タイトル: | 公開特許公報(A)_はんだ接合用フラックスの活性度評価方法および評価装置 |
出願番号: | 2012043783 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | G01N 25/20 |
梅村 優樹 中村 清智 JP 2013181761 公開特許公報(A) 20130912 2012043783 20120229 はんだ接合用フラックスの活性度評価方法および評価装置 凸版印刷株式会社 000003193 梅村 優樹 中村 清智 G01N 25/20 20060101AFI20130826BHJP JPG01N25/20 J 5 OL 11 2G040 2G040AB12 2G040CA02 2G040HA12 本発明は、電子部品を電子回路基板にはんだ接合する際に用いるフラックスの評価方法および評価機構および評価装置に関する。 はんだ接合は、電子部品の接合技術として欠くことのできないものである。そして、このはんだ接合を行なう場合、はんだの接合性を向上させる目的でフラックスを使用することが一般的である。フラックスの最も重要な役割としては、はんだおよび母材の表面清浄化(酸化膜除去)である。この表面清浄化の強さをフラックスの活性度と呼ぶ。例えば、フリップチップ接続ビルドアップ基板(FC−BGA基板)に大規模集積回路(LSI)をはんだ付けする際に、フラックスの活性度が弱すぎるとはんだの濡れ性が悪く、はんだボールの接続不良などの不具合を生ずる。 かかるフラックスは、有機系材料よりなるものと、無機系材料よりなるものとに大別されるが、電子部品のはんだ接合には一般的に有機系材料よりなるものが使用されている。有機系材料よりなるものはロジン又はレジン,および溶剤と活性剤から構成されているが、酸化膜除去機能を有する活性剤としては数種の有機酸、ハロゲン化物等が用いられ、種類・量はメーカおよび品種により様々である。 従来、フラックスの活性度を評価する統一した指標はなく、実際のはんだ付けした部分を目視して評価する方法、あるいは後工程(はんだ付けした部分の加工)を通してはんだ付性を評価していた。特許文献1にはフラックス中に金属試料片を浸漬し、このフラックス中に溶出した試料片の素材成分濃度を測定することでフラックスの活性度とする方法が記載されている。また、非特許文献1にはフラックス効力の試験方法として、はんだ広がり法,ウェッティングバランス法が記載されている。また、非特許文献2では熱分析法を用いた活性評価法が検討されている。特開昭63−104776号公報JIS Z3197 8.3.1マイクロ接合研究委員会試料 MJ-342-99 しかし、実際のはんだ付けした部分を目視して評価する方法は、経験を必要とすると共に、ばらつきが生ずる。特許文献1に記載の「フラックス中に試料片を浸漬する方法」や非特許文献1に記載されている「はんだぬれ広がり法やウェッティングバランス法」は、金属片や試験片の酸化皮膜量を一定とすることが難しく、その影響が大きい。また、上記方法はフラックスの活性力を連続して測定しているわけではなく、ある時刻一点のフラックスのぬれ広がりを測定している。以上の問題点を鑑みた手法として、非特許文献2に記載の「熱分析による活性度の評価手法」がある。しかし、非特許文献2による手法では、TGによる重量減少開始温度から活性開始温度を読み取っており、フラックスの活性開始温度が把握できるが、例えば数種のフラックスを比較して、活性力の強いものを選択するという評価は難しい。 フラックス自体の活性力の大きさを評価することにより、はんだ付性を予め予測できれば、はんだ付後の工程で不適合を生じるなどの不具合を防ぐことができるが、上記の様に、これまでの報告例では、有効な評価方法が確立されていない。 本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、はんだ付けに用いられるフラックスの活性力の大きさを、測定者の熟練を要さず、金属片や試験片の酸化皮膜量の影響を受けずに、ある時刻一点のみならず、はんだ付け工程での温度範囲において連続的に評価する方法を提供することである。 上記課題を解決する為に発明者らが鋭意検討を重ねた結果、有機系材料のフラックスにおいては、フラックスが酸化金属に対して活性化し、清浄作用が発現すると共に、熱的変化を伴うことが多くの場合で確認され、その強さとはんだぬれ広がりとの相関が確認された。発明者らはこの点に着目し、活性度を評価する指標として利用できるという結論に至った。 請求項1の発明は、熱分析装置にてフラックスをはんだ付け温度まで昇温し、同時にリファレンス(基準物質)との温度変化または吸発熱量ΔT1を測定することで得たフラックスの各温度tでの温度変化または吸発熱量ΔT1と、フラックスとはんだ主材料または母材の酸化金属粉の混合物をはんだ付け温度まで昇温し、同時に温度変化または吸発熱量ΔT2を測定することで得たフラックスと酸化金属粉の混合物の温度tでの温度変化または吸発熱量ΔT2から、各温度におけるパラメータ(ΔT2−ΔT1)を算出し、(ΔT2−ΔT1)を縦軸,時間を横軸に取り、常温からはんだ付け温度まで積分することで得られる面積値を単位重量あたりに換算した値の大小を、フラックスの活性度の指標とすることをはんだ接合用フラックスの活性度評価方法として採用した。 適用可能なフラックスは有機系の単一もしくは複数なるものであり、活性剤は有機酸,ハロゲン化物の場合に適用できる。また、使用する酸化金属を純度の高いものとすることで試験片の影響を小さくすることができる。 一般的に、熱分析では例えばTG/DTAではリファレンス(基準物質)と評価試料の炉内での熱電対で捉えた起電力差を評価試料の温度差や吸発熱量として捉えていたり、DSCではリファレンス(基準物質)と評価試料の炉内での温度差を熱電対等で測定し、温度差が生じた場合に熱を供給し、その供給量を記録することで評価試料の温度変化や吸発熱量を捉えているなど複数の捉え方があるが、本発明で採用する熱分析手法は、温度変化や吸発熱量を直接または間接的に捉えているものであれば、どのような捉え方であっても適用できる。 熱分析手法の代表例を以下に記す。(1)TG:雰囲気温度の上昇(下降)によるサンプルの重量変化を、時間(温度)に対して記録したものをTG曲線とする。(2)DTA:サンプルホルダーに設けられた熱電対の起電力により、リファレンス(基準物質)とサンプル(試料)との温度差を検出し、DTA曲線(温度の関数)として測定する。リファレンス(基準物質)としては、測定温度範囲で変化の無い物質(通常はα−アルミナ等)が用いられる。ヒーターの昇温が始まると、基準物質,試料ともそれぞれの熱容量により、少し遅れながら昇温を開始し、やがてヒーターの温度に追従して昇温する。ΔTは、昇温開始後定常状態になるまでは変化し、安定後は試料と基準物質の熱容量の差に対応したほぼ一定の量となる。この定常状態の信号をベースラインという。(3)DSC:試料と基準物質とを同一炉内に対称的に配置して加熱・冷却し、その時の両者の熱流量差を時間と温度の関数として測定する。(4)TG/DTA:熱分析の中で最も定量性に優れた測定技法であるTGに、凡用性の高いDTA機能を組み込んだ手法。 請求項2の発明は、請求項1の評価方法の精度を向上させる為の手法であり、ΔT1を得る際に、フラックス材料と、フラックスと反応せず状態変化および雰囲気との反応のない粉末を混合することで、熱容量および熱伝導率の違いによるΔT1とΔT2のベースラインのずれを小さくすることができ、面積の大小と酸化膜除去量の相関性が改善される。実用的には粉末の選定条件をフラックスとの測定したい範囲内での反応率が10wt%未満であり測定したい範囲内で状態変化および雰囲気との反応のない粉末とすることが望ましい。 請求項3の発明は、請求項2の評価方法において、フラックスと反応せず測定したい範囲内で状態変化および雰囲気との反応のない粉末の選定および混合重量を決定する際に、図2に示すように評価したい重量のはんだ主材料または母材の酸化金属粉の熱分析結果との測定したい範囲内での温度差または吸発熱量の差ΔTが±50%以内のものとすることでベースラインのずれをより小さくすることができ、面積の大小と酸化膜除去量の相関性が改善される。実用的には±10%とすることがより望ましい。 上記の通り、フラックスの活性度の指標として、図4に示すように常温からはんだ付け温度までの面積を算出し、活性度パラメータとし、その大小を比較することで、フラックスの持つ活性力の差を比較することができ、フラックスの選定,経時劣化の把握の指標など有効な評価手法と成り得る。 上記の評価方法は、市販の熱分析装置(TG/DTA,DSC)にて実施することが可能であるが、熱分析を2度(フラックスとはんだ主材料または母材の酸化金属粉の混合物の熱分析と、フラックス材料とフラックスと反応せず測定したい範囲内で状態変化および雰囲気との反応のない粉末の混合物の熱分析)実施する必要があり、評価に時間を要する。また、(ΔT2−ΔT1)の解析も、抽出データから表計算ソフト等を用いて自分で計算する必要があり、労力・時間を要する。そこでそれらの問題点を解決する為の手段を考案した。尚、以降の説明においては、「フラックスと反応せず測定したい範囲内で状態変化および雰囲気との反応のない粉末」を、DTAなどの熱分析手法におけるリファレンスと同様の役割を果たすことから、単に「基準物質」と称する場合もある。 請求項4の評価装置は、加熱炉内に試料を配置した状態で、加熱炉の温度を昇降温させたときに試料に生じる重量変化,温度差もしくは吸発熱量のいずれか1つ以上を測定する熱分析装置において、測定試料ユニットAおよびBと、炉内温度を測定するユニットCとユニットCから得られた温度情報から炉内温度をコントロールする制御ユニットDを有することを特徴とする機構を備える評価装置であり、測定ユニットを2組採用することで、上記評価を1度で行うことができる。測定試料ユニットAでは、試料1の温度が測定される。測定試料ユニットBでは、試料2の温度が測定される。ユニットCでは炉内温度が測定される。それぞれ測定されたデータを組み合わせた2組のデータから、試料1と試料2の評価が算出されて可能となる。 請求項5の評価装置は、請求項4に記載の評価装置において、測定試料ユニットAとユニットCから得られる温度差または吸発熱量ΔT1と、測定試料ユニットBとユニットCから得られる温度差または吸発熱量ΔT2と、測定試料ユニットAとBのから得られる温度差または吸発熱量(ΔT2−ΔT1)を同時に得て、温度ΔT1とΔT2と(ΔT2−ΔT1)とを出力し、指定した温度範囲で(ΔT2−ΔT1)を積分する算出手段を備えており、積分値を表示する機能を有することを特徴とする評価装置である。 本発明によれば、はんだ付けに用いられるフラックスの活性力を簡単に評価するはんだ付用フラックスの評価方法を提供できる。本発明によるフラックス活性度評価装置の一例である。フラックスと反応せず、測定したい範囲内で状態変化および雰囲気と反応しない粉末の選定および重量決定条件を示した図である。フラックス材料と、フラックスとほとんど反応せず、測定したい範囲内で状態変化および雰囲気と反応しない粉末の混合物について、時間tにおけるΔT1,フラックスとはんだ主材料または母材の酸化金属粉の混合物について、時間tにおけるΔT2,および時間tにおける基準物質の温度データTを示した図である。時間tでの(ΔT2−ΔT1)を示した図である。本発明の実施例1に関わる実施結果データである。本発明の実施形態(評価装置)での試料および得られるデータを示す表。 以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。 図1は、本発明によるフラックス活性度評価試験を実行するために用いられる評価装置の一例における構成を示す説明図である。 同図において、スライド可能なヒートシンク10の中に、試料ホルダ11,12,13が配置されている。試料ホルダ11,12,13は荷重および温度測定ユニットである14,15,16とそれぞれ接続されている。試料ホルダ11,12,13は水平に配置されているのが望ましいがそれに限定されるものではない。また、試料ホルダ11,12,13には取外し可能な試料容器17,18,19を取り付けることができる。また、ヒートシンク10の外壁にはヒーター20が取り付けられており、ヒーター20は温度制御装置21に接続されている。温度制御装置21は測定ユニット15で得た温度データを元にヒーター20を制御することでヒートシンク10内の温度を制御することができる。また、22はデータ記録・計算用のPCであり、出力された温度データ,時間データ,荷重データが記録され、得られたデータから各試料容器の温度差を算出できる。上記データが記録でき、計算できるものであればPCには限定されない。また、記録計と計算機を別々に設けても良い。 本発明においては、上記のような装置または市販のTG/DTA装置,DSC装置,DTA装置等を用い、以下のようにしてフラックス活性度の評価が行われる。以下に上記装置を用いた場合の評価方法を説明する。 まず、評価したい試料(フラックス)、はんだ主材料または母材の酸化金属粉、およびフラックスと反応せず、測定したい範囲内で状態変化および雰囲気と反応しない粉末を用意する。評価可能なフラックスは有機系材料であり、活性剤は有機酸,ハロゲン化物の場合に適用できる。酸化金属粉は、純度98%以上,粒径3μm以下であることが望ましい。フラックスとほとんど反応せず測定したい範囲内で状態変化および雰囲気と反応しない粉末は、評価対象となるフラックスにもよるが、アルミナ,サファイア等が望ましい。 次に、フラックスとはんだ主材料または母材の酸化金属粉を試料容器17に入れ、混合する。フラックスの量は特に限定されるものではないが、試料容器17,19に適した量とする。フラックスによるはんだおよび母材の表面清浄化(酸化膜除去)作用でのメカニズムとして、酸化したはんだおよび母材の表面とフラックスが金属塩を形成し、その金属塩がはんだおよび母材の表面からフラックス中に溶け出すことで清浄なはんだおよび母材の表面が得られることが知られている。はんだ主材料または母材の酸化金属粉の重量は、フラックスの成分と反応式(金属塩が形成される化学反応)を把握できている場合は、反応率100%としたときに必要な重量以上とする。フラックスの成分と反応式を把握できていない場合は、フラックスの重量と同量以上が望ましい。はんだ主材料または母材の酸化金属粉の量は同量以上であれば特に限定されるものではないが、フラックスの1.2〜2倍の重量であることが望ましい。2種以上のフラックスを比較評価する際には、試料容器に入れる試料(フラックス)の重量が同一となるようにする。また、試料容器19に同一量のフラックス、およびフラックスと反応せず、測定したい範囲内で状態変化および雰囲気と反応しない粉末を投入するため、試料容器17に入れるフラックスおよびはんだ主材料または母材の酸化金属粉の重量を測定しておく。 次に、容器17に入れた量と同量のフラックスと、フラックスと反応せず測定したい範囲内で状態変化および雰囲気と反応しない粉末を試料容器19に入れ、混合する。フラックスと反応せず測定したい範囲内で状態変化および雰囲気と反応しない粉末を入れずに評価を行ってもよいが、熱容量および熱伝導率の違いによるΔT1とΔT2のベースラインのずれが大きくなる為、面積の大小と酸化膜除去量の相関性が悪化する。 フラックスと反応せず測定したい範囲内で状態変化および雰囲気と反応しない粉末は、図2に示すように評価したい重量のはんだ主材料または母材の酸化金属粉の熱分析結果との測定したい範囲内での温度差または吸発熱量の差ΔTが±50%以内のものとする。実用的には±10%とすることがより望ましい。 次にフラックスとはんだ主材料または母材の酸化金属粉の入った容器17、およびフラックスと、フラックスとほとんど反応せず測定したい範囲内で状態変化および雰囲気と反応しない粉末の入った容器19をそれぞれ試料ホルダ11,13に取り付ける。 次に、フラックスと反応せず測定したい範囲内で状態変化および雰囲気と反応しない粉末を試料容器18に入れる。フラックスと反応せず測定したい範囲内で状態変化および雰囲気と反応しない粉末の量は試料容器19に入れた量と同様とする。 その後、荷重および温度測定ユニット14,15,16を用い、温度・重量測定を行いながら、昇温する。昇温は例えば5〜30℃/min程度の等速昇温とし、はんだ付け温度まで加熱する。 昇温時には記録および計算ができるPC22に温度測定ユニット16の値から15の値を引いた値ΔT1と、温度測定ユニット14の値から15の値を引いた値ΔT2と、温度測定ユニット14の値から16の値を引いた値(ΔT2−ΔT1)と、温度測定ユニット15の値Tと時間tが記録される。 2種以上のフラックスを比較評価する際には、上記の評価を繰り返し行う。そのときにフラックスの重量および、はんだ主材料または母材の酸化金属粉の重量は同一となるようにする。 図3は、本実施形態におけるフラックス活性度評価方法によって測定された、加熱工程における、(1)フラックスと、フラックスとほとんど反応せず測定したい範囲内で状態変化および雰囲気と反応しない粉末の混合物による「時間tに対するΔT1」の曲線(2)フラックスと、はんだ主材料または母材の酸化金属粉の混合物による「時間tに対するΔT2」の曲線(3)時間と炉内温度の「時間tに対する温度T」の曲線を示すグラフである。 図4は、フラックスの各時間tにおける(ΔT2−ΔT1)値を示すグラフである。図4のように得られたデータから、常温からはんだ付け温度までの(ΔT2−ΔT1)値を時間tで積分した値Sを活性度のパラメータとする。例えば、2種のフラックスを比較したいときに、この値Sが大きいほど活性度が高く、良好なぬれ性が得られる。 このように、フラックスの選定,経時劣化の把握の指標など有効な評価手法と成り得ることが示唆された。図6の表に、上記実施形態における評価装置での試料および得られるデータを示す。 フラックスとして3種類(A,B,C)およびはんだ主材料または母材の酸化金属粉として酸化銅(▲II▼)を用い、発明の実施形態に示す手順に従い評価し、その結果とはんだぬれ広がり評価結果を比較した。図5に示す通り、各フラックスの活性度パラメータSの大小関係はA>B>Cであった。一方、各フラックスを用いた際のぬれ広がり評価を行うため、銅基板に各フラックスを塗布し、はんだボールを載せ、ぬれ広がりを評価した結果、各フラックスを用いた場合のはんだぬれ広がり率は、A>B>Cであった。 本発明によるフラックスの活性度の評価とはんだぬれ広がり評価の関係が一致し、活性度の高いフラックスを用いたはんだ接続でははんだぬれが良好であることが確認され、はんだ付性に影響を及ぼすフラックスの活性度の評価指針として、本発明における活性パラメータの採用が有効であることが確認された。10…ヒートシンク11,12,13…試料ホルダ14,15,16…荷重および温度測定ユニット17,18,19…試料容器20…ヒーター21…温度制御装置22…PC TG/DTA,DSC,DTAから選択される熱分析手法により、常温からはんだ付け温度までの昇温過程における、はんだ接合用フラックスの温度差もしくは吸発熱量ΔT1はんだ接合用フラックスと、はんだ主材料または母材の酸化物の粉末の混合物の温度差もしくは吸発熱量ΔT2のデータを得て解析することによりフラックスの活性度(酸化膜除去作用)を評価する手法であって、得られた温度差もしくは吸発熱量の差(ΔT2−ΔT1)を縦軸,時間を横軸に取り、熱分析開始からはんだ付け温度に到達した時間までの範囲において、吸発熱量の差(ΔT2−ΔT1)を時間で積分することで得られる面積値を、はんだ接合用フラックスの単位重量あたりに換算した値の大小を、活性度の指標とすることを特徴とするはんだ接合用フラックスの評価方法。 ΔT1,ΔT2を得る上でのリファレンスとして、フラックスとほとんど反応せず、測定したい範囲内で状態変化および雰囲気との反応のない粉末を基準物質として採用することを特徴とする請求項1記載のはんだ接合用フラックスの評価方法。 ΔT1を得る際、フラックスと基準物質の混合物を一方の試料とし、基準物質を他方の試料(リファレンス)とするにあたり、基準物質の選定およびその混合量を決定する際に、評価時に用いる量のはんだ主材料または母材の酸化物の粉末が示す温度変化もしくは吸発熱量との差が、常温からはんだ溶融温度までの範囲で、−50〜+50%の範囲内にあることを、粉末選定および重量決定の基準とすることを特徴とする請求項1または2に記載のはんだ接合用フラックスの評価方法。 加熱炉内に試料を配置した状態で、加熱炉の温度を昇降温させたときに試料に生じる重量変化,温度差もしくは吸発熱量のいずれか1つ以上を測定するTG/DTA,DSC,DTAから選択される熱分析装置において、2組の測定試料ユニットAおよびBと、炉内温度を測定するユニットCとユニットCから得られた温度情報から炉内温度をコントロールする制御ユニットDを有することを特徴とする機構を備える評価装置。 測定試料ユニットAと炉内温度を測定するユニットCから得られる温度差または吸発熱量ΔT1と、測定試料ユニットBと炉内温度を測定するユニットCから得られる温度差または吸発熱量ΔT2と、測定試料ユニットA,Bから得られる温度差または吸発熱量(ΔT2−ΔT1)を同時に得て、温度ΔT1とΔT2と(ΔT2−ΔT1)とを出力し、指定した温度範囲で(ΔT2−ΔT1)を積分する算出手段を備えており、積分値を表示する機能を有することを特徴とする請求項4記載の評価装置。 【課題】はんだ接合を行なう場合、はんだの接合性を向上させる目的でフラックスを使用するが、このフラックスの最も重要な役割であるはんだおよび母材の酸化膜除去機能(活性度)の大きさを連続的に、試料および測定者の影響なく比較評価できる方法を確立する。【解決手段】フラックスをはんだ付け温度まで昇温し、同時に温度差または吸発熱量を測定することで得たフラックスの各温度Tでの温度差または吸発熱量ΔT1と、フラックスとはんだ主材料または母材の酸化物の粉末の混合物をはんだ付け温度まで昇温し、同時に温度差またはDTA値またはDSC値を測定することで得たΔT2との差(ΔT2−ΔT1)を各温度でのフラックスの活性パラメータとし、その積分値を活性度の評価指標とすることで、フラックスの活性の大きさを連続的に、試料および測定者の影響なく比較評価できる。【選択図】なし