タイトル: | 公開特許公報(A)_幹細胞賦活化剤 |
出願番号: | 2012015446 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 8/97,A61K 36/00,A61K 36/18,A61P 43/00,A61P 17/00,A61Q 19/00,C12N 5/0775,A61P 9/00,A61P 3/00,A61P 25/00,A61P 3/10,A61P 3/04,A61P 29/00 |
石松 弓子 相馬 勤 藤原 重良 森 圭子 岩城 はるひ JP 2013155122 公開特許公報(A) 20130815 2012015446 20120127 幹細胞賦活化剤 株式会社 資生堂 000001959 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 福本 積 100087871 古賀 哲次 100087413 渡辺 陽一 100117019 武居 良太郎 100150810 中島 勝 100141977 石松 弓子 相馬 勤 藤原 重良 森 圭子 岩城 はるひ A61K 8/97 20060101AFI20130719BHJP A61K 36/00 20060101ALI20130719BHJP A61K 36/18 20060101ALI20130719BHJP A61P 43/00 20060101ALI20130719BHJP A61P 17/00 20060101ALI20130719BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20130719BHJP C12N 5/0775 20100101ALN20130719BHJP A61P 9/00 20060101ALN20130719BHJP A61P 3/00 20060101ALN20130719BHJP A61P 25/00 20060101ALN20130719BHJP A61P 3/10 20060101ALN20130719BHJP A61P 3/04 20060101ALN20130719BHJP A61P 29/00 20060101ALN20130719BHJP JPA61K8/97A61K35/78 XA61K35/78 CA61P43/00 107A61P17/00A61Q19/00A61P43/00 105C12N5/00 202HA61P9/00A61P3/00A61P25/00A61P3/10A61P3/04A61P29/00 4 OL 13 4B065 4C083 4C088 4B065AA93X 4B065AC20 4B065BB34 4B065BD43 4B065CA50 4C083AA032 4C083AA112 4C083AA121 4C083AA122 4C083AB032 4C083AB222 4C083AB282 4C083AB352 4C083AB442 4C083AC012 4C083AC022 4C083AC072 4C083AC102 4C083AC122 4C083AC132 4C083AC182 4C083AC302 4C083AC332 4C083AC342 4C083AC392 4C083AC402 4C083AC422 4C083AC432 4C083AC482 4C083AC532 4C083AC542 4C083AC582 4C083AD022 4C083AD042 4C083AD072 4C083AD092 4C083AD152 4C083AD172 4C083AD272 4C083AD282 4C083AD332 4C083AD352 4C083AD412 4C083AD432 4C083AD532 4C083CC01 4C083CC02 4C083CC04 4C083CC05 4C083DD12 4C083DD23 4C083DD27 4C083DD31 4C083DD41 4C083EE12 4C088AB12 4C088AC01 4C088BA18 4C088NA14 4C088ZA02 4C088ZA36 4C088ZA70 4C088ZA89 4C088ZB11 4C088ZB22 4C088ZC21 4C088ZC35 本発明は、幹細胞を有効に賦活し得る剤に関する。 幹細胞は、複数の細胞に分化した細胞を産生する多分化能と、細胞分裂によりその細胞と同じ細胞を産生する自己複製能という2つの性質を併せ持つ細胞である。受精卵の初期の発生段階である胚に由来する幹細胞は胚性幹細胞(ES細胞)と称される。ヒトES細胞は再生医療に使用することが期待されているものの、受精卵を利用するという倫理上の問題から、新たなヒトES細胞の作成は認められていない。 近年、ES細胞類似の性質を持つ細胞として、人工多能性幹細胞(iPS細胞)にも注目が集まっている。しかしながら、iPS細胞の作成には細胞の癌化、作成効率等の観点で多くの問題がある。一方、特定の組織に分化する能力を有する体性幹細胞は、患者自身の身体の組織、例えば骨髄から得られるため、胚性幹細胞のような倫理上の問題はない。 皮膚では表皮基底層に表皮幹細胞(非特許文献1)が存在することが良く知られており、また毛包のバルジ領域と呼ばれる領域には、毛包上皮幹細胞(非特許文献2)や皮膚色素幹細胞(非特許文献3)が存在することが報告されている。一方、真皮にはコラーゲンを主体とする繊維成分の中に、細長い紡錘形をした線維芽細胞が存在しているが、真皮の線維芽細胞に幹細胞が存在するかは明らかにされていない。また、真皮には脂肪、グリア、軟骨、筋肉など複数の細胞系列に分化する皮膚由来前駆細胞(skin-derived precursors:SKP)が存在すること(非特許文献4)は知られているものの、真皮線維芽細胞とSKPの関連は明らかではない。 線維芽細胞の前駆細胞として骨髄から分離された間葉系幹細胞(非特許文献5)は、間葉系に属するさまざまな細胞(骨細胞、筋細胞、軟骨細胞、腱細胞、脂肪細胞など)に分化することから、骨や血管、筋の再構築など再生医療への応用が期待されている。最近では、間葉系組織を持つ組織の多くに存在する可能性が明らかになってきており、脂肪や臍帯血、胎盤等からも間葉系幹細胞が単離されている(非特許文献6〜8)。 近年の知見によれば、間葉系幹細胞は、血管周皮細胞(ぺリサイト)として全身の血管に存在し、血管安定化や組織恒常性維持に働くことが知られている(非特許文献9及び10)。 また、組織損傷部位又はその近傍において血管が破壊されると、血管周皮細胞(ぺリサイト)である間葉系幹細胞は血管から離れて増殖し、失われた細胞を供給するとともに(非特許文献11〜14)、生物活性を持つ因子を放出して組織を保護し(非特許文献15〜19)、損傷した組織の修復・再生に作用する。これらの分泌因子は、血管形成や抗アポトーシスの作用のほか、免疫を強力に抑制する作用も有し(非特許文献21及び22)、T細胞やB細胞を介した損傷組織の破壊を抑える(非特許文献9及び22)ことも報告されている。 更に、間葉系幹細胞は、抗線維化の作用(非特許文献23及び24)や、多発性硬化症や糖尿病に対する効果(非特許文献9)も示すことが知られている。 一方で、慢性炎症が、各種疾患(例えばメタボリックシンドローム、動脈硬化性疾患、癌、神経変性疾患、自己免疫疾患等)に共通する基盤病態であることが明らかになりつつある(非特許文献25)。例えば、慢性炎症によって内皮細胞機能障害やインスリン抵抗性が誘導され、糖尿病や動脈硬化性疾患等の種々の疾患の原因となることが報告されている(非特許文献26)。更には、肥満の脂肪組織そのものが、炎症性へと変化をきたすことも明らかになってきた(非特許文献27〜29)。慢性炎症は血管周囲に生じるため、慢性炎症においても、血管周皮細胞(ぺリサイト)である間葉系幹細胞と血管との相互作用の破綻が生じていると考えられる。 以上の知見から、間葉系幹細胞の産生促進や安定化を図ることができれば、血管安定化、組織恒常性維持、損傷組織の修復・再生、抗線維化、多発性硬化症や糖尿病等の各種疾患の予防・治療、メタボリックシンドローム等の慢性炎症に基づく各種状態の予防・改善等、各種の用途に極めて有効であると考えられる。 間葉系幹細胞は骨髄、臍帯血、胎盤に加えて脂肪にも存在することが明らかになっている。また、本発明者等は、真皮にも皮下脂肪と同様に間葉系幹細胞に存在することを明らかにした(特許文献1:国際公開第2011/034106号)。上述の間葉系幹細胞の作用を考慮すれば、真皮や皮下脂肪における間葉系幹細胞の賦活化を図ることにより、皮膚の状態改善や再生等にも有効であると考えられる。国際公開第2011/034106号Watt FM, J Dermatol Sci, 28:173-180, 2002Cotsarelis G et al., Cell, 57:201-209, 1989Nishimura EK et al., Nature, 416:854-860, 2002Wong CE al., J Cell Biol, 175:1005-1015, 2006Pittenger MF et al., Science, 284:143-147, 1999Park KW et al., Cell Metab, 8:454-457, 2008Flynn A et al., Cytotherapy, 9:717-726, 2007Igura K et al., Cytotherapy, 6:543-553, 2004da Silva Meirelles L et al., Stem Cells, 2008 Sep;26(9):2287-2299da Silva Meirelles L et al., J Cell Sci, 2006;119:2204-2213Dai WD et al., Circulation, 2005;112:214-223Fazel S et al., J Thorac Cardiovasc Surg, 2005;130:1310-1318Noiseux N et al., Mol Ther, 2006;14:840-850Zhao LR et al., Exp Neurol, 2002;174:11-20Gnecchi M et al., Nat Med, 2005; 11:367-368Kinnaird T et al., Circ Res, 2004;94:678-685Kinnaird T et al., Circulation, 2004;109:1543-1549Tang YL et al., Ann Thorac Surg, 2005;80:229-237Zhang M et al., FASEB J, 2007;21:3197-3207Le Blanc K et al., J Intern Med, 2007;262:509-525Uccelli A et al., Trends Immunol, 2007;28:219-226Caplan AI et al., J Cell Biochem, 2006;98:1076-1084Fang BJ et al., Transplantation, 2004;78:83-88Ortiz LA et al., Proc Natl Acad Sci USA, 2003;100:8407-841小川佳宏, 実験医学, 28:1680-1687, 2010Medzhitov R, Nature, 454:428-35, 2008Hotamisligil GS, Nature, 444(7121):860-7, 2006Wellen KE et al., J Clin Invest, 115(5):1111-9, 2005菅波孝祥他, 実験医学, 28:1717-1723, 2010 本発明は、上記背景に鑑みてなされたもので、その課題は、幹細胞を有効に賦活化し得る剤を提供することにある。 本発明者らは、多種多様な素材について検討を重ね、幹細胞を有効に賦活化し得る剤をスクリーニングした結果、ニアウリオイルが、各々顕著な幹細胞賦活化作用を示すことを見出し、本発明を為すに至った。 すなわち、本発明の要旨は、以下を包含する。[1]ニアウリオイルを有効成分として含有する幹細胞賦活化剤。[2]幹細胞が間葉系幹細胞である[1]の幹細胞賦活化剤。[3]外用剤として使用される[1]又は[2]の幹細胞賦活化剤。[4][1]〜[3]の幹細胞賦活化剤を含有する化粧品。 本発明によれば、幹細胞を有効に賦活し得る剤が提供される。図1(a)は、植物由来オイルの培地への添加が脂肪由来幹細胞の呼吸活性に与える影響を示すグラフであり、図1(b)は、同添加が線維芽細胞の呼吸活性に与える影響を示すグラフである。[ニアウリオイル] 「ニアウリ」は、フトモモ科の常緑高木であるMelaleuca viridifloraを指す。なお、「ニアウリ」は「ニアオウリ」と呼ばれる場合もあるが、本願明細書における「ニアウリ」には「ニアオウリ」も含まれるものとする。ニアウリオイルは、ニアウリの全草又は部分から抽出されるオイルである。 ニアウリオイルは、これまでバーシカン発現亢進・育毛作用(特開2005−200383等)、エストロゲン様作用(特開2006−241044等)等が提案された例があるが、ニアウリオイルが細胞の賦活化作用、特に幹細胞の賦活化作用を有することはこれまで全く知られておらず、かかる作用は発明者等によって今回初めて見出された。[オイルの抽出法] ニアウリオイル(以降「植物由来オイル」又は単に「オイル」と総称する場合がある)は、制限されるものではないが、例えば以下の手法で調製することができる。 植物由来オイルの材料は、ニアウリを含む植物である。植物の全体でも部分でもよい。植物の部分の場合、花、花穂、果穂、果皮、果実、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根茎、根皮、根、種子等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらの材料はそのまま抽出に供してもよいが、圧搾、乾燥、粉砕等の処理を加えてから抽出してもよい。 上記の材料から溶媒を用いて植物由来オイルを抽出する。溶媒としては、例えば水、有機溶媒等が挙げられる。有機溶媒としては、例えば低級(例えば炭素数1〜6)アルコール、ポリオール系溶媒等が挙げられる。低級アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられる。ポリオール系溶媒としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。 上記の材料からオイル(油脂成分)を抽出する手法は制限されないが、代表的な手法としては、溶媒抽出と、水蒸気蒸留とが挙げられる。溶媒抽出では溶媒(中でも低級アルコール、好ましくはエタノール)に溶解し得る種々の油脂成分が抽出されるが、水蒸気蒸留では主に揮発性の油脂成分が抽出される。本発明では何れの手法も使用されるが、水蒸気蒸留により抽出される植物由来オイルの方が好ましい。 水蒸気蒸留は、水を溶媒として用いた蒸留であるが、蒸留の妨げとならない範囲で、上記の他の溶媒を適宜混合して用いてもよい。材料をそのまま蒸留してもよいが、上述の直接抽出や濾過等の処理を行った後、蒸留に供してもよい。なお、常法による濾過、濃縮、蒸留等の処理を更に加えてもよい。[幹細胞賦活化剤] 本発明の幹細胞賦活化剤(以降「本発明の剤」という場合がある。)は、ニアウリオイル(植物由来オイル)を有効成分として含有する。2以上の有効成分を含有する場合、その組み合わせ及び比率は任意である。 本発明の幹細胞賦活化剤により賦活化される幹細胞は限定されないが、間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell:MSC)が好ましい。間葉系幹細胞としては、脂肪由来幹細胞(Adipose-derived stem cell:ASC又はADSC)、真皮由来幹細胞等が挙げられる。上述のように、間葉系幹細胞の賦活化は、血管の安定化、組織恒常性の維持、損傷組織の修復・再生(特に真皮の再生)、抗線維化、多発性硬化症や糖尿病等の各種疾患の予防・治療、メタボリックシンドローム等の慢性炎症に基づく各種状態の予防・改善等の用途に極めて有効であることが知られている。よって、本発明の剤は、これらの用途に極めて有効に用いることが可能である。 本発明でいう幹細胞の「賦活化」とは、幹細胞を増殖促進及び/又は活性化する作用をいう。幹細胞の賦活化作用を検証する手法は制限されないが、例えば、後述の実施例で採用したAlamar blue(登録商標)(Invitrogen)等により幹細胞の呼吸活性を測定する手法、MTT(3-(4,5-di-methylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyltetrazolium bromide, yellow tetrazole)試験等が挙げられる。 本発明の剤は、有効成分である上述の植物由来オイルのみからなるものでもよいが、上述の植物由来オイルを、1種又は2種以上の他の成分、例えば賦形剤、担体及び/又は希釈剤等と組み合わせた組成物とすることもできる。組成物の組成や形態は任意であり、有効成分や用途等の条件に応じて適切に選択すればよい。当該組成物は、その剤形に応じ、賦形剤、担体及び/又は希釈剤等及び他の成分と適宜組み合わせた処方で、常法を用いて製造することができる。 本発明の剤の用途は制限されないが、例えば、皮膚外用剤の形態で、経皮投与用の化粧品、医薬部外品又は医薬品等として、ヒト又は動物に適用することができる。皮膚外用剤の剤型は、皮膚に適用できる形態であれば任意であるが、液剤(溶液系、可溶化系、懸濁系・乳化系、粉末分散系、水−油二層系、水−油−粉末三層系等)、軟膏剤、貼付剤、化粧水、ゲル、エアゾール等が挙げられる。 本発明の剤を皮膚外用剤とする場合、本発明の剤をそのまま、或いは必要に応じて用途に応じたその他の成分と混合すればよい。その他の成分としては、医薬製剤や医薬部外品に通常用いられる成分、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、矯味剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解補助剤、保存剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線防御剤、色材、水性成分、各種皮膚栄養剤、金属イオン封鎖剤、油分、アルコール類、糖類、粉末成分、水等が挙げられる。これらの成分は、いずれかを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び組成で使用してもよい。 本発明の剤は、化粧品等の美容用途に用いることが好ましい。本発明の剤を皮膚外用剤として化粧品に用いる場合、その形態は任意であるが、例えば化粧水、乳液、ファンデーション、口紅、リップクリーム、クレンジングクリーム、マッサージクリーム、パック、ハンドクリーム、ハンドパウダー、ボディシャンプー、ボディローション、ボディクリーム、浴用化粧品等の形態が挙げられる。 本発明の剤を皮膚外用剤として化粧品、医薬製剤、医薬部外品等に用いる場合、本発明の剤の配合量は、皮膚外用剤の種類、目的、形態、利用方法などに応じて、適宜決めることができる。例えば、皮膚外用剤全体に対し、有効成分たる植物由来オイルが0.00001〜50重量%となるようにすることが好ましく、より好ましくは0.0001〜5重量%である。 また、本発明の剤は、各種の飲食品、飼料(ペットフード等)に配合してヒト及び動物に摂取させてもよい。 具体的に、本発明のPDGF−BB産生亢進剤を飲食品や飼料等に配合する場合、植物体又はその抽出物の配合量(乾燥質量)は、それらの種類、目的、形態、利用方法等に応じて適宜決めることができる。例えば、成人一日当たり有効成分たる植物由来オイルが0.00001〜50重量%、中でも0.001〜10重量%になるように配合することが好ましい。特に、特定保健用飲食品等として利用する場合には、本発明の有効成分による所定の効果が十分発揮されるように、成人一日当たり有効成分たる植物由来オイルが0.001〜10重量%となるように配合することが好ましい。 飲食品や飼料は任意の形態とすることが可能であり、例えば、顆粒状、粒状、ペースト状、ゲル状、固形状、又は、液体状に成形することができる。これらの形態には、飲食品等に含有することが認められている公知の各種物質、例えば、結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、矯味剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解補助剤、保存剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤やpH調製剤等の賦形剤を適宜含有させることができる。 本発明の剤を各種用途に用いる場合の配合例を以下に示す。但し、本発明は以下の配合例によって何ら限定されるものではない。(配合処方例1:化粧水) (配合成分) (質量%) 水 残余 エタノール 10 ブチレングリコール 7 ジプロピレングリコール 5 グリセリン 2 ポリエチレングリコール(PEG−6) 0.5 ポリエチレングリコール(PEG−32) 0.5 ヒドロキシエチルセルロース 0.1 幹細胞賦活化剤(ニアウリオイル) 0.2 アルギニン 0.01 イザヨイバラエキス 0.2 加水分解酵母エキス 0.02 ヒアルロン酸ナトリウム 0.01 イチヤクソウエキス 0.2 水溶性コラーゲン 0.2 アセンヤクエキス 0.1 ポリプロピレングリコール−13デシルテトラデセス−24 0.5 クエン酸ナトリウム 0.05 メタリン酸ナトリウム 0.05 クエン酸 0.05 防腐剤 適量 香料 適量(配合処方例2:美容液) (配合成分) (質量%)(A相) 水 残余 グリセリン 6 エタノール 5 ジプロピレングリコール 5 ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール−14 /7ジメチルエーテル 3 ポリエチレングリコール−400 1 ポリアクリル酸ナトリウム 0.1 キサンタンガム 0.05 幹細胞賦活化剤(ニアウリオイル) 0.3 アルギニン 0.01 ケイヒエキス 0.1 真珠蛋白エキス 0.2 ヒアルロン酸ナトリウム 0.01 水溶性コラーゲン 0.2 アセンヤクエキス 0.1 ノバラエキス 0.2 カルボキシビニルポリマー 0.3 ブチレングリコール 3 水酸化カリウム 0.15 (アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30)コポリマー 0.1 メタリン酸ナトリウム 0.03(B相) シクロメチコン 2.5 ジメチコン 2 ポリエチレングリコール−60水添ヒマシ油 0.5 防腐剤 適量 香料 適量(製法) それぞれ均一に溶解したA相及びB相を室温にて混合し、ホモミキサー処理を行った。(配合処方例3:乳液) (配合成分) (質量%) (A相) 水 残余 ブチレングリコール 8 エタノール 5 ジプロピレングリコール 5 グリセリン 5 ジメチコン 2 2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AMPD) 0.08 カルボキシビニルポリマー 0.15 EDTA−3Na 0.05 キサンタンガム 0.1 幹細胞賦活化剤(ニアウリオイル) 0.1 アルギニン 0.01 ユズ種子エキス 0.2 加水分解酵母エキス 0.2 ヒアルロン酸ナトリウム 0.05 イチヤクソウエキス 0.3 水溶性コラーゲン 0.2 (B相) ベヘニルアルコール 0.4 テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル 5 ポリエチレングリコール−60水添ヒマシ油 0.5 水添ポリデセン 2 水添パーム油 0.5 バチルアルコール 0.4 パーム核油 0.4 パーム油 0.1 防腐剤 適量 香料 適量 (製法) A相(油相部)とB相(水相部)をそれぞれ70℃に加熱し、完全溶解した。A相をB相に加えてよく撹拌した後、乳化機で乳化した。得られた乳化物を、熱交換器を用いて冷却した。(配合処方例4:乳液) (配合成分) (質量%) (A相) 水 残余 グリセリン 8 エタノール 5 ジプロピレングリコール 4 水添ポリデセン 4 ポリエチレングリコール−20 3 カルボキシビニルポリマー 0.09 キサンタンガム 0.05 メタリン酸ナトリウム 0.02 2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AMPD) 0.03 幹細胞賦活化剤(ニアウリオイル) 0.2 アルギニン 0.01 セイヨウバラエキス 0.3 オクラエキス 0.2 ヒアルロン酸ナトリウム 0.01 水溶性コラーゲン 0.5 (B相) テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル 3 エチルヘキサン酸セチル 2 水添パーム油 2 ワセリン 1.5 ジメチコン 1 ステアリン酸ポリエチレングリコール−5グリセリル 1 イソステアリン酸ポリエチレングリコール−60グリセリル 1 ベヘニルアルコール 0.5 ジイソステアリン酸グリセリル 0.4 バチルアルコール 0.2 防腐剤 適量 香料 適量 (製法) A相(油相部)とB相(水相部)をそれぞれ70℃に加熱し、完全溶解した。A相をB相に加えてよく撹拌した後、乳化機で乳化した。得られた乳化物を熱交換器を用いて冷却した。(配合処方例5:軟膏) (配合成分) (質量%) 幹細胞賦活化剤(ニアウリオイル) 2.0 ステアリルアルコール 18.0 モクロウ 20.0 ポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸エステル 0.25 グリセリンモノステアリン酸エステル 0.3 ワセリン 40.0 精製水 残余 (製造方法) 精製水に幹細胞賦活化剤(ニアウリオイル)を加えて溶解し、70℃に保つ(水相)。残りの成分を70℃にて混合溶解する(油相)。水相に油相を加え、ホモミキサーで均一に乳化後、冷却して軟膏を得た。(配合処方例6:貼付剤) (配合成分) (質量%) 幹細胞賦活化剤(ニアウリオイル) 1.0 エステル油(「パナセート875R」) 2.5 スクワラン 1.0 dl−カンフル 0.07 ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油 1.2 濃グリセリン 5.0 ゼラチン 1.2 ポリビニルピロリドン 0.6 メチルパラベン 適量 d−ソルビトール液 35.0 水酸化アルミニウム 0.2 亜硫酸ナトリウム 適量 エデト酸ナトリウム 適量 クエン酸 適量 カルボキシビニルポリマー 0.22 ポリアクリル酸ナトリウム 0.24 カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.8 カオリン 1.0 精製水 残量(配合処方例7:ドリンク剤) (配合成分) (mg/50mL中) コナギ熱水抽出物(乾燥質量) 10 コラーゲンペプチド 5.0 ハトムギ抽出物(乾燥質量) 2.0 還元麦芽糖水飴 28 エリスリトール 8.0 クエン酸 2.0 幹細胞賦活化剤(ニアウリオイル) 1.0 N−アセチルグルコサミン 1.0 ヒアルロン酸 0.5 ビタミンE 0.3 α−リポ酸 0.2 コエンザイムQ10 1.2 L−プロリン 2.0 セラミド(コンニャク抽出物) 0.4 水 残量 次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。[材料] ニアウリオイルとしては、ニアウリ(Melaleuca viridiflora)の水蒸気蒸留による抽出物(精油)であるBiolandes社製Niaouli Melaleuca Oilを用いた。 ニアウリオイルをエタノールに溶解した上で、得られたエタノール溶液をMesenPRO(+)培地に対して添加した培地(オイル添加培地)を調製した。培地中のニアウリオイル濃度は、培地中0.005重量%となるように調製した。培地に対するエタノール濃度は0.1重量%であった。 また、対照として、オイルを添加せず、エタノールのみを培地中0.1重量%の濃度で添加した培地(オイル未添加培地)を調製した。[細胞培養] 24ウェルのプレートに、ヒト脂肪由来幹細胞(間葉系幹細胞培養用MesenPRO(+)培地(Invitrogen)にて継代5代目)を、1ウェルあたり約2×104細胞となるようにMesenPRO(+)培地にて播種した。24時間後、各ウェルの培地を、上記の各オイル添加培地又はオイル未添加培地と交換し、更に24時間培養した。 また、ヒト脂肪由来幹細胞の代わりにヒト線維芽細胞を用いて、同様に培養を行った。[呼吸活性測定] 上記培養後の細胞が賦活化されたか否かの指標として、細胞の呼吸活性を、Alamar blue(登録商標)(Invitrogen)を用いて測定した。Alamar blue(登録商標)は、細胞の呼吸活性の指標となる色素であり、酸化型では青色(非蛍光)であるが、電子伝達系によって還元されると赤色(蛍光)に変化する。よって、細胞培養培地に加えると、細胞の呼吸活性の高い増殖時に還元型、細胞の呼吸活性の低い増殖阻害時に酸化型になる。よって、赤色(蛍光)を測定することにより、細胞の呼吸活性を調べることができる。 呼吸活性の測定は、Alamar blueのマニュアルに従って行った。具体的には、オイル添加培地又はオイル未添加培地の存在下で細胞を24時間培養した後に、各ウェルの培地を、Alamar blue色素含有 MesenPRO(+)培地と交換し、3時間インキュベートした後、蛍光強度(励起波長545nm、検出波長590nm)を測定した。各試験は3重で実施し(n=3)、各オイル存在下で得られた呼吸活性の測定値について、対照(オイル未添加)に対してスチューデントt検定を行い、その有意性を検証した。[結果] 結果を図1のグラフに示す。図1は、植物由来オイルの培地への添加が脂肪由来幹細胞の呼吸活性に与える影響を示すグラフである。 図1から明らかなとおり、ニアウリオイルは培地中0.005重量%の濃度において、対照(オイル未添加培地)に比べて、脂肪由来幹細胞の呼吸活性に対する有意な賦活化作用が見出された。 本発明は、幹細胞の賦活化が求められる医薬品、化粧品、食品等の各種分野において、顕著な利用可能性を有する。 ニアウリオイルを有効成分として含有する幹細胞賦活化剤。 幹細胞が間葉系幹細胞である請求項1記載の幹細胞賦活化剤。 外用剤として使用される請求項1又は2記載の幹細胞賦活化剤。 請求項1〜3の何れか一項に記載の幹細胞賦活化剤を含有する化粧品。 【課題】幹細胞を有効に賦活化し得る新規な剤を提供する。【解決手段】ニアウリオイルを有効成分として含んでなる幹細胞賦活化剤。【選択図】なし