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タイトル:特許公報(B2)_ジフェニルアミン系化合物、及び老化防止剤、並びにポリマー組成物
出願番号:2011540482
年次:2015
IPC分類:C07C 317/36,C08L 101/00,C08K 5/41,C08L 33/04


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坂本 圭 桐木 智史 小川 知則 篠原 正将 JP 5811845 特許公報(B2) 20151002 2011540482 20101104 ジフェニルアミン系化合物、及び老化防止剤、並びにポリマー組成物 日本ゼオン株式会社 000229117 前田・鈴木国際特許業務法人 110001494 坂本 圭 桐木 智史 小川 知則 篠原 正将 JP 2009260096 20091113 20151111 C07C 317/36 20060101AFI20151022BHJP C08L 101/00 20060101ALI20151022BHJP C08K 5/41 20060101ALI20151022BHJP C08L 33/04 20060101ALI20151022BHJP JPC07C317/36C08L101/00C08K5/41C08L33/04 C07C 317/36 C08K 5/41 CAplus/REGISTRY(STN) 特表2005−533002(JP,A) 米国特許第02373335(US,A) 米国特許出願公開第2007/0129433(US,A1) 特開昭63−115855(JP,A) 特表2006−502197(JP,A) 12 JP2010069589 20101104 WO2011058918 20110519 24 20130913 品川 陽子 本発明は、高い耐熱性が求められるゴム材料等に対しても効果が高い老化防止剤として用いることができる新規なジフェニルアミン系化合物、及び、該化合物を含む老化防止剤、特にポリマー用老化防止剤、並びに、該化合物とポリマーとを含むポリマー組成物に関する。 ゴムや樹脂等のポリマー材料や潤滑剤等の有機材料は、そのままでは熱等により劣化を受けやすいので、それらの耐熱性を向上させるために、種々の老化防止剤を添加することで目的に応じた耐熱性を得ている。従来、老化防止剤としては、フェノール系老化防止剤や、アミン系老化防止剤がよく知られており、アミン系老化防止剤の代表的なものとしてジフェニルアミン系老化防止剤がある。 ジフェニルアミン系の老化防止剤としては、特開平9−53070号公報(特許文献1)、特開平10−298551号公報(特許文献2)、特開平11−21411号公報(特許文献3;米国特許第6,093,853号、米国特許第6,329,551号、米国特許出願公開第2002/0016508号及び米国特許出願公開第2005/015919号に対応)等に以下のような化合物が記されており、汎用的に使用されている。 近年、ゴム等のポリマー材料や潤滑剤等の有機材料は、従来に比べより過酷な高温下で使用されることが増えてきている。自動車のエンジン周りに用いられるゴム材料を例に取ると、自動車エンジンの高出力化や低公害エンジンの登場などにより、エンジンルーム内の温度は上昇する傾向にある。そこで、その周辺で使用されるゴム材料等には、従来より高い耐熱性が求められるようになってきており、それに耐えうるゴム材料等が強く求められている。その目的を達成する一つの方策として、従来に比べより高温環境で使用しても、ゴムや樹脂等のポリマーを酸化劣化や熱劣化等させることがない、耐熱性効果の高い老化防止剤に適する、新たな構造を有するジフェニルアミン系の化合物が強く求められている。しかし、従来知られているジフェニルアミン系の老化防止剤では十分な効果が得られなかった。特開平9−53070号公報特開平10−298551号公報特開平11−21411号公報 本発明の課題は、従来に比べより高温環境で使用しても、ゴムや樹脂等のポリマーを始めとする有機材料を劣化させることがない、耐熱性効果の高い老化防止剤に適する、新たな構造を有するジフェニルアミン系化合物を提供すること、該化合物を含有する老化防止剤、特にポリマー用老化防止剤を提供すること、及び、該化合物とポリマーとを含む耐熱性の高いポリマー組成物、特にゴム組成物を提供することである。 本発明者らは、上記の課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、従来に比べより高温環境で使用しても、ゴムや樹脂等のポリマー材料や潤滑剤等の有機材料を劣化させにくくする、極めて優れた熱安定性を付与することが可能となる、老化防止剤に適する、新規な構造を有するジフェニルアミン系化合物を見い出した。さらには、この新規な化合物を含有する老化防止剤、特にポリマー用老化防止剤、及び、耐熱性の高いポリマー組成物、特にゴム組成物を得ることに成功した。 すなわち、本発明によれば、 下記式(I)〔式中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、炭素数1〜30の、置換基を有していてもよい有機基を表す。X1及びX2はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NRR0、−NR−C(=O)−R0、−C(=O)−NRR0、または−O−C(=O)−NRR0を表す。ここで、R及びR0は、それぞれ独立して、水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基を表し、複数個のX1及び複数個のX2は、全てそれぞれ独立して、異なる置換基が可能である。n及びmは、それぞれ独立して、0〜2の整数を表し、n及びmは、そのいずれか一方が0でない。〕で示される化合物が提供される。 本発明によれば、前記Ra及びRbが、それぞれ独立して、炭素数1〜30の、置換基を有していてもよい芳香族基または環状脂肪族基を表し、X1及びX2が、水素原子を表し、n及びmが、1を表す、前記式(I)で示される化合物が提供される。 また、本発明によれば、 下記式(II)〔式中、Rc及びRdは、それぞれ独立して炭素数1〜30の、置換基を有していてもよい有機基を表す。〕で示される化合物が提供される。 本発明によれば、前記Rc及びRdが、それぞれ独立して、炭素数1〜30の、置換基を有していてもよい芳香族基または環状脂肪族基を表す、前記式(II)で示される化合物が提供される。 本発明によれば、前記Rc及びRdが、それぞれ独立して、炭素数1〜12の、置換基を有していてもよい芳香族基を表す、前記式(II)で示される化合物が提供される。 更に、本発明によれば、 下記式(III)〔式中、Reは、炭素数1〜30の、置換基を有していてもよい有機基を表す。X3〜X7及び複数個のX8は、全てそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NRR0、−NR−C(=O)−R0、−C(=O)−NRR0、または−O−C(=O)−NRR0を表す。ここで、R及びR0は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基を表す。kは、1または2の整数を表す。〕で示される化合物が提供される。 本発明によれば、前記Reが、炭素数1〜30の、置換基を有していてもよい有機基を表し、X3〜X8が、水素原子を表し、kが、1を表す、前記式(III)で示される化合物が提供される。 更にまた、本発明によれば、 下記式(IV)〔式中、Rfは、炭素数1〜30の、置換基を有していてもよい有機基を表す。〕で示される化合物が提供される。 本発明によれば、前記Rfが、炭素数1〜30の、置換基を有していてもよい芳香族基または環状脂肪族基を表す、前記式(IV)で示される化合物が提供される。 本発明によれば、前記Rfが、炭素数1〜12の、置換基を有していてもよい芳香族基を表す、前記式(IV)で示される化合物が提供される。 また、本発明によれば、これらの化合物を含有する老化防止剤、特に、ポリマー用老化防止剤が提供される。 更にまた、本発明によれば、ポリマーと、これらの化合物とを含むポリマー組成物が提供される。 本発明によれば、該ポリマーが、合成樹脂であるポリマー組成物が提供される。 本発明によれば、該ポリマーが、ゴムであるポリマー組成物、すなわちゴム組成物が提供される。 本発明によれば、該ゴムが、アクリルゴムであるゴム組成物が提供される。 本発明によれば、該ゴム組成物に架橋剤を配合した架橋性ゴム組成物が提供される。 本発明によれば、該架橋性ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物が提供される。 本発明によれば、従来に比べより高温環境で使用しても、ゴムや樹脂等のポリマーを劣化等させることがない、老化防止剤に用いることができる新規な構造を有するジフェニルアミン系化合物を提供することができる。また、該化合物を含有する老化防止剤、特にポリマー用老化防止剤、及び該化合物とポリマーとを含む、耐熱性が高いポリマー組成物、特にゴム組成物を提供することができる。 本発明の老化防止剤に用いることができる新規な構造を有するジフェニルアミン系化合物は、下記式(I)〔式中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、炭素数1〜30の、置換基を有していてもよい有機基を表す。X1及びX2はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NRR0、−NR−C(=O)−R0、−C(=O)−NRR0、または−O−C(=O)−NRR0を表す。ここで、R及びR0は、それぞれ独立して、水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基を表し、複数個のX1及び複数個のX2は、全てそれぞれ独立して、異なる置換基が可能である。n及びmは、それぞれ独立して、0〜2の整数を表し、n及びmは、そのいずれか一方が0でない。〕で示される化合物である。 式(I)の化合物において、前記Ra及びRbが、それぞれ独立して、炭素数1〜30の、置換基を有していてもよい芳香族基または環状脂肪族基を表し、X1及びX2が、水素原子を表し、n及びmが、1を表す化合物を選択することが好ましい。 本発明の老化防止剤に用いることができる新規な構造を有するジフェニルアミン系化合物において、優れた耐熱性向上の効果を奏する点で、より好ましい化合物としては、以下の式(II)〜(IV)で示される化合物がある。式(II)〔式中、Rc及びRdは、それぞれ独立して炭素数1〜30の、置換基を有していてもよい有機基を表す。〕で示される化合物。 式(II)で示される化合物において、前記Rc及びRdが、それぞれ独立して、炭素数1〜30の、置換基を有していてもよい芳香族基または環状脂肪族基を表す化合物を選択することが更に好ましい。また、式(II)で示される化合物において、Rc及びRdが、それぞれ独立して、炭素数1〜12の、置換基を有してもよい芳香族基を表す化合物を選択することが特に好ましい。式(III)〔式中、Reは、炭素数1〜30の、置換基を有していてもよい有機基を表す。X3〜X7及び複数個のX8は、全てそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NRR0、−NR−C(=O)−R0、−C(=O)−NRR0、または−O−C(=O)−NRR0を表す。ここで、R及びR0は、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基を表す。kは、1または2の整数を表す。〕で示される化合物。 式(III)で示される化合物において、前記Reが、炭素数1〜30の、置換基を有していてもよい有機基を表し、X3〜X8が、水素原子を表し、kが、1を表す化合物を選択することができる。式(IV)〔式中、Rfは、炭素数1〜30の、置換基を有していてもよい有機基を表す。〕で示される化合物。 式(IV)で示される化合物において、Rfが、炭素数1〜30の、置換基を有してもよい芳香族基または環状脂肪族基を表す化合物を選択することが好ましい。また、式(IV)で示される化合物において、Rfが、炭素数1〜12の、置換基を有してもよい芳香族基を表す化合物を選択することが更に好ましい。 これらの化合物の中でも、好ましい化合物としては、以下の化合物1〜4があり、特に好ましい化合物は化合物1及び3である。化合物1化合物2化合物3化合物4(ジフェニルアミン系化合物の製造方法) 本発明の新規な構造を有するジフェニルアミン系化合物を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、フェニル基の水素原子をヨウ素置換したジフェニルアミン系化合物を、トルエンチオール等のチオール化合物と反応させて、−S−結合を有する中間体を製造し、次いで、−S−結合を酸化して、で表されるスルホニル結合を分子内に有する目的化合物を製造する方法により、製造することができる。(ジフェニルアミン系の老化防止剤) 本発明の化合物は、ポリマー等の有機材料の老化防止剤として広く使用できる。本発明の化合物は、ポリマー用老化防止剤として使用することが好ましいものである。適用することができるポリマー材料は、特に限定されるものではなく、例えば天然ゴムまたは合成ゴムなどのゴム;、ポリオレフィン、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド等のいわゆる合成樹脂;などが、耐熱性が求められる用途に使用されるポリマー材料に適用することができるが、近年、従来に比べより高い耐熱性が求められるようになってきたゴムに対して好適に使用することができる。 本発明の化合物を適用することができるゴムは、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(ニトリルゴム)、スチレン−ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合ゴムなどの共役ジエン単位が含まれるゴム;アクリルゴム;ヒドリンゴム;エチレンプロピレンゴム;などが挙げられる。これらのゴムは、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、アミノ基及びエポキシ基などを有していてもよい。また、これらのゴムは水素化されていてもよく、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム水素添加物(水素化ニトリルゴム)が挙げられる。これらのゴムは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、特に、高い耐熱性が求められるアクリルゴムまたは水素化ニトリルゴムに適用することが、耐熱性の改善効果の観点から好ましく、アクリルゴムが最も好ましい。 本発明の化合物を、ポリマー用老化防止剤として使用する場合、即ち、ポリマーに本発明の化合物を含有させてポリマー組成物とする場合、本発明の化合物をポリマーに配合する方法は特に限定されず、ポリマーラテックス中やポリマー溶液中に添加してから凝固することにより配合したり、最終製品を製造する工程までの任意の段階で配合したりすればよい。具体的には、ポリマーペレット製造の段階でもよいし、混練りの段階でもよいし、成形機に投入する段階でもよく、要は、本発明の化合物をポリマーの中に十分均一に分散させることができるように配合時期を選択すればよい。 本発明の化合物をポリマー用老化防止剤として使用する場合、本発明の化合物の配合量は、ポリマー100gに対して、本発明の化合物が、0.5〜100mmol、好ましくは1〜50mmol、特に好ましくは2〜30mmolである。本発明の化合物の配合量が、0.5mmolより少ないと老化防止剤としての効果が奏されず、一方、100mmolより多いと、老化防止剤としての効果の向上はみられず、ブリードアウトや成形品の変色が生じる可能性があり好ましくない。また、本発明の化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、従来から用いられている老化防止剤と組み合わせて用いることができる。(アクリルゴム) 本発明で用いるアクリルゴムは、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位50〜100重量%、架橋性単量体単位10〜0重量%、及び必要に応じこれらの単量体単位を形成する単量体と共重合可能なその他の単量体の単位50〜0重量%を有するゴムであり、アクリルゴムを構成する各単量体単位の割合を調節することにより、ゴム物性を調整することができる。なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味するものである。 アクリルゴムは、耐油性、特に高温下での耐油性に優れ、かつ、耐熱性が良好なゴムとして知られ、自動車用のホース、オイルシール、Oリングや装置・機械内蔵コンベアベルト等として需要が増大しているものである。 アクリルゴムの主成分である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体は、特に限定されないが、例えば、好ましいものとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体などを挙げることができる。 (メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、特に限定されないが、炭素数1〜8のアルカノールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸n−ブチルが好ましく、アクリル酸エチル及びアクリル酸n−ブチルが特に好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。 (メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体としては、特に限定されないが、炭素数2〜8のアルコキシアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチルなどが挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル及び(メタ)アクリル酸2−メトキシエチルが好ましく、アクリル酸2−エトキシエチル及びアクリル酸2−メトキシエチルが特に好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。 アクリルゴム中の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量は、50〜100重量%、好ましくは60〜99.5重量%、より好ましくは70〜99重量%である。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量が少なすぎると、架橋物の耐候性、耐熱性及び耐油性が低下するおそれがある。 (メタ)アクリル酸エステル単量体単位の内訳は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位30〜100重量%及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体単位70〜0重量%であることが好ましい。 架橋性単量体単位を形成する架橋性単量体としては、特に限定されないが、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体;ハロゲン原子を有する単量体;エポキシ基を有する単量体;ジエン単量体;などが挙げられる。 α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体は、特に限定されないが、例えば、炭素数3〜12のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸、及び炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステルなどが挙げられる。炭素数3〜12のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが挙げられる。炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸としては、フマル酸またはマレイン酸などのブテンジオン酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸などが挙げられる。炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステルとしては、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチルなどのブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘキセニル、マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロヘキセニルなどの脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノシクロヘキシルなどのイタコン酸モノエステル;などが挙げられる。これらの中でもブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステルまたは脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステルが好ましく、フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノシクロヘキシル及びマレイン酸モノシクロヘキシルがより好ましい。これらのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体は1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。なお、上記単量体のうち、ジカルボン酸は、無水物として共重合されていてもよく、架橋の際に加水分解してカルボキシル基を生成するものであればよい。 ハロゲン原子を有する単量体としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン含有飽和カルボン酸の不飽和アルコールエステル、(メタ)アクリル酸ハロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ハロアシロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸(ハロアセチルカルバモイルオキシ)アルキルエステル、ハロゲン含有不飽和エーテル、ハロゲン含有不飽和ケトン、ハロメチル基含有芳香族ビニル化合物、ハロゲン含有不飽和アミド、ハロアセチル基含有不飽和単量体などが挙げられる。ハロゲン含有飽和カルボン酸の不飽和アルコールエステルとしては、クロロ酢酸ビニル、2−クロロプロピオン酸ビニル、クロロ酢酸アリルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸ハロアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸1−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸1,2−ジクロロエチル、(メタ)アクリル酸2−クロロプロピル、(メタ)アクリル酸3−クロロプロピル、(メタ)アクリル酸2,3−ジクロロプロピルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸ハロアシロキシアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−(クロロアセトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−(ヒドロキシクロロアセトキシ)プロピルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸(ハロアセチルカルバモイルオキシ)アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセチルカルバモイルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−(クロロアセチルカルバモイルオキシ)プロピルなどが挙げられる。ハロゲン含有不飽和エーテルとしては、クロロメチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、3−クロロプロピルビニルエーテル、2−クロロエチルアリルエーテル、3−クロロプロピルアリルエーテルなどが挙げられる。ハロゲン含有不飽和ケトンとしては、2−クロロエチルビニルケトン、3−クロロプロピルビニルケトン、2−クロロエチルアリルケトンなどが挙げられる。ハロメチル基含有芳香族ビニル化合物としては、p−クロロメチルスチレン、p−クロロメチル−α−メチルスチレンなどが挙げられる。ハロゲン含有不飽和アミドとしては、N−クロロメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。ハロアセチル基含有不飽和単量体としては、3−(ヒドロキシクロロアセトキシ)プロピルアリルエーテル、p−ビニルベンジルクロロ酢酸エステルなどが挙げられる。 エポキシ基を有する単量体としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル及びエポキシ基含有エーテルなどを挙げることができる。エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸グリシジルなどが挙げられ、また、エポキシ基含有エーテルとしては、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。 ジエン単量体としては、共役ジエン単量体及び非共役ジエン単量体が挙げられる。共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、ピペリレンなどを挙げることができる。非共役ジエン単量体としては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸2−ジシクロペンタジエニルエチルなどを挙げることができる。 これらの架橋性単量体は、1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。アクリルゴム中のこれらの架橋性単量体に由来する架橋性単量体単位の量は、0〜10重量%であり、0.5〜7重量%が好ましく、1〜5重量%が特に好ましい。これらの架橋性単量体単位の量が少なすぎると架橋が不十分で良好な機械的特性が得られなかったり、成形品の表面肌が滑らかさに欠けたりするおそれがあり、逆に多すぎると架橋物の伸びが低下したり、圧縮永久歪みが増大したりする可能性がある。 また、前記したその他の単量体の単位を形成するその他の単量体としては、特に限定されないが、芳香族ビニル単量体、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する単量体(多官能(メタ)アクリル単量体)、オレフィン系単量体、ビニルエーテル化合物などが挙げられる。 芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。多官能(メタ)アクリル単量体としては、エチレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル、プロピレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステルなどが挙げられる。オレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテンなどが挙げられる。ビニルエーテル化合物としては、酢酸ビニル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、スチレン、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリル及びメタアクリロニトリルがより好ましい。 その他の単量体は、1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。アクリルゴム中のその他の単量体単位の量は、0〜50重量%が好ましく、0〜39.5重量%がより好ましく、0〜29重量%が特に好ましい。 本発明で用いることのできるアクリルゴムは、上記各単量体を含んでなる単量体混合物を重合することにより得ることができる。重合反応の形態としては、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法及び溶液重合法のいずれも用いることができるが、重合反応の制御の容易性等から、従来公知のアクリルゴムの製造法として一般的に用いられている常圧下での乳化重合法によるのが好ましい。 乳化重合は、回分式、半回分式、連続式のいずれでもよい。重合は通常0〜70℃、好ましくは5〜50℃の温度範囲で行われる。 このようにして製造される、本発明で用いるアクリルゴムのムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕(ポリマームーニー)は、好ましくは10〜80、より好ましくは20〜70、特に好ましくは25〜60である。(ポリマー組成物としてのゴム組成物) ゴム材料、特に、上記アクリルゴムに、本発明の化合物を老化防止剤として配合することにより、本発明の老化防止剤とゴムとを含むポリマー組成物、すなわちゴム組成物とすることができる。本発明の老化防止剤のゴム材料への配合方法は、先に述べたように、特に限定されず、公知の方法を採用すればよいが、以下の架橋性ゴム組成物の調製方法に準じて行えばよい。(架橋性ゴム組成物の調製) 本発明の化合物を老化防止剤として含むゴム組成物に、更に架橋剤を配合すると、架橋性ゴム組成物となる。 架橋剤は、ゴムの種類、及び架橋性単量体の種類によって選択すればよく、架橋することができる限りは、特に限定されないが、例えば、ジアミン化合物など多価アミン化合物及びその炭酸塩;硫黄;トリアジンチオール化合物;多価エポキシ化合物;有機カルボン酸アンモニウム;有機過酸化物;などの従来公知の架橋剤を用いることができる。 架橋剤の配合量は、ゴム100重量部に対し、好ましくは0.05〜20重量部、より好ましくは0.1〜15重量部、特に好ましくは0.3〜12重量部である。架橋剤の配合量が少なすぎると架橋が十分に行われないため、得られるゴム架橋物の形状維持が困難になり、一方、多すぎると得られるゴム架橋物が硬くなりすぎる場合がある。 架橋性ゴム組成物には、ゴム、老化防止剤及び架橋剤以外に、ゴム加工分野において通常使用される配合剤を配合することができる。このような配合剤としては、例えばカーボンブラック、シリカなどの補強性充填剤;炭酸カルシウムやクレーなどの非補強性充填材、光安定剤、スコーチ防止剤、可塑剤、加工助剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤、シランカップリング剤、架橋促進剤、架橋遅延剤などが挙げられる。これらの配合剤の配合量は、本発明の目的や効果を阻害しない範囲であれば特に限定されず、配合目的に応じた量を適宜配合することができる。 架橋性ゴム組成物の調製にあたっては、上記ゴムと、老化防止剤、架橋剤及びその他の配合剤とをバンバリーミキサーやニーダー等で混合・混練し、次いで、混練ロールを用いて、さらに混練することが好ましい。各成分の配合順序は特に限定されないが、熱で反応や分解しにくい成分を充分に混合した後、熱で反応や分解しやすい成分である架橋剤などを、反応や分解が起こらない温度で短時間に混合することが好ましい。上記架橋性ゴム組成物のムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕(コンパウンドムーニー)は、好ましくは10〜100、より好ましくは20〜90、特に好ましくは25〜80である。(ゴム架橋物) 上記の架橋性ゴム組成物を架橋してゴム架橋物を得ることができる。ゴム架橋物は、所望の形状に対応した成形機、例えば押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、架橋反応によりゴム架橋物としての形状を固定化することにより得ることができる。その際には、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、130〜220℃、好ましくは150〜190℃であり、架橋時間は、通常、2分間〜2時間、好ましくは3分間〜1時間である。加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。 また、ゴム架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。二次架橋時間は、加熱方法、架橋温度、形状などにより異なるが、好ましくは1〜48時間である。加熱方法、加熱温度は適宜選択すればよい。 このようにして得られるゴム架橋物は、耐熱性に優れるものである。そのため、上記ゴム組成物を用いて得られるゴム架橋物は、その特性を活かして、O−リング、パッキン、ダイアフラム、オイルシール、シャフトシール、ベアリングシール、メカニカルシール、ウェルヘッドシール、電気・電子機器用シール、空気圧機器用シールなどの各種シール;シリンダブロックとシリンダヘッドとの連接部に装着されるシリンダヘッドガスケット、ロッカーカバーとシリンダヘッドとの連接部に装着されるロッカーカバーガスケット、オイルパンとシリンダブロックまたはトランスミッションケースとの連接部に装着されるオイルパンガスケット、正極、電解質板及び負極を備えた単位セルを挟み込む一対のハウジング間に装着される燃料電池セパレーター用ガスケット、ハードディスクドライブのトップカバー用ガスケットなどの各種ガスケット;各種ベルト;燃料ホース、ターボエアーホース、オイルホース、ラジエーターホース、ヒーターホース、ウォーターホース、バキュームブレーキホース、コントロールホース、エアコンホース、ブレーキホース、パワーステアリングホース、エアーホース、マリンホース、ライザー、フローラインなどの各種ホース;CVJブーツ、プロペラシャフトブーツ、等速ジョイントブーツ、ラックアンドピニオンブーツなどの各種ブーツ;クッション材、ダイナミックダンパ、ゴムカップリング、空気バネ、防振材などの減衰材ゴム部品;として好適に用いられ、特に、過酷な高温下で使用される用途にも適用できる。(合成樹脂) 本発明の化合物は、ポリオレフィン、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド等の合成樹脂に老化防止剤として配合することによって、該合成樹脂を、従来に比べより高温で使用可能にすることができる。例えば、ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、シクロオレフィンポリマー等のうち、耐熱性が求められる分野に使用されるポリオレフィンが挙げられ、特に耐熱性材料として知られ、半導体等の実装部品、車輛部品や土木建築用部材等の分野に用いられているシクロオレフィンポリマーに適用することによって、従来に比べより高温環境下で使用できるようになる。 シクロオレフィンポリマーは、分子内に炭素原子で形成される環構造を有し、該環中に炭素−炭素二重結合を有するシクロオレフィンモノマーを重合することで得られるものである。シクロオレフィンモノマーとしては、単環シクロオレフィンモノマーや、ノルボルネン系モノマーなどが挙げられ、ノルボルネン系モノマーが好ましい。ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環構造を分子内に有するシクロオレフィンモノマーである。これらは、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、アリール基などの炭化水素基や、極性基によって置換されていてもよい。また、ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環の二重結合以外に、二重結合を有していてもよい。単環シクロオレフィンモノマーとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエンなどが挙げられる。 ノルボルネン系モノマーの具体例としては、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエンなどのジシクロペンタジエン類;テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物などのテトラシクロドデセン類;2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などのノルボルネン類;7−オキサ−2−ノルボルネン、5−エチリデン−7−オキサ−2−ノルボルネンなどのオキサノルボルネン類;テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンともいう)、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4,10−ジエン、ペンタシクロ[9.2.1.02,10.03,8]ペンタデカ−5,12−ジエンなどの四環以上の環状オレフィン類;などが挙げられる。 重合方法は、塊状重合でも溶液重合でもよいが、シクロオレフィンモノマーをメタセシス触媒を使用して塊状開環重合することが好ましい。 以下に、化合物の製造例並びに実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明はこれらの製造例及び実施例に限定されるものではない。[製造例](化合物1の合成)化合物1ステップ1:中間体Aの合成中間体A 2つ口反応器に窒素気流中、ビス(4−ヨードフェニル)アミン15.00g(35.63mmol)、p−トルエンチオール9.29g(74.82mmol)をトルエン300mlに溶解させた。この溶液にナトリウム tert−ブトキシド17.12g(178.1mmol)、[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物0.73g(0.89mmol)を加え、80℃にて4時間反応させた。その後、反応液を室温に戻して蒸留水1000ml、飽和食塩水500mlを加え、酢酸エチル500mlで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:テトラヒドロフラン =4:1)により精製することで、中間体Aを8.84g、収率60%で得た。構造は1H−NMRで同定した。1H−NMR(500MHz、CDCl3、TMS、δppm):δ 2.31(s, 6 H), 5.78(s, 1 H), 7.00(d, 4 H, J = 8.5 Hz), 7.08(d, 4 H, J = 8.0 Hz), 7.18(d, 4 H, J = 8.0 Hz), 7.30(d, 4 H, J = 8.5 Hz)。ステップ2:化合物1の合成 2つ口反応器に中間体A 8.00g(19.34mmol)を加えて、THF50mlに溶解させた。この溶液に酢酸150mlと30%過酸化水素水11.08g(96.71mmol)を加えて80℃にて2時間反応させた。その後、反応液を室温に戻して蒸留水500ml、飽和食塩水500mlを加え、酢酸エチル500mlで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:テトラヒドロフラン =1:1)により精製することで、融点が225℃である化合物1を8.35g、収率90%で得た。構造は1H−NMRで同定した。1H−NMR(500MHz、DMSO−d6、TMS、δppm):δ 2.36(s, 6 H), 7.26(d, 4 H, J = 9.0 Hz), 7.40(d, 4 H, J = 8.0 Hz), 7.78−7.80(m, 8 H),9.44(s、1H)。(化合物3の合成)化合物3ステップ1:中間体Bの合成中間体B 2つ口反応器にジフェニルアミン20.0g(118.2mmol)、ヨウ素12.0g(94.55mmol)をエタノール120mlに溶解させた。この溶液に、過よう素酸ナトリウム5.06g(23.64mmol)を加え、硫酸1gをゆっくりと滴下した後に65℃で1時間反応させた。その後、反応液を室温に戻して蒸留水400ml、飽和食塩水300mlを加え、酢酸エチル500mlで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:テトラヒドロフラン =9:1)により精製、さらにヘキサン300mlで再結晶することで、中間体Bを20.1g、収率58%で得た。構造は1H−NMRで同定した。1H−NMR(500MHz、CDCl3、TMS、δppm):δ 5.67(s, 1 H), 6.82(d, 2 H, J = 8.5 Hz), 6.97(t, 1 H, J = 7.5 Hz), 7.05(d, 2 H, J = 8.5 Hz),7.28(dd, 2 H, J = 8.5, 7.5 Hz), 7.51(d, 2 H, J = 8.5 Hz)。ステップ2:中間体Cの合成中間体C 2つ口反応器に窒素気流中、中間体B15.00g(50.83mmol)、p−トルエンチオール6.94g(55.91mmol)をトルエン300mlに溶解させた。この溶液にナトリウム tert−ブトキシド14.65g(152.5mmol)、[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物1.04g(1.27mmol)を加え、80℃にて4時間反応させた。その後、反応液を室温に戻して蒸留水1000ml、飽和食塩水500mlを加え、酢酸エチル500mlで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:テトラヒドロフラン =9:1)により精製することで、中間体Cを9.64g、収率65%で得た。構造は1H−NMRで同定した。1H−NMR(500MHz、CDCl3、TMS、δppm):δ 2.30(s, 3 H), 5.74(s, 1 H), 6.96(t, 1 H,J = 7.5 Hz), 6.99(d, 2 H,J = 8.5 Hz), 7.07(d, 2 H,J = 7.5 Hz),7.08(d, 2 H,J = 7.5 Hz),7.16(d, 2 H,J = 8.0 Hz), 7.25−7.32(m, 4 H)。ステップ3:化合物3の合成 2つ口反応器に中間体C 8.00g(27.45mmol)を加えて、THF30mlに溶解させた。この溶液に酢酸90mlと30%過酸化水素水10.98g(82.36mmol)を加えて80℃にて2時間反応させた。その後、反応液を室温に戻して蒸留水500ml、飽和食塩水500mlを加え、酢酸エチル500mlで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:テトラヒドロフラン =2:1)により精製することで、融点が180℃である化合物3を7.28g、収率82%で得た。構造は1H−NMRで同定した。1H−NMR(500MHz、DMSO−d6、TMS、δppm):δ 2.35(s, 3 H), 7.01(t, 1 H, J = 7.5 Hz), 7.08(d, 2 H, J = 9.0 Hz), 7.17(d, 2 H, J = 7.5 Hz), 7.29−7.34(m, 2 H) , 7.39(d, 2 H, J = 8.5 Hz), 7.71(d, 2 H, J = 9.0 Hz), 7.76(d, 2 H, J = 8.5 Hz), 8.90(s, 1 H)。〔実施例1〜4及び比較例1〜8〕 以下、本発明の化合物を老化防止剤として使用するときの評価を、実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。以下において、「部」、「%」は、特に断りのない限り重量基準である。試験片の作成及び耐熱性の評価方法は以下のとおりである。(ゴム組成物の調製) アクリルゴム(日本ゼオン株式会社製、Nipol AR22)100重量部、カーボンブラック(東海カーボン株式会社製、シーストSO)60重量部、ステアリン酸2重量部、及び老化防止剤を所定量加えて、0.8リットルバンバリーを用いて50℃で5分間混練した後、架橋剤としてヘキサメチレンジアミンカルバメート(デュポンダウエラストマージャパン株式会社製、Diak No.1)0.5重量部、及び架橋促進剤としてジ−o−トリルグアニジン(大内新興化学工業株式会社製、ノクセラーDT)2重量部を加えてオープンロールで50℃で混練して、ゴム組成物を調製した。 なお、比較例1は、老化防止剤を添加せず、比較例2〜8では、従来知られているジフェニルアミン系の老化防止剤を加えてゴム組成物を調製した。 実施例で使用する化合物1、3及び比較例2〜8で使用する化合物の構造と分子量を表1に示す。(試験片の作成) ゴム組成物を170℃、20分間のプレスによって成形、架橋した後、15cm×15cm×2mmのシートを作成した。更に、このシートを170℃にて4時間加熱して二次架橋させた。このシートからダンベル状3号形の試験片を作成した。(耐熱性の評価) 耐熱性の評価は、作成した試験片を、190℃の環境下で504時間放置する前後で、JIS K6251に従い、破断伸びを測定し、以下の計算式に従い、その変化率(絶対値)を計算することによって行った。変化率がゼロに近いほど耐熱性が高いと判断され、好ましい結果となる。計算式:変化率(%)=|100×[(試験前の伸び(%))−(試験後の伸び(%))]/(試験前の伸び(%))|。 耐熱性評価の結果を表2に示す。本発明の化合物を老化防止剤として使用した実施例1〜4では、190℃の環境下で504時間という過酷な条件を経ても、比較例1〜8に対比して、伸びの変化が小さいことから、耐熱性が向上したことが分かる。 本発明によれば、従来に比べより高温の環境で使用しても、ゴムや樹脂等のポリマーを劣化させることがない、老化防止剤に用いることができる新規な構造を有するジフェニルアミン系化合物を提供することができ、また、該化合物を含有する老化防止剤、特に、ポリマー用老化防止剤を提供することができ、該化合物を含む耐熱性の高いゴム組成物等のポリマー組成物を提供することができるので、ゴムや樹脂等のポリマー材料を、従来に比べより過酷な高温下で使用することができる。 下記式(I)〔式中、Ra及びRbが、それぞれ独立して、炭素数6〜30の、置換基としてメチル基を有していてもよい芳香族炭化水素基または環状脂肪族基を表し、X1及びX2が、水素原子を表し、n及びmが、1を表す。〕で示される化合物。 下記式(II)〔式中、Rc及びRdが、それぞれ独立して、炭素数6〜30の、置換基としてメチル基を有していてもよい芳香族炭化水素基または環状脂肪族基を表す。〕で示される、請求項1記載の化合物。 前記式(II)において、前記Rc及びRdが、それぞれ独立して、炭素数6〜12の、置換基としてメチル基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す、請求項2記載の化合物。 下記式(I)〔式中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、炭素数6〜30の、置換基としてメチル基を有していてもよい芳香族炭化水素基または環状脂肪族基を表す。X1及びX2は、水素原子を表す。n及びmは、0または1を表し、n及びmは、そのいずれか一方が0でない。〕で示される化合物を含有する老化防止剤。 前記式(I)で示される化合物が、下記式(II)、下記式(III)または下記式(IV)〔式中、Rc及びRdは、それぞれ独立して炭素数6〜30の、置換基としてメチル基を有していてもよい芳香族炭化水素基または環状脂肪族基を表す。〕〔式中、Reは、炭素数6〜30の、置換基としてメチル基を有していてもよい芳香族炭化水素基または環状脂肪族基を表す。X3〜X7及びX8は、水素原子を表す。kは、1を表す。〕〔式中、Rfは、炭素数6〜30の、置換基としてメチル基を有していてもよい芳香族炭化水素基または環状脂肪族基を表す。〕で示される化合物である請求項4記載の老化防止剤。 ポリマー用老化防止剤である請求項4または5に記載の老化防止剤。 ポリマーと、下記式(I)〔式中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、炭素数6〜30の、置換基としてメチル基を有していてもよい芳香族炭化水素基または環状脂肪族基を表す。X1及びX2は、水素原子を表す。n及びmは、0または1を表し、n及びmは、そのいずれか一方が0でない。〕で示される化合物の少なくとも1種とを含むポリマー組成物。 前記ポリマーが、合成樹脂である請求項7記載のポリマー組成物。 前記ポリマーが、ゴムである請求項7記載のポリマー組成物。 前記ゴムが、アクリルゴムである請求項9記載のポリマー組成物。 更に架橋剤を含有する請求項9または10に記載のポリマー組成物。 請求項11のポリマー組成物を架橋してなるゴム架橋物。


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