生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_超音波プローブ及びその製造方法
出願番号:2012069300
年次:2013
IPC分類:H04R 17/00,A61B 8/00,G01N 29/24


特許情報キャッシュ

小椋 高志 永田 貴之 JP 2013201646 公開特許公報(A) 20131003 2012069300 20120326 超音波プローブ及びその製造方法 パナソニック株式会社 000005821 内藤 浩樹 100109667 永野 大介 100109151 藤井 兼太郎 100120156 小椋 高志 永田 貴之 H04R 17/00 20060101AFI20130906BHJP A61B 8/00 20060101ALI20130906BHJP G01N 29/24 20060101ALI20130906BHJP JPH04R17/00 332AA61B8/00G01N29/24 502H04R17/00 330HH04R17/00 330J 9 3 OL 9 2G047 4C601 5D019 2G047EA11 2G047EA16 2G047GB02 2G047GB15 2G047GB17 2G047GB21 2G047GB32 2G047GB35 4C601BB03 4C601EE10 4C601EE14 4C601GB06 4C601GB17 4C601GB19 4C601GB40 4C601GB41 4C601GB44 5D019BB02 5D019BB19 5D019BB25 5D019BB28 5D019BB30 5D019FF04 5D019GG01 本発明は、超音波診断に用いられる超音波探触子、または、超音波センサーなどに関するものである。 まず、従来一般的な超音波探触子について、図1を用いて説明する。図1は、従来の超音波探触子の構成を示す縦断面図である。図1の上方から、音響レンズ3、整合層2、圧電振動子1、バッキング材4が積層された構造がとられ、図1においては、それぞれの部材の厚み方向が図示され、上部が生体側である。 一般的な超音波診断装置では、圧電振動子1から発信された超音波が整合層2、音響レンズ3を通り、生体に放射され、生体内で反射した超音波が往路と逆のルートを辿り、再び圧電振動子1にて受信され、その受信強度や応答時間に即した信号が輝度情報に変換され映像化される。 上記は、素子を1次元に配列されたものを例に説明したものであるが、この1次元構造によるプローブは、プローブ本体を移動させることで平面の画像を得ることができる。一方、これらの素子を2次元配列(マトリックス配列)させることで、プローブ本体を移動させなくとも平面の画像を得ることができ、また移動させることで立体の画像(3D画像)を得られるようにした、いわゆる2次元アレイ型のプローブがある。 超音波プローブを作製するプロセスにおいては、図1のバッキング材4に圧電素子を重ね、さらに電極及び整合層2を重ねて接着した上で、所定の幅(例えば100μm間隔)でダイシングして1次元に独立配列した複数の送受信素子を得る。 同様に、2次元アレイプローブは、圧電素子を縦横にダイシングすることによって、マトリックス状に配列した素子構造を得る事ができる。この縦横に配列した素子に対して順番に信号を与え、超音波を発信し、被写体から返って来た音波を受け取ることにより、被写体の構造を映像化することができる。 ここでの説明は、上記した医療向けの超音波プローブにおいて記載したものであるが、体内へ超音波を発信し、内臓等の状態を知ることに使用するだけではなく、空中に放射して、空間に存在する物体においても検知するセンサーとして同様に機能させることができる。その場合、音響インピーダンスの整合を図るために、整合層2を空気に対応したものに設計変更する必要がある。 基本的に、医療向けは高精細画像が要求されるため、素子のサイズが200μm以下と小さくなるが、空間に位置する大きな物体を検知するのであれば、素子サイズはこれより大きくても構わず、プローブのサイズも大型化させた方がより広い空間のセンシングが可能である。 整合層の設計については、超音波が通過する媒体がコンクリートや水であっても同様である。特開2011−110111号公報特開2005−101748号公報 2次元アレイプローブの先行例としては、1例として文献1を上げる。2次元アレイプローブを作製するためには、圧電素子を縦横にダイシングして文献1の図1にあるような状態に切断する必要がある。 しかし、例えば一般的な1次元アレイプローブの素子数、100素子程度を得るために、100回のダイシングを実施するには、およそ1時間の時間をかけながら切断する必要がある。なぜなら、切断スピードを上げることで、圧電層のクラックや素子折れなどの破壊、各層間の剥離などが発生し、歩留まりが低下するからである。このような状態で2次元アレイプローブを得るために縦横に素子をダイシングする場合、仮に100×100素子のアレイを得るためには単純にその倍の時間を要するだけでなく、上面のサイズが小さくなる分、表面層(主に整合層)のチッピングが生じやすくなり、さらには、2軸で切断され、棒状になったバッキング−圧電素子−整合層の積層体は、それ自体が物理的に折れやすい状態になる。 ダイシング工程では、噴水流を回転するブレードにかけ被切断物との摩擦熱を低減しながら切断作業を行なっている。そのため、折れ易くなった棒状の素子は、ますます外部からの負荷を追うことになり、単純に時間をかければという問題ではなくなって来る。これは文献1の図2の断面積で図示される通りである。 また、圧電素子は大面積化が難しく、複数の素子を大判で用いていては、素子の信頼性に影響し、素子間の厚みのムラなどが発生して安定性を失ってしまう。 このような歩留まりの低下につちえは、文献1においても、「一般的に、開口径(振動子の数)が大きくなるに従って、振動子群の歩留まりが劣化し、コストが上昇する傾向にある。」との認識をされている。 このように、1次元から2次元に移行する上で、上記の様な課題により、急激に歩留まりが低下し、cMUTやpMUTなどの半導体技術を用いた精密な工程によって得られる素子に従来の圧電素子を高密度に2次元配置するプロセスで対抗することが出来なくなってしまっているのが現状である。 本発明は、このように製造タクト上の問題や工法上の信頼性の課題を解消し、安価な2次元アレイプローブを提供することを目的とする。 本発明は、前記従来の課題を解決するもので、製造タクトのかかるダイシング工程を用いることなく、かつ安定して多数個の素子を形成させることのできる手法を提供する。 本発明にかかる超音波探触子及びセンサーによれば、素子を形成するPZTからなる素子を球状に加工したものを用いる。 球体の素子を用いる例としては、例えば文献2では、球体表面に均一な厚さで塗布した加熱溶融性の樹脂を互いの素子が接するように集積後、前記樹脂を加熱溶融することで、素子同士を密着させるといった手法が開示されている。 この手法を採った場合には、素子への膜厚の制御、接合条件の厳密化などにより、接合後の歪みや、寸法の変化などを安定させるプロセス技術が不可欠であるが、さらに電極付与の前段階でのコーティング皮膜の部分除去など、製造プロセスに高度な技術と精度が要求され、具現化するためには、製造に伴う高いコストが発生することが予想される。 また、文献2では、球状素子の2次元、3次元配置を可能とするとの旨の記載はあるが、配置した後にどのように、電極を形成するのか、どのように利用するのかが明確では無く実用性を欠いている。 さらに、この手法を用いたばあい、素子へコーティングする樹脂の膜厚が不均一であったり、加熱ムラや圧力ムラによって素子間に狂いが生じる可能性が高い。 微小な球体へ均一な膜厚を形成させる手法についても特に文献2には開示されていないが、素子単独で均一な薄膜を微小球に形成させることは技術的に困難であり、この精度が低ければ、素子の配置の精度にも影響を及ぼす。 さらに、溶融して素子を接合した場合には、球であるため当然、球体間には樹脂の無い空間が存在する。溶融接合した場合には、これらが空間に閉じ込められることになるが、素子間に空気の存在はインピーダンスの極端な違いにより反射を生じるため、実使用には大きな課題である。 また、記載はされていないが、圧電素子を駆動させる上で必須となる電極を素子上に形成させる必要があるが、一旦、樹脂をコートしてしまった素子から、そのコートした樹脂の一部を互いの素子間にある樹脂に影響を与えずに剥離することは難しく、素子間の配置に歪みを生ずることは必須である。 上記の課題のいずれもが、超音波ビームの精度に影響するが、これらのプロセス上の課題を解決することによって文献2のアイデアを実現するには、非常に高度の技術を要するだけでなく、高コストが生じることが予想される。 本発明は、文献2に見られる手法とは異なり、より簡便な方法で素子を配置し、電極を形成する。 およそ直径200μmの真球に加工したPZT(5)を所定の配列で複数の孔を設けた基板(6)のそれぞれの孔に並べて得られる構造が基本構造となる。 さらに、圧電素子間の空隙に樹脂(7)を流し込み、それぞれの素子を固定した後、圧電素子の上下に導電ペーストによって電極(8)を設け、スクリーン印刷などで配線を施す。 さらに、整合層を接合し、圧電の電極に所定の電圧をかけることで素子の分極を実施する。 始めから分極した圧電体を用いないのは、切断した個々の素子片の分極方向が配列時に揃わないからである。素子を球状にしたのは、個々の素子片を配列させた時に形状的な方向性に配慮する必要がないからである。 PZT球体については、一旦バルクで平面状に形成したものを所定のブロックサイズに切断し、それらを物理的に球体に加工(球体研磨)したものを用いているが、型内焼成など、真球を形成する効率的な手法があれば、特にプロセスにはこだわらない。 また、球体の素材は必要な感度が得られること、また球体に加工ができることが条件であり、それらを満たせば、必ずしもPZTが材料である必要はない。 医療用超音波プローブとしてではなく、空間のセンサーとして機能させる場合には、素子は200μmではなく、より大きなサイズ、例えば1mm程度にした方が望ましい。なぜなら、出力感度が高まり、音波の到達距離がより得られるからである。このサイズについては、対象とする物体のセンシング精度や、感度などを考慮して決めれば良い。 医療用としても、200μmにこだわる必要はなく、必要な感度や精度に基づき、サイズを設計すればよい。 球体を固定する素子間に充填する樹脂材料(7)には、素子間のクロストークを減衰させる効果も有しているため、支持効果に優れ(すなわち剛性を有し)かつ減衰効果に優れた高内部損失素材を用いるのが望ましい。 球体素子(5)間に樹脂(7)を充填させる前に、個々の素子を保持する方法としては、基板(6)の逆方向からバキュームし、吸引力により一時的に孔に固定させる方法が望ましい。 配線については、各々の球体圧電の上下に電極(8)を設け、それぞれにプラス/マイナスの逆位相電位を与える必要があるが、素子数が多く、素子間が狭いばあいなど、互いの素子の配線が交差してしまう場合には、立体配線を実施するのが望ましい。立体配線は、バッキング材料の内部に形成してもよいし、圧電の表側に形成してもよい。また一方の電極をすべての素子、(または複数の素子をグループ化した単位)で共通化させたグランドとして、いわゆる「ベタ配線」を実施しても構わない。この電極材料が、圧電側にある場合には、それが整合層の一部を形成していても構わない。 配線を形成する手法は、導電ペーストを用いてスクリーン印刷やインクジェット型の印刷機を用いることが望ましい。導電ペーストについては、電圧の負荷による破壊を防ぐために、できるだけ抵抗成分の小さなナノ銀ペーストやナノ銅ペースト、ナノ金ペーストなどを用いるのが望ましい、これらは、低温焼成ができる素材でもあり、基板に熱的な負荷がかからないためその面でも望ましい。 その他にも抵抗成分の小さな配線用素材があれば、前記に上げた材料にこだわることはない。 整合層については、素子基板ごと整合層の機能を付与する材料を塗工積層させるような形成法をとるのが望ましいが、従来の工法通りに整合層を形成するフィルム素材を基板に貼りつけても構わない。 素子を配置するために設ける基板の孔については、マイクロブラスト手法を用いることで、すり鉢状の孔を精密に設けることができるが、エッチングやドリルを用いた加工など同様に精密な孔が所定の通り形成できれば特に手法を選ばない。 本発明にかかる超音波探触子によれば、球状の圧電素子を所定の細孔を設けた基板に配置し、スクリーン印刷や精密塗工などにより電極や配線、素子間の重点素子や整合層などを設けることで、従来の圧電からなる平板をダイシングによって素子化することに比較して、タクトタイムが短縮される安価な工法であり、かつ、ダイシングによる素子の破壊などが防止されるため歩留まりについても向上し、商品の低コスト化に貢献することができる。従来の超音波探触子の断面図本発明における球体圧電を孔を設けたベースに配置した断面図本発明における球体圧電を重点樹脂によって固着し配線を設けた断面図 以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。 (実施の形態) 平板に形成した厚み300ミクロンのPZT系圧電素子を縦、横、高さ300ミクロン角にダイシングし、研磨して直径200ミクロンの球状の圧電体を得た。 また、別途100ミクロン厚のセラミックス基板に口径150ミクロンの孔をマイクロブラスト製法により、素子間隔を250ミクロンピッチで縦、横10列。計100素子分の細孔を設けた。完全に同じ位置に所定の孔を設けた基板を2枚用意し、それぞれ基板A、基板Bとした。 この細孔を設けた基板Aの裏面にバキュームを取り付け、吸引することで、100素子の球状圧電を細孔にホールドした。 もう一枚の基板Bの表面側から、スキージを用いて導電性ペーストを孔に充填した。周りに付着した導電ペーストはすべて拭きとった。 基板Aをバキュームし、素子をホールドしながら、前記基板Aと基板Bの表面同士を位置合わせしながら、基板Aの球状圧電基板Bの細孔に挿入した。 この状態で、導電性ペーストを200℃、1時間で十分に硬化させ、粒子を孔に固着させると共に、球の「南半球部分」に電極を形成した。 その後、UV硬化型の高分子樹脂を素子間の隙間に充填し、UVを照射して硬化、素子を固着させた。 次に、圧電素子側、すなわち、「北半球部分」全面に、銀ナノペーストを塗工し150℃10分で焼成して電極とした。 裏面には立体配線を行った積層基板を用いたバッキングを正確に位置合わせをしながら添付した。 その後、表、裏の前記電極(7)に1kvの電圧をかけ分極を行った。分極は圧電材料のキュリー温度を超えるように200℃程度に加温したシリコンオイル内において実施した。 最後に、圧電素子側に、整合層材料を所定量塗工し、乾燥、焼成させることで超音波プローブ用トランスデューサを得た。 このような実施例によって得られた超音波プローブ用トランスデューサのバッキング側と圧電素子側に銀ペースト及び銀ナノペーストで形成した電極を通じてパルス電位を与えることで超音波を送信させることができた。 本発明にかかる、超音波プローブはPZTを球型に加工したものを精密に配列して、配線を施し、所定の部材を主にスクリーン印刷や塗工によって形成し、信号の受発信を可能としたものである。これにより、ダイシングにかかる時間がなくなりタクトタイムの縮減につながる。また、ダイシングによる素子破壊による組立工程での歩留まりの向上を図ることができ、コストパフォーマンスに優れたプローブの開発が可能である。この構造及び製造方法は、特に素子がマトリックス配置され、格段に素子数の多くなる2次元アレイプローブにて効果的である。 さらに、本構造では、圧電素子の平板サイズに寄らず大面積化が可能で、超音波医療診断向けにとどまらず、空間用の物体センサーなど多くの分野に応用が可能である。 1 圧電振動子 2 整合層 3 音響レンズ 4 バッキング 5 球状圧電素子 6 基板 7 圧電素子間の充填材料 8 電極材料PZTを球体に加工し、球体の赤道位置を境界として、南半球、北半球に位置する半球表面の全部または一部に電極を設け、かつ電極を塗工しない絶縁エリアを赤道近傍に設けた素子を配置して形成される超音波プローブ。PZTを球体に加工し、球体の赤道位置を境界として、南半球、北半球に位置する半球表面の全部または一部に電極を設け、かつ電極を塗工しない絶縁エリアを赤道近傍に設けた素子を2次元に配置して形成される請求項1の超音波プローブ。PZT球体が100〜1000μmの間のサイズである請求項1、2の超音波プローブ。素子を配置する基材の加工孔が、所定のテーパーを形成している貫通孔であり、素子を配置する上面の孔の口径は、球体が孔内に完全に埋設しない口径であり、また下面の口径は球体の直径以下のサイズである請求項1、2、3に記載の超音波プローブ。素子を配置する加工孔に接着性を有する導電性ペーストを予め充填し、配置した素子を固定すると共に電極の形成を行った請求項1〜4に記載の超音波プローブ。配置した球体によって裏面に押し出された導電ペーストが電極用のバンプを形成するように充填量を制御した請求項5の超音波プローブ。基材上に配置された複数の球体素子間を樹脂を充填して埋めると共に、基材に設けた口径と同じ直径分が球体の上面に残るように樹脂の充填量を制御した請求項1〜5の超音波プローブ。配置した球体の上面に一様に導電ペーストを塗工し、電極の形成と配線を同時に実施した請求項7の超音波プローブ。配置した球体を電極によって複数連結したことを特徴とする請求項1、2の超音波プローブ。 【課題】従来の超音波プローブは、発振素子として圧電素子が用いられ、平板の圧電素子をバッキングや整合層、電極などの部材と積層した後、それらをダイシング加工して個々の素子に分割している。通常100〜200μm程度の幅で、100以上の素子にダイシングするが、そのタクトタイムが長いこと、また、回転刃の摩擦熱を低減させるため水流を吹きつけることから、素子折れや層剥離といった破壊が生じる可能性を有していた。【解決手段】本発明にかかる超音波プローブはPZTを球型に加工したものを精密に配列して、電極形成と配線を主にスクリーン印刷や塗工、転写などによって形成することで信号の受発信を可能としたものである。【選択図】図3


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