タイトル: | 特許公報(B2)_有機シリコーン微粒子、有機シリコーン微粒子を含有する化粧料、樹脂組成物及び現像用トナー |
出願番号: | 2011545872 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C08G 77/04,C08G 77/06,C08L 101/00,A61K 8/891,A61Q 1/14,G03G 9/08 |
石川 文義 保居 守 齋藤 千秋 JP 5522859 特許公報(B2) 20140418 2011545872 20091215 有機シリコーン微粒子、有機シリコーン微粒子を含有する化粧料、樹脂組成物及び現像用トナー 竹本油脂株式会社 000210654 入山 宏正 100081798 石川 文義 保居 守 齋藤 千秋 20140618 C08G 77/04 20060101AFI20140529BHJP C08G 77/06 20060101ALI20140529BHJP C08L 101/00 20060101ALI20140529BHJP A61K 8/891 20060101ALI20140529BHJP A61Q 1/14 20060101ALI20140529BHJP G03G 9/08 20060101ALI20140529BHJP JPC08G77/04C08G77/06C08L101/00A61K8/891A61Q1/14G03G9/08 372 C08G 77/00−77/62 A61K 8/00−8/99 A61Q 1/00−1/14 C08L 101/00−101/14 G03G 9/00−9/18 特開2000−191788(JP,A) 特開2006−117867(JP,A) 特開2003−171465(JP,A) 特開2006−089514(JP,A) 8 JP2009070884 20091215 WO2011074066 20110623 21 20121017 岡▲崎▼ 忠 本発明は、有機シリコーン微粒子、有機シリコーン微粒子を含有する化粧料、樹脂組成物及び現像用トナーに関する。微粒子は従来から様々な材料のものが多方面にわたり実用に供されてきている。その形状については、多くは不定形であり、それらはそれぞれに工業材料として相応の役割を担ってきている。しかし、近年、種々の用途において、その要求される特性が高度化するに伴い、微粒子の形状を制御されたものが望まれる場面が多くなってきている。例えば、デイスプレー部品や光拡散板等の分野での光学特性の向上、電子部品分野でのサイズの微小化、化粧料における使用性や使用感の向上、トナーの現像性に関与する流動性保持性の向上等が挙げられる。本発明はこのような微粒子への要望の高度化に応える有機シリコーン微粒子であって、表面に複数の不定形の面と、不定形の面を囲む網状の凸部を有する全体として球状を呈する有機シリコーン微粒子に関するものである。 従来、形状を制御された微粒子については、無機微粒子や有機微粒子について多くの提案がある。これらのうちで、有機微粒子については、ポリスチレン系微粒子(例えば、特許文献1参照)、ポリウレタン系微粒子(例えば、特許文献2参照)、ポリイミド系微粒子(例えば、特許文献3参照)、有機シリコーン系微粒子(例えば、特許文献4参照)等の提案がある。しかし、これら従来の有機微粒子は殆どが真球状又は概ね球状のものであるところ、近年では、これらの使用場面での要求の高度化はこれらの真球状や概ね球状の有機微粒子では対応できない事態が増えてきている。そのため、形状を変えた有機微粒子として、中空で大きな凹凸のある有機微粒子(例えば、特許文献5参照)、表面に複数の小さなくぼみを有する有機微粒子(例えば、特許文献6参照)、ラグビーボール様有機微粒子(例えば、特許文献7参照)、半球状有機微粒子(例えば、特許文献8参照)等の変形有機微粒子についての提案もある。しかし、これら従来の変形有機微粒子でも、近年における実際の使用場面での高度の要求に充分に応えることが難しくなっているという問題がある。特開平11−292907号公報特開平11−116649号公報特開平11−140181号公報特開昭61―159427号公報特開平07−157672号公報特開2000−191788号公報特開2003−171465号公報特開2003−128788号公報 本発明が解決しようとする課題は、近年における実際の使用場面での高度の要求、例えば樹脂組成物においては全光線透過率やヘイズ等の光学特性の更なる改善、また耐熱着色性の更なる改善、化粧料においては使用性(使用時の伸びや広がり)の更なる改善、また使用感(べとつき、凹凸感、持続性)の更なる改善、現像用トナーにおいては流動性保持性の更なる改善に充分に応えることができる有機シリコーン微粒子、該有機シリコーン微粒子を含有する化粧料、樹脂組成物及び現像用トナーを提供する処にある。 本発明者らは前記の課題を解決するべく検討した結果、表面に複数の不定形の面(21)と、不定形の面(21)を囲む網状の凸部(31)とを有する全体として球状の特定の有機シリコーン微粒子が正しく好適であることを見出した。 すなわち本発明は、表面に複数の不定形の面(21)と、不定形の面(21)を囲む網状の凸部(31)とを有する全体として球状を呈する有機シリコーン微粒子であって、下記のa)及びb)の条件を満たすものであり、且つ下記の化1で示されるシロキサン単位を15〜35モル%、化2で示されるシロキサン単位を55〜75モル%及び化3で示されるシロキサン単位1〜20モル%(合計100モル%)の割合で有するポリシロキサン架橋構造体から成るものであることを特徴とする有機シリコーン微粒子に係る。また本発明は、かかる有機シリコーン微粒子を含有する化粧料、樹脂組成物及び現像トナーに係る。 a)粒子径(L1)の平均値が0.1〜20μmの範囲にあること。 b)微粒子1個当たりの不定形の面(21)の数が20以上であること。 但し、粒子径(L1)の平均値は有機シリコーン微粒子の走査型電子顕微鏡写真像から抽出した任意の20個についての平均値であり、また微粒子1個当たりの不定形の面(21)の数は有機シリコーン微粒子の走査型電子顕微鏡写真像から観察される不定形の面(21)の数を2倍した数である。 化2及び化3において、 R1,R2,R3:炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基 先ず、本発明に係る有機シリコーン微粒子(以下、本発明の有機シリコーン微粒子という)について説明する。本発明の有機シリコーン微粒子は、表面に複数の不定形の面(21)と、不定形の面(21)を囲む網状の凸部(31)とを有する全体として球状を呈する有機シリコーン微粒子であって、前記したa)及びb)の条件を満たすものである。 a)の条件は、粒子径(L1)の平均値が0.1〜20μmの範囲にあることである。またb)の条件は、有機シリコーン微粒子1個当たりの不定形の面(21)の数が20以上であることである。ここで、粒子径(L1)の平均値は、有機シリコーン微粒子の走査型電子顕微鏡写真像から抽出した任意の20個についての平均値であり、また有機シリコーン微粒子1個当たりの不定形の面(21)の数は、有機シリコーン微粒子の走査型電子顕微鏡写真像から観察される不定形の面(21)の数を2倍した数である。 本発明の有機シリコーン微粒子は、その表面(11)に複数の不定形の面(21)を有している。不定形の面(21)の大きさは特に制限されないが、0.05≦不定形の面(21)の最大径(m1)の平均値/粒子径(L1)の平均値≦0.5の範囲にあるものが好ましい。ここで、不定形の面(21)の最大径(m1)の平均値は、有機シリコーン微粒子の走査型電子顕微鏡写真像から抽出した任意の20個について不定形の面(21)の最大径(m1)から算出した平均値である。 また本発明の有機シリコーン微粒子は、複数の不定形の面(21)が網状の凸部(31)に囲まれている。不定形の面(21)を囲む網状の凸部(31)の幅は特に制限されないが、0.02≦不定形の面(21)を囲む網状の凸部(31)の幅の最小値(n1)の平均値/粒子径(L1)の平均値≦0.1の範囲にあるものが好ましい。ここで、不定形の面(21)を囲む網状の凸部(31)の幅の最小値(n1)の平均値は、有機シリコーン微粒子の走査型電子顕微鏡写真像から抽出した任意の20個について隣接する二つの不定形の面(21)に挟まれた凸部(31)の幅の最小値(n1)から算出した平均値である。 更に本発明の有機シリコーン微粒子は、不定形の面(21)から見て不定形の面(21)を囲む網状の凸部(31)が高い位置にある。不定形の面(21)から見たその高さは特に制限されないが、0.01≦不定形の面(21)から見た網状の凸部(31)の高さの最高値(r1)の平均値/粒子径(L1)の平均値≦0.1の範囲にあるものが好ましい。ここで、不定形の面(21)から見た網状の凸部(31)の高さの最高値(r1)の平均値は、有機シリコーン微粒子の走査型電子顕微鏡写真像から抽出した任意の20個について、不定形の面(21)から見た凸部(31)の高さの最高値(r1)から算出した平均値である。 本発明の有機シリコーン微粒子の有用な特性の一つとして吸油量の高さがある。かかる吸油量はとくに制限されないが、40〜120ml/100gのものであることが好ましい。 本発明の有機シリコーン微粒子は、シロキサン単位が3次元の網目構造を形成するポリシロキサン架橋構造体から成るものであり、前記の化1で示されるシロキサン単位、化2で示されるシロキサン単位及び化3で示されるシロキサン単位から構成されたものである。 化2中のR1、化3中のR2及びR3は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であるが、なかでもメチル基が好ましい。化2で示されるシロキサン単位、化3で示されるシロキサン単位としては、メチルシロキサン単位、エチルシロキサン単位、プロピルシロキサン単位、ブチルシロキサン単位、フェニルシロキサン単位等が挙げられ、好ましいシロキサン単位としては、メチルシロキサン単位が挙げられる。 本発明の有機シリコーン微粒子において、ポリシロキサン架橋構造体を前記したようなシロキサン単位で構成する場合、化1で示されるシロキサン単位を15〜35モル%、化2で示されるシロキサン単位を55〜75モル%及び化3で示されるシロキサン単位を1〜20モル%(合計100モル%)の構成割合とする。 本発明の有機シリコーン微粒子は以下の方法により製造することができる。すなわち、下記の化4で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物を15〜35モル%、化5で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物を55〜75モル%及び化6で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物を1〜20モル%(合計100モル%)となる割合で用いて、先ず化4で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物からこれを酸性触媒存在下で水と接触させて加水分解することによりシラノール化合物を生成させ、次にこのシラノール化合物と化5で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物及び化6で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物とを酸性触媒及び両性界面活性剤を存在させた水性条件下で縮合反応させることにより得ることができる。 化4,化5及び化6において、 R4,R5,R6:炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基 X,Y,Z:炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシエトキシ基、炭素数2〜4のアシロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基を有するN,N−ジアルキルアミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子又は水素原子 化5中のR4,化6中のR5及びR6は炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であるが、なかでもメチル基が好ましい。 化4で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物は、結果として化1で示されるシロキサン単位を形成することとなる化合物である。化4中のXは、1)メトキシ基やエトキシ基等の、炭素数1〜4のアルコキシ基、2)メトキシエトキシ基やブトキシエトキシ基等の、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシエトキシ基、3)アセトキシ基やプロピオキシ基等の、炭素数2〜4のアシロキシ基、4)ジメチルアミノ基やジエチルアミノ基等の、炭素数1〜4のアルキル基を有するN,N−ジアルキルアミノ基、5)ヒドロキシ基、6)塩素原子や臭素原子等のハロゲン原子、又は7)水素原子である。 具体的に、化4で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、トリメトキシエトキシシシラン、トリブトキシエトキシシラン、テトラプロピオキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラ(ジメチルアミノ)シラン、テトラ(ジエチルアミノ)シラン、シランテトラオール、クロルシラントリオール、ジクロルジシラノール、テトラクロルシラン、クロルトリハイドロジェンシラン等が挙げられるが、なかでもテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシランが好ましい。 化5で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物は、結果として化2で示されるシロキサン単位を形成することとなる化合物である。化5中のYは前記した化4中のXと同様であり、また化5中のR4は前記した化2中のR1と同様である。 具体的に、化5で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリブトキシエトキシシラン、メチルトリプロピオキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルシラントリオール、メチルクロルジシラノール、メチルトリクロルシラン、メチルトリハイドロジェンシラン等が挙げられるが、なかでも化2中のR1について前記したように、結果としてメチルシロキサン単位、エチルシロキサン単位、プロピルシロキサン単位、ブチルシロキサン単位又はフェニルシロキサン単位を形成することとなるシラノール基形成性ケイ素化合物が好ましく、メチルシロキサン単位を形成することとなるシラノール基形成性ケイ素化合物がより好ましい。 化6で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物は、結果として化3で示されるシロキサン単位を形成することとなる化合物である。化6中のZは前記した化4中のXと同様であり、また化6中のR5、R6は前記した化3中のR2、R3と同様である。 具体的に、化6で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物としては、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジブトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、メチルフェニルメトキシエトキシシラン、ジメチルブトキシエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジプロピオキシシラン、ジメチルジ(ジメチルアミノ)シラン、ジメチルジ(ジエチルアミノ)シラン、ジメチルシランジオール、ジメチルクロルシラノール、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジハイドロジェンシラン等が挙げられるが、なかでも化3中のR2,R3について前記したように、結果としてジメチルシロキサン単位、ジエチルシロキサン単位、ジプロピルシロキサン単位、ジブチルシロキサン単位又はメチルフェニルシロキサン単位を形成することとなるシラノール基形成性ケイ素化合物が好ましく、ジメチルシロキサン単位を形成することとなるシラノール基形成性ケイ素化合物がより好ましい。 有機シリコーン微粒子を製造するに当たっては、以上説明した化4で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物、化5で示されるシラノール基形成性化合物及び化6で示されるシラノール基形成性化合物を、化4で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物を15〜35モル%、化5で示されるシラノール基形成性化合物を55〜75モル%及び化6で示されるシラノール基形成性化合物を1〜20モル%(合計100モル%)となる割合で用い、先ず化4で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物からこれを酸性触媒存在下で水と接触させて加水分解することによりシラノール化合物を生成させる。加水分解するための酸性触媒は従来公知のものを用いることができる。これには例えば、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等の無機酸類や、蟻酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、硫酸デシル、硫酸ドデシル、硫酸テトラデシル、硫酸ヘキサデシル等の有機酸類が挙げられる。加水分解時における触媒量は、原料として用いたシラノール基形成性ケイ素化合物の合計量に対し0.001〜0.500質量%となるように用いるのが好ましい。 次にこのシラノール化合物と化5で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物及び化6で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物とを酸性触媒及び両性界面活性剤を存在させた水性条件下で縮合反応させる。縮合反応するための酸性触媒としては前記した加水分解するための酸性触媒と同様に従来公知のものを用いることができる。縮合反応するための酸性触媒は、原料として用いたシラノール基形成性ケイ素化合物の合計量に対し0.001〜0.500質量%となるように用いるのが好ましい。 酸性触媒と共に反応系に加える両性界面活性剤としては、公知の両性界面活性剤を使用できる。かかる両性界面活性剤としてはベタイン型両性界面活性剤、アラニン型界面活性剤が挙げられるが、ベタイン型両性界面活性剤が好ましい。かかるベタイン型両性界面活性剤としては、オクチルジメチルアンモニオアセタート、デシルジメチルアンモニオアセタート、ドデシルジメチルアンモニオアセタート、ヘキサデシルジメチルアンモニオアセタート、オクタデシルジメチルアンモニオアセタート、ノナデシルジメチルアンモニオアセタート、オクタデセニルジメチルアンモニオアセタート等が挙げられる。両性界面活性剤は、原料として用いたシラノール基形成性ケイ素化合物の合計量に対し0.001〜0.550質量%となるように用いるのが好ましい。 水/シラノール基形成性ケイ素化合物全量の仕込み割合は、通常、10/90〜70/30(質量比)とする。触媒の使用量は、その種類及びシラノール基形成性ケイ素化合物の種類によっても異なるが、通常、シラノール基形成性ケイ素化合物の全量に対して1質量%以下となるようにし、好ましくは0.001〜0.550質量%となるようにする。また反応温度は、通常0〜40℃とするが、加水分解反応によって生成させたシラノール化合物の即製的な縮合反応を避けるために30℃以下とするのが好ましい。 本発明では、以上のようなシラノール基形成性ケイ素化合物の加水分解及び縮合反応を経て有機シリコーン微粒子を生成させる。本発明において、縮合反応の触媒としては加水分解における前記したような触媒を使用できるので、加水分解により生成させたシラノール化合物を含有する反応液をそのまま縮合反応に供することもできるし、該反応液に更に触媒を加えて縮合反応に供することもできるし、又は該反応液中に残存する触媒や未反応のシラノール基形成性ケイ素化合物を失活又は除去してから縮合反応に供することもできる。また水性懸濁液中の有機シリコーン微粒子の固形分は通常2〜20質量%となるようにするが、好ましくは5〜15質量%となるように水の量を調整する。 本発明の有機シリコーン微粒子は、前記のような加水分解及び縮合反応後における反応系の水性懸濁液から分離し、例えば金網に通して抜き取り、遠心分離法又は加圧濾過法等により脱水して、固形分を30〜70%に調整した含水物として用いることができるが、更に乾燥したものを使用することもできる。乾燥したものは、水性懸濁液を金網に通して抜き取り、遠心分離法又は加圧濾過法等により脱水し、その脱水物を100〜250℃で加熱乾燥する方法、水性懸濁液を真空条件下において30〜150℃で加熱乾燥する方法、水性懸濁液をスプレードライヤーにより直接100〜250℃で加熱乾燥する方法等によって得ることができるが、これらの乾燥物は、例えばジェットミル粉砕機を用いて解砕してから用いるのが好ましい。 かくして得られる有機シリコーン微粒子は、表面に複数の不定形の面(21)と、不定形の面(21)を囲む網状の凸部(31)とを有する全体として球状を呈する有機シリコーン微粒子であって、前記のa)及びb)の条件を満たす有機シリコーン微粒子である。 次に、本発明に係る化粧料(以下、本発明の化粧料という)について説明する。本発明の化粧料は、本発明の有機シリコーン微粒子を0.1〜10質量%含有するものである。本発明の化粧料は、本発明の有機シリコーン微粒子が有する優れた光学特性、高い吸油量等を利用し、これを液状、クリーム状又はプレス状の基礎化粧料やメークアップ化粧料の成分として用いた場合、凹凸感が少なくギラツキの少ないソフトフォーカス効果、肌のしみ等の隠蔽性、肌へののりや密着感において優れ、皮脂による化粧落ちに対して有用である。 本発明の化粧料を製造するに当たっては、本発明の有機シリコーン微粒子の他に体質顔料、白色顔料、パール顔料、着色顔料(染料)、結合油剤、水、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、香料等を適宜に使用することができる。本発明の化粧料は、本発明に係る有機シリコーン微粒子と共にこれらの他の原料を均一に分散させる公知の方法で調製できる。 次に、本発明に係る樹脂組成物(以下、本発明の樹脂組成物という)について説明する。本発明の樹脂組成物は、本発明の有機シリコーン微粒子を0.1〜10質量%含有するものである。本発明の樹脂組成物は高分子材料を主材とする樹脂組成物の特性改良の要求が強い用途で有用である。例えば照明器具やデイスプレー部品等においては、光の効率的な利用、機能の高度化等から、光透過性及びヘイズが共に高く、その一方で耐熱着色性に優れた樹脂組成物の出現が強く求められているが、本発明の樹脂組成物はこれらの分野で有用である。 最後に、本発明に係る現像用トナー(以下、本発明の現像用トナーという)について説明する。本発明の現像用トナーは、本発明の有機シリコーン微粒子を0.1〜10質量%含有するものである。本発明の現像用トナーは、トナー中又は現像剤中に、本発明の有機シリコーン微粒子を適量混在させることにより、トナー表面からの脱離を阻止し、トナーの流動性保持性を高める。 以上説明した本発明には、近年における実際の使用場面での高度の要求、例えば樹脂組成物においては全光線透過率やヘイズ等の光学特性の更なる改善、また化粧料においては使用性や使用感の更なる改善、そして現像用トナーにおいてはトナーの流動性保持性の更なる改善に応える新規の有機シリコーン微粒子を提供することができるという効果がある。本発明の有機シリコーン微粒子を略示する拡大正面図。本発明の有機シリコーン微粒子を略示する拡大断面図。 以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。 試験区分1(有機シリコーン微粒子の合成) ・実施例1{有機シリコーン微粒子(P−1)の合成} 反応容器にイオン交換水2000gを採り、この中に30%塩酸水溶液0.09gを加えて溶解した。更にテトラエトキシシラン159.3g(0.77モル)を加え、15℃で60分間、攪拌下で加水分解を行った。別の反応容器で2−[3−(ドデカノイルアミノ)プロパ−1−イル(ジメチル)アミニオ]アセタート0.70g及び30%塩酸水溶液2.70gをイオン交換水350gに溶解した水溶液を調製して10℃に冷却し、攪拌下、この中に同温度に調整した前記の加水分解物溶液を徐々に滴下した。更にメチルトリメトキシシラン338.7g(2.49モル)、ジメチルジメトキシシラン69.0g(0.57モル)を加え、全体を13〜15℃に保ちながら、1時間静置した。同温度で4時間縮合反応させ、その後60℃まで加温して同温度で5時間縮合反応させて、白色懸濁液を得た。得られた白色懸濁液を一夜静置した後、デカンテーションにより液相を除去して得た白色固体相を常法により水洗し、乾燥して、有機シリコーン微粒子(P−1)を得た。 前記の有機シリコーン微粒子(P−1)について、以下のように、走査型電子顕微鏡による観察及び測定、吸油量の測定、元素分析、ICP発光分光分析、FT−IRスペクトル分析、NMRスペクトル分析を行った。有機シリコーン微粒子(P−1)は、表面に複数の不定形の面(21)と、不定形の面(21)を囲む網状の凸部(31)とを有する全体として球状を呈する有機シリコーン微粒子であって、粒子径(L1)の平均値が2.6μm、有機シリコーン微粒子(P−1)の1個当たりの不定形の面(21)の数が72個であった。また不定形の面(21)の最大径(m1)の平均値/粒子径(L1)の平均値は0.25であり、不定形の面(21)を囲む網状の凸部(31)の幅の最小値(n1)の平均値/粒子径(L1)の平均値は0.056であって、不定形の面(21)から見た網状の凸部(31)の高さの最大値(r1)の平均値/粒子径(L1)の平均値は0.034であった。尚、得られた有機シリコーン微粒子(P−1)は、化1で示されるシロキサン単位を20モル%、化2で示されるシロキサン単位を65モル%及び化3で示されるシロキサン単位を15モル%(合計100モル%)の割合で有するポリシロキサン架橋構造体から成る有機シリコーン微粒子であった。 ・走査型電子顕微鏡による観察及び測定:走査型電子顕微鏡(日立社製の商品名SEMEDX TypeN)を用い、有機シリコーン微粒子を2000〜10000倍で観察し、走査型電子顕微鏡写真を得た。この像中から任意に20個の有機シリコーン微粒子(P−1)を抽出して、粒子径(L1)を実測し、L1の平均値を求めた。また有機シリコーン微粒子1個当たりの不定形の面(21)の数はその走査型電子顕微鏡写真像から観察される不定形の面(21)の数を2倍した数とした。更に不定形の面(21)の最大径(m1)の平均値は、有機シリコーン微粒子の走査型電子顕微鏡写真像から抽出した任意の20個について、不定形の面(21)の最大径(m1)を求め、その平均値とした。更にまた不定形の面(21)を囲む網状の凸部(31)の幅の最小値(n1)の平均値は、有機シリコーン微粒子の走査型電子顕微鏡写真像から抽出した任意の20個について、隣接する二つの不定形の面(21)に挟まれた凸部(31)の幅の最小値(n1)を求め、その平均値とした。そして不定形の面(21)から見た網状の凸部(31)の高さの最大値(r1)を求め、その平均値とした。 ・有機シリコーン微粒子の吸油量の測定:JIS K5101−13−1:2004に準拠して測定した。 ・有機シリコーン微粒子を構成するシロキサン単位の分析:有機シリコーン微粒子5gを精秤し、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液250mlに加え、有機シリコーン微粒子中の加水分解性基を全て水酸化ナトリウム水溶液に抽出処理した。抽出処理液から超遠心分離により有機シリコーンを微粒子を分離し、分離した有機シリコーン微粒子を水洗した後、200℃で5時間乾燥したものを、元素分析、ICP発光分光分析、FT−IRスペクトル分析に供して、全炭素含有量及びケイ素含有量を測定すると共に、ケイ素−炭素結合、ケイ素―酸素―ケイ素結合を確認した。これらの分析値、固体の29SiについてCP/MASのNMRスペクトルの積分値、原料に用いた化5で示されるシラノール形成性ケイ素化合物のR4の炭素数及び化6で示されるシラノール形成性ケイ素化合物のR5、R6の炭素数より、化1で示されるシロキサン単位の割合、化2で示されるシロキサン単位の割合及び化3で示されるシロキサン単位の割合を算出した。 ・実施例2〜7{有機シリコーン微粒子(P−2)〜(P−7)の合成} 実施例1の有機シリコーン微粒子(P−1)と同様にして、実施例2〜7の有機シリコーン微粒子(P−2)〜(P−7)を合成し、実施例1と同様の観察、測定及び分析を行った。 ・比較例1{有機シリコーン微粒子(R−1)の合成} 反応容器にイオン交換水1080gを仕込み、この中に酢酸0.2gを加えて均一な溶液とした。更にメチルトリメトキシシラン1788.8g(8.6モル)及びテトラエトキシシラン190.4g(1.4モル)を加え、温度を30℃に保ちながら加水分解反応を行なった。約30分間でシラノール化合物を含有する透明な反応液を得た。別の反応容器にイオン交換水475g及びドデシルベンゼンスルホン酸50gをとり、充分に溶かした後、温度を80〜85℃にした。これに前記の透明な反応液300gを約2時間かけて滴下し、縮合反応を行なった。15分間熟成後、徐冷し、室温になるまで1時間撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム水溶液でpH7.0になるように調整し、有機シリコーン微粒子の水性懸濁液を得た。この水性懸濁液から白色微粒子を濾別した。得られた白色微粒子を水洗し、150℃で3時間、熱風乾燥を行なって有機シリコーン微粒子(R−1)594gを得た。有機シリコーン微粒子(R−1)について、実施例1と同様の観察、測定及び分析を行った。以上で合成した各例の有機シリコーン微粒子の内容を表1〜3にまとめて示した。 表1において、 使用割合:モル% 濃度:原料として用いたシラノール基形成性ケイ素化合物の合計量に対する質量% SM−1:テトラエトキシシラン SM−2:テトラメトキシシラン SM−3:メチルトリメトキシシラン SM−4:プロピルトリブトキシシラン SM−5:フェニルトリメトキシシラン SM−6:ジメチルジメトシキシラン SM−7:メチルフェニルメトキシエトキシシラン CA−1:塩酸 CA−2:酢酸 CA−3:ドデシルベンゼンスルホン酸 Z−1:2−[3−(ドデカノイルアミノ)プロパ−1−イル(ジメチル)アミニオ]アセタート Z−2:3−[2−ヘプタデカ−8−エン−1−イル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−1−イウム−1−イル]プロパノアート 表2において、 割合:モル% S−1:無水ケイ酸単位 S−2:メチルシロキサン単位 S−3:プロピルシロキサン単位 S−4:フェニルシロキサン単位 S−5:ジメチルシロキサン単位 S−6:メチルフェニルシロキサン単位 *1:表面に複数の不定形の面(21)と、不定形の面(21)を囲む網状の凸部(31)を有する全体としては球状 *2:表面に複数のほぼ円形の小さなくぼみを有する全体としては球状 表3において、 L1の平均値:抽出した任意の20個の有機シリコーン微粒子について、粒子径(L1)の平均値 m1の平均値:抽出した任意の20個の有機シリコーン微粒子について、不定形の面(21)の最大径(m1)の平均値 n1の平均値:抽出した任意の20個の有機シリコーン微粒子について、不定形の面(21)を囲む凸部(31)の幅の最小値(n1)の平均値 r1の平均値:抽出した任意の20個の有機シリコーン微粒子について、不定形の面(21)から見た網状の凸部(31)の高さの最高値(r1)の平均値 試験区分2(ファンデーションの調製及び評価) 次のように、比較のための有機シリコーン微粒子等を用意した上で、表5記載の各例の有機シリコーン微粒子等を用いてファンデーションを調製し、評価した。 ・有機シリコーン微粒子(R−2)の合成 四つ口フラスコに、イオン交換水526g、25質量%アンモニア水1.6g及びメタノール118部を仕込み、撹拌しながら2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン30gを滴下口から添加して、その加水分解及び縮合反応によりオルガノポリシロキサン粒子の乳濁液を調製した。この乳濁液の調製時間は、加水分解及び縮合反応の開始から2時間とした。調製した乳濁液の一部を採取し、ベックマンコールター社製の商品名コールターマルチサイザーにより測定したオルガノポリシロキサン粒子の平均粒子径は、2.02μmであった。別にポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製の商品名ハイテノールNF−08)2.5g及びイオン交換水175gで調製した乳化剤溶液に、単官能単量体としてスチレン60g、多官能単量体としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート40g及び架橋剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製の商品名V−65)2gを加え、ホモミキサーにより6000rpm、5分間の条件で処理して、単量体エマルションを調製した。そしてこの単量体エマルションに前記の乳濁液を混合し、撹拌した。単量体エマルションの混合から2時間後、混合液の一部を採取し、顕微鏡で観察したところ、オルガノポリシロキサン粒子が、単量体エマルションの成分を吸収して肥大化していた。そこで次に、単量体エマルションと乳濁液との混合液を、窒素雰囲気下で65℃に昇温させた後、その温度を2時間保持することにより、オルガノポリシロキサン粒子に吸収された単量体をラジカル重合させた。最後に、固液分離により前記のラジカル重合後の液から得られたケーキをエタノールで洗浄し、更に80℃で12時間真空乾燥させて、有機シリコーン微粒子(R−2)の粒子を得た。この有機シリコーン微粒子(R−2)を試験区分1と同様に走査型電子顕微鏡で観察し、測定したところ、その平均粒子径は3.5μmであり、その粒子表面には、複数の不規則形状の凹部が存在することを確認できた。 ・ファンデーションの調製 表4記載の番号1〜7の顔料を表4記載の配合比率となるようにミキサーを用いて混合した。別に表4記載の番号8〜12の成分を表4記載の配合比率となるように採り、40℃に加熱して混合したものを前記のミキサーによる混合物中に加え、再度混合した。得られた混合物を放置し、冷却した後、粉砕し、成型して、ファンデーションを調製した。 ・ファンデーションの評価 上記試料を女性パネラー20名にその使用性(使用時の伸びや広がり)、使用感(べとつき、凹凸感、持続性)につき、下記の評価基準で個々の項目の評価を行った。結果の平均を四捨五入して表5に示した。 評価基準 5:非常に良い 4:良い 3:普通 2:やや悪い 1:悪い 表5において、 R−3:球状シリコーン微粒子(東芝シリコーン社製の商品名トスパール120) R−4:球状ビニル系微粒子(ガンツ化成社製の商品名ガンツパールGSM1261) R−5:タルク 表5からも明らかなように、本発明の有機シリコーン微粒子は、化粧料に用いると、使用性や使用感において優れた効果を発揮する。 試験区分3(ポリカーボネート樹脂組成物の調製及び評価) 次のように、表6記載の各例の有機シリコーン微粒子等を用いてポリカーボネート樹脂組成物を調製し、評価した。 ・ポリカーボネート樹脂組成物の調製 ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製の商品名パンライトK1285)100部に表7記載の有機シリコーン微粒子等0.7部を加え、混合した後、ベント付40mmφの二軸押出機を用いて、樹脂温度280℃で溶融混練し、押し出しを行い、ポリカーボネート樹脂組成物としてのペレットを作製した。このペレットを射出成形機に供し、シリンダー温度230℃、金型温度60℃で成形し、厚さ3mm、巾200mmの試験板を得た。 ・ポリカーボネート樹脂組成物の評価 ポリカーボネート樹脂組成物としてのペレットを用いて作製した前記の試験片を用い、次のように全光線透過率及びヘイズを測定すると共に、耐熱着色性を求めた。結果を表6にまとめて示した。 ・全光線透過率及びヘイズ:JIS−K7105(1981)に準拠し、日本電色工業社製の商品名NDH−2000を用いて測定した。 ・耐熱着色性:試験片を、温度80℃の熱風循環オーブンの中に入れて180分間保持した。かかる加熱処理前後における試験片の着色度合いを色彩色差計(ミノルタ社製の商品名CR−300)を用いてb値の測定を行い、JIS−Z8729(2004)に規定された表色指数で示し、下記の数1に従ってΔbを算出した。 数1において、 b1:加熱処理前の試験片のb値 b2:加熱処理後の試験片のb値 表6において、 R−6:炭酸カルシウム 全光線透過率:% 耐熱着色性:Δbの値 表6からも明らかなように、本発明の有機シリコーン微粒子は、樹脂組成物に用いると、全光線透過率やヘイズ及び耐熱着色性において優れた効果を発揮する。 試験区分4(現像用トナーの調製及び評価) 次のように、表7記載の各例の有機シリコーン微粒子等を用いて現像用トナーを調製し、評価した。 ・現像用トナーの調製 次の(1)〜(12)の手順にしたがって、現像用トナーを調製した。 (1)微粒子分散液の調製 反応容器に、水683g、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(三洋化成工業社製の商品名エレミノールRS−30)11g、スチレン83g、メタクリル酸83g、アクリル酸ブチル110g及び過硫酸アンモニウム1gを仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し、5時間反応させた。更に1%過硫酸アンモニウム水溶液30gを加え、75℃で5時間熟成して、ビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(微粒子分散液1)を得た。この微粒子分散液1の重量平均粒径は105nmであった。またこの微粒子分散液1の一部を乾燥して樹脂分を単離したところ、該樹脂分のガラス転移温度は59℃であり、重量平均分子量は15万であった。 (2)水相の調製 水990g、前記の微粒子分散液1を83g、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業社製の商品名エレミノールMON−7)37g及び酢酸エチル90gを混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを水相1とした。 (3)低分子ポリエステルの合成 反応容器に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229g、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529g、テレフタル酸208g、アジピン酸46g及びジブチルチンオキサイド2gを入れ、常圧下に230℃で8時間反応し、更に10〜15mmHgの減圧下に5時聞反応した後、無水トリメリット酸44gを入れ、常圧下に180℃で2時間反応し、低分子ポリエステル1を得た。この低分子ポリエステル1は、数平均分子量2500、重量平均分子量6700、ガラス転移温度43℃、酸価25であった。 (4)中間体ポリエステル及びプレポリマーの合成 反応容器に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682g、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81g、テレフタル酸283g、無水トリメリット酸22g及びジブチルチンオキサイド2gを入れ、常圧下に230℃で8時間反応し、更に10〜15mmHgの減圧下に5時間反応して、中間体ポリエステル1を得た。この中間体ポリエステル1は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、ガラス転移温度55℃、酸価0.5、水酸基価51であった。次に、別の反応容器に、前記の中間体ポリエステル1を410g、イソホロンジイソシアネート89g及び酢酸エチル500gを入れ、100℃で5時間反応し、プレポリマー1を得た。このプレポリマー1の遊離イソシアネート質量%は、1.53%であった。 (5)ケチミンの合成 反応容器に、イソホロンジアミン170g及びメチルエチルケトン75gを仕込み、50℃で5時間反応を行ない、ケチミン化合物1を得た。このケチミン化合物1のアミン価は418であった。 (6)マスターバッチの作製 水35g、フタロシアニン顔料(東洋インキ社製の商品名FG7351)40g、ポリエステル樹脂(三洋化成社製の商品名RS801)60gをヘンシェルミキサーで混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練した後、圧延し、冷却し、パルペライザーで粉砕して、マスターバッチ1を得た。 (7)顔料・ワックス分散液の調製 容器に、前記の低分子ポリエステル1を378g、カルナバワックス110g、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業社製)22g及び酢酸エチル947gを仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のままで5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで、別の容器に、前記のマスターバッチ1を500g及び酢酸エチル500gを仕込み、1時間混合して原料溶解液1を得た。この原料溶解液1の1324gを別の容器に移し、ビーズミル(アイメックス社製の商品名ウルトラビスコミル)を用いて、送液速度1kg/時、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラックとワックスの分散を行った。次いで、前記の低分子ポリエステル1の65%酢酸エチル溶液1324g加え、前記と同じ条件下にビーズミルで1パスし、顔料・ワックス分散液1を得た。この顔料・ワックス分散液1の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。 (8)乳化スラリーの調製 前記の顔料・ワックス分散液1を648g、前記のプレポリマー1を154g及び前記のケチミン化合物1を6.6g容器に入れ、ホモミキサーにより5000rpmで1分間混合した後、これに前記の水相1を1200g加え、更にホモミキサーにより回転数13000rpmで20分間混合して、乳化スラリー1を得た。 (9)形状制御スラリーの調製 イオン交換水、活性剤、増粘剤を適宜な割合で容器に入れて攪拌した水溶液に、前記の乳化スラリー1を混合し、ホモミキサーにより2000rpmで1時間混合して、形状制御スラリー1を得た。 (10)分散スラリーの調製 容器に、前記の形状制御スラリー1を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行ない、分散スラリー1を得た。 (11)トナー母体粒子の調製 前記の分散スラリー1の100gを減圧濾過した後、以下のようにして、洗浄及び乾燥等を行ない、トナー母体粒子Aを得た。 1):濾過ケーキにイオン交換水100gを加え、ホモミキサーにより、回転数12000rpmで10分間混合した後、濾過した。 2):1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100gを加え、ホモミキサーにより、12000rpmで30分間混合した後、減圧濾過した。 3):2)の濾過ケーキに10%塩酸100gを加え、ホモミキサーにより、12000rpmで10分間混合した後、濾過した。 4):3)の濾過ケーキにイオン交換水300gを加え、ホモミキサーにより、12000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行ない、濾過ケーキ1を得た。この濾過ケーキ1を循風乾燥機により、45℃で48時間乾燥し、目開き75μmのメッシュで篩い、最終的なトナー母体粒子Aを得た。 (12)現像用トナーの調製 表7記載の各例の有機シリコーン微粒子等を前記のトナー母体粒子A中に1.0%となるように加え、ヘンシェルミキサーにて攪拌翼の周速が20m/sで混合した後、これに平均粒子径が15nmのイソブチル処理された疎水性酸化チタン0.8g及び平均粒子径が12nmのヘキサメチルジシラザン処理された疎水性シリカ1.0gをヘンシェルミキサーにて攪拌翼の周速が20m/sで混合して、現像用トナーを得た。 ・現像用トナーの評価 表7記載の各例の現像用トナーについて、次のように、流動性保持性を評価した。先ず、調製直後の現像用トナーを、ホソカワミクロン社製の商品名パウダーテスターPT−Sに供して、流動性を測定し、得られた値をXとする。次に調製直後の現像用トナー10gと表面コートを施していない体積平均径50μmの鉄粉キャリア20gとを混合し、50mlのガラス製バイアル管に封入したものを、SEIWA GIKEN社製の商品名ROCKING MILLに供し、最大振動振幅にて強制振動を与えた。30分後、25ミクロン篩にて現像用トナーと鉄粉キャリアとに分離し、分離した現像用トナーを前記と同じパウダーテスターPT−Sに供して、流動性を測定し、得られた値をYとする。そして、XとYとから、流動性保持性を数2にしたがって算出し、下記の基準で評価した。結果を表7にまとめて示した。 評価基準 AA:流動性保持性が85以上 A:流動性保持性が75以上85未満 B:流動性保持性が65以上75未満 C:流動性保持性が65未満 表7からも明らかなように、本願発明の有機シリコーン微粒子は、現像用トナーに用いると、現像用トナーの流動性保持性において優れた効果を発揮する。 21 不定形の面 31 網状の凸部 L1 粒子径 m1 不定形の面の最大径 n1 網状の凸部の幅の最小値 r1 不定形の面から見た網状の凸部の高さの最高値 表面に複数の不定形の面(21)と、不定形の面(21)を囲む網状の凸部(31)とを有する全体として球状を呈する有機シリコーン微粒子であって、下記のa)及びb)の条件を満たすものであり、且つ下記の化1で示されるシロキサン単位を15〜35モル%、化2で示されるシロキサン単位を55〜75モル%及び化3で示されるシロキサン単位1〜20モル%(合計100モル%)の割合で有するポリシロキサン架橋構造体から成るものであることを特徴とする有機シリコーン微粒子。 a)粒子径(L1)の平均値が0.1〜20μmの範囲にあること。 b)有機シリコーン微粒子1個当たりの不定形の面(21)の数が20以上であること。 {但し、粒子径(L1)の平均値は、有機シリコーン微粒子の走査型電子顕微鏡写真像から抽出した任意の20個についての平均値であり、また有機シリコーン微粒子1個当たりの不定形の面(21)の数は、有機シリコーン微粒子の走査型電子顕微鏡写真像から観察される不定形の面(21)の数を2倍した数である。} (化2及び化3において、 R1 ,R2 ,R3 :炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基) 0.05≦不定形の面(21)の最大径(m1)の平均値/粒子径(L1)の平均値≦0.5の範囲にある請求項1記載の有機シリコーン微粒子。 {但し、不定形の面(21)の最大径(m1)の平均値は、有機シリコーン微粒子の走査型電子顕微鏡写真像から抽出した任意の20個について不定形の面(21)の最大径(m1)から算出した平均値} 0.02≦不定形の面(21)を囲む網状の凸部(31)の幅の最小値(n1)の平均値/粒子径(L1)の平均値≦0.1の範囲にある請求項1又は2記載の有機シリコーン微粒子。 {但し、不定形の面(21)を囲む網状の凸部(31)の幅の最小値(n1)の平均値は、有機シリコーン微粒子の走査型電子顕微鏡写真像から抽出した任意の20個について隣接する二つの不定形の面(21)に挟まれた凸部(31)の幅の最小値(n1)から算出した平均値} 0.01≦不定形の面(21)から見た網状の凸部(31)の高さの最高値(r1)の平均値/粒子径(L1)の平均値≦0.1の範囲にある請求項1〜3のいずれか一つの項記載の有機シリコーン微粒子。 {但し、不定形の面(21)から見た網状の凸部(31)の高さの最高値(r1)の平均値は、有機シリコーン微粒子の走査型電子顕微鏡写真像から抽出した任意の20個について、不定形の面(21)から見た凸部(31)の高さの最高値(r1)から算出した平均値} 吸油量が40〜120ml/100gのものである請求項1〜4のいずれか一つの項記載の有機シリコーン微粒子。 請求項1〜5のいずれか一つの項記載の有機シリコーン微粒子を0.1〜10質量%含有することを特徴とする化粧料。 請求項1〜5のいずれか一つの項記載の有機シリコーン微粒子を0.1〜10質量%含有することを特徴とする樹脂組成物。 請求項1〜5のいずれか一つの項記載の有機シリコーン微粒子を0.1〜10質量%含有することを特徴とする現像用トナー。