生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_加工割れ感受性評価方法
出願番号:2012001643
年次:2013
IPC分類:G01N 3/08


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加田 修 戸田 正弘 成宮 洋輝 宮西 慶 JP 2013142559 公開特許公報(A) 20130722 2012001643 20120106 加工割れ感受性評価方法 新日鐵住金株式会社 000006655 田中 久喬 100105441 内藤 俊太 100107892 加田 修 戸田 正弘 成宮 洋輝 宮西 慶 G01N 3/08 20060101AFI20130625BHJP JPG01N3/08 4 5 OL 11 2G061 2G061AA02 2G061AB01 2G061BA03 2G061BA18 2G061CA01 2G061CB04 2G061EA02 2G061EB07 本発明は、棒鋼を所定の寸法に切断した円柱状被加工素材を冷間鍛造により歯車等の鍛造部品を製造する際の素材表面に生じる加工割れ感受性を評価する方法に関する。 自動車や産業機械に使用される歯車等の部品は、棒鋼を素材として所定の寸法に切断した円柱状被加工素材を熱間鍛造した後、切削加工して製造される。しかしながら、省工程、省エネルギーを目的に、冷間鍛造によって歯車等の部品を製造することがあり、今後、さらにこの工法が増加する傾向である。素材を冷間鍛造する際には、素材の加工限度が問題となり、加工限度はほとんどの場合、被加工材に生ずる加工割れによって規制される。従って材料の冷間鍛造時の割れに関しての優劣、すなわち加工性について適切な評価を下すことは、目的とする加工に対しての材料の選択または適否の判定のために、あるいは与えられた材料に対する妥当な加工度の算定または加工の成否の推定のために極めて必要なことである。 そのため材料の冷間加工性を評価する方法として、幾つかの試験方法が提案されている。例えば、冷間据え込み性試験方法では、棒鋼素材から円柱試験体を切り出し、その円柱試験体を軸方向に圧縮し、割れ発生の有無を観察して、限界据え込み率を求めて素材の加工性を評価する方法である。割れ発生は、微細な割れ(長さ0.5〜1.0mm)が始めて観察されたときとし、試験体の高さを測定して、割れ発生高さ(hc)とする。そして、最初の試験体の高さをh0とした時に、限界据え込み率εhc(%)は、εhc=(h0−hc)/h0×100の式によって求めるものである(例えば、非特許文献1参照)。 また、棒鋼は圧延時の微小なロール疵や皺等がある表面性状を呈していて、圧延したままの素材、あるいは圧延材を焼鈍やボンデ処理した素材、これら素材をピーリングしない状態で切断した円柱被加工素材の表面性状も同様である。このような被加工素材の表面性状は、加工割れに大きな影響を与えるものである。しかし、従来の据え込み性試験方法では、小径の円柱試験体を棒鋼素材から切り出した後、切削加工して製作することが多く、円柱試験体は棒鋼の表面性状を有しておらず、棒鋼を切断したままの円柱被加工素材の表面加工割れについての評価をすることができない。棒鋼素材を切断した円柱試験体を作製することも可能であるが、例えば55mmφ程度と大きい場合、棒鋼の強度によっては15000kNを超えるような荷重を要し、試験のために負荷能力の高いプレス装置を必要とするという問題がある。 また、他の試験方法として提案されている円筒工具試験法では、表面にV形の溝を格子状に付けた円筒工具の円筒面で円柱試験体をその軸方向に圧縮する方法(例えば、非特許文献2参照)がある。この方法は、試験体の高さと直径の比、圧縮した試験体に割れの発生した時の最小高さ部の高さ減少率で材料の冷間据え込み性を評価する。 この試験方法は、低荷重で可能な試験方法であるが、それでも冷間据え込み性試験方法の1/3程度の荷重が必要である。例えば、55mmφ試験体では5000kN超の負荷能力の試験機が必要となる。「塑性と加工」vol.22、No.241((1981−2)、139〜144頁「塑性と加工」vol.18、No.202((1977−11)、923〜929頁 そこで、本発明は、このような問題点に鑑み、圧延したままの棒鋼素材を所定の寸法に切断して作製した円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ感受性を、圧縮荷重の大きなプレス装置を用いなくても、適切に評価することができる円柱被加工素材の表面加工割れ感受性評価方法を提供することを課題とするものである。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究し、その結果、棒鋼素材を所定の寸法に切断し、中央部をくり貫いて中空試験体を作製し、中空試験体を直径方向にへん平させた際の外表層での割れ発生状況から、限界へん平率を求めることで、棒鋼素材を所定の寸法に切断した円柱被加工素材を中心軸方向に圧縮(冷間鍛造)する際に発生する表面加工割れを適切に評価できる表面加工割れ感受性の評価方法を見出して本発明を完成した。 本発明の要旨は、次の通りである。 (1) 棒鋼素材を切断して作製した円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ感受性評価方法であって、棒鋼素材を切断し、中央部をくり貫いた中空試験体を作製し、該中空試験体を鉛直の直径方向にへん平させた際のへん平体のへん平率と、該へん平体の水平位置における外表層での割れ発生状況との関係から、下記式に規定する限界へん平率を求め、棒鋼素材を切断して作製した円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ性を、前記限界へん平率に基づいて評価することを特徴とする円柱被加工素材の表面加工割れ感受性評価方法。限界扁平率εhi=(h0−hi)/h0×100(%)ここで、h0は最初の中空試験体の高さ(外径)(mm)、hiは水平位置における外表層で割れが発生する時の高さ(mm)を意味する。 (2) 前記中空試験体の外径D、内径dの関係が、d/D>0.5であることを特徴とする、上記(1)に記載の円柱被加工素材の表面加工割れ感受性評価方法。 (3) 前記中空試験体は外径D、長さLの圧延ままの棒鋼から、外径D、内径d、長さLの中空試験体に加工することを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の円柱被加工素材の表面加工割れ感受性評価方法。 (4) 前記中空試験体は外径D、長さLの関係が、L/Dが0.5〜2であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の円柱被加工素材の表面加工割れ感受性評価方法。 本発明によれば、試験に要するプレスの所要荷重が冷間据込み性試験に比較して非常に低い荷重で実施することができ、さらに、圧延したままの太径棒鋼を切断して作製した円柱被加工素材の表面性状を含めて、冷間鍛造時の表面加工割れ感受性を評価できるという顕著な効果を奏することができる。従来の冷間据込み性試験を説明するための図で、(a)は試験体を軸方向に圧縮する前、(b)は圧縮した試験体に割れが生じた状態を説明するための図である。鉄鋼材料(S45C)の圧縮率(%)と鍛造荷重(kN)との関係を示す図である。従来の冷間据込み性試験のための細径の試験体を作製することを示す図である。(a)〜(d)は本発明の試験方法での中空試験体を鉛直方向(直径方向)にプレスで圧縮する状態を示す図である。へん平率と累積割れ率との関係を示す図である。 以下、本発明の実施の形態について説明する。 まず、鍛造業界で一般的に用いられている従来の冷間鍛造用鋼の加工限界評価方法である塑性加工学会冷鍛分科会推奨の冷間据込み性試験について述べる。この冷間据込み性試験は、図1(a)に示すように、試験体1を端面拘束冶具2で圧縮して、図1(b)に示すように圧縮された試験体3の側面に割れ4の発生する圧縮率を尺度として利用する方法である。 ところが、最近の鉄鋼材料では、限界圧縮率が75%程度あるので、図2の鉄鋼材料(S45C)の圧縮率(%)と鍛造荷重(kN)との関係に示すように、割れの発生まで圧縮するためには負荷能力の高い試験機が必要である。例えば、太径の55mmφ円柱試験体では12000kN超の負荷能力の試験機が必要となる。このため、太径の棒鋼を切断した円柱試験体ままでの試験は困難である。したがって、通常は、図3に示すように、太径の55mmφ棒鋼5から14mmφ程度の細径の試験体1を切り出して冷間据込み性試験に供されている。 この冷間据込み性試験では、負荷能力の高い試験機が必要であること、および被加工素材の表面性状を勘案した素材の表面加工割れ感受性の評価ができないことに鑑み、本発明は負荷能力の高い試験機を用いずに、低荷重で太径素材の加工限界が評価でき、かつ被加工素材の表面性状を勘案した素材の表面加工割れ感受性が評価できる方法について鋭意研究した。 まず、低荷重で太径素材の表面加工割れ感受性を評価できる試験を可能とするために、中空試験体を用いることを着想し、中空試験体を軸方向に圧縮する試験を試みたが、この試験では中空試験体が中間で座屈(腰折れ)してしまい素材の加工割れの評価を可能とする試験にならなかった。 そこで、さらに研究を進め、中空試験体を直径方向に圧縮する試験を実施した。その結果、中空試験体を鉛直の直径方向に圧縮するへん平試験を実施したところ、太径素材を切断して作製した円柱被加工素材の表面加工割れ感受性を有効に評価できることを知見して本発明を完成した。 本発明は、圧延したままの太径の棒鋼素材を切断し、中央部をくり貫いた中空試験体を作製し、該中空試験体を鉛直の直径方向にへん平させた際のへん平体のへん平率と、該へん平体の水平位置における外表層での割れ発生状況との関係から、限界へん平率を求め、該限界扁平率に基づいて圧延したままの棒鋼素材を切断して作製した円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ性を評価することに特徴がある。 以下、本発明に係わる圧延したままの太径の棒鋼素材を切断して作製した円柱被加工素材の表面加工割れ感受性を評価する試験方法について説明する。 本発明の方法は、素材の成分や熱処理の有無に関係なく、利用することができる。冷間鍛造品に一般的に用いられている鋼であるJIS S53C鋼(0.53%C、0.24%Si、0.77%Mn、0.018%P、0.005%S)の棒状素材を用いて、所定の減面率で圧延、球状化焼鈍(740℃×7hr−徐冷)して製造した45mmφ棒鋼を試験の供試材とした。 本発明では、この供試材から長さ50mm、内径36mm、外形45mm(内径/外径=0.80)の中空試験体を準備して、へん平試験を実施した。 へん平試験では、中空試験体を鉛直の直径方向にプレスで、図4(a)〜(d)に示すように、へん平体に圧縮するへん平試験を行なった。ここで、始めの高さh0(外径に相当する)、圧縮後の高さhとした時の(h0−h)/h0×100(%)をへん平率(%)とした。へん平率を種々変化させて、その時のへん平体の水平位置における外表層(側面)に生じた割れ発生状況を目視或いは10倍の拡大鏡で観察した。割れ発生は長さ0.5〜1.0mmの微細な割れが始めて観察された時を割れ発生時のへん平率とした。 複数の中空試験体についてへん平試験を行い割れ発生状況を調査し、へん平率と累積割れ率との関係を求めた。その結果を図5に示した。図5に示すように、この試験ではへん平率66%の時に累積割れ率50%となっていて、このときのへん平率を限界へん平率として評価した。そして、この扁平率66%の時に要した所要荷重は約200kNであった。 限界へん平率を求めるためには、へん平試験で中空試験体に割れの発生したことが始めて観察された扁平率以上のへん平率で、少なくとも6個、好ましくは6〜30個の中空試験体について扁平試験を実施して割れ個数を求める。図5に示した例では、中空試験体にへん平試験を実施し、へん平率64%で1個に割れが観察され、同じくへん平率66%で2個に割れが観察され、へん平率68%で2個に割れが観察され、そしてへん平率70%で1個に割れが観察された例を示している。そして、割れ個数が6個中で2+1個であるへん平率66%を累積割れ率50%と評価し、限界へん平率を66%とした。 したがって、限界へん平率εhi(%)は、最初の中空試験体の高さ(外径)をh0とし、累積割れ率が50%となる時の高さをhiとした時に、限界へん平率εhi=(h0−hi)/h0×100(%)の式によって求めることができる。 一方、比較例として、圧延したままの棒鋼を切断した外径45mmφで長さ67.5mmの円柱試験体を準備して、従来の冷間据込み性試験を行なった。その結果、限界据え込み率は72%で、所要荷重は6970kNを要した。また、前記棒鋼から外径25mmφで長さ37.5mmの円柱試験体を切り出して、従来の冷間据込み性試験を行なった。その結果、限界据え込み率は74%で、所要荷重は2200kNを要した。 後述する実施例に示すように、本発明に係わるへん平試験結果と従来の冷間据込み性試験結果とを比較すると、本発明での限界へん平率と従来の限界据え込み率とでは、被加工素材の加工割れ性の優劣については両者ほぼ同様な傾向を示していて、限界へん平率で被加工素材の加工割れ性を評価することが可能であることが確認できた。そして、本発明のへん平試験では試験に要する油圧プレスの所要荷重が冷間据込み性試験に比較して非常に低い荷重で実施することができ、さらに、加工割れに影響を与える棒鋼の表面性状を含めて被加工素材の加工割れ感受性を評価できる。 また、へん平試験で、中空試験体を鉛直の直径方向に圧縮してのへん平体の水平位置における外表層で割れが検出できるのは、中空試験体の肉厚が大きく影響するので、中空試験体の肉厚(外径D、内径dの関係)を所定の範囲にすることが重要である。 即ち、肉厚が厚すぎると中空部が早期に密着してへん平率60%弱までしかへん平加工ができなく、水平部よりも鉛直部の方が割れに対して厳しくなり、へん平試験が実施できなくなる。加工性の優れた素材の試験を可能とするためには、中空試験体の外径D、内径dの関係が、d/D>0.5であることが好ましい。また、d/Dの高い方が適用範囲は広くなるので、d/D=0.75〜0.85とすることがさらに好ましい。 また、中空試験体は、圧延したままの太径棒鋼(外径D)を切断して外径D、長さLの中実体とし、この中実体から、外径D、内径d、長さLの中空試験体に加工することによって製作される。ここで、長さLは特に限定する必要がないものであるが、L/D=0.5〜2の長さとすることが好ましい。L/Dが2を超えるとプレス装置を大きな設備とすることが必要になり好ましくない。また、L/Dが0.5未満であるとブレス時に安定して試験体を保持することが困難となる。 以下実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。 本実施例の試験では、棒鋼素材の外表層の加工割れ感受性を評価するため、中空円筒試験体のへん平試験並びに棒鋼素材の据込試験を行った。(素材) 素材にはJIS S45C(0.46%C、0.26%Si、0.76%Mn、0.020%P、0.010%S)の45mmφ圧延材を用いた。素材の外表面の影響を調べるために、外表層の表面性状を変化させた圧延材を作製した。圧延材は、仕上圧延ロールを、a)新品、b)交換直前、c)その中間、と変えた場合の圧延材を用意した。そして、この圧延材に、軟質化処理として球状化焼鈍処理(740℃×7hr−徐冷)を施したものを供試材として、以下の実験を行った。(試験体) 表1および表2の本発明例では、外表層は受け入れままで機械加工をせず、内径側及び長さ方向に機械加工を施し各種形状の中空試験体に加工した。 表2の比較例1〜3の45mmφ試験体は、45mmφ丸棒素材を切断して、円柱形状に切断した。比較例4〜6の14mmφ試験体は、45mmφ丸棒素材のr/2部(丸棒素材の表面からその直径の1/4内側の位置が試験体の中心になるように)から試験体を機械加工により採取した。そして、いずれの機械加工面の粗さも、JIS B0601(‘82)に準じた十点平均粗さRaが2〜3μmとなるようにした。(鍛造装置) 試験には最大負荷能力10000kNの油圧式プレスを用いた。いずれの試験条件においても、治具の圧下速度は50mm/s一定とした。 治具として、へん平試験では平滑治具を、据込試験では同心円状の溝がついた拘束治具を用いた。そして、圧下毎の最大荷重(所要荷重)をロードセルにより測定した。(へん平試験) 本発明例のへん平試験方法は次の通り実施した。 まず、予備試験として、おおよその割れの出るへん平率を求めた。ここでは初回でへん平率40%まで圧下し、さらに割れが生じるまで、同じ試験体に対し2%ずつへん平率を加えた。 割れが発生するかどうかは、へん平後の試験体の水平部分を倍率10倍の拡大鏡により観察し、亀裂長さが0.5〜1.0mmになったものを割れと判定した。 表1に示すように、各へん平率での割れ発生有無を試験した実施例では、予備試験の「本発明例1−0」では、へん平率68%で割れが発生し、その際の所用荷重は220kNであった。そして、本試験は、n数を6として試験した。予備試験で求められたへん平率より15%程度低いへん平率52%を初回のへん平率とした。実施例では「本発明例1−1〜1−6」のように、へん平率52%から2%ずつへん平率を増やした。 割れの発生したへん平率は、64%で1個、66%で2個、68%で3個であり、へん平率66%でn/2(累積割れ率50%)である3/6個が割れた。したがって限界へん平率は66%である。 さらに、上記に述べた手順で、各種試験体の限界へん平率を求めた。その結果を表2に示した。 本発明例1〜3は、試験体の内径d/外径D=0.76において、外表層面粗さが変わった場合の結果で、表面粗さの粗くなるほど限界へん平率が低下する結果が得られた。これは実際に部品を鍛造した場合の割れ感受性の順番と同一であった。 本発明例4〜6、7〜9は試験体形状(内径d)を変えた場合の結果で、本発明例1〜3と同様に、表面粗さの粗くなるほど限界へん平率が低下する結果が得られた。 本発明例での所要荷重は200kN以下で、小さな鍛造装置での割れ感受性評価が可能である。 比較例1〜3は、丸棒素材の外表層を残した状態での据込試験であり、表面粗さの粗くなるほど限界へん平率が低下する結果が得られた。これは実際に部品を鍛造した場合の割れ感受性の順番と同一であった。ただし所用荷重は7000kN近くに達しており、大きな鍛造装置が無ければ割れ感受性を評価することは出来ない。 比較例4〜6はφ14に機械加工した場合の据込試験である。所要荷重は小さいが、丸棒素材の外表層を除去してしまったため、限界据込率は75〜76%とほぼ同じ割れ感受性を示し、実際に部品を鍛造した場合の割れ感受性と不一致であり、評価方法として不適である。 比較例7〜9は、へん平試験であるが、試験体の内径d/外径D=0.44と、本発明で規定する範囲を外れるものである。この場合、内径部が早期に潰れてしまうため割れが発生せず、限界へん平率を求めることが出来なかった例である。1試験体2端面拘束冶具3圧縮された試験体4割れ 棒鋼素材を切断して作製した円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ感受性評価方法であって、棒鋼素材を切断し、中央部をくり貫いた中空試験体を作製し、該中空試験体を鉛直の直径方向にへん平させた際のへん平体のへん平率と、該へん平体の水平位置における外表層での割れ発生状況との関係から、下記式に規定する限界へん平率を求め、棒鋼素材を切断して作製した円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ性を、前記限界扁平率に基づいて評価することを特徴とする円柱被加工素材の表面加工割れ感受性評価方法。限界扁平率εhi=(h0−hi)/h0×100(%)ここで、h0は最初の中空試験体の高さ(外径)(mm)、hiは水平位置における外表層で割れが発生する時の高さ(mm)を意味する。 前記中空試験体の外径D、内径dの関係が、d/D>0.5であることを特徴とする、請求項1に記載の円柱被加工素材の表面加工割れ感受性評価方法。 前記中空試験体は外径D、長さLの圧延ままの棒鋼から、外径D、内径d、長さLの中空試験体に加工することを特徴とする、請求項1または2に記載の円柱被加工素材の表面加工割れ感受性評価方法。 前記中空試験体は外径D、長さLの関係が、L/Dが0.5〜2であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の円柱被加工素材の表面加工割れ感受性評価方法。 【課題】 圧延したままの棒鋼素材を所定の寸法に切断して作製した円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ感受性を、圧縮荷重の大きなプレス装置を用いなくても、適切に評価することができる円柱被加工素材の表面加工割れ感受性評価方法を提供する。【解決手段】 棒鋼素材を切断し、中央部をくり貫いた中空試験体を作製し、該中空試験体を鉛直の直径方向に偏平させた際の偏平体の偏平率と、該偏平体の水平位置における外表層での割れ発生状況との関係から、限界扁平率を求め、該限界扁平率に基づいて棒鋼素材を切断して作製した円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ性を評価することを特徴とする。【選択図】図5


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特許公報(B2)_加工割れ感受性評価方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_加工割れ感受性評価方法
出願番号:2012001643
年次:2015
IPC分類:G01N 3/08,B21J 5/00


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加田 修 戸田 正弘 成宮 洋輝 宮西 慶 JP 5737193 特許公報(B2) 20150501 2012001643 20120106 加工割れ感受性評価方法 新日鐵住金株式会社 000006655 特許業務法人樹之下知的財産事務所 110000637 田中 久喬 100105441 内藤 俊太 100107892 加田 修 戸田 正弘 成宮 洋輝 宮西 慶 20150617 G01N 3/08 20060101AFI20150528BHJP B21J 5/00 20060101ALI20150528BHJP JPG01N3/08B21J5/00 A G01N 3/00−3/62 B21J 5/00 特開平10−317054(JP,A) 特開2005−320575(JP,A) 特開2010−222634(JP,A) 米国特許出願公開第2007/0101789(US,A1) 4 2013142559 20130722 11 20140212 高橋 亨 本発明は、棒鋼を所定の寸法に切断した円柱状被加工素材を冷間鍛造により歯車等の鍛造部品を製造する際の素材表面に生じる加工割れ感受性を評価する方法に関する。 自動車や産業機械に使用される歯車等の部品は、棒鋼を素材として所定の寸法に切断した円柱状被加工素材を熱間鍛造した後、切削加工して製造される。しかしながら、省工程、省エネルギーを目的に、冷間鍛造によって歯車等の部品を製造することがあり、今後、さらにこの工法が増加する傾向である。素材を冷間鍛造する際には、素材の加工限度が問題となり、加工限度はほとんどの場合、被加工材に生ずる加工割れによって規制される。従って材料の冷間鍛造時の割れに関しての優劣、すなわち加工性について適切な評価を下すことは、目的とする加工に対しての材料の選択または適否の判定のために、あるいは与えられた材料に対する妥当な加工度の算定または加工の成否の推定のために極めて必要なことである。 そのため材料の冷間加工性を評価する方法として、幾つかの試験方法が提案されている。例えば、冷間据え込み性試験方法では、棒鋼素材から円柱試験体を切り出し、その円柱試験体を軸方向に圧縮し、割れ発生の有無を観察して、限界据え込み率を求めて素材の加工性を評価する方法である。割れ発生は、微細な割れ(長さ0.5〜1.0mm)が始めて観察されたときとし、試験体の高さを測定して、割れ発生高さ(hc)とする。そして、最初の試験体の高さをh0とした時に、限界据え込み率εhc(%)は、εhc=(h0−hc)/h0×100の式によって求めるものである(例えば、非特許文献1参照)。 また、棒鋼は圧延時の微小なロール疵や皺等がある表面性状を呈していて、圧延したままの素材、あるいは圧延材を焼鈍やボンデ処理した素材、これら素材をピーリングしない状態で切断した円柱被加工素材の表面性状も同様である。このような被加工素材の表面性状は、加工割れに大きな影響を与えるものである。しかし、従来の据え込み性試験方法では、小径の円柱試験体を棒鋼素材から切り出した後、切削加工して製作することが多く、円柱試験体は棒鋼の表面性状を有しておらず、棒鋼を切断したままの円柱被加工素材の表面加工割れについての評価をすることができない。棒鋼素材を切断した円柱試験体を作製することも可能であるが、例えば55mmφ程度と大きい場合、棒鋼の強度によっては15000kNを超えるような荷重を要し、試験のために負荷能力の高いプレス装置を必要とするという問題がある。 また、他の試験方法として提案されている円筒工具試験法では、表面にV形の溝を格子状に付けた円筒工具の円筒面で円柱試験体をその軸方向に圧縮する方法(例えば、非特許文献2参照)がある。この方法は、試験体の高さと直径の比、圧縮した試験体に割れの発生した時の最小高さ部の高さ減少率で材料の冷間据え込み性を評価する。 この試験方法は、低荷重で可能な試験方法であるが、それでも冷間据え込み性試験方法の1/3程度の荷重が必要である。例えば、55mmφ試験体では5000kN超の負荷能力の試験機が必要となる。「塑性と加工」vol.22、No.241((1981−2)、139〜144頁「塑性と加工」vol.18、No.202((1977−11)、923〜929頁 そこで、本発明は、このような問題点に鑑み、圧延したままの棒鋼素材を所定の寸法に切断して作製した円柱被加工棒鋼素材の冷間鍛造時の表面加工割れ感受性を、圧縮荷重の大きなプレス装置を用いなくても、適切に評価することができる棒鋼表面の加工割れ感受性評価方法を提供することを課題とするものである。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究し、その結果、圧延したままの棒鋼素材を所定の寸法に切断し、中央部をくり貫いて中空試験体を作製し、中空試験体を直径方向にへん平させた際の外表層での割れ発生状況から、限界へん平率を求めることで、棒鋼素材を所定の寸法に切断した円柱被加工棒鋼素材を中心軸方向に圧縮(冷間鍛造)する際に発生する表面加工割れを適切に評価できる棒鋼表面の加工割れ感受性の評価方法を見出して本発明を完成した。 本発明の要旨は、次の通りである。 (1) 圧延したままの棒鋼素材を切断し、中央部をくり貫いた中空試験体を作製し、該中空試験体を鉛直の直径方向にへん平させた際のへん平体のへん平率と、該へん平体の水平位置における外表層での割れ発生状況との関係から、下記式に規定する限界へん平率を求め、圧延したままの棒鋼素材を切断して作製した円柱被加工棒鋼素材の冷間鍛造時の表面加工割れ性を、前記限界へん平率に基づいて評価することを特徴とする棒鋼表面の加工割れ感受性評価方法。限界へん平率εhi=(h0−hi)/h0×100(%)ここで、h0は最初の中空試験体の高さ(外径)(mm)、hiは水平位置における外表層で割れが発生する時の高さ(mm)を意味する。 (2) 前記中空試験体の外径D、内径dの関係が、d/D>0.5であることを特徴とする、上記(1)に記載の棒鋼表面の加工割れ感受性評価方法。 (3) 前記中空試験体は外径D、長さLの圧延したままの棒鋼から、外径D、内径d、長さLの中空試験体に加工することを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の棒鋼表面の加工割れ感受性評価方法。 (4) 前記中空試験体は外径D、長さLの関係が、L/Dが0.5〜2であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の棒鋼表面の加工割れ感受性評価方法。 本発明によれば、試験に要するプレスの所要荷重が冷間据込み性試験に比較して非常に低い荷重で実施することができ、さらに、圧延したままの太径棒鋼を切断して作製した円柱被加工素材の表面性状を含めて、冷間鍛造時の表面加工割れ感受性を評価できるという顕著な効果を奏することができる。従来の冷間据込み性試験を説明するための図で、(a)は試験体を軸方向に圧縮する前、(b)は圧縮した試験体に割れが生じた状態を説明するための図である。鉄鋼材料(S45C)の圧縮率(%)と鍛造荷重(kN)との関係を示す図である。従来の冷間据込み性試験のための細径の試験体を作製することを示す図である。(a)〜(d)は本発明の試験方法での中空試験体を鉛直方向(直径方向)にプレスで圧縮する状態を示す図である。へん平率と累積割れ率との関係を示す図である。 以下、本発明の実施の形態について説明する。 まず、鍛造業界で一般的に用いられている従来の冷間鍛造用鋼の加工限界評価方法である塑性加工学会冷鍛分科会推奨の冷間据込み性試験について述べる。この冷間据込み性試験は、図1(a)に示すように、試験体1を端面拘束冶具2で圧縮して、図1(b)に示すように圧縮された試験体3の側面に割れ4の発生する圧縮率を尺度として利用する方法である。 ところが、最近の鉄鋼材料では、限界圧縮率が75%程度あるので、図2の鉄鋼材料(S45C)の圧縮率(%)と鍛造荷重(kN)との関係に示すように、割れの発生まで圧縮するためには負荷能力の高い試験機が必要である。例えば、太径の55mmφ円柱試験体では12000kN超の負荷能力の試験機が必要となる。このため、太径の棒鋼を切断した円柱試験体ままでの試験は困難である。したがって、通常は、図3に示すように、太径の55mmφ棒鋼5から14mmφ程度の細径の試験体1を切り出して冷間据込み性試験に供されている。 この冷間据込み性試験では、負荷能力の高い試験機が必要であること、および被加工素材の表面性状を勘案した棒鋼表面の加工割れ感受性の評価ができないことに鑑み、本発明は負荷能力の高い試験機を用いずに、低荷重で圧延したままの太径素材の加工限界が評価でき、かつ被加工素材の表面性状を勘案した棒鋼表面の加工割れ感受性が評価できる方法について鋭意研究した。 まず、低荷重で太径素材の表面加工割れ感受性を評価できる試験を可能とするために、中空試験体を用いることを着想し、中空試験体を軸方向に圧縮する試験を試みたが、この試験では中空試験体が中間で座屈(腰折れ)してしまい素材の加工割れの評価を可能とする試験にならなかった。 そこで、さらに研究を進め、中空試験体を直径方向に圧縮する試験を実施した。その結果、中空試験体を鉛直の直径方向に圧縮するへん平試験を実施したところ、太径素材を切断して作製した円柱被加工素材の表面加工割れ感受性を有効に評価できることを知見して本発明を完成した。 本発明は、圧延したままの太径の棒鋼素材を切断し、中央部をくり貫いた中空試験体を作製し、該中空試験体を鉛直の直径方向にへん平させた際のへん平体のへん平率と、該へん平体の水平位置における外表層での割れ発生状況との関係から、限界へん平率を求め、該限界へん平率に基づいて圧延したままの棒鋼素材を切断して作製した円柱被加工棒鋼素材の冷間鍛造時の表面加工割れ性を評価することに特徴がある。 以下、本発明に係わる圧延したままの太径の棒鋼素材を切断して作製した円柱被加工素材の表面加工割れ感受性を評価する試験方法について説明する。 本発明の方法は、素材の成分や熱処理の有無に関係なく、利用することができる。冷間鍛造品に一般的に用いられている鋼であるJIS S53C鋼(0.53%C、0.24%Si、0.77%Mn、0.018%P、0.005%S)の棒状素材を用いて、所定の減面率で圧延、球状化焼鈍(740℃×7hr−徐冷)して製造した45mmφ棒鋼を試験の供試材とした。 本発明では、この供試材から長さ50mm、内径36mm、外形45mm(内径/外径=0.80)の中空試験体を準備して、へん平試験を実施した。 へん平試験では、中空試験体を鉛直の直径方向にプレスで、図4(a)〜(d)に示すように、へん平体に圧縮するへん平試験を行なった。ここで、始めの高さh0(外径に相当する)、圧縮後の高さhとした時の(h0−h)/h0×100(%)をへん平率(%)とした。へん平率を種々変化させて、その時のへん平体の水平位置における外表層(側面)に生じた割れ発生状況を目視或いは10倍の拡大鏡で観察した。割れ発生は長さ0.5〜1.0mmの微細な割れが始めて観察された時を割れ発生時のへん平率とした。 複数の中空試験体についてへん平試験を行い割れ発生状況を調査し、へん平率と累積割れ率との関係を求めた。その結果を図5に示した。図5に示すように、この試験ではへん平率66%の時に累積割れ率50%となっていて、このときのへん平率を限界へん平率として評価した。そして、このへん平率66%の時に要した所要荷重は約200kNであった。 限界へん平率を求めるためには、へん平試験で中空試験体に割れの発生したことが始めて観察されたへん平率以上のへん平率で、少なくとも6個、好ましくは6〜30個の中空試験体についてへん平試験を実施して割れ個数を求める。図5に示した例では、中空試験体にへん平試験を実施し、へん平率64%で1個に割れが観察され、同じくへん平率66%で2個に割れが観察され、へん平率68%で2個に割れが観察され、そしてへん平率70%で1個に割れが観察された例を示している。そして、割れ個数が6個中で2+1個であるへん平率66%を累積割れ率50%と評価し、限界へん平率を66%とした。 したがって、限界へん平率εhi(%)は、最初の中空試験体の高さ(外径)をh0とし、累積割れ率が50%となる時の高さをhiとした時に、限界へん平率εhi=(h0−hi)/h0×100(%)の式によって求めることができる。 一方、比較例として、圧延したままの棒鋼を切断した外径45mmφで長さ67.5mmの円柱試験体を準備して、従来の冷間据込み性試験を行なった。その結果、限界据え込み率は72%で、所要荷重は6970kNを要した。また、前記棒鋼から外径25mmφで長さ37.5mmの円柱試験体を切り出して、従来の冷間据込み性試験を行なった。その結果、限界据え込み率は74%で、所要荷重は2200kNを要した。 後述する実施例に示すように、本発明に係わるへん平試験結果と従来の冷間据込み性試験結果とを比較すると、本発明での限界へん平率と従来の限界据え込み率とでは、被加工素材の加工割れ性の優劣については両者ほぼ同様な傾向を示していて、限界へん平率で被加工素材の加工割れ性を評価することが可能であることが確認できた。そして、本発明のへん平試験では試験に要する油圧プレスの所要荷重が冷間据込み性試験に比較して非常に低い荷重で実施することができ、さらに、加工割れに影響を与える棒鋼の表面性状を含めて被加工素材の加工割れ感受性を評価できる。 また、へん平試験で、中空試験体を鉛直の直径方向に圧縮してのへん平体の水平位置における外表層で割れが検出できるのは、中空試験体の肉厚が大きく影響するので、中空試験体の肉厚(外径D、内径dの関係)を所定の範囲にすることが重要である。 即ち、肉厚が厚すぎると中空部が早期に密着してへん平率60%弱までしかへん平加工ができなく、水平部よりも鉛直部の方が割れに対して厳しくなり、へん平試験が実施できなくなる。加工性の優れた素材の試験を可能とするためには、中空試験体の外径D、内径dの関係が、d/D>0.5であることが好ましい。また、d/Dの高い方が適用範囲は広くなるので、d/D=0.75〜0.85とすることがさらに好ましい。 また、中空試験体は、圧延したままの太径棒鋼(外径D)を切断して外径D、長さLの中実体とし、この中実体から、外径D、内径d、長さLの中空試験体に加工することによって製作される。ここで、長さLは特に限定する必要がないものであるが、L/D=0.5〜2の長さとすることが好ましい。L/Dが2を超えるとプレス装置を大きな設備とすることが必要になり好ましくない。また、L/Dが0.5未満であるとブレス時に安定して試験体を保持することが困難となる。 以下実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。 本実施例の試験では、棒鋼素材の外表層の加工割れ感受性を評価するため、中空円筒試験体のへん平試験並びに棒鋼素材の据込試験を行った。(素材) 素材にはJIS S45C(0.46%C、0.26%Si、0.76%Mn、0.020%P、0.010%S)の45mmφ圧延材を用いた。素材の外表面の影響を調べるために、外表層の表面性状を変化させた圧延材を作製した。圧延材は、仕上圧延ロールを、a)新品、b)交換直前、c)その中間、と変えた場合の圧延材を用意した。そして、この圧延材に、軟質化処理として球状化焼鈍処理(740℃×7hr−徐冷)を施したものを供試材として、以下の実験を行った。(試験体) 表1および表2の本発明例では、外表層は受け入れままで機械加工をせず、内径側及び長さ方向に機械加工を施し各種形状の中空試験体に加工した。 表2の比較例1〜3の45mmφ試験体は、45mmφ丸棒素材を切断して、円柱形状に切断した。比較例4〜6の14mmφ試験体は、45mmφ丸棒素材のr/2部(丸棒素材の表面からその直径の1/4内側の位置が試験体の中心になるように)から試験体を機械加工により採取した。そして、いずれの機械加工面の粗さも、JIS B0601(‘82)に準じた十点平均粗さRaが2〜3μmとなるようにした。(鍛造装置) 試験には最大負荷能力10000kNの油圧式プレスを用いた。いずれの試験条件においても、治具の圧下速度は50mm/s一定とした。 治具として、へん平試験では平滑治具を、据込試験では同心円状の溝がついた拘束治具を用いた。そして、圧下毎の最大荷重(所要荷重)をロードセルにより測定した。(へん平試験) 本発明例のへん平試験方法は次の通り実施した。 まず、予備試験として、おおよその割れの出るへん平率を求めた。ここでは初回でへん平率40%まで圧下し、さらに割れが生じるまで、同じ試験体に対し2%ずつへん平率を加えた。 割れが発生するかどうかは、へん平後の試験体の水平部分を倍率10倍の拡大鏡により観察し、亀裂長さが0.5〜1.0mmになったものを割れと判定した。 表1に示すように、各へん平率での割れ発生有無を試験した実施例では、予備試験の「本発明例1−0」では、へん平率68%で割れが発生し、その際の所用荷重は220kNであった。そして、本試験は、n数を6として試験した。予備試験で求められたへん平率より15%程度低いへん平率52%を初回のへん平率とした。実施例では「本発明例1−1〜1−6」のように、へん平率52%から2%ずつへん平率を増やした。 割れの発生したへん平率は、64%で1個、66%で2個、68%で3個であり、へん平率66%でn/2(累積割れ率50%)である3/6個が割れた。したがって限界へん平率は66%である。 さらに、上記に述べた手順で、各種試験体の限界へん平率を求めた。その結果を表2に示した。 本発明例1〜3は、試験体の内径d/外径D=0.76において、外表層面粗さが変わった場合の結果で、表面粗さの粗くなるほど限界へん平率が低下する結果が得られた。これは実際に部品を鍛造した場合の割れ感受性の順番と同一であった。 本発明例4〜6、7〜9は試験体形状(内径d)を変えた場合の結果で、本発明例1〜3と同様に、表面粗さの粗くなるほど限界へん平率が低下する結果が得られた。 本発明例での所要荷重は200kN以下で、小さな鍛造装置での割れ感受性評価が可能である。 比較例1〜3は、丸棒素材の外表層を残した状態での据込試験であり、表面粗さの粗くなるほど限界へん平率が低下する結果が得られた。これは実際に部品を鍛造した場合の割れ感受性の順番と同一であった。ただし所用荷重は7000kN近くに達しており、大きな鍛造装置が無ければ割れ感受性を評価することは出来ない。 比較例4〜6はφ14に機械加工した場合の据込試験である。所要荷重は小さいが、丸棒素材の外表層を除去してしまったため、限界据込率は75〜76%とほぼ同じ割れ感受性を示し、実際に部品を鍛造した場合の割れ感受性と不一致であり、評価方法として不適である。 比較例7〜9は、へん平試験であるが、試験体の内径d/外径D=0.44と、本発明で規定する範囲を外れるものである。この場合、内径部が早期に潰れてしまうため割れが発生せず、限界へん平率を求めることが出来なかった例である。1試験体2端面拘束冶具3圧縮された試験体4割れ 圧延したままの棒鋼素材を切断し、中央部をくり貫いた中空試験体を作製し、該中空試験体を鉛直の直径方向にへん平させた際のへん平体のへん平率と、該へん平体の水平位置における外表層での割れ発生状況との関係から、下記式に規定する限界へん平率を求め、圧延したままの棒鋼素材を切断して作製した円柱被加工棒鋼素材の冷間鍛造時の表面加工割れ性を、前記限界へん平率に基づいて評価することを特徴とする棒鋼表面の加工割れ感受性評価方法。限界へん平率εhi=(h0−hi)/h0×100(%)ここで、h0は最初の中空試験体の高さ(外径)(mm)、hiは水平位置における外表層で割れが発生する時の高さ(mm)を意味する。 前記中空試験体の外径D、内径dの関係が、d/D>0.5であることを特徴とする、請求項1に記載の棒鋼表面の加工割れ感受性評価方法。 前記中空試験体は外径D、長さLの圧延したままの棒鋼から、外径D、内径d、長さLの中空試験体に加工することを特徴とする、請求項1または2に記載の棒鋼表面の加工割れ感受性評価方法。 前記中空試験体は外径D、長さLの関係が、L/Dが0.5〜2であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の棒鋼表面の加工割れ感受性評価方法。


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