タイトル: | 公開特許公報(A)_毛髪化粧料 |
出願番号: | 2012010953 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 8/46,A61K 8/19,A61K 8/34,A61K 8/365,A61Q 5/04 |
岩ヶ瀬 準 谷 晋次 JP 2013147476 公開特許公報(A) 20130801 2012010953 20120123 毛髪化粧料 株式会社JTS 507157894 田中 光雄 100081422 山崎 宏 100084146 佐藤 剛 100156122 坂田 啓司 100165892 岩ヶ瀬 準 谷 晋次 A61K 8/46 20060101AFI20130705BHJP A61K 8/19 20060101ALI20130705BHJP A61K 8/34 20060101ALI20130705BHJP A61K 8/365 20060101ALI20130705BHJP A61Q 5/04 20060101ALI20130705BHJP JPA61K8/46A61K8/19A61K8/34A61K8/365A61Q5/04 5 OL 16 4C083 4C083AB082 4C083AB282 4C083AB312 4C083AB351 4C083AB352 4C083AC072 4C083AC101 4C083AC102 4C083AC121 4C083AC122 4C083AC132 4C083AC182 4C083AC301 4C083AC302 4C083AC471 4C083AC472 4C083AC532 4C083AC542 4C083AC712 4C083AC771 4C083AC772 4C083AD041 4C083AD282 4C083CC31 4C083CC34 4C083DD06 4C083EE03 4C083EE06 4C083EE07 4C083EE09 4C083EE28 4C083EE29 本発明は、理美容室等で毛髪にウェーブまたは、ストレートや縮毛矯正をかける際におよび、ホームケアでくせ毛や寝癖直し等に使用される毛髪化粧料に関する。より詳しくは、本発明は、還元剤で毛髪を処理後にポリフェノールを用いて、毛髪への損傷を少なくし、繊維、毛髪等の結合変換による形状変形および感触改善効果を有する毛髪化粧料に関する。 従来より、髪の形状変換、ウェーブセットやストレートセット等を行う際には、毛髪中に存在するペプチドのアミノ酸同士の水素結合、塩結合、ジスルフィド結合、ペプチド結合のごとき種々の結合を切断し再結合することが一般的であり、中でも毛髪のウェーブを持続するためにはジスルフィド結合を化学的に切断・再結合することが有効であることが知られている。 ジスルフィド結合の切断には、還元剤としてチオグリコール酸、システイン、アセチルシステイン、システアミン、チオグリセリン、チオ乳酸、ブチロラクトンチオールまたは、その塩類等の還元剤を主剤とする第1剤が使用され、毛髪中のケラチンのジスルフィド結合(−S−S−)を部分的に還元切断し軟化させた後に、臭素酸塩、過酸化水素水等の酸化力の強い酸化剤を主剤とする第2剤で、切断されたジスルフィド結合を再結合させて毛髪を形状変化させ、ウェーブやストレートが形成される。 具体的には、パーマプロセスでは、毛髪を水で軽く湿らせロット等に巻き付けた状態で、還元剤を配合した第1剤を作用させると、ジスルフィド結合が切断されて毛髪もロットの形状に沿う。その後、酸化剤を配合した第2剤で酸化すると、ロットの形状のままジスルフィド結合が再結合されてその形状を保持する技術が実用化されている(特許文献1)。 また、基本的には同一の原理で還元剤と酸化剤を用い、毛髪を真直ぐに伸ばす際に櫛またはコテ等を用いて物理的な力を加え、くせ毛のストレートセットや縮毛矯正等も実用化されている。 しかしながら、上記のようなパーマネントウェーブやストレートセットや縮毛矯正等の処理を繰り返すと、還元剤や酸化剤の強い化学作用によって、毛髪中のペプチド等が流出し、さらには毛髪組織や微細構造の損傷や変性により、髪の弾性や強度等を劣化させる要因となる場合が多分にある。 また、それと共に第1剤の還元剤反応後にシャンプー台で毛髪を中間水洗した後に、さらに第2剤の酸化剤を塗布し10〜20分放置することは被施術者にとって大きな苦痛を伴うことでもある これに対して、第2剤を必要としない亜硫酸塩等を含有する一浴式パーマ剤が提案されているが(特許文献2)、これは第1剤処理後に毛髪をロットに巻いた状態で中間水洗をして、十分に第1剤を洗い流し、さらに毛髪をロットに巻いたままで、10〜20分間自然放置して、空気による酸化を行う必要があり二浴式の問題点は何ら改善されていない。さらに、空気による酸化が不十分のため毛髪の損傷が大きくなるという欠点がある。 また、臭気の強い高濃度のメルカプタン系の還元剤を主剤とする現行のパーマネントウェーブやストレートセットや縮毛矯正は、香料等で不快臭をマスキングするよう工夫しているが、不快臭のマスキングは依然不十分である。 なお、パーマ液第一剤にタンニン酸、タンニン化合物を1種もしくは2種以上用い、第二剤には過酸化物等の酸化剤、さらには発色助剤として鉄化合物を用いて、パーマ処理と同時に染毛処理を行うことができる方法が開示されているが(特許文献3)、短時間かつ容易な操作ではなく、毛髪の損傷を抑制するための本質的な解決策ではない。特開平5−78226号公報特開2000−229819号公報特開平6−321740号公報 本発明は、かかる従来の二浴式パーマネントウェーブやストレートセットや縮毛矯正および、一浴式パーマネントウェーブやストレートセットや縮毛矯正の欠点を改良しようとするものであり、毛髪の損傷を抑制すると同時に、ウェーブやストレートの持続性を高め、さらに施術者と被施術者の施術時におけるメルカプタン臭による不快感と施術後毛髪の不快臭を抑えることができる、改良された形状変形および感触改善効果を有する毛髪化粧料を提供することを目的とした。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、毛髪中のケラチン分子相互間のジスルフィド結合を還元作用で切断された毛髪に、pH2〜5の範囲で、無臭で安全に安心して使用できるポリフェノール類を用い、毛髪中のポリペプチド鎖間にジスルフィド結合に代わるポリフェノール架橋結合を生成することにより、髪のウェーブセットや毛髪内部の歪を整えて、くせ毛のストレートセットや縮毛矯正等を簡便な操作で、容易に再結合しかつ、毛髪の損傷を抑えることを可能にする特徴を有する、毛髪形状変形および感触改善効果を有する毛髪化粧料を見出した。 すなわち、本発明は以下に示すとおりの毛髪化粧料に関する。 項1.チオグリコール酸、システイン、アセチルシステイン、システアミン、チオグリセリン、チオ乳酸、ブチロラクトンチオールおよびその塩類、ならびに亜硫酸塩よりなる群から選択される1種または2種以上の還元剤を含む第1剤;および1種または2種以上のポリフェノール類を含み、かつpH2〜5の範囲にある第2剤からなる毛髪化粧料であって、 第1剤を用いて、毛髪中のケラチンのジスルフィド結合(−S−S−)を部分的に還元切断し軟化させた後に、第2剤を前記毛髪に塗布し放置した後に洗い流すことにより、毛髪内の切断されたジスルフィド結合を再結合させることを特徴とする該毛髪化粧料。 項2.さらに、乳酸、α−ヒドロキシ酸、クエン酸、リンゴ酸およびリン酸よりなる群から選択される少なくとも1種類の塩結合閉鎖促進成分を含むことを特徴とする、項1記載の毛髪化粧料。 項3.さらに、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびベンジルアルコールよりなる群から選択される少なくとも1種の1価アルコールならびに/または、グリセリン、1,3−BG、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびヘキシレングリコールよりなる群から選択される少なくとも1種の多価アルコールを有機溶剤として含むことを特徴とする、項1または2記載の毛髪化粧料。 項4.ポリフェノール類の架橋効果を高めるために処理温度30〜60℃の温度範囲で、10〜15分間加温処理することを特徴とする、項1〜3いずれかに記載の毛髪化粧料。 項5.さらに、酸性、塩基性、およびHC染料よりなる群から選択させる少なくとも1種類の直接染料を含む項1〜4いずれかに記載の毛髪化粧料。 本発明の毛髪化粧料は、理美容室等で毛髪にウェーブまたはストレートや縮毛矯正等を行う場合に、酸化剤の臭素酸塩や過酸化水素水に代えて、pH2〜5の範囲でポリフェノール類を配合することにより、毛髪への損傷が少なく、施術中の不快臭を抑えながら繊維、毛髪等の結合変換による形状変形および感触改善効果を有する。 以下に、実験例を参照しつつ本発明を詳しく説明する。 本発明の毛髪化粧料は、チオグリコール酸、システイン、アセチルシステイン、システアミン、チオグリセリン、チオ乳酸、ブチロラクトンチオールおよびその塩類、ならびに亜硫酸塩よりなる群から選択される1種または2種以上の還元剤を含む第1剤;および1種または2種以上のポリフェノールを含み、かつpH2〜5の範囲にある第2剤からなる毛髪化粧料キットであり、毛髪等に対して形状変形および感触改善効果を有する。 本発明に用いるポリフェノール類には、天然および合成起源のいずれの有機または無機の加水分解型タンニン、縮合型タンニン、没食子酸、カテコール、ピロガロール、カテキン、ヘマチン、エラグ酸、フェルラ酸等も含まれ、特に限定するものではないが、特に加水分解型タンニンと縮合型タンニンが好ましい。タンニンの天然物は、一般的に植物原材料からタンニンと同時に抽出される非タンニン分も含み得る。本発明の毛髪化粧料には、従来公知のタンニンに特に制限されることなく、1種または2種以上のタンニンを組み合わせて適宜用いることができる。特にピロガロール系の加水分解型タンニンを用いることが望ましい。 一般的に損傷毛には、分子量の小さいピロガロール系加水分解型タンニンを用いる場合、毛髪のケラチン分子のバラツキやポリペプチド鎖隔隙が拡張されているので、浸透力が高まり毛髪内部での架橋反応による3次元網目構造の形成が有効的に作用する。 加水分解型タンニンとして、没食子タンニン、五倍子タンニン、チェスナットタンニン、ミラボラムタンニン、オークタンニンが挙げられ、1種または2種以上を組わせて適宜用いることができる。没食子タンニン、五倍子タンニン、ミラボラムタンニン、およびチェスナットタンニンが好ましく、より好ましくはミラボラムタンニンおよび五倍子タンニンである。 また、毛髪は毛先部分、中間部、根本新生部分の部位により損傷の度合いが異なるため、分子量の小さいピロガロール系加水分解型タンニンを中心に分子量の大きいカテコール系縮合型タンニンを混合したものを用い、それらの全部位に対応させて処方することにより優れたセット効果やストレート効果を発揮する。 縮合型タンニンとしては、ケブラチョタンニン、ワットルタンニン、緑茶タンニン、マングローブタンニン、ガンビアタンニン、柿渋タンニン等が挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて適宜用いることができる。柿渋タンニン、ワットルタンニン、ケブラチョタンニンおよび緑茶タンニンが好ましく、より好ましくは、ケブラチョタンニンおよび緑茶タンニンである。 上記タンニンの濃度は特に限定しないが、0.001〜10質量%が好ましい、さらに0.05〜5質量%がより好ましい。タンニンの含有量が0.001質量%より少ない場合はその効果は、十分に発現させることができなくなる恐れがあり、また反面含有量が10質量%より多い場合は、髪がきしむ、またはごわつく等の感触の悪化やクリーム状、ローション状等の剤型が得られなく、その効果は低下する恐れがあり好ましくない。なお、本願明細書において、特記しない限りは、含量につき単に「%」と表記する場合も「質量%」を意味する。 また、毛髪へのタンニンの結合量は、タンニン濃度が増すと一般に浸透力が増加するが、結合力の強い加水分解型タンニンではタンニン分子の集合状態により、逆に一定濃度以上になると低下する恐れも確認された。 本発明に用いられる第1剤配合の還元剤には、メルカプタン系還元剤、亜硫酸塩等のウェーブまたは、ストレートや縮毛矯正等の当該技術分野において使用される、毛髪中のケラチン分子相互間ジスルフィド結合を開裂する還元剤が含まれ、メルカプタン系還元剤単独での使用または、亜硫酸塩単独での使用および、メルカプタン系還元剤と亜硫酸塩の組合せが好ましい。 本発明の毛髪化粧料には、従来公知の還元剤に特に制限されることなく、1種または2種以上の還元剤を組み合わせて適宜用いることができる。 亜硫酸塩類の配合量は、毛髪化粧料全質量に対して1〜10質量%の範囲にある。1質量%未満では還元力が十分でなく、10質量%を超えると毛髪の損傷が大きいため好ましくない。 メルカプタン系還元剤には、チオグリコール酸、システイン、アセチルシステイン、システアミン、チオグリセリン、チオ乳酸、ブチロラクトンチオールまたは、その塩類の1種もしくは2種以上の混合物を用いる。これらメルカプタン系還元剤の配合量は、0.1〜10質量%である。0.1質量%未満では還元力が十分でなく、10質量%を超えると毛髪の損傷が大きく、不快臭も強い。 また、本発明の毛髪化粧料に配合する塩結合閉鎖促進成分として、乳酸、α−ヒドロキシ酸、クエン酸、リンゴ酸、リン酸等よりなる群から選択される、少なくとも1種類含有することが好ましい。塩結合閉鎖促進成分の配合量は0.1〜5質量%である。0.1質量%未満では塩結合の閉鎖が十分でなく、毛束のまとまり感が不十分である。5質量%を超えると過収斂作用により髪が硬くキシミを感じ毛髪の損傷が大きくなる。 本発明の毛髪化粧料における第2剤は、pH安定成分として、クエン酸ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸1水素ナトリウム、リン酸アンモニウムまたは、炭酸水素ナトリウムのごときpH緩衝剤を適宜添加することにより、pH2〜5に調整することが好ましい。 また、本願発明の毛髪化粧料においては、毛髪へのウェーブまたはストレートや縮毛矯正と同時に染毛処理を行うための直接染料を添加してもよい。直接染料には、酸性染料、塩基性染料、およびHC染料が含まれる。本発明の毛髪化粧料には、従来公知の直接染料に特に制限させることなく、1種または2種以上を組み合わせて適宜用いることができる。 直接染料の配合量は、毛髪化粧料の全質量に対して0.0001〜10質量%である。0.0001質量%未満では毛髪への染色力が不十分であり、10質量%を超えると染色効果の向上がなく、剤型の安定性が得られなくなるため好ましくない。 また、本発明における第2剤には、上記ポリフェノールの毛髪内部への浸透性を高めるために、陰イオン界面活性剤や非イオン界面活性剤等の浸透剤を配合してもよい。 さらに溶解性や浸透性を高めるために、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびベンジルアルコールよりなる群から選択される少なくとも1種の1価アルコールや、グリセリン、1,3−BG、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、およびヘキシレングリコールよりなる群から選択される少なくとも1種の多価アルコール等の(極性)有機溶媒ならびに水を用いてもよく、これらは単独もしくは2種以上混合して配合してもよい。特に、ヒドロキシル基を有するアルコールが好ましく、より好ましくはエタノールに代表される1価の低級アルコールである。 本発明の組成物の毛髪化粧料は、公知方法により調製でき、また通常化粧品等に用いられる成分で効果を妨げない範囲において、必要に応じて他の成分、例えば保湿剤、収斂剤、清涼剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、カチオン性、アニオン性、両性、または非イオン性等の高分子ポリマー剤、液体油脂、固体油脂ロウ類、エステル油、炭化水素油、高級アルコール、ステロール油、増粘剤、ゲル化剤、フッ素化合物、シリコーン類、pH安定剤、キレート剤、抗炎症剤、植物抽出エキス、タンパク質加水分解物、アミノ酸、溶剤、アルコール類、有機酸類、粉末成分、防腐剤、色剤、水、香料等を必要に応じて適宜添加、配合することができ、これらに限定されるものではない。 また、上記毛髪化粧料の形態は、様々な形態で調製可能で特に限定されるものではないが、例えばクリーム状、ローション状、ジェル状、ペースト状、粉末状、固形状、泡状、スプレー状等あり、泡状にするには、主としてLPG、DME、ヘキサン等の噴射剤を配合し、またノンガスの泡状タイプとしてもよい。 本発明の毛髪化粧料は、前記の第1剤を用いて、毛髪中のケラチンのジスルフィド結合を部分的に還元切断し軟化させた後に、前記の第2剤を前記毛髪に塗布し放置した後に洗い流すことにより、毛髪内の切断されたジスルフィド結合を再結合させることを特徴とする。 本発明の毛髪化粧料は、パーマネントウェーブやストレートセットや縮毛矯正等を目的として使用する場合、毛髪への塗布後、ポリフェノールの架橋効果を高めるには、ポリフェノールを含む第2剤が処理温度30〜60℃の温度範囲で10〜15分間加温処理される。 本発明の毛髪化粧料をパーマネントウェーブ剤として使用するにあたっては、ロットに巻き付けられた毛髪へ第2剤の塗布後に、加温温度を30〜60℃、好ましくは40〜50℃として加温する。30℃以下では、時間がかかりすぎ十分な効果を得づらく、60℃以上では毛髪の損傷が大きく、感触が悪くなる傾向にある。なお、加温方法は特に限定されないが、加温処理時間中、パーマネントウェーブ処理に用いられるスチーマー等を用いて、水蒸気雰囲気中で作用させることが好ましい。さらに処理時間は、毛髪の性状や状態により異なるが、40〜50℃では10〜15分の処理時間を必要とする。なお処理温度を50〜55℃に高めると成分の浸透速度や反応速度が高まり、処理時間はおよそ10分に短縮することが可能である。 また、ストレートセットや縮毛矯正として使用するにあたっては、第2剤の毛髪化粧料を毛髪に塗布後に、櫛等を用いて物理的な力を加えることで毛髪をストレートな状態にし、加温温度を30〜60℃、好ましくは40〜50℃として加温する。30℃以下では、時間がかかりすぎ十分なストレート効果を得づらく、60℃以上では毛髪の損傷が大きく、感触が悪くなる傾向にある。 なお、加温方法は特に限定されないが、加温処理時間中、パーマネントウェーブ処理に用いられるスチーマー等を用いて、水蒸気雰囲気中で作用させるのは好ましい。さらに処理時間は、毛髪の性状や状態により異なるが、40〜50℃では10〜15分の処理時間を必要とする。処理温度を50〜55℃に高めると成分の浸透速度や反応速度が高まり、処理時間はおよそ10分に短縮することが可能である。別法として、高温型ヘアアイロンを使う用法で使用されることも好ましい。 さらに、くせ毛直しとして使用するにあたっては、第2剤の毛髪化粧料を毛髪に塗布後に、櫛やコテ等で梳かし伸ばした後、そのままの状態でしばらく放置する。 また、必要に応じてドライヤーでの乾燥や、ヘアアイロンを使用されることも好ましい。 以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 表1に示す還元性組成物(第1剤)および、表2に示す酸化性組成物(第2剤)を調製した。実施例1では第2剤で、乳酸を用いpH3に調整した3重量%のタンニン(ミラボラムタンニン)を含有させた場合を示す。実施例2では化粧品用として認可されているタンニン中で最も汎用されている局方タンニン酸(五倍子タンニン)を含有させている。そしてこれらと比較する比較例1では、タンニンを含有せず比較評価を実施した。さらに比較例2では、タンニンを含有せず、パーマネントウェーブ剤で汎用されている臭素酸ナトリウムを含有させ比較評価を実施した。 上記のように調製した実施例1〜2および比較例1〜2の各組成物を用いウェーブ効果、ウェーブ持続性、毛髪強度、弾性付与評価試験を実施し、その結果を表3に示す。ウェーブ効果 20代女性の健常な毛髪(長さ20cm)を束ねたものを試験毛束とし、毛束を微温湯で湿らせ、ロッド(直径1.5cm)を巻き付けた。この毛束を表1第1剤に1分間浸漬し、その後、溶液を捨て40℃の恒温槽で9分間放置し、5分間室温にて放置し水洗した。次に表2第2剤に1分間浸漬し、その後、溶液を捨て室温にて15分間放置し、ロットから外して水洗した後、自然乾燥させた。処理した毛束を目視にて観察し、ウェーブのかかり具合について、比較例2を対照として下記評価基準に基づき評価した。 評価基準: ◎:比較例2より明らかに良好 ○:比較例2より良好 △:比較例2と同等 ×:比較例2よりやや不良 ××:比較例2より不良ウェーブの持続性 前記ウェーブ効果の評価で使用した毛束を1重量%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液(40℃)に浸し、1時間放置した後、水洗し自然乾燥させた。処理前の毛束と処理後の毛束を目視にて比較しウェーブの持続性について、上記ウェーブ効果の評価基準に基づき、比較例2を対照として評価した。毛髪強度試験 前記ウェーブ効果試験で評価した毛髪を引っ張り試験機(カトーテック株式会社:KES-G1-SH)を用いて破断荷重を測定した。また、同時に精製水で処理した試験毛束の破断荷重を100として下式にて毛髪強度を算出した。 毛髪強度(%)=ウェーブ効果試験毛破断荷重(g)/精製水処理毛破断荷重(g)×100 弾力性付与評価 20代女性の健常な毛髪をラウリル硫酸ナトリウム0.5%水溶液(40℃)で3分間洗浄し、水道水(40℃)で2分間すすぎタオルドライする。さらに下記処方で調製したブリーチ液に30分間浸漬(室温)した後、水道水(40℃)でよくすすぎタオルドライし、自然乾燥して試験毛束を調製した。 ブリーチ液 25%アンモニア水 4.0%水溶液 50.0% 35%過酸化水素水 6.0%水溶液 50.0% 調製した試験毛束を実施例1〜2および、比較例1〜2の調製液にて前記ウェーブ効果試験同様の操作を行った。かかる処理が完了した毛束を比較例2毛束を対照として、20〜40代の男性パネラー10名、女性パネラー10名にて比較評価を行い、弾力性を下記評価基準により評価した。 なお、下記表3には評価結果の平均値を示す。 評価基準: +2:比較例2より弾力性が明らかに良好 +1:比較例2より弾力性がやや良好 0:比較例2と同じ −1:比較例2より弾力性がやや劣る −2:比較例2より弾力性が明らかに劣る 表3に示すように実施例1および2はタンニンを含有していない比較例1に比べてウェーブ効果、ウェーブ持続性、毛髪強度が優れていることを確認した。さらに実施例1は比較例2に比べてウェーブ持続性、毛髪強度が優れていることを確認した。 また、弾力性付与においても実施例1および2が、良好な弾力性付与効果を有することが判明した。(パーマネントウェーブ用調製液) ミラボラムタンニンと五倍子タンニンの混合物(質量比1:1)を用いて、実施例3〜7および比較例3のパーネントウェーブ用第2剤(pH2.0〜5.0)を調製し、以下の評価試験方法および評価基準により調製液を評価した。第1剤および第2剤の処方ならびに結果を表4〜5に示す。ウェーブ効果 20代女性の健常な毛髪(長さ20cm)を束ねたものを試験毛束とし、毛束を微温湯で湿らせ、ロッド(直径1.5cm)を巻き付けた。この毛束を表4第1剤に1分間浸漬し、その後、溶液を捨て40℃の恒温槽で9分間放置し、5分間室温にて放置し水洗した。次に表5第2剤に1分間浸漬し、その後、溶液を捨て室温にて15分間放置し、ロットから外して水洗した後、自然乾燥させた。処理した毛束を目視にて観察し、ウェーブのかかり具合について、比較例3を対照として下記評価基準に基づき評価した。 評価基準: ◎:比較例3より明らかに良好 ○:比較例3より良好 △:比較例3と同等 ×:比較例3よりやや不良 ××:比較例3より不良ウェーブの持続性 ウェーブ効果の評価で使用した毛束を1重量%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液(40℃)に浸し、1時間放置した後、水洗し自然乾燥させた。処理前の毛束と処理後の毛束を目視にて比較しウェーブの持続性について、上記ウェーブ効果の評価基準に基づき比較例3を対照として評価した。損傷度 上記の処理を行った毛束について、毛髪表面の状態を電子顕微鏡(JEOL:JSM5510LV)を用いて観察する。上記ウェーブ効果の評価基準に基づき比較例3を対照としてキューティクルの浮き上がりや剥離の程度を損傷度として評価した。仕上がり時の手触り感 ウェーブ効果の評価で使用した毛束の手触り感について評価を行った。 パネラーは、男性パネラー10名、女性パネラー10名にて比較評価を行い、手触り感を下記評価基準により評価した。なお、評価結果の平均値を示す。 評価基準: +2:比較例3より弾力性が明らかに良好 +1:比較例3より弾力性がやや良好 0:比較例3と同じ −1:比較例3より弾力性がやや劣る −2:比較例3より弾力性が明らかに劣る(ストレートセット用調製液) ミラボラムタンニンとケブラチョタンニンの混合物(質量比で8:2)を用いて、実施例8〜12、比較例4のストレートセット用第2剤調製液(pH2.0〜5.0)調製し、以下の試験方法および評価基準により調製液を評価した。第1剤および第2剤の処方ならびに結果を表6〜7に示す。ストレート効果 20代女性の健常な毛髪(長さ20cm)を束ねたものを試験毛束とし、毛束を微温湯で湿らせ、毛束の両端を固定しパネル上に固定した。この毛束を表6第1剤に1分間浸漬し、その後、溶液を捨て40℃の恒温槽で9分間放置し、5分間室温にて放置し水洗した。次に表7第2剤に1分間浸漬し、その後、溶液を捨て室温にて15分間放置し、パネルから外して水洗した後、自然乾燥させた。処理した毛束を目視にて観察し、ストレートのかかり具合について、比較例4を対照として下記評価基準に基づき評価した。 評価基準: ◎:比較例4より明らかに良好 ○:比較例4より良好 △:比較例4と同等 ×:比較例4よりやや不良 ××:比較例4より不良ストレートの持続性 ストレート効果の評価で使用した毛束を1重量%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液(40℃)に浸し、1時間放置した後、水洗し自然乾燥させた。処理前の毛束と処理後の毛束を目視にて比較しストレートの持続性について、上記ストレート効果の評価基準に基づき比較例4を対照として評価した。損傷度 上記の処理を行った毛束について、毛髪表面の状態を電子顕微鏡(JEOL:JSM5510LV)を用いて観察した。上記ストレート効果の評価基準に基づき、比較例4を対照としてキューティクルの浮き上がりや剥離の程度を損傷度として評価した。仕上がり時の手触り感 ストレート効果の評価で使用した毛束の手触り感について評価を行った。パネラーは、男性パネラー10名、女性パネラー10名にて比較評価を行い、手触り感を下記評価基準により評価した。なお、評価結果の平均値を示す。 評価基準: +2:比較例4より弾力性が明らかに良好 +1:比較例4より弾力性がやや良好 0:比較例4と同じ −1:比較例4より弾力性がやや劣る −2:比較例4より弾力性が明らかに劣る(くせ毛直し用調製液) ミラボラムタンニンを用いて、実施例13〜17および比較例5のくせ毛直し用第2剤(pH2.0〜5.0)を調製し、以下の評価試験方法および評価基準により調製液を評価した。第1剤および第2剤の処方ならびに結果を表8〜9に示す。くせ毛直し効果 20代女性の健常な毛髪(長さ20cm)を束ねたものを試験毛束とし、毛束を微温湯で湿らせ、この毛束を表8第1剤に1分間浸漬し、櫛で梳かした後、溶液を捨て4分間室温放置し水洗した。次に表9第2剤に1分間浸漬し、櫛で梳かした後、溶液を捨て室温にて4分間放置し、自然乾燥させた。処理した毛束を目視にて観察し、くせ毛直しの具合について、比較例5を対照として下記評価基準に基づき評価した。 評価基準: ◎:比較例5より明らかに良好 ○:比較例5より良好 △:比較例5と同等 ×:比較例5よりやや不良 ××:比較例5より不良くせ毛直しの持続性 くせ毛直し効果の評価で使用した毛束を1重量%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液(40℃)に浸し、1時間放置した後、水洗し自然乾燥させた。処理前の毛束と処理後の毛束を目視にて比較しくせ毛直しの持続性について、上記くせ毛直し効果の評価基準に基づき比較例5を対照として評価した。仕上がり時の手触り感 くせ毛直し効果の評価で使用した毛束の手触り感について評価を行った。 パネラーは、男性パネラー10名、女性パネラー10名にて比較評価を行い、手触り感を下記評価基準により評価した。なお、評価結果の平均値を示す。 評価基準: +2:比較例5より弾力性が明らかに良好 +1:比較例5より弾力性がやや良好 0:比較例5と同じ −1:比較例5より弾力性がやや劣る −2:比較例5より弾力性が明らかに劣る 本発明により、酸化剤に代えて第2剤にポリフェノール類、特にタンニンを配合することで、理美容室等で毛髪にウェーブまたはストレートを行う場合に毛髪への損傷を少なく、ウェーブまたはストレートの持続性を高めて、短時間で簡便に繊維、毛髪等の結合変換による形状変形および感触改善効果を有する毛髪化粧料を提供できる。 チオグリコール酸、システイン、アセチルシステイン、システアミン、チオグリセリン、チオ乳酸、ブチロラクトンチオールおよびその塩類、ならびに亜硫酸塩よりなる群から選択される1種または2種以上の還元剤を含む第1剤;および1種または2種以上のポリフェノール類を含み、かつpH2〜5の範囲にある第2剤からなる毛髪化粧料であって、 第1剤を用いて、毛髪中のケラチンのジスルフィド結合(−S−S−)を部分的に還元切断し軟化させた後に、第2剤を前記毛髪に塗布し放置した後に洗い流すことにより、毛髪内の切断されたジスルフィド結合を再結合させることを特徴とする該毛髪化粧料。 さらに、乳酸、α−ヒドロキシ酸、クエン酸、リンゴ酸およびリン酸よりなる群から選択される少なくとも1種類の塩結合閉鎖促進成分を含むことを特徴とする、請求項1記載の毛髪化粧料。 さらに、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびベンジルアルコールよりなる群から選択される少なくとも1種の1価アルコールならびに/または、グリセリン、1,3−BG、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびヘキシレングリコールよりなる群から選択される少なくとも1種の多価アルコールを有機溶剤として含むことを特徴とする、請求項1または2記載の毛髪化粧料。 ポリフェノール類の架橋効果を高めるために処理温度30〜60℃の温度範囲で、10〜15分間加温処理することを特徴とする、請求項1〜3いずれかに記載の毛髪化粧料。 さらに、酸性、塩基性、およびHC染料よりなる群から選択させる少なくとも1種類の直接染料を含む請求項1〜4いずれかに記載の毛髪化粧料。 【課題】従来の二浴式パーマネントウェーブやストレートセットや縮毛矯正および、一浴式パーマネントウェーブやストレートセットや縮毛矯正の欠点を改良しようとするものであり、毛髪の損傷を抑制すると同時に、ウェーブやストレートの持続性を高め、さらに施術者と被施術者の施術時におけるメルカプタン臭による不快感と施術後毛髪の不快臭を抑えることができる、改良された形状変形および感触改善効果を有する毛髪化粧料を提供する。【解決手段】 チオグリコール酸、システイン、アセチルシステイン、システアミン、チオグリセリン、チオ乳酸、ブチロラクトンチオールおよびその塩類、ならびに亜硫酸塩よりなる群から選択される1種または2種以上の還元剤を含む第1剤;および1種または2種以上のポリフェノール類を含み、かつpH2〜5の範囲にある第2剤からなる毛髪化粧料であって、第1剤を用いて、毛髪中のケラチンのジスルフィド結合(−S−S−)を部分的に還元切断し軟化させた後に、第2剤を前記毛髪に塗布し放置した後に洗い流すことにより、毛髪内の切断されたジスルフィド結合を再結合させることを特徴とする該毛髪化粧料。【選択図】なし