生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_アゼライン酸を含有する外用組成物
出願番号:2012032832
年次:2013
IPC分類:A61K 8/362,A61K 8/44,A61K 8/42,A61Q 19/00,A61P 17/10,A61K 31/194


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松本 江利 JP 2013170124 公開特許公報(A) 20130902 2012032832 20120217 アゼライン酸を含有する外用組成物 ロート製薬株式会社 000115991 岩谷 龍 100077012 松本 江利 A61K 8/362 20060101AFI20130806BHJP A61K 8/44 20060101ALI20130806BHJP A61K 8/42 20060101ALI20130806BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20130806BHJP A61P 17/10 20060101ALI20130806BHJP A61K 31/194 20060101ALI20130806BHJP JPA61K8/362A61K8/44A61K8/42A61Q19/00A61P17/10A61K31/194 8 1 OL 22 4C083 4C206 4C083AB032 4C083AB051 4C083AB362 4C083AC022 4C083AC072 4C083AC102 4C083AC122 4C083AC172 4C083AC182 4C083AC291 4C083AC292 4C083AC302 4C083AC422 4C083AC432 4C083AC482 4C083AC532 4C083AC581 4C083AC582 4C083AC681 4C083AC682 4C083AC711 4C083AC712 4C083AD042 4C083AD092 4C083AD152 4C083AD332 4C083AD352 4C083AD532 4C083BB48 4C083CC02 4C083CC03 4C083CC04 4C083CC05 4C083DD31 4C083DD41 4C083EE03 4C083EE13 4C083EE14 4C206AA01 4C206AA02 4C206DA36 4C206MA03 4C206MA05 4C206MA37 4C206MA48 4C206MA83 4C206NA05 4C206ZA89 4C206ZB35 本発明は、アゼライン酸及び/又は生理的に許容されるその塩を含有し、化粧品、医薬部外品、医薬品などとして用いられる外用組成物に関する。 アゼライン酸は、主に海外で、ニキビの治療剤の有効成分として広く使用されている成分である。 アゼライン酸は、水への溶解性が低いことが知られており、とりわけpHが低くなるにつれて、この傾向は顕著となる。そのため、海外で市販されているニキビ治療用のアゼライン酸含有製剤は、アゼライン酸を分散状態で含むクリーム剤等として製剤化されている。しかし、この製剤には、アゼライン酸が分散状態、即ち不溶状態で含まれるため、皮膚への吸収性が優れているとは言い難い。従って、有効量のアゼライン酸が皮膚から吸収されるように、20重量%といった高濃度でアゼライン酸を配合せざるを得ず、それにより皮膚への刺激性が強くなる傾向があった。 従来、アゼライン酸の溶解性を改善する試みが報告されている。 例えば、特許文献1は、アゼライン酸を溶解させるために高濃度のアルコールを用いると皮膚が乾燥するなどの難点があるため、グリコールでアゼライン酸を可溶化させることを提案している。同文献は、0.5〜10重量%のアゼライン酸を溶解させるのに、20重量%以上のグリコールが必要であると記載している。 しかし、高濃度のグリコールを含む製剤は、処方によってはベタツキが生じ易いので、他の有用なアゼライン酸の溶解性改善手段の開発が求められている。特表平11−507350号公報 本発明は、上記の従来技術に鑑み、外用組成物の調製にあたり、アゼライン酸又はその生理的に許容される塩の溶解性を向上させることができる、更なる有用な他の手段を提供することを課題とする。 本発明者は上記課題を解決するために研究を重ね、アゼライン酸又は生理的に許容されるその塩(以下、「塩」と略称することがある)、及び水を含む外用組成物に、アミノ酸、ベタイン、尿素、ヒドロキシアルキル尿素、及び/又はそれらの塩を配合することにより、アゼライン酸又はその塩の溶解性を向上させ得ることを見出した。 本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下の外用組成物を提供する。項1. (A)アゼライン酸、及び生理的に許容されるその塩からなる群より選択される少なくとも1種、(B)アミノ酸、ベタイン、尿素、ヒドロキシアルキル尿素、及び生理的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種、並びに(C)水を含む外用組成物。項2. pHが6.5以下である、項1に記載の外用組成物。項3. (A)成分の含有量が、組成物の全量に対して、0.1〜10重量%である、項1又は2に記載の外用組成物。項4. (B)成分が、イプシロンアミノカプロン酸、トラネキサム酸、グリシン、アルギニン、トリメチルグリシン、尿素、ヒドロキシエチル尿素、及び生理的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種である、項1〜3のいずれかに記載の外用組成物。項5. (B)成分の含有量が、組成物の全量に対して、0.001〜30重量%である、項1〜4のいずれかに記載の外用組成物。項6. 抗菌用組成物である、項1〜5のいずれかに記載の外用組成物。項7. (A)アゼライン酸、及び生理的に許容されるその塩からなる群より選択される少なくとも1種、及び(C)水を含む組成物に、(B)アミノ酸、ベタイン、尿素、ヒドロキシアルキル尿素、及び生理的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を加えることを特徴とする、(A)成分の溶解性向上方法。項8. (A)アゼライン酸、及び生理的に許容されるその塩からなる群より選択される少なくとも1種に、(B)アミノ酸、ベタイン、尿素、ヒドロキシアルキル尿素、及び生理的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を加えることを特徴とする、(A)成分の抗菌力の増強方法。 本発明の外用組成物は、アゼライン酸又はその塩の溶解性を著しく向上させることができ、実用上非常に有用である。 また、本発明の外用組成物は、アゼライン酸又はその塩の溶解性が良好であり、即ち、アゼライン酸及び/又はその塩の多くが皮膚に吸収され易い溶解状態で含まれるため、アゼライン酸又はその塩の濃度を低くすることもできる。 また、ニキビ治療のためには、組成物のpHが低いことが望まれるが、一般に、アゼライン酸又はその塩は低pHでは溶解性が悪い。しかし、本発明の外用組成物は、低pHにしてもアゼライン酸又はその塩の溶解性が良いため、ニキビ治療に有用なものである。 また、本発明の外用組成物は、アゼライン酸及び/又はその塩と、アミノ酸、ベタイン、尿素、ヒドロキシアルキル尿素、及び/又はそれらの塩とを含むことにより、アゼライン酸又はその塩の抗菌力が増強されている。アミノ酸、ベタイン、尿素、ヒドロキシアルキル尿素、及びそれらの塩はそれ単独では十分な抗菌力を発揮できないにもかかわらず、アゼライン酸及び/又はその塩との組み合わせにより相乗的に抗菌力が強くなる。低pHで、(B)成分がアゼライン酸の溶解性を改善したことを示す写真である。(B)成分がアゼライン酸の溶解性を改善したことを示す写真である。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の外用組成物は、(A)アゼライン酸、及び生理的に許容されるその塩からなる群より選択される少なくとも1種、(B)アミノ酸、ベタイン、尿素、ヒドロキシアルキル尿素、及び生理的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種、及び(C)水を含有する組成物である。(A)成分<アゼライン酸及び生理的に許容されるその塩> アゼライン酸の生理的に許容される塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、アンモニウム塩、メチルアミン塩、ピリジン塩、トリメチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩などが挙げられる。 組成物中のアゼライン酸及び/又はその塩の含有量は、組成物の全量に対して、約0.1重量%以上が好ましく、約0.25重量%以上がより好ましく、約0.5重量%以上がさらにより好ましく、約1重量%以上が特に好ましい。この範囲であれば、十分な抗菌力が得られる。 また、組成物中のアゼライン酸及び/又はその塩の含有量は、約10重量%以下が好ましく、約7重量%以下がより好ましく、約5重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、アゼライン酸の溶解性を高く保ちながら幅広い処方が可能となる。(B)成分<アミノ酸> アミノ酸は、分子内にカルボキシル基とアミノ基とを含有する化合物の総称である。 アミノ酸の種類は、医学的に又は生理学的に許容され得る限り、特に制限されないが、具体的には、イプシロンアミノカプロン酸、トラネキサム酸、グリシン、アルギニン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、システイン、シスチン、γアミノ酪酸、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、クレアチン、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン、ヒスチジン、オルニチン等が例示される。 中でも、好ましくは、イプシロンアミノカプロン酸、トラネキサム酸、グリシン、及びアルギニンが挙げられ、より好ましくは、イプシロンアミノカプロン酸、及びトラネキサム酸が挙げられる。 イプシロンアミノカプロン酸は抗炎症作用を有する。従って、(B)成分として、イプシロンアミノカプロン酸を配合することにより、ニキビ等に対する抗炎症効果も期待できる。また、トラネキサム酸は美白作用を有する。従って、(B)成分として、トラネキサム酸を配合することにより、ニキビ等の黒ずみに対する効果も期待できる。 アミノ酸及びその塩は、溶媒和物(例えば、水和物)の形態であってもよく、更にd体、l体、dl体のいずれであってもよい。好ましくは、l体である。 アミノ酸は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。<ベタイン> 本発明において、ベタインは、分子量200以下で分子内で両性イオンを形成し、分子全体としては電荷を持たない化合物をいう。 具体的には、4級アンモニウム塩基、4級ホスホニウム塩基、3級スルホニウム塩基等が挙げられる。これらは界面活性剤としての性質をほとんど示さない。中でも、4級アンモニウム塩基が好ましく、下記式(1)(式中、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは1〜6を表す。)で表される化合物がより好ましい。 R1〜R3としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を広く用いることができる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2,2-ジメチルブチル基、又は2,3-ジメチルブチル基等を用いることができる。R1〜R3は、同一であってもよく、異なっていてもよい。 中でも、式(1)において、n=1〜3の化合物が好ましい。また、R1〜R3は、炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であることが好ましい。より具体的には、式(1)においてn=1であるトリメチルグリシン、トリエチルグリシン、トリプロピルグリシン、トリイソプロピルグリシン、n=2であるトリメチル−β−アラニン、n=3のトリメチル−γ−アミノ酪酸等をベタインの好適な例として挙げることができ、特に好ましくはトリメチルグリシンである。<尿素及びヒドロキシアルキル尿素> 本発明において、ヒドロキシアルキル尿素は、尿素が有する水素原子の少なくとも一つがヒドロキシアルキル基で置換された化合物を指す。即ち、本発明にいうヒドロキシアルキル尿素は、下記式(2)で表される化合物である。(式中、R4、R5、R6、及びR7は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基を表し、かつ、R4、R5、R6、及びR7の少なくとも一つは炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基である。) ヒドロキシアルキル基としては、具体的には、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ジヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基等が挙げられる。中でも、ヒドロキシエチル基が好ましい。 より具体的には、ヒドロキシアルキル尿素として、N−(2−ヒドロキシエチル)尿素、N−(2−ヒドロキシプロピル)尿素、N−(3−ヒドロキシプロピル)尿素、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)尿素、N−(2−ヒドロキシブチル)尿素、N−(3−ヒドロキシブチル)尿素、N−(4−ヒドロキシブチル)尿素、N−(2,3−ジヒドロキシブチル)尿素、N−(2,4−ジヒドロキシブチル)尿素、N−(3,4−ジヒドロキシブチル)尿素、N−エチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)尿素、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)尿素、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)尿素、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)尿素、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)尿素、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N’−プロピル尿素、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−N’−(2−ヒドロキシエチル)尿素、N−tert−ブチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(2−ヒドロキシプロピル)尿素、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N’,N’−ジメチル尿素、N,N,N’,N’−テトラキス−(2−ヒドロキシエチル)尿素、及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)尿素等が例示される。 ヒドロキシアルキル尿素のヒドロキシアルキル基の数は1〜3が好ましく、1〜2がより好ましく、1(モノヒドロキシアルキル尿素)がさらにより好ましい。中でも、ヒドロキシエチル尿素が好ましい。<(B)成分の塩> アミノ酸、ベタイン、尿素、及びヒドロキシアルキル尿素の生理的に許容される塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、アンモニウム塩、メチルアミン塩、ピリジン塩、トリメチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、メチル硫酸塩、p−トルエンスルフォン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、ベタイン塩、グリシン塩、セリン塩、タウリン塩などが挙げられる。<(B)成分の含有量> 組成物中の(B)成分の含有量は、組成物の全量に対して、約0.001重量%以上が好ましく、約0.01重量%以上がより好ましく、約0.1重量%以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、アゼライン酸又はその塩の溶解性を十分に向上させることができる。 また、組成物中の(B)成分の含有量は、約30重量%以下が好ましく、約10重量%以下がより好ましく、約5重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、ベタツキや刺激感のような不快感を抑える又は回避することができ、使用感の良好な製剤とすることができる。 また、(A)成分に対する(B)成分の含有量の比率は、(A)成分の1重量部に対して、約0.001重量部以上が好ましく、約0.01重量部以上がより好ましく、約0.02重量部以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、アゼライン酸又はその塩の溶解性を十分に向上させることができる。 また、(A)成分に対する(B)成分の含有量の比率は、(A)成分の1重量部に対して、約60重量部以下が好ましく、約40重量部以下がより好ましく、約20重量部以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、アゼライン酸又はその塩の溶解性を十分に向上させつつ、使用感にも優れた製剤とすることができる。(C)成分<水> 本発明の外用組成物は、水を少しでも含んでいればよい。 水の含有量は、組成物の全量に対して、約1重量%以上が好ましく、約5重量%以上がより好ましく、約10重量%以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、水以外の基剤の量を減らすことができ、それにより、サラリとした使用感が得られると共に、ニキビ治療に好適な組成物となる。 また、水の含有量は、組成物の全量に対して、約99重量%以下が好ましく、約98重量%以下がより好ましく、約97重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、アゼライン酸及び/又はその塩の溶解性が良好になる。多価アルコール 本発明の外用組成物は、多価アルコールを含むことができる。多価アルコールは、一般に、保湿剤、溶解剤、基剤等として、化粧品や医薬外用剤に添加されている。また、多価アルコールは、アゼライン酸又はその生理的に許容される塩の溶解性を高めるために一般に使用されている成分である。本発明では、化粧品や医薬外用剤に使用される公知の多価アルコールを制限なく使用できる。 このような公知の多価アルコールとして、具体的には、 エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール(トリメチレングリコール)、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール(テトラメチレングリコール)、2−ブテン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール(ペンタメチレングリコール)、1,2−ペンタンジオール、イソプレングリコール(イソペンチルジオール)、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール1500、ポリエチレングリコール1540、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール20000、ポリエチレングリコール35000など)、ポリプロピレングリコール(ポリプロピレングリコール700、ポリプロピレングリコール1000、ポリプロピレングリコール2000など)などの2価アルコール; グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール;及び、 ジグリセリン、ポリグリセリンなどが挙げられる。 中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンが好ましい。また、エチレングリコールが約2〜870個、中でも約2〜84個、特に約2〜13個重合したポリエチレングリコール、プロピレングリコールが約2〜35個、中でも約2〜24個、特に約2〜12個重合したポリプロピレングリコール(例えば、ジプロピレングリコール)、グリセリンが約2〜10個、中でも約7〜10個重合したポリグリセリン(例えば、ジグリセリン)も好ましい。 多価アルコールを含む場合の多価アルコールの含有量は、組成物の全量に対して、約0.1重量%以上が好ましく、約1重量%以上がより好ましく、約5重量%以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、(B)成分によるアゼライン酸又はその塩の溶解性向上作用を増強できる。 また、多価アルコールを含む場合の多価アルコールの含有量は、組成物の全量に対して、約50重量%以下が好ましく、約30重量%以下がより好ましく、約20重量%未満がさらにより好ましく約15重量%以下が特に好ましい。この範囲であれば、ベタツキが抑えられ、良好な使用感が得られる。 また一方で、本発明の外用組成物は、(B)成分を用いることにより、アゼライン酸又はその生理的に許容される塩の溶解性を高度に改善できるので、上記のような多価アルコールを配合しなくても、又は殆ど配合しなくてもよい。多価アルコールを配合すると、処方によって、また人によって、ベタツキなどを感じる場合があるので、このように多価アルコールの配合量を少なく抑えることができる、又は全く含まないとすることもできる本発明の外用組成物は、実用上非常に有用である。低級一価アルコール 本発明の外用組成物は、低級一価アルコールを含むことができる。低級一価アルコールは、一般に、溶解剤、殺菌剤、基剤等として、化粧品や医薬外用剤に添加されている。また、低級一価アルコールは、アゼライン酸又はその生理的に許容される塩の溶解性を高めるために一般に使用されている成分である。低級一価アルコールは、具体的には、炭素数1〜4の一価アルコールであり、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール等が挙げられる。中でも、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましく、エタノールがより好ましい。 低級一価アルコールを含む場合の低級一価アルコールの含有量は、組成物の全量に対して、約0.01重量%以上が好ましく、約0.1重量%以上がより好ましく、約1重量%以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、(B)成分によるアゼライン酸又はその塩の溶解性向上作用を増強できる。 また、低級一価アルコールを含む場合の低級一価アルコールの含有量は、組成物の全量に対して、約30重量%以下が好ましく、約20重量%以下がより好ましく、約15重量%以下がさらにより好ましく、約5重量%以下が特に好ましい。この範囲であれば、皮膚の刺激や乾燥感が抑えられる。 また一方で、本発明の外用組成物は、(B)成分を用いることにより、アゼライン酸又はその生理的に許容される塩の溶解性を高度に改善できるので、上記のような低級一価アルコールを配合しなくても、又は殆ど配合しなくてもよい。低級一価アルコールを配合すると、処方によって、また人によって、刺激感や乾燥感などを感じる場合があるので、低級一価アルコールの配合量を少なく抑えることができる、又は全く含まないとすることもできる本発明の外用組成物は、実用上非常に有用である。 多価アルコール及び低級一価アルコールの双方を含む場合のこれらアルコールの合計含有量は、組成物の全量に対して、約0.1重量%以上が好ましく、約1重量%以上がより好ましく、約2重量%以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、(B)成分によるアゼライン酸又はその塩の溶解性向上作用を増強できる。 また、多価アルコール及び低級一価アルコールの双方を含む場合のこれらアルコールの合計含有量は、組成物の全量に対して、約80重量%以下が好ましく、約60重量%以下がより好ましく、約40重量%以下がさらにより好ましく、約20重量%以下が特に好ましい。この範囲であれば、使用感が良好で、皮膚への刺激や乾燥感が抑えられた組成物が得られる。pH 本発明の外用組成物のpHは、医学的に又は生理学的に許容され得る限り、特に制限されない。 本発明によれば、(B)成分を併用することにより、アゼライン酸及び/又はその塩の溶解性を著しく向上させることができるので、一般にアゼライン酸及び/又はその塩の溶解性がより困難となる酸性領域であっても、その溶解性を高度に改善できる。この点を考慮すれば、本発明の外用組成物の好適なpHの一例として、約6.5以下が挙げられる。より好ましくは約6以下、さらにより好ましくは約5.5以下である。 また、pHは約2以上が好ましく、約3以上がより好ましい。この範囲であれば、幅広い処方でアゼライン酸及び/又はその塩の良好な溶解性が得られる。 pHの調整は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムのような無機塩基や、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンのような有機塩基などの塩基;塩酸、硫酸のような無機酸や、乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウムのような有機酸などの酸を用いて行えばよい。製剤 本発明の外用組成物は、上記説明した(A)〜(C)の成分、さらに必要に応じて、多価アルコール、及び/又は低級一価アルコールを、化粧品、医薬部外品、又は医薬品に使用される基剤又は担体、及び必要に応じて添加剤やその他の有効成分と共に混合して、化粧品、医薬部外品、又は医薬の外用剤とすることができる。 医薬品用の外用剤は、例えば、液体状、流動状、又は半固形状の製剤とすることができ、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤などが挙げられる。これらの製剤は、第15改正日本薬局方製剤総則に記載の方法等に従い製造することができる。中でも、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤が好適であり、液剤、ローション剤が特に好適である。 医薬部外品や化粧品とする場合も、上記の医薬品と同様の形態にすることができる。また、それ以外にも、不織布に薬液を含浸させたシート剤等が挙げられる。中でも、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤が好適であり、液剤、ローション剤が特に好適である。 クリーム剤、乳剤のように、油性基剤と水性基剤とを含む場合は、W/O型でもよく、O/W型でもよいが、O/W型が好適である。 医薬部外品や化粧品とする場合の用途としては具体的には、化粧水、乳液、ジェル、クリーム、美容液、日焼け止め用化粧料、パック、マスク、ハンドクリーム、ボディローション、ボディークリームのような基礎化粧料;洗顔料、メイク落とし、ボディーシャンプー、シャンプー、リンス、トリートメントのような洗浄用化粧料;ファウンデーション、各種カラーなどのメークアップ化粧料などが挙げられる。基剤又は担体 基剤又は担体としては、水の他、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ゲル化炭化水素(プラスチベースなど)、オゾケライト、α−オレフィンオリゴマー、及び軽質流動パラフィンのような炭化水素;メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコン、フェニル変性シリコーン、及びシリコーンレジンのようなシリコーン油;セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールのような高級アルコール;エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;カラギーナン;ポリビニルブチラート;ポリエチレングリコール;ジオキサン;ブチレングリコールアジピン酸ポリエステル;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、及びホホバ油のようなエステル類;デキストリン、及びマルトデキストリンのような多糖類;並びに、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノプロピルエーテルのようなグリコールエーテルなどを用いることができる。 本発明の外用組成物が、多価アルコール、及び/又は低級一価アルコールを含むとき、これらは基剤又は担体の役割を果たす場合もある。 中でも、グリコールエーテルが好ましく、ジエチレングリコールモノエチルエーテルがより好ましい。 基剤又は担体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。添加剤 本発明の外用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品、医薬部外品、又は医薬品に添加される公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、保存剤、pH調整剤、安定化剤、刺激軽減剤、防腐剤、着色剤、香料、及びパール光沢付与剤等を添加することができる。 酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコフェロール誘導体、エリソルビン酸、L−システイン塩酸塩などが挙げられる。 界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタンのようなソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸プロピレングリコールのようなプロピレングリコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO−40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO−50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO−60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80などの硬化ヒマシ油誘導体;モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンのようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル;グリセリンアルキルエーテル;アルキルグルコシド;ポリオキシエチレンセチルエーテルのようなポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ステアリルアミン、オレイルアミンのようなアミン類;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンのようなシリコーン系界面活性剤などが挙げられる。 増粘剤としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリエチレングリコール、ベントナイト、アルギン酸、マクロゴール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、並びにセルロース系増粘剤(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びカルボキシエチルセルロースなど)及びこれらの塩などが挙げられる。 防腐剤、保存剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビン酸およびその塩、グルコン酸クロルヘキシジン、アルカンジオール、及びグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。 pH調整剤としては、無機酸(塩酸、硫酸など)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウムなど)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど)などが挙げられる。 安定化剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸塩などが挙げられる。 刺激低減剤としては、甘草エキス、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。 添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。その他の有効成分 本発明の外用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の有効成分を含むことができる。有効成分の具体例としては、例えば、保湿成分、抗炎症成分、抗菌成分、ビタミン類、ペプチド又はその誘導体、細胞賦活化成分、老化防止成分、血行促進成分、角質軟化成分、美白成分、収斂成分などが挙げられる。 保湿成分としては、ヒアルロン酸ナトリウム、ヘパリン類似物質、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、キチン、キトサンのような高分子化合物;乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウムのような天然保湿因子;セラミド、コレステロール、リン脂質のような脂質;カミツレエキス、ハマメリスエキス、チャエキス、シソエキスのような植物抽出エキスなどが挙げられる。 本発明の外用組成物が多価アルコールを含むとき、これらは保湿剤の役割を果たす場合もある。 抗炎症成分としては、植物(例えば、コンフリー)に由来する成分、アラントイン、グリチルリチン酸又はその誘導体、酸化亜鉛、塩酸ピリドキシン、酢酸トコフェロール、サリチル酸又はその誘導体、ε-アミノカプロン酸などが挙げられる。 抗菌又は殺菌成分としては、クロルヘキシジン、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、イオウ、レゾルシン、塩化ベンゼトニウム、アダパレン、過酸化ベンゾイル、クリンダマイシン、クレゾール、グルコン酸及びその誘導体、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、塩酸アルキルジアミノグリシン、グルコン酸クロルヘキシジン、パラフェノールスルホン酸亜鉛等が挙げられる。 本発明の外用組成物が低級一価アルコールを含むとき、これらは抗菌又は殺菌成分の役割を果たす場合もある。 ビタミン類としては、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のレチノール誘導体、レチナール、レチノイン酸、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、d−δ−トコフェリルレチノエート、α−トコフェリルレチノエート、β−トコフェリルレチノエート等のビタミンA類;dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム等のビタミンE類;リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’−リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル等のビタミンB2類;ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β−ブトキシエチル、ニコチン酸1−(4−メチルフェニル)エチル等のニコチン酸類;アスコルビゲン−A、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L−アスコルビルなどのビタミンC類;メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールなどのビタミンD類;フィロキノン、ファルノキノン等のビタミンK類、γ−オリザノール、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩;チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩等のビタミンB1類;塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’−リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン等のビタミンB6類;シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等のビタミンB12類;葉酸、プテロイルグルタミン酸等の葉酸類;ニコチン酸、ニコチン酸アミドなどのニコチン酸類;パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D−パンテサイン、D−パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類;ビオチン、ビオチシン等のビオチン類;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸誘導体であるビタミンC類;カルニチン、フェルラ酸、α−リポ酸、オロット酸等のビタミン様作用因子などが挙げられる。 ペプチド又はその誘導体としては、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、エラスチン分解ペプチド、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、加水分解大豆蛋白、小麦蛋白、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド(パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド等)などが挙げられる。 細胞賦活化成分としては、レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類などのビタミン類;グリコール酸、乳酸などのα-ヒドロキシ酸類;タンニン、フラボノイド、サポニン、アラントイン、感光素301号などが挙げられる。 老化防止成分としては、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N−メチル−L−セリン、メバロノラクトン等が挙げられる。 血行促進作用成分としては、植物(例えば、オタネニンジン、アシタバ、アルニカ、イチョウ、ウイキョウ、エンメイソウ、オランダカシ、カミツレ、ローマカミツレ、カロット、ゲンチアナ、ゴボウ、コメ、サンザシ、シイタケ、セイヨウサンザシ、セイヨウネズ、センキュウ、センブリ、タイム、チョウジ、チンピ、トウキ、トウニン、トウヒ、ニンジン、ニンニク、ブッチャーブルーム、ブドウ、ボタン、マロニエ、メリッサ、ユズ、ヨクイニン、ローズマリー、ローズヒップ、チンピ、トウキ、トウヒ、モモ、アンズ、クルミ、トウモロコシ)に由来する成分;グルコシルヘスペリジンなどが挙げられる。 角質軟化成分としては、サリチル酸、グリコール酸、フルーツ酸、フィチン酸、イオウなどが挙げられる。 美白成分としては、アスコルビン酸とその誘導体、アルブチン、トコフェロールなどが挙げられる。 収斂成分としては、パラフェノールスルホン酸亜鉛、酸化亜鉛、メントール、エタノールなどが挙げられる。 その他の有効成分は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。使用方法 本発明の外用組成物の使用方法は、使用対象の皮膚の状態、年齢、性別などによって異なるが、例えば以下の方法とすればよい。即ち、1日数回(例えば、約1〜5回、好ましくは1〜3回)、適量(例えば、約0.05〜5g)を皮膚又は粘膜に塗布すればよい。また、アゼライン酸又はその生理的に許容される塩の1日使用量が、例えば約0.0001〜0.5g、好ましくは約0.001〜0.3g、より好ましくは約0.005〜0.2gとなるように組成物を塗布すればよい。塗布期間は、例えば約7〜360日間、好ましくは約14〜180日間とすればよい。 本発明の外用組成物の使用対象は、それには限定されないが、皮膚に、できものやニキビができている人が好適である。その他 本発明は、(A)アゼライン酸、及び生理的に許容されるその塩からなる群より選択される少なくとも1種、及び(C)水を含む組成物に、(B)アミノ酸、ベタイン、尿素、ヒドロキシアルキル尿素、及び生理的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を加える、(A)成分の溶解性向上方法を包含する。各成分の種類、使用量、組成物の性状などは、本発明の外用組成物について説明した通りである。 また、本発明は、(A)アゼライン酸、及び生理的に許容されるその塩からなる群より選択される少なくとも1種に、(B)アミノ酸、ベタイン、尿素、ヒドロキシアルキル尿素、及び生理的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を加える、(A)成分の抗菌力の増強方法を包含する。(B)成分は、(A)成分と(C)水を含む組成物に添加してもよい。各成分の種類、及び使用量などは、本発明の外用組成物について説明した通りである。 菌は、アゼライン酸、及び生理的に許容されるその塩が抗菌力を発揮する菌であればよく、グラム陽性菌、陰性菌のいずれであってもよい。中でも、グラム陽性菌が好ましく、皮膚常在菌である、プロピオニバクテリウム属細菌(プロピオニバクテリウム・アクネスなど)、スタフィロコッカス属細菌(スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミディスなど)、ストレプトコッカス属細菌(ストレプトコッカス・ミティス、ストレプトコッカス・パイロジェネスなど)、コリネバクテリウム属細菌(コリネバクテイルム・ジフテリア、コリネバクテイルム・ジェイケウムなど)、ペプトストレプトコッカス属細菌(ペプトストレプトコッカス・アナエロビウスなど)等がより好ましく、プロピオニバクテリウム属細菌、スタフィロコッカス属細菌が更により好ましく、スタフィロコッカス属細菌が特に好ましい。 以下、実施例を挙げて、本発明を、より詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。溶解性試験1(pHが低い場合) 下記の表1の処方に従って、試験製剤を調製した。 具体的には、室温下で、アゼライン酸と乳酸ナトリウム以外の成分をビーカーに入れて、スターラーで攪拌して溶解した後に、乳酸ナトリウムにて所定のpHを合わせ、メスアップ後にアゼライン酸を投入して、一昼夜室温で攪拌した。 次いで、各試験製剤を20mLガラススクリューバイアルに移して写真撮影を行った。別途、各試験製剤7mLを攪拌しながら採取してガラス製遠沈管(マルエムねじ口試験管 NN-13)に入れ、濁度計(HACH 2100AN Turbidimeter)を用いて濁度を測定した。 各試験製剤の外観写真を図1に示し、濁度を下記表1に併せて示す。 図1は、各例のバイアルに貼ったラベルの文字(ABC)をバイアル内の試験製剤を通して観察した様子を示している。 図1から明らかなように、アゼライン酸に加えて(B)成分のイプシロンアミノカプロン酸、トラネキサム酸、又は尿素を含む実施例1〜3の製剤は、アゼライン酸を含むが(B)成分を含まない比較例1の製剤に比べて澄明であり、アゼライン酸の溶解性が良好であることが分かる。同様に、アゼライン酸に加えて(B)成分のイプシロンアミノカプロン酸、トラネキサム酸、又は尿素を含む実施例4〜6の製剤は、アゼライン酸を含むが(B)成分を含まない比較例2の製剤に比べて澄明であり、アゼライン酸の溶解性が良好であることが分かる。 また、各製剤のpHは3又は4と非常に低く、このような低pHでも、本発明の組成物はアゼライン酸の溶解性が良好であることが示された。 また、表1に示すように、実施例1〜3の製剤は比較例1の製剤に比べて、実施例4〜6の製剤は比較例2の製剤に比べて、格段に濁度が低く、(B)成分の配合によりアゼライン酸の溶解性が著しく改善されたことが濁度の上でも示された。溶解性試験2 下記の表2の処方に従って、試験製剤を調製した。 具体的には、室温下で、アゼライン酸と水酸化カリウム以外の成分をビーカーに入れて攪拌して溶解した後に、アゼライン酸を加えて更に攪拌し、粉体が液になじんだ後、水酸化カリウムにてpHをあわせ、メスアップ後に、一昼夜室温で攪拌した。 次いで、各試験製剤を20mLガラススクリューバイアルに移して写真撮影を行った。別途、各試験製剤7mLを攪拌しながら採取してガラス製遠沈管(マルエムねじ口試験管 NN-13)に入れ、濁度計(HACH 2100AN Turbidimeter)を用いて濁度を測定した。 各試験製剤の外観写真を図2に示す。また、濁度を、下記表2に併せて示す。 図2及び表2から明らかなように、上記試験例1と同様に、アゼライン酸と共に、イプシロンアミノカプロン酸、トラネキサム酸、又は尿素を配合することにより、アゼライン酸の溶解性が著しく改善された。 また、アゼライン酸に加えて、(B)成分のグリシン又はアルギニンを使用した実施例13又は14の製剤も、アゼライン酸を含むが(B)成分を含まない比較例4の製剤に比べてアゼライン酸の溶解性が著しく改善した。 また、製剤がエタノールや多価アルコールを含む比較例4は、(B)成分を含まなくてもある程度濁度の低い組成物になるが、(B)成分を配合することにより、極めて澄明な組成物になり(実施例10〜14)、エタノールや多価アルコールを含む場合でも、(B)成分によるアゼライン酸溶解性向上効果が認められた。溶解性試験3(アゼライン酸濃度が高い場合) 下記の表3に示す処方に従って、室温下で、アゼライン酸と水酸化カリウム以外の成分をビーカーに入れて攪拌して溶解した後に、アゼライン酸を加えて更に攪拌し、粉体が液になじんだ後、水酸化カリウムにてpHをあわせ、メスアップ後に、一昼夜室温で攪拌した。その後、各試験製剤7mLを攪拌しながら採取してガラス製遠沈管(マルエムねじ口試験管 NN-13)に入れた。各試験製剤を室温下で1時間放置し、不溶の析出物を沈殿させた。次いで、容器の底面からの析出物の高さを測定した。結果を、下記表3に併せて示す。 表3から明らかなように、アゼライン酸濃度が高い場合も、アゼライン酸に加えて、(B)成分のイプシロンアミノカプロン酸、トラネキサム酸、尿素、グリシン、又はトリメチルグリシンを配合することにより、アゼライン酸の析出量が少なくなり、アゼライン酸の溶解性が改善された。溶解性試験4 下記の表4に示す処方に従って、上記溶解性試験1〜3と同様の手順で、室温下で試験液を調製した。調製後の各試験液についてpHを測定した。次いで、室温下で各試験製剤を48時間攪拌した。攪拌後、各試験製剤7mLを攪拌しながら採取してガラス製遠沈管(マルエムねじ口試験管 NN-13)に入れ、濁度計(HACH 2100AN Turbidimeter)を用いて濁度を測定した。結果を、下記表4に併せて示す。 表4から明らかなように、(B)成分としてヒドロキシエチル尿素を使用した場合でも、アゼライン酸の溶解性が向上することが認められた。抗菌力試験 下記の表5及び6に示す処方に従って、室温下で、アゼライン酸と水酸化カリウム以外の成分をビーカーに入れて攪拌して溶解した後に、アゼライン酸を加えて更に攪拌し、粉体が液になじんだ後、水酸化カリウムにてpHをあわせ、メスアップ後に、一昼夜室温で攪拌した。 このようにして調製した各試験液を用いて、以下の方法で、抗細菌作用を評価した。まず、Staphylococcus aureus(ATCC 6538)の菌液を、生菌数が約106CFU/mLになるように接種したミューラーヒントン寒天培地に、滅菌済みの穿孔カッター(TOYOBO:バイオプシーパンチ8mm、ステンレス製)で直径8mmの穴をあけた。孔内一杯に各試験液を注入し(0.1mL)、33℃で24時間培養後、菌の増殖に対する阻止円の大きさを測定した。阻止円の直径から孔径を減算した値を、下記表5、6に併せて示す。 なお、Staphylococcus aureusは皮膚常在菌であり、皮膚の化膿(例えば、できものの化膿や、ニキビの化膿)の原因となる。 表6に示す比較例8〜12の製剤は、実施例21〜25の製剤からアゼライン酸を除いた製剤である。表6から明らかなように、(B)成分のイプシロンアミノカプロン酸、トラネキサム酸、尿素、グリシン、又はトリメチルグリシンを含む比較例8〜12の製剤は抗菌活性を全く示さなかった。 一方、全く予想外のことに、これらの(B)成分とアゼライン酸を併用した実施例21〜25の製剤では、アゼライン酸を含むが(B)成分を含まない比較例7の製剤に比べて、抗菌力が強かった。アゼライン酸に(B)成分を併用することにより、アゼライン酸の抗菌力が増強されることが明らかとなった。とりわけ、トリメチルグリシンを併用した場合に、この効果は顕著であった。 以下に、本発明の外用組成物の処方例を示す。各成分の含有量の単位は、重量%である。<処方例1 化粧水>アゼライン酸 1精製水 残部トラネキサム酸 21、3−ブチレングリコール 5ジプロピレングリコール 2ヒアルロン酸Na 0.05パラオキシ安息香酸メチル 0.3ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60 0.3クエン酸 適量クエン酸Na 適量香料 適量 100<処方例2 クリーム>アゼライン酸 5精製水 残部ヒドロキシエチル尿素 3メチルポリシロキサン 2ベヘニルアルコール 0.5ステアリルアルコール 0.3スクワラン 5トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 21、3−ブチレングリコール 7濃グリセリン 5ジプロピレングリコール 3エデト酸Na 0.05香料 適量パラオキシ安息香酸プロピル 0.05パラオキシ安息香酸メチル 0.1モノステアリン酸ソルビタン 0.6N−ステアロイル−L−グルタミン酸Na 0.1カルボキシビニルポリマー 0.6水酸化Na 適量ヒアルロン酸Na 0.05乳酸 適量ポリエチレングリコール1540 1 100<処方例3 乳液>アゼライン酸 2精製水 残部アルギニン 0.2ジグリセリン 3ジプロピレングリコール 5濃グリセリン 1流動パラフィン 3トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 5セタノール 0.3ステアリルアルコール 0.2イソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.6フェノキシエタノール 0.2キサンタンガム 0.05コハク酸 適量コハク酸Na 適量SIMULGEL NS 2 100*SIMULGEL NS: コポリマーとスクワラン、ポリソルベート60の混合物<処方例4 美容液>アゼライン酸 3エタノール 5精製水 残部トリメチルグリシン 1濃グリセリン 3(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー 0.4カルボキシビニルポリマー 0.2キサンタンガム 0.21、3−ブチレングリコール 7パラオキシ安息香酸メチル 0.3ヒアルロン酸Na 0.03ピロ亜硫酸Na 適量水酸化Na 適量 100<処方例5 ゲル剤>アゼライン酸 2精製水 残部トリメチルグリシン 0.5エタノール 5濃グリセリン 3ジプロピレングリコール 7グリチルリチン酸ジカリウム 0.1ヒアルロン酸Na 0.07クエン酸 適量SEPIGEL305 3 100*SEPIGEL305: ポリアクリル酸アミドと軽質流動イソパラフィン、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの混合物<処方例6 化粧水>アゼライン酸 0.5精製水 残部イプシロンアミノカプロン酸 0.1濃グリセリン 5エタノール 31、3−ブチレングリコール 3グリチルリチン酸ジカリウム 0.05ヒアルロン酸Na 0.01ポリエチレングリコール1500 1グリコール酸 適量パラオキシ安息香酸メチル 適量 100 本発明の外用組成物は、アゼライン酸又はその塩の溶解性が良いため、アゼライン酸及び/又はその塩の濃度を低くした処方にすることができることから、化粧品、医薬部外品、医薬品として有用なものである。(A)アゼライン酸、及び生理的に許容されるその塩からなる群より選択される少なくとも1種、(B)アミノ酸、ベタイン、尿素、ヒドロキシアルキル尿素、及び生理的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種、並びに(C)水を含む外用組成物。 pHが6.5以下である、請求項1に記載の外用組成物。 (A)成分の含有量が、組成物の全量に対して、0.1〜10重量%である、請求項1又は2に記載の外用組成物。 (B)成分が、イプシロンアミノカプロン酸、トラネキサム酸、グリシン、アルギニン、トリメチルグリシン、尿素、ヒドロキシエチル尿素、及び生理的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の外用組成物。 (B)成分の含有量が、組成物の全量に対して、0.001〜30重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の外用組成物。 抗菌用組成物である、請求項1〜5のいずれかに記載の外用組成物。 (A)アゼライン酸、及び生理的に許容されるその塩からなる群より選択される少なくとも1種、及び(C)水を含む組成物に、(B)アミノ酸、ベタイン、尿素、ヒドロキシアルキル尿素、及び生理的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を加えることを特徴とする、(A)成分の溶解性向上方法。 (A)アゼライン酸、及び生理的に許容されるその塩からなる群より選択される少なくとも1種に、(B)アミノ酸、ベタイン、尿素、ヒドロキシアルキル尿素、及び生理的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を加えることを特徴とする、(A)成分の抗菌力の増強方法。 【課題】アゼライン酸又はその生理的に許容される塩の溶解性が向上した外用組成物を提供する。【解決手段】(A)アゼライン酸、及び生理的に許容されるその塩からなる群より選択される少なくとも1種、(B)アミノ酸、ベタイン、尿素、ヒドロキシアルキル尿素、及び生理的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種、並びに(C)水を含む外用組成物。【選択図】図1


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