生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_油性軟膏剤
出願番号:2012082251
年次:2013
IPC分類:A61K 31/56,A61K 31/573,A61K 9/06,A61K 47/06,A61K 47/10,A61K 47/46,A61K 47/24,A61K 47/42,A61P 17/00,A61P 29/00


特許情報キャッシュ

坂田 哲哉 JP 2013209347 公開特許公報(A) 20131010 2012082251 20120330 油性軟膏剤 小林製薬株式会社 000186588 特許業務法人 安富国際特許事務所 110000914 坂田 哲哉 A61K 31/56 20060101AFI20130913BHJP A61K 31/573 20060101ALI20130913BHJP A61K 9/06 20060101ALI20130913BHJP A61K 47/06 20060101ALI20130913BHJP A61K 47/10 20060101ALI20130913BHJP A61K 47/46 20060101ALI20130913BHJP A61K 47/24 20060101ALI20130913BHJP A61K 47/42 20060101ALI20130913BHJP A61P 17/00 20060101ALI20130913BHJP A61P 29/00 20060101ALI20130913BHJP JPA61K31/56A61K31/573A61K9/06A61K47/06A61K47/10A61K47/46A61K47/24A61K47/42A61P17/00A61P29/00 11 OL 12 4C076 4C086 4C076AA06 4C076AA08 4C076BB31 4C076CC04 4C076CC18 4C076DD01F 4C076DD09F 4C076DD34A 4C076DD37A 4C076DD37E 4C076DD38A 4C076DD38E 4C076EE27A 4C076EE53A 4C076EE54A 4C076EE55A 4C076EE57A 4C076FF12 4C076FF15 4C076FF16 4C076FF34 4C076FF36 4C076FF43 4C076FF68 4C086AA01 4C086AA02 4C086DA08 4C086DA10 4C086MA03 4C086MA05 4C086MA07 4C086MA08 4C086MA28 4C086MA63 4C086NA03 4C086NA10 4C086NA11 4C086ZA89 4C086ZB11本発明は、ステロイドを含有する、皮膚疾患の予防・治療に有用な軟膏剤に関する。従来より、肌荒れや湿疹、皮膚炎等の皮膚疾患や、出血や痛み、痒みなどを伴う痔疾患の予防・治療にステロイド等の抗炎症剤を含む油性軟膏剤が使用されている。ステロイドのように油性軟膏基剤に難溶性の薬物を含む軟膏剤においては、薬物を固体のまま油性軟膏基剤中に分散させた、いわゆる固体分散型軟膏剤が知られている(特許文献1)。しかしながら、薬物を固体のまま油性軟膏基剤中に分散させるため、薬物の経皮吸収性が悪く、薬効を充分に発揮できないという問題があった。一方、経皮吸収性を改善し、薬効を充分に発揮させるために、薬物を水溶性溶媒に溶解させたものを、油性軟膏基剤中に均一に分散させた液滴分散型軟膏剤が知られている(非特許文献1)。しかしながら、一般に、油性軟膏基剤に難溶性の薬物を溶解させることのできる溶剤と油性軟膏基剤との相溶性が悪いため、高温下で両者が容易に分離して製剤化が難しく、また、常温での保存安定性にも劣るという問題があった。特開2001−72603号公報アレルギーの臨床24(4),2004,page43−47本発明は、ステロイドを予め水溶性溶媒に溶解させ、油性軟膏基剤中に均一に分散させた液滴分散型軟膏剤において、軟膏剤の分離を防ぎ、製剤の保存安定性を改善することを目的とする。本発明者は、ステロイドを含む、液滴分散型軟膏剤の分離の問題を解決すべく種々検討を重ねた結果、常温固体基剤を配合すると、高温でも分離することなく製剤化が容易であり、常温での保存安定性にも優れた安定な液滴分散型軟膏剤を製造できることを見出した。すなわち、本発明は、ステロイド、水溶性溶媒、常温固体基剤、及び油性軟膏基剤を含有する軟膏剤に関する。常温固体基剤が、ワックス又は高級アルコールから選択される1種又は2種以上であることが好ましい。ワックスが、マイクロクリスタリンワックス又はサラシミツロウから選択される1種又は2種以上であることが好ましい。高級アルコールが、ベヘニルアルコール又はラノリンアルコールから選択される1種又は2種以上であることが好ましい。ステロイドが、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、デキサメタゾン、及び酢酸デキサメタゾンからなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。水溶性溶媒が、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及びエタノールからなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。油性軟膏基剤が、白色ワセリン、黄色ワセリン、流動パラフィン、シリコン油、植物油、及び豚脂からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。軟膏剤は、さらに、極性油を含有することが好ましい。軟膏剤は、さらに、界面活性剤を含有することが好ましい。軟膏剤は、液滴分散型軟膏剤であることが好ましい。軟膏剤は、ステロイドとして酢酸ヒドロコルチゾンを含有し、水溶性溶媒としてプロピレングリコールを含有し、常温固体基剤としてマイクロクリスタリンワックスを含有し、油性軟膏基剤として白色ワセリンを含有し、液滴分散型軟膏剤であることが好ましい。本発明の軟膏剤は、常温固体基剤を含有するため、高温でも分離することなく製剤化が容易であり、常温での保存安定性にも優れた安定な軟膏剤を製造することができる。実施例8の軟膏剤の顕微鏡写真である。比較例4の軟膏剤の顕微鏡写真である。本発明の軟膏剤は、ステロイド、水溶性溶媒、常温固体基剤、及び油性軟膏基剤を含有する。ここで、軟膏剤とは、皮膚に塗布するための、有効成分を基剤に溶解又は分散させた半固形の製剤であり、皮膚に適用する上で適切な粘性を有するものである。本発明の軟膏剤は、ステロイドが溶解した水溶性溶媒が液滴の状態で油性軟膏基剤中に分散した液滴分散型軟膏剤である。常温固体基剤における常温とは、15〜25℃の温度であり、この温度で固体であるものであれば特に限定されることなく常温固体基剤として使用することができる。ここで、固体とは、常温で粘性のない、結晶、粉末又は塊状のものである。常温固体基剤を軟膏剤に配合することにより、ステロイドが溶解した水溶性溶媒の分離を防止することができる。常温固体基剤としては、ワックス、高級アルコールなどが挙げられる。ワックス、高級アルコールなどを1種のみで使用することも可能であるが、2種以上使用することも可能であり、例えば、ワックス2種と高級アルコール2種を同時に使用することも可能である。ワックスとは、高級脂肪酸と一価又は二価の高級アルコールとのエステル、及びこれらに類似する中性脂肪や高級脂肪酸、炭化水素である。ワックスとして、植物性ワックス、動物性ワックス、鉱物性ワックスが挙げられる。植物性ワックスとして、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等が挙げられるが、これらに限定されない。動物性ワックスとして、鯨ロウ、ミツロウ、サラシミツロウ、セラック、ラノリン等が挙げられるが、これらに限定されない。鉱物性ワックスとして、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも、使用感の点で、マイクロクリスタリンワックス、サラシミツロウが好ましい。高級アルコールとは、一般的に炭素数6以上のアルコールであるが、炭素数14〜22が好ましく、炭素数が18〜22がより好ましい。具体例として、たとえばミリスチルアルコール、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、2−オクチルドデカノール、コレステロール、フィトステロール、2−ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、ラウリルアルコール等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも、使用感の点でベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、ステアリルアルコールなどが好ましい。常温固体基剤の軟膏剤における配合量は、軟膏剤中1〜20重量%であることが好ましく、2〜15重量%であることがより好ましい。20重量%を超えると、軟膏剤が硬くなり使用感が悪化する傾向がある。一方、1重量%未満では、高温時の安定性が悪くなってしまう傾向がある。ステロイドは、医薬品に使用されるステロイドであれば特に限定されない。具体例としては、デキサメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、プロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、フランカルボン酸モメタゾン、コハク酸ヒドロコルチゾン、コハク酸メチルプレドニゾロン、酢酸デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、デキサメタゾンメタスルホ酸安息香酸、トリアムノシノロンジアセテート、ブチル酢酸プレドニゾロン、リン酸デキサメタゾン、リン酸ヒドロコルチゾン、リン酸プレドニゾロン、リン酸ベタメタゾン、コハク酸プレドニゾロン、酢酸コルチゾン、酢酸パラメタゾン、酢酸メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、吉草酸ジフルコルトロン、吉草酸デキサメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、酢酸ジフルプレドナート、酢酸ジフロラゾン、ジフルプレドナート、ジプロピオン酸ベタメタゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオノシノニド、フルオノシノロンアセトニド、プロピオン酸アルクロメタゾン、酪酸クロベタゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、酢酸フルドロコルチゾン、パルミチン酸デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン等が挙げられる。中でも、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、吉草酸酢酸プレドニゾロンが好ましい。ステロイドの軟膏剤における配合量は、軟膏剤中0.01〜2.0重量%であることが好ましく、0.02〜1.0重量%であることがより好ましい。配合量が多すぎると安全性の問題が生じ、少なすぎると軟膏剤としての効果が低下してしまう可能性が生じる。水溶性溶媒は、ステロイドを溶解できるものであれば特に限定されず、1価アルコール、2価アルコール、3価アルコール、4価アルコール、5価アルコール、6価アルコール、多価アルコール重合体などが挙げられる。1価アルコールとしては、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられる。2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどが挙げられる。3価アルコールとしては、グリセリンなどが挙げられる。4価アルコールとしては、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。5価アルコールとしては、キシリトールなどが挙げられる。6価アルコールとしては、ソルビトール、マンニトールなどが挙げられる。多価アルコールとしては、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。中でも、ステロイドの溶解性が高い、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エタノールが好ましい。水溶性溶媒の軟膏剤における配合量は、ステロイドを溶解できれば特に限定されないが、0.1〜30重量%であることが好ましく、0.5〜25重量%であることがより好ましい。30重量%を超えると、高温安定性が悪く分離しやすくなり、また軟膏剤の粘性が低下する傾向がある。水溶性溶媒のステロイドに対する重量比率は、ステロイド1重量部に対して水溶性溶媒10〜3000重量部であることが好ましく、25〜1250重量部であることがより好ましい。10重量部未満では、ステロイドを完全に溶解できず、析出してしまう傾向がある。油性軟膏基剤は、皮膚に付着し、有効成分を長く皮膚にとどめ、塗りやすく、皮膚に対する刺激性がなく、有効成分の安定性に影響しないものを使用できる。常温(15〜25℃)で粘性のある半固形もしくは液状油分の油性軟膏基剤であることが好ましい。このような油性軟膏基剤としては、白色ワセリン、黄色ワセリン、ラノリン、ゲル化炭化水素(商品名:プラスチベース)、流動パラフィン、軽質流動パラフィン、スクワランなどの炭化水素、シリコン油、中鎖脂肪酸トリグリセライドを含む植物油や豚脂などが挙げられる。中でも、刺激性が低く、病変部の性質を選ばず使用できるという理由で、白色ワセリン、ゲル化炭化水素(商品名:プラスチベース)、黄色ワセリンが好ましく、白色ワセリンがより好ましい。本発明の軟膏剤は、極性油を含有することが好ましい。極性油としては、カルボン酸エステルが挙げられ、そのうち、脂肪酸モノエステル、脂肪酸ジエステルなどが挙げられる。具体的には、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、イソステアリン酸ヘキサデシル、イソオクタン酸セチル等が挙げられるが、これらに限定されない。極性油の軟膏剤における配合量は、軟膏剤中1〜15重量%であることが好ましく、2〜10%であることがより好ましい。1重量%未満では、べたつきなど、油性軟膏剤特有の不具合が生じる傾向がある。15重量%を超えると、高温状態での油の染み出しが生じる傾向がある。本発明の軟膏剤は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、系の安定性を高めることのできる界面活性剤であれば特に限定されないが、非イオン系の界面活性剤であることが好ましい。界面活性剤の具体例として、セスキオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、テトラステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビット、ポリオキシエチレン(60)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(4E0)、モノオレイン酸ポリエチレングリコール(10E0)、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸エステル等が挙げられる。界面活性剤の軟膏剤における配合量は、軟膏剤中0.1〜10重量%であることが好ましい。10重量%を超えると、刺激性が高まる傾向があり、0.1重量%未満では、軟膏剤の安定性が低下する傾向がある。本発明の軟膏剤には、上記の他に、局所麻酔剤、抗ヒスタミン又は抗アレルギー薬、清涼化剤、殺菌剤、血行促進剤、抗酸化剤等を配合することができる。局所麻酔剤としては、リドカイン、プロカイン、アミノ安息香酸エチル、ジブカイン、メピバカイン、これらの塩又は誘導体等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの局所麻酔剤は、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。抗ヒスタミン又は抗アレルギー薬としては、塩酸イソチペンジル、塩酸プロメタジン、メチレンジサリチル酸プロメタジン、カルビノキサミン、アステミゾール、フマル酸クレマスチン、メキタジン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン、イブジラスト、アンレキサノクス、シプロヘプタジン、フマル酸ケトチフェン、酒石酸アリメマジン、トラニラスト、ペミロラストカリウム、塩酸アゼラスチン、オキサトミド、フマル酸エメダスチン、塩酸エピナスチン等又はそれらの塩類が挙げられる。清涼化剤としては、メントール(l−メントール、dl−メントール)、カンフル(dl−カンフル、d−カンフル)、ボルネオール(d−ボルネオール、リュウノウ)、ゲラニオール、シネオール、リナロール、リモネン、メントン、カルボン、アネトール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オクチルアルデヒド、リナリールアセテート、メンチルアセテート、ピネン、乳酸メンチル、ユーカリ油、ベルガモット油、ウイキョウ油、ローズ油、ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油、フタバガキ科植物の精油、ロズマリン油、ラベンダー油、マスティック油、パセリ油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、レモン油、オレンジ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、ベイ油、レモングラス油、パインニードル油、ネロリ油、及びジャスミン油等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの清涼剤は、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。殺菌剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウム、イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、アンモニア水、スルファジアジン、乳酸、フェノール等が挙げられるが、これらに限定されない。血行促進剤としては、酢酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジル等が挙げられるが、これらに限定されない。抗酸化剤としては、アスコルビン酸、トコフェロール、クエン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の軟膏剤の用途としては、ステロイドが処方される用途であれば特に限定されることなく適用することができる。たとえば、痔疾患、皮膚疾患、口腔疾患などが挙げられる。本発明の軟膏剤の製造方法は、特に限定されないが、たとえば、加温(たとえば50〜60℃)した水溶性溶媒に、ステロイドを均一に溶解させ、ステロイドの水溶性溶媒溶液を調製する。別途、加温溶融(たとえば70〜80℃)した油性軟膏基剤及び常温固体基剤に、界面活性剤やその他の油溶性成分を加えて溶解させ、油性組成物を調製する。該油性組成物を攪拌しながら徐冷(たとえば60℃程度)し、ステロイドの水溶性溶媒溶液を添加し、ホモミキサーを用いて高速攪拌(3000rpm、3分間)し、軟膏剤を製造する。ステロイドの水溶性溶媒溶液を油性組成物に分散させることで、液滴分散型軟膏剤を製造することができる。実施例において、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。(実施例1〜13及び比較例1〜4)表1に記載の処方に従って、以下の工程により配合成分を混合して軟膏剤を得た。まず、約60℃に加温した水溶性溶媒に、ステロイド及び水溶性成分を投入し均一に溶解させ、ステロイドの水溶性溶媒溶液を調製した。別途、約80℃に加温溶融した油性軟膏基剤及び常温固体基剤に、界面活性剤やその他の油溶性成分を加えて溶解させ、油性組成物を調製した。該油性組成物を攪拌しながら約60℃に徐冷し、ステロイドの水溶性溶媒溶液を添加し、ホモミキサー(微小量真空乳化装置(T.K.アヂホモキクサー 2M−03型、プライミクス株式会社製)、及び超高速マルチ攪拌システム(T.K.ROBOMIX RM型、プライミクス株式会社製))を用いて高速攪拌し均一な溶融物を調製した後、攪拌・混合しながら室温まで徐冷した。なお、常温固体基剤を配合しない比較例1〜3では、常温固体基剤の代わりに、油性軟膏基剤の流動パラフィンを配合した。軟膏剤の分離性、液滴分散性、及び使用感を、後述の方法で評価した。評価結果を表1に示す。(分離度評価方法)各実施例及び比較例の軟膏剤をそれぞれスクリュー管(24×50)に約5g投入する。スクリュー管を50℃/7日間静置する。静置後サンプルの全体の高さ(h1)及び静置後サンプルの分離部分の高さ(h2)を測定する。h1及びh2を下記の式に代入し、分離比率を計算する。(分離比率)=h2/h1×100上記の方法で算出した分離比率を4段階で判定する。◎:分離比率0%以上、5%未満○:分離比率5%以上、10%未満△:分離比率10%以上、15%未満×:分離比率15%以上(液滴分散性評価方法)各実施例及び比較例の軟膏剤をそれぞれスライドガラス上に少量採取する。デジタルマイクロスコープ(VHX−1000、VH−S5(耐振・高倍率観察システム)、株式会社キーエンス製)を使用し、倍率1000倍で粒子径を観察する。結晶化成分の析出の有無により判定し、結晶が析出しないものを○とし、結晶が析出したものを×とする。(使用感評価方法)軟膏剤の使用感は、伸び及びべたつきの2項目の評価により検査する。被験者は各実施例の軟膏剤をそれぞれ適量を腕にとり、塗り広げ、各軟膏剤の1)伸び、2)べたつきの各項目について5段階で評価する。各評価項目とその程度は、以下の通りである。1)伸びの評価項目 1=不満 2=やや不満 3=どちらでもない 4=やや満足 5=満足2)べたつきの評価項目 1=不満 2=やや不満 3=どちらでもない 4=やや満足 5=満足これらの各項目の平均値の合計を、評価点とする。上記の方法で算出した評価点を4段階で判定する(n=6)。◎:評価点8点以上○:評価点6点以上、8点未満△:評価点4点以上、6点未満×:評価点4点未満常温固体基剤を配合していない比較例1〜3では、いずれも静置後に分離が生じた。これに対して、常温固体基剤を配合した実施例1〜13では、いずれも静置後に分離が生じなかったか、若しくは問題のない程度であった。常温固体基剤としてマイクロクリスタリンワックス、サラシミツロウ、ベヘニルアルコール、又はラノリンアルコールのみを含む実施例5、10〜12でも、分離は生じておらず、常温固体基剤は単独で配合されていても効果を奏することが示された。常温固体基剤として、マイクロクリスタリンワックス、サラシミツロウなどのワックスと、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコールなどの高級アルコールを組み合わせて使用できることが示された。水溶性溶媒としてプロピレングリコールを配合しない比較例4では固体分散型軟膏剤となり、図2に示すように結晶がそのまま基剤中に分散していた。これに対して、水溶性溶媒としてプロピレングリコールにステロイドを溶解させたものを配合した実施例1〜13では、図1に示すように、結晶が析出せず、液滴分散性が優れていた。極性油であるミリスチン酸イソプロピルを配合しない実施例13では、べたつきなど油性軟膏剤特有の不具合が生じ、使用感が劣った。ミリスチン酸イソプロピルを5%、又は10%配合した実施例2又は7では、使用感が良好であった。ステロイド、水溶性溶媒、常温固体基剤、及び油性軟膏基剤を含有する軟膏剤。常温固体基剤が、ワックス又は高級アルコールから選択される1種又は2種以上である、請求項1に記載の軟膏剤。ワックスが、マイクロクリスタリンワックス又はサラシミツロウから選択される1種又は2種以上である、請求項2に記載の軟膏剤。高級アルコールが、ベヘニルアルコール又はラノリンアルコールから選択される1種又は2種以上である、請求項2に記載の軟膏剤。ステロイドが、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、デキサメタゾン、及び酢酸デキサメタゾンからなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の軟膏剤。水溶性溶媒が、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及びエタノールからなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の軟膏剤。油性軟膏基剤が、白色ワセリン、黄色ワセリン、流動パラフィン、シリコン油、植物油、及び豚脂からなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の軟膏剤。さらに、極性油を含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の軟膏剤。さらに、界面活性剤を含有する、請求項1〜8のいずれかに記載の軟膏剤。液滴分散型軟膏剤である、請求項1〜9のいずれかに記載の軟膏剤。ステロイドとして酢酸ヒドロコルチゾンを含有し、水溶性溶媒としてプロピレングリコールを含有し、常温固体基剤としてマイクロクリスタリンワックスを含有し、油性軟膏基剤として白色ワセリンを含有し、液滴分散型軟膏剤である、請求項1に記載の軟膏剤。 【課題】ステロイドを予め水溶性溶媒に溶解させ、相溶性の悪い油性軟膏基剤中に均一に分散させた液滴分散型軟膏剤において、軟膏剤の分離を防ぎ、製剤の保存安定性を改善する軟膏剤の提供。【解決手段】ステロイド、水溶性溶媒、常温固体基剤、及び油性軟膏基剤を含有する軟膏剤。該ステロイドとしては、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン等であることが好ましい。該水溶性溶媒としては、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及びエタノールから選択されるものであることが好ましい。該常温固体基剤としては、ワックス又は高級アルコールから選択されるものであることが好ましい。該油性軟膏基剤としては、白色ワセリン、黄色ワセリン、流動パラフィン、シリコン油、植物油、及び豚脂から選択されるものであることが好ましい。【選択図】なし


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