、緩衝剤、保存料、湿潤剤、ゲル化剤(例えば、メチルセルロースなど)、色素および/もしくは香料なども存在している。組成物は等張性、すなわち、血液および涙液と同じ浸透圧を有する。 本発明に従う組成物の所望する等張性は、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコール、またはその他の無機性もしくは有機性溶質を用いて調整できる。ひとつの実施態様においては、好ましくは、組成物の等張性は、リン酸ナトリウムもしくは塩化ナトリウム、またはそれらの混合物で調整する。ナトリウムイオンを含有する緩衝液としては、塩化ナトリウムが特に好ましい。 組成物の粘度は、薬剤学的に許容される粘稠化剤を用いることにより、選択したレベルに維持できる。メチルセルロースが好ましいが、それは、すぐに入手でき、経済的であり、かつ、扱いが容易だからである。その他の適切な粘稠化剤としては、例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマーなどが挙げられる。粘稠化剤の好ましい濃度は、選択した物質によって異なる。重要な点は、選択した粘度が得られるような量を使用することである。通常、粘性組成物は、溶液に上掲したような粘稠化剤を加えることによって調製する。 薬剤学的に許容される保存料を使用し、組成物の保存期間を延長することができる。多様な保存料があるが、ベンジルアルコールが適切である。その他の保存料、例えば、パラベン類、チメロサール、クロロブタノールまたは塩化ベンザルコニウムなども使用できる。保存料の適切な濃度は、総重量に対して0.02〜2%であるが、選択した保存料によってばらつきがある。 組成物中の各構成成分は髄膜炎菌多糖類−タンパク質キャリヤーコンジュゲートに対して化学的に不活性であるものを選択しなければならないことは、当業者には自明である。 本発明は、本発明に従ういくつかの好ましい実施態様を詳細に記載した以下の例示的、非限定的実施例を参照することによってさらに詳述されている。当業者であれば、本発明の範疇に含まれるその他の実施例は明らかである。 略号および商標については、以下の通りである:ACIP=免疫処置実施に関する諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices);AE=副作用;Cetavalon(商標)=セチルトリメチルアンモニウムブロミド、CTAB;CFR=連邦規則のコード(Code of Federal Regulations);CRF=症例報告様式(Case Report Form);DTP=ジフテリア、破傷風、結核;ELISA=酵素免疫測定法;FDA=食品および医薬品局(Food And Drug Administration);GCP=医薬品の臨床試験実施に関する基準;GMC=幾何平均濃度;GMT=幾何平均力価;IgG=免疫グロブリンG;IgG1=免疫グロブリンGサブクラス1;IgG2=免疫グロブリンGサブクラス2;IgM=免疫グロブリンM;ICH=ハーモナイゼーションに関する国際会議;IND=研究用新薬(Investigational New Drug);IRB=制度再検討委員会(Institutional Review Board);MenA/C-Dt=2価(AおよびC)髄膜炎菌多糖類ジフテリアコンジュゲートワクチン;MenPS=髄膜炎菌群特異的多糖類;ml=ミリリットル;Menomune (商標)=認可を受けた髄膜炎菌A、C、YおよびW-135多糖類ワクチン;OD=吸光度;PBS=リン酸緩衝生理食塩水;SAE=重篤な副作用;SBA=血清殺菌活性;SBA-BR=仔ウサギ補体を用いて行った血清殺菌活性アッセイ;SBA-HC=ヒト補体を用いて行った血清殺菌活性アッセイ;SIDS=乳児突然死症候群;TetraMenD=4価(A、C、YおよびW-135)髄膜炎菌多糖類ジフテリアコンジュゲートワクチン;Td=破傷風およびジフテリアワクチン;UAE=予期しない副作用(Unexpected Adverse Experience);URI=上気道感染;μg=マイクログラム。 実施例1:髄膜炎菌血清群A、C、W-135およびYの精製莢膜多糖類粉末の調製 粗ペーストの調製 髄膜炎菌血清群A、C、W-135およびYの湿潤凍結種晶培養物(wet frozen seed cultures)は、それぞれ別異に融解し、液体Watson-Scherp培地を利用して再生させ、Mueller-Hinton寒天培地を含むBlake瓶に接種した。Blake瓶は、CO2雰囲気下、35〜37℃で15〜19時間インキュベートした。インキュベーション後、増殖した菌をBlake瓶から取り出し、Watson-Scherp培地を含む4Lのフラスコに入れた。フラスコは、平面振とう機上、35〜37℃で3〜7時間インキュベートした。4Lフラスコの内容物をWatson-Scherp培地を含む発酵容器に移した。発酵容器は、栄養を補助し、消泡剤を添加して溶解酸素濃度およびpHを制御しながら、35〜37℃で7〜12時間インキュベートした。インキュベーション後、発酵容器の内容物を500Lタンクに移し、Cetavlon(商標)を加えて1時間混合した。Cetavlon(商標)で処理した発酵物は、流速約30〜70L/時で流しながら、約15,000〜17,000×gで遠心分離した。粗多糖類は、2回目のCetavlon(商標)沈殿物とともに上清から沈殿した。上清にCetavlon(商標)を加えて室温で少なくとも1時間混合した。混合物は、1〜5℃で8〜12時間保存した。沈殿した多糖類は、流速300〜400ml/分で流しながら、約45,000〜50,000×gで遠心分離して集めた。集めたペーストは、さらに処理を行うまで、−60℃以下で保存した。 精製多糖類の粉末の調製 不活化したペーストは、融解し、配合機に移した。ペーストに0.9Mの塩化カルシウムを加えて均質な懸濁物を得た。この懸濁物を約10,000×gで15分間遠心分離した。上清を傾捨し、綿不含パッドに通して容器に入れ、これを第一抽出物とした。次に、ペーストに同容量の0.9Mの塩化カルシウムを加えて混合し、均質な懸濁物を得た。懸濁物は上記に従って遠心分離し、上清は、一回目の抽出によって得られた上清とあわせた。計4回の抽出を行い、上清をプールした。プールした上清は、10〜30kDaのMWCOスパイラルウッド限外濾過装置(spiral would ultrafiltration units)を用いて限外濾過することによって濃縮した。 濃縮物に塩化マグネシウムを加え、水酸化ナトリウムを用いてpHを7.2〜7.5に調整した。濃縮物にDNaseおよびRNaseを加え、混合しながら25〜28℃で4時間インキュベートした。エタノールを30〜50%の濃度になるまで加えた。沈殿した核酸およびタンパク質は、10,000×gで2時間遠心分離することによって除去した。上清を回収し、エタノールの濃度が80%になるまで加えることによって多糖類を沈殿させ、1〜5℃で一晩放置した。アルコールを吸引除去し、沈殿した多糖類は、10,000×gで5分間遠心分離した。沈殿した多糖類をアルコールで洗浄した。多糖類をアセトンで洗浄し、10,000×gで15〜20分間遠心分離した。多糖類を減圧乾燥した。最初の多糖類粉末を酢酸ナトリウム溶液に溶解した。塩化マグネシウムを加えた後、水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを7.2〜7.5に調整した。この溶液にDNaseおよびRNaseを加え、混合しながら25〜28℃で4時間インキュベートすることにより、残留核酸を除去した。それらの酵素を用いてインキュベートした後、多糖類−酵素混合物に酢酸ナトリウム−フェノール溶液を等容量加え、1〜5℃で約30分間平面振とう機に載せた。混合物は、10,000×gで15〜20分間遠心分離した。上層である水層を回収し、保存した。この水層に酢酸ナトリウム−フェノール溶液を等容量加え、上述に従って抽出した。計4回の抽出を行い、多糖類溶液からタンパク質および内毒素を除去した。あわせた水性抽出物は、注射用水で10倍希釈し、さらに、10倍量の注射用水に対してダイアフィルター処理を行った。ダイアフィルター処理した多糖類に塩化カルシウムを加えた。エタノールを濃度が80%になるまで加え、1〜5℃で一晩かけて多糖類を沈殿させた。アルコール上清を回収し、10,000×gで15分間遠心分離することによって多糖類を集めた。精製した多糖類は、エタノールで2回、アセトンで1回洗浄した。洗浄した粉末は、デシケーター内で減圧乾燥した。乾燥粉末は、コンジュゲートを行うまで、−30℃以下で保存した。 実施例2:髄膜炎菌血清群A、C、W-135およびY由来の精製莢膜多糖類粉末の脱重合 調製に使用した材料は、髄膜炎菌血清群A、C、W-135およびY由来の精製莢膜多糖類粉末(実施例1に従って調製)、50mMの滅菌酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、1Nの滅菌塩酸、1Nの滅菌水酸化ナトリウム、30%の過酸化水素、および滅菌生理食塩水(塩化ナトリウムを0.85%含有)である。 各血清群由来の多糖類は、別個の反応で脱重合した。ステンレススチールのタンクに60gの精製莢膜多糖類粉末を入れた。多糖類に50mMの滅菌酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)を加えることにより、多糖類濃度は2.5g/Lになった。多糖類溶液を1〜5℃で12〜24時間混合して溶液にした。反応タンクを熱交換ユニットに接続した。さらに50mMの滅菌酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)を加えて多糖類を希釈し、反応溶液の濃度を1.25g/Lにした。多糖類溶液を55±0.1℃に加熱した。反応混合物に30%過酸化水素のアリコートを加え、過酸化水素の反応濃度を1%にした。 反応の経過は、時間を追って多糖類の分子量の変化を追跡することによってモニターした。15〜20分間隔で反応混合物からアリコートを取り出し、HPSEカラムに注入して多糖類の分子量を測定した。多糖類の分子量が目的の分子量に達した時点で加熱装置を止め、氷水槽に循環させることにより、多糖類溶液を迅速に5℃に冷却した。脱重合した多糖類溶液は、3000MWCO再生セルロースカートリッジを取り付けた限外濾過装置に反応タンクを接続することにより、15g/Lの濃度まで濃縮した。濃縮脱重合多糖類溶液は、10倍量の滅菌生理食塩水(0.85%の塩化ナトリウムを含有)に対してダイアフィルター処理した。脱重合多糖類は、次の処理段階に使用するまで1〜5℃で保存した。 脱重合多糖類の分子量は、「Ultahydrogel.TM.250」という商標名で販売されているゲル濾過クロマトグラフィーカラムに通すことによって測定した。「Ultahydrogel.TM.250」は、デキストラン分子量標準を用い、および多角レーザー光散乱により、校正した。多糖類の量は、血清群Aについてはリン含量により(バートレット(Bartlet),G.R.J.(1959)Journal of Biological Chemistry,234:466-468に記載の方法を使用)、血清群C、W-135およびYについてはシアル酸含量によって(スヴェナーホルム(Svennerholm),L.(1955)Biochimica Biophysica Acta,24:604-611に記載の方法を使用)測定した。O−アセチル含量は、ヘステリン(Hesterin),S.(1949)Journal of Biological Chemistry,180:249に記載の方法によって測定した。還元活性は、パーク(Park)、J.T.およびジョンソン(Johonson),M.J.の方法((1949)Journal of Biological Chemistry,181:149-151)によって測定した。脱重合多糖類の構造集積性は、protein.sup.1H NMRおよびprotein.sup.13C NMRによって測定した。脱重合多糖類の純度は、LAL(内毒素)含量および残留過酸化水素濃度を測定することによって求めた。 実施例3:髄膜炎菌血清群A、C、W-135およびY由来の脱重合多糖類の誘導体化 調製に使用した材料は、髄膜炎菌血清群A、C、W-135およびYに由来し、過酸化水素処理によって脱重合させた莢膜多糖類(実施例2に従って調製)、アジピン酸ジヒドラジド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)(血清群Aのみ)、シアノボロヒドリドナトリウム、1Nの滅菌塩酸、1Nの滅菌水酸化ナトリウム、1Mの滅菌塩化ナトリウム、および滅菌生理食塩水(塩化ナトリウムの量は0.85%)である。 各血清群由来の多糖類は、別個の反応で誘導体化した。ステンレススチールのタンクに精製脱重合多糖類を入れ、0.85%の滅菌生理食塩水で希釈することにより、多糖類の最終反応濃度を6g/Lにした。この溶液に、0.85%の滅菌生理食塩水に溶解したアジピン酸ジヒドラジドの濃縮アリコートを加え、反応濃度を1g/Lにした。血清群Aのみに、0.85%の滅菌生理食塩水に溶解したEDACの濃縮アリコートを加え、反応濃度を1g/Lにした。pHを5.0±0.1に調整し、このpHは、室温(15〜30℃)下、1Nの滅菌塩酸および1Nの滅菌水酸化ナトリウムを用いて2時間維持した。2時間後、0.85%の滅菌生理食塩水に溶解したシアノボロヒドリドナトリウムの濃縮アリコートを反応混合物に加え、反応の度を2g/Lにした。反応物は、pHを5.5±0.5に維持しながら、室温(15〜30℃)で44±4時間撹拌した。反応時間終了後、pHを6.0±0.1に調整し、3000MWCO再生セルロースカートリッジを取り付けた限外濾過装置に反応タンクを接続することにより、誘導体化多糖類を12g/Lの濃度まで濃縮した。濃縮誘導体化多糖類溶液は、30倍量の1Mの塩化ナトリウムに対して、次に、10倍量の0.15Mの塩化ナトリウムに対してダイアフィルター処理した。限外濾過装置からタンクをはずし、1〜5℃で7日間保存した。3000MWCO再生セルロースカートリッジを取り付けた限外濾過装置に反応タンクを再接続し、30倍量の1Mの塩化ナトリウムに対して、次に、10倍量の0.15Mの塩化ナトリウムに対してダイアフィルター処理を行った。 誘導体化多糖類の分子量、多糖類の量およびO−アセチル含量については、脱重合多糖類の場合と同じ方法を用いて測定した。ヒドラジン含量は、スナイダー(Snyder),S.L.およびソボチンスキ(Sobocinski)による2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸法((1975)Analytical Biochemistry,64:282-288)を用いて測定した。誘導体化多糖類の構造集積性は、1H NMRおよび13C NMRによって測定した。誘導体化多糖類の純度は、未結合ヒドラジドの量、LAL(内毒素)含量、および残留シアノボロヒドリドナトリウム含量を測定することによって求めた。 実施例4:キャリヤータンパク質の調製 ジフテリアトキソイド粗タンパク質の調製 凍結乾燥されている種晶培養物を再構成し、16〜18時間インキュベートした。培養物からのアリコートを増殖培地が入った0.5Lのフラスコに移し、培養フラスコは、回転振とう機上、34.5〜36.5℃で7〜9時間インキュベートした。 培養フラスコからのアリコートを増殖培地が入った4Lのフラスコに移し、培養フラスコは、回転振とう機上、34.5〜36.5℃で14〜22時間インキュベートした。4Lのフラスコから取り出した培養物を増殖培地を含む発酵槽に接種した。発酵槽は、34.5〜36.5℃で70〜144時間インキュベートした。発酵槽の内容物は、厚手フィルター(depth filter)通して濾過し、回収容器に入れた。ホルムアルデヒド溶液(37%)のアリコートを加え、濃度を0.2%にした。pHは7.4〜7.6に調整した。回収物は、0.2ミクロンのフィルターカートリッジに通して濾過し、20Lの滅菌瓶に入れた。瓶は、34.5〜36.5℃で7日間インキュベートした。各瓶にホルムアルデヒド溶液(37%)のアリコートを加え、濃度を0.4%にした。混合物のpHは7.4〜7.6に調整した。瓶は、振とう機上、34.5〜36.5℃で7日間インキュベートした。各瓶にホルムアルデヒド溶液(37%)のアリコートを加え、濃度を0.5%にした。pHは7.4〜7.6に調整した。瓶は、34.5〜36.5℃で8週間インキュベートした。無毒化について粗トキソイドを試験した。試験期間中、瓶は1〜5℃で保存した。 ジフテリアトキソイド粗タンパク質の精製 粗トキソイドを室温まで暖め、20L瓶の内容物をあわせて精製タンクに入れた。トキソイドのpHを7.2〜7.4に調整した後、粗トキソイドに活性炭を加えて2分間混合した。活性炭トキソイド混合物を1時間放置し、その後、厚手フィルターカートリッジを通して濾過し、第二精製タンクに入れた。ろ液に固体硫酸アンモニウムを加え、70%飽和溶液にした。pHを6.8〜7.2に調整し、溶液を16時間放置した。沈殿したタンパク質は濾過によって回収し、70%の飽和硫酸アンモニウム溶液(pH7.0)で洗浄した。沈殿物は、滅菌蒸留水に溶解し、タンパク質溶液を濾過してステンレススチールの回収容器に入れた。溶液のpHを6.8〜7.2に調整し、硫酸アンモニウムを加えて40%の飽和溶液にした。溶液のpHを7.0〜7.2に調整し、16時間放置した。沈殿物をろ去した。硫酸アンモニウムを加えて60%の飽和溶液にし、pHを7.0〜7.2に調整した。混合物を16時間放置し、沈殿したタンパク質を濾過によって回収した。沈殿物を滅菌蒸留水に溶解し、不溶性タンパク質をろ去し、0.85%の生理食塩水に対してダイアフィルター処理した。 ジフテリアトキソイド精製タンパク質の濃縮および滅菌濾過 タンパク質溶液は15g/Lに濃縮し、10,000MWCO再生セルロースフィルターカートリッジを用い、10倍量の0.85%生理食塩水に対してダイアフィルター処理した。濃縮タンパク質溶液は、0.2ミクロンの膜を通して濾過することにより滅菌した。タンパク質溶液は、コンジュゲート操作に使用するまで1〜5℃で保存した。 タンパク質濃度は、ローリー(Lawry),O.H.らの方法((1951)Journal of Biological Chemistry,193:265-275)に従って測定した。タンパク質の純度は、無菌性、LAL(内毒素)含量、および残留ホルムアルデヒド濃度を測定することによって求めた。 実施例5:ジフテリアトキソイドタンパク質に対する髄膜炎菌血清群A、C、W-135およびY由来の多糖類の1価コンジュゲートの調製 調製に使用した材料は、髄膜炎菌血清群A、C、W-135およびY由来の多糖類をアジピン酸誘導体化したもの(実施例3に従って調製)、滅菌ジフテリアトキソイドタンパク質(実施例4に従って調製)、EDAC、硫酸アンモニウム、1Nの滅菌塩酸、1Nの滅菌水酸化ナトリウム、および滅菌生理食塩水(0.85%)である。 各血清群の多糖類コンジュゲートは、別個の反応で調製した。4種類のコンジュゲートはすべて次のような方法に従って調製した。ステンレススチールのタンクにアジピン酸誘導体化精製多糖類(反応濃度は、反応性ヒドラジド濃度として700〜1000μmol/L)および精製ジフテリアトキソイドタンパク質(反応濃度は、タンパク質濃度として3.8〜4.0g/L)を入れた。生理食塩水(0.85%)を用いて出発材料を目的の反応濃度に希釈し、pHを5.0±0.1に調整した。多糖類タンパク質混合物にEDACのアリコートを加え、反応濃度を2.28〜2.4g/Lにした。反応液のpHは、15〜30℃で2時間、5.0±0.1に維持した。2時間後、1Nの滅菌水酸化ナトリウムを用いてpHを7.0±0.1に調整し、反応液を1〜5℃で16〜20時間保存した。 反応混合物を15〜30℃に戻し、反応容器は、30,000MWCO再生セルロースカートリッジを取り付けた限外濾過装置に接続した。固体硫酸アンモニウムを加えて60%の飽和溶液(血清群A、W-135およびY用)、および50%の飽和溶液(血清群C用)にした。コンジュゲート反応混合物は、20倍量の60%の飽和硫酸アンモニウム溶液(血清群A、W-135およびY用)に対して、および20倍量の50%の飽和硫酸アンモニウム溶液(血清群C用)に対してダイアフィルター処理し、その後、20倍量の生理食塩水(0.85%)に対してダイアフィルター処理した。ダイアフィルター処理したコンジュゲートは、はじめに、1.2ミクロンおよび0.45ミクロンのフィルターを含むフィルターカプセルに通して濾過し、次に、0.22ミクロンのフィルターを含む第二のフィルターカプセルに通した。 多糖類およびO−アセチルの含量は、脱重合多糖類および誘導体化多糖類の場合と同じ方法によって測定した。タンパク質の量は、ローリー法によって測定した。コンジュゲートの分子量は、「TSK6000PW」という商標名で販売されているゲル濾過クロマトグラフィーカラムに通すことによって測定したが、該カラムでは、空容量マーカーとしてDNAを、総容量マーカーとしてATPを、比較マーカーとしてウシサイログロブリンを使用した。さらに、TSK6000PWカラムから溶出したコンジュゲートの分子量を多角レーザー光散乱で測定した。コンジュゲートの抗原特性は、二重サンドイッチELISA法を用い、抗多糖類血清群特異抗体への結合によって測定した。コンジュゲートの純度は、疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムを用いた非結合(非コンジュゲート)多糖類量、キャピラリー電気泳動による非コンジュゲートタンパク質量、滅菌性、LAL(内毒素)含量、残留EDAC含量、および残留アンモニウムイオン含量を測定することによって求めた。 実施例6:髄膜炎菌A、C、W-135およびY由来の多糖類とジフテリアトキソイドとの多価コンジュゲートワクチンの調製 調製に使用した材料は、実施例5に従って調製した血清群A、C、W-135およびY由来の多糖類−ジフテリアトキソイドのコンジュゲート、100mMの滅菌リン酸ナトリウム緩衝生理食塩水(塩化ナトリウム濃度0.85%)である。 ステンレススチールのバルキングタンク(bulking tank)中、生理食塩水(0.85%)に100〜500mMの滅菌リン酸ナトリウム緩衝生理食塩水のアリコートを加え、リン酸ナトリウムの濃度を最終ワクチン濃度である10mMにした。10mMの滅菌リン酸ナトリウム緩衝生理食塩水が入ったバルキングタンクに、髄膜炎菌多糖類−ジフテリアトキソイドの滅菌1価コンジュゲートのうちの2〜4種類の各アリコートを加え、各血清群の多糖類の最終濃度を8μg/緩衝液mlにした。得られた4価のコンジュゲートを混合し、0.2ミクロンのフィルターを通して濾過して第二のバルキングタンクに入れた。 多価調製物中に存在する各血清群の多糖類量は、パルス電流滴定検出を伴う高pH陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて構成糖類を分析することによって測定した。タンパク質量は、ローリー法によって測定した。ワクチンのpHは、pHメーターに接続した複合電極を用いて測定した。多価コンジュゲートワクチンの抗原特性は、二重サンドイッチELISA法を用い、抗多糖類血清群特異的抗体への結合によって測定した。多価コンジュゲートワクチンの免疫原性については、動物モデルにおいて、ワクチン内に存在する各コンジュゲートが初回および追加の抗多糖類IgG免疫応答を誘起する能力を測定した。多価コンジュゲートワクチンの純度は、パルス電流滴定検出を伴う高pH陰イオン交換クロマトグラフィーを用いた非結合(非コンジュゲート)多糖類の量、無菌性、LAL(内毒素)含量、発熱物質含量および一般的安全性を測定することによって求めた。 実施例7:水酸化アルミニウムをアジュバントとする髄膜炎菌多糖類ジフテリアトキソイドタンパク質コンジュゲートの調製 水酸化アルミニウムに吸着させたコンジュゲートの調製。調製に使用した材料は、実施例5に従って調製した血清群A、C、W-135およびY由来の多糖類−ジフテリアトキソイドコンジュゲート、滅菌生理食塩水(塩化ナトリウム濃度0.85%)、および水酸化アルミニウムの滅菌生理食塩水(塩化ナトリウム濃度0.85%)溶液である。 生理食塩水を入れたバルキングタンクに、髄膜炎菌多糖類ジフテリアトキソイドの滅菌1価各コンジュゲートのアリコートを加え、各血清群の多糖類の最終濃度を8μg/緩衝液mlにした。多価コンジュゲートワクチンに滅菌リン酸アルミニウムの生理食塩水(塩化ナトリウム濃度0.85%)溶液を加え、アルミニウムイオンの最終濃度を0.44mg/ワクチンmlにした。 実施例8:リン酸アルミニウムをアジュバントとする髄膜炎菌多糖類ジフテリアトキソイドタンパク質コンジュゲートの調製 リン酸アルミニウムに吸着させたコンジュゲートの調製。調製に使用した材料は、実施例5に従って調製した血清群A、C、W-135およびY由来の多糖類−ジフテリアトキソイドコンジュゲート、滅菌生理食塩水(塩化ナトリウム濃度0.85%)、およびリン酸アルミニウムの滅菌生理食塩水(塩化ナトリウム濃度0.85%)溶液である。 生理食塩水を入れたバルキングタンクに、髄膜炎菌多糖類ジフテリアトキソイドの滅菌1価各コンジュゲートのアリコートを加え、各血清群の多糖類の最終濃度を8μg/緩衝液mlにした。多価コンジュゲートワクチンに滅菌リン酸アルミニウムの生理食塩水(塩化ナトリウム濃度0.85%)溶液を加え、アルミニウムイオンの最終濃度を0.44mg/ワクチンmlにした。 実施例9:ヒト臨床試験に使用した材料および方法に関する一般的記述 誘導体化4価コンジュゲートワクチンの免疫原性 多数の別異の臨床プロトコールに従い、ヒトにおけるコンジュゲートワクチンの免疫応答誘起能について調査した。以下の調査を結果にまとめている。以下の各調査において使用した材料および方法は、特に記載していない限りは次のようなものである: TetraMenD TetraMenDワクチンは、髄膜炎菌血清群A、C、YおよびW-135由来の4種の莢膜多糖類を各4mg含有し、それらが計48μgのジフテリアトキソイドタンパク質に共有結合している。ワクチンは、滅菌発熱物質不含リン酸緩衝生理食塩水中、保存料を使用せずに調製されている。調製物は、0.6mgのリン酸ナトリウム、4.4mgの塩化ナトリウムを含み、水を加えて0.5mlにしている。 Menomune(登録商標) Menomuneは、アメリカ合衆国およびその他の国において2歳以上への使用が認可されている。Menomuneは、凍結乾燥品であり、各投与量ワクチン中には抗原としてA、C、YおよびW-135由来の多糖類を50μgずつ含有し、保存料としてチメロサールを添加した等張塩化ナトリウム溶液を希釈剤として再構成し、0.5mlを皮下投与する。ワクチン0.5mlには、安定化剤として2.5〜5mgのラクトースを含有する。皮下用のMenomune−A/C/Y/W-135(髄膜炎菌多糖類ワクチン、血清群A、C、YおよびW-135を混合)は、髄膜炎菌血清群A、血清群C、血清群Yおよび血清群W-135由来の血清群特異的多糖類抗原の凍結乾燥調製品である。希釈剤は、滅菌発熱物質不含蒸留水である。ラベル記載の指示に従い、希釈剤を用いて凍結乾燥品を再構成すると、0.5mlの投与量中には、等張塩化ナトリウム溶液中、血清群A、C、YおよびW-135由来の「単離生成物」がそれぞれ50μgずつ含有されている。 Tetanus and Diphtheria Toxoids Adsorbed for Adult Use(登録商標)(以後、Tdと記す)は、等張塩化ナトリウム溶液(pH調製のためにリン酸ナトリウム緩衝液を含有)中にアラム沈殿トキソイドを滅菌状態で懸濁させたものである。該ワクチンは筋注用である。0.5mlの投与量中には、5Lfの破傷風トキソイド、2Lfのジフテリアトキソイド、アッセイにより確認された0.28mg以下のアルミニウムを含む。モルモットを用いた力価試験においては、破傷風およびジフテリアトキソイドは、それぞれ、少なくとも2ユニット/mlおよび0.5ユニット/mlの抗毒素を誘導した。受診1では、すべての協力者に対し、2.5cm(1インチ)の25ゲージ針を用い、0.5mlのTdを1回左腕の三角筋内に注射した。0.5mlの投与量中には5Lfの破傷風トキソイド、2Lfのジフテリアトキソイドを含む。 血清サンプル 血液検体はベースライン後、指示された日に採取した。例えば、プロトコールに3つの時間点、0日目、28日、および6ヶ月目が指示されている場合には、血液検体は、ワクチン接種前の0日目(ベースライン)、ワクチン接種後28日目(初期免疫応答の評価用)、およびワクチン接種後6ヶ月目(免疫応答の長さの評価用)に採取した。各時間点において、各対象から約5mlの全血を採取した。採取から4時間以内に全血を遠心分離する。血清を取り出し、−20℃で保存した。「28日目」の血液サンプルは、注射後少なくとも28日から遅くとも57日目までに採取した。「6ヶ月目」の血液サンプルは、注射後、6ヶ月±28日後に採取する。従って、28日目の血清とは、注射後28日から56日目の間に採取された血清であり;さらに、6ヶ月目の血清とは、注射後149日目から217日目の間に採取された血清である。 アッセイ技術 本実験では、多数の標準的な免疫学的アッセイを使用した。以下の記述は、本明細書中において使用した方法をまとめたものである。しかしながら、本明細書に示している方法の変形を含む、当業者に既知のその他の同様なアッセイも用いることができる。 仔ウサギ補体を用いた血清殺菌アッセイ(SBA-BR)による抗髄膜炎菌抗体の決定 髄膜炎菌血清群A、C、YおよびW-135に対する抗体に関する機能性抗体活性は、血清殺菌アッセイを用いて測定した。滅菌96ウェルマイクロタイタープレート内に、2倍ずつ段階希釈した被検血清を用意した。この血清希釈液に、血清群特異的髄膜炎菌を仔ウサギ補体と供に加え、インキュベートした。インキュベーション後、血清/補体/細菌混合物の上に寒天培地を重層して固め、5%CO2下、37℃で一晩インキュベートした。ウェル内に存在する細菌コロニーを計数した。終末力価は、補体対照ウェルの細胞死平均と比較して50%以上の細胞死が確認された血清希釈倍数の逆数によって判断した。このウサギ補体を使用する本アッセイの検出限界は8である。 IgG抗髄膜炎菌抗体の決定 髄膜炎菌血清群A、C、YおよびW-135に対する抗体に関するIgG抗体活性は、間接ELISA法を用いて測定した。この方法においては、血清中の抗体に、メチル化ヒト血清アルブミンを用いてプラスチック製マイクロタイターウェルに吸着させた過量の髄膜炎菌血清群特異的多糖類(MenPs)抗原を反応させた。結合抗体の量は、ペルオキシダーゼラベルマウス抗ヒトIgG特異的モノクローナル抗体を用いた反応によって測定した。続いて行ったペルオキシダーゼ基質を用いた反応により、発色性生成物が得られ、これは分光光度計で測定できる。得られた吸光度(OD)は、マイクロタイタープレート内の髄膜炎菌多糖類に結合している血清中のIgG抗体量と相関している。次に、4−パラメーターロジスティック曲線を用いた割り当て値を参照(Lot CDC 1992または同等物)と比較することにより、IgG抗体量を計算した。 IgM抗髄膜炎菌抗体の決定 髄膜炎菌血清群A、C、YおよびW-135に対する抗体に関するIgM抗体活性は、間接ELISA法を用いて測定した。この方法においては、血清中の抗体に、メチル化ヒト血清アルブミンを用いてプラスチック製マイクロタイターウェルに吸着させた過量の髄膜炎菌血清群特異的多糖類(MenPs)抗原を反応させた。結合抗体の量は、ペルオキシダーゼラベルマウス抗ヒトIgM特異的モノクローナル抗体を用いた反応によって測定した。続いて行ったペルオキシダーゼ基質を用いた反応により、発色性生成物が得られ、これは分光光度計で測定できる。得られた吸光度(OD)は、マイクロタイタープレート内の髄膜炎菌多糖類に結合している血清中のIgM抗体量と相関している。次に、4−パラメーターロジスティック曲線を用いた割り当て値を参照(Lot CDC 1992または同等物)と比較することにより、IgM抗体量を計算した。 高結合性抗髄膜炎菌IgG抗体の決定 髄膜炎菌血清群A、C、YおよびW-135に対する抗体に関する高結合性IgG抗体の活性は、変形ELISA法を用いてアヴェンティス・パスツール(Aventis Pasteur)社で測定する。本アッセイは現在同社で開発中であり、臨床検体試験の前に許可されるはずである。方法を概説すると、96ウェルマイクロタイタープレートをMenPs抗原で被覆する。被覆プレートを吸引および○○後、75mMのアンモニウムチオシアナートを含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)血清希釈緩衝液を用い、臨床血清の段階希釈をプレート内で直接行った後、一晩インキュベートした。結合抗体の量は、ペルオキシダーゼラベルマウス抗ヒトIgG特異的モノクローナル抗体を用いた反応によって求めた。ペルオキシダーゼ基質を用いた反応により、発色性生成物が得られ、これは分光光度計で測定できる。得られた吸光度(OD)は、マイクロタイタープレート内の髄膜炎菌多糖類に結合している血清中のIgG抗体量と相関している。次に、4−パラメーターロジスティック曲線を用いて参照(Lot CDC 1992または同等物)と比較することにより、IgG抗体量を計算した。 IgG1およびIgG2サブクラス髄膜炎菌抗体の決定 髄膜炎菌血清群A、C、YおよびW-135に対する抗体に関するIgG1およびIgG2サブクラス抗体の分布は、ELISA法を用いて測定した。血清の段階希釈液中に存在する抗体は、マイクロタイタープレートのウェル内に吸着させたMenPs抗原と反応させた。結合抗体の量は、抗ヒトIgG1 FcまたはIgG2 Fcに特異的な反応試薬を用いて求めた。次に、酵素基質を用いた反応により、発色生成物が得られ、これは分光光度計で測定できる。得られたOD値は、マイクロタイタープレート内の髄膜炎菌多糖類に結合している血清中のIgG1またはIgG2抗体の量と相関している。抗体量は、血清検体におけるIgG1:IgG2比として、あるいは、適切な参照が入手できる場合には、検体中のIgG1もしくはIgG2の濃度として報告される。 VERO細胞の代謝阻害による抗ジフテリア抗体の決定 抗ジフテリア抗体の応答は、VERO細胞へのジフテリア毒素チャレンジに対する被検血清の防御能によって測定した。滅菌96ウェルマイクロタイタープレートを用い、被検血清を1:4希釈から2倍段階希釈してジフテリア毒素を用いてチャレンジし、インキュベートした。次に、VERO細胞を加え、滅菌鉱油を用いてウェルを密封し、6〜8日間インキュベートした。抗体レベルは、細胞代謝の副生成物による培地中のpH指示薬の色の変化を観察することによって判断した。結果は、較正WHO参照血清との比較によって国際ユニット(International Unit)/mlで表され、チャレンジ量のジフテリア毒素の存在下で細胞代謝が行われた最高血清希釈段階によって判断した。検出の下限は、検出可能な参照血清の最低抗毒素レベルおよび被検血清の出発希釈によって判断し、一般的には0.005IU/mlである。 ELISA法による抗破傷風抗体の決定 抗破傷風抗体レベルは、間接酵素免疫測定法(ELISA法)によって測定した。該方法においては、プラスチックのマイクロタイタープレートに吸着させた破傷風トキソイドに被検血清中の抗体を反応させる。結合抗体の量は、アルカリホスファターゼにコンジュゲートしさせたヤギ抗ヒトIgG特異抗体を用いた反応によって測定した。次に、アルカリホスファターゼ基質を用いた反応により、発色生成物が得られ、これは分光光度計で測定できる。得られたOD値は、マイクロタイタープレートに被覆した抗原に結合している血清中の抗体量と相関している。抗体濃度は、パラレルライン分析法(Parallel Line method)により、単位規定されている国際ヒト参照物質(international human reference)(WHO Lot TE-3)と比較することによって計算した。結果は国際ユニット/ml(IU/ml)で表した。抗破傷風IgG ELISA法の最少定量レベルは0.01IU/mlであり、このレベルより低い値を示したサンプルについては、<0.01IU/mlと表現した。 本明細書において記載している「副作用(Adverse Event)」、「重篤な副作用(Serious Adverse Experience)」および「予期しない副作用(Unexpected Adverse Experience)」という語は、ワクチン業界では周知である。安全性データは、標準的な臨床試験に従ってまとめられ、分析されており、それらには、臨床試験期間中にワクチン接種を受けたすべての協力者に関する評価が含まれている。一般的には、上記の各用語は以下のような意味で使用されている。 副作用(AE)は、「薬剤を投与された患者または臨床研究対象における不都合な医学的症状であって、処置との因果関係は不要である。故に、副作用とは、薬剤(研究用新薬)の使用と一時的に関連のある不快かつ意図しない兆候(実験上の異常所見を含む)、症状、または疾病であって、該薬剤(研究用新薬)との関係は問わない」と定義される(ICHガイドライン、GCP(E6)1.2章)。 重篤な副作用(SAE)は、「任意の投与量において生じる任意の反作用であって、次のいずれかの結果に至るもの:死亡、生命を脅かす副作用、患者の入院もしくは入院期間の延長、持続性または顕著な障害/無能力、または、先天性奇形/先天的欠損症など。死には至らないが、生命を脅かす、あるいは入院を必要とする重要な医学的事象は、重篤な薬物副作用と考えられるが、それらは、適切な医学的判断に基づき、患者もしくは対象が危険にさらされた場合、ならびに、内科的もしくは外科的介入を行い、本定義中に列記した症状のうちのひとつを阻止する必要がある場合である。そのような医学的事象の例としては、救急処置室もしくは自宅で集中治療を要するアレルギー性気管支けいれん、入院には至らない血管疾患もしくはけいれん、または、薬物依存もしくは薬物乱用の進行などが挙げられる」と定義される(21 CFR 第1章312.32(a))。 予期しない副作用(UAE)は、「任意の薬物反作用であって、それらの特異性もしくは重篤度が現存の研究論文と一致しないもの;あるいは、研究論文の要不要に関わらず、それらの特異性もしくは重篤度が、一般的な研究計画もしくは改訂された現行用途に記載されている危険情報と一致しないもの」と定義される(21 CFR第1章312.32)。 試験は標準的診療に従って行われ、試験における患者の登録もしくは除外基準は以下の通りである: 登録基準 1.病歴および内診によって判断されたように健康である。 2.ワクチン接種時に少なくとも11歳であり、かつ19歳未満である。 3.親/保護者または協力者が、施設再評価委員会(Institutional Review Board:IRB)承認インフォームドコンセント用紙に署名している。 4.協力者が施設再評価委員会(IRB)承認同意用紙に署名している。 除外基準 1.重篤な慢性疾患(すなわち、心臓病、腎疾患、神経性疾患、代謝疾患、リウマチ症など)。 2.免疫機能の損傷が既知である、または疑われる患者。 3.72時間以内に発熱を伴う、もしくは伴わない、または、口腔内温度が≧38℃(100.4F)の急性の医学的疾病。 4.記録されている侵襲性髄膜炎の病歴、または髄膜炎ワクチン接種歴。 5.ワクチン試験実施の3ヶ月以内に免疫グロブリン、その他の血液製剤を投与されている、または、6週間以内にコルチコステロイドもしくはその他の免疫調節療法を経口または注射投与されている。経口ステロイドの漸減投与スケジュールの残りが7日未満である場合は、登録前2週間以内にそれ以外の治療コースを受けていない限りは、登録できる。 6.ワクチン接種前72時間以内に抗生物質治療を受けている。 7.登録前28日以内に何らかのワクチンを接種している、または登録後28日以内に、当該試験での追加ワクチン接種を除く何らかのワクチン接種の予定がある。 8.任意のワクチン構成成分に対して過敏症が予測される、または既知である。 9.全試験期間を全うできない、または予定された通院日に通院できない、もしくは試験手順を遵守できない。 10.別の臨床試験に登録している。 11.治験者の見解に基づき、患者の健康に危険を生じる、またはワクチンの評価が干渉されるような任意の条件がある。 12.女性においては、ワクチン接種時に尿による妊娠検査が陽性または不確定。 実施例10:試験A−投与量試験 試験Aは、3つの年齢群に分けた協力者に対し、3段階の投与量レベルのTetraMenDワクチンについて、盲検ではなく、ラベルを明らかにして行った増量試験である。90人の健康な成人(18〜55歳)を第I期試験に登録し、TetraMenDワクチンを1回注射した。30人の健康な小児(12〜22ヶ月)を第II期試験に登録し、単回投与量のTetraMenDワクチンを2回注射した。90人の健康な乳児(6週〜12週)を第III期試験に登録し、単回投与量のTetraMenDワクチンを3回注射した。 18〜55歳の成人における第I期投与試験 本臨床試験は、3つの年齢群に分けた協力者に対し、3段階の投与量レベルのTetraMenDワクチンについて、盲検ではなく、ラベルを明らかにして行った増量試験である。第I期試験においては、90人の健康な成人(18〜55歳)にTetraMenDワクチンを単回注射した。 成人協力者に対しては、血清学的分析用の血清サンプルは、TetraMenD接種前のベースライン(0日目)、TetraMenD接種後28日目に採取した。分析可能なすべての検体について、髄膜炎菌血清群A、C、YおよびW-135に対するSBAに関して、ならびにこれらの血清群に対するIgG抗体についてELISA法により、分析した。すべての血清群に関するSBAおよびIgG ELISAの治験については以下にまとめている。 ひとつの重要な免疫原性終末点は、ベースラインから4倍以上上昇した協力者の割合である。SBAについて、4倍以上の上昇を示した協力者には、何がベースラインSBA力価に影響を及ぼしたのかを判断することを目的として、各特定抗原に対するベースライン力価が1:64以下の成人、および特定抗原に対するベースライン力価が少なくとも1:64であった成人についてサブグループ分析を行った。 TetraMenDの安全性プロファイルは、Menomuneのそれと類似していた。本試験の結果は以下の表にまとめている: 表A−5は、投与量、患者の年齢および血清群によるGMTを表している: 12ヶ月から22ヶ月の幼児における第II期試験 本臨床試験は、3つの年齢群に分けた協力者に対し、3段階の投与量レベルのTetraMenDワクチンについて、盲検ではなく、ラベルを明らかにして行った増量試験である。第II期試験においては、30人の健康な小児(12〜22ヶ月)にTetraMenDワクチンを2回注射した。 幼児協力者に対しては、血清学的分析用の血清サンプルは、3つの時点で採取した:TetraMenDの1回目接種前のベースライン(0日目)、開始60日目(1回目の接種から60日後であり、2回目接種の直前)、および開始90日目(2回目接種から30日後)。分析可能なすべての検体について、髄膜炎菌血清群A、C、YおよびW-135に対するSBAに関して、ならびにこれらの血清群に対するIgG抗体についてELISA法により、分析した。結果は以下の表にまとめている。 表11は、投与量、患者の年齢および血清群によってGMTをまとめたものである。 第III期試験:乳児における投与量試験 本臨床試験は、3つの年齢群に分けた協力者に対し、3段階の投与量レベルのTetraMenDワクチンについて、盲検ではなく、ラベルを明らかにして行った増量試験である。第III期試験においては、90人の健康な乳児(6〜12週)にTetraMenDワクチンを3回注射した。 乳児協力者には、月齢2ヶ月時(1回目接種)、月齢4ヶ月時(2回目接種)および月齢6ヶ月時(3回目接種)にTetraMenDを注射した。血清学的分析用の血清サンプルは、2つの時点で採取した:月齢6ヶ月時(2回目接種から2ヶ月後)、および月齢7ヶ月時(3回目接種から1ヶ月後)。分析可能なすべての検体について、髄膜炎菌血清群A、C、YおよびW-135に対するSBAに関して、ならびにこれらの血清群に対するIgG抗体についてELISA法により、分析した。すべての血清群に関するSBAおよびIgG ELISAの結果を以下にまとめている。結果は以下の表にまとめている。 表A−16は、投与量、患者の年齢および血清群によってGMTをまとめたものである: 乳児においてTetraMenDと同時投与される小児科用ワクチン 現在、乳児は、最新ACIP勧告および地域の開業医により、定期的に小児科用ワクチンの接種を受けている。本試験においては、乳児に、小児科用ワクチンとともにTetraMenDを投与した。DTacP(Tripedia(登録商標))およびHib(Act HIB(登録商標))は、月齢2、4および6ヶ月時に接種した。IPVまたはOPVのいずれでも投与できる:IPVは、TetraMenDの1回目および2回目の注射(月齢2ヶ月時および4ヶ月時)とともに投与した。B型肝炎ワクチンは地域の開業医ごとに投与した;B型肝炎ワクチンは、一部の協力者に対しては月齢2ヶ月時に投与したが、月齢4ヶ月時または6ヶ月時においては、投与しなかった。乳児段階の本試験の実施中には、RotaShield(登録商標)が認可され、通常使用に関してACIP勧告を受けた。本試験実施下において、1人の協力者については、月齢4ヶ月時および6ヶ月時にRotaShieldを投与した。 定期的に投与した小児科用ワクチン抗原に対する抗体応答は、月齢6ヶ月時および7ヶ月時に評価した。結果は別異の表にまとめている。 本試験に協力した乳児は、月齢2、4および6ヶ月時にDTacPおよびPRPのワクチン接種を受け、これらのワクチンの3回目の接種から1ヶ月後の月齢7ヶ月時に採血を行った。これらのワクチン抗原(ジフテリア、破傷風、百日咳FHA、百日咳PTおよびPRP)の各々に関しては、TetraMenDの3つの投与量群間で、観察された抗体レベルに統計的有意差は認められなかった(すべてp値>0.05)(表A−17参照)。 本試験の状況においては、IPVは、月齢2ヶ月時および4ヶ月時に投与した。2回目のIPV投与から3ヶ月後の月齢7ヶ月時に採血を行った。ポリオ1型およびポリオ2型に関しては、TetraMenDの3つの投与量群間で、観察されたGMTは、NA≧1:4の集団とNA≧1:8 の集団との間に統計的有意差は認められなかった(すべてp値>0.05)。NA≧1:8 の集団の場合には、TetraMenDの3つの投与量群間すべてにおいて、少なくとも95.0%がポリオ1型およびポリオ2型に対して防御を示した。ポリオ3型に関しては、1μg、4μgおよび10μgにおけるGMTは、それぞれ、562.7、164.0および113.3であった。ポリオ3型のGMTの群間差は統計的に有意であった(p=0.001、ANOVA)。しかしながら、TetraMenDの3つの投与量群のすべてにおいて、NA≧1:8 の集団は、ポリオ3型に対して防御を示した(それぞれ、100.0%(22/22)、100.0%(21/21)、および94.1%(16/17))。これらの集団については統計的に有意差はない(p=0.283、フィッシャーの正確検定(Fisher's exact test))。さらに、本試験に使用したIPVワクチン接種スケジュールである月齢2ヶ月および4ヶ月時に行ったIPVの2回の投与後、3つのポリオ血清型に対して観察されたGMTは、文献値の範囲内であった。 月齢7ヶ月時の採血は、最終のB型肝炎ワクチン接種から5ヶ月後に行った。GMTによるB型肝炎表面抗体の観察レベルと≧10mIU/mlの集団は、TetraMenDの3つの投与量群間で統計的有意差を示さなかった(両者ともp値は≧0.649)。注目すべき点は、本試験においては、月齢6ヶ月時の来院においてB型肝炎ワクチン接種を受けた乳児はいないことである(月齢6ヶ月時というのは、B型肝炎ワクチンの3回目の接種時期として推奨されている時期のうち、最も早期である)。このことにより、B型肝炎表面抗体価が≧10mIU/mlであった月齢7ヶ月の乳児の集団は、該ワクチンの初回投与後に観察された検出可能な抗体についての文献記載範囲と一致するが、完全に3回のワクチン接種が終わった後に期待される防御抗体レベルよりも低かったことの説明がつく。本試験の結果は、以下の表にまとめている。 実施例11:試験B−2〜10歳の小児における1ヶ月および6ヶ月試験 本試験は、年齢2〜10歳の健康な小児におけるランダムな活性制御試験であり、TetraMenD単回投与とMenomuneの単回投与とを比較した。血液検体は、ワクチン接種前の0日目、接種後28日目、および6ヶ月目に採取した。TetraMenDの全般的な安全性は、Menomuneと同等であった。本試験の結果は以下の表にまとめている。 SBA-BR抗体価の分布 表B−1は、各血清群におけるベースライン、接種後28日目および6ヶ月目のSBA-BR抗体価の度数分布を示す: 表B−2は、TetraMenDに関し、対象の年齢および血清群による幾何平均力価(GMT)をまとめたものである: 表B−3は、血清群A、C、YおよびW-135に対し、ベースラインから接種後28日目の間にSBA-BR抗体価が4倍以上上昇した協力者の数および割合を示したものである。各血清群において、これらの%は、Menomune群よりもTetraMenD群の方が高かった。割合の差異は、血清群A、C、YおよびW-135について、それぞれ、−0.0397、−0.0452、−0.1092および−0.0562であった: ワクチン接種後28日目において、SBA抗体価が32以上であった協力者の割合については、表B−3にまとめている: ワクチン接種後28日目において、SBA抗体価が128以上であった協力者の割合については、表B−4にまとめている: SBA-BR抗体価が少なくとも4倍上昇した協力者の割合 表B−5は接種与後28日目および6ヶ月目のSBA抗体価が4倍以上上昇した協力者の割合を示している。TetraMenDを接種後28日目から56日目においては、大多数の協力者で、ワクチンに含有されている各血清群に対して、SBA-BR抗体価が4倍以上上昇した: 0日目に力価が検出されず(8未満)、接種後28日目にSBA-BR抗体価が4倍以上上昇した協力者の割合 両方のワクチン処置群およびすべてのワクチン血清群において、ベースラインではSBA-BR抗体価が検出できなかった(8未満)大多数の協力者は、接種後28日目にはSBA力価が4倍以上上昇した(表B−6)。0日目にSBA-BR抗体価が8未満であって、ベースラインから28日目の間に4倍以上上昇した協力者の割合は、TetraMenD接種群では86.21〜98.57%、Menomune接種群では75.00〜94.64%であった: SBA-BR抗体のGMTおよび上昇の平均 表B−7は、ベースライン、ならびにワクチン接種後28日目および6ヶ月目のSBA GMT、さらに、SBA GMTの上昇を示している: 血清群A、C、W-135およびYに関するELISA IgG 表B−8は、ベースライン、ならびにワクチン接種後28日目および6ヶ月目のIgG GMCおよびIgG GMCの上昇を示している: 試験ワクチンであるTetraMenDを接種してから28〜56日後には、大多数の協力者において、ワクチンに含まれている各血清群に対してSBA-BR抗体価が4倍以上上昇した。全体としては、TetraMenDを接種されたうちの77%は、すべての血清群にわたって抗体価が4倍以上上昇した。血清群Yについては、CもしくはW-135よりもワクチン接種前の抗体レベルが高かった。このことは、この年齢層における血清群Yに対する自然暴露がこれまで考えられていたよりも一般的に生じていることと関係があると考えられる。循環抗体レベルの高さは、最近、自然暴露したことを反映しており、4倍以上の抗体応答を示すワクチン接種者の割合が低下した。このことは、血清群Yを他の血清群と比較した場合にはっきりと現れる。血清群Yで4倍以上の上昇を示した協力者は56.6%であったのに対し、血清群Cでは73.4%、血清群Aでは87.7%、および血清群W-135では91.0%であった。ワクチン接種前の抗体レベルは血清群Aでも高かった。このことは、天然に存在する数種の交差反応抗原に長時間にわたって間欠的に暴露された結果だと考えられる。 既存の力価の影響をさらに評価し、セロコンバージョンの速度(投与前において任意の血清群に対する力価が<1:8である場合に、抗体価の上昇が4倍以上に達した協力者の割合によって定義される)を研究することを目的として、ワクチンに含まれている4つの血清群のうちの任意のひとつに対するワクチン接種前の抗体価が<1:8である協力者に関し、個別に分析を行った。補体源として仔ウサギを用いたSBAアッセイによる力価が<1:8であるということは、循環抗体レベルが検出不能だと考えられる。この分類を用いて協力者を評価したところ、TetraMenDワクチン接種後のセロコンバージョンの割合は、血清群Aについては98.6%、血清群Cについては87.9%、血清群W-135については96.0%、および血清群Yについては86.2%であった。 軍の新兵における知見に基づき、ゴールドシュナイダー(Goldschneider)は、ヒト補体源を用いたSBAアッセイによって示された≧1:4という最少力価は、血清群Cに対する侵襲性疾患からの防御と相関していたと提唱している。しかしながら、アッセイの標準化の必要性、およびヒト補体の信頼性のある供給源の欠如から、代替補体供給源として仔ウサギ補体が提案されている。髄膜炎菌は、ヒト補体よりも仔ウサギ補体に対して感受性が高いと考えられることから、測定された抗体価は高くなる。一部の研究者は、ウサギ補体を用いて得られた≧1:128という力価では防御が予測され、<1:8という力価では、少なくとも血清群Cに対して感受性が予測されると示唆している。多糖類ワクチンを評価する場合にはこのレベルは適切と考えられるが、コンジュゲートワクチンには適用できない可能性がある。この考えを借用すると、ワクチン接種後のSBA抗体価が8〜64を示す対象に、1価Cコンジュゲートワクチンを接種した場合には、数ヶ月後に減量(10μg)髄膜炎菌多糖類ワクチンを用いて記憶応答試験を行ったときに、これらの対象も防御されていることが示され、抗体レベルは≧1:128に達していた。TetraMenDワクチンの接種を受け、各血清群に対するSBA-BR抗体価が≧1:128であった対象に関する結果を表に示している。これらの分類をワクチンに含まれている各血清群に適用した場合には、全体としては、TetraMenDワクチンの接種を受けた協力者の96.2%においてワクチン接種後のSBASBA-BR抗体価が≧1:32に達し、90.5%においては、力価が≧1:128に達した。本臨床試験の血清の一部を用い、仔ウサギ補体を用いたSBAアッセイとヒト補体を用いたアッセイとの間の相関を評価し、結果は次の試験において示した。 総IgG応答は、血清群C、YおよびW-135に対しては、TetraMenDを接種した群よりも、Menomune接種群の方が顕著に高かった。しかしながら、血清群A、C、YおよびW-135に対するワクチン接種後のSBA GMTレベルは、TetraMenD接種群の方が顕著に高かった。 表B−9は、血清群によるGMC対GMT力価の比較を示したものである: コンジュゲートによって得られた低レベルのIgGは、多糖類ワクチンよりも高いレベルの殺菌活性を示したという知見から、コンジュゲートワクチンに対する抗体応答の質および親和性は、非コンジュゲート多糖類ワクチンによって得られたそれらよりも優れていることが強く示唆される。親和性の高い抗体は、機能活性および記憶応答と関連がある。この効果は、いくつかの既出研究においても観察されている。これらのデータから、TetraMenDは、2〜10歳の小児においては免疫原性が高く、TetraMenD群において観察されたGMTは、4つの血清群それぞれについて、Menomune群において観察されたそれらよりも優れており、到達した力価から防御が予測された。最後に、ワクチンに含まれている各血清群について、TetraMenDはより高い親和性抗体応答を呈すると考えられる。 安全性については、試験中、4時点でモニターした:即時応答(ワクチン接種後30分以内)、ワクチン接種後7日以内に誘起された局所および全身性反応、ワクチン接種後28日目までに生じたすべての副作用および持続性のAE(0〜28日目)、ならびにワクチン接種後0日目から6ヶ月目までに生じた重篤な副作用について報告した。 すべての協力者について、両処置群ともに、ほとんどの局所反応は、緩和なものであり、ワクチン接種から3日以内に解消したと報告されている。局所反応の出現頻度は、各処置群でほぼ同等であった。TetraMenDを接種されて群においては、58.8%で少なくともひとつの局所反応が報告されているが、Menomune接種群では58.3%であった。さらに、1価のC CRM197コンジュゲートワクチンを青年に筋肉内投与したところ、局所反応率は、本試験においてTetraMenDについて観察されたそれと非常に近似していた。 報告されているAEの大多数は重篤ではなく、一過性であり、ワクチン接種とは無関係であった。本試験においては、気管支喘息、糖尿病または自己免疫正疾患の新規発症は報告されていない。 実施例12:試験C−11〜18歳の小児における1ヶ月試験 試験Cは、11〜18歳の健康な小児に対し、0日目にTetraMenDを1回投与した場合とMenomuneを1回投与した場合の無作為化活性対照試験である。血清は、ワクチン接種前である0日目、および接種後28日目に採取して分析し、患者由来の血清のサブセットについて、結果に記載しているようにさらに評価を行った。 すべての協力者において、両処置群で誘起された局所反応のほとんどは、緩和であり、ワクチン接種から2日以内に解消したと報告されている。局所反応の出現頻度は、Menomune接種群(34.7%)よりもTetraMenD接種群(72.4%)の方が高かった。この結果は、投与経路(筋肉内投与)によるものというより寧ろコンジュゲートワクチン(ジフテリアキャリヤータンパク質)の性質によるものと考えられる。本試験の結果を以下の表にまとめている。 表C−1は、各血清群について、ベースラインおよび接種後28日目のSBA-BR抗体価の度数分布を示している: 表C−2は、TetraMenDに関し、対象の年齢および血清群によってGMTレベルをまとめたものである: 表C−3は、血清群A、C、YおよびW-135について、ベースラインから接種後28日目の間のSBA-BR抗体価の上昇が4倍以上であった協力者の数および%を示している。各血清群において、これらの割合は、Menomune投与群よりもTetraMenD投与群の方が高かった: SBA-BR抗体価が32以上になる頻度 ワクチン接種後28日目におけるSBA-BR抗体価が32以上であった協力者の割合を表C−4にまとめた: SBA-BR抗体価が128以上になる頻度 ワクチン接種後28日目におけるSBA-BR抗体価が128以上であった協力者の割合を表C−5にまとめた: SBA-BR抗体価が4倍以上上昇した協力者の割合 表C−6は、28日目におけるSBA抗体価の上昇がベースラインの4倍以上であった患者の割合を示している: SBA-BR抗体価が0日目には検出できず(<8)、28日目には4倍以上上昇していた協力者の割合 両処置群およびすべてのワクチン血清群において、ベースラインではSBA力価が検出できなかった大多数の協力者で、28日目にはSBA力価が4倍以上上昇した。0日目のSBA-BR抗体価が<8であって、28日目におけるベースラインからの上昇が4倍以上であった協力者の割合は、98.17%〜100%であった(表C−7): SBA-BR抗体GMTおよび上昇倍率の平均 表C−8は、ベースラインおよびワクチン接種後28日目におけるSBA GMT、ならびにSBA GMTの上昇倍率を示す: 血清群A、C、W-135およびYに対するELISA IgG 表C−9は、ベースラインおよびワクチン接種後28日目におけるIgG GMC(μg/ml)、ならびにIgG GMCの上昇倍率を示す: 血清群A、C、W-135およびYに対するELISA IgM 試験ワクチンであるTetraMenDの接種後28〜56日の間に、大多数の協力者は、ワクチンに含まれている各血清群に対するSBA-BR抗体価が4倍以上上昇した。全体としては、TetraMenDを接種した協力者の90.7%は、すべての血清群に対して抗体価が4倍以上上昇した。血清群Yに対しては、血清群CもしくはW-135よりもワクチン接種前の抗体レベルが高かった。このことは、血清群Yが、アメリカ合衆国のこの年齢層における侵襲性髄膜炎に関与している最も一般的な血清群であるという事実と関連があると思われ、この血清群に対する自然暴露が日常的に起こっていると考えられる。循環抗体レベルが高いということは、自然暴露があったことを反映しており、4倍以上上昇の抗体応答を示すワクチン協力者の割合が低下することになる。この現象は、他の血清群と比較した場合に、血清群Yの応答に現れている。4倍上昇は、血清群Yについては81.8%であったのに対し、血清群Cでは91.7%、およびW-135では96.7%であった。接種前の抗体レベルの高さは血清群Aでも観察された。これは、天然に存在する数種の交差反応抗原に長期間間欠的に暴露された結果だと考えられる。 試験前から存在していた力価による影響をさらに評価し、セロコンバージョン率(任意の血清群に対するワクチン接種前の力価が<1:8である場合に、抗体価が4倍以上上昇したワクチン接種者の割合によって定義される)を調査することを目的として、ワクチンに含まれている4つの血清群のうちのひとつに対する抗体価がワクチン接種前に<1:8であった協力者について、個別の分析を行った。補体源として仔ウサギを用いたSBAアッセイによる力価が<1:8であるということは、循環抗体のレベルは検出不可であることを示していると考えられる。この分類を用いて協力者を評価した場合、TetraMenD接種後の血清群Aに対するセロコンバージョン率は100%、血清群Cに対しては98.1%、血清群W-135に対しては98.1%、および血清群Yに対しては98.3%であった。 別の試験の項で述べたように、ゴールドシュナイダー(Goldschneider)は、ヒト補体源を用いたSBAアッセイによる最小力価である≧1:4は、軍の新兵における知見に基づき、血清群Cに対する侵襲性疾患からの防御と相関していたと提唱している。しかしながら、アッセイの標準化の必要性およびヒト補体の信頼できる供給源がないことから、仔ウサギ補体が代替供給源として示されている。髄膜炎菌は、ヒト補体よりも仔ウサギ補体に対して感受性が高いと考えられることから、測定された抗体価は高めである。ウサギ補体アッセイを用いて得られた≧1:128という力価は、防御が予測されるが、<1:8という力価は、少なくとも血清群Cに対して感受性であることが予測されると記している研究者もいる。多糖類ワクチンの評価にはこのレベルは適切であるが、コンジュゲートワクチンに対しては不適切である可能性がある。これらの提案を借用し、1価Cコンジュゲートワクチンの接種を受け、接種後のSBA力価が8〜64を示した対象において、該接種から数ヶ月後に減量(10μg)髄膜炎菌多糖類ワクチンを用いて行った記憶応答の発現から、それらの対象も防御されており、抗体レベルは≧1:128に達していたことが示された。TetraMenDワクチンの接種を受け、各血清群に対するSBA-BR抗体価が≧1:128であった対象に関する結果を表にまとめている。これらの分類をワクチンに含まれている各血清群に適用すると、全体として、TetraMenDワクチンの接種を受けた協力者の99.2%において、ワクチン投与後のSBA-BR抗体価が≧1:128に達した。 標準的なELISAアッセイを用い、協力者の一部について、IgGおよびIgM応答を評価した。ワクチン接種後は、TetraMenDワクチンの接種を受けた協力者のIgG抗体平均レベルは、各血清群に対して>2μgであった。IgM応答は、処置した両腕の各血清群に対して非常に類似していた。IgG応答は、一般的に、血清群C、YおよびW-135については、TetraMenD接種群よりもMenomune接種群の方が高かった。しかしながら、血清群C、YおよびW-135に対するワクチン接種後のSBA GMTレベルは、表C−11に示すように、各処理群において非常に類似していた: コンジュゲートワクチンによって産生された低レベルのIgGが、多糖類ワクチンと同等レベルの殺菌活性を発揮したという知見から、コンジュゲートワクチンに対する抗体応答の質および親和性は、多糖類ワクチンによって得られるそれらよりも優れていることが強く示唆された。機能活性および記憶応答に関与しているのは、高親和性抗体である。この効果は、いくつかの既出文献においても観察されている。 これらのデータは、青年においては、TetraMenDの免疫原性が高いことを示すものである。基本的には、GMTは、両ワクチンの4つの血清群に対して同等であり、到達力価から防御が予測され、さらに、TetraMenDは、ワクチンに含まれている各血清群に対して高親和性抗体を産生すると考えられる。 試験D 試験Dは、18〜55歳の健康な成人に対し、0日目にTetraMenDを1回投与した場合とMenomuneを1回投与した場合の無作為化活性対照試験である。血清は、ワクチン接種前である0日目、および接種後28日目に採取して分析した。 一般的に、TetraMenDの安全性プロファイルは、Menomuneのそれと同程度であり、特に、Menomuneについて報告されている、誘起された局所反応(0〜7日目)、誘起された全身反応(0日目以降)、誘起されていない副作用(0〜28日目)、誘起されていない顕著な副作用およびSAE(29日〜6ヶ月目)、重篤な副作用(0日〜6ヶ月目)はすべて2〜3%以内である。試験結果は以下の表にまとめている。 SBA-BR抗体価の分布 表D−1は、各血清群に対するベースラインおよび28日目のSBA-BR抗体価の度数分布を示す: 表D−2は、TetraMenDについて、対象の年齢および血清群により、幾何平均力価(GMT)をまとめたものである: 表D−3は、血清群A、C、YおよびW-135に対し、ベースラインから28日目のSBA-BR抗体価の上昇が4倍以上であった協力者の数および割合を示している。TetraMenD接種群における数および割合は、血清群Aについては1028/1278(80.4%);血清群Cについては1131/1278(88.5%)、血清群Yについては941/1278(73.6%)および血清群W-135については1142/1278(89.4%)であり、Menomune投与群のそれと同等(血清群Aについては929/1099(84.5%)、血清群Cについては985/1099(89.6%)、血清群Yについては872/1099(79.3%)、および血清群W-135については1036/1099(94.3%))であった: SBA-BR抗体価が32以上に達する頻度 ワクチン接種後28日目にSBA-BR抗体価が32以上に達した協力者の割合を表D−4にまとめた: SBA-BR抗体価が128以上に達する頻度 ワクチン接種後28日目にSBA-BR抗体価が128以上に達した協力者の割合を表D−5にまとめた: SBA-BR抗体価が少なくとも4倍以上上昇した協力者の割合 表D−7は、ワクチン接種後28日目にSBA-BR抗体価がベースラインから4倍以上上昇した協力者の集団を示している: 0日目の力価が検出できず(<8)、28日目にSBA-BR抗体価が4倍以上上昇した協力者の割合 表D−8は、0日目の力価が検出できず(<8)、28日目にSBA-BR抗体価が4倍以上上昇した協力者の割合を示している。両処置群において、およびワクチンに含まれているすべての血清群に対し、ベースラインではSBA力価が検出されなかった(<8)協力者の大多数において、28日目のSBA力価上昇は4倍以上に達した。0日目のSBA力価が<8であって、28日目にベースラインの4倍以上上昇した協力者の割合は、TetraMenD接種群では90.7〜100.0%、Menomune接種群では96.9〜99.3%であった: 表D−9は、ベースラインおよびワクチン接種後28日目におけるSBA GMT、ならびにSBA GMTの上昇倍数を示している: 試験ワクチンであるTetraMenDを接種後28〜56日目では、大多数の協力者において、ワクチンに含まれている各血清群に対し、SBA-BR抗体価が4倍以上上昇した。抗体価が4倍以上上昇したTetraMenD被接種者の割合は、血清群A、C、YおよびW-135に対してそれぞれ、80.4%、88.5%、73.6%および89.4%であった。血清群Yについては、血清群CもしくはW-135よりもワクチン接種前の抗体レベルが高かった。このことは、現在、血清群Yが、アメリカ合衆国におけるこの年齢層での侵襲性髄膜炎疾患に最も普遍的に関与していることと関係があり、該血清群への自然暴露が日常的に起こっているからである。循環抗体レベルの高さは、最近生じた天然暴露を反映しており、抗体応答が4倍以上を示すワクチン接種者の割合が低下する。他の血清群と比較した場合に、血清群Yについてはこのようなことが起こっていると考えられる。血清群Yに対する4倍上昇者率は73.6%であり、一方、血清群Cに対しては88.5%、血清群W-135に対しては89.4%であった。ワクチン接種前に抗体レベルが高い現象は、血清群Aに対しても観察された。このことは、天然に存在する数種の交差反応抗原に長期間にわたって間欠的に暴露された結果である。 既存の力価の影響をさらに評価し、セロコンバージョン率(投与前において任意の血清群に対する力価が<1:8である場合に、抗体価の上昇が4倍以上に達した協力者の割合によって定義される)を研究することを目的として、ワクチンに含まれている4つの血清群のうちの任意のひとつに対するワクチン接種前の抗体価が<1:8である協力者に関し、個別に分析を行った。補体源として仔ウサギ抗体を用いたSBAアッセイにより、力価が<1:8であるということは、検出不能なレベルの循環抗体が存在することを示していると考えられる。この分類を用いて協力者を評価したところ、TetraMenDワクチン接種後のセロコンバージョン率は、血清群Aについては、100%、血清群Cについては、99.4%、血清群W-135については96.5%、および血清群Yについては90.7%であった。 本発明に従う別の試験においてもすでに述べたように、軍の新兵における知見に基づき、ゴールドシュナイダー(Goldschneider)は、ヒト補体源を用いたSBAアッセイによって示された≧1:4という最少力価は、血清群Cに対する侵襲性疾患からの防御と相関していることを提唱している。代替補体供給源として仔ウサギ補体が提案されているが、髄膜炎菌は、ヒト補体よりも仔ウサギ補体に対して感受性が高いと考えられることから、測定された抗体価は高くなる。ウサギ補体を用いて得られた≧1:128という力価では防御が予測され、<1:8という力価では、少なくとも血清群Cに対して感受性が予測されると提案している研究者がいる。多糖類ワクチンを評価する場合にはこのレベルは適切と考えられるが、コンジュゲートワクチンには適用できない可能性がある。この考えを借用し、ワクチン接種後のSBA-BR抗体価が8〜64倍を示す対象に、1価Cコンジュゲートワクチンを接種し、数ヶ月後に減量(10μg)髄膜炎菌多糖類ワクチンを用いて記憶応答試験を行った場合には、これらの対象も防御されていることが示され、抗体レベルは≧1:128に達していた。これらの分類をワクチンに含まれている各血清群に適用した場合には、TetraMenDワクチンの接種を受けた後にSBA-BR抗体価が≧1:128に達した協力者の割合は、血清群Aについては99.8%、血清群Cについては98.7%、血清群Yについては96.9%、および血清群W-135については97.1%であった。 実施例13:試験E−10〜18歳の小児におけるTdブースター試験 本試験では、破傷風およびジフテリアのトキソイド(Td)のブースター応答に関して、実験用4価髄膜炎菌ジフテリアコンジュゲートワクチンであるTetraMenDに続いてTdを接種した群をTd+プラセボを投与した群と比較した。比較は、それぞれの破傷風およびジフテリア力価において許容される応答を示した協力者の割合を求めることによって行った。許容される応答とは、ワクチン接種後28日目において、ワクチン接種前の力価が低いとあらかじめ判断された協力者については、ベースラインから少なくとも4倍上昇、ワクチン接種前の力価が高いと判断された協力者については、ベースラインから少なくとも2倍上昇と定義した。 Tdとともに投与した場合のTetraMenD中の血清群A、C、YおよびW-135に対する抗体応答を、Tdワクチン接種から28日後にTetraMenDを投与した場合の応答と比較することを目的として、各血清群の力価の上昇が少なくとも4倍であった協力者の割合を求めた。 これは、複数研究機関における無作為化変形二重盲検活性臨床試験であり、計1024人の協力者を無作為に2つの処置群AおよびBに分けた: 11〜17歳の年齢層を選択し、通常の小児免疫化スケジュールの一環としてTdワクチンを接種した。さらに、この年齢層は侵襲性髄膜炎の発症リスクが高いことが確認されており、承認された髄膜炎菌コンジュゲートワクチンの接種対象として最もふさわしいと考えた。安全性を適正に評価することを目的として、プラセボ対照を用いた変形二重盲検法を使用した。初回来院時、ワクチン接種を行った看護士は接種物の内容を知っており、プロトコールに従って各腕にワクチン接種を行った:右腕にTetraMenD(IM)またはプラセボ、左腕にTd。二回目の来院時には、各処置群の左腕にワクチンを接種した。評価を行った看護士は、条件を知らない状態で、局所および全身性反応、並びに副作用をモニターした。 血清学的検査用の血液検体(少なくとも5mlの全血)は、ワクチン接種前の0日目(ベースライン)および1回目のワクチン接種後28日目に採取した。3回目の採血は、2回目の来院から28日後に行った。これらの各時点において、髄膜炎菌血清群A、C、YおよびW-135、抗ジフテリア抗体ならびに抗破傷風抗体について血清をアッセイした。 TetraMenD被接種者の抗体機能の評価を目的として、ワクチンに含まれている各血清群に対し、仔ウサギ補体(SBA-BR)を用い、すべての可能な検体をSBAに関してアッセイした。ひとつの免疫学的目標点は、各処置群中において、SBA-BR抗体価が4倍以上上昇した協力者の比率である。抗ジフテリア抗体レベルは、被検血清がジフテリア毒素チャレンジからVero細胞を防御する能力によって測定した。抗破傷風抗体レベルは、間接酵素免疫測定法(ELISA法)によって測定した。 本試験では、初期試験(試験C)でTetraMenDを1回投与した協力者内のGMTから求められた血清群A、C、YおよびW-135に対するTetraMenDの抗体応答を、Tdワクチン接種後28日目にTetraMenDとTdとを同時に投与した患者における応答と比較した。 血清学的分析用の血清検体は、ワクチン接種前のベースライン(0日目)、ならびにワクチン接種後28日目(ウィンドウ:+28日)および6ヶ月目に採取した。破傷風トキソイドおよびジフテリアトキソイド(Td)のワクチンに対する抗体価は、ワクチン接種前およびワクチン接種後28日目に測定した。 髄膜炎菌血清群A、C、YおよびW-135に対するSBA-BR抗体価は、ワクチン接種前およびワクチン接種後28日目に入手できたすべての血清検体について測定した。全体としては、A群およびB群の安全性プロファイルは同等であった。本試験の結果は以下の表にまとめている。 表E−1は、対象の年齢および血清群によってGMTレベルをまとめている: 表E−2は、28日目に破傷風およびジフテリアの抗体が少なくとも4倍または2倍上昇した協力者の数および比率を示している: 血清群A、C、YおよびW-135に対する破傷風およびジフテリアの抗体価ならびにSBA抗体価 表E−2は、28日目に破傷風およびジフテリアの抗体が少なくとも4倍または2倍上昇した協力者の数および比率を示している。比率の差は、破傷風については2.78、ジフテリアについては−2.73であった: 表E−3は、28日目に抗体価が少なくとも4倍上昇した協力者の数および比率を示している: 表E−4は、ベースラインでジフテリアおよび破傷風の抗体価が高かった協力者の数、ならびに、28日目に抗体価が2倍上昇した協力者の数および比率を示している: 表E−5は、ベースラインでジフテリアおよび破傷風の抗体価が低かった協力者の数、ならびに、28日目に抗体価が4倍上昇した協力者の数および比率を示している: 表E−6は、破傷風およびジフテリアのワクチンをTetraMenDまたはプラセボと共に投与してから28日目において、破傷風およびジフテリアの抗体価が≧1.0IU/mlであった協力者の数および比率を示している: 表E−7は、破傷風およびジフテリアのワクチンを接種(TetraMenDまたはプラセボと共に投与)してから28日目における、破傷風およびジフテリアに対する幾何平均抗体価(GMT)を示している: 表E−8は、TetraMenDワクチン接種後28日目における、血清群A、C、YおよびW-135に対するSBA-BRについての幾何平均抗体価(GMT)を示している: 表E−9は、Td+TetraMenD、プラセボ群において、TetraMenDワクチン接種後28日目における、血清群A、C、YおよびW-135に対するSBA-BRについての幾何平均抗体価(GMT)、ならびにMTA02試験から得られた対応する結果を示している。GMT比率は、血清群Aに対しては0.48、血清群Cに対しては0.38、血清群Yに対しては0.34、および血清群W-135に対しては0.39であった: 表E−10は、Td+プラセボ、TetraMenD群において、TetraMenDワクチン接種後28日目における、血清群A、C、YおよびW-135に対するSBA-BRについての幾何平均抗体価(GMT)、ならびにMTA02試験から得られた対応する結果を示している。GMT比率は、血清群Aに対しては0.53、血清群Cに対しては0.90、血清群Yに対しては0.99、および血清群W-135に対しては1.05であった: 表E−11は、プロトコールごとの集団(Per-Protocol Population)において、血清群ごとに0日目およびTetraMenDワクチン接種後28日目におけるSBA-BR抗体価の分布を示している(SBA-BR抗体価は<8〜1024)。 表E−12は、プロトコールごとの集団(Per-Protocol Population)において、血清群ごとに0日目およびTetraMenDワクチン接種後28日目におけるSBA-BR抗体価の分布を示している(SBA-BR抗体価は2048〜524288): 関連した試験を行い、MCV-4ワクチンの安全性および免疫原性の評価を行ったが、これは、健康な10〜17歳の青年に対し、認可されたTdワクチンと共にMCV-4ワクチンを投与して行った。概説すると、複数研究施設での無作為試験において、健康な10〜17歳(平均年齢12.9歳)の集団に、TetraMenD(MCV-4)+Tdを同時(n=509)または1ヶ月の間隔をあけて別々の通院時に(n=512)接種した。別々にまたは同時に投与した2つのワクチンに対する安全性評価は、ワクチン接種後8日目および28日目に収集した。免疫応答については、ワクチン接種の4週間前および接種4週間後において、ジフテリアおよび破傷風の抗体価、ならびに髄膜炎菌血清群に対する血清殺菌活性(SBA)によって評価した。Tdを単独投与された対象に関する安全性プロファイルは、Td+TetraMenDを接種された対象のそれと類似していた。破傷風またはジフテリアのトキソイドに対する免疫応答は、Td+TetraMenDの同時投与によって干渉されなかった。4つの血清群に対するSBA応答については、以下の表E−14にまとめている: 本試験は、TdとTetraMenDの同時投与は被検対象に対して安全かつ十分許容されることを示している。TetraMenD+Tdの同時投与は、破傷風およびジフテリアのトキソイドに対する免疫応答に悪影響を及ぼさない。血清群C、YおよびW-135多糖類に対する免疫応答は、MCV-4をTdと同時投与した場合に増強された。本試験において観察された免疫応答の増強は驚くべきことであり、予期しなかったことであった。 実施例14:髄膜炎菌血清群C、W-135およびYに関し、仔ウサギ補体を用いた血清殺菌アッセイとヒト補体を用いたそれとの比較 本試験においては、試験Aの第III期の試験で得られた血清サンプルのサブセットを用い、血清群C、W-135およびYに関して、SBA-BR力価を用いて得られた結果とSBA-HC力価を用いて得られたそれとを比較した。本試験に登録された対象は、2歳以上11歳未満であり、2つのワクチン接種群のうちのひとつに無作為に割り振った。ベースライン(ワクチン接種前)およびワクチン接種後28日目に、各対象から約5mlの全血を採取した。対象から採取した血液検体は、採血から4時間以内に遠心分離した。凝塊から血清を取り出し、ラベルを貼付した冷凍管に移し、温度管理冷凍庫中、−20℃以下で保存した。本報告中で分析に使用したすべてのサンプルは、臨床試験に登録されている最初の対象に由来する血清と対をなしており、計画されたすべての試験を遂行するのに十分な量があった。すべてのサンプルは、4歳由来のひとつを除き、2歳および3歳の対象由来である。治療目的(intent-to -treat)に属する対象が2人いた。ひとりは、TetraMenDワクチン接種群(ワクチン接種後28日目のサンプルを24日目に採取)であり、もうひとりはMenomuneワクチン接種群(ワクチン接種後28日目のサンプルを9日目に採取)である。 仔ウサギ補体(Pel-Freez(登録商標)、クリニカル・システムズ(Clinical Systems)LLC、ウィスコンシン州ブラウンディア、製品コード31038)は、各血清群特異的アッセイにおける適正について事前スクリーニングが行われている。適正に関する基準としては、事前に確認済みのウサギ補体のロットを用い、規定のセットの血清サンプル(2倍希釈以内)に対して行うSBA-BR試験結果との一致などが挙げられる。標準血清および対照サンプルについて、事前測定力価を一致させるための基準も用いた。ウサギ補体の2.5mlのアリコートは、使用まで−70℃以下で保存した。いったん溶融したアリコートは使用するかまたは廃棄した。 登録されている対象由来の血清は、ELISA法によって抗髄膜炎菌多糖類IgGおよびIgMのレベルをスクリーニングし、さらに、機能抗体に対してSBA-BRを試験し、SBA-Hで使用するための補体源としての能力を確認した。ヒト補体源の選択用に確立された基準は次のようなものである:(1)SBA-BRアッセイでアッセイした場合に、抗体が検出されない;(2)アッセイにおいて補体源として使用した場合に、内因性の殺菌活性を有しない;(3)負の対照のパネル(レイ・ボロウ(Ray Borrow)博士により、独立した外部の研究所で行われた事前の試験で陰性結果がで出ている血清を使用)と共に補体源として使用した場合に、挙動が許容できるさらに、(4)24個のサンプルからなるパネルでの再現性が許容できる。各血清群特異的アッセイにおいて使用した外部補体源は、別異の対象由来である。ひとつ以上の血清群に対して作用する補体源は見つからなかった。さらに、SBAアッセイに使用した3つの補体源は、各血清群につき一人のドナーに由来していた。 血清群C 数人の対象から得た血清が、許容される低いELISA値を示し(IgGおよびIgMに対して0.5μg/ml以下)、殺菌活性を示した。 血清群Y 血清群YのSBA-Hに対する補体源は、採取プロトコールに登録されている対象から選択した。補体源由来の血清は、ELISAにより、血清群YのIgGおよびIgM抗体のレベルが低いことが示され、SBA-BRアッセイでは陰性であった。補体源由来の血清は、SBAに使用した場合に内因性殺菌活性を示さなかった。 血清群W-135 血清群W-135のSBA-Hに対する補体源は、採取プロトコールに登録されている対象から選択した。補体源由来の血清は、ELISAにより、血清群W-135のIgGおよびIgM抗体のレベルが低いことが示され、SBA-BRアッセイでは陰性であった。補体源由来の血清は、SBAに使用した場合に内因性殺菌活性を示さなかった。 血清殺菌アッセイ 概説すると、髄膜炎菌血清群C、YおよびW-135の各株は、ジョージア州アトランタにある疾病対策センター(Centers for Disease Control:CDC)から入手した。細菌の標的株は、血清群C、YおよびW-135の有効種晶ロット(working seed lot)バイアルを用時融解したものからアッセイ用に調製した。各バイアルの内容物をサイヤー−マーチンプレート(Thayer-Martin plate)に画線し、それらを5%CO2下、37±0.5℃で一晩インキュベートした。翌日、単離したコロニーを滅菌綿棒で集め、周囲温度に暖めた新しいサイヤー−マーチンプレートプレートの全表面に接種した。プレートは、5%CO2下、37±0.5℃で4時間インキュベートすることにより、細菌の増殖がコンフルエントに達して薄膜を形成し、これらを滅菌綿棒で回収し、ダルベッコPBS+0.1%デキストロース緩衝液に懸濁させて事前に定めた吸光度(600nmにおける吸光度)にした。事前に定めた濃度の細菌を含む有効溶液(working solution)は、ダルベッコPBS+0.1%デキストロース緩衝液で調製し、周囲温度に維持し、調製から30分以内に使用した。 被検サンプルを56℃、30分間熱処理し、内因性補体を不活化した。96ウェルのマイクロタイタープレートの全ウェルにダルベッコPBS+0.1%デキストロース緩衝液を加え、次に、被検血清サンプルを加えて横に2倍段階希釈を行い、ウェルの最後の2列のみは補体および血清対照ウェル用に残した。各プレートの縦列には、補体列(11列目、血清−/補体+)および血清対照列(12列目)、血清+/補体−)が存在する。 用時融解した補体は、有効濃度の細菌と混合し、該混合物をマイクロタイタープレートの血清対照ウェル以外の全ウェルに加えた。補体を加えていない細菌を血清対照ウェルに加えた。プレートにふたをし、プレート振とう機に1分間載せ、次に、37±0.5℃のCO2インキュベーターに移した。インキュベーション時間は、血清群Aのアッセイプレートについては90分、血清群C、YおよびW-135のアッセイプレートについては60分であった。インキュベーション後、50±1℃において、全ウェルに100μlのアガロースを気泡ができないように注意して加えた。周囲温度で10分間、マイクロタイタープレートのふたを少し開けて湿気がこもるのを防ぎ、その後、ふたを閉め、乾燥(湿度を加えない)5%CO2インキュベーターに37±0.5℃、20±4時間入れた。インキュベーション後、ウェルあたりの細菌コロニー数を計数した。補体対照ウェルのウェルあたりの平均コロニー数を計算し、2で割ってT0における50%生存率を求めた。 未知の各血清の殺菌菌力価は、T0における50%生存率と比較して、細胞の50%以上が死んでいた血清の最終希釈倍率の逆数として表される。SBA-BRのサンプルの出発希釈は1:8希釈である。SBA-Hについては、元のアッセイで記載されていたように、出発希釈は1:4に下げた。 本明細書に記載している血清群Aアッセイ用のSBA-BR法、標準化SBA法(Standardized SBA procedure )(CDC)、およびマンチェスター公衆衛生研究所髄膜炎菌参照ユニット(Manchester Public Health Laboratory Services,Meningococcal Reference Unit)(英国マンチェスター(PHLS))で実施されたSBA法の比較を表14-1に示す: 参照血清は、バイアル瓶入りの凍結乾燥粉末としてCDCのジョージ・カーローン(George Carlone)博士から供与され(CDCドナーR21654-3430107)、使用まで2〜8℃で保存した。必要があれば、バイアルに0.5mlの滅菌水を加え、100μlずつのアリコートに分けて−80〜−40℃で保存した。これらの条件下で再構成した場合の参照血清の力価は、血清群A、C、YおよびW-135用の標準化SBA-BR中で2倍希釈した場合に1:256±1であった。参照血清サンプルは、試験実施日に用意したプレートのうちの別異の2枚を用いて試験した。 血清群A、C、YおよびW-135用の血清群特異的ウサギ抗血清は、バイアル瓶入りの凍結乾燥粉末としてディフコ(Difco)社から購入し、使用まで2〜8℃で保存した。必要があれば、バイアルに1mlの滅菌水を加え、SBAにおける品質管理サンプルとして使用するために、50μlずつのアリコートに分けて−80〜−40℃で保存した。 臨床血清サンプル中の髄膜炎菌血清群C、YおよびW-135に対する補体を介した抗多糖類殺菌活性の決定のために本発明において提供された、仔ウサギ補体を用いた血清殺菌アッセイ(SBA-BR)の結果は、精度、希釈性(直線性)、特異性および検出限界に関して十分確認された。SBA-Hアッセイ(血清群C用)は、同一セットの血清サンプルを用いて5日間連続繰り返して実験し、アッセイの正確性を確立した。 SBA−BRの感度および特異性の計算 SBA-BRによって得られた力価は、SBA-Hベンチマーク力価として1:4および1:8を用い、真の陽性(TP)(および擬陽性(FP))ならびに真の陰性(TF)(および擬陰性(FN))に分類した。感度は、TP/(TP+FN)として計算し、特異性は、TN/(TN+FP)として計算した。これらの計算結果はパーセントで表した。 SBA-BRとSBA-HのSBA力価分布の比較 免疫前および免疫後28日目のSBA力価については、血清群Cは表1および表4に、血清群Yは表2および表5に、血清群W-135は表3および表6に示している。以下の項に記載しているまとめは、2つの補体源(BRとH)に関して得られた結果を比較して免疫前後のSBA力価を分析したものである。 血清群CのSBA力価分布 101個の免疫前血清サンプルのうち、63個については、SBA-Hが<1:4、およびSBA-BRが<1:8であったことから、陰性であった。免疫前サンプルのうちの27個は、SBA-Hでは陰性(<1:4)であったが、SBA-BRでは陽性(≧1:8)であった。<1:8というSBA-BRカットオフ力価を判断基準とした場合の擬陽性率は30%であった。擬陽性率は、SBA-BRカットオフ力価を高くすると低下し、カットオフ力価が1:128の場合には20%以下、1:512の場合には10%以下であった。SBA-Hで陽性(≧1:4)であった7個のサンプルは、SBA-BRでは陰性であった(<1:8)。 免疫後、48個のサンプルはSBA-Hで陰性であり、わずかに11個のサンプルがSBA-BRで陰性であった。SBA-BRで陰性と判断された11個のサンプルのうち、3個はSBA-Hで陽性であった。コンジュゲート接種群の51個の免疫後サンプルのうち、17個(32%)はSBA-Hで陰性であったが、SBA-BRでは陽性であった(≧1:8)。多糖類接種群では、50個の免疫後サンプルのうち、23個(46%)は、SBA-Hで陰性であったが、SBA-BRでは陽性であった(≧1:8)。免疫後血清中の陽性応答に関しては、101個のサンプル中90個(89%)がSBA-BRで陽性(≧1:8)であったが、SBA-H(≧1:4)では101個中53個(52%)にとどまった。2種類のワクチン接種群に対して得られたSBA力価(BR対H)を比較した場合に、陽性応答率に顕著な差があった。コンジュゲート接種群の51個のサンプルに関しては、51個のうちの33個(65%)がSBA-H(≧1:4)およびSBA-BR(≧1:8)で陽性であった。SBA力価間(BR対H)の一致度は、SBA-BR閾値が≧1:64以上の場合に向上した。多糖類接種群の50個の免疫後サンプルにおいては、50個のうちの17個(34%)がSBA-H(≧1:4)およびSBA-BR(≧1:8)で陽性であった。SBA力価間(BR対H)の一致度は、SBA-BR閾値が≧1:512以上の場合に向上した。 血清群YのSBA力価分布 血清群Cの免疫前血清とは異なり、血清群Yの免疫前サンプルでは、9個のみが、SBA-H力価<1:4、およびSBA-BR力価<1:8であったことから、陰性であった。61個の免疫前サンプルのうち、52個がSBA-Hで陰性(<1:4)であったが、SBA-BRでは陽性(≧1:8)であった。<1:8というSBA-BRカットオフ力価を判断基準とした場合の擬陽性率は85%であった。擬陽性率は、SBA-BRカットオフ力価を高くすると低下し、カットオフ力価が1:256の場合には15%以下、1:512の場合には2%以下であった。SBA-Hで陽性(≧1:4)であった2個のサンプルは、SBA-BRでは陰性であった(<1:8)。 SBA-H力価が<1:4であり、SBA-BR力価が<1:8であるような免疫後血清サンプルはなかった。SBA-Hでは陰性(<1:4)だったが、SBA-BRでは陽性(≧1:8)であったサンプルは19個あった。血清群Cについて記しているように、擬陽性率に差があった。コンジュゲート接種群に関しては、48個のうちの5個(9%)がSBA-Hで陰性(<1:4)であったが、SBA-BRでは陽性であった。多糖類接種群に関しては、52個のうちの14個(27%)がSBA-Hで陰性(<1:4)であったが、SBA-BR(≧1:8)では陽性であった。 血清群Yに対する免疫後の陽性応答については、2つのSBA力価(BR対H)の間には、良好な一致がみられた。計100個のサンプルに対し、免疫後サンプルの100個すべてにおいてSBA-BR力価が≧1:8であり、100個のうちの81個においてSBA-H力価が≧1:4であった。血清群Cに対するSBA応答に関して記しているように、コンジュゲート接種群から得られた2つのSBA力価(BR対H間では、)と多糖類接種群から得られた2つのSBA力価(BR対H)間よりも相関関係が良好であった。コンジュゲート接種群の48個の免疫後サンプルのうち、43個(90%)はSBA-H(≧1:4)およびSBA-BR(≧1:8)で陽性であった。48個のサンプルのうち、1個のみがSBA-BR力価が1:32以下であり、該サンプルは、SBA-Hでは陽性(≧1:4)であった。多糖類接種群では、SBA力価間(BR対H)の一致は良好ではなかった。52個の免疫後サンプルのうち、わずかに38個(73%)でSBA-H力価が≧1:4であり、かつSBA-BR力価が≧1:8であった。多糖類接種群においては、SBA力価間(BR対H)の一致度は、SBA-BR力価が≧1:128の場合に向上した。 血清群W-135のSBA力価分布 血清群W-135については、100個のうち54個(54%)が陰性であり、このときの力価は、SBA-Hが<1:4であり、SBA-BRが<1:8であった。免疫前サンプルについては、81個のうちの27個はSBA-Hで陰性(<1:4)であったが、SBA-BRでは陽性(≧1:8)であった。<1:8というSBA-BRカットオフ力価を用いた擬陽性率は33%であった。擬陽性率はSBA-BRカットオフ力価を高くすると低下し、カットオフ力価が1:128の場合には15%以下、1:256の場合には5%以下であった。SBA-Hで陽性(≧1:4)であった11個のサンプルは、SBA-BRでは陰性であった(<1:8)。 免疫後サンプルのうち3個は、SBA-Hで陰性(<1:4)であり、かつSBA-BRで陰性(<1:8)であった。免疫後サンプルのうち39個については、SBA-Hで陰性(<1:4)であったが、SBA-BRでは陽性(≧1:8)であった。コンジュゲート接種群では、47個のサンプルのうち11個(23%)においては、SBA-Hで陰性であったが、SBA-BRでは陽性であった。多糖類接種群では、53個のサンプルのうち28個(53%)において、SBA-Hで陰性であったが、SBA-BRでは陽性であった。 免疫後のSBA-BR力価とSBA-H力価との間の一致度は、血清群Cと同程度であったが、Yほど良好ではなかった。血清群Cおよび血清群Yと同様に、2種類のワクチン接種群を比較した場合に、2つの力価間(BR対H)の一致度に顕著な差があった。2つのSBA力価間(BR対H)の一致度については、多糖類接種群よりもコンジュゲート接種群の方が高かった。コンジュゲート接種群のSBA力価については、47個のサンプルのうちの36個(77%)においてSBA-H力価が≧1:4であったが、SBA-BRではすべて陽性(≧1:8)であった。コンジュゲート接種群のワクチン接種後の全サンプルにおいて、SBA-BR力価は≧1:32であった。多糖類接種群の免疫後力価については、2つの力価間の相関はそれほど良好ではなく、53個のサンプルのうちのわずか22個(42%)においてSBA-H力価が≧1:4であり、53個のうちの50個においてSBA-BR力価が≧1:8であった。 SBA-BR力価とSBA-H力価との感度および特異性の比較 SBA-BR力価とSBA-H力価間の感度および特異性の比較を行うに当たり、SBA-BR力価をSBA-H防御力価1:4および1:8と比較した。本分析では、免疫前および免疫後の血清を用いた。SBA-Hベンチマーク力価である1:4および1:8を用い、3つの血清群すべてに対して特異性および感度を計算し、表7、8および9にまとめた。次に、感度および特異性の分析について、各血清群ごとに記載する。 血清群Cに関しては、感度は、SBA-BR閾値力価1:8、1:16および1:32については、SBA-H力価1:4および1:8と比較して80%以上高かった。しかしながら、これらのSBA-BR力価における特異性は60%以下であった。特異性は、SBA-BR力価が1:64のときに60%を超え、SBA-BR力価が1:128のときに70%を超えた。後者2つのSBA-BR力価では、特異性が低下し始めた。SBA-BR閾値が1:64の時には、感度は75〜78%であったが、SBA-BR力価が1:128の時には62〜65%まで低下した。特異性は、SBA-BR力価が>1:64の場合に上昇を続け、1:128および1:256のときには73〜83%に達した。しかしながら、感度は43から20%以下に低下した。血清群Cに関してSBA-BR力価の感度と特異性のあいだで最も均衡がとれているのは、1:32〜1:128の間であった。血清群Cに関する感度と特異性の結果は、サントス(Santos)GFらが血清サンプルおよび反応試薬の別異のセットを用いて導いた結果(Clin.Diagn.Lab.Immunol.,8:616-623(2001))と非常に類似していることがわかった(表8)。サントス(Santos)の結果を参照すると、感度と特異性の均衡が最もとれていたは、SBA-BR力価で1:64〜1:128の間であったのに対し、SBA-H力価では1:4〜1:8の間であった。 血清群Yに関しては、感度は、SBA-BR閾値力価範囲が1:8〜1:64のときに最も高かったが、予測されたとおり、SBA-BR閾値力価が高くなると低下した。血清群Yに関する特異性は、血清群Cで得られた結果よりもかなり低く、SBA-BR閾値力価を1:128にしてようやく50%を超えた。血清群Yに関してSBA-BR力価の感度と特異性のあいだで最も均衡がとれているのは、1:64〜1:256の間であった。1:256のときには、感度は約55%に低下したが、特異性は30%台の半ばから約82〜83%に上昇した。 血清群W-135に関しては、感度についての値は、血清群Cに関して得られた値に近似していたが、全体的な変化のパターンは3つの血清群すべてにおいて同じであった。感度は、SBA-BR閾値力価1:8において高めの値から始まり、≧1:128から低下した。同様に、特異性は、SBA-BR力価1:8において低めの値から始まり、1:256で限界に達した。血清群Yで観察されたように、血清群W-135に関してSBA-BR力価の感度と特異性の間で最も均衡がとれているのは、1:64〜1:256の間であった。 表11は、免疫後のSBA-BR力価に関し、血清群C、YおよびW-135に対して仔ウサギ補体またはヒト補体を用いて測定したSBA力価が4倍以上上昇した割合をまとめたものである。本分析は、コンジュゲート(TetraMenD)接種群および多糖類(Menomune)接種群に分けて行い、両方の組の分析結果を表11にまとめている。3つの血清群に対して、および2つのワクチン接種群に対して誘導された殺菌応答を比較すると、4倍上昇パターンにいくつかの注目すべき差異がある。これらの応答パターンに関し、各血清群および両ワクチン接種群に対して説明する。 血清群Cに関しては、コンジュゲート接種群では、4倍上昇において、SBA-BRとSBA-Hの間で非常に一致していた。このワクチン接種群内では、免疫後力価が低い(例えば、1:32〜1:128など)場合には、SBA-Hによる4倍上昇は、SBA−BRによる4倍上昇より遅れる傾向があった。しかし、免疫後のSBA-BR力価が≧1:256の場合には、SBA-Hによって4倍上昇した対象の数は、SBA-BRによって4倍上昇した対象の数よりも多かった。2つの補体源を比較した場合の上昇のこのような差異は微細であり、免疫前のSBA-BR力価が高いことから、4倍上昇に至る比率が変化するためだと考えられる。多糖類接種群では、4倍上昇におけるSBA-BRとSBA-Hの間の一致は、コンジュゲート接種群ほどではなかった。また、特に注目すべき傾向はなく、SBA-Hによる4倍上昇は、免疫後のSBA-BR力価が高い場合により敏感になるという傾向は、コンジュゲート接種群で観察されたものほどはっきりしていなかった。 血清群Yに関しては、SBA-HおよびSBA-BRによる4倍上昇の一致は、両ワクチン接種群で非常に近似していた。いずれのワクチン接種群においても、免疫後SBA-BR力価が1:32以下であったものは、血清群Cの免疫後SBA-BR力価に比べて非常に少なかった。この理由としては、血清群Yに対してSBA-BRおよびSBA-Hの両方で4倍上昇に至った対象は、血清群Cと比較して免疫後SBA-BR力価がより高い対象であったことが挙げられる。血清群Yに関しては、4倍以上の力価上昇は、コンジュゲート接種群では、免疫後SBA-BR力価が1:128のときに50%以上であったが、一方、血清群Cに関しては、コンジュゲート接種群の閾値SBA-BR力価は1:32であった。 血清群W-135に関しては、SBA-HおよびSBA-BRによる4倍上昇の一致は、他の2つの血清群ほどに近似していなかった。血清群Yにおいて観察されたように、いずれのワクチン接種群においても、免疫後SBA-BR力価が1:32以下であるような対象はごくわずかであった。SBA力価(BR対H)の4倍上昇の一致は、SBA-BR力価が≧1:256の場合に観察された。血清群Cのところで記載したように、2つのワクチン接種群間で4倍上昇(BR対H)の比率が異なっていた(このことは血清群Yでは明確ではなかった)。他の2つの血清群における多糖類ワクチンによるSBA力価(BR対H)の4倍上昇と比較して、血清群W-135のSBA力価の4倍上昇(BR対H)の一致は、多糖類接種群において最も良くなかった。 認可された4価の髄膜炎菌多糖類ワクチン(Menomune)または治験用4価髄膜炎菌多糖類コンジュゲートワクチン(TetraMenD)のいずれかを接種した2〜3歳の対象から採取した血清サンプル中の力価を測定することを目的として、仔ウサギ補体を用いた血清殺菌アッセイ(Serum Bactericidal Assay:SBA-BR)をヒト補体を用いた対応するSBA(SBA-H)と比較した。血清群C、YおよびW-135用のヒト補体源を確認し、それらを使用してSBAにおける比較を補助した。本比較試験から得られたSBAの結果は、2つの手法で分析した。ひとつの方法においては、両ワクチン接種群に対し、接種前および接種後の力価を測定して得られたSBA-BRおよびSBA-Hのデータを分析用にプールした。二番目の方法においては、両ワクチン接種群から得られた接種前および接種後の力価を別々に分析した。本試験のひとつの目標は、陰性のSBA-H血清力価と最も相関するSBA-BR血清力価を明らかにすることである。二番目の目標は、血清群Cに対する防御の相関関係を示すアッセイにおいて、ヒト補体を用いて得られた陽性力価と最も相関する、仔ウサギ補体を用いて得られる力価を求めること、ならびに血清群YおよびW-135に対する防御殺菌力価を推定することである。すでに他の研究室から、血清群Cに関しては、SBA-BRに相関する防御閾値を確立しようとした実験結果が公表されている。本試験の結果をこれらの既出結果と比較した。最後に、接種前および接種後の血清で測定したSBA力価の4倍上昇に関し、2つの補体源での比較を行った。 疾病の防御に対するSBA力価の関連性は、血清群Cに対してのみ確立された。血清群Cに対しては、SBAと防御の関連性はSBAアッセイにおいてヒト補体を用いて判断した。他の血清群に対しては、血清群Cに対するSBA-Hと防御との関連性(1:4のSBA力価)を他の血清群についても適用するという仮定を下した。血清群Cに対する1:4のSBA力価と相関するSBA-BR力価を求めることは、血清群間で差があると考えられる。陰性SBA-H血清力価と最も良く相関するSBA-BR力価を求める場合には、接種前および接種後の血清中の<1:8のSBA-BR力価を<1:4のSBA-H力価と比較した。<1:8のSBA-BR力価を使用した根拠は、部分的には、血清群CのSBA力価比較(BR対H)に関するWHO/CDCの試験結果であり、さらに、<1:4のSBA-BR力価は、血清群Cの疾病に対する感受性と関連があるという英国のアウトブレイク大学(University Outbreak)による最近の知見(ジョーンズ(Jones),G.R.ら、J.Infect.Dis.,(2000)181:1172-1175)である。 本試験において求められたSBA力価(BR対H)に基づくと、<1:8というSBA-BRカットオフ力価を用いた血清群Cに対する擬陽性率は30%であった。より高いSBA-BRカットオフ力価を用いることにより、擬陽性率は次のようになった:≧1:16の場合には擬陽性率は26%に低下し、≧1:32の場合には擬陽性率は24%に低下し、≧1:64の場合には擬陽性率は22%に低下し、≧1:128の場合には擬陽性率は18%に低下し、≧1:256の場合には擬陽性率は14%に低下し、さらに、≧1:512の場合には擬陽性率は2%に低下した。SBA-BRカットオフ力価を上げることにより、<1:4というSBA-H力価に対応する陰性力価確定における正確さの向上に役立つ。しかしながら、高いSBA-BRカットオフ力価を用いた場合には、陽性応答と陰性応答との間を区別する感度が非常に低下した。本明細書中のデータは、SBA-BRの感度は、カットオフ力価が1:8、1:16、または1:32のときに最も高い(81〜84%)ことを示している。SBA-BR力価が1:32以上の場合には、感度は80%以下に低下した。しかしながら、アッセイの特異性は、カットオフ力価が1:8、1:16、および1:32のときに最低であり、51〜58%であった。ヒト補体アッセイにおける負の力価と相関するカットオフ力価の選択に当たっては、感度、特異性、および擬陽性率の間の均衡を図った。SBA-BRに対するカットオフ力価として1:32を選択すると、真の陽性応答を不必要に排除してしまった。本試験の結果から、カットオフ力価としては≧1:16というSBA-BR力価がより適切であることが示唆された。WHO/CDC試験分析(<1:8)および英国アウトブレイク大学(University Outbreak)分析(<1:4)に基づき、最低でも力価より2段階上の希釈が防御性であると見なされる。 血清群W-135およびYに対するアッセイでの防御カットオフ力価の確定については、殺菌抗体防御は、血清群Cの疾病、およびヒト補体アッセイにおける陰性力価に対応する殺菌力価と類似しているという推定によって行った。血清群Yに関しては、<1:8というSBA-BRカットオフ力価を用いた場合の擬陽性率は85%と、血清群Cの30%と比較して非常に高かった。しかしながら、血清群Cと同様に、SBA-BRカットオフ力価を上げると擬陽性率は低下した。SBA-BRカットオフ力価が1:16の場合には擬陽性率は84%に低下し、1:32の場合には擬陽性率は75%に低下し、1:64の場合には擬陽性率は61%に低下し、1:128の場合には擬陽性率は38%に低下し、1:256の場合には擬陽性率は13%に低下し、さらに、≧1:512の場合には擬陽性率は2%に低下した。血清群Yに対する擬陽性率は、最初は血清群Cと比較して非常に高かったが、カットオフ力価が≧1:128の場合には、2つの血清群のアッセイにおける擬陽性率は非常に近くなった。そのような高いカットオフ力価は、陽性応答に対する閾値力価を誇張する可能性がある。感度および特異性の分析に基づくと、感度は、SBA-BRカットオフ力価が1:8〜1:32のときに最大であり、このときの感度範囲は95〜98%であった。しかしながら、血清群Cと同様に、これらのSBA-BR力価における特異性は比較的低く、11〜18%であった。次に高いSBA-BR力価である1:64においては、感度はる。95%から88%に低下したが、特異性は35%まではっきりと上昇した。血清群Yのアッセイにおける<1:64というカットオフ力価は、ヒト補体アッセイにおいて陰性力価に最も良く対応していると考えられる。 血清群W-135に関しては、SBA-BRカットオフ力価が<1:8の場合の擬陽性率は33%であり、これは血清群Cと類似している。SBA-BRカットオフ力価が高い場合に関して血清群CおよびYについて特記したように、擬陽性率は低下した。SBA-BRカットオフ力価が1:16の場合には擬陽性率は32%に低下し、1:32の場合には擬陽性率は28%に低下し、1:64の場合には擬陽性率は26%に低下し、1:128の場合には擬陽性率は12%に低下し、1:256の場合には擬陽性率は4%に低下し、さらに、1:512の場合には擬陽性率は0%であった。感度は、SBA-BRカットオフ力価が1:8〜1:64のときに最大であった(86〜81%)。予測されたように、この範囲のSBA-BR力価では、特異性は最低であった(46〜52%)。血清群W-135の擬陽性率は血清群Yと比較するとかなり低レベルから始まったが、ヒト補体アッセイにおいて陰性力価に最も良く対応しているカットオフ力価は<1:64であった。 3つの血清群に対して、ヒト補体アッセイにおける陰性力価に最も良く対応している力価を確立することを目的として、これらのレベルより上のSBA-BR力価について、陽性応答を考慮するために閾値力価を分析した。血清群Cに関しては、陽性応答に対する閾値力価は≧1:16であり、血清群Yに関しては、陽性応答に対する閾値力価は≧1:64であり、さらに、血清群W-135に関しては、陽性応答に対する閾値力価は≧1:64であった。血清群Cに関して、≧1:128というSBA-BR閾値力価は確証が高いと思われた。この力価では、防御力価に達しており、1:4もしくは1:8というSBA-H力価に対応しており、さらに、血清群Cに関しては1:4という有効なSBA-H力価と相関している。この閾値力価は、血清群Cに対するWHO/CDCデータセットおよびサントス(Santos)のデータセットに基づいて行われた分析とよく一致している。これらの試験において特記されていたように、≧1:128というSBA-BR力価では防御が強く予測されたが、1:128以下であっても防御的であった。WHO/CDCおよびサントス(Santos)のデータセットおいては、1:8、1:16、1:32、1:64というSBA-BR力価は不確定力価と称されている。血清群Cに対して本明細書に示しているデータに関しては、1:16以下のSBA-BR力価は陰性と見なしていることから、本分析に関する不確定力価は1:16〜1:64であり、それらは他の二つの試験におけるサブセットである。これらの分析にすべてにおいて、SBA-BR力価は、1960年代に収集された天然の防御データと相関しているSBA-H力価(1:4または1:8)と比較した。 最近では、1価Cコンジュゲートに関して英国で確立された効力データにSBA-BR力価を直接対応させようとする試みがなされた(ミラー(Miller),E.ら、Vaccine,(2002)20:S58-S67)。該分析においては、≧1:8および≧1:128というSBA-BR力価は、1価Cコンジュゲートを1回投与した15〜17歳の対象から集めた効力データとよく相関していることがわかった。しかしながら、ミラー(Miller)および共同研究者らが幼児(12〜30ヶ月)集団に対して同一の分析を行った場合には、≧1:8というSBA-BR力価では、効力と非常によく一致したが、≧1:128というSBA-BR力価においてはそれほど近似していないことがわかった。ミラー(Miller)らは、第13回病原性ナイセリア属(Neisseria)に関する国際会議(International Pathogenic Neisseria Conference)(2002年9月1〜6日、ノルウェー国オスロ)でさらにデータを公表し、接種後1ヶ月で≧1:64というSBA-BR力価に達する対象において予測される効力は、この年齢集団で観察された効力の95%信頼区間からはずれていた。これらのデータは、1:16〜1:64という不確定領域内のSBA-BR力価が防御に寄与できるという考えを支持している。本試験に関する分析に基づけば、同様に、1:16〜1:64というSBA-BR力価は、血清群Cに対する防御に寄与できる。 1:64というSBA-BR力価における血清群Yアッセイは、特異性はわずか35%であったが、カットオフ力価を1:125および1:256に上げると、特異性はそれぞれ59%および84%に上昇した。≧1:256という閾値力価は、ヒト補体アッセイにおける1:4および1:8という防御力価とよく一致した。しかしながら、血清群Yに関しては、1:128という閾値力価の方が感度および特異性の均衡がとれていた。血清群Yに対する1:64〜1:128というSBA-BR力価範囲は、血清群Cに対しては、SBA-H防御力価と相関している1:16〜1:64というSBA-BR力価範囲と同様に、不確定力価範囲を表す。 1:64というSBA-BR力価における血清群W-135アッセイでは、特異性は52%であったが、力価を1:125および1:256に上げると、特異性も64%および77%に上昇した。血清群Yの場合と同様に、≧1:256という閾値力価は、ヒト補体アッセイにおける1:4および1:8という防御力価とよく一致した。血清群Yの場合と同様に、血清群W-135に関しては、1:128という閾値力価の方が感度および特異性の均衡がとれていた。血清群W-135に対する1:64〜1:128というSBA-BR力価範囲は、血清群Cに対しては、SBA-H防御力価と相関している1:16〜1:64というSBA-BR力価範囲と同様に、不確定力価範囲を表す。 殺菌力価の4倍上昇は血清群ごとに計算し、両アッセイに使用したワクチン接種群ごとに個別に分析した。一般的には、3つの血清群すべてにおいて、接種後のSBA-BR力価が高い場合には、SBA力価(BRおよびH)の4倍上昇も高いことが示唆された。血清群により、およびワクチン接種群により、SBA力価の4倍上昇の様子に差があった。血清群Cに関しては、ヒト補体を用いたアッセイにおける4倍上昇は、接種後のSBA-BR力価が低い場合には、仔ウサギ補体を用いたアッセイにおける力価よりも低かった。しかしながら、接種後のSBA-BR力価が高い場合には、ヒト補体を用いたアッセイにおける力価の4倍上昇の方が高かった。このパターンは、接種後のSBA-BR力価が低い場合には、ヒト補体を用いたアッセイは、仔ウサギ補体を用いたアッセイよりも感度が低いが、接種後のSBA-BRが高い場合にはその逆であり、すなわち、ヒト補体を用いたアッセイの方が感度が高くなることを示唆していると考えられる。このパターンは、多糖類ワクチン接種群由来のサンプルをアッセイした場合には明確ではなかった。それらのサンプルにおいては、力価の4倍上昇は、アッセイにヒト補体を用いた場合に低く現れた。サンプル型間におけるこの知見に対する明確な説明はないが、ヒト補体を用いたアッセイでは、殺菌活性が低い血清サンプルについては感度に欠けることが示唆される。血清群Yに関しては、2つの補体源を比較した場合、SBA力価の4倍上昇はよく一致していた。SBA力価(BRおよびH)の4倍上昇は、多糖類接種群よりもコンジュゲート接種群の方が若干高かったが、その差は、血清群Cの場合ほど大きくなかった。 血清群W-135に関しては、いずれのワクチン接種群に対しても、アッセイにヒト補体もしくは仔ウサギ補体を用いた場合のSBA力価の4倍上昇率は、他の2つの血清群のアッセイ結果と比較して、それほどよく一致していなかった。SBA-BR力価の4倍上昇は、いずれのワクチン接種群に対しても非常に良好だったが、SBA-H力価が4倍上昇した割合については、他の2つの血清群に比べて低かった。多糖類接種群におけるSBA-H力価の4倍上昇率は非常に低く、他の2つの血清群に対するSBA-H力価の4倍上昇率よりもかなり低かった。 BR補体を用いたSBA力価の4倍上昇は、髄膜炎菌多糖類ワクチンの登録に対するベンチマークになっている。最近では、英国において、1価Cコンジュゲートワクチンに関する認可後サーベイランスデータから得られた臨床効力(ボロー(Borrow),R.ら、Infect.Immun.,(2001)69:1568-1573)にSBA-BR力価の4倍上昇率を関連づける試みがなされている。この分析に基づき、幼児(12〜30ヶ月)における1価Cコンジュゲートワクチンの効力は、初回投与から16ヶ月以内では88%(69〜95%)であることが確認された。この年齢群では、1価のCコンジュゲートワクチンを1回投与した後にSBA-BR力価が4倍上昇した対象の割合は、89〜100%であった。 本明細書におけるSBA-BR力価は、血清群Cに対するアッセイにおいて、補体源としてヒト補体を用いて得られた値に対応する殺菌力価を提示する。故に、これらのSBA-BR力価は、血清群C髄膜炎に対する防御免疫の代用値を確立した最初の実験に適合しており、本試験において提供された臨床結果について、防御の推定を行うことを支持するものであり、さらに、血清群Cに対するSBA-BR力価は、他の研究室から報告されているそれらと同等である。血清群Yおよび血清群W-135の莢膜多糖類に対する血清群特異的応答の判断において、ヒト補体を用いてSBA測定を実施することは、血清群Cモデルと同様に、血清群YおよびW-135に対する殺菌活性の決定に関して、SBA-BRの妥当性を支持するものである。 多糖類−タンパク質コンジュゲートであって、該コンジュゲートは、ひとつもしくはそれ以上のキャリヤータンパク質に結合している髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群A、C、W-135またはYの莢膜多糖類を含み、組成物は、平均分子量が100,000ダルトン以下の各莢膜多糖類を0.5〜15μg/ml含有することを特徴とするコンジュゲート。 前記莢膜多糖類は誘導体化されて5,000〜75,000ダルトンの平均分子量になされていることを特徴とする請求項1記載のコンジュゲート。 前記莢膜多糖類は誘導体化されて7,000〜50,000ダルトンの平均分子量になされていることを特徴とする請求項2記載のコンジュゲート。 前記莢膜多糖類は誘導体化されて8,000〜35,000ダルトンの平均分子量になされていることを特徴とする請求項3記載のコンジュゲート。 前記莢膜多糖類は誘導体化されて12,000〜25,000ダルトンの平均分子量になされていることを特徴とする請求項4記載のコンジュゲート。 前記莢膜多糖類は誘導体化されて15,000〜22,000ダルトンの平均分子量になされていることを特徴とする請求項5記載のコンジュゲート。 前記莢膜多糖類のキャリヤータンパク質に対する平均比は、約1:1〜約1:20(w/w)であることを特徴とする請求項1記載のコンジュゲート。 前記莢膜多糖類のキャリヤータンパク質に対する平均比は、約1:2〜約1:10(w/w)であることを特徴とする請求項7記載のコンジュゲート。 前記莢膜多糖類のキャリヤータンパク質に対する平均比は、約1:2〜約1:6(w/w)であることを特徴とする請求項8記載のコンジュゲート。 前記莢膜多糖類のキャリヤータンパク質に対する平均比は、約1:(4±1)(w/w)であることを特徴とする請求項9記載のコンジュゲート。 前記莢膜多糖類のキャリヤータンパク質に対する平均比は、約1:(4±0.5)(w/w)であることを特徴とする請求項10記載のコンジュゲート。 前記莢膜多糖類のキャリヤータンパク質に対する平均比は、約1:(4±0.25)(w/w)であることを特徴とする請求項11記載のコンジュゲート。 前記キャリヤータンパク質は、細菌毒素もしくはトキソイド、または細菌外膜タンパク質を含むことを特徴とする請求項1記載のコンジュゲート。 前記キャリヤータンパク質は、ジフテリア毒素、ジフテリアトキソイド、CRM197、破傷風トキソイド、百日咳トキソイド、大腸菌(E.coli)LT、大腸菌(E.coli)ST、外毒素A、外膜コンプレックスc(OMPC)、ポーリン、トランスフェリン結合タンパク質、ニューモリシス(pneumolysis)、肺炎球菌表面タンパク質A(PspA)、肺炎球菌アドヘジンタンパク質(PsaA)、卵白アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)または精製ツベルクリンタンパク質誘導体(PPD)を含むことを特徴とする請求項1記載のコンジュゲート。 前記キャリヤータンパク質は、ジフテリア毒素、ジフテリアトキソイド、CRM197、破傷風トキソイド、外毒素A、または外膜コンプレックスc(OMPC)を含むことを特徴とする請求項14記載のコンジュゲート。 前記キャリヤータンパク質は、ジフテリア毒素、ジフテリアトキソイドまたはCRM197を含むことを特徴とする請求項15記載のコンジュゲート。 前記キャリヤータンパク質は、ジフテリア毒素またはジフテリアトキソイドを含むことを特徴とする請求項16記載のコンジュゲート。 前記莢膜多糖類は誘導体化されて8,000〜35,000ダルトンの平均分子量になされていることを特徴とする請求項17記載のコンジュゲート。 前記莢膜多糖類のキャリヤータンパク質に対する平均比は、約1:2〜約1:10(w/w)であることを特徴とする請求項17記載のコンジュゲート。 前記莢膜多糖類のキャリヤータンパク質に対する平均比は、約1:(4±1)(w/w)であることを特徴とする請求項19記載のコンジュゲート。 【課題】本発明は、誘導体化多糖類−タンパク質コンジュゲート、そのような誘導体化多糖類−タンパク質コンジュゲートをひとつもしくはそれ以上含む組成物、ならびにそれらを用いたヒト患者の免疫法を記している。【解決手段】誘導体化多糖類−タンパク質コンジュゲートは、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群A、C、W-135およびY由来の精製莢膜多糖類であり、誘導体化し、化学的に活性化し、共有化学結合によってキャリヤータンパク質に選択的に結合させることにより、多様な髄膜炎菌株に対して長期持続性の免疫を誘起できる多糖類−タンパク質コンジュゲートを形成する。【選択図】なし


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