生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_はんだ接合用フラックスの活性度評価方法
出願番号:2012043784
年次:2013
IPC分類:B23K 1/00,G01N 13/00,B23K 35/363,B23K 101/36


特許情報キャッシュ

狩野 典子 梅村 優樹 JP 2013180304 公開特許公報(A) 20130912 2012043784 20120229 はんだ接合用フラックスの活性度評価方法 凸版印刷株式会社 000003193 狩野 典子 梅村 優樹 B23K 1/00 20060101AFI20130826BHJP G01N 13/00 20060101ALI20130826BHJP B23K 35/363 20060101ALI20130826BHJP B23K 101/36 20060101ALN20130826BHJP JPB23K1/00 AG01N13/00B23K35/363 CB23K101:36 3 1 OL 8 本発明は,はんだ接合用フラックスの活性度(金属表面の酸化膜除去機能)の評価方法に関する。 はんだ接合用フラックスの主な役割は、(a)洗浄(はんだを用いて接合する金属表面の酸化膜除去)(b)再酸化防止(c)はんだ流動性確保(d)形状異常の防止である。 電子デバイスの接続に広く使用されているはんだ接合において、適切な接合状態の製品を安定的に生産するためには、接合状態に大きな影響を与えるフラックス材料がどのように働くのかを把握し使用する必要がある。また、近年では地球環境の側面からVOCによる大気汚染などの問題がクローズアップされてきている。 このような背景の下、フラックス材料を選定し、使用する際にその量や耐熱性,有害性を考慮する必要がある。 フラックス材料には、有機系材料からなるものと、無機系材料からなるものとに大別されるが、電子部品の実装においては、有機系材料を用いるのが一般的である。有機系材料からなるフラックス材料はロジン(またはレジン)および溶剤と活性剤から構成されているが、このなかでロジンと共に酸化除去機能を有する活性剤としては、数種類の有機酸,アミン類,ハロゲン類などが用いられている。 有機系活性剤には水をベースに添加し構成されているものと、アルコールなどの溶剤に添加し構成されているものがあり、活性剤自体,その量や品種は多岐に渡る。 はんだ付け用フラックスの試験方法として、JIS Z3197において、水溶液比抵抗試験(フラックスに含まれる導電性物質の量),絶縁抵抗試験(フラックス残さの高温高湿下における絶縁抵抗値),電圧印加耐湿性試験(フラックス残さによるマイグレーションの発生の有無),広がり試験(はんだ又はフラックスの母材面へのぬれ性=ゆきわたりやすさの良否,フラックスの作用性),銅板腐食試験(フラックス残さの加湿条件下での腐食の有無)など、各種特性の試験方法が規定されている。フラックスの試験方法として、はんだ付け時の挙動を試験する時、フラックスの効力としてはんだ広がり性,ウェッティングバランス法などがとられるが、はんだ付けする部分の金属表面の酸化皮膜を除去し、金属表面を露出させ活性化する能力(フラックス活性度)を比較し、評価する統一指標に関する報告例は現時点では確認されていない。 特許文献1では、フラックス中に金属試験片を浸漬し、フラックス中に溶出した試料片の素材成分濃度を測定することで、その濃度の高低によりフラックスの活性度の指標とする方法が提案されている。特開昭63−104776号公報JIS Z3197 8.3.1 しかしながら、実際のリフロー環境下において「はんだ広がり法」を用い、フラックス材料の活性度を評価する方法と、前述の特許文献1による定量的な濃度測定方法とでは、活性度の評価結果に違いが見られた。 要因として、実際のリフロー環境下におけるはんだ濡れ性評価では、活性剤の反応温度以上においては金属表面が再酸化してしまうため、活性表面が減少し、はんだ拡張濡れが阻害されたことが考えられる。従って、フラックスの活性度をはんだ濡れ広がりにて相対評価する際には、金属表面の再酸化の影響を考慮する必要があると考察した。また、活性剤によって反応温度や沸点,蒸気圧が異なり、これらの異なる物質同士でのはんだ濡れ性を実際のリフロー環境下で比較することは困難である。 本発明は、リフロー環境下での各フラックス材料の最大活性度を統一した指標で評価する上で、フラックス材料の活性度が最大となる温度以降での金属表面の再酸化を防止した評価条件を設定すると共に、はんだ濡れ広がりによる活性度評価方法として有効な手法を提案することを目的とする。 上記課題を解決するために本発明者が鋭意検討を重ねた結果、フラックスが酸化金属に対して活性化し、清浄作用が発現〜最大化した後に、金属表面が再酸化(活性表面が減少)しない状態が維持される試料を用いることにより、フラックスが発揮する活性度の最大値が把握されるため、評価指標としての有用性が向上すると考えた。本発明は、評価対象のはんだ接合用フラックス材料と、はんだ溶融温度まで加熱しても重量が0とならない液体を混合した試薬を用いて、金属基板にリフロー方式によるはんだ付けを行なった後、はんだ濡れ広がり率を測定することを特徴とするフラックスの活性度評価方法である。フラックス(活性作用を奏する主成分である酸)だけでは、活性温度(酸化金属膜と酸の反応する温度)の違いにより、活性温度域を超えた後、再酸化の影響を受けるが、はんだ溶融温度まで加熱しても重量が0とならない液体により希釈したフラックス(試料)を用いて濡れ広がり試験を実施することで、再酸化の影響が除外されるので、評価対象の材料(活性作用を奏する主成分である酸)自体が持つ活性力(酸化膜を除去する力)の最大値に基づくはんだ濡れ広がり性への影響を評価できる。 本発明によれば、はんだ付け用フラックス活性度の評価をリフロー環境下で実施することが可能であり、フラックスの最大の活性度を再酸化の影響を低減した状態ではんだ濡れ性によって測定・評価できる。リフロー環境下での濡れ広がり評価方法を示す説明図。はんだ濡れ広がり試験評価方法を示す説明図。金属表面の再酸化についての概念を示す説明図。はんだ濡れ広がり試験の実施結果(例)を示すグラフ。各種フラックスの活性剤による洗浄作用(温度条件毎)を示す表。 以下、金属表面の再酸化に関する説明も含めて本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。<はんだ濡れ広がり評価方法>リフロー環境下でのはんだ濡れ広がり評価方法について、図1,図2を用いて説明する。評価に用いる金属基板として、JIS H3100による合金番号:C1220リン脱酸銅板(30×30mm,t=1mm)をAir中で180℃×90min加熱し、金属板表面に薄い酸化膜を形成したものを用いた。評価に用いる金属基板の材質については、熱の伝導性が良いものが好ましく、他の合金番号ではC1201Pを用いても良い。 この基板上に、SAC305(鉛フリーウェーブはんだ付け合金の1種:Sn-3.0Ag-0.5Cu)からなるはんだボールを載せ、フラックス材料を滴下し、評価用基板を作製する。はんだボール種については、ここに示されるものに限定しない。フラックス材料に関しては,ロジン,有機酸類,アミン類,ハロゲン化水素酸アミン塩などが適用できる。 上記の評価用基板を図1に示すようなリフロー環境を通す。次に、図2のような溶融はんだ高さを、マイクロメータまたは他の適切な器具で測定し、評価用基板におけるはんだ濡れ広がり率を、下式を用いて計算し評価する。式:濡れ広がり率=100×(D−H)/HH:広がり後のはんだ高さ(mm)D:試験に用いたはんだを球とみなした場合の直径(mm)(JIS Z3197 8.3.1より引用)<実験1:活性剤単体の活性度(酸化膜除去)の再酸化による問題の把握> 上記の金属基板上に、フラックスの活性剤として、(A)ステアリン酸(B)ラウリン酸(C)グルタル酸 を、各種3.0mgずつ滴下した試験片を複数作製し、リフローシミュレータを使用し、N2環境下(O2濃度100ppm以下)にて10℃/minで昇温する。それぞれ、昇温プログラム5条件(100℃,150℃,200℃,220℃,235℃)で取り出し、金属板の表面における酸化膜の洗浄性を目視で観察した。 目視観察により、金属表面において最も酸化膜が除去される温度を確認でき、結果は、図5に示す表1の通りになった。 実験1の結果、活性剤によって温度依存性があることが活性のピークから確認される。また、活性ピーク以降の昇温により、金属表面が再び酸化していることが確認された。これより、リフロー環境下での各フラックス材料の最大活性度を統一した指標で評価するには、活性温度領域以降の金属表面の酸化を防止した状態で評価する必要があるという結論に至った。<実験2:高沸点アルコールを希釈溶液として用いた活性度の維持> 一般的に、フラックス材料には、異なる沸点の溶剤が用いられているが、本発明では、はんだ濡れ広がりにより、フラックス材料の活性度を評価する上で、これらの材料を均一に分散する目的で希釈溶剤などを用いることとする。実験2では、低沸点アルコール,高沸点アルコールを希釈溶剤として,A〜Cの活性剤を均一に分散させた試薬を作製し、実験1と同様に目視観察した。 実験2の結果、高沸点アルコールを希釈溶剤とした活性剤では、活性剤によって酸化膜が除去された洗浄面が、235℃でも継続維持されることが分かり、活性剤の活性温度を超えて昇温しても、金属表面の再酸化が生じないことが確認された。 高沸点アルコールを希釈溶剤とした場合には、昇温過程での揮発に伴い、一旦は洗浄された金属表面が露出して、再酸化される部分が生じない推論を、図3に示す。 活性剤の希釈溶剤に要求される特性では、活性剤の成分である有機酸を均一に分散させ、塗布される金属表面内の酸化膜の除去作用のばらつきが抑制されることが挙げられる。また、水に希釈したハロゲン化物(アニリン塩酸塩など)を活性剤とする場合には、水または水に分散した物質を均一に分散できる特性が要求され、塗布される金属表面内の酸化膜の除去作用のばらつきが抑制されることに寄与することになる。 この結果を用いて、活性剤またはフラックスを高沸点アルコールに均一に分散させた状態で、リフロー環境におけるはんだ濡れ広がり評価を実施することで、金属表面の再酸化を防止した状態で、フラックス材料の活性度について、相対評価を行なった。高沸点アルコールに関しては、テトラエチレングリコールなどが挙げられるが、はんだ種類とリフロープロファイルに応じて適宜選んで良い。<はんだ濡れ広がりによるフラックス材料の活性度評価> はんだ濡れ広がり評価では、SAC305はんだボールの銅板に対する濡れ広がり率をJIS Z3197により算出した。評価基板は、合金番号:C1220リン脱酸銅板をAir中で180℃×90min加熱したものを用いた。 加熱には,リフローシュミレータを用い、N2環境下(O2濃度100ppm以下)にて10℃/minで235℃まで等速昇温後冷却し、はんだ高さを測定した。本評価では、分解温度の違う物質をフラックス材料として使用する。再酸化防止の効果を確認するため、前述のフラックス材料に高沸点のアルコールで希釈したものと低沸点アルコールで希釈したものを試薬とし評価した。試料は重量比9:1でアルコールとフラックス材料を混合し、液滴重量は4.5mgとした。はんだ接合用フラックス材料の割合(1〜20%)に対して、希釈する液体の割合を80〜99%程度に高くすることで再酸化防止効果の向上が期待される。基板の再酸化を防止しながら、フラックス材料のはんだ濡れ広がり試験を実施した結果は、図4に示すグラフの通りであった。 同グラフより、金属表面の再酸化を防止していない場合のはんだ濡れ広がり率の相対評価と、金属表面の再酸化を防止した相対評価の対比では、再酸化を防止した場合(高沸点アルコールを希釈溶剤として活性剤を分散したフラックス)のはんだ濡れ広がり率が向上しており、向上度合に顕著な差異が見られる。活性温度が比較的低いグルタル酸では、活性ピークを過ぎてはんだ付け温度に至るまでの温度上昇の間に、金属表面が再酸化することによる活性度低下の影響が極端に大きいと言える。本発明の評価方法によるデータを蓄積することで、フラックスの処方,はんだ付け温度などで、接続状態の好適なはんだ条件設定への寄与にあたって有効となる。 本発明は、フラックス材料の活性度評価を行なうにあたり、フラックス材料による基板洗浄性を維持し、リフロー環境下での再酸化を防止しながら、活性度を評価できる評価方法として利用可能である。1 フラックス材料2 活性剤3 金属基板4 はんだボール5 金属酸化膜6 活性表面7 再酸化部分8 再酸化防止評価対象のはんだ接合用フラックス材料と、はんだ溶融温度まで加熱しても重量が0とならない液体を混合した試薬を用いて、金属基板にリフロー方式によるはんだ付けを行なった後、はんだ濡れ広がり率を測定することを特徴とするフラックスの活性度評価方法。 試薬の混合比が、評価対象のはんだ接合用フラックス材料を1〜20%として、希釈する液体を80〜99%とする請求項1記載のフラックスの活性度評価方法。はんだ合金,金属基板,リフロープロファイルの各種組合せに対して、ロジン,有機酸,アミン類,ハロゲン化水素酸アミン塩から選択されるフラックス材料と、活性剤の成分を均一に分散させる高沸点アルコールを混合した試薬を用いることを特徴とする請求項1または2に記載のフラックスの活性度評価方法。 【課題】リフロー環境下での各フラックス材料の最大活性度を統一した指標で評価する上で、フラックス材料の活性度が最大となる温度以降での金属表面の再酸化を防止した評価条件を設定すると共に、はんだ濡れ広がりによる活性度評価方法として有効な手法を提案する。【解決手段】評価対象のはんだ接合用フラックス材料と、はんだ溶融温度まで加熱しても重量が0とならない液体を混合した試薬を用いて、金属基板にリフロー方式によるはんだ付けを行なった後、はんだ濡れ広がり率を測定する。【選択図】図1


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る