生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_食後過血糖の予防又は改善剤
出願番号:2012059570
年次:2012
IPC分類:A61K 45/00,A61K 31/7034,A61K 31/133,A61K 31/19,A61P 3/10,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

山本 善一 鳥住 保博 塙 雅明 JP 2012211127 公開特許公報(A) 20121101 2012059570 20120316 食後過血糖の予防又は改善剤 第一三共ヘルスケア株式会社 306014736 竹元 利泰 100161160 石橋 公樹 100146581 今村 真有 100153039 中村 有希子 100160462 児玉 博宣 100164460 山本 善一 鳥住 保博 塙 雅明 JP 2011060326 20110318 A61K 45/00 20060101AFI20121005BHJP A61K 31/7034 20060101ALI20121005BHJP A61K 31/133 20060101ALI20121005BHJP A61K 31/19 20060101ALI20121005BHJP A61P 3/10 20060101ALI20121005BHJP A61P 43/00 20060101ALI20121005BHJP JPA61K45/00A61K31/7034A61K31/133A61K31/19A61P3/10A61P43/00 111A61P43/00 121 4 OL 9 4C084 4C086 4C206 4C084AA19 4C084MA02 4C084NA05 4C084ZC202 4C084ZC351 4C084ZC752 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA08 4C086MA02 4C086MA04 4C086NA05 4C086ZC20 4C086ZC35 4C086ZC75 4C206AA01 4C206AA02 4C206DA02 4C206FA01 4C206FA29 4C206KA13 4C206KA15 4C206MA02 4C206MA04 4C206NA05 4C206ZC20 4C206ZC35 4C206ZC75 本発明は、α−グルコシダーゼ阻害剤から選ばれる1種以上とジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン(Diisopropylamine dichloroacetate:以下、単にDADAという場合がある。)を含有する食後過血糖の予防又は改善剤に関する。 α−グルコシダーゼ阻害剤は、二糖類から単糖類に分解するα−グルコシダーゼを阻害し、糖尿病の食後の過血糖の改善や、耐糖能異常における2型糖尿病の発症を抑制する薬剤として広く使用されている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、その作用メカニズムにより、糖質が体内に吸収されず二糖類のまま腸内を移行する結果、その未吸収物質の分解・発酵により、下痢、軟便、腹部膨満、放屁増加などの消化器の副作用が出ることが知られている。またその副作用は、用量に依存して頻度が増えることが報告され(例えば、非特許文献2参照)、それらの副作用を軽減する薬剤が求められている。 一方、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン(DADA)は肝再生促進作用、抗脂肝作用などが知られており肝機能改善薬として長く臨床的に利用され、安全性の高い薬剤であることが知られている(例えば 非特許文献3参照)。また、DADAは一般薬理作用として糖質代謝にも影響することが知られている(例えば、非特許文献3参照)。 また、ヘスペリジン、パンテチン、及びビタミンB1も、糖質代謝に影響を与えたり、耐糖能異常を改善する作用があることが知られている。(例えば、特許文献2、3、非特許文献4参照) これまでに、α−グルコシダーゼ阻害剤とスルフォニルウレアやグリニド系インスリン分泌促進剤の併用が開示されている(例えば、特許文献1参照)。 しかしながら、α−グルコシダーゼ阻害剤とDADAとの組み合わせは知られておらず、これらの薬剤の併用効果については全く知られておらず、示唆もなされていない。特開2001−316293号公報特表平11−507385号公報特開2007−223914号公報JAPIC 医療用医薬品集2009 (財)日本医薬情報センター編 2387頁〜2389頁ベイスン(登録商標)インタビューフォーム 武田薬品工業株式会社リバオール(登録商標)インタビューフォーム 第一三共株式会社ビタミンの事典 日本ビタミン学会編 153頁〜154頁 本発明の目的は、本邦で1300万人と推定されている糖尿病予備軍の糖尿病への移行を抑えることである。これを可能とするために、食後過血糖の患者が長期間継続的に服用しても安全かつ効果的であり、かつα-グルコシダーゼ阻害剤の服用量が少なくても十分に食後過血糖を低下させる、優れた医薬組成物を提供することが本発明の課題である。 本発明者らは、既存のα-グルコシダーゼ阻害剤にいかなる佐薬を併用すれば、α-グルコシダーゼ阻害作用を増強でき、α-グルコシダーゼ阻害剤の有する副作用を軽減できるか研究を鋭意進めてきた。その中で、驚くべきことに、肝機能改善薬として知られているジクロロ酢酸ジイソプロピルアミンをα-グルコシダーゼ阻害剤と併用することでα-グルコシダーゼ阻害作用が有意に増強することを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は以下を提供する。(1)α−グルコシダーゼ阻害剤およびジクロロ酢酸ジイソプロピルアミンを含有する医薬組成物。(2)α−グルコシダーゼ阻害剤およびジクロロ酢酸ジイソプロピルアミンを含有する食後過血糖の予防又は改善用医薬組成物。(3)α―グルコシダーゼ阻害剤が、ボグリボースまたはアカルボースである請求項1〜2に記載の医薬組成物。(4)α―グルコシダーゼ阻害剤が、ボグリボースである請求項1〜2に記載の医薬組成物。 本発明の組成物は、食後過血糖の患者に対して、長期間継続的に服用しても安全性が高く、かつ有効性に優れるため有用である。特に、糖尿病予備軍に対し、糖尿病への移行を抑えることが可能な薬剤を提供することができる。 本発明の医薬組成物におけるα−グルコシダーゼ阻害剤としては、例えば、ボグリボース、アカルボース、およびミグリトールなどが挙げられ、中でもボグリボースまたはアカルボースが好ましく、ボグリボースがより好ましい。ボグリボースは第15改正日本薬局方に収載されており、容易に入手することができる。その他のα−グルコシダーゼ阻害剤も市販されており、容易に入手することができる。 また、本発明の薬剤に使用されるDADAは、市販品(例えば、第一三共株式会社製、Lot. XVA8056等)を使用することができる。 本発明の医薬組成物におけるα―グルコシダーゼ阻害剤の含有量は、例えば、α−グルコシダーゼ阻害剤がボグリボースの場合、好ましくは0.001〜10mg、より好ましくは0.01〜1mgを1日1〜3回に分けて服用できるように設計すればよい。また、アカルボースの場合、好ましくは0.2〜2000mg、より好ましくは2〜200mgを1日1〜3回に分けて服用できるように設計すればよい。 また、本発明の医薬組成物の剤形が1日1回100mL服用する液剤であれば、例えば、ボグリボースの含有量は、好ましくは0.001〜10mg/100mL、より好ましくは0.01〜1mg/100mLである。また、アカルボースの場合、好ましくは0.2〜2000mg/100mL、より好ましくは2〜200mg/100mLである。 また、本発明の医薬組成物におけるDADAの含有量は、好ましくは1〜2000mg、より好ましくは3〜1000mgを1日1〜3回に分けて服用できるように設計すればよい。また、本発明の医薬組成物の剤形が1日1回100mL服用する液剤であれば、その液剤におけるDADAの含有量は、好ましくは1〜2000mg/100mL、より好ましくは3〜1000mg/100mLである。 本発明の医薬組成物の好ましい態様の一つは、α−グルコシダーゼ阻害剤およびDADAを含有した医薬組成物であり、より好ましい態様としては、ボグリボースおよびDADAを含有した医薬組成物である。 本発明において、ボグリボースと、DADAとの配合比(重量比)は、通常、ボグリボース1重量部に対し、DADA1〜100000重量部であり、好ましくは、DADA10〜50000重量部であり、より好ましくは、DADA100〜10000重量部である。また、アカルボースの場合には、DADAとの配合比(重量比)は、通常、アカルボース1重量部に対し、DADA0.01〜2000重量部であり、好ましくは、DADA0.1〜200重量部であり、より好ましくは、DADA0.4〜20重量部である。但し、本発明の効果が奏される限り特に限定されない。 本発明の医薬組成物には、本発明の効果が阻害されない限り、さらに、添加剤として、賦形剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、防腐剤、着色剤、安定剤、pH調節剤、溶解補助剤、清涼剤、香料、色素・着色剤などを配合することができる。 本発明の医薬組成物の剤形は、固形剤または液剤が好ましい。本発明の医薬組成物の剤形が固形剤の場合、その具体的な剤形としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等が挙げられる。 本発明の医薬組成物の製剤は、当該分野で公知の方法で製造することができる。例えば、本発明の医薬組成物の剤形が錠剤である場合には、第15改正日本薬局方製剤総則「錠剤」の項に準じて製造することができる。また、本発明の医薬組成物の剤形が液剤である場合には、第15改正日本薬局方製剤総則「液剤」の項に準じて製造することができる。 本発明の医薬組成物は、食後過血糖の予防又は改善剤、特に糖尿病時の食後過血糖の改善剤として使用することができる。また、耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制、メタボリックシンドロームの予防または治療、肥満の予防または治療にも使用することができる。 表1〜表2に製剤の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。(製剤例1)錠剤表1の成分および分量をとり、日本薬局方製剤総則「錠剤」の項に準じて錠剤を製する。(製剤例2)液剤表2の成分および分量をとり、日本薬局方製剤総則「液剤」の項に準じて液剤を製する。(試験例1) 糖負荷試験1(1)被験薬本試験に使用したボグリボースは和光純薬工業製、ヘスペリジンは和光純薬工業製、ベンフォチアミンは田村薬品工業製、パンテチンは第一三共プロファーマ製、ジクロロ酢酸ジイロプロピルアミン(DADA)は第一三共製であり、糖負荷に用いたスクロースは和光純薬工業製である。また、DADAは注射用水(大塚蒸留水、大塚製薬工場製)、ボグリボース、ヘスペリジン、ベンフォチアミン、およびパンテチンはメチルセルロース(MC)(信越化学工業製)に溶解した後、注射用水を加えて0.5%MCとなるように調整した。 試験群として表3に示す6群とした。投与液量を10mL/Kgとなるように調製した。なお、ボグリボースは、予試験によって求めた最大無作用量(0.01mg/Kg)を投与量とした。(2) 動物 日本エスエルシー株式会社より入手した9週齢ICR雄性マウスを5日間の検疫期間、その後7日以上の馴化期間を設けた。この間に体重測定 (電子天秤:PM2000、PB3002、PG2002‐S、PB3002‐S/FACTのいずれかを使用、メトラー・トレド株式会社) を4回、一般状態の観察を1日1回行い、検疫及び馴化とし、体重推移、一般状態に異常の認められない動物を用いた。(3)糖負荷試験 小高らの報告(小高裕之ら、二糖類水解酵素阻害剤 AO‐128 のラットにおける食後高血糖抑制作用. 日本栄養・食糧学会誌. Vol. 45, No.1, P27‐31,1992)に準じて試験を実施した。すなわち、20 時間以上絶食したマウスに0.5%MC注射用水または被験薬をマウス用金属製胃ゾンデ (有限会社フチガミ器械) を取り付けたポリプロピレン製ディスポーザブル注射筒 (テルモ株式会社) を用いて強制経口投与した。投与約20 分後にスクロース投与前の採血を行った。そして、0.5%MCまたは被験薬投与30分後に、ボグリボースまたは注射用水およびスクロース2.5g/kgを経口投与し、さらにその30分後に眼窩静脈叢からヘパリンコーティングされたキャピラリーを用いて約100μL/回採血した。血液は、遠心機 (CF8DL、日立工機株式会社) を用いて遠心分離 [設定温度:4°C、3000 rpm (約 1972 g)、15 分間] し、血漿を得た。得られた血漿をヘキソキナーゼ・G‐6‐PDH 法にて生化学自動分析装置 (AU 400、ベックマン・コールター・バイオメディカル株式会社)を用いて血糖測定した。(4)試験結果 上記で得られた血糖値(mg/dL)の結果を表4に示す。各値とも1群6匹の平均値±標準誤差である。有意差検定は、市販の統計プログラム (SAS システムリリース 8.2 TS2M0;SAS Institute Japan 株式会社) を使用した。血糖値について、分散比の F 検定を行い、等分散の場合はStudent の t 検定を行い、不等分散の場合は Aspin‐Welch の t 検定を実施した。対照群と比較し、危険率5%未満を有意とし、5%未満 (p<0.05) 及び 1%未満 (p<0.01) と表示した。*:p<0.01 表4の結果から、最大無作用量のボグリボース群ならびにボグリボース+ヘスペリジン併用群、ボグリボース+ベンフォチアミン併用群、ボグリボース+パンテチン併用群は、対照群と比較し、いずれもスクロース負荷30分後の血糖値の差は認められなかったが、ボグリボース+DADA併用群では対照群に比較し、スクロース負荷30分後に、有意な血糖値の抑制作用が認められた。すなわち、ボグリボースの最大無作用量において、血糖値を抑制させる作用が期待されるビタミン類である、ヘスペリジン、ベンフォチアミン、又はパンテチンをそれぞれ併用投与しても、血糖値の抑制作用は認められなかったが、DADAと併用した場合には、有意な血糖値抑制効果が認められた。(試験例2) 糖負荷試験2(1)被験薬 本試験に使用した、ボグリボースは和光純薬工業製、ジクロロ酢酸ジイロプロピルアミン(DADA)は第一三共製である。また、糖負荷に用いたスクロースは和光純薬工業製、DADAの溶媒には注射用水(大塚蒸留水、大塚製薬工場製)、ボグリボースの溶媒にはメチルセルロース(MC)(信越化学工業製)を用いた。 試験群として表5に示す4群とした。投与液量を10mL/Kgとなるように調製した。なお、ボグリボースは、予試験によって求めた最大無作用量(0.01mg/Kg)を投与量とした。(2)動物 日本エスエルシー株式会社より入手した9週齢ICR雄性マウスを5日間の検疫期間、その後7日以上の馴化期間を設けた。この間に体重測定 (電子天秤:PM2000、PB3002、PG2002‐S、PB3002‐S/FACTのいずれかを使用、メトラー・トレド株式会社) を4回、一般状態の観察を1日1回行い、検疫及び馴化とし、体重推移、一般状態に異常の認められない動物を用いた。(3)糖負荷試験 小高らの報告に準じて試験を実施した。すなわち、20 時間以上絶食したマウスに0.5%MC注射用水または被験薬をマウス用金属製胃ゾンデ (有限会社フチガミ器械) を取り付けたポリプロピレン製ディスポーザブル注射筒 (テルモ株式会社) を用いて強制経口投与した。投与約20 分後にスクロース投与前の採血を行った。そして、0.5%MCまたはDADA投与30分後に、ボグリボースまたは注射用水およびスクロース2.5g/kgを経口投与し、さらにその30分後に眼窩静脈叢からヘパリンコーティングされたキャピラリーを用いて約100μL/回採血した。血液は、遠心機 (CF8DL、日立工機株式会社) を用いて遠心分離 [設定温度:4°C、3000 rpm (約 1972 g)、15 分間] し、血漿を得た。得られた血漿をヘキソキナーゼ・G‐6‐PDH 法にて生化学自動分析装置 (AU 400、ベックマン・コールター・バイオメディカル株式会社)を用いて血糖測定した。(4)試験結果 上記で得られた血糖値(mg/dL)の結果を表6に示す。各値とも1群6匹の平均値±標準誤差である。有意差検定は、市販の統計プログラム (SAS システムリリース 8.2 TS2M0;SAS Institute Japan 株式会社) を使用した。血糖値について、分散比の F 検定を行い、等分散の場合はStudent の t 検定を行い、不等分散の場合は Aspin‐Welch の t 検定を実施した。対照群と比較し、危険率5%未満を有意とし、5%未満 (p<0.05) 及び 1%未満 (p<0.01) と表示した。 *:p<0.01 表6の結果から、最大無作用量のボグリボース群ならびにDADA群は、対照群と比較し、スクロース負荷30分後の血糖値の差は認められなかったが、ボグリボースにDADAを併用した群(ボグリボース+DADA併用群)では対照群に比較し、スクロース負荷30分後に、有意な血糖値の抑制作用が認められた。 本発明により、α-グルコシダーゼ阻害剤にDADAを配合することで、副作用を軽減し食後過血糖の予防または改善に有効かつ安全な医薬組成物を提供することができる。 α−グルコシダーゼ阻害剤およびジクロロ酢酸ジイソプロピルアミンを含有する医薬組成物。 α−グルコシダーゼ阻害剤およびジクロロ酢酸ジイソプロピルアミンを含有する食後過血糖の予防又は改善用医薬組成物。 α―グルコシダーゼ阻害剤が、ボグリボースまたはアカルボースである請求項1〜2に記載の医薬組成物。 α―グルコシダーゼ阻害剤が、ボグリボースである請求項1〜2に記載の医薬組成物。 【課題】本発明の課題は、食後過血糖の患者に長期間継続的に服用しても安全かつ効果的であり、糖尿病への移行を抑えることを可能とするために、α-グルコシダーゼ阻害剤の服用量が少なくても十分に食後過血糖を低下させる、優れた医薬組成物を提供することである。【解決手段】α-グルコシダーゼ阻害剤にジクロロ酢酸ジイソプロピルアミンを含有する薬剤。【選択図】なし


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