タイトル: | 公開特許公報(A)_IgA産生促進剤 |
出願番号: | 2012046768 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 31/718,A61P 43/00,A61P 37/08,C08B 31/12 |
立部 誠 西端 豊英 菅野 祥三 JP 2013181003 公開特許公報(A) 20130912 2012046768 20120302 IgA産生促進剤 松谷化学工業株式会社 000188227 廣田 雅紀 100107984 小澤 誠次 100102255 立部 誠 西端 豊英 菅野 祥三 A61K 31/718 20060101AFI20130826BHJP A61P 43/00 20060101ALI20130826BHJP A61P 37/08 20060101ALI20130826BHJP C08B 31/12 20060101ALN20130826BHJP JPA61K31/718A61P43/00 111A61P37/08C08B31/12 3 OL 9 4C086 4C090 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA21 4C086MA01 4C086MA04 4C086MA52 4C086NA14 4C086ZB13 4C086ZC41 4C090AA09 4C090BA16 4C090BD36 4C090CA36 4C090DA23 本発明は、ヒドロキシプロピル澱粉を有効成分とするIgA産生促進剤に関する。 哺乳動物のような生体は皮膚や粘膜により外界と接している。生体はこれらの外界との接触面において、病原性微生物や、寄生虫、或いは、病原性抗原、食物抗原等の多くの物質と接触し、該接触により、有害な異物の生体への進入の危険に曝される。生体はこれら異物の生体への進入を防止するために、免疫システムを形成し、免疫グロブリンの作用により生体を保護している。 免疫グロブリンA(IgA)は、哺乳類に存在する免疫グロブリンの一種であり、2つの重鎖(α鎖)と2つの軽鎖(κ鎖およびλ鎖)から構成される。IgA分子は2つの抗原結合部位を有しているが、気道や腸管などの外分泌液中ではJ鎖と呼ばれるポリペプチドを介して結合することにより2量体を形成して存在しているため4箇所の抗原結合部位を持つ。2量体IgA(分泌型IgA)は粘膜免疫の主役であり、消化管や呼吸器における免疫機構の最前線として機能している。分泌型IgAは初乳中に含有され、新生児の消化管を細菌・ウイルス感染から守る働きを有している(母子免疫)。ヒトにおけるIgAの産生量は各種免疫グロブリンの中でもIgGに次いで2番目に多い。単量体の分子量は16万である。 IgAは実効組織の粘膜固有層に存在するIgA産生形質細胞(プラズマ細胞)により二量体として産生され、分泌される。その後粘膜上皮細胞の基底膜側に発現している分泌成分と結合して上皮細胞内へ取り込まれ、管腔側へと分泌される。分泌成分はIgAをタンパク質分解酵素による分解から保護する役割を有しており、分泌型IgAは、各種病原ウイルス、細菌に対する抗体活性を示すことに加えて、食餌性蛋白質、血液型物質、常在菌などに対する自然抗体としての作用もある。つまりIgAはこれらの系を介して粘膜面への微生物の侵入を防ぎ、生体防御機構において重要な役割を果たしている。分泌型IgAは、酵素による分解に抵抗性が強く、腸管内でも分解されず、糞便中にも検出される。 要約するとIgAは、病原性微生物やアレルゲン物質の小腸、鼻、気管支粘膜などからの侵入を防ぎ、生体の恒常性維持に有用なものである。特に、腸管に存在するIgAは感染防御または異種蛋白質によるアレルギー発症の予防等に寄与することが知られている。また、分泌型IgAを含まない育児用粉乳で育てられた人工栄養児やIgA欠損症の患者では、食餌性抗原に対するIgGが高頻度に出現し、アレルギー性の疾患や自己免疫疾患の発現進度が高いことが知られている。従って、IgA産生の増大は、感染防御またはアレルギー発症の予防等に寄与すると考えられる。 従来より、生体内でIgAの産生を促進することができる物質として各種のものが開示されている。ペプチドを有効成分とするIgA産生促進剤として、例えば、ラクトフェリン類を加水分解したペプチド混合物、このペプチド混合物から単離したペプチド、化学的に合成したペプチド、これらの薬理学的に許容される塩類、又は、これらの混合物からなる群より選択されたペプチド類からなるIgA産生促進剤(特開平6−32743号公報)及び、乳由来の乳脂肪球皮膜又は乳κ−カゼイン由来のグリコマクロペプチドを有効成分とするIgA産生促進剤(特開平5−339161号公報)が開示されている。 また、菌体を有効成分とするIgA産生促進剤としては、例えば、ビフィドバクテリウム・ブレーベの菌体や、抗体誘導能の検索で得られた特定のビフィドバクテリウム属菌体を有効成分とするIgA産生促進剤(特開平1−242532号公報、特開平2−280059号公報)、ビフィドバクテリウム属菌のプロトプラスト又は細胞質膜画分を有効成分とするIgA産生促進剤(特開平4−342533号公報)及び、ビフィドバクテリウム属菌の生菌体懸濁液をpH6〜12、40〜55℃で1時間以上保温することによって得られる菌体自己溶解物を有効成分とするIgA産生促進剤(特開平6−234647号公報)が開示されている。更に、エンテロコッカス属に属する菌体、死菌体若しくは化学・酵素処理又は物理的処理による溶菌物又は破砕物を有効成分とするIgA産生促進剤(特開平11−92389号公報)及び、ラクトバチルス・デルブッキー、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・サケイ、ラクトバチルス・クリアタスのような植物由来のラクトバチルス属に属する乳酸菌、或いは、ペディオコッカス・ペントサセウスのような植物由来のペディオコッカス属に属する乳酸菌を有効成分とするIgA産生促進剤(特開2007−308419号公報)が開示されている。また、スピルリナ等の藍藻類から抽出精製して得られるフィコシアニン蛋白質色素を有効成分とするIgA産生促進剤(特開2004−256478号公報)が開示されている。 キノコ類由来の成分を有効成分とするIgA産生促進剤としては、例えばシイタケ菌糸体抽出物を有効成分とするIgA産生促進剤(特開2003−155249号公報)、ハナビラタケ子実体及び/又はその処理物、ハナビラタケ菌糸体及び/又はその処理物を有効成分とするIgA産生促進剤(特開2005−97133号公報)及び、クロカワ、シシタケ、コウタケのような真菌門イボタケ科の子実体から抽出された平均分子量が5000以上10000以下である酸性の糖及び酸性のペプチドを有効成分とするIgA産生促進剤(特開2005−75740号公報)が開示されている。 植物由来の成分を有効成分とするIgA産生促進剤としては、例えば、柑橘類又はその加工物、特に好ましくは温州ミカンの圧搾物又は果皮からなる成分を有効成分とするIgA産生恒常化剤(特開2005−255574号公報)、柑橘類の果皮を原料とし、該柑橘類の原料から、エタノール、メタノール、ヘキサン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の溶媒を用いて抽出されるオーラプテンや、柑橘類の果肉等を原料とし、該柑橘類の原料から、エタノール、メタノール、ヘキサン、酢酸エチル等の溶媒を用いて抽出されるβ−クリプトキサンチンを有効成分とするIgA等の免疫グロブリン産生促進剤(特開2011−116735号公報)及び、ウイキョウゼリ、トウキンセンカ、セイヨウニワトコ、ビロードアオイ等の植物から抽出した成分を有効成分とするIgA産生促進剤(特開2011−184300号公報)が開示されている。 また、糖質関連の成分を有効成分とするIgA産生促進剤としては、例えば、フラクトオリゴ糖を有効成分とするIgA等の産生を増強する粘膜免疫賦活組成物(特開2003−201239号公報)、セルロース、アミロース、グリコーゲン、デンプン、デキストリン等のグルカン1分子あたり複数個のリン酸基が結合しているリン酸化糖を有効成分とする免疫増強剤(特開2004−43326号公報、特開2005−82494号公報)、キクイモや、チコリ等の根から得られる炭水化物の主成分であるイヌリンに、環状イヌロオリゴ糖生成酵素シクロイヌロオリゴサッカライド フラクタノトランスフェラーゼを作用することにより得られる環状イヌロオリゴ糖シクロフラクタンを有効成分とする分泌型IgA産生誘導剤(特開2005−179195号公報)及び、茶を水或いは熱水にて抽出して得られ、ガラクチュロン酸、ガラクトース及びアラビノースを構成糖として含有する分子量1万以上の茶多糖類を有効成分とするIgA等の抗体産生を誘導する抗体産生誘導剤(特開2005−239571号公報)が開示されている。 以上のとおり、生体内でIgAの産生を促進する物質として各種のものが開示されている。しかしながら今までに、ヒドロキシプロピル澱粉のような加工澱粉がIgA産生促進作用を有することについては知られていない。特開平1−242532号公報。特開平2−280059号公報。特開平4−342533号公報。特開平5−339161号公報。特開平6−32743号公報。特開平6−234647号公報。特開平11−92389号公報。特開2003−155249号公報。特開2003−201239号公報。特開2004−43326号公報。特開2004−256478号公報。特開2005−75740号公報。特開2005−82494号公報。特開2005−97133号公報。特開2005−179195号公報。特開2005−255574号公報。特開2005−239571号公報。特開2007−308419号公報。特開2011−116735号公報。特開2011−184300号公報。 本発明の課題は、経口等により、安全かつ継続的に容易に摂取することができ、病原性微生物の消化管粘膜への結合を阻害して感染を予防し、また、花粉やハウスダストなどアレルゲン物質などの消化管壁の通過を阻止してアレルギー反応を予防することができるIgA産生促進剤を提供することにある。 本発明者らは、経口等により、安全かつ継続的に容易に摂取することができ、かつ、病原性微生物の消化管粘膜への結合や、アレルゲン物質などの消化管壁の通過を阻止して、病原性微生物の感染や、アレルギー反応を予防することができるIgA産生促進剤を提供すべく、該作用物質について鋭意探索する中で、食品等に使用されているヒドロキシプロピル澱粉が、該ヒドロキシプロピル澱粉を含む飼料で飼育したラットの小腸で、IgA産生・分泌を促進する作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち本発明は、ヒドロキシプロピル澱粉を有効成分とするIgA産生促進剤からなる。本発明のIgA産生促進剤において、有効成分であるヒドロキシプロピル澱粉は、ヒドロキシプロピル澱粉の置換度(DS)が0.1以上であることが好ましい。本発明のIgA産生促進剤は、経口投与形態の剤形に調製され、経口的に投与することができる。本発明のIgA産生促進剤は、有効成分が食品等に使用されているヒドロキシプロピル澱粉であるため、安全かつ継続的に摂取することができ、かつ、病原性微生物の消化管粘膜への結合を阻害して感染を予防し、また、花粉やハウスダストなどアレルゲン物質などの消化管壁の通過を阻止してアレルギー反応を予防することができる。 本発明は、安全であり、経口摂取が可能でしかも継続的に摂取することができるIgA産生促進剤を提供する。本発明のIgA産生促進剤によれば、食品等に使用されているヒドロキシプロピル澱粉を有効成分として、安全かつ有効に、病原性微生物の消化管粘膜への結合を阻害して感染を予防することができ、また、アレルゲン物質などの消化管壁の通過を阻止してアレルギー反応を予防することができる。本発明の実施例におけるラットを用いたヒドロキシプロピル澱粉のIgA産生促進効果についての実験において、小腸におけるIgA産生を測定するための、小腸内容物IgAの測定結果を示す図である。本発明の実施例におけるラットを用いたヒドロキシプロピル澱粉のIgA産生促進効果についての実験において、小腸におけるIgA産生を測定するための、糞中IgAの測定結果を示す図である。 本発明は、ヒドロキシプロピル澱粉を有効成分とするIgA産生促進剤からなる。本発明におけるIgA産生促進剤は、アルカリ条件下で澱粉に酸化プロピレンを反応させて製造されるヒドロキシプロピル化された澱粉を有効成分として含むことを特徴とする。本発明のIgA産生促進剤の有効成分はヒドロキシプロピル化反応時に、糊化を防ぐ目的でオキシ塩化リンやトリメタリン酸ナトリウムによる架橋反応を併用して得られるヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉であってもよく、澱粉にヒドロキシプロピル基がエーテル結合していることを必須要件とする。 IgA産生促進とは、IgAの産生を賦活化・活性化し、分泌物や排出物におけるIgAの総量を相対的に増加させる機能をいう。例えば、本明細書の実施例の評価試験に記載の測定方法と同様の条件で測定した場合に、IgA産生促進剤を摂取した場合、通常と比較してIgA量が多い状態であると評価されることを意味する。IgA産生量の測定方法としてはIgA ELISA Quantitation Kit(コスモ・バイオ(株))やSalivary EIA Kit(フナコシ(株))等のキットが市販されており、これらを用いてIgA産生量を測定することができる。 本発明のヒドロキシプロピル澱粉の原料澱粉は特に限定されないが、例えば小麦、タピオカ、ハイアミロースコーン、馬鈴薯、コーン、サゴ、豆、ワキシーコーン、ワキシ馬鈴薯、米、糯米などより選ばれ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。特に好ましい澱粉としては、タピオカ澱粉及びワキシコーン澱粉が例示される。 本発明のヒドロキシプロピル澱粉は、上記原料澱粉を通常の方法によりヒドロキシプロピル化することにより得られる。この際、架橋処理、α化処理、酸処理、アルカリ処理、焙焼処理、酵素処理等のいずれか一つもしくは2つ以上の加工を併用しても差し支えない。ヒドロキシプロピル化の程度については、DSが高いものの方が好ましく、DS0.1以上のものがより好ましい。 ヒドロキシプロピル澱粉の製造法は特に限定されず、常法に従って製造することができる。例えば澱粉に水を加えて30〜40重量%程度のスラリーとし、食塩、硫酸ソーダなどの澱粉膨潤抑制剤を加え、アルカリ(例えば、苛性ソーダ)を触媒にして35〜45℃でプロピレンオキサイドを反応させる。DSはプロピレンオキサイドの添加量で調節される。また、本発明のヒドロキシプロピル澱粉は、実質的に前述のDSにヒドロキシプロピル化されているものであればよく、上記のように他の加工方法を組み合わせたものも使用できる。この際のα化処理、架橋処理、酸処理、アルカリ処理、焙焼処理、酵素処理等は全て常法にしたがって行うことができる。 本発明のIgA産生促進剤は、ヒドロキシプロピル澱粉を有効成分として含むことを特徴とし、ヒドロキシプロピル澱粉そのものであってもよいが、他の成分、例えば各種澱粉、加工澱粉、澱粉分解物、糖類、糖アルコール類、ダイズ多糖類等を配合してもよく、難消化性デキストリンやポリデキストロースなどの水溶性食物繊維素材、セルロース等の不溶性食物繊維素材、市販されている耐性澱粉(RS)素材等を併用しても差し支えない。また、甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、ガムベース、香辛料、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、グルテン、栄養強化目的の強化剤等を配合することができる。配合比率は、IgA産生促進剤を摂取、あるいはIgA産生促進剤を配合して製造調理された食品を喫食する際の処方量、添加量、加えて摂取対象を考慮して設計されるべきであり、有効成分であるヒドロキシプロピル澱粉は少量の摂取でも効果を発現する可能性はあるが、標準的な成人であれば一日当たり、好ましくは5g、より好ましくは10g摂取するように設計されるのが好ましい。 上記の方法で得られた本発明のIgA産生促進剤は、種々の剤形とすることができる。例えば、医薬品として経口投与する場合には、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁剤、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤とすることができるが、これらに限定されない。また、製剤には薬剤的に許容できる種々の担体を加えることができる。例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、コーティング剤を含むことができるが、これらに限定されない。本発明のIgA産生促進剤を持続性、徐放性のものとしてもよい。 本発明のIgA産生促進剤は、加工澱粉の適用が知られている飲食品に配合して摂取することができる。たとえば、ベーカリー食品、麺類、お好み焼きやたこ焼き、ホットケーキ等のスナック食品、和菓子、練り物、揚げ物のバッター、フリッター、ヨーグルト、プリン、ゼリー、マヨネーズやソース等を含めたドレッシング類、あんかけ類、アイスクリーム等の氷菓、畜肉製品、米飯類、人造米、粉末飲料、清涼飲料、炭酸飲料、ソフトヨーグルト、ゼリー飲料などの各種ドリンク等への配合が例示され、好ましくはベーカリー製品、麺類、ゼリー飲料への配合である。 一方、飼料として使用する際には、本発明のIgA産生促進剤を既知の家畜、ペット用飼料に配合して投与しても良いし、そのままの形で投与しても一向に差し支えない。また、プレミックスとして供給することも可能である。 以下、実施例により、本発明のIgA産生促進剤に関する効果を解説するが、本発明はこれに限定されるものではない。 [実験例]硫酸ナトリウムを含むタピオカ澱粉スラリーを4点調製し、アルカリ条件下で酸化プロピレンを適宜加え、20時間反応させた。得られた液を水洗、乾燥、粉砕してDSの異なるヒドロキシプロピル澱粉4品を得た(表1)。 [実施例1] <試験方法>Wistar系ラット(7週齢)をn=6で5群に分け、タピオカ澱粉(TS)を対照として、実験例で調製したサンプルを含む飼料で4週間飼育を行った(表2:飼料配合)。試験期間中の3日間、それぞれの日に24時間の糞を採取し、採取後は−80℃で保存した。3日分をプールして糞サンプルとした。6時間絶食の後、解剖し、小腸内容物の回収を行った。体重変動、飼料摂取量、摂取エネルギー量の評価とともに、小腸内容物及び糞サンプルについてIgA量の測定を行った。IgAの測定には、Rat IgA ELISA Quantitation Set (Bethyl Laboratories, Inc., Montgomery, TX, USA)を用いた。 <結果>体重変動、飼料摂取量、摂取エネルギー量の評価は比較例、実施例とも有意な差は見られず、食欲や成長に於いて違いはみられなかった。一方小腸内容物のIgA量は実施例1、実施例2でそれぞれ使用したHPTS3及びHPTS4を含む飼料で飼育したラットで有意に増加した(図1)。また、糞中IgAも、実施例2で有意に増加していた(図2)。これらの結果は、ヒドロキシプロピル澱粉がIgA産生促進剤として有用であることを示している。すなわち、本発明のIgA産生促進剤は、食欲や成長を妨げることなく、IgAの産生・分泌を促進することができる。 本発明は、安全であり、経口摂取が可能でしかも継続的に摂取することができるIgA産生促進剤を提供する。本発明のIgA産生促進剤によれば、食品等に使用されているヒドロキシプロピル澱粉を有効成分として、安全かつ有効に、病原性微生物の消化管粘膜への結合を阻害して感染を予防することができ、また、アレルゲン物質などの消化管壁の通過を阻止してアレルギー反応を予防することができる。 ヒドロキシプロピル澱粉を有効成分とするIgA産生促進剤。 ヒドロキシプロピル澱粉の置換度が0.1以上である請求項1に記載のIgA産生促進剤。 IgA産生促進剤が、経口投与形態の剤形に調製されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のIgA産生促進剤。 【課題】経口等により、安全かつ継続的に容易に摂取することができ、病原性微生物の消化管粘膜への結合を阻害して感染を予防し、また、花粉やハウスダストなどアレルゲン物質などの消化管壁の通過を阻止してアレルギー反応を予防することができるIgA産生促進剤を提供すること。【解決手段】ヒドロキシプロピル澱粉を有効成分とするIgA産生促進剤からなる。本発明のIgA産生促進剤は、有効成分が食品等に使用されているヒドロキシプロピル澱粉であるため、安全かつ継続的に摂取することができ、かつ、病原性微生物の消化管粘膜への結合を阻害して感染を予防し、また、花粉やハウスダストなどアレルゲン物質などの消化管壁の通過を阻止してアレルギー反応を予防することができる。【選択図】なし