生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ケトンの製造方法
出願番号:2011537126
年次:2014
IPC分類:C07C 45/29,C07C 49/10,C07B 61/00


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山川 文雄 JP 5615834 特許公報(B2) 20140919 2011537126 20101015 ケトンの製造方法 出光興産株式会社 000183646 渡辺 喜平 100086759 森島 なるみ 100100608 田中 有子 100112977 佐藤 猛 100141944 山川 文雄 JP 2009244328 20091023 20141029 C07C 45/29 20060101AFI20141009BHJP C07C 49/10 20060101ALI20141009BHJP C07B 61/00 20060101ALN20141009BHJP JPC07C45/29C07C49/10C07B61/00 300 C07C 45/29 C07C 49/10 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特開平07−053433(JP,A) 特開平07−316089(JP,A) 特開昭57−038738(JP,A) 8 JP2010006127 20101015 WO2011048783 20110428 7 20130425 太田 千香子 本発明は銅系触媒を用いるケトンの製造方法に関する。 ケトン類は溶剤や有機化学品の原料として有用な物質である。特に、メチルエチルケトン(MEK、2−ブタノン)は、無色透明の吸湿性液体で、優れた溶解能力を有し、一般に用いられる有機溶媒と自由に混和する。特に、合成樹脂、油脂、高級脂肪酸等に対する溶解能力が大きく、溶剤分野で幅広く利用されている。近年、磁気テープバインダ用等の電子産業分野にも高性能溶剤として需要がある。 MEKの合成法には、sec−ブタノール(SBA、2−ブタノール)の脱水素、n−ブテンやn−ブタンの酸化、ブチレンオキサイドの異性化等があるが、工業的にはSBAの脱水素反応によるものが主流である。 SBAの脱水素反応は、Cu、Zn、Cr等の金属酸化物を触媒に使用する気相法と、スポンジNi触媒を使用する液相法とに分類される。気相法は反応温度が高いため(一般に300〜400℃)、SBA転化率は高いが(80%以上)MEK選択率が低く(95〜99%程度)、触媒寿命が短いという欠点がある。一方、液相法は反応温度が低いため(130〜200℃)、SBA転化率は低くなるがMEK選択率が高く(99.5%以上)、触媒寿命が長いという利点がある。 特許文献1は、スポンジ(ラネー)NiにCu、Ag、Au、Sn、Pb、Zn、Cd、In、Ge等の金属を添加した触媒を用いて170〜230℃で反応させる方法を開示し、特許文献2は、スポンジNi触媒を用いて160〜190℃、2〜8気圧で反応させる方法を開示する。 また、特許文献3は、銅、亜鉛及びアルミニウム三元合金を展開した球状変性ラネー銅触媒を用いて、第2級アルコールを脱水素するケトン類の製造方法を開示する。さらに、特許文献4は、銅、亜鉛及び鉄合金を展開した変性ラネー銅触媒を用いて、第1又は2級アルコールを脱水素するカルボニル化合物の製造方法を開示する。 これらの技術でもある程度純度の良いMEKが得られているが、電子産業分野等では99.95%を超える極めて高い純度が求められるため、高純度なMEKを製造する技術が求められていた。米国特許第4380673号明細書特開昭60−258135号公報特開平7−53433号公報特開平7−316089号公報 本発明の目的は、高純度なケトンを製造する方法を提供することである。 本発明によれば、以下のケトンの製造方法が提供される。1.銅系触媒を用いて、反応圧力0.1MPaG以下で脂肪族アルコールを脱水素するケトンの製造方法。2.前記銅系触媒が、銅と、クロム又は亜鉛を含む酸化物固体触媒である1に記載のケトンの製造方法。3.前記銅系触媒が、スポンジ銅系触媒である1に記載のケトンの製造方法。4.前記脱水素を、反応温度200℃以下で、前記銅系触媒を懸濁させた溶媒中に前記脂肪族アルコールを連続的に吹き込んで行う1〜3のいずれかに記載のケトンの製造方法。5.前記脂肪族アルコールが、2−ブタノールである1〜4のいずれかに記載のケトンの製造方法。6.前記ケトンが、メチルエチルケトンである1〜5のいずれかに記載のケトンの製造方法。 本発明によれば、高純度なケトンを製造する方法が提供される。 本発明のケトンの製造方法は、脂肪族アルコールを銅系触媒を用いて脱水素してケトンを製造する。 原料の脂肪族アルコールとしては、2級アルコールが好ましい。2級アルコールとしては、2−プロパノール、2−ブタノールが使用できるが、2−ブタノールが好適である。 生成するケトンは、アセトン、メチルエチルケトン等であり、特にメチルエチルケトンである。 銅系触媒として、銅、及びクロム(Cr)又は亜鉛(Zn)を主成分とするものが好ましい。触媒の耐久性等を高めるために、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、マンガン(Mn)、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)等を添加できる。 また、銅系触媒として、銅とアルミニウム等の合金を展開処理して調製したスポンジ銅系触媒が挙げられる。 脱水素反応としては、固定床管型流通反応器を用いる気相法、撹拌槽型の反応器を用いて高沸点溶媒中に触媒粒子を懸濁させ、その中に連続的にアルコールを吹き込んで反応させる液相法等が挙げられ、液相法が好ましい。 反応温度は130℃以上、200℃以下が好ましい。130℃未満では、反応速度及び化学平衡(平衡転化率)の面で反応効率が低下する場合がある。200℃超では、副反応が進行しやすくなり選択率(製品純度)が低下する場合がある。また、触媒劣化も進みやすくなり、触媒の再生や交換の頻度が増大して経済性が悪化するおそれがある。より好ましくは135℃以上170℃以下、さらに好ましくは140℃以上150℃未満である。 脱水素反応の反応圧力は0.1MPaG以下である。化学平衡の面から低圧の方が有利である。好ましくは0.05MPaG以下、より好ましくは0.03MPaG以下である。下限は、常圧でもよいし、0MPaG超でもよい。 溶媒中の触媒濃度は特に制約はないが、操作性、効率の面から1〜30wt%が好ましい。 溶媒は、高沸点溶媒が好ましい。反応条件下で蒸気圧の低い飽和炭化水素を用いるのが好ましく、特に沸点が200〜400℃程度の炭素数12〜30程度のパラフィン類が好ましい。溶媒が軽質すぎると、反応条件下にて揮発しやすくなるため溶媒の回収・リサイクルの負荷が増大するおそれがある。逆に重質すぎると、粘度が高くなるため撹拌、混合面で反応効率が低下するおそれがある。 触媒仕込み量に対する原料アルコールの供給量は、重量基準の重量毎時空間速度(WHSV)で通常1〜30h−1である。30h−1超では反応速度が低下して製品の収率(生産性)が悪くなるおそれがあり、1h−1未満では経済性や生産性が低下するおそれがある。 本発明の方法では、水素化分解等の副反応を抑制して、アセトン、イソプロピルアルコール等の副生物の生成を抑制することで、選択率が高く、高純度のケトンを製造することができる。例えば選択率を99.95%以上とすることも可能である。また、副反応を抑制できることから、生成する水素ガス中の不純物(メタン、エタン、プロパン、ブタン等)が低減し、純度の高い水素ガスも得られる。実施例1 内容積500ccの四つ口フラスコに、市販のスポンジ銅触媒(川研ファインケミカル(株)製CDT−60、展開処理済み、Al:1%)24gを仕込み、2−ブタノール(SBA)で数回置換した。イソパラフィン165ccを加え、撹拌器、原料(SBA)供給ライン、生成液抜き出し用の冷却管を取り付けて、窒素ガスで置換した。1000rpmで撹拌しながらフラスコをマントルヒーターで加熱し、SBAを120cc/h(96g/h)の流量で供給し、フラスコ内の液温を145℃とし、反応圧力は0.01MPaGとした。生成したメチルエチルケトン(MEK)、未反応のSBA及び副生物(イソプロピルアルコール、アセトン等)は冷却管で凝縮して連続的に抜き出し、発生した水素ガスはベントラインに排出した。WHSVは4h−1とした。 数日後に活性が安定した状態で、生成液をガスクロマトグラフ(GC−FID)にて分析し、以下の式により転化率と選択率を求めた。式中[Area]は、クロマトグラムのピーク面積から定量した量を示す。SBA転化率は30%、MEK選択率は99.99%であった。結果を表1に示す。 分析条件を以下に示す。使用機器:Agilent Technologies 6850GCカラム:HP−INNOWAX(長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)、He 2.0ml/min.注入口:250℃、Split 1/250オーブン:60℃で10分間保持し15℃/分の割合で240℃まで昇温検出器:FID、250℃実施例2 実施例1で用いた触媒の代わりに、市販の銅クロム触媒(日揮触媒化成(株)製N203S、化学組成:CuO46%、Cr2O344%、MnO24%)を用いた以外は実施例1と同様に反応、分析を行った。MEK選択率は99.99%であった。結果を表1に示す。実施例3 反応温度を165℃とした以外は実施例2と同様に反応、分析を行った。転化率は上がるがMEK選択率は低下せず99.99%であった。結果を表1に示す。実施例4 実施例1で用いた触媒の代わりに、市販の銅亜鉛触媒(日揮触媒化成(株)製E01X、化学組成:CuO46%、ZnO48%、Al2O36%)を用いて行なった以外は実施例1と同様に反応、分析を行った。MEK選択率は99.99%であった。結果を表1に示す。比較例1 実施例1で用いた触媒の代わりに、市販のスポンジニッケル触媒(日興リカ(株)製、展開処理済み、Al/Ni=8%)を用いて行なった以外は実施例1と同様に反応、分析を行った。MEK選択率は99.90%であった。結果を表1に示す。 比較例1と比べ、実施例1〜4では銅系触媒を用いることでさらに副生物を低減して高いMEK選択率を実現し、極めて純度の高いMEKを製造することができた。 本発明の方法で製造したケトンは、溶剤や有機化合物の原料等として好適に使用できる。 上記に本発明の実施形態及び/又は実施例を幾つか詳細に説明したが、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施形態及び/又は実施例に多くの変更を加えることが容易である。従って、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。 この明細書に記載の文献の内容を全てここに援用する。 化学組成がCuO46%,Cr2O344%、MnO24%からなる触媒、化学組成がCuO46%,ZnO48%,Al2O36%からなる触媒、及び銅とアルミニウムの合金を展開処理して調製したスポンジ銅系触媒から選択される触媒を用いて、反応圧力0.1MPaG以下、反応温度130℃以上、200℃以下で脂肪族アルコールを脱水素するケトンの製造方法。 前記脱水素反応が、固定床管型流通反応器を用いる気相法、又は撹拌槽型の反応器を用いて溶媒中に触媒粒子を懸濁させ、その中に連続的にアルコールを吹き込んで反応させる液相法である請求項1に記載のケトンの製造方法。 前記脱水素を、前記触媒を懸濁させた溶媒中に前記脂肪族アルコールを連続的に吹き込んで行う請求項2に記載のケトンの製造方法。 前記触媒仕込み量に対する前記脂肪族アルコールの供給量が、重量基準の重量毎時空間速度(WHSV)で1〜30h−1である請求項2又は3に記載のケトンの製造方法。 前記溶媒が、沸点200〜400℃の炭素数12〜30のパラフィン類である請求項2〜4のいずれかに記載のケトンの製造方法。 前記脂肪族アルコールが、2級アルコールである請求項1〜5のいずれかに記載のケトンの製造方法。 前記脂肪族アルコールが、2−ブタノールである請求項1〜6のいずれかに記載のケトンの製造方法。 前記ケトンが、メチルエチルケトンである請求項1〜7のいずれかに記載のケトンの製造方法。


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