タイトル: | 公開特許公報(A)_セメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法 |
出願番号: | 2012078836 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | G01N 23/20,G01N 33/38,G01N 25/02 |
井戸 利博 小澤 聡 金井 謙介 JP 2013210213 公開特許公報(A) 20131010 2012078836 20120330 セメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法 住友大阪セメント株式会社 000183266 田村 爾 100116687 杉村 純子 100098383 井戸 利博 小澤 聡 金井 謙介 G01N 23/20 20060101AFI20130913BHJP G01N 33/38 20060101ALI20130913BHJP G01N 25/02 20060101ALI20130913BHJP JPG01N23/20G01N33/38G01N25/02 Z 6 2 OL 18 2G001 2G040 2G001AA01 2G001BA22 2G001CA01 2G001GA13 2G001KA01 2G001LA03 2G040AA03 2G040AB12 2G040BA05 2G040CA02 2G040CA16 2G040ZA02 本発明は、セメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法に関し、特にセメント中に含まれるα型半水石膏及びβ型半水石膏の含有量の大小に係らず精度良く定量することができる、セメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法に関する。 ポルトランドセメントは、セメントクリンカに数%の石膏を加えて粉砕して製造されており、セメントに添加される石膏の役割は急結を防止し、その凝結を適切に抑制することである。 石膏は硫酸カルシウム(CaSO4)を主成分とする鉱物であり、石膏は、硫酸カルシウムの1/2水和物である半水石膏(CaSO4・0.5H2O)、二水和物である二水石膏(CaSO4・2H2O)、無水物である無水石膏(CaSO4)に分類される。 セメント用の石膏として一般的に、二水石膏が使用されるが、二水石膏の一部は、セメントの仕上粉砕工程で脱水されて半水石膏となる。コンクリート組成物における水和初期に発生する流動性の低下は、半水石膏が二水化することが原因とされ、その抑制方法としてセメント中の半水石膏量(半水化率:半水石膏量/(二水石膏量+半水石膏量))を下げる工夫がなされている。 しかし、同一の半水化率でも流動性状が大きく異なることが多い事も知られている。これは、半水石膏にはα型とβ型が存在し、そのうちのβ型半水石膏が流動性低下を引き起こすためである。 従って、半水石膏中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の量を精度良く定量することは、セメントの流動性への影響を検討する上で重要である。 かかる点に鑑み、特開平11−183466号においては、セメント中の半水石膏中のα型、β型の分別定量方法として、α型、β型それぞれのII型無水石膏への転化率の違いを利用して、定量する方法が示されている。 かかる方法は、120〜290℃の範囲の特定温度で加熱処理した際のセメント中の半水石膏のII型無水石膏への転化率を求め、該転化率からα型半水石膏/β型半水石膏重量比を求めて、α型半水石膏とβ型半水石膏の量を算出することを特徴とするセメント中の石膏分別定量方法である。 具体的には、120〜290℃の範囲の特定温度で16時間以上加熱処理することで、セメント中のα型半水石膏はα型無水石膏になり、その一部はII型無水石膏に転化し、また、セメント中のβ型半水石膏はβ型無水石膏になり、その一部はII型無水石膏に転化することから、このII型無水石膏への転化率がα型半水石膏とβ型半水石膏で大きく異なることを利用して定量するものである。 かかる方法においては、加熱処理されたセメントを室温で相対湿度5〜50%の条件で恒量となるまで静置することにより、α型無水石膏はα型半水石膏に、β型無水石膏はβ型半水石膏になるが、II型無水石膏は変化しない。 かかる定量方法の測定原理を、図1に示す。 かかる従来の定量方法の測定方法の概要は以下のとおりである。(1)検量線の作成 検量線を以下の手順で作成する。1)市販品のα型半水石膏、β型半水石膏を重量比で0/100、20/80、40/60、60/40、80/20及び100/0とした混合物を調製する。2)上記混合物をそれぞれ120〜290℃の範囲の特定温度で16時間以上加熱処理し、更に室温で相対湿度5〜50%の条件で恒量となるまで静置したものについて半水石膏量xi[%]を熱重量測定装置(TG分析装置)で測定する。3)下記式(A)より、各α型半水石膏/β型半水石膏重量比におけるII型無水石膏への転化率[%]を算出する。 II型無水石膏への転化率 = 100−xi ・・・(A)式4)各α型半水石膏/β型半水石膏重量比に対して、前記II型無水石膏への転化率をプロットすることにより、検量線を作成する。(2)未知セメント試料の測定1)セメント試料を120〜290℃の範囲の特定温度で16時間以上加熱処理し、更に室温で相対湿度5〜50%の条件で恒量となるまで静置したものについて半水石膏量X(%)をTG分析装置で測定する。2)該セメント試料中の二水石膏量Y(%)、半水石膏量Z(%)を測定する。3)上記作成した、前記特定温度におけるα型半水石膏とβ型半水石膏との混合物のα型半水石膏/β型半水石膏重量比とII型無水石膏への転化率との検量線から求めたβ型半水石膏のII型無水石膏への転化率d(%)を用いて、以下の式:E=[1−{X−(0.843×Y×(100−d)/100)}/Z]×100 ・・・・(B)式(但し、上記式中、 d:検量線から求められるβ型半水石膏のII型無水石膏への転化率を示す。)より、セメント中の半水石膏のII型無水石膏への転化率(%)を算出し、さらに、前記転化率(%)に相当するα型半水石膏/β型半水石膏重量比を、上記検量線から求め、α型半水石膏およびβ型半水石膏の量(%)を算出するものである。 しかし、上記従来法では、TG分析により半水石膏の脱水による重量減少を読み取ることで定量を行っているものであり、読み取り精度が分析値に大きく影響する。 以下の表1は、半水化率(半水石膏量/(二水石膏量+半水石膏量))を変えて、実際に、当該方法で測定したxj(強熱前後比:加熱後の半水石膏量(重量%)/加熱前の半水石膏量(重量%))の結果を示す。 表1より、半水化率が低くなると強熱前後比xjが負になってしまう等、分析値の信頼性が大きく低下していることがわかる。 特に半水石膏が少ない場合においては、読み取りにおける誤差は顕著になるという問題がある。 また、上記従来法においては、分析に多くの時間を必要としており、迅速な分析ができないという問題もある。例えば、半水石膏の定量(DSC)に約1時間、セメント試料の強熱に約16時間、室温で恒量となるまでの静置時間が1時間、TG分析に1時間、解析に30分等、測定にほぼ1日を費やさなければならない。特開平11−183466号公報 本発明の目的は、セメント中に含まれるα型半水石膏及びβ型半水石膏の含有量の大小に係らず、かかるα型半水石膏量及びβ型半水石膏量を精度良く定量することができる、セメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法を提供することである。 また更に、従来の方法と比較して、短時間で、セメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の含有量を精度良く定量する方法を提供することである。 本発明者らは、α型半水石膏とβ型半水石膏とは結晶性が異なり、これにより粉末X線回析によるピーク強度が異なることを利用することにより、本発明に到達した。 即ち、本発明のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法は、 セメント中の半水石膏量B(%)を熱分析により定量し、 該半水石膏量が1%以上である場合には、該セメント中のカルシウムシリケート相を溶解させ、 得られた溶解残渣の粉末X線回析測定により特定の2θ値における半水石膏のピーク強度CB(cps)を測定し、 別途作成した、α型半水石膏量と粉末X線回析測定による特定の2θ値のピーク強度との関係の検量線及び、β型半水石膏量と粉末X線回析測定による特定の2θ値のピーク強度との関係の検量線から、前記半水石膏量B(%)に相当する、α型半水石膏のピーク強度CαB(cps)及びβ型半水石膏のピーク強度CβB(cps)を求め、 以下の式(C)〜(F): CB=a×CαB+b×CβB・・・・・(C)式 a+b=1 ・・・・・(D)式 Bα=a×B ・・・・・(E)式 Bβ=b×B ・・・・・(F)式(但し、上記式中の記号は以下のものを示す。 B:セメント中の半水石膏量[%] CB:セメント中の特定の2θにおけるピーク強度[cps] CαB:検量線に基づく半水石膏量B(%)におけるα型半水石膏の特定の2θ値におけるピーク強度[cps] CβB:検量線に基づく半水石膏量B(%)におけるβ型半水石膏の特定の2θ値におけるピーク強度[cps] a:α型半水石膏比率[−] b:β型半水石膏比率[−] Bα:セメント中のα型半水石膏量[%] Bβ:セメント中のβ型半水石膏量[%] )を用いて、セメント中のα型半水石膏量Bα(%)及びβ型半水石膏量Bβ(%)を算出することを特徴とする、セメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法である。 また、本発明のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の他の定量方法は、 セメント中の半水石膏量B(%)を熱分析により定量し、 該半水石膏量が1%未満である場合には、更にセメント中の二水石膏量G(%)を熱分析により定量し、 セメント中に含まれる前記二水石膏を半水石膏に半水化して、前記半水石膏量B(%)と前記二水石膏を半水化して得られた半水石膏量の合計である全半水石膏量B’が1.0〜4.0%となるように調製し、 二水石膏を半水化させた時の全半水石膏量B’(%)、二水石膏を半水化させた時の当初から含まれる半水石膏量B(%)の占める比率x、二水石膏を半水化させた時の二水石膏の占める比率yを、 以下の式(G)〜(I): B’=B+G×0.843 ・・・・(G) x+y=1 ・・・・(H) x=B/B’ ・・・・(I)(但し、上記式中の記号は以下のものを示す。 B:半水石膏量[%] G:二水石膏量[%] B’:二水石膏を半水化させた時の全半水石膏量[%] x:二水石膏を半水化させた時の元々の半水石膏の占める比率 y:二水石膏を半水化させた時の二水石膏の占める比率)を用いて算出し、 該セメント中のカルシウムシリケート相を溶解させ、 得られた溶解残渣の粉末X線回析測定により特定の2θ値における半水石膏のピーク強度CB’(cps)を測定し、 別途作成したα型半水石膏量と粉末X線回析測定による特定の2θ値のピーク強度との関係の検量線及び、β型半水石膏量と粉末X線回析測定による特定の2θ値のピーク強度との関係の検量線から、前記半水石膏量B’(%)に相当する、α型半水石膏におけるα型半水石膏のピーク強度CαB’(cps)及びβ型半水石膏のピーク強度CβB’(cps)を求め、 以下の式(J)〜(M): a’+b’=1 ・・・(J) CB’=x×(a’×CαB’+b’×CβB’)+y×CβB’ ・・・(K) Bα=a’×B ・・・(L) Bβ=b’×B ・・・(M)(但し、上記式中、記号は以下のものを示す。 CB’:半水石膏量B’におけるセメント試料の特定の2θ値におけるピーク強度[cps] CαB’:検量線に基づく半水石膏量B’(%)におけるα型半水石膏の特定の2θ値におけるピーク強度[cps] CβB’:検量線に基づく半水石膏量B’(%)におけるβ型半水石膏の特定の2θ値におけるピーク強度[cps] a’:α半水石膏比率 b’:β半水石膏比率 Bα:セメント試料のα半水石膏量 Bβ:セメント試料のβ半水石膏量 )を用いて、セメント中のα型半水石膏量Bα(%)及びβ型半水石膏量Bβ(%)を算出することを特徴とする、セメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法である。 好適には、上記本発明の他のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法において、セメント中に含まれる前記二水石膏を半水石膏に半水化して、前記半水石膏量Bと前記二水石膏を半水化して得られた半水石膏量の合計である全半水石膏量B’が1%未満の場合には、該セメントに二水石膏を添加して半水化して、セメント中に含まれる全半水石膏量B’が1.0〜4.0%となるように二水石膏を添加することを特徴とする。 更に、好適には、上記本発明の他のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法において、二水石膏を半水石膏に半水化するにあたり、セメントを100〜120℃で24時間以上加熱して該セメント中の二水石膏を半水石膏とすることを特徴とする。 また更に好適には、上記本発明のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法において、 検量線は、複数の特定量のα型半水石膏量のα型半水石膏とセメントクリンカとを混合して粉砕して複数のα型半水石膏混合品を調製し、また別途複数の特定量のβ半水石膏量のβ型半水石膏とセメントクリンカを混合して粉砕して複数のβ型半水石膏混合品を調製し、 次いで、各混合品のカルシウムシリケート相を溶解し、 得られた溶解残渣の粉末X線回析測定により特定の2θ値におけるピーク強度を測定し、 x軸に半水石膏量、y軸に前記特定の2θ値におけるピーク強度をプロットして、 複数のプロットから最小二乗法により、α型半水石膏混合品、β型半水石膏混合品の検量線を求めることを特徴とする。 更に好適には、上記本発明のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法において、セメント中のカルシウムシリケート相は、サリチル酸アセトンメタノールを用いて処理することで溶解させることを特徴とする。 なお、特記しない限り、「%」は質量%を表す。 本発明のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法によると、セメント中に含まれるα型半水石膏及びβ型半水石膏の含有量の大小に係らず、かかるα型半水石膏量及びβ型半水石膏量を精度良く定量することが可能となる。 特に、従来はセメント中に含まれる半水石膏量が少ないものは、測定不能または測定誤差が大きかったが、本発明の方法では、セメント中に含まれる半水石膏量が少なくても、α型半水石膏量及びβ型半水石膏量を精度良く定量することが可能である。 具体的には、従来の方法では、TG分析による半水石膏の脱水による重量減少については人為的な読み取り誤差を含む可能性が大きく定量値のばらつきが観られたが、本発明の方法においては粉末X線回折ピーク強度で客観的に評価するためばらつきが少なく、分析精度の向上を図ることができる。 特に、従来技術で定量精度が劣っていた半水石膏量が1%未満のセメント試料においても定量が可能である。 これにより、使用時におけるセメントモルタルやコンクリート等の流動性を容易に制御することが可能となる。 更に、従来の方法と比較して、短時間で、セメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の含有量を精度良く定量することもできる。従来のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法の原理を示した図である。本発明のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法に用いる検量線の一例を示す線図である。 本発明を以下の好適例を例示しつつ説明するが、これらに限定されるものではない。 本発明のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法においては、まず、あらかじめ検量線を作成する。該検量線は、セメントクリンカとα型半水石膏、あるいはセメントクリンカとβ型半水石膏を任意の割合で混合し、例えばサリチル酸アセトンメタノール処理により該セメント中のカルシウムシリケート相を溶解し、得られた溶解残渣を粉末X線回折測定することで、半水石膏量と、例えば2θ=14.75°におけるピーク強度とから検量線を作成する。 次いで、未知のセメント試料について、含有されるα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量を行う。具体的には、未知のセメント中のカルシウムシリケート相(C3S,C2S)を、例えばサリチル酸アセトンメタノール処理により溶解し、溶解残渣を得る。 一例として、セメント1.5gに、サリチル酸7.5g、アセトン105mL、メタノール45mLを加えて2時間混合攪拌した後、吸引濾過し、残渣をメタノールで洗浄することにより溶解残渣を得る。 得られた溶解残渣について粉末X線回折測定を行い、例えば2θ=14.75°におけるピーク強度を求め、上記作成した検量線から、α型半水石膏量及びβ型半水石膏量を求める。 本発明のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法に適用される検量線は、具体的に以下のようにして作成される。 複数の特定量のα型半水石膏量のα型半水石膏とセメントクリンカとを混合して粉砕して複数のα型半水石膏混合品を調製し、また別途複数の特定量のβ型半水石膏量のβ型半水石膏とセメントクリンカを混合して粉砕して複数のβ型半水石膏混合品を調製し、 次いで、各混合品のカルシウムシリケート相を溶解し、 得られた溶解残渣の粉末X線回析測定により特定の2θ値におけるピーク強度を測定し、 x軸に半水石膏量、y軸に前記特定の2θ値におけるピーク強度をプロットして、 複数のプロットより、最小二乗法を用いてα型半水石膏混合品及びβ型半水石膏混合品の各検量線を決定する。 更に具体的に、以下に、本発明における検量線の作成の一例について説明する。(1)検量線の作成1)α型半水石膏量が0%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%になるように、それぞれセメントクリンカと混合し、ブレーン比表面積が3000〜3500cm2/gになるように粉砕して、各α型半水石膏混合品を調製する。 同様にして、β型半水石膏量が0%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%になるように、それぞれセメントクリンカと混合し、ブレーン比表面積3000〜3500cm2/gになるように粉砕して、各β型半水石膏混合品を調製する。 ここでブレーンは特に規定するものではないが、測定するセメント試料と、近似するブレーン比表面積を有するように調整することが望ましい。2)上記1)で調整した各半水石膏混合品をそれぞれ、例えばカルシウムシリケート相をサリチル酸アセトンメタノール処理により溶解させて、溶解残渣を得る。3)上記2)の溶解残渣の粉末X線回折測定を行い、例えば2θ=14.75°におけるピーク強度を測定する。4)x軸に半水石膏量、y軸に2θ=14.75°におけるピーク強度を、各半水石膏量毎にプロットし、α型半水石膏混合品、β型半水石膏混合品の検量線をそれぞれ作成する。 ここで、2θとしては、14.75°以外に25.66°、29.34°、29.70°、31.86°、42.22°、49.30°、54.07°等の任意の2θの値を用いても定量は可能である。好ましくは、2θ=14.75°である。 次いで、該検量線を用いて、セメント中のα型半水石膏量及びβ型半水石膏量を定量する。 ここで、セメント試料中の半水石膏量が1%未満の場合には、上記両検量線が近似し、α型半水石膏量及びβ型半水石膏量の読み取り精度が低下するため、半水石膏量が1%以上の場合と1%未満の場合のそれぞれについて、セメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏量の定量方法を以下に示す。 セメント試料中の半水石膏量が1%以上の場合の、本発明のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法は以下のとおりである。 かかるセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法は、 セメント中の半水石膏量B(%)を、例えば示差走査熱量分析(DSC)により定量し、 該セメント中のカルシウムシリケート相を、例えばサリチル酸アセトンメタノール溶液処理により溶解させ、 得られた溶解残渣の粉末X線回析測定により、特定の2θ値(例えば2θ=14.75°)における半水石膏のピーク強度CB(cps)を測定し、 上記別途作成した、α型半水石膏量と粉末X線回析測定による特定の2θ値(例えば2θ=14.75°)のピーク強度との関係の検量線、及びβ型半水石膏量と粉末X線回析測定による特定の2θ値(例えば2θ=14.75°)のピーク強度との関係の検量線から、前記半水石膏量(B%)に相当する、α型半水石膏のピーク強度CαB(cps)及びβ型半水石膏のピーク強度CβB(cps)を求め、 以下の式(C)〜(F): CB=a×CαB+b×CβB・・・・・(C)式 a+b=1 ・・・・・(D)式 Bα=a×B ・・・・・(E)式 Bβ=b×B ・・・・・(F)式(但し、上記式中の記号は以下のものを示す。 B:セメント中の半水石膏量[%] CB:セメント中の特定の2θ値(例えば2θ=14.75°)におけるピーク強度[cps] CαB:検量線に基づく半水石膏量B(%)におけるα型半水石膏の特定の2θ値(例えば2θ=14.75°)におけるピーク強度[cps] CβB:検量線に基づく半水石膏量B(%)におけるβ型半水石膏の特定の2θ値(例えば2θ=14.75°)におけるピーク強度[cps] a:α型半水石膏比率[−] b:β型半水石膏比率[−] Bα:セメント中のα型半水石膏量[%] Bβ:セメントのβ型半水石膏量[%] )を用いて、セメント中のα型半水石膏量Bα(%)及びβ型半水石膏量Bβ(%)を算出することによりセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量をすることができる。 また、セメント試料中の半水石膏量が1%未満の場合の、本発明のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法は以下のとおりである。 かかるセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法は、 当該セメント中の半水石膏量B(%)及び二水石膏量G(%)を、例えば示差走査熱量分析(DSC)により定量し、 セメント中に含まれる前記二水石膏を半水石膏に半水化して、前記半水石膏量B(%)と前記二水石膏を半水化して得られた半水石膏量の合計である全半水石膏量B’が1.0〜4.0%となるように調製し、 二水石膏を半水化させた時の全半水石膏量B’(%)、二水石膏を半水化させた時の当初から含まれる半水石膏量B(%)の占める比率x、二水石膏を半水化させた時のニ水石膏の占める比率yを、以下の式(G)〜(I): B’=B+G×0.843 ・・・(G) x+y=1 ・・・(H) x=B/B’ ・・・(I)(但し、上記式中の記号は以下のものを示す。 B:半水石膏量[%] G:二水石膏量[%] B’:二水石膏を半水化させた時の全半水石膏量[%] x:二水石膏を半水化させた時の当初から含まれる半水石膏の占める比率 y:二水石膏を半水化させた時の二水石膏の占める比率 )を用いて算出し、 該セメント中のカルシウムシリケート相を、例えばサリチル酸アセトンメタノール溶液処理により溶解させ、 得られた溶解残渣の粉末X線回析測定により特定の2θ値(例えば2θ=14.75°)における半水石膏のピーク強度CB’(cps)を測定し、 別途作成したα型半水石膏量と粉末X線回析測定による特定の2θ値(例えば2θ=14.75°)のピーク強度との関係の検量線、及びβ型半水石膏量と粉末X線回析測定による特定の2θ値(例えば2θ=14.75°)のピーク強度との関係の検量線から、前記半水石膏量B’(%)に相当する、α型半水石膏におけるα型半水石膏のピーク強度CαB’(cps)及びβ型半水石膏のピーク強度CβB’(cps)を求め、 以下の式(J)〜(M): a’+b’=1 ・・・(J) CB’=x×(a’×CαB’+b’×CβB’)+y×CβB’ ・・・(K) Bα=a’×B ・・・(L) Bβ=b’×B ・・・(M)(但し、上記式中、記号は以下のものを示す。 CB’:半水石膏量B’におけるセメント試料の特定の2θ値(例えば2θ=14.75°)におけるピーク強度[cps] CαB’:検量線に基づく半水石膏量B’(%)におけるα型半水石膏の特定の2θ値(例えば2θ=14.75°)におけるピーク強度[cps] CβB’:検量線に基づく半水石膏量B’(%)におけるβ型半水石膏の特定の2θ値(例えば2θ=14.75°)におけるピーク強度[cps] a’:α半水石膏比率 b’:β半水石膏比率 Bα:セメント試料のα半水石膏量 Bβ:セメント試料のβ半水石膏量 )を用いて、セメント中のα型半水石膏量Bα及びβ型半水石膏量Bβを算出することによりセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量をすることができる。 このように半水石膏量を補正することで、作成した2つの検量線を用いる際に、ピーク強度値が近接することがなくなるため、α型半水石膏量Bα及びβ型半水石膏量Bβの測定が容易となる。その後、上記式に基づき、添加配合した二水石膏を補正により減じれば、真のα型半水石膏量Bα及びβ型半水石膏量Bβを算出することができる。 具体的には、セメント中に含まれる半水石膏量が1%未満の場合の、上記セメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法においては、セメント中に含まれる前記二水石膏を半水石膏に半水化して、前記半水石膏量Bと前記二水石膏を半水化して得られた半水石膏量の合計である全半水石膏量B’がまだ1%未満の場合には、該セメントに二水石膏を添加して、これを半水化することでセメント中に含まれる全半水石膏量B’%が1.0〜4.0%となるように二水石膏を添加するようにする。 これにより、作成した2つの検量線が近接することがなくなるため、α型半水石膏量Bα及びβ型半水石膏量Bβの測定が容易となる。 具体的には、セメント試料中の二水石膏を半水化させた時の全半水石膏量B’がB’<1.0%の場合は、B’が1.0%〜4.0%になるように二水石膏を添加し、セメント試料中の二水石膏を半水化させた時の全半水石膏量B’が1.0%≦B’≦4.0%の場合には、セメント試料に二水石膏を添加することなく該セメント試料中の二水石膏を全量半水化させる。なお、B’>4.0%の場合は、検量線範囲を見直すことが望ましい。 また、前記二水石膏を半水石膏に半水化するにあたっては、セメントを100〜120℃で24時間以上加熱して該セメント中の二水石膏を半水石膏とすることが望ましい。 これにより、二水石膏を完全に半水石膏とすることが可能となる。 上記本発明のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法は、ポルトランドセメント全般に適用することができる。 本発明を次の実施例及び比較例により説明する。(1)検量線の作成 セメントクリンカとα型半水石膏(ノリタケカンパニー社製)及び、セメントクリンカとβ型半水石膏(ノリタケカンパニー社製)を表2に示す配合になるように混合し、ブレーン比表面積が3300±100cm2/gになるように粉砕して、各α型半水石膏混合品、β型半水石膏混合品を得た。 次いで、上記各混合品をサリチル酸アセトンメタノール処理することで、含有されるカルシウムシリケート相を溶解した。 前記溶解残渣を粉末X線回折測定し、2θ=14.75°におけるピーク強度を測定した。 その測定結果を表2に示す。 上記表2より、x軸に半水石膏量、y軸に2θ=14.75°におけるピーク強度をそれぞれプロットし、最小二乗法を用いて、α型半水石膏混合品の検量線(CαB=656×B+686.9)、β型半水石膏混合品の検量線(CβB=175.3×B+660.4)を得た。 その結果を図2に示す。(2)セメント中の半水石膏量が1%以上のセメント:2θ=14.75 セメントクリンカとα型半水石膏、β型半水石膏を表3に記載した割合で配合し(表3中の理論値)、ブレーン比表面積が3300±100cm2/gになるように粉砕し、これを定量測定用のセメント試料とした。 次いで、前記セメント試料中の半水石膏量が1%以上の場合の、上記本発明のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法を用いて、α型半水石膏及びβ型半水石膏の定量を行なった。 その結果を、「本発明の方法」として表3に示す。 なお、比較のために、上記特開平11−183466号公報に記載された方法を用いて、α型半水石膏量及びβ型半水石膏量の定量を行い、その結果を表3中の「従来の方法」として示す。 表3より、本発明の方法によるα型半水石膏の定量値は、理論値に対して誤差が−0.01%〜0.01%であった。一方、前記従来の方法によるα型半水石膏の定量値は、理論値に対して−0.10%〜−0.05%であった。 この結果より、本発明の定量方法により定量したα型半水石膏量及びβ型半水石膏量は、従来の方法と比較して理論値に近く、精度が良いことがわかる。(3)セメント中の半水石膏量が1%以上のセメント(繰り返し精度):2θ=14.75 セメントクリンカとα型半水石膏、β型半水石膏を表4に記載した割合で配合し(表4中の理論値)、ブレーン比表面積が3300±100cm2/gになるように粉砕し、これを定量測定用のセメント試料とした。 次いで、前記セメント試料中の半水石膏量が1%以上の場合の、上記本発明のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法を用いて、α型半水石膏及びβ型半水石膏の定量を行なった。 その結果を、「本発明の方法」として表4に示す。 なお、比較のために、上記特開平11−183466号公報に記載された方法を用いて、α型半水石膏量及びβ型半水石膏量の定量を行い、その結果を表4中の「従来の方法」として示す。 表4より、本発明の方法によるα型半水石膏の定量値及びβ型半水石膏の定量値の偏差は0.02であり、従来の方法においては、該定量値の偏差が0.05であった。 また、本発明の定量方法により測定した半水石膏の定量値の変動幅はそれぞれ±0.03であり、一方、従来の方法による該定量値の変動幅は±0.08であった。 この結果より、本発明の定量方法により定量したα型半水石膏量及びβ型半水石膏量は、従来の方法と比較して、精度が良いことがわかる。(4)セメント中の半水石膏量が1%未満のセメント:2θ=14.75 セメントクリンカとα型半水石膏、β型半水石膏を表5に記載した割合で配合し(表5中の理論値)、ブレーン比表面積が3300±100cm2/gになるように粉砕し、これを定量用のセメント試料とした。 次いで、上記セメント試料中の半水石膏量が1%以上の場合の、本発明のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法を用いて、α型半水石膏及びβ型半水石膏の定量を行なった。 その結果を、「本発明の方法」として表5に示す。 なお、比較のために、上記特開平11−183466号公報に記載された方法を用いて、α型半水石膏量及びβ型半水石膏量の定量を行い、その結果を表5中の「従来の方法」として示す。 表5より、従来の方法では、半水石膏量が1.0%以下になると、8試料中4試料の定量ができなかった。 一方、本発明の定量方法では、α型半水石膏、β型半水石膏の定量は可能であるが、理論値との差が大きくなっており、定量精度に問題があることがわかる。これは、検量線のα型半水石膏とβ型半水石膏のピーク強度が近接してしまい、検量線の精度が低下しているためである。 そこで、上記セメント試料中の半水石膏量が1%未満の場合の、本発明のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法を用いて、α型半水石膏及びβ型半水石膏の定量を行なった。 具体的には、半水石膏量1.0%未満のセメント試料の定量精度を向上させるため、二水石膏を1.0%添加し、120℃で24時間加熱し、二水石膏をβ型半水石膏にして、定量測定を行った。 その測定結果を表6に示す。 表6より、本発明の方法によるα型半水石膏の定量値は、理論値に対して誤差が−0.02%〜0.02%であった。これは、二水石膏を半水化することで、検量線のピーク強度の読み取り誤差が少なくなっているためであると考えられる。 一方、前記従来の方法によるα型半水石膏の定量値は、理論値に対して−0.10%〜−0.05%であった。(5)セメント中の半水石膏量が1%未満のセメント(繰り返し精度):2θ=14.75 セメントクリンカとα型半水石膏、β型半水石膏、二水石膏を表7に記載した割合で配合し(表7中の理論値)、ブレーン比表面積が3300±100cm2/gになるように粉砕し、これを定量測定用のセメント試料とした。 次いで、前記セメント試料中の半水石膏量が1%未満の場合の、上記本発明のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法を用いて、α型半水石膏及びβ型半水石膏の定量を行なった。 なお、本発明の方法においては、定量精度を向上させるため、別途二水石膏を添加(1.0%)して、120℃で24時間加熱し、二水石膏をβ型半水石膏にして定量測定を行った。 その結果を、「本発明の方法」として表7に示す。 なお、比較のために、上記特開平11−183466号公報に記載された方法を用いて、α型半水石膏量及びβ型半水石膏量の定量を行い、その結果を表7中の「従来の方法」として示す。 表7より、本発明の方法によるα型半水石膏の定量値及びβ型半水石膏の定量値の偏差は0.01であり、従来の方法においては、10試料中5試料の定量測定ができず、また定量値の偏差は0.04であった。 本発明の定量方法により測定した半水石膏の定量値の変動幅はそれぞれ±0.02であり、一方、従来の方法による該定量値の変動幅は±0.05であった。 この結果より、本発明の定量方法により定量したα型半水石膏量及びβ型半水石膏量は、従来の方法では定量できなかった半水石膏量が1.0%以下においても、定量精度が良いことがわかる。 なお、上記(1)〜(5)において、従来の方法では、定量に以下の時間を要していた。半水石膏の定量(DSC):1時間、試料の強熱:16時間、恒量になるまでの静置時間:1時間、TG分析:1時間、解析:0.5時間 計19.5時間 一方、本発明の方法では、上記従来方法と比較して、定量にかかる時間が約1/2に短縮された。半水石膏の定量(DSC):1時間、サリチル酸アセトンメタノール処理:2.5時間、溶媒乾燥:3時間、粉末X線回折測定・解析:1時間 計7.5時間 本発明のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法は、ポルトランドセメント全般に適用することができ、セメント中に含まれる半水石膏量の大小に係らず、α型半水石膏及びβ型半水石膏を精度良く容易に定量測定することに適用することができる。 セメント中の半水石膏量B(%)を熱分析により定量し、 該半水石膏量が1%以上である場合には、該セメント中のカルシウムシリケート相を溶解させ、 得られた溶解残渣の粉末X線回析測定により特定の2θ値における半水石膏のピーク強度CB(cps)を測定し、 別途作成した、α型半水石膏量と粉末X線回析測定による特定の2θ値のピーク強度との関係の検量線、及びβ型半水石膏量と粉末X線回析測定による特定の2θ値のピーク強度との関係の検量線から、前記半水石膏量B(%)に相当する、α型半水石膏のピーク強度CαB(cps)及びβ型半水石膏のピーク強度CβB(cps)を求め、 以下の式(C)〜(F): CB=a×CαB+b×CβB・・・・・(C)式 a+b=1 ・・・・・(D)式 Bα=a×B ・・・・・(E)式 Bβ=b×B ・・・・・(F)式(但し、上記式中の記号は以下のものを示す。 B:セメント中の半水石膏量[%] CB:セメント中の特定の2θにおけるピーク強度[cps] CαB:検量線に基づく半水石膏量B(%)におけるα型半水石膏の特定の2θ値におけるピーク強度[cps] CβB:検量線に基づく半水石膏量B(%)におけるβ型半水石膏の特定の2θ値におけるピーク強度[cps] a:α型半水石膏比率[−] b:β型半水石膏比率[−] Bα:セメント中のα型半水石膏量[%] Bβ:セメント中のβ型半水石膏量[%] )を用いて、セメント中のα型半水石膏量Bα(%)及びβ型半水石膏量Bβ(%)を算出することを特徴とする、セメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法。 セメント中の半水石膏量B(%)を熱分析により定量し、 該半水石膏量が1%未満である場合には、更にセメント中の二水石膏量G(%)を熱分析により定量し、 セメント中に含まれる前記二水石膏を半水石膏に半水化して、前記半水石膏量B(%)と前記二水石膏を半水化して得られた半水石膏量の合計である全半水石膏量B’を1.0〜4.0%となるように調製し、 二水石膏を半水化させた時の全半水石膏量B’(%)、二水石膏を半水化させた時の当初から含まれる半水石膏量B(%)の占める比率x、二水石膏を半水化させた時の二水石膏の占める比率yを、 以下の式(G)〜(I): B’=B+G×0.843・・・(G) x+y=1 ・・・(H) x=B/ B ・・・(I)(但し、上記式中の記号は以下のものを示す。 B:半水石膏量[%] G:二水石膏量[%] B’:二水石膏を半水化させた時の全半水石膏量[%] x:二水石膏を半水化させた時の元々の半水石膏の占める比率 y:二水石膏を半水化させた時の二水石膏の占める比率 )を用いて算出し、 該セメント中のカルシウムシリケート相を溶解させ、 得られた溶解残渣の粉末X線回析測定により特定の2θ値における半水石膏のピーク強度CB’(cps)を測定し、 別途作成したα型半水石膏量と粉末X線回析測定による特定の2θ値のピーク強度との関係の検量線、及びβ型半水石膏量と粉末X線回析測定による特定の2θ値のピーク強度との関係の検量線から、前記半水石膏量B’(%)に相当する、α型半水石膏におけるα型半水石膏のピーク強度CαB’(cps)及びβ型半水石膏のピーク強度CβB’(cps)を求め、 以下の式(J)〜(M): a’+b’=1 ・・・(J) CB’=x×(a’×CαB’+b’×CβB’)+y×CβB’ ・・・(K) Bα=a’×B ・・・(L) Bβ=b’×B ・・・(M)(但し、上記式中、記号は以下のものを示す。 CB’:半水石膏量B’(%)におけるセメント試料の特定の2θ値におけるピーク強度[cps] CαB’:検量線に基づく半水石膏量B’(%)におけるα型半水石膏の特定の2θ値におけるピーク強度[cps] CβB’:検量線に基づく半水石膏量B’(%)におけるβ型半水石膏の特定の2θ値におけるピーク強度[cps] a’:α半水石膏比率 b’:β半水石膏比率 Bα:セメント試料のα半水石膏量 Bβ:セメント試料のβ半水石膏量 )を用いて、セメント中のα型半水石膏量Bα(%)及びβ型半水石膏量Bβ(%)を算出することを特徴とする、セメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法。 請求項2記載のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法において、セメント中に含まれる前記二水石膏を半水石膏に半水化して、前記半水石膏量B(%)と前記二水石膏を半水化して得られた半水石膏量の合計である全半水石膏量B’が1%未満の場合には、該セメントに二水石膏を添加して半水化して、セメント中に含まれる全半水石膏量B’が1.0〜4.0%となるように二水石膏を添加することを特徴とする、セメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法。 請求項2または3記載のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法において、二水石膏を半水石膏に半水化するにあたり、セメントを100〜120℃で24時間以上加熱して該セメント中の二水石膏を半水石膏とすることを特徴とする、セメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法。 請求項1〜4いずれかの項記載のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法において、 検量線は、複数の特定量のα型半水石膏量のα型半水石膏とセメントクリンカとを混合して粉砕して複数のα型半水石膏混合品を調製し、また別途複数の特定量のβ型半水石膏量のβ型半水石膏とセメントクリンカを混合して粉砕して複数のβ型半水石膏混合品を調製し、 次いで、各混合品のカルシウムシリケート相を溶解し、 得られた溶解残渣の粉末X線回析測定により特定の2θ値におけるピーク強度を測定し、 x軸に半水石膏量、y軸に前記特定の2θ値におけるピーク強度をプロットして、 複数のプロットから最小二乗法により、α型半水石膏混合品、β型半水石膏混合品の検量線を求めることを特徴とする、セメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法。 請求項1〜5いずれかの項記載のセメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法において、セメント中のカルシウムシリケート相は、サリチル酸アセトンメタノールを用いて処理することで溶解させることを特徴とする、セメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法。 【課題】セメント中に含まれるα型半水石膏及びβ型半水石膏の含有量の大小に係らず、かかるα型半水石膏量及びβ型半水石膏量を精度良く、短時間で定量することができる、セメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法を提供する。【解決手段】セメント中のα型半水石膏及びβ型半水石膏の定量方法は、α型半水石膏及びβ型半水石膏の粉末X線回折ピーク強度の違いを利用して、ポルトランドセメント中のα型半水石膏量及びβ型半水石膏を定量する方法である。【選択図】図2