タイトル: | 公開特許公報(A)_生活習慣病の予防又は改善剤 |
出願番号: | 2012007702 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 36/28,A23L 1/30,A61K 31/733,A61K 36/00,A61K 35/74,A61K 9/16,A61K 9/20,A61P 3/04,A61P 3/10,A61P 3/06,A61P 9/12,A61P 19/06,A61K 9/14 |
見沢 順一 伊藤 久美子 葉山 隆一 川嶋 朗 高良 毅 JP 2013147441 公開特許公報(A) 20130801 2012007702 20120118 生活習慣病の予防又は改善剤 株式会社プラスアルファー 311016352 菱和ECOフード株式会社 305061391 江波戸 真弓 100147407 多田 公子 100099852 見沢 順一 伊藤 久美子 葉山 隆一 川嶋 朗 高良 毅 A61K 36/28 20060101AFI20130705BHJP A23L 1/30 20060101ALI20130705BHJP A61K 31/733 20060101ALI20130705BHJP A61K 36/00 20060101ALI20130705BHJP A61K 35/74 20060101ALI20130705BHJP A61K 9/16 20060101ALI20130705BHJP A61K 9/20 20060101ALI20130705BHJP A61P 3/04 20060101ALI20130705BHJP A61P 3/10 20060101ALI20130705BHJP A61P 3/06 20060101ALI20130705BHJP A61P 9/12 20060101ALI20130705BHJP A61P 19/06 20060101ALI20130705BHJP A61K 9/14 20060101ALI20130705BHJP JPA61K35/78 TA23L1/30 BA23L1/30 ZA61K31/733A61K35/78 XA61K35/74 GA61K9/16A61K9/20A61P3/04A61P3/10A61P3/06A61P9/12A61P19/06A61K9/14 7 OL 12 4B018 4C076 4C086 4C087 4C088 4B018LB10 4B018MD48 4B018MD53 4B018MD57 4B018MD58 4B018MD86 4B018ME03 4B018ME04 4B018ME14 4B018MF13 4C076AA30 4C076AA31 4C076AA36 4C076BB01 4C076CC11 4C076CC21 4C086AA01 4C086AA02 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本発明において「生活習慣病」とは、公衆衛生審議会(平成8年12月18日)の意見具申「生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について」に基づくものである。食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣がその発症・進行に関与する疾病群をいう。生活習慣病としては、肥満、肥満症、糖尿病、高脂血症、高血圧症、痛風、高体脂肪率、高血糖、高インスリン血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高血圧、および高尿酸血症などが挙げられる。また生活習慣病においては、これらは単独の疾患ではなく相互に関係している。 本発明において「高脂血症の予防」とは、日本動脈硬化学会が動脈硬化性疾患診療ガイドライン(2002年9月発行)にて定義している高脂血症の状態又は境界域の状態になるのを防ぐ又は遅らせることを指す。また「高脂血の改善」とは、上記に示す高脂血症の状態又は境界域の状態から、上記ガイドラインにて正常域と定義している状態に近づけることを指す。 本発明において「糖尿病の予防」とは、日本糖尿病学会が糖尿病治療ガイド2002−2003(2002年5月発行)にて定義している糖尿病の状態又は境界域の状態になるのを防ぐ又は遅らせることを指す。また「糖尿病の改善」とは、上記の糖尿病の状態又は境界域の状態から、上記ガイドにて正常域と定義している状態に近づけることを指す。 本発明において「肥満の予防」とは、日本肥満学会が肥満・肥満症の指導マニュアル第2版(2001年7月発行)にて、肥満又は肥満症であると定義している状態になるのを防ぐ又は遅らせることを指す。また「肥満の改善」とは、上記学会が肥満症又は肥満であると定義している状態から、上記学会が正常域と定義している状態に近づけることを指す。 本発明の有効成分の1つである成分Aは、イヌリンを含有する植物である。この植物に含まれるイヌリンは、多糖質であり、糖の仲間であるが、ヒトの体内にはこれを分解できる酵素を持っていないため体内には吸収されないのが特徴である。 イヌリンを含有する植物としては、菊芋やダリヤ等の菊科植物が例示されるが、好ましくは菊芋である。菊芋には、天然のインスリンと言われるイヌリンが通常、60%前後含有されている。 イヌリンを含有する植物を含有させることによって整腸効果や、血糖値やインシュリン、中性脂質の上昇抑制効果を発現させることができる。その発現メカニズムは明らかではないが、次のように推察される。菊芋に含有されるイヌリンは、菊芋等の菊科植物の根茎等を加工する際に、前記根茎中に含有されているイヌラーゼという加水分解酵素の作用を受け、フラクトオリゴ糖に変化する。なお、イヌリンは、胃液等の酸によっても容易にフラクトオリゴ糖に変化する。変化したフラクトオリゴ糖は、分子量が大きいために腸内の有害菌に利用され難く、整腸に有効である善玉菌(ビフィズス菌等)にのみ利用され、該善玉菌の増殖が促される結果、整腸効果を発現するものと考えられる。また、フラクトオリゴ糖は糖類であるものの、難消化性であるため、体内に吸収され難く血糖値やインシュリンの上昇がなく、コレステロール等の中性脂質の低下にも作用するものと考えられる。 本発明で使用可能な菊芋は、野生の菊芋や通常に栽培された菊芋でよいが、無農薬栽培のものが望ましい。栽培場所は、通常に育つ所であれば本発明の菊芋として好ましく使用できるが、気温が17℃以下になる寒暖の差が激しい場所で栽培したものであれば、有効成分のイヌリン含量が増加する点でより好ましい。 菊芋は、生芋、ゆでた芋、原末、乾燥粉末など様々な形態で使用可能であるが、保存の観点からは乾燥粉末の形態(粉末状、パウダー状)で使用することが好ましい。粉末粒子は可能な限り細粒とし、ミルクパウダー状(例えば粒子の粒径が10μm以下程度)の形態で使用することが、より好ましい。粉末粒子をできる限り細粒とすることで、マイクロカプセルのような効果が期待できる。 本発明の有効成分の1つである成分Bは、特定の培養物である。この培養物は、豆類を含む培地で複数の乳酸菌を含む混合微生物を培養(共棲培養)して得られる。なお、培養物には、培養物そのものの他、培養物の処理物(詳細は後述する)も含まれる。 乳酸菌としては、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する微生物)、ラクトバチルス(Lactobaciilus)属に属する微生物、エンテロコッカス(Enterococcus)属に属する微生物、乳酸桿菌属に属する微生物などが挙げられる。これらの微生物を、以下に例示する。(1)ビフィドバクテリウム属に属する微生物: ビフィドバクテリウム・ロンガム(B. longum)、ビフィドバクテリウム・アドレセンテス(B. adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(B. bifidum)など。(2)ラクトバチルス(Lactobaciilus)属に属する微生物: ラクトバチルス・カゼイ(例えばシロタ株(L. casei strain shirota)など)、ラクトバチルス・パラカゼイ(L. paracasei)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・アシドフィラスなど。(3)エンテロコッカス(Enterococcus)属に属する微生物: エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)、エンテロコッカス・フェカリス(E. faecalis)など。(4)乳酸桿菌属に属する微生物: 例えば有胞子性乳酸菌など。 本発明においては、上記例示した微生物のうち1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。上記微生物は、一般に市販されているものを用いることができるが、これらの微生物の共棲培養物又はその処理物が飲食品などとして利用することができる限り当該微生物の特定の株に限定されない。 本発明では、上述した複数の乳酸菌の中から少なくとも数十種類を選択し、これらを混合して混合微生物とする。混合微生物の組み合わせとしては、例えば、ロンガム、アドレセンテス及びビフィダム(以上、ビフィドバクテリウム属に属する微生物)と、パラカゼイ及びブルガリクス(以上、ラクトバチルス属に属する微生物)と、エンテロコッカスフェシウム及びフェカリス(以上、エンテロコッカス属に属する微生物)と、有胞子性乳酸菌(乳酸桿菌属に属する微生物)とを含む組み合わせとすることができる。 本発明の培養物は、こうした混合微生物を所定の培地で培養発酵させることにより得られる。培地としては、豆類を含むものを用いる。豆類は必須アミノ酸を多く含んでいることから、特に大豆は畑の肉とまで呼ばれ、アミノ酸のフェルアラニンやトリプトファン、リジン、スレオニン等を多く含み、必須不飽和脂肪酸のリノール酸等を多く含んだ食材である。 豆類としては、大豆や黒豆などが例示され、これらの1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。本発明では、好ましくは、多くの豆類の中から大豆と黒豆を選択し、この選択した大豆及び黒豆を、例えば熱水などで煮込むことで煮込み汁(熱水抽出液)を得る。こうして得られる、大豆と黒豆の熱水抽出液を、本発明では培地として用いることができる。なお、選択した大豆及び黒豆の培地への添加方法は、熱水抽出液の形態に限定されず、非加熱の形態とすることもできる。 そして、複数の乳酸菌のそれぞれを、乳酸菌1種につき200〜1000個/ml、混合した後、その混合微生物を上記培地に接種し、30〜60℃で半年から1年間、共棲培養する。共棲培養すると、培地中には乳酸菌の代謝産物が生成される。培養終了後、例えば煮沸殺菌して培養物を回収する。 本発明では、培養後の培養物そのものを、例えば凍結乾燥又は噴霧乾燥したものの他、ろ過又は遠心分離等の処理を施すことで分離した培養上清及び菌体を例えば凍結乾燥又は噴霧乾燥して調製したものを有効成分として用いてもよい。しかしながら、好ましくは培養後の培養物の処理物(例えば、培養後の培養物(大豆と黒豆の発酵産物)から抽出した代謝エキス、すなわち培地中に生成された乳酸菌の代謝産物を熟成させて抽出したエキス)を有効成分として用いることが好ましい。この代謝エキスには核酸(大豆と黒豆のDNA)が含まれる。このような核酸を含む代謝エキスの利用形態は様々であるが、例えば、上記複数の乳酸菌とともに酪酸菌を培養し、これを粉末にした酪酸タイプ粉末の形態(粉末状)で使用することが好ましい。 発酵食品中に含まれる乳酸菌は殆どが生菌であり、熱や酸に弱く、生菌の乳酸菌を食しても胃の中の胃酸の影響で、腸まで到達するのは僅かであるが、上記培養物、特に上記培養物の処理物の一例である、大豆と黒豆の発酵産物から抽出した代謝エキス(核酸を含む)は、アミノ酸からペプチド優位まで発酵を高めているため酸に強く、その殆どを腸にまで到達させることができる。これによって、ヒトの体内では合成することができない必須アミノ酸や不飽和脂肪酸が供給され、腸内環境が整備される。自己免疫力の約60%は腸管免疫であることから、免疫力増強は生活習慣病の予防や改善に繋がる。つまり、上記培養物又はその処理物を含有させることによって、生活習慣病の予防又は改善の効果を発現させることができる。 本発明に係る生活習慣病の予防又は改善剤は、例えば、イヌリンを含有する植物の一例である菊芋を良く洗浄し、これをスライスして乾燥させた後に粉砕して形成された菊芋パウダーと、上述した特定の大豆発酵代謝エキスを粉末にしたパウダーとを準備し、これら菊芋パウダーと大豆発酵代謝エキスパウダーとを配合させることにより得ることができる。 本発明に係る生活習慣病の予防又は改善剤中に含まれる有効成分(=成分A+成分B)の合計含有量は、予防又は改善剤中に、乾燥重量換算で、50〜100重量%が好ましく、より好ましくは75〜100重量%である。 有効成分中での成分Aと成分Bの含有比(A/B)は、乾燥重量換算で、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上であって、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.以下である。有効成分中での含有比(A/B)の値が小さすぎると、相対的に成分Aの含有量が少なくなりすぎ、その結果、上述した整腸効果や、血糖値などの上昇抑制効果の発現が期待できない。一方で有効成分中での含有比の値が大きすぎると、相対的に成分Bの含有量が少なくなりすぎ、その結果、上述した免疫力増強効果の発現が期待できない。 本発明に係る生活習慣病の予防又は改善剤(例えば、血糖値上昇抑制剤、肥満の予防又は改善剤、高脂血症の予防又は改善剤など)の形状は、上述した成分A及び成分Bを有効成分として含んでいれば特に限定されず、例えば、粉末、顆粒、錠剤(タブレット)、シロップ剤、ドリンク剤などが挙げられる。錠剤の形態を得るには、成分Aと成分Bを混合した原料粉末をそもまま打錠する直接打錠法を用いてもよい。この直接法では工程は単純であるが、原料粉末の流動性が悪いと重量にばらつきを生じ、仕上がりが悪くなるおそれもある。そこで、成分Aと成分Bを混合した原料粉末に、賦形剤や結合剤等の添加物を添加した上で、顆粒にしてから打錠する顆粒打錠法により錠剤の形態とするのが好ましい。 また、本発明に係る生活習慣病の予防又は改善剤は、食品、医薬部外品及び医薬品に使用可能な素材を配合して、特定保健用食品、機能性食品、健康食品、医薬部外品及び医薬品等に加工して使用することもできる。 本発明に係る生活習慣病の予防又は改善剤の摂取量・摂取頻度は、成人1人1日当たり、好ましくは1.5g以上、より好ましくは2g以上であって、好ましくは3.5g以下、より好ましくは3g以下であり、1回から数回に分けて行うことが好ましい。 本発明に係る生活習慣病の予防又は改善剤の摂取期間は、生活習慣病の予防を目的とする対象において、6ヶ月以上が好ましく、12ヶ月以上がより好ましい。また、生活習慣病の疑いのある対象(生活習慣病の予備軍)において、3ヶ月以上が好ましく、12ヶ月以上がより好ましい。また、生活習慣病の改善を目的とする対象(生活習慣病の重症者)において、6ヶ月以上が好ましく、12ヶ月以上がより好ましい。また、1週間当たりの摂取頻度としては、5日以上が好ましく、6日以上がより好ましい。 以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 [実施例1] 予防又は改善剤サンプルの調製 成分Aとして、市販の菊芋を良く洗浄し、スライスして乾燥させ、その後に粉砕して得られる菊芋パウダー(粒径5〜10μm程度)を準備した。成分Bとして、大豆と黒豆を含む培地で、下記に示す3種7株を含む16株の乳酸菌とともに酪酸菌を培養して得られる培養物(大豆と黒豆の発酵産物)から抽出した代謝エキスの粉末である核酸パウダー(酪酸タイプ粉末。粒径10〜100μm程度)を準備した。 <乳酸菌の種類>・ロンガム、アドレセンテス及びビフィダム(以上、ビフィドバクテリウム属に属する微生物)。・パラカゼイ及びブルガリクス(以上、ラクトバチルス属に属する微生物)。・エンテロコッカスフェシウム及びフェカリス(以上、エンテロコッカス属に属する微生物)。 次に、準備した菊芋パウダーと核酸パウダーとを、重量換算での含有比が2.0(菊芋パウダー:核酸パウダー=2:1)となるように配合することにより、本発明の予防又は改善剤の一例としての、5kgの混合粉体を得た。 [実施例2] 血糖値上昇抑制試験 40歳以上の日本人(女性及び男性)15名を被験者とした。各被験者に対して、実施例1の混合粉体を、1日当たりの摂取量を1〜2gとし、毎日の摂取頻度で3ヶ月間摂取してもらい、摂取前後の血糖値(標準値範囲70〜110mg/dl)を測定した。結果を表1に示す。 摂取前の血糖値について、110mg/dl以下の被験者が3名、111〜124mg/dlの被験者が5名、125〜150mg/dlの被験者が1名、151〜200mg/dlの被験者が5名、200〜250mg/dlの被験者が1名であったが、これらが摂取後には、110以下mg/dl以下の被験者が6名、111〜124mg/dlの被験者が5名、125〜150mg/dlの被験者が3名、151〜200mg/dlの被験者が1名となり、200mg/dlの被験者は0名となった。具体的には、糖尿病(126mg/dl以上)の被験者が、摂取前には7名存在したが、摂取後は4名に減少し、また重症の被験者(200mg/dl超)は0名に改善した。特に、摂取前に150mg/dl以上であった被験者6名が摂取後には1名に減少し、摂取前は高血糖値(110mg/dl以上)であった被験者の割合80%が、摂取後には60%に減少した。 以上より、この試験群においては、混合粉体の摂取前後で血糖値が有意に減少することが確認できた。 [実施例3] ヘモグロビンAIC値上昇抑制試験 40歳以上の日本人(女性及び男性)24名を被験者とした。各被験者に対して、実施例1の混合粉体を、1日当たりの摂取量を1〜2gとし、毎日の摂取頻度で3ヶ月間摂取してもらい、摂取前後のヘモグロビンAIC値(標準値範囲4.3〜5.8%)を測定した。結果を表2に示す。 摂取前のヘモグロビンAIC値について、110mg/dl以下の被験者が3名、111〜124mg/dlの被験者が5名、125〜150mg/dlの被験者が1名、151〜200mg/dlの被験者が5名、200〜250mg/dlの被験者が1名であったが、これらが摂取後には、110以下mg/dl以下の被験者が6名、111〜124mg/dlの被験者が5名、125〜150mg/dlの被験者が3名、151〜200mg/dlの被験者が1名となり、200mg/dlの被験者は0名となった。特に、摂取前は高ヘモグロビンAIC値(5.9%以上)であった被験者の割合87.5%が、摂取後には66.7%に減少した。 以上より、この試験群においては、混合粉体の摂取前後でヘモグロビンAIC値が有意に減少することが確認できた。 [実施例4] コレステロール値上昇抑制試験 40歳以上の日本人(女性及び男性)12名を被験者とした。各被験者に対して、実施例1の混合粉体を、1日当たりの摂取量を1〜2gとし、毎日の摂取頻度で3ヶ月間摂取してもらい、摂取前後のコレステロール値(標準値範囲120〜220mg/dl)を測定した。結果を表3に示す。 摂取前のコレステロール値について、170〜200mg/dlの被験者が1名、200〜220mg/dlの被験者が1名、221〜250mg/dlの被験者が5名、251〜270mg/dlの被験者が5名であったが、これらが摂取後には、170〜200mg/dlの被験者が2名、200〜220mg/dlの被験者が5名、221〜250mg/dlの被験者が4名、251〜270mg/dlの被験者が1名となった。特に、摂取前は高コレステロール値(220mg/dl以上)であった被験者10名が、摂取後には5名に半減した。 以上より、この試験群においては、混合粉体の摂取前後でコレステロール値が有意に減少することが確認できた。 [実施例5] 眼圧値上昇抑制試験 40歳以上の日本人(女性及び男性)55名を被験者とした。各被験者に対して、実施例1の混合粉体を、1日当たりの摂取量を1〜2gとし、毎日の摂取頻度で2〜3ヶ月間摂取してもらい、摂取前後の眼圧値(標準値範囲10〜20mmHgであるが、15mmHg以下が望ましい)を測定した。結果を表4に示す。 摂取前の眼圧値(右眼)について、15mmHg以下であった被験者が15名、16〜20mmHgであった被験者が31名、21mmHg以上であった被験者が9名であり、左眼について15mmHg以下であった被験者が15名、16〜20mmHgであった被験者が33名、21mmHg以上であった被験者が7名であった。これに対し、摂取後には、右眼について15mmHg以下であった被験者が34名、16〜20mmHgであった被験者が19名、21mmHg以上であった被験者が2名であり、左眼について15mmHg以下であった被験者が40名、16〜20mmHgであった被験者が14名、21mmHg以上であった被験者が1名となった。 特に目標とする眼圧値15mmHg以下が、右眼について摂取前15名から摂取後34名に、左眼について摂取前15名から摂取後40名に、と大幅な改善効果が得られた。このように大幅な改善効果が得られた理由は必ずしも明らかではないが、実施例4のコレステロール値の減少に起因し、特に成分Aに含有されるイヌリンによる効果であると推測される。 なお、眼科において、平成5年までは失明の第1位は糖尿病が要因であったが、平成6年からは緑内障が第1位となっている。その原因の1つに網膜のコレステロールが挙げられており、目とコレステロールとの因果関係は重要であるといわれている。また緑内障も生活習慣病の1つと考えられる。 [実施例6] ダイエット効果確認試験 実施例2と同じ日本人15名を被験者とした。各被験者に対して、実施例1の混合粉体を、1日当たりの摂取量を1〜2gとし、毎日の摂取頻度で3ヶ月間摂取してもらい、摂取前後の体重を測定した。その結果、摂取前と比較して摂取後には、15名全員について1〜4kgの減量効果が確認された。以上より、この試験群においては、混合粉体の摂取前後で体重が有意に減少することが確認できた。 インスリンは糖質をグリコーゲンという形でエネルギーとしてヒトの体内に取り込むものと考えられるが、過剰な糖質は、体脂肪として体内に蓄えられるために肥満となりうる。本例でダイエット効果が確認できたのは、イヌリン効果により糖分が除去されたことによるものと推測される。 [実施例7] 便性状確認試験及び便通効果確認試験 実施例2と同じ日本人15名を被験者とした。各被験者に対して、実施例1の混合粉体を、1日当たりの摂取量を1〜2gとし、毎日の摂取頻度で3ヶ月間摂取してもらい、摂取前後の便の臭気を評価した。その結果、摂取前と比較して摂取後には、15名全員について便の悪臭が無くなることが確認された。これは腸内フローラの善玉菌が確実に増えていることで、悪臭の元となるガス発生菌の大腸菌やウェルシュ菌が抑制されたことによるものと推測される。 また同様の量を同様の摂取頻度で同様の期間摂取してもらい、摂取前後の便通状況を評価した。その結果、摂取前と比較して摂取後には、15名全員について便通効果が改善された。これは、成分A及び成分Bの両成分とも水溶性繊維質であることから当然便通は良くなり、便秘が改善されたものと推測される。 [実施例8] 重量換算での含有比が2.5(菊芋パウダー:核酸パウダー=2.5:1)となるように菊芋パウダーと核酸パウダーを配合した以外は実施例1と同じ条件で、予防又は改善剤の一例としての、15kgの混合粉体を得た。得られた混合粉体を用いて、実施例2〜実施例7と同じ条件で同一の試験を行ったところ、同様の効果が確認できた。 [実施例9] 重量換算での含有比が3.0(菊芋パウダー:核酸パウダー=3:1)となるように菊芋パウダーと核酸パウダーを配合した以外は実施例1と同じ条件で、予防又は改善剤の一例としての、15kgの混合粉体を得た。得られた混合粉体を用いて、実施例2〜実施例7と同じ条件で同一の試験を行ったところ、同様の効果が確認できた。 イヌリンを含有する植物(成分A)と、豆類を含む培地で複数の乳酸菌を含む混合微生物を共棲培養して得られる培養物又はその処理物(成分B)とを、有効成分として含有する生活習慣病の予防又は改善剤。 有効成分中での成分Aと成分Bの含有比(A/B)は、乾燥重量換算で、1.5〜3.5である請求項1記載の予防又は改善剤。 培養物の処理物が、大豆と黒豆を含む培地で数十種の乳酸菌を含む混合微生物を共棲培養して得られる培養物から抽出した代謝エキスを含む請求項1又は2記載の予防又は改善剤。 イヌリンを含有する植物が菊芋である請求項1〜3の何れか一項記載の予防又は改善剤。 有効成分は、ともに粉末状の成分A及び成分Bを含む混合粉体で構成してある請求項1〜4の何れか一項記載の予防又は改善剤。 請求項5記載の混合粉体を顆粒化した顆粒物で構成してある予防又は改善剤。 請求項5記載の混合粉体又は請求項6記載の顆粒物を打錠して錠剤化した予防又は改善剤。 【課題】生活習慣病の予防又は改善剤を提供する。【解決手段】菊芋(成分A)と、大豆と黒豆を含む培地で複数の乳酸菌を含む混合微生物を共棲培養して得られる培養物から抽出した代謝エキス(成分B)とを、有効成分として含有する生活習慣病の予防又は改善剤とする。有効成分中での成分Aと成分Bの含有比(A/B)は、乾燥重量換算で1.5〜3.5であることが望ましい。【選択図】なし