| タイトル: | 公開特許公報(A)_多糖類誘導体の製造方法 |
| 出願番号: | 2012057985 |
| 年次: | 2012 |
| IPC分類: | C08B 11/145,A61K 8/73 |
深谷 恵子 宮本 勝史 西岡 亨 村井 豊 平山 益太郎 JP 2012233156 公開特許公報(A) 20121129 2012057985 20120314 多糖類誘導体の製造方法 花王株式会社 000000918 大谷 保 100078732 片岡 誠 100089185 深谷 恵子 宮本 勝史 西岡 亨 村井 豊 平山 益太郎 JP 2011096457 20110422 C08B 11/145 20060101AFI20121102BHJP A61K 8/73 20060101ALI20121102BHJP JPC08B11/145A61K8/73 7 OL 18 4C083 4C090 4C083AC301 4C083AD131 4C083FF01 4C090AA02 4C090BA28 4C090CA07 4C090CA32 4C090DA26 本発明は、多糖類誘導体の製造方法に関する。 多糖類の水酸基の一部又は全てに置換基を導入した多糖類誘導体は、様々な化粧料、トイレタリー製品等に用いられる有用な化合物である。このような多糖類誘導体の製造法として、例えば、特許文献1及び2が知られている。 特許文献1には、多糖類に特定のエポキシ化合物又はポリオキシアルキレン化剤を反応させて置換多糖類誘導体を得る反応であって、原料の多糖類に対し反応溶媒として用いる水の量を必要最少量とし、多糖類を溶解することなく粉状のまま反応させることにより、反応剤の加水分解を抑制し、反応選択率を向上させる方法が開示されている。 また、特許文献2には、低結晶性の粉末セルロースを、触媒の存在下、酸化プロピレンと反応させるヒドロキシプロピルセルロースの製造方法が開示されている。 このような多糖類誘導体の製造には、触媒として塩基性触媒が使用されるが、この塩基性触媒が中和処理されずに未中和の状態では、反応終了後、得られた多糖類誘導体の安定性が損なわれ、特に保存中に着色や低分子量化が進むことがあるため、中和処理を行う必要がある。 特許文献3では、多糖凝集物を低減させるために粉末の中和酸を用いて加熱する方法が開示されている。 また、特許文献4には、多糖類のヒドロキシ基の水素原子を、ヒドロキシ基含有基で置換された多糖類誘導体を得る方法であって、ハイスピードミキサーを用いて、原料多糖類の粉体を攪拌しながら、エポキシ化合物と反応させた後、中和する多糖類誘導体の製造方法が開示されている。特開2002−114801号公報特開2009−143997号公報特開2008−74962号公報特開2010−106108号公報 特許文献1及び2の方法で得られる多糖類誘導体は、粉体としての流動性を保っているが、中和反応を均一に行うためには、得られた多糖類誘導体を水で膨潤又は溶解させるため、大きな塊状の多糖凝集物が生じるという問題があった。また、中和処理のために一度多量の水で膨潤又は溶解させた多糖類誘導体を、再び粉末状態に戻すためには、乾燥工程が必要になる。こうした工程は溶媒使用量が多い程エネルギー的に効率的でなく、乾燥工程における負荷が大きくなり、工程時間が長くなるため好ましくない。 一方、特許文献3の方法で中和を行った場合、長時間の加熱混合が必要になるため、多糖類誘導体の分子量の低下等が問題となる。 特許文献4の方法で得られる多糖類誘導体は、保存時の品質安定性が十分に満足できないことがあり、改善が望まれていた。 本発明は、効率的かつ高い生産性で、品質の安定した多糖類誘導体を、工業的に有利に製造する方法を提供することを課題とする。 本発明者らは、塩基性触媒の存在下で、粉末状の多糖類誘導体を得た後、特定量、特定濃度の有機酸水溶液で中和することにより、上記課題を解決できることを見出した。 すなわち、本発明は、下記工程(1)及び(2)を有する粉末状の多糖類誘導体の製造方法である。 工程(1):塩基性触媒の存在下で、多糖類と反応性官能基を有する化合物とを反応させて、粉末状の多糖類誘導体を得る工程 工程(2):機械撹拌式混合装置を用いて、工程(1)で得られた粉末状の多糖類誘導体と、該塩基性触媒に対して0.5〜1.5当量の有機酸を含有する有機酸濃度1〜80質量%の有機酸水溶液とを、回転翼周速が0.5m/s以上の条件下で混合して、水分含有量2〜36質量%の中和処理物を得る工程 本発明によれば、効率的かつ高い生産性で、品質の安定した多糖類誘導体を、工業的に有利に製造することができる。 本発明のセルロース粒子の製造方法は、下記工程(1)及び(2)を有する。 工程(1):塩基性触媒の存在下で、又は必要に応じて塩基性触媒と溶媒の存在下で、多糖類と反応性官能基を有する化合物とを反応させて、粉末状の多糖類誘導体を得る工程 工程(2):機械撹拌式混合装置を用いて、工程(1)で得られた粉末状の多糖類誘導体と、該塩基性触媒に対して0.5〜1.5当量の有機酸を含有する有機酸濃度1〜80質量%の有機酸水溶液とを、回転翼周速が0.5m/s以上の条件下で混合して、水分含有量2〜36質量%の中和処理物を得る工程[工程(1)] 工程(1)では、塩基性触媒の存在下で、又は塩基性触媒と必要に応じて溶媒の存在下で、多糖類と反応性官能基を有する化合物とを反応させて、粉末状の多糖類誘導体を得る。 ここで、「粉末状」とは、水分含有量が少ない粉末状であることを意味し、具体的には、水分含有量が好ましくは30質量%以下、より好ましくは0.1〜27質量%、更に好ましくは0.3〜25質量%、更に好ましくは0.5〜22質量%、より更に好ましくは1.0〜20質量%、特に好ましくは1.0〜15質量%であることを意味する。 多糖誘導体の生産性、品質安定性の向上の観点、並びに工程(2)において均一な中和処理を行う観点から、粉末状の多糖誘導体のメジアン径は10〜2000μmが好ましく、20〜1000μmがより好ましく、30〜750μmが更に好ましく、40〜400μmがより更に好ましい。本発明における粉末状の多糖誘導体のメジアン径は、実施例に記載の方法により測定される。<塩基性触媒> 本発明で用いられる塩基性触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等のアミン類が挙げられる。これらの中では、反応促進と取扱い性の観点から、アルカリ金属水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがより好ましい。 これらの塩基性触媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。<多糖類> 本発明において原料として用いられる多糖類に特に制限はない。例えば、セルロース、グアーガム、スターチ、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシエチルスターチ、メチルセルロース、メチルグアーガム、メチルスターチ、エチルセルロース、エチルグアーガム、エチルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルグアーガム、ヒドロキシプロピルメチルスターチ等が挙げられる。これらの中では、セルロースがより好ましい。(多糖類誘導体) 本発明において、原料である「多糖類」には、セルロース等の多糖類に低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基等が置換した多糖類誘導体も包含される。多糖類誘導体のメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等の置換基は、単一の置換基で置換されたものでもよいし、複数の置換基で置換されたものでもよい。 多糖類誘導体としては、例えば、カチオン化セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。 多糖類誘導体、例えばカチオン化セルロースは、低結晶性セルロースを、前記の塩基性触媒の存在下で、カチオン化剤と反応させることにより得ることができる。 ここで、低結晶性セルロースとは、下記式(1)で表わされる結晶化指数が、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは10〜0%であるセルロースを意味する。 結晶化指数(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 (1)〔I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度を示し、及びI18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。〕 通常の粉末セルロースは、少量のアモルファス部を有し、それらの結晶化指数は、上記計算式(1)によれば、概ね60〜80%の範囲にあるいわゆる結晶性セルロースである。 低結晶性セルロースの調製方法は特に限定されない。例えば、特開昭62−236801号公報、特開2003−64184号公報、特開2004−331918号公報、特開2010−37526号公報、特開2010−47622号公報等に記載の方法を挙げることができる。これらの中では、容器駆動媒体ミル、又は媒体攪拌式ミル等の媒体式粉砕機を用いた粉砕処理により結晶化指数を低下させることが、操作が簡便であり好ましい。容器駆動式粉砕機としては転動ミル、振動ミル、遊星ミル、遠心流動ミル等が挙げられる。 前記の原料多糖類の質量平均分子量は、好ましくは1万〜300万、より好ましくは5万〜200万、更に好ましくは10万〜100万の範囲である。 これら原料多糖類は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。 原料多糖類は、水分含有量が少ない粉末状のものが好ましく、原料多糖類の水分量は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。<反応性官能基を有する化合物> 反応性官能基を有する化合物としては、特に限定されないが、エポキシ基を有する化合物が好ましく用いられる。 その具体例としては、下記(a)〜(f)の化合物が挙げられる。(a)炭素数10〜40のアルキル基又はアルケニル基を有するグリシジルエーテル(b)炭素数2〜10のエポキシアルカンスルホン酸又はその塩(c)炭素数3〜10のエポキシ脂肪酸又はその塩(d)炭素数2〜10のエポキシアルキルアミン又はこれから誘導されるアンモニウム塩(e)炭素数2〜10のエポキシアルキルリン酸エステル又はその塩(f)炭素数2〜5のアルキレンオキシド(g)炭素数2〜4のエポキシアルカンアルコール又はハロアルカンジオール これらの中では、(d)炭素数2〜10のエポキシアルキルアミン又はこれから誘導されるアンモニウム塩、(f)炭素数2〜5のアルキレンオキシド、又は(g)炭素数2〜4のエポキシアルカンアルコール又はハロアルカンジオールが好ましい。(d)炭素数2〜10のエポキシアルキルアミン又はこれから誘導されるアンモニウム塩としては、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリエチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリメチルアンモニウムブロミド、グリシジルトリエチルアンモニウムブロミド等の炭素数1〜3のアルキル基を有するグリシジルトリアルキルアンモニウム塩が好ましく、メチル基又はエチル基を有するグリシジルトリアルキルアンモニウム塩がより好ましい。 (f)炭素数2〜5のアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシドが好ましい。(g)炭素数2〜4のエポキシアルカンアルコール又はハロアルカンジオールとしては、グリシドール、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、3−ブロモ−1,2−プロパンジオール等の3−ハロ−1,2−プロパンジオール等が好ましく、塩が副生しないこと、及び反応性の観点から、グリシドールがより好ましい。 前記の塩基性触媒の存在下において、反応性官能基を有する化合物だけではなく、それらの反応性官能基を形成する化合物も好ましく用いられる。該化合物としては、例えば、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。 前記の反応性官能基を有する化合物を用いると、下記(A)〜(F)で表される基から選ばれる1種以上の置換基で置換された多糖類誘導体を得ることができる。(A)炭素数13〜43のアルキル又はアルケニルグリセリルエーテル基(B)水酸基を有する炭素数2〜10のスルホアルキル基又はその塩(C)水酸基を有する炭素数3〜10のカルボキシアルキル基又はその塩(D)水酸基を有する炭素数2〜10のアミノアルキル基又はアンモニウムアルキル基(E)水酸基を有する炭素数2〜10のリン酸アルキル基又はその塩(F)水酸基を有する炭素数2〜5のアルキル基(好ましくは、ヒドロキシエチル基、又はヒドロキシプロピル基)(G)2つの水酸基を有する、炭素数2〜4のアルキル基(好ましくは、ジヒドロキシプロピル基)<溶媒> 工程(1)の反応において溶媒を使用する場合、その種類は特に限定されない。例えば、水、及び非水溶媒(有機溶媒及び無機溶媒)を用いることができるが、これらの中では水が好ましい。 水以外の非水溶媒としては、例えば、イソプロパノールやtert−ブタノール等の2級又は3級の低級アルコール、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)等のエーテル、ジメチルスルホキシド等の親水性溶媒等が挙げられる。<各成分の使用量等>(塩基性触媒の使用量等) 工程(1)における塩基性触媒の使用量は、特に限定されないが、原料多糖類の単糖単位1モル当たり、例えば原料多糖類としてセルロースを使用する場合は、セルロース分子中のグルコース単位1モル当たり0.01〜5モルが好ましく、0.05〜2.5モルがより好ましく、0.2〜2.0モルが更に好ましく、0.4〜1.2モルがより更に好ましい。 塩基性触媒は、高純度のものをそのまま用いてもよく、水等の溶媒中に溶解した溶液として用いてもよい。また、塩基性触媒の添加方法は、一括添加、分割添加、連続的添加、又はこれらの組合わせで行うことができる。(反応性官能基を有する化合物の使用量) 反応性官能基を有する化合物の使用量は、多糖類への置換基の導入量を考慮して適宜調整することができる。反応性官能基を有する化合物は、通常、原料多糖類の単糖単位1モル当たり、例えば原料多糖類としてセルロースを使用する場合は、セルロース分子中のグルコース単位1モル当たり、好ましくは0.0001〜10モル、より好ましは0.001〜8モル、更に好ましくは0.01〜5モルの範囲で使用することができる。 複数の反応性官能基を有する化合物を用いる場合は、それぞれの化合物の量が、上記範囲であることが好ましい。(溶媒の使用量) 工程(1)における溶媒の使用量は、反応により得られる粉末状の多糖類誘導体中の溶媒含有量が、好ましくは30質量%以下、より好ましくは0.1〜27質量%、更に好ましくは0.3〜25質量%、より更に好ましくは0.5〜22質量%、特に好ましくは1.0〜20質量%になる量で使用される。溶媒の使用量を上記範囲にすることで、多糖類誘導体の生産性の向上のみならず、原料多糖類を粉末状態に維持できるため、効率の良い撹拌が可能となる。また、反応性官能基を有する化合物としてカチオン性基を有する化合物を使用した場合、当該化合物の分解や溶媒との副反応を抑え、効率の良いカチオン化反応を進行させることができる。 原料多糖類に対する溶媒量が、上記範囲を越える場合には、昇温・減圧等、通常の脱溶媒操作を行って、上記範囲に調整することができる。これら脱水操作は、塩基性触媒及び反応性官能基を有する化合物の水溶液の反応装置内への導入が終わった後に行ってもよいが、これらの水溶液の反応装置内への導入と同時に行うこともできる。<反応装置> 工程(1)の反応に用いられる反応装置への原料多糖類、塩基性触媒、及び反応性官能基を有する化合物の添加順序は特に限定されない。 反応装置としては、特に限定されないが、反応性官能基を有する化合物と原料多糖類の反応速度を上げるため、該反応性官能基を有する化合物の沸点以上での反応を可能にする観点から、密閉性が高く、加圧操作の可能なものが好ましく、脱水操作や気相置換操作の観点から、減圧操作の可能なものが好ましい。反応性官能基を有する化合物と原料多糖類の反応速度の観点から、機械撹拌式混合機及び乾式粉砕機が好ましい。 機械撹拌式混合機の市販品としては、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)、スーパーミキサー(株式会社カワタ製)、プロシェアミキサ(大平洋機工株式会社製)、レーディゲミキサー(株式会社マツボー製)、アミクソンミキサー(amixson GmbH製)、アペックス・グラニュレーター(大平洋機工株式会社製)、スパルタンリューザー(株式会社ダルトン製)、ハイスピードミキサー(深江工業株式会社製)、SPG混合機(株式会社ダルトン製)、バーチカルグラニュレーター(株式会社パウレック製)、ニュースピードニーダー(岡田精工株式会社製)、ハイフレックスグラル(株式会社アーステクニカ製)、リボンミキサー(槇野産業株式会社製)、ナウターミキサー(ホソカワミクロン株式会社製)、SVミキサー(株式会社神鋼環境ソリューション製)、ニーダー等が挙げられる。 これらの中でも、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー(高速流動式混合機)、プロシェアミキサー(独自形状のショベル羽根による浮遊拡散混合と多段式チョッパー羽根による高速剪断分散の2つの機能を備えた混合機)、レーディゲミキサー(特徴的なスキ状ショベルを用いる混合機、チョッパー翼を設置可能)、アミクソンミキサー、アペックス・グラニュレーター、スパルタンリューザー、ハイスピードミキサー、SPG混合機、バーチカルグラニュレーター、ハイフレックスグラル等の機械撹拌式高速流動型混合機が好適に用いられる。 一方、乾式粉砕機としては、媒体式の容器駆動式粉砕機が好ましく、転動ミル、振動ミル、遊星ミル、遠心流動ミル等がより好ましく、振動ボールミル、振動ロッドミル等の振動ミルが更に好ましい。 一つの実施形態において、粉末状の多糖類誘導体は、振動ミルのような乾式粉砕機を用いて、原料多糖類の結晶化指数を低下させながら、原料多糖類と反応性官能基を有する化合物とを反応させることにより得ることができる。また、乾式粉砕機を用いる際に、得られる粉末状の多糖類誘導体の凝集を避ける観点から、粉砕助剤を用いることもできる。 上記反応は、得られる粉末状の多糖類誘導体の着色を避ける観点から、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。(振動ミル) 振動ミルに充填する媒体の材質に特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、チタニア、炭化珪素、チッ化珪素、ガラス等が挙げられる。媒体の形状としては、ロッド、ボール、チューブ等を用いることができる。これらの中では、特にロッドを充填した振動ミルが好ましい。 ロッドとは棒状の媒体であり、ロッドの断面が四角形、六角形等の多角形、円形、楕円形等のものを用いることができる。ロッドの外径は、好ましくは0.5〜200mm、より好ましくは1〜100mm、更に好ましくは2〜50mmであり、特に好ましくは3〜35mmである。ロッドの長さは、粉砕機の容器の長さよりも短いものであれば特に限定されない。 媒体がボールの場合、ボールの外径は、原料多糖類の結晶化指数の低下効率の観点から、好ましくは0.1〜100mm、より好ましくは0.5〜50mmであり、更に好ましくは1〜20mmであり、特に好ましくは1〜10mmである。 ボール又はロッドの充填率は、媒体式粉砕機の機種により異なるが、原料多糖類の結晶化指数の低減効率等の観点から、好ましくは10〜97%、より好ましくは15〜95%の範囲である。ここで充填率とは、媒体式粉砕機の撹拌部の容積に対する媒体の見かけの体積をいう。 振動ミルの市販品としては、中央化工機株式会社製の振動ミル、ユーラステクノ株式会社製のバイブロミル、株式会社吉田製作所製の小型振動ロッドミル、ドイツのフリッチュ社製の振動カップミル、日陶科学株式会社製の小型振動ミル等が挙げられる。 粉砕処理時間(原料多糖類の結晶化指数を低下し、原料多糖類、塩基性触媒、及び反応性官能基を有する化合物の混合物を反応させる時間)は、粉砕機の種類や、粉砕機に充填する媒体の種類、大きさ及び充填率等により適宜調整しうるが、効率的に反応させる観点から、好ましくは0.01〜20hr、より好ましくは0.05〜10hr、更に好ましくは0.1〜5hrである。粉砕処理温度(上記反応温度)は、反応速度、原料多糖類の安定性の観点から、0〜100℃が好ましく、20〜90℃がより好ましく、40〜80℃が更に好ましい。 上記の粉砕処理方法によれば、得られる粉末状多糖類誘導体同士の凝集を抑制し、粉砕機の内部に原料多糖類、反応終了物が固着せずに、原料多糖類から粉末状多糖類誘導体を効率的に、生産性よく製造することができる。<多糖類誘導体> 工程(1)で得られる粉末状の多糖類誘導体は、セルロース等の原料多糖類の水酸基(−OH)の一部又は全部と反応性官能基を有する化合物とが反応して、該水酸基の水素原子が反応性官能基を有する化合物と置換したものとなる。 工程(1)で得られる粉末状の多糖類誘導体の水分含有量は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは0.1〜27質量%、更に好ましくは0.3〜25質量%、より更に好ましくは0.5〜22質量%、特に好ましくは1.0〜20質量%である。 多糖類誘導体の具体例としては、カチオン化セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースなどのカチオン化セルロースエーテル誘導体が好ましく挙げられる。(カチオン化セルロース) カチオン化セルロースは、低結晶性の粉末セルロースを、前記の塩基性触媒の存在下で、前記のグリシジルトリアルキルアンモニウム塩と反応させることにより得ることができる。 カチオン化剤は、セルロースの流動性を保持して粉末状態で反応させる観点から、必要に応じて反応時又は反応前に脱水して、反応系内のセルロースに対する水分含有量を調整することが好ましい。 グリシジルトリアルキルアンモニウム塩の使用量としては、好ましくはセルロース分子中のグルコース単位1モル当たり0.01〜3モルであり、カチオン化セルロースとしての性能や反応後の脱水効率の観点から、0.05〜2モルであるのがより好ましい。 カチオン化の触媒としては、前記の塩基性触媒等を用いることができる。触媒の使用量は、特に制限はないが、セルロース分子中のグルコース単位1モルあたり、通常0.01〜5モル、好ましくは0.05〜2.5モル、より好ましくは0.2〜2.0モル、更に好ましくは0.4〜1.2モルに相当する量である。 カチオン化の反応温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは10〜100℃、更に好ましくは20〜80℃である。反応は常圧下又は加圧下で行うことができる。また、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。(カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース) 一つの実施形態においてカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースは、粉末状態を保ちながら、カチオン化セルロースをプロピレンオキシドと反応させてヒドロキシプロピル化することにより得ることができる。プロピレンオキシドの使用量は、セルロース分子中のグルコース単位1モル当たり0.01〜4モルが好ましく、0.05〜3モルがより好ましく、0.1〜2.5モルが更に好ましく、0.2〜2モルがより更に好ましい。 ヒドロキシプロピル化の触媒としては、前記の塩基性触媒等を用いることができる。触媒の使用量は、特に制限はないが、セルロース分子中のグルコース単位1モルあたり、通常0.01〜5モル、好ましくは0.05〜2.5モル、より好ましくは0.2〜2.0モル、更に好ましくは0.4〜1.2モルに相当する量である。 ヒドロキシプロピル化の反応温度は、プロピレンオキシド同士が重合するのを避け、かつ急激な反応を抑制する観点から、好ましくは0〜150℃、より好ましくは10〜100℃、更に好ましくは20〜80℃である。反応は常圧下又は加圧下で行うことができる。 また、反応中のセルロース鎖の解裂による分子量の低下を避ける観点から、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。 カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースの製造におけるカチオン化、ヒドロキシプロピル化の反応の順序は、セルロースのカチオン化を行った後にヒドロキシプロピル化を行ってもよいし、セルロースのヒドロキシプロピル化を行った後にカチオン化を行ってもよいし、同時に行ってもよい。 上記の方法により得られるカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースは、その分子中に存在するカチオン化エチレンオキシ基の数の、アンヒドログルコース単位あたりの平均値が好ましくは0.01〜2.5、より好ましくは0.01〜2.0、更に好ましくは0.02〜1.5である。 また、その分子中に存在するプロピレンオキシ基の数の、アンヒドログルコース単位あたりの平均値は、好ましくは0〜2.8、より好ましくは0.1〜2.6、更に好ましくは0.5〜2.5である。 また、アンヒドログルコースの平均重合度は、好ましくは50〜5000、より好ましくは100〜2000、更に好ましくは150〜1500である。[工程(2)] 工程(2)では、機械撹拌式混合装置を用いて、工程(1)で得られた粉末状の多糖類誘導体と、該塩基性触媒に対して0.5〜1.5当量の有機酸を含有する有機酸濃度1〜80質量%の有機酸水溶液とを、回転翼周速が0.5m/s以上の条件下で混合して、水分含有量2〜36質量%の中和処理物を得る。<有機酸水溶液> 工程(2)で用いる有機酸水溶液は、1価又は多価の有機酸を含有する。1価又は多価の有機酸としては、炭素数2〜8のカルボン酸、及び炭素数1〜8のスルホン酸から選ばれる1種以上の有機酸が好ましく用いられる。その具体例としては、酢酸、プロピオン酸等の低級脂肪族の1価カルボン酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸等の1価のヒドロキシカルボン酸、酒石酸、リンゴ酸等の2価のヒドロキシカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、クエン酸等の飽和の多価カルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和の2価カルボン酸、安息香酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸の他、アスパラギン酸、グルタミン酸、アセト酢酸、クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、又はこれらの混合物が挙げられる。 これらの中では、中和反応を速やかに、かつ簡易に行う観点から、炭素数2〜5の脂肪族の1価カルボン酸、炭素数2〜8のヒドロキシカルボン酸、及び炭素数2〜8の飽和又は不飽和の多価カルボン酸から選ばれる1種以上が好ましく、より具体的には、酢酸、乳酸、グルコン酸、リンゴ酸、コハク酸、アジピン酸、シュウ酸、フマル酸、及びイタコン酸から選ばれる1種以上が好ましい。中でも、炭素数2〜6の1価又は2価のヒドロキシカルボン酸がより好ましく、乳酸又はリンゴ酸が更に好ましい。 有機酸水溶液の濃度は、保存時の品質安定性を向上させる観点から、5〜75質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、15〜65質量%が更に好ましい。濃度が80質量%を超える有機酸水溶液を用いると、得られる多糖類誘導体の保存時の品質安定性が大幅に低下するため好ましくない。 有機酸水溶液は、中和処理物の水分含有量が2〜36質量%になるように用いられる。中和処理物の凝集発生を抑制し、水への溶解性を向上させる観点から、有機酸水溶液は、中和処理物の水分含有量が好ましくは5〜36質量%、より好ましくは10〜36質量%、更に好ましくは15〜36質量%になるように用いられる。この有機酸水溶液は、水以外の非水溶媒(有機溶媒及び無機溶媒)を含有してもよい。水以外の非水溶媒としては、前記の低級アルコール、エーテル、親水性溶媒等が挙げられる。 未中和物中に含有する塩基性触媒に対する有機酸の使用量は、0.5〜1.5当量であり、好ましくは0.7〜1.3当量、より好ましくは0.9〜1.2当量に相当する量である。<中和処理> 中和処理では、後述の機械撹拌式混合機中に、塩基性触媒を含む粉末状多糖類誘導体、濃度1〜80質量%の有機酸水溶液の順に供給し、撹拌混合を行う。 中和処理の温度は特に限定されないが、多糖類誘導体の安定性の観点から、100℃以下が好ましく、5〜70℃がより好ましく、5〜50℃が更に好ましい。 工程(1)で得られた粉末状の多糖類誘導体が凝集しやすい粉末状の多糖類誘導体の場合、例えば、工程(1)において得られた粉末状の多糖類誘導体が、前記のカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースである場合、特に工程(1)においてプロピレンオキシドをセルロース分子中のグルコース単位1モル当たり、2.5〜4モル使用して得られたヒドロキシプロピル基の置換度が高いカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースである場合、中和時の塊状凝集物の生成を抑制する観点から、中和処理の温度は5〜40℃がより更に好ましく、5〜30℃が特に好ましい。 中和処理操作法としては、有機酸と水とを予め混合して有機酸水溶液を調製し、多糖誘導体の入った機械撹拌式混合機内に、有機酸水溶液を一括添加、分割添加、連続滴下、噴霧、又はこれらの組合わせにより供給して塩基性触媒を中和する方法等が挙げられるが、保存安定性の観点から、噴霧供給する方法が好ましい。(反応装置) 工程(2)においては、機械撹拌式混合機を用いて中和処理を行う。 機械撹拌式混合機としては、駆動手段で回転駆動される回転軸の先端部を撹拌槽の壁面の中央部を貫通させて撹拌槽内に突出させ、この回転軸の突出先端部に回転翼を取り付けて構成した機械攪拌式高速流動型混合機が好ましく挙げられる。 機械攪拌式高速流動型混合機の回転翼の周速(翼先端の移動速度=主翼径×円周率×回転数)は0.5m/s以上であり、中和効率の観点から、好ましくは0.5〜100m/s、より好ましくは1.0〜50m/s、更に好ましくは1.2〜15m/s、より更に好ましくは、1.5〜10m/sである。 機械攪拌式高速流動型混合機の市販機としては、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、プロシェアミキサ、レーディゲミキサー、アミクソンミキサー、アペックス・グラニュレーター、スパルタンリューザー、ハイスピードミキサー、SPG混合機、バーチカルグラニュレーター、ハイフレックスグラル等が挙げられる。これらの中でも、回転翼(主翼)の他にチョッパー翼を有する機械攪拌式高速流動型混合機がより好適である。 チョッパー翼を有する機械攪拌式高速流動型混合機としては、例えば、次の(i)〜(iii) が挙げられる。(i)略円筒形撹拌槽の底壁から回転軸を撹拌槽内に突出させ、回転軸の先端部に回転翼を取り付けるとともに、撹拌槽の下半部周壁からチョッパー軸を水平方向に突出させ、チョッパー軸の先端部にチョッパー羽根を取り付けた機械攪拌式高速流動型混合機。(ii) 回転翼の中心取付部を外した下半部周壁間で両端支え状態でチョッパー軸を軸支し、撹拌槽の外側域においてチョッパー軸に外側羽根を固定するとともに、撹拌槽の内側域においてチョッパー軸に内側羽根を固定し、チョッパー軸の片方側にチョッパー軸を回転させる駆動手段を設けた機械攪拌式高速流動型混合機。(iii) 撹拌槽の下半部周壁から撹拌槽の中心に向けて撹拌槽の外側域へ突出した短軸チョッパー軸によって回転駆動される外側羽根と、撹拌槽の下半部周壁から撹拌槽の中心に向けて撹拌槽の内側域まで突出した長軸チョッパー軸によって回転駆動される内側羽根とを設けた機械攪拌式高速流動型混合機。 前記(i)〜(iii)の機械攪拌式高速流動型混合機の回転翼には、回転翼の回転により多糖類誘導体を跳ね上げるように傾けた跳ね上げ面を設けることが好ましい。また、チョッパー翼の回転数は、好ましくは1000〜4000RPM、より好ましくは1200〜3600RPM、更に好ましくは1500〜3600RPMである。 チョッパー翼を有する機械攪拌式高速流動型混合機の市販品としては、プロシェアミキサー、レーディゲミキサー、アミクソンミキサー、ハイスピードミキサー、バーチカルグラニュレーター等が挙げられる。 前記工程(1)及び(2)は、同じ反応装置内で続けて行うことが可能であるが、別の反応装置に移して実施することもできる。 また、工程(2)で得られた中和処理物を適宜、乾燥処理することができる。乾燥処理は、減圧、加熱が可能な反応装置、又は真空乾燥機等を用いて減圧乾燥して行うことができる。乾燥装置には、工程(2)で用いる反応装置をそのまま用いることもできるが、反応装置から中和処理物を取り出し、真空乾燥機を用いて乾燥することもできる。上述した実施の形態に関し、本発明は以下の製造方法を開示する。<1> 下記工程(1)及び(2)を有する多糖類誘導体の製造方法。 工程(1):塩基性触媒の存在下で、多糖類と反応性官能基を有する化合物とを反応させて、粉末状の多糖類誘導体を得る工程 工程(2):機械撹拌式混合装置を用いて、工程(1)で得られた粉末状の多糖類誘導体と、該塩基性触媒に対して0.5〜1.5当量、好ましくは0.7当量以上、1.3当量以下、より好ましくは0.9当量以上、1.2当量以下の有機酸を含有する有機酸濃度1〜80質量%、好ましくは5質量%以上、75質量%以下、より好ましくは10質量%以上、70質量%以下、更に好ましくは15質量%以上、65質量%以下の有機酸水溶液とを、回転翼周速が0.5m/s以上、好ましくは0.5m/s以上、100m/s以下、より好ましくは1.0m/s以上、50m/s以下、更に好ましくは1.2m/s以上、15m/s以下、より更に好ましくは、1.5m/s以上、10m/s以下の条件下で混合して、水分含有量2〜36質量%、好ましくは5質量%以上、36質量%以下、より好ましくは10質量%以上、36質量%以下、更に好ましくは15質量%以上、36質量%以下の中和処理物を得る工程<2> 工程(1)で得られた粉末状の多糖類誘導体の水分含有量が30%以下、好ましくは0.1質量%以上、27質量%以下、より好ましくは0.3質量%以上、25質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以上、22質量%以下、より更に好ましくは1.0質量%以上、20質量%以下である、前記<1>に記載の多糖類誘導体の製造方法。<3> 工程(2)で用いる有機酸が、炭素数2〜8のカルボン酸、及び炭素数1〜8のスルホン酸から選ばれる1種以上の有機酸、好ましくは炭素数2〜5の脂肪族の1価カルボン酸、炭素数2〜8のヒドロキシカルボン酸、及び炭素数2〜8の飽和又は不飽和の多価カルボン酸から選ばれる1種以上の有機酸、より好ましくは炭素数2〜6の1価又は2価のヒドロキシカルボン酸から選ばれる1種以上の有機酸、更に好ましくは乳酸及びリンゴ酸から選ばれる1種以上の有機酸である、前記<1>又は<2>に記載の多糖類誘導体の製造方法。<4> 工程(2)を100℃以下、好ましくは5℃以上、70℃以下、より好ましくは50℃以下で行う前記<1>〜<3>のいずれかに記載の多糖類誘導体の製造方法。<5> 工程(2)において、機械式撹拌混合装置内への有機酸水溶液の供給を噴霧で行う、前記<1>〜<4>のいずれかに記載の多糖類誘導体の製造方法。<6> 塩基性触媒がアルカリ金属水酸化物、好ましくは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選ばれる1種以上の化合物である、前記<1>〜<5>のいずれかに記載の多糖類誘導体の製造方法。<7> 工程(1)の塩基性触媒量が、原料多糖類の単糖単位1モル当たり、0.01〜5モル、好ましくは0.05モル以上、2.5モル以下、より好ましくは0.2モル以上、2.0モル以下、更に好ましくは0.4モル以上、1.2モル以下である、前記<1>〜<6>のいずれかに記載の多糖類誘導体の製造方法。<8> 反応性官能基を有する化合物がエポキシ基を有する化合物、好ましくは、炭素数10〜40のアルキル基又はアルケニル基を有するグリシジルエーテル、炭素数2〜10のエポキシアルカンスルホン酸又はその塩、炭素数3〜10のエポキシ脂肪酸又はその塩、炭素数2〜10のエポキシアルキルアミン又はこれから誘導されるアンモニウム塩、炭素数2〜10のエポキシアルキルリン酸エステル又はその塩、炭素数2〜5のアルキレンオキシド、及び炭素数2〜4のエポキシアルカンアルコール又はハロアルカンジオールから選ばれる1種以上の化合物、より好ましくは、炭素数2〜10のエポキシアルキルアミン又はこれから誘導されるアンモニウム塩、炭素数2〜5のアルキレンオキシド、及び炭素数2〜4のエポキシアルカンアルコール又はハロアルカンジオールから選ばれる1種以上の化合物、更に好ましくはグリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリエチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリメチルアンモニウムブロミド、グリシジルトリエチルアンモニウムブロミド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びグリシドールから選ばれる1種以上の化合物である、前記<1>〜<7>のいずれかに記載の多糖類誘導体の製造方法。<9> 工程(1)における反応性官能基を有する化合物の量が、原料多糖類の単糖単位1モル当たり、0.0001〜10モル、好ましは0.001モル以上、8モル以下、より好ましくは0.01モル以上、5モル以下である、前記<1>〜<8>のいずれかに記載の多糖類誘導体の製造方法。<10> 粉末状の多糖類誘導体がカチオン化セルロースエーテル誘導体である、前記<1>〜<9>のいずれかに記載の多糖類誘導体の製造方法。<11> 多糖類誘導体が、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースである、前記<1>〜<10>のいずれかに記載の多糖類誘導体の製造方法。 実施例及び比較例で用いた多糖類誘導体の水可溶分率の算出、及び水分含有量の測定、メジアン径の測定は、下記の方法で行った。(1)多糖類誘導体の水分含有量の測定 水分含量は、赤外線水分計(株式会社島津製作所製、「MOC−120H」)を使用し、試料皿に試料5gを載せ、設定温度120℃にて、自動停止モード(30秒間の水分変化量が0.1%以下になったら測定終了)の条件下で求めた水分蒸発量から算出した。(2)多糖類誘導体の保存前後の水可溶分率の算出 試料(1.00g)を100mLスクリュー管に加え、イオン交換水100mLを加えて、マグネチックスターラーで6時間撹拌して溶解させた(C−HPC水溶液)。このうち50mLを遠沈管に入れ、遠心分離装置を用いて3000RPM(1600×g)で20分間撹拌を行った。その後、遠沈管の上部から5gずつ上澄みを採取し、減圧乾燥して固形分(上澄み固形分)を求めた。また、溶解操作直後の前記C−HPC水溶液から5gを採取し、減圧乾燥して固形分(原液固形分)を得た。得られた値と下記式より水可溶分率を算出した。 また、80℃の環境下で3日間保存し、保存後の水可溶分率を同様にして算出した。 水可溶分率(%)=(上澄み固形分/原液固形分)×100(3)多糖誘導体のメジアン径の測定 多糖誘導体のメジアン径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製、製品名「LS13 320」)を用い、多糖誘導体を乾式法(トルネード方式)にて測定した。具体的にはサンプル20mLをセルに仕込み、吸引して測定を行った。製造例1(カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースAの製造)(1)カチオン化セルロースの製造 振動ミル(中央化工機株式会社製、FV20)中に直径30mm、長さ590mmのSUS304円柱状ロッド114本を入れ、原料多糖類として、一辺1〜5mmにカットしたパルプチップ(Tembec社製、BioflocHV+、水分含有量:7質量%)を2098gと、反応性官能基を有する化合物(カチオン化剤)としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(阪本薬品工業株式会社製、含水量20質量%、純度90%以上)1170g(セルロース分子中のグルコース単位1モル当り0.52モル)、水11gを仕込み、10℃の冷媒でジャケットを冷却しながら12分間の粉砕処理を行った。さらに塩基性触媒として水酸化ナトリウム284g(セルロース分子中のグルコース単位1モル当り0.6モル)を仕込み20分間粉砕処理を行った。その後、粉砕助剤としてポリプロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製)を192g仕込み、100分間粉砕処理を行い、カチオン化セルロースを得た。(2)カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースAの製造 16700gのカチオン化セルロースをプロシェアミキサー(大平洋機工株式会社製、WB-75)に仕込み、ミキサー内を窒素置換後、主翼回転数48RPM(周速1m/s)、副翼回転数1800RPMの撹拌下、プロピレンオキシド(関東化学株式会社製、鹿特級)4600g(セルロース分子中のグルコース単位1モル当り1.5モル)を仕込み、内圧が約0.15MPaGとなるようジャケットを加熱し、温度制御(内温:50℃)、圧力制御を行った。約7時間後、内圧が降下したのを確認し、ジャケットに冷却水を流すことで内温を30℃に下げ、さらにミキサー内を窒素置換することで、残存プロピレンオキシドを除去し、粉末状カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースの未中和品(水分含有量:9質量%)を得た。得られた粉末状カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースの未中和品のメジアン径は71μmであった。実施例1 製造例1で得られた未中和のカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースA(330g)をハイスピードミキサー(深江工業株式会社製、全容量2L)に仕込み、ミキサー上部に、ボールバルブを介して500mLの金属製容器を設置し、容器内に有機酸水溶液(90%乳酸水溶液:49g(未中和品に含まれる塩基性触媒に対して、1当量の乳酸を含有)、水28g)を仕込んだ。主翼(撹拌槽の底壁に取り付けた回転翼)回転数337RPM(周速3m/s)、副翼(回転翼の中心取付部を外した撹拌槽の周壁に取り付けたチョッパー翼)回転数1800RPMの撹拌の下、窒素で金属製容器内を加圧し(0.3MPa)、ノズルを用いて有機酸水溶液を反応装置内に噴霧供給した(0.06L/min.)。有機酸水溶液を投入後、処理温度30℃で30分間撹拌を行った(ジャケット温度:30℃)。その後、ハイスピードミキサーから中和処理物(水分含有量:15質量%)を取り出し、100gを金属製のバットに移し、真空乾燥機(アドバンテック東洋株式会社製、DRV320DA)を用いて70℃の減圧条件下で乾燥処理を行った。 得られた中和処理物の水分含有量は15質量%であった。また、得られた多糖類誘導体の均質性を目視で観察した結果、3cm以上の塊状凝集物は存在せず、品質が安定していた。結果を表1に示す。実施例2〜6 実施例1において、有機酸水溶液の添加水分量(90%乳酸水溶液:49g、水:61g)、ハイスピードミキサーの主翼回転数(周速3m/s)を、表1に示す条件に変えた以外は、実施例1と同様にして中和処理及び乾燥処理を行った。結果を表1に示す。比較例1〜2 実施例1において、有機酸水溶液の添加水分量を変えた以外は、実施例1と同様にして中和処理及び乾燥処理を行った。結果を表1に示す。比較例3 実施例1において、添加水分量(水94g)、有機酸水溶液の投入方法(90%乳酸水溶液を投入した後に水を投入)を変えた以外は、実施例1と同様に中和処理を行った。結果を表1に示す。比較例4 ニーダー(株式会社入江商会製、PNV−1、全容量1L)を用いて、回転数50RPM、周速0.2m/sで、かつ表1に示す条件に変えた以外は、実施例1と同様にして中和処理及び乾燥処理を行った。結果を表1に示す。実施例7 実施例1において、有機酸水溶液の種類(リンゴ酸)、添加水分量(リンゴ酸:33g(未中和品に含まれる塩基性触媒に対して、1当量のリンゴ酸を含有)、水:66g)を変えた以外は、実施例1と同様にして中和処理及び乾燥処理を行った。結果を表1に示す。実施例8 実施例7において、添加水分量(リンゴ酸:33g、水:132g)を変えた以外は、実施例7と同様に中和処理、及び乾燥処理を行った。結果を表1に示す。比較例5 実施例7において、添加水分量(水:66g)、有機酸水溶液の投入方法(リンゴ酸を投入した後に水を投入)を変えた以外は実施例7と同様に中和処理を行った。結果を表1に示す。製造例2(カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースBの製造)(1)ヒドロキシプロピルセルロースの製造 振動ミル(中央化工機株式会社製、FV10)中に直径30mm、長さ510mmのSUS304円柱状ロッド63本を入れ、原料多糖類として、一辺1〜5mmにカットしたパルプチップ(Tembec社製、BioflocHV+、水分含有量:1質量%)を920g仕込み、10分間の粉砕処理を繰り返し行い、セルロース4450gを得た。粉砕して得たセルロース4450gをプロシェアミキサー(大平洋機工株式会社製、WB−75V)に仕込み、ミキサー内を窒素置換後、主翼回転数144RPM(周速3m/s)、副翼回転数1800RPMの撹拌下、塩基触媒として43%水酸化ナトリウム水溶液2580gをスプレーノズルで噴霧し、内温が50℃になるように加熱し、2時間攪拌した。その後、プロピレンオキシド(関東化学株式会社製、鹿特級)5580g(セルロース分子中のグルコース単位当り3.5モル倍)を仕込み、主翼回転数48RPM(周速1m/s)、副翼回転数1800RPMの撹拌下、内圧が約0.15MPaGとなるようジャケットを加熱し、温度制御(内温:50℃)、圧力制御を行った。約8時間後、内圧が降下したのを確認し、ジャケットに冷却水を流すことで内温を30℃に下げ、さらにミキサー内を窒素置換することで、残存プロピレンオキシドを除去し、粉末状ヒドロキシプロピルセルロースの未中和品(水分含有量:12質量%)を得た。(2)カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースBの製造 192gのヒドロキシプロピルセルロースをハイスピードミキサー(深江工業株式会社製、全容量2L)に仕込み、主翼回転337RPM(周速3m/s)、副翼回転数1800RPMの撹拌下、ミキサー上部に、ボールバルブを介して500mLの金属製容器を設置し、容器内に3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(四日市合成株式会社製、含水量30%、純度70%)62gを仕込んだ。ジャケットを加熱し、温度制御(内温:50℃)し、2時間攪拌し、粉末状カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースの未中和品(水分含有量:16質量%)を得た。得られた粉末状カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースの未中和品のメジアン径は312μmであった。実施例9 製造例2で得られた未中和のカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースB(254g)をハイスピードミキサー(深江工業株式会社製、全容量2L)に仕込み、ミキサー上部に、ボールバルブを介して500mLの金属製容器を設置し、容器内に有機酸水溶液(90%乳酸水溶液:25g(未中和品に含まれる塩基性触媒に対して、1当量の乳酸を含有)、水22g)を仕込んだ。主翼回転数337RPM(周速3m/s)、副翼回転数1800RPMの撹拌の下、窒素で金属製容器内を加圧し(0.48MPa)、ノズルを用いて有機酸水溶液を反応装置内に噴霧供給した(0.06L/min.)。有機酸水溶液を投入後、処理温度20℃で30分間撹拌を行った(ジャケット温度:20℃)。その後、ハイスピードミキサーから中和処理物(水分含有量:22質量%)を取り出し、100gを金属製のバットに移し、真空乾燥機(アドバンテック東洋株式会社製、DRV320DA)を用いて70℃の減圧条件下で乾燥処理を行った。 得られた中和処理物の水分含有量は22質量%であった。また、得られた多糖類誘導体の均質性を目視で観察した結果、3cm以上の塊状凝集物は存在せず、品質が安定していた。結果を表1に示す。実施例10 実施例9において、中和処理温度(30℃、ジャケット温度:30℃)を変えた以外は実施例9と同様に中和処理を行った。実施例11 実施例9において、有機酸水溶液の種類(リンゴ酸)、添加水分量(リンゴ酸:17g(未中和品に含まれる塩基性触媒に対して、1当量のリンゴ酸を含有)、水:24g)を変えた以外は、実施例9と同様にして中和処理及び乾燥処理を行った。結果を表1に示す。 表1から、実施例1〜6、9、10で得られた多糖類誘導体(有機酸として乳酸を使用)は、比較例1〜4で得られた多糖類誘導体に比べて、塊状凝集物がなく、保存前後の水可溶分率の変化も小さく、品質が格段に安定していることが分かる。また、実施例7、8、11の結果から、有機酸をリンゴ酸に代えても、乳酸使用と同様の優れた効果が得られることが分かる。 本発明によれば、必要最少量の溶媒を加えた有機酸水溶液で、塩基性触媒を含む多糖誘導体の中和を行うことにより、大きな塊状凝集物の生成を抑制でき、品質の安定した多糖類誘導体を効率的に得ることができる。さらに、必要最少量の溶媒を用いることで、乾燥工程の負荷を低減することができ、工業的に有利に製造することができる。 下記工程(1)及び(2)を有する多糖類誘導体の製造方法。 工程(1):塩基性触媒の存在下で、多糖類と反応性官能基を有する化合物とを反応させて、粉末状の多糖類誘導体を得る工程 工程(2):機械撹拌式混合装置を用いて、工程(1)で得られた粉末状の多糖類誘導体と、該塩基性触媒に対して0.5〜1.5当量の有機酸を含有する有機酸濃度1〜80質量%の有機酸水溶液とを、回転翼周速が0.5m/s以上の条件下で混合して、水分含有量2〜36質量%の中和処理物を得る工程 工程(1)で得られた粉末状の多糖類誘導体の水分含有量が30%質量以下である、請求項1に記載の多糖類誘導体の製造方法。 工程(2)で用いる有機酸が、炭素数2〜8のカルボン酸、及び炭素数1〜8のスルホン酸から選ばれる1種以上の有機酸である、請求項1又は2に記載の多糖類誘導体の製造方法。 塩基性触媒がアルカリ金属水酸化物である、請求項1〜3のいずれかに記載の多糖類誘導体の製造方法。 反応性官能基を有する化合物がエポキシ基を有する化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の多糖類誘導体の製造方法。 粉末状の多糖類誘導体がカチオン化セルロースエーテル誘導体である、請求項1〜5のいずれかに記載の多糖類誘導体の製造方法。 多糖類誘導体が、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースである、請求項1〜6のいずれかに記載の多糖類誘導体の製造方法。 【課題】効率的かつ高い生産性で、品質の安定した多糖類誘導体を、工業的に有利に製造する方法を提供する。【解決手段】 下記工程(1)及び(2)を有する多糖類誘導体の製造方法。 工程(1):塩基性触媒の存在下で、多糖類と反応性官能基を有する化合物とを反応させて、粉末状の多糖類誘導体を得る工程 工程(2):機械撹拌式混合装置を用いて、工程(1)で得られた粉末状の多糖類誘導体と、該塩基性触媒に対して0.5〜1.5当量の有機酸を含有する有機酸濃度1〜80質量%の有機酸水溶液とを、回転翼周速が0.5m/s以上の条件下で混合して、水分含有量142〜36質量%の中和処理物を得る工程【選択図】なし