生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_哺乳類が分泌する抗菌ペプチド分泌促進剤
出願番号:2012012514
年次:2013
IPC分類:A61K 31/353,A61K 31/375,A61K 31/352,A61K 31/7048,A61P 43/00,A61P 31/04,A61P 1/02,A61K 8/49,A61K 8/60,A61K 8/67,A61Q 11/00,A61P 27/02,A23L 1/30,A23L 1/302,A61P 17/00


特許情報キャッシュ

小野 光則 JP 2013151442 公開特許公報(A) 20130808 2012012514 20120124 哺乳類が分泌する抗菌ペプチド分泌促進剤 小野 光則 502216912 庄司 隆 100088904 資延 由利子 100124453 大杉 卓也 100135208 曽我 亜紀 100152319 小野 光則 A61K 31/353 20060101AFI20130712BHJP A61K 31/375 20060101ALI20130712BHJP A61K 31/352 20060101ALI20130712BHJP A61K 31/7048 20060101ALI20130712BHJP A61P 43/00 20060101ALI20130712BHJP A61P 31/04 20060101ALI20130712BHJP A61P 1/02 20060101ALI20130712BHJP A61K 8/49 20060101ALI20130712BHJP A61K 8/60 20060101ALI20130712BHJP A61K 8/67 20060101ALI20130712BHJP A61Q 11/00 20060101ALI20130712BHJP A61P 27/02 20060101ALI20130712BHJP A23L 1/30 20060101ALI20130712BHJP A23L 1/302 20060101ALI20130712BHJP A61P 17/00 20060101ALI20130712BHJP JPA61K31/353A61K31/375A61K31/352A61K31/7048A61P43/00A61P31/04A61P1/02A61P43/00 121A61K8/49A61K8/60A61K8/67A61Q11/00A61P27/02A23L1/30 ZA23L1/302A61P17/00 16 OL 11 4B018 4C083 4C086 4B018MD08 4B018MD25 4B018MD42 4B018ME09 4B018MF02 4C083AC102 4C083AC841 4C083AC842 4C083AD39 4C083AD391 4C083AD641 4C083AD642 4C083CC41 4C083EE33 4C086AA01 4C086AA02 4C086BA08 4C086BA18 4C086EA11 4C086MA02 4C086MA04 4C086MA52 4C086MA63 4C086NA05 4C086NA14 4C086ZA33 4C086ZA67 4C086ZA90 4C086ZB35 4C086ZC75 本発明は、哺乳類が分泌する抗菌ペプチドの分泌促進剤に関するものである。 β-ディフェンシンは幅広い抗菌活性を有するカチオン性のペプチドである。中でもHBD-1とHBD-2は1995年と1997年に発見されたものであり、ヒトのβ-ディフェンシンの代表的な例である。最近の研究によると、唾液腺、舌、歯茎や頬などの粘膜細胞内でのHBD-1 とHBD-2のmRNAの発現が確認され、さらに唾液の中にβ-ディフェンシン類が確認されている。HBD-1は常に一定量分泌されているconstitutiveなペプチドであり、HBD-2はIL1βやリポポリサッカライドなどの刺激により誘起されるものである。(たとえばMathews et al., Infection and Immunity, 1999, 67:2740-2745)。このように、ヒトβ-ディフェンシンは口腔、粘膜表面の微生物最近からの感染防止予防に重要な役割を担っている。ヒトの18-kd(kilodalton)のカチオン性抗菌タンパク(CAP-18) もまた歯茎の上皮細胞から分泌されるもので、これもまたβ-ディフェンシンと同じように微生物細菌からの感染防止予防に重要な役割を担っている(たとえばLehreretal., Curr Opin Hematol. 2002Jan;9(1):18-22)。 また最近、これらの抗菌ペプチドが皮膚の免疫力に密接に関連する事がわかってきており、たとえば、皮膚の自己免疫疾患といわれている、アトピー性皮膚炎や乾癬やドライアイなどの疾患の治癒にこれらの抗菌ペプチドが関係している事が報告されている。 最近、ヒトのβ-ディフェンシンの分泌促進剤として、フマル酸などの有機酸をその有効成分とする発明が開示されている(特許文献1:国際公開パンフレットWO2005/027893号)。また2型のヒトβ-ディフェンシンを直接或いは間接的に分泌促進する医薬組成物が開示されている。この発明の中で、植物由来有効成分としてキノア抽出物、ボルドー抽出物やジャスモン酸などが開示されている。(特許文献2:特開2008-19264)。さらに、β-ディフェンシンの発現量を飛躍的に高める素材としてビフイズス菌や乳酸菌が開示されている(特許文献3:国際公開パンフレットWO2007/020884号)。国際公開パンフレットWO2005/027893号特開2008-19264号公報国際公開パンフレットWO2007/020884号Infection and Immunity, 1999, 67:2740-2745Curr Opin Hematol. 2002Jan;9(1):18-22 解決しようとする課題は、抗菌ペプチドの分泌を促進する新規な薬剤の提供である。 本発明は口腔内の表皮細胞から分泌される抗菌ペプチド、β-ディフェンシン(e.g., HBD-1, HDB-2, and HBD-3)やCAP-18の分泌を天然のエピガロカテキンガレートが促進するという新規な知見をもとに、さらにいくつかの天然物質をエピガロカテキンガレートと組み合わせると、その促進効果が飛躍的に増大し、いわゆる予期しない相乗効果がえられるという知見に基づいている。この発明はこのコンビネーションとそのキャリアを含む皮膚や口腔清浄剤としての応用を提供する。たとえばそのキャリアとしては、皮膚や口腔のターゲット部位にデリバリーの適したキャリアとして(例えばコロイドシリカ、水、アルコール又は含水アルコール)などがある。エピガロカテキンガレートは 0.05重量%〜50重量%、0.25重量%〜20重量%又は0.5重量%〜15重量%の含量で用いることができる。エピガロカテキンガレートと混合することで相乗効果を示す物質は、ビタミンCとケルセチンである。これらの構成は、経口剤以外にも歯磨き、うがい剤、ガム、ジェル、練りものなどの形態で皮膚口腔清浄に用いられる。また菌により感染で起こる皮膚口腔の疾患の治療にも用いられる。クリームやゲルやペーストは皮膚口腔のターゲット部位へ塗るのにとくに適している。 本発明のもうひとつの側面は、この発明がβ-ディフェンシンやCAP-18の分泌促進させる方法を提供することである。この方法はβ-ディフェンシンやCAP-18を精製分泌できる細胞表面にエピガロカテキンガレート或いはそのコンビを接触させることで可能になる。 更なる側面として、この発明は細菌感染によって引き起こされる、歯周病,歯茎炎、虫歯、胃炎,カンジダ病の治療法を提供する。この方法は治療に効果的な濃度のエピガロカテキンガレートやそのコンビを含む製剤を疾患部位にデリバリーする方法も含まれる。 本発明は以下からなる;1.エピガロカテキンガレートに対して、ビタミンC 、ケルセチン及びケルセチンの配糖体からなる群から選ばれる少なくとも1種が有効成分として混合されてなる、哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。2.前項1記載のエピガロカテキンガレートに対して、ビタミンC 、ケルセチン及びケルセチンの配糖体からなる群から選ばれる少なくとも1種が有効成分として混合されてなる、哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤において、当該成分がそれぞれ0.25〜80重量%からなる前項1記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤3.前項1記載のエピガロカテキンガレートに対して、ビタミンC 、ケルセチン及びケルセチンの配糖体からなる群から選ばれる少なくとも1種が有効成分として混合されてなる、哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤において、エピガロカテキンガレートと混合されるビタミンC若しくはケルセチンの含有比がそれぞれ1.0:0.1〜0.1:1.0である前項1記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。 4.前項1記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤において、エピガロカテキンガレート単独、又はエピガロカテキンガレートと、ビタミンC、ケルセチン及びケルセチンの配糖体からなる群から選ばれる少なくとも1種がそれぞれ0.5〜50重量%からなる前項1記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。5.前項1記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤において、有効成分がエピガロカテキンガレートとビタミンCとケルセチンの組み合わせである前項1記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。6.前項1記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤において、エピガロカテキンガレートとビタミンCとケルセチンの重量比が1:2:2である哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。7.分泌される抗菌ペプチドが、β-ディフェンシン2とCAP-18である前項1〜6のいずれか一に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。8.天然植物由来の抗菌成分若しくは天然植物由来の口腔洗浄成分との組み合わせで用いる前項1〜7のいずれか一に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。9.天然植物由来抗菌成分がホップ由来である前項8に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。10.皮膚または粘膜部で使用されるものである前項1〜9のいずれか一に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。11.口唇部または口腔内で使用されるものである前項1〜9のいずれか一に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。12.前項1〜9のいずれか一に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤を含有する哺乳類抗菌ペプチド分泌促進用の皮膚疾患治療用外用組成物。13.前項1〜9のいずれか一に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤を含有する哺乳類抗菌ペプチド分泌促進用の化粧品組成物。14.前項1〜9のいずれか一に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤を含有するヒト抗菌ペプチド分泌促進用の粘膜疾患治療用内用組成物。15.前項1〜9に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤を含有する哺乳類抗菌ペプチド分泌促進用の眼疾治療用外用組成物。16.前項1〜9のいずれか一に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤を含有する哺乳類抗菌ペプチド分泌促進用の食品。 本発明はエピガロカテキンガレート単独、又はエピガロカテキンガレートとある特定の物質とを組み合わせによる皮膚や口腔や鼻、眼などの粘膜の清浄剤に関連している。エピガロカテキンガレートは緑茶中のフラバン骨格を有する6種の代表的なカテキンの一種ではあるが、構造は類似しているものの、すべてのカテキンにこの効果があるのではない。驚くべきことに、このカテキン中ではただ唯一、エピガロカテキンガレートが本発明のヒト抗菌ペプチド、β-ディフェンシン(e.g.,HBD-1, HDB-2, and HBD-3)やCAP-18の分泌促進を促進する。さらに、エピガロカテキンガレートの促進作用をさらに高めるために、様々な食品添加物とのコンビネーションを試験したところ、ビタミンC、ケルセチン、ケルセチン配糖体との少なくとも1の混合において相乗効果を示す事が明らかになった。 エピガロカテキンガレート、ビタミンC、ケルセチンは、公知化合物であり、広く市販されており、それらを利用できる。その純度は、一般的に医療分野、食用分野、あるいは化粧分野で、許容される程度であれば十分であり、一般的には純度70%以上、好適には80%以上、より好適には90%以上であれば十分である。本発明において、ケルセチン配糖体という用語は ケルセチン骨格を有する糖誘導体を意味している。具体的には、ルチン、イソケルセチン、ケルセチンの糖誘導体を意味している、quercetin-3-O-glucoside,quercetin-5-O-glucoside, quercetin-7-O-glucoside, quercetin-9-O-glucoside,quercetin-3-O-rutinoside, quercetin-3-O-[a-rhamnosyl-(1®2)-a-rhamnosyl-(1®6)]-b-glucoside,quercetin-3-O-galactoside, quercetin-7-O-galactoside, quercetin-3-O-rhamnoside,and quercetin-7-O-galactoside.などである。 本発明のエピガロカテキンガレート単独、又はエピガロカテキンガレートと、ビタミンC、ケルセチン及びケルセチンの配糖体からなる群から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤において、当該成分の配合量は、それぞれ0.25〜80重量%であり、あるいは0.5〜50重量%であり、好適な配合量は、哺乳類抗菌ペプチド分泌促進効果によって容易に変化可能である。 本発明のエピガロカテキンガレートと、ビタミンC、ケルセチン及びケルセチンの配糖体からなる群から選らばれる少なくとも1種を有効成分として含有する哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤において、当該成分の配合比は、1.0:0.1〜0.1:1.0であり、好適な配合比は、哺乳類抗菌ペプチド分泌促進効果によって容易に変化可能である。 本発明のエピガロカテキンガレートと、ビタミンC、ケルセチン及びケルセチンの配糖体からなる群から選らばれる少なくとも1種を有効成分として含有する哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤において、当該成分の配合量は、それぞれ0.25〜80重量%であり、あるいは0.5〜50重量%であり、エピガロカテキンガレートと、ビタミンCとケルセチン若しくはケルセチンの配糖体の組み合わせである。そして、その配合重量比は、例えば1:2:2である。この配合比は、所望により、±0.5の範囲で変更可能である。エピガロカテキンガレート単独よりも、ビタミンC、ケルセチン及びケルセチンの配糖体からなる群から選らばれる少なくとも1種との配合が、さらに、ビタミンCとケルセチン若しくはケルセチンの配糖体との配合が、哺乳類抗菌ペプチド分泌促進効果が、有意に上昇する。 本発明の製剤は既知の方法で製造できる。たとえばエピガロカテキンガレート10%とビタミンC 20%、ケルセチン10%を含む50 gの混合物を170 mLのエタノールに溶かし780 mLの蒸留水で希釈することでうがい剤を作製する事ができる。使用においては患者はそのうがい液の約14 mLでうがいをする。 別の応用としては、エピガロカテキンガレートと、ビタミンC、ケルセチン及びケルセチンの配糖体からなる群から選らばれる少なくとも1種と、歯磨き用の所定の物質とを組み合わせて、歯磨きの成分としてもちいることができる。 また、それに限らず、これらの組み合わせは様々な皮膚疾患予防治療、粘膜、口腔清浄や口臭予防製品に応用できる。製剤化は、自体公知の外用剤の処方により、エピガロカテキンガレートと、ビタミンC、ケルセチン及びケルセチンの配糖体からなる群から選らばれる少なくとも1種を、外用剤中に配合し調製できる。また、これらの組み合わせには他の抗菌剤(たとえば4級塩やトリクロサン)を混ぜることも可能である。またそれらにはスペアミントオイル、ペッパーミントオイル、ササフラスオイル、クローブオイル、ウインターグリーンオイルなどの芳香成分を入れることもできる。また必要に応じて、アスパルテーム、ステビアン、サッカリン、ナトリウムシクラメート、デキストロース、キシリトール、レブロースなどの甘味料を混ぜても良い。さらに、効果を増強させるために天然の植物由来の抗菌素材と組み合わせをすることもできる。本発明のエピガロカテキンガレートと、ビタミンC、ケルセチン及びケルセチンの配糖体からなる群から選らばれる少なくとも1種を配合した製剤は、皮膚疾患、歯周病、虫歯菌、カンジダ病、胃腸炎のような菌感染によって生じる口腔疾患の治療と予防に用いられる。植物由来の抗菌素材としては、ヒノキチオール(ひのき)、キサントフモール(ホップ)、カプサイシン(唐辛子)、ローズマリ酸(ローズマリ)、アルテミシン(プロポリス)、アルテビリン(プロポリス)、オレガノオイル(オレガノ)、ぺリルアルデヒド(シソ)、カルバクロール(シソ)、シンナムアルデヒド(シナモン)、ラウリルアルデヒド(どくだみ)が挙げられる。 治療とは、菌などによって皮膚や口腔や粘膜疾患の症状を呈しているヒト、或いはその予防を期待するヒトにたいして効果的な量を含む概発明の成分を投与することを意味する。投与とは皮膚や口腔や眼や鼻などの粘膜の疾患部位に 概発明の成分をデリバリーすることを意味する。効果的な量とは 疾患の治療や予防に必要な成分量を意味する。この効果的な量は治療する疾患のタイプによって異なる。また他の治療剤との併用でも用いる事が出来る。その至適量はvitroやvivoの関連実験によって決定する事ができる。また、この発明がカバーする範囲には、vitro或いはvivoでβ-ディフェンシンやCAP-18などの抗菌ペプチドを分泌する能力のある細胞に本発明の概成分がコンタクトすることとでβ-ディフェンシンやCAP-18などの抗菌ペプチドの分泌或いは生成を促進させるvitro或いはvivoでの方法が含まれる。 次にいくつかの実施例を示すが、本発明はこれらに限定されない。(実施例1)組成Aによるうがい効果 エピガロカテキンガレート(80%純度)とビタミンC とケルセチンはシグマSigma, St. Louis, MIから購入した。組成Aは以下のようにして調整した。エピガロカテキンガレートとビタミンC とケルセチン1:2:2(重量比)の混合物1 gを27 w/v%含水エタノール99 mLに溶解した。(混合物10 mg/mL(1 w/v%)の溶液)。市販のうがい薬、リステリン(登録商標)(27 w/v%エタノール配合)と27 w/v%エタノールをコントロールに用いた。 9人の口腔が健常な成人(7人男性。2人女性:年齢は16歳から40歳))を用いて試験を行った。唾液サンプル(約 500〜750μL) をまず試験前に被験者から採取した。その後、被験者は14 mLの組成A、水、リステリン(登録商標)、27 w/v%含水エタノールを用いて約2分間口腔をうがいした。1時間後、再度唾液サンプルを各人から約 500〜750μLずつ採取した。それぞれの唾液サンプルを遠心分離した後、リン酸緩衝液(PBS)によって0.5%溶液にまで希釈した。それぞれの溶液に60μLのバクテリア溶液を入れ 、羊血液寒天培地にて、嫌気あるいは好気性の両条件にて37℃48時間培養した。その後、それぞれの培地に発生した細菌コロニーをカウントした。阻害効果はうがい前と後で採取した唾液の希釈液で調整したサンプルにおける細菌の生成コロニーの数の差で判定した。その結果を表1に示す。うがい前を100としたときのうがい後の唾液中のバクテリアの 割合を%であらわしている。これによると、リステリン(登録商標)や組成Aでのうがいが水や22 w/v%エタノールよりも有意にバクテリア数が減少している事がわかる。さらに、組成Aによるうがいは、22 w/v%エタノール中に有機酸として安息香酸を主成分として含むリステリン(登録商標)よりもさらに優れている事がわかる。 表1:口腔うがい1時間後の唾液中のバクテリアの減少(実施例2)エピガロカテキンと他の天然物とのペプチド分泌相乗効果のin vitro実験 Midorikawaらの文献に従って3つのグループの兎がヒト合成抗菌ペプチド HBD-1, HBD-2, andCAP-18によって免疫化された(Midorikawa et al., Infection & Immunity. 2003,71:3730-3739)。それぞれの兎の血清から得られたIgGフラクションはプロテインAカラムによって精製された。精製IgGは相当するそれぞれの合成ペプチドに対して強い親和性を示し、この3つのペプチド間に交差反応がないことはELISAによって確認できた。精製IgGはビオチンでラベル化された(EZ-Link Sulfo-NHS-Biotin, Pierce Biotechnology, Rockford, IL)。そしてそれぞれの合成ペプチドに特異的な非標識の兎IgGをコートすることでサンドイッチELISAシステムが作製された。ビオチンをラベルした特異的IgGはStreptavidin-conjugated peroxidase(Roche Diagnostics Corp., Indianapolis, IN) によって検出された。HBD-1,HBD-2, そして CAP-18 溶液の連続希釈法はELISA検出の場合の定法に従った。O-phenylenediamineがペルオキシダーゼの基質に使われ、発色強度はOD490nmで分光計にて測定された。 各濃度のサンプルはDulbecco's modified Eagle's medium-10% fetalbovine serumに溶かして調整した。human gingival epithelial 細胞(OBA-9)(Saito et al., J. Dent. Res., 1997, 76:441参照)はKeratinocyte-serum free medium中にて24穴プレートで培養しsub-confluentの状態まで増殖させた。次に細胞を洗浄後、それぞれのテストサンプルをいれて種々の時間培養した。その上澄液を集め、ELISAによるアッセイまで-70℃に保存した。生成した抗菌ペプチドの測定は各検体3回繰り返しで行われた。ペプチドの濃度は定法の滴定により行われた。データは基本的に精製したペプチド(ng/mL)±SDで示した。その結果を表2〜6に示す 表2はエピガロカテキンのヒトディフェンシン2の分泌促進に対する相乗効果の実験である。エピガロカテキン10μgにケルセチンを混合すると10-4〜10-5 Mの範囲で(30μg/mL〜3μg/mL)その効果が有意に増大する事がわかる。一方、ローズマリ酸やクルクミンではその効果は見られなかった。表2:ヒトディフェンシン2の分泌促進に対するエピガロカテキンと他の天然物との相乗効果の実験* これらの値はすべてコントロール(無添加)におけるヒトディフェンシン2の分泌量も同条件で測定し、それによって規格化した値である。 表3はCAP-18分泌促進に対する同様の相乗効果の実験結果である。ヒトディフェンシン2の分泌を促進したケルセチンをエピガロカテキンガレート10μgに混合しても(10-4〜10-5の範囲で(30μg/mL〜3μg/mL)その効果は有意ではなかった。 表3:CAP-18の分泌促進に対するエピガロカテキンと他の天然物との相乗効果の実験* これらの値はすべてコントロール(無添加)におけるヒトディフェンシン2の分泌量も同条件で測定し、それによって規格化した値である。 表4はヒト歯茎上皮細胞を用いたエピガロカテキンのディフェンシン2分泌促進に対するビタミンC との相乗効果の実験である。エピガロカテキン10μgにビタミンCを混合すると1〜4倍量の添加でその効果が有意に増大する事がわかる。表4:ディフェンシン2の分泌促進に対するエピガロカテキンとビタミンCとの相乗効果の実験* これらの値はすべてコントロール(無添加)におけるヒトディフェンシン2の分泌量も同条件で測定し、それによって規格化した値である。 表5はエピガロカテキンのCAP-18分泌促進に対するビタミンCの相乗効果の実験である。ヒトディフェンシン2の分泌を促進したビタミンC をエピガロカテキンに混合した場合、その効果はエピガロカテキンガレートの2〜4倍量の添加でCAP-18の分泌を有意に増大させた。 表5:CAP-18の分泌促進に対するエピガロカテキンとビタミンCとの相乗効果の実験* これらの値はすべてコントロール(無添加)におけるヒトディフェンシン2の分泌量も同条件で測定し、それによって規格化した値である。 上記の実験結果ではエピガロカテキンガレートとの組み合わせにおいて、ビタミンCがヒトディフェンシン2とCAP-18の分泌促進に、ケルセチンがヒトディフェンシン2の分泌促進にそれぞれ効果を示した。 表6ではエピガロカテキンガレート,ビタミンC、ケルセチンの3成分を重量比(1:2:2)で混合した組成AとエピガロカテキンガレートとビタミンCの2成分を比率(1:2)で混合した場合との促進効果の比較実験である。3成分の混合によりさらにその促進効果がより増大することがわかる。表6: エピガロカテキンガレート,ビタミンC、ケルセチンの3成分混合実験結果* これらの値はすべてコントロール(無添加)におけるヒトディフェンシン2の分泌量も同条件で測定し、それによって規格化した値である。エピガロカテキンガレートに対して、ビタミンC 、ケルセチン及びケルセチンの配糖体からなる群から選ばれる少なくとも1種が有効成分として混合されてなる、哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。請求項1記載のエピガロカテキンガレートに対して、ビタミンC 、ケルセチン及びケルセチンの配糖体からなる群から選ばれる少なくとも1種が有効成分として混合されてなる、哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤において、当該成分がそれぞれ0.25〜80重量%からなる請求項1記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤請求項1記載のエピガロカテキンガレートに対して、ビタミンC 、ケルセチン及びケルセチンの配糖体からなる群から選ばれる少なくとも1種が有効成分として混合されてなる、哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤において、エピガロカテキンガレートと混合されるビタミンC若しくはケルセチンの含有比がそれぞれ1.0:0.1〜0.1:1.0である請求項1記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。 請求項1記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤において、エピガロカテキンガレート単独、又はエピガロカテキンガレートと、ビタミンC、ケルセチン及びケルセチンの配糖体からなる群から選ばれる少なくとも1種がそれぞれ0.5〜50重量%からなる請求項1記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。請求項1記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤において、有効成分がエピガロカテキンガレートとビタミンCとケルセチンの組み合わせである請求項1記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。請求項1記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤において、エピガロカテキンガレートとビタミンCとケルセチンの重量比が1:2:2である哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。分泌される抗菌ペプチドが、β-ディフェンシン2とCAP-18である請求項1〜6のいずれか一に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。天然植物由来の抗菌成分若しくは天然植物由来の口腔洗浄成分との組み合わせで用いる請求項1〜7のいずれか一に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。天然植物由来抗菌成分がホップ由来である請求項8に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。皮膚または粘膜部で使用されるものである請求項1〜9のいずれか一に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。口唇部または口腔内で使用されるものである請求項1〜9のいずれか一に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。請求項1〜9のいずれか一に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤を含有する哺乳類抗菌ペプチド分泌促進用の皮膚疾患治療用外用組成物。請求項1〜9のいずれか一に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤を含有する哺乳類抗菌ペプチド分泌促進用の化粧品組成物。請求項1〜9のいずれか一に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤を含有するヒト抗菌ペプチド分泌促進用の粘膜疾患治療用内用組成物。請求項1〜9に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤を含有する哺乳類抗菌ペプチド分泌促進用の眼疾治療用外用組成物。請求項1〜9のいずれか一に記載の哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤を含有する哺乳類抗菌ペプチド分泌促進用の食品。 【課題】腔内の表皮細胞から分泌される抗菌ぺプチド、β-ディフェンシンやCAP-18の分泌を促進する組成物の提供。【解決手段】エピガロカテキンガレート単独、あるいはエピガロカテキンガレートと、ビタミンC、ケルセチン及びケルセチンの配糖体からなる群から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤。該哺乳類抗菌ペプチド分泌促進剤において、エピガロカテキンガレートと混合されるビタミンC若しくはケルセチンの含有比がそれぞれ1.0:0.1〜0.1:1.0である。【選択図】なし


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