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タイトル:公表特許公報(A)_病理的血管新生を阻害する組成物
出願番号:2011527194
年次:2012
IPC分類:A61K 38/00,A61P 35/00,A61P 1/16,A61P 11/00,A61P 15/00,A61P 1/04,A61P 17/00


特許情報キャッシュ

郭明良 呉玉琳 JP 2012502934 公表特許公報(A) 20120202 2011527194 20090922 病理的血管新生を阻害する組成物 台湾東洋藥品工業股▲分▼有限公司 504103652 森下 賢樹 100105924 郭明良 呉玉琳 US 61/136,635 20080922 A61K 38/00 20060101AFI20120106BHJP A61P 35/00 20060101ALI20120106BHJP A61P 1/16 20060101ALI20120106BHJP A61P 11/00 20060101ALI20120106BHJP A61P 15/00 20060101ALI20120106BHJP A61P 1/04 20060101ALI20120106BHJP A61P 17/00 20060101ALI20120106BHJP JPA61K37/02A61P35/00A61P1/16A61P11/00A61P15/00A61P1/04A61P17/00 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW CN2009074086 20090922 WO2010031361 20100325 30 20110509 4C084 4C084AA01 4C084AA02 4C084BA44 4C084DC50 4C084NA14 4C084ZA591 4C084ZA661 4C084ZA751 4C084ZA891 4C084ZB261 4C084ZC411 本発明は、血管新生を阻害する方法に係るものであり、特に、LECT2蛋白質による血管新生、及び/又は血管新生に関連する疾患の阻害に係るものである。 白血球細胞由来ケモタキシン2(Leukocyte cell−derived chemotaxin 2、以下において「LECT2」と略する)は新しい好中球走化性因子である。LECT2は植物性血球凝集素(phytohemagglutinin)誘導のヒトT細胞白血病SWK3細胞の培地から精製されたものであり、16−kDaの蛋白質である(非特許文献1参照)。また、LECT2をコードするcDNAの分離によって、そのmRNAは成人又は胎児の肝臓、及びヒト肝臓癌細胞株において特異的に発現されることを発見した(非特許文献2参照)。LECT2はchondromodulin−II軟骨制御因子であって、軟骨細胞(chondrocytes)及び成骨細胞(osteroblasts)の増殖を刺激することができるウシ蛋白質である(非特許文献3参照)。現在、コンカナバリンA(ConA)に誘発される肝炎においてマウスLECT2の発現は一過性的に低下することが文献により報告されている。コンカナバリンA(ConA)に誘発される肝炎はヒト自己免疫肝炎の動物モデルであって、免疫細胞(例えばCD4+T細胞及びマクロファージ)と関連する細胞ホルモン及び細胞傷害性分子によって誘発されるものである(非特許文献4参照)。しかしながら、現時点では、LECT2蛋白質は血管新生を阻害できることについて開示している文献はない。 血管新生とは、新しい血管が形成されることをいう。血管新生は健康な個体が傷害を受けた際に起こるものであり、傷害を修復し組織の血流供給を回復させるためのものである。血管新生のプロセスは、多くの正または負の制御因子によって厳密に制御されている。しかしながら、多くの疾患の発病時において、患者の血管新生は制御されていない状況下にある。 血管新生は新生児の成長において重要なプロセスであり、傷害の修復においても非常に重要である。しかし同時に、多くの臨床上の疾患の病理的特徴でもある。これらの疾患は組織炎症、関節炎、腫瘍の増殖、糖尿病性網膜症、網膜血管新生による黄斑部変性及び類似する疾患を挙げることができる。これら血管新生と関連する臨床的所見は血管新生疾患(angiogenic diseases)ともいう。血管新生疾患は一般的に、腫瘍(固形腫瘍及び血液腫瘍を含む)、心血管疾患(例えば動脈硬化症)、慢性炎症(例えばリウマチ性関節炎及びクローン病)、糖尿病(例えば糖尿病性網膜症)、乾癬症、子宮内膜症、肥満症を含む。 したがって、有効的に血管新生を阻害し、上記疾患を治療又は防止する方法及び組成物は、医学界において切実に望まれている。Biochim Biophys Acta 1396:105−13(1998))Biochem Biophys Res Commun 237:116−20(1997)J Bio Chem 125:436−42(1999)J Clin Invest 90:196(1992) 本発明は病理的血管新生を阻害する方法を提供するものであり、上記方法は個体に対して有効量のLECT2蛋白質又はその類似体、及び薬学上受容できるキャリアを投与することを含む。 さらに、本発明は血管新生を阻害する組成物を提供する。上記組成物は、有効量のLECT2蛋白質又はその類似体、及び薬学上受容できるキャリアを含む。 さらに、本発明は細胞増殖性疾患を治療及び/又は阻害する方法を提供する。上記方法は、個体に対して有効量のLECT2蛋白質又はその類似体、及び薬学上受容できるキャリアを投与することを含む。 さらに、本発明は細胞増殖性疾患を治療及び/又は阻害する組成物を提供する。上記組成物は、有効量のLECT2蛋白質又はその類似体、及び薬学上受容できるキャリアを含む。 さらに、本発明は病理的血管新生を阻害する方法を提供する。上記方法は、個体に対して有効量のLECT2蛋白質又はその類似体、及び薬学上受容できるキャリアを投与することを含む。 本発明の上記及びそのほかの目的、特徴、及び優れた点をさらに明らかにするために、以下に好ましい実施例を挙げ、図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。ヒト肝臓癌微小血管密度(CD34染色)の免疫組織化学染色分析について示した図である。LECT2蛋白質の発現量とHCC微小血管密度との間の関係を示した図である。ベクター対照グループ細胞(SK−Hep1/Neo)、LECT2過剰表現細胞(SK−Hep1/LECT2)及び野生型細胞(SK−Hep1/WT)の成長曲線は類似していることを示した図である。SK−Hep1/Neoグループの平均腫瘍体積は明かにSK−Hep1/LECT2グループより大きいことを示した図である。SK−Hep1/LECT2グループの微小血管密度(CD31染色)はベクター対照グループ(SK−Hep1/Neo)より小さいことを示した図である。ベクター対照グループ細胞 (BNL/Neo)、LECT2過剰発現細胞(BNL/LECT2)と野生型細胞(BNL/WT)の成長曲線は類似していることを示した図である。BNL/Neoグループの平均腫瘍体積は明らかにBNL/LECT2グループより大きいことを示した図である。LECT2はBNL細胞原位性腫瘍中における微小血管密度(CD31染色)を抑制できることを示した図である。それぞれBNL/Neoグループ、BNL/Neo+rLECT2グループ及びBNL/LECT2グループの腫瘍体積を示した図である。BNL/Neoグループの平均腫瘍体積は明らかにBNL/Neo+rLECT2グループ及びBNL/LECT2グループより大きいことを示した図である。BNL/Neoグループの平均腫瘍体積は明らかにBNL/Neo+rLECT2グループ及びBNL/LECT2グループより大きいことを示した図である。図5はLECT2が過剰発現している細胞の条件培養液は新生血管の形成を破壊できることを示した図である。LECT2条件培養液は血管管状構造の形成を阻害できることを示した図である。内因性のLECT2(shLECT2−1及びshLECT2−2)が阻害されるHCC移植株(PLC/PRF/5及びHuh−7)のLECT2発現量を示した図である。対照グループ細胞と比較して、内因性LECT2が阻害されるPLC/PRF/5とHuh−7の細胞の条件培養液は血管内皮細胞中における血管管状構造の形成を促進できることを示した図である。LECT2条件培養液は明らかに血管内皮細胞の遊走を阻害することを示した図である。VEGF−A(50ng/mL)によって処理された細胞と比較して、rLECT2蛋白質は明らかにVEGF−A誘導による管状構造形成を阻害することを示した図である。CAMモデルによってLECT2組換え蛋白質はVEGF−A誘導による血管新生を阻害できることを実証したことを示した図である。CAMモデルによってLECT2組換え蛋白質はVEGF−A誘導による血管新生を阻害できることを実証したことを示した図である。LECT2組換え蛋白質はVEGF−A誘導の血管内皮細胞の遊走を減少させることができることを示した図である。LECT2組換え蛋白質は血管内皮細胞内因VEGF−A誘導の管状構造形成を阻害できることを示した図である。LECT2組換え蛋白質は血管内皮細胞における条件培養液によって誘導される血管管状構造の形成を示した図である。B16F1/Neoグループの平均腫瘍体積は明らかにB16F1/LECT2グループより大きいことを示した図である。B16F1/Neoグループの平均腫瘍体積は明らかにB16F1/LECT2グループより大きいことを示した図である。B16F1/LECT2グループの微小血管密度はB16F1/Neoグループより小さいことを示した図である。LECT2蛋白質はA549細胞のヌードマウス体内における腫瘍成長を阻害できることを示した図である。 本発明は病理的血管新生及び/又は細胞増殖性疾患を阻害する組成物を提供する。当該組成物は有効量のLECT2蛋白質又はその類似体、及び薬学上受容できるキャリアを含む。 本発明において上記の「LECT2」又は「LECT2蛋白質」とは、白血球細胞由来ケモタキシン2のすべての形をいい、活性体又は不活性体を含む。生体活性を有するいかなるLECT2蛋白質の類似体/フラグメントもすべて本発明の範疇に属する。類似体/フラグメントはキャリア分子(例えば免疫蛋白質)と結合して各種の応用に供することができ、上記応用は蛋白質結合部位の結合価数を増やすことを含む。また、本発明のLECT2蛋白質類似体は、元となる蛋白質において一個又は複数個のアミノ酸が置換、欠損、増加又は挿入されることによって得ることができ、かつ少なくとも元となる蛋白質の活性部位を保持している。 本発明における「LECT2変異体」又は「変異蛋白質」とは、LECT2蛋白質と少なくとも60%の同一の蛋白質配列を有する蛋白質である。配列類似性は蛋白質のアミノ酸配列によって決定され、同一の部分を最大化し、配列差異を最小化する。 本発明のLECT2蛋白質は修飾されたLECT2蛋白質を含み、修飾されたLECT2蛋白質は天然のLECT2蛋白質に類似するものである。当業者は一般的な従来技術を用いてペプチド又はDNA配列に対して修飾を行うことができる。例えば、蛋白質配列の修飾は、コードする配列中のアミノ酸のうちの一つを改変、置換、代替、挿入また欠損させることを含む。改変、置換、代替、挿入また欠損させるために用いる方法は、一般的に知られている技術である。配列が改変、置換、代替、挿入また欠損させた後、なおLECT2蛋白質の活性を保持していることが好ましい。 本発明における「組換え蛋白質」とは、一個又は複数個の組換え部分を有する蛋白質をいう。部位特異的リコンビナーゼ(Site−specific recombinases)は、各種ウイルス及び細菌に存在する酵素であり、エンドヌクリアーゼ(endonuclease)及びリガーゼ(ligase)を同時に制限する特性を有する。該リコンビナーゼは特定DNA配列を識別し、DNAフラグメントを改変させることができる。 本発明において、LECT2蛋白質、LECT2蛋白質類似体/フラグメント又はLECT2組換え蛋白質(rLECT2)は動物細胞、低等真核生物又は原核生物において発現できる。動物細胞とは、猿COS細胞、CHO細胞、ヒト腎臓293細胞、ヒト表皮A431細胞、ヒトColo205細胞、3T3細胞、CV−1細胞、その他の形質転換された霊長類細胞、正常の二倍体細胞、インビトロにて培養された原生組織によって派生された細胞株、原生移植体、HeLa細胞、マウスL細胞、BHK、HL−60、U937、HaK又はJurkat細胞を含む。低等真核生物は酵母菌を含み、上記酵母菌は例えば、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)、クリベロマイセス菌株(Kluyveromyces strains)、カンジダ属菌(Candida)又は任意の異源性蛋白質を発現できる酵母菌を挙げることができる。原核生物とは、大腸菌(Escherichia coli)、バシラス‐サチリス菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、又は任意の異源性蛋白質を発現できる細菌を挙げることができる。酵母菌又は細菌を用いて蛋白質を発現させる場合、発現された蛋白質をさらに修飾することができ、例えば、適切な位置においてリン酸化反応又はグリコシル化をさせることによって蛋白質に機能を持たせることができる。 本発明において、組成物を組織に投与し、該組織は病理的血管新生作用を有し、当該組成物は有効量のLECT2蛋白質又は活性LECT2蛋白質を発現するヌクレオチドベクターを含む。当該組織はいかなる血管新生作用を有する組織又は臓器とすることができ、脳、皮膚、筋肉、胃、結合組織、関節、骨格及び類似組織を含む。病理的血管新生は、増殖因子によって誘導され、当該増殖因子は血管内皮増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮増殖因子(EGF)及び肝細胞増殖因子(HGF)を含む。 また、本発明におけるLECT2蛋白質、LECT2蛋白質類似体/フラグメント、又はLECT2組換え蛋白質も、新生血管管状構造の形成、内皮細胞の移動と増殖、腫瘍の血管侵入又はその他の血管新生と関連する疾患を阻害することができる。血管新生と関連する疾患は、炎症性疾患、慢性リウマチ性関節炎、乾癬を含むが、これらに限定されない。血管の不正常侵入と関連する疾患は、例えば、糖尿病性網膜病変、血管新生緑内障、血管再狭窄及び細胞増殖性疾患を含むが、これらに限定されない。腫瘍又は癌と関連する疾患(例えば固形腫瘍、固形腫瘍転移、肝臓癌、肺癌、乳癌、大腸癌、胃癌及び黒色腫)を挙げることができるが、これらに限定されない。 本発明における「細胞増殖性疾患」とは、多細胞組織中において、一個又は複数の細胞群不正常増殖が起きることによって、多細胞組織傷害を引き起こすことである。細胞増殖性疾患は、異なる動物及びヒトにおいて発生し得る。細胞増殖性疾患は、癌、血管増殖性疾患及び線維症を含むが、これらに限定されない。 本発明のLECT2蛋白質及び/又はLECT2蛋白質を含む薬学組成物は、経口、非胃腸、吸入、直腸、膣、皮内、経皮又は局部で投与することができ、薬剤ユニットは従来用いられてきた、毒性のない、薬学上受容できるキャリア、補助剤及び媒介物を含むことができ、蠕動性の道具を使用して投与することができる。 本発明におけるLECT2蛋白質及び/又はLECT2蛋白質を含む薬学組成物は、一回で投与することができ、24時間内に多数回に渡って投与、又は連続投与することもできる。注射の方式が連続投与である場合、すでに知られている適切な方式を選ぶことができる。上記方式は、点滴静脈内注射、静脈内注射輸液ポンプ、埋め込み式輸液ポンプ又は局部投与を挙げることができるが、これらに限定されない。治療の時間は例えば血管新生の進行度及び深刻度によって、異なる状況において適宜調整することができる。LECT2蛋白質単独で、又は本発明のその他の薬剤と併用して、掻痒症の治癒まで治療し、又は生涯において治療を持続する。 もう一つの実施形態において、本発明は病理的血管新生及び/又は細胞増殖性疾患を阻害する薬学組成物を提供するものである。当該薬学組成物は有効量のLECT2蛋白質又はその類似体、及び薬学上受容できるキャリアを含む。薬学上受容できるキャリアは溶媒、分散剤、錠皮、抗菌物質/抗真菌剤、等張化剤、吸収遅延剤および類似体を含み得る。 もう一つの実施形態において、本発明は病理的血管新生を阻害できる方法を提供する。上記方法は個体に対して有効量のLECT2蛋白質又はその類似体、及び薬学上受容できるキャリアを投与することを含む。<実施例1>LECT2蛋白質のヒト微小血管密度に対する影響 まず、免疫組織化学染色法によって14のヒト肝臓癌(HCC)組織のLECT2蛋白質発現及び内皮細胞のバイオマーカーについて分析を行った。当該ヒト肝臓癌組織は台湾大学医学院付属病院により提供されたものである。簡潔に説明すると、肝臓癌患者から原発性肝臓癌腫瘍組織を取得し、ホルマリン固定及びパラフィン包埋を行った後、免疫染色を行う。脱パラフィン、脱水処理後、PBSTを用いて3回洗浄し、室温下において1:500で希釈されたCD34抗体を用いて処理を行い、次にビオチンで標識された抗マウスIgG二次抗体(Vector Laboratories, Inc., Burlingame, CA)で1時間処理を行い、ABCキット(Vector Laboratories Inc.)を用いて結合した抗体について検出を行った。該サンプルをジアミノベンジジン(diaminobenzidine)で染色し、洗浄し、最後にデラフィールドヘマトキシリン(Delafield’s hematoxylin)で対比染色(counterstain)を行い、分析して結果の定量を行った。内皮細胞の抗原染色を測定することによって微小血管密度を測定し、血管新生の程度を測量した。微小血管密度(MVD)の測定はCD34抗体によって染色された内皮細胞をカウントすることによって表示されたものである。各腫瘍において、血管が高度に発達した三つの区域に対して高倍率で拡大して分析を行い、各区域の微小血管総数、及び各腫瘍の微小血管の平均数をカウントした。図1AはヒトHCC微小血管密度の分析結果を示す図であり、腫瘍の位置はCD34抗体によって染色されることができる。すべての腫瘍サンプルにおいて、免疫組織化学染色法によって腫瘍の内皮細胞のCD34マーカーについて分析を行った結果、腫瘍細胞の周囲には多くの内皮細胞が存在することが実証された。この結果は臨床的に見られる高度血管化腫瘍と一致する。図1Bを参照すれば、LECT2蛋白質の発現量は微小血管の密度と相反する傾向にあることがわかる。患者の肝臓癌細胞を二つのグループ、つまり高いLECT2蛋白質発現量(LECT2/β−アクチン比>0.45)のグループ及び低いLECT2蛋白質発現量(LECT2/β−アクチン比<0.45)のグループに分けた。統計上において、高いLECT2蛋白質発現量と低い微小血管密度は高い相関性を有する。これによって、14個のヒト肝臓癌サンプルにおいて、LECT2蛋白質発現量と微小血管密度は相反する傾向にあることが明らかになった。<実施例2> LECT2蛋白質のヌードマウス腫瘍成長に対する影響 本実施例において、LECT2蛋白質の内因性発現のないヒト肝臓癌細胞株:SK−Hep1を使用した。ヒトLECT2のcDNAをpSecTag2A真核発現ベクターに導入し、LECT2蛋白質を過剰発現し、かつ同じプロモーターの下流においてハイグロマイシンB(hygromycin B)遺伝子を有する発現ベクターを得た。さらに、このLECT2蛋白質の発現キャリアを、リポフェクタミン(Lipofectamine)2000試薬(Invitrogen Life tech.)を用いて肝臓癌細胞(SK−Hep1)中にトランスフェクションさせた。ハイグロマイシンBによってスクリーニングした後、LECT2蛋白質を過剰発現している細胞株(SK−Hep1/LECT2)を得ることができた。LECT2蛋白質の過剰発現している細胞株(SK−Hep1/LECT2)におけるLECT2蛋白質発現量は、対照グループの細胞株(SK−Hep1/Neo)の5倍以上である。図2Aからわかるように、対照グループ細胞株(SK−Hep1/Neo)、野生型細胞株(SK−Hep1/WT)及びLECT2蛋白質過剰発現細胞株(SK−Hep1/LECT2)の、単層培養細胞の成長曲線は似ている。本実施例におけるすべての実験は3回繰り返し実施された。エラーバーでは95%の信頼区間を示した。LECT2蛋白質機能の腫瘍細胞及び血管新生に対する影響を分析するために、生体内異種腫瘍移植モデルを用いて、HCC細胞を皮下注射の方式でヌードマウスの背部に注射した。簡潔に説明すると、8週齢の胸腺摘除去メスヌードマウス(国家動物センターより購入)を病原菌のない環境中において養殖し、持続的に食料と飲用水を与えた。ランダムにヌードマウスを二つのグループに分け、それぞれにLECT2蛋白質の過剰発現している細胞株(SK−Hep1/LECT2)及び対照グループ細胞株(SK−Hep1/Neo)を注射した。注射後の10日目に、腫瘍は明らかに見えるようになり、二日ごとに腫瘍の大きさの測定を行った。腫瘍の体積は幅×長さ×0.5で表示される。腫瘍の大きさはキャリパーによって測定した。すべてのマウスにおいて注射後10日目に、初めて明らかな腫瘍を測定することができた。図2Bを参照すると、細胞を注射した20日後に、SK−Hep1/Neo細胞を注射したヌードマウスの腫瘍平均体積は、明らかにSK−Hep1/LECT2細胞株を注射した腫瘍の平均体積より大きいことが分かった。さらに、免疫組織化学染色法を利用して、CD31抗体を用いて、原位置腫瘍組織のパラフィンサンプルにおける、微小血管密度に対するLECT2の影響を調べた。図2Cからは、安定かつ高度にLECT2を発現している細胞によって形成される腫瘍において、mm2単位体積ごとの微小血管数は、対照グループの1/3倍より少ないことがわかった。この実施例からは、LECT2蛋白質はヌードマウス体内におけるヒト肝臓腫瘍SK−Hep1細胞の成長を阻害できることが明らかとなった。<実施例3>LECT2蛋白質のBALB/cマウス腫瘍成長に対する影響 また、LECT2蛋白質を過剰発現している腫瘍細胞をBALB/cマウスに注射し、分析を行った。SK−Hep1ヒト肝臓癌細胞とヌードマウスとをBNLマウス肝臓癌細胞とBALB/cマウスとにそれぞれ変えた以外は、本実施例の分析プロセスは実施例2と同じである。マウス(BALB/cマウス、8週齢)に対して、安定かつ高いレベルでLECT2を発現しているBNLマウス肝臓癌細胞(BNL/LECT2)又は対照グループBNL細胞(BNL/Neo)を皮下注射し、それぞれのマウスは1×105個の細胞を注射した。本実施例の結果は実施例2の結果と類似である。図3Aを参照すると、野生型細胞株(BNL/WT)、対照グループ細胞株(BNL/Neo)及びLECT2蛋白質過剰発現細胞株(BNL/LECT2)の単層細胞の成長曲線は類似している。図3Bを参照すると、BNL/Neo細胞株を注射したマウスの腫瘍体積は明らかにBNL/LECT2細胞株を注射したマウスの腫瘍体積より大きく、かつCD31抗体を用いて原位置腫瘍組織中の微小血管密度を分析したところ、微小血管密度は高いLECT蛋白質発現によって阻害されることが明らかとなった(図3C)。本実施例の結果は、LECT2蛋白質はBALB/cマウス体内のマウス肝臓腫瘍BNL細胞の成長を阻害できることを示した。<実施例4>LECT2組換え蛋白質のBALB/cマウス腫瘍成長に対する影響 本実施例は、LECT2組換え蛋白質は同じようにHCC腫瘍を移植したマウスに対して影響するかどうか、LECT2組換え蛋白質のBNL/Neo細胞を注射したBALB/cマウスに対する影響について評価した。BNL/Neoグループの腫瘍が約150mm3まで成長した時、LECT2組換え蛋白質(1.25mg/kg体重あたり)、又は1XPBSバッファー(50μL)をそれぞれ腫瘍中に注射し、10日間にわたって注射を続けた。結果は図4Aに示す通りである。図4B−4Cを参照すると、細胞を注射した35日後において、BNL/Neoグループの腫瘍の平均体積は、高度に発現したLECT2を注射したBNL/LECT2グループ、及びLECT2組換え蛋白質を注射したBNL/LECT2+rLECT2グループより明らかに大きい。図4Cはそれぞれのグループの異種腫瘍移植BALB/cマウスの腫瘍の重量を示している。同じように、BNL/LECT2+rLECT2グループとBNL/LECT2グループの腫瘍の重量は、明らかBNL/Neoグループより少ない。これによって、LECT2組換え蛋白質は、BALB/cマウス体内のマウス肝臓腫瘍BNL細胞の増殖を阻害できることが明らかになった。<実施例5>LECT2を発現したヒトHCC細胞条件培養液の血管新生に対する影響 本実施例において、鶏卵漿尿膜法(chick chorioallantoic membrane assay;CAM assay)を用いて、LECT2を過剰発現しているSK−Hep1細胞の条件培養液の血管新生に対する影響を評価した。この培養液は、LECT2又はベクターをトランスフェクションしたSK−Hep1細胞に由来するものである。ウシ胎児血清を含まないDMEM培養液中において、癌細胞を48時間培養した。LECT2及びベクターをトランスフェクションしたSK−Hep1細胞の条件培養液を、低速遠心によってろ過させた。インビボにおける血管新生を研究する過程において、複数の制御因子の血管反応に対して、鶏胚のCAMアッセイは適切なモデルである。受精卵を100°F、湿度の制御されたインキュベータ中、かつ空気が流通している環境において14日間培養した。9日目において、鶏卵の上方において小さな穴を開け、穴は主要の血管区域の上方に位置し、鶏卵漿尿膜と卵殻膜を分離させる。SK−Hep1/Neo条件培養液、SK−Hep1/LECT2条件培養液、又は前処理された抗LECT2又は抗IgG抗体のSK−Hep1/LECT2条件培養液で処理を行った。総体積20μLの条件培養液を直径5mmの小さな円盤状物に滴下し、小さな円盤状物で鶏卵漿尿膜を覆う(各グループでそれぞれ3つの鶏胚を処理する)。鶏卵の上方にある小さな穴を通気性テープで密封し、インキュベータに戻す。処理後の三日目(第12日目)及び処理後の五日目(第14日目)に、丁寧に卵を開ける。血管の長さと密度を評価することによって、鶏卵漿尿膜における血管新生を測定する。対照グループと実験グループにおける血管数量を用いてLECT2組換え蛋白質の血管新生に対する影響を分析し、Image−Pro Plus 4.5ソフトウェアを用いて血管の数量を分析した。図5を参照すると、過剰発現したLECT2蛋白質の条件培養液は鶏卵漿尿膜における毛細血管床の血管新生を阻害することができることが明らかになった。CAMアッセイにおいて以下のことが見出された。過剰発現されたLECT2蛋白質の条件培養液にとって、IgG中和抗体を添加した対照グループと比較した場合、LECT2抗体を添加して予め条件培養液におけるLECT2蛋白質と競争結合した場合、血管新生は促進される。従って、CAMアッセイにおいて、LECT2の過剰発現したSK−Hep1細胞の条件培養液は血管新生を阻害することができる。<実施例6>LECT2を過剰発現したHCC細胞条件培養液の管状構造形成に対する影響 インビトロにおいて、内皮細胞は6時間内においてマトリゲル(Matrigel)上に配列し、二次元微小管状ネットワークを形成する。マトリゲル分析は細胞外マトリックス(ECM)分析であって、内皮細胞の形態、生化学機能及び遺伝子発現について分析を行うための生理環境を提供する。血管内皮細胞(HUVECs)をマトリゲル上に配置させ、分化、及び類微小管状構造を形成させる。マトリゲル上において、微小管状の形成は細胞―マトリックス間の相互反応、細胞間のコミュニケーション、及び細胞の遊走を必要とする。インビトロでのLECT2組換え蛋白質の血管新生に対する影響を分析するために、マトリゲルを覆う24ウェル培養プレート中に血管内皮細胞を入れ、それぞれLECT2又はNeoをトランスフェクションしたSK−Hep1又はHCC36細胞の条件培養液で6時間処理を行い、位相差顕微鏡で管状構造の形成を観察した。顕微鏡の観察下において、それぞれ6つのランダムに選ばれた視野における管状構造について比較した。図6Aを参照すると、対照グループの培養液(SK−Hep1/Neo条件培養液又はHCC36/Neo条件培養液)と比較して、SK−Hep1/LECT2条件培養液又はHCC36/LECT2条件培養液はマトリゲル層における管状構造の形成を阻害できる。血管内皮細胞をマトリゲルで覆われた24ウェルプレード中において培養し、VEGF−Aで6時間処理し、正の対照グループとする。LECT2組換え蛋白質は血管新生を治療するための血管新生を制御する重要因子であることを証明するために、さらにPLC/PRF/5及びHuh−7細胞中の内因性LECT2(shLECT2−1とshLECT2−2)の発現を阻害する。図6Bを参照すると、ウェスタンプロット法によって、内因性LECT2が阻害された形質転換株を分析した。図6Cを参照すると、内因性LECT2が阻害されたPLC/PRF/5とHuh−7の細胞の条件培養液は血管内皮細胞中における管状構造形成能力を促進することができる。これによって、LECT2が阻害された細胞条件培養液は血管内皮細胞中の管状構造生成を促進することができる。<実施例7>LECT2蛋白質を過剰発現したHCC細胞の条件培養液の細胞遊走に対する影響 血管内皮細胞を24ウェル培養プレートの(7x104cells/well)M199培地中において培養した。24時間後において、血管内皮細胞単層膜に5%ウシ胎児血清を含む培養液に換えた。青ピペットの先端でライン状にスクラップして細胞を削り取り、細胞を含まない単層膜を得た。LECT2の過剰発現したHCC条件培養液(SK−Hep1/LECT2 CM)及びベクター対照グループHCC条件培養液(SK−Hep1/Neo CM)、又は内因性LECT2が阻害されたHCC条件培養液(Huh−7/shLECT2−2 CM)及びベクター対照グループHCC条件培養液(Huh−7/shLuc CM)で処理を行った。37℃下において14時間培養した後、位相差顕微鏡で内皮細胞の遊走能力を観察し、4つのランダム選ばれた視野において、細胞遊走能力を測定した。Image Pro−Plus 4.5ソフトウェアによって分析し、映像を得た。各ウェルにおいてそれぞれ4つの視野を観察し、細胞を削り取った後の傷口の幅を測定した。図7を参照すると、50%のLECT2トランスフェクション又は内因性LECT2が阻害された条件培養液において14時間培養された後、血管内皮細胞は傷口区域まで移動した。LECT2条件培養液は血管内皮細胞の遊走を阻害し、内因性LECT2が阻害されたHuh−7条件培養液(Huh−7/shLECT2−2 CM)は血管内皮細胞の修復反応を促進させた。これによって、LECT2の過剰発現したHCC条件培養液は血管内皮細胞の遊走能力を阻害できることが明らかになった。<実施例8>LECT2組換え蛋白質の血管内皮増殖因子に誘導される管状構造形成に対する影響 血管内皮細胞を24ウェルプレートのマトリゲル上に置き、VEGF−A(50ng/mL)、PDGF(50ng/mL)、bFGF(30ng/mL)、EGF(50ng/mL)、HGF(40ng/mL)又はLECT2組換え蛋白質(200ng/mL)を含む培養液で6時間処理し、微小管状構造の形成を分析した。結果からわかることは、LECT2組換え蛋白質は有効にVEGF−Aによって誘導される血管管状構造の新生を阻害することができ、VEGF−A(50ng/mL)グループと比較した場合、阻害率は52%であり、図8に示す通りである。これによって、LECT2組換え蛋白質は、異なるレベルで血管増殖因子VEGF−A、PDGF、bFGF、EGF、HGFによって誘発される内皮細胞管状構造の生成を阻害し、特にVEGF−Aの働きを阻害する。<実施例9>LECT2組換え蛋白質のVEGF−A誘導の血管新生に対する影響 CAMアッセイを用いてLECT2組換え蛋白質のVEGF−A誘導の血管新生に対する影響について分析を行った。9日目の鶏胚の鶏卵漿尿膜をVEGF−A、及び異なる濃度のLECT2組換え蛋白質(0、1.25、2.5、5nM)又はFc−Tag(対照グループ)で処理し(各グループそれぞれ3つの鶏胚を処理する)、総体積20μLを直径5mmの小さな円盤状物に滴下し、小さな円盤状物で鶏卵漿尿膜を覆うようにする。VEGF−A及びLECT2組換え蛋白質によって鶏卵漿尿膜を処理した三日後(すなわち、12日目に)又は5日後(すなわち14日目に)に分析を行った。図9Aを参照すると、対照グループと比較した場合、VEGF−A(50ng/mL)は明らかに漿尿膜尿嚢の毛細血管床区域を促進した。図9Bを参照すると、CAMアッセイ結果によってわかるように、第12日目に、2.5nMと5nMのLECT2組換え蛋白質は明らかにVEGF−A誘導の血管新生を阻害した。14日目に、5nMのLECT2組換え蛋白質はVEGF−Aによって誘導される漿尿膜尿嚢の毛細血管床区域を阻害した。これによって、LECT2組換え蛋白質はVEGF−A誘導の血管新生を阻害できることが明らかになった。<実施例10>LECT2組換え蛋白質のインビトロVEGF−A誘導の血管新生に対する影響 本実施例はLECT2組換え蛋白質の血管内皮細胞の遊走及び血管生成の影響について分析した。血管内皮細胞の移動は、血管新生の重要な因子の一つであり、これによってrLECT2蛋白質のVEGF−A誘導の血管内皮細胞遊走の能力について分析した。それぞれ2%FBS(対照グループ)、VEGF−A(50ng/mL)、VEGF−A(50ng/mL)で異なる濃度のLECT2組換え蛋白質(0〜200ng/mL)、及びLECT2組換え蛋白質(200ng/mL)を14時間処理して、内皮細胞を遊走させる。VEGF−A(50ng/mL)は、血管内皮細胞の遊走を促進することができる。図10からは、VEGF−A誘導の遊走の阻害は、LECT2組換え蛋白質の使用量に依存する。このほかにも、特に200ng/mL用量のLECT2組換え蛋白質は明らかにVEGF−A誘導の血管内皮細胞遊走を抑制できる。LECT2組換え蛋白質は、VEGF−A誘導の細胞遊走を阻害することができるため、LECT2組換え蛋白質の血管新生時の抗血管新生の反応についてさらに分析を行った。この分析において、0.1%BSA(対照グループ)又はVEGF−A(50ng/mL)で、異なる濃度のLECT2組換え蛋白質(0−200 ng/mL)と併合して、微小管状構造の形成を分析した。図11からは、LECT2組換え蛋白質と、VEGF−A誘導の微小管状ネットワークの崩壊は、使用量に依存する。これによって、LECT2組換え蛋白質は、インビトロでのVEGF−A誘導の血管内皮細胞類微小管状構造を阻害できる。<実施例11> LECT2組換え蛋白質の異なる癌細胞条件培養液に誘導される血管管状構造形成に対する影響 本実施例はLECT2組換え蛋白質の異なる癌細胞株の血管新生に対する影響について分析を行った。血管内皮細胞を24ウェルプレートのマトリゲル上に放置し、各種癌細胞株の条件培養液で6時間処理を行った。癌細胞は肝臓癌細胞(SK−Hep1及びHuh−7)、肺癌細胞(A549及びH1299)、乳癌細胞(MB−MDA−231及びMCF7)、胃癌細胞(MKN及びN87)、直腸癌細胞(HCT116)及びマウス黒色腫細胞(B16F1)、又は癌細胞株条件培養液とrLECT2(5nM)が合併したものを用いて6時間処理を行った。図12は癌細胞条件培養液を単独で用いた場合、若しくはrLECT2蛋白質(5nM)と併合したものを用いた場合の、血管内皮細胞を6時間処理した結果である。これによって、LECT2組換え蛋白質は、SK−Hep1、A549、MCF−7及びB16F1細胞条件培養液によって誘導される内皮細胞の血管管状構造の新生を阻害できることが明らかとなった。<実施例12>LECT2蛋白質の黒色腫及び肺細胞腫瘍発生及び血管新生に対する影響 まず、LECT2を過剰発現したマウス黒色腫細胞株B16F1を構築した。ハイグロマイシンB(hygromycinB)でスクリーニングした後、LECT2の発現量を分析し、生体内異種黒色腫移植モデルを用いてLECT2蛋白質の腫瘍成長及び血管新生に対する影響を評価した。B16F1細胞(B16F1/Neo及びB16F1/LECT2)を7週齢のC57BL/6メスマウスに皮下注射し、それぞれのマウスは細胞5×105個を注射した。図13Aを参照すると、細胞を注射した18日目に、B16F1/Neo細胞を注射したマウスの平均腫瘍体積は明らかにB16F1/LECT2細胞を注射したマウスの腫瘍体積より大きい。24日後に、マウスを犠牲にし、皮下腫瘍を取り出し撮影を行い、結果は図13Bに示す通りである。さらに、免疫組織化学染色法でLECT2蛋白質を過剰発現している腫瘍細胞の、異種腫瘍移植体内血管新生と血管数の影響について分析を行った。図13Cを参照すると、ホルマリンで腫瘍標本を固定し、パラフィンで包埋した後特定の血管染色法を行い(内皮マーカーCD31に対して免疫組織化学染色を行う)、切片を染色する。統計結果からわかるように、ベクター対照グループ細胞の腫瘍において、mm2体積単位あたりの血管数はLECT2細胞株をトランスフェクションしたものの2倍である。これによって、LECT2はC57BL/6Jマウス体内腫瘍中におけるB16F1黒色腫細胞の成長及び血管新生を阻害できることが明らかになった。<実施例13>LECT2蛋白質のヌードマウス腫瘍成長に対する影響 肺癌A549細胞を7週齢のメスヌードマウスに皮下注射し、それぞれのマウスに細胞5×106個を注射した。A549細胞を注射した20日後に、D−luciferin(20 mg/mL/マウス体重1キロあたり)を腹腔内注射し、マウスを麻酔させ、Berthold/NightOWL映像システムで5分間撮影した。図14を参照すると、短時間の露出(30秒)であるにかかわらず、カラー映像はすべてのA549/Luc/Neo腫瘍マウスの背部皮下は明るいスポットを示し、この明るいスポットはA549/Luc/LECT2腫瘍マウスにおいて明らかに小さいものであり、LECT2はヌードマウス腫瘍の肺癌細胞成長を阻害できることを示した。これによって、LECT2蛋白質はA549細胞のヌードマウスの腫瘍成長を有効に阻害できることが明らかとなった。 以上において本発明の好ましい実施例を開示したが、しかしこれらは本発明を限定するものではなく、すべての当業者は本発明の趣旨及び範囲を脱離しない前提において、適宜変更及び応用をすることができる。よって、本発明の保護しようする範囲は後の特許請求の範囲に依拠するものである。 個体における病理的血管新生を阻害する組成物であって、 有効量のLECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体、及び薬学上受容できるキャリアを含むことを特徴とする、病理的血管新生を阻害する組成物。 上記LECT2蛋白質類似体が、LECT2組換え蛋白質であることを特徴とする、請求項1に記載の病理的血管新生を阻害する組成物。 上記LECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体が、血管新生因子の阻害剤であることを特徴とする、請求項1に記載の病理的血管新生を阻害する組成物。 上記血管新生因子が、血管内皮増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮増殖因子(EGF)及び肝細胞増殖因子(HGF)から選ばれたものであることを特徴とする、請求項3に記載の病理的血管新生を阻害する組成物。 上記血管新生因子が血管内皮増殖因子阻害剤であることを特徴とする、請求項3に記載の病理的血管新生を阻害する組成物。 上記LECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体が、内皮細胞遊走阻害剤であることを特徴とする、請求項1に記載の病理的血管新生を阻害する組成物。 上記LECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体が、腫瘍血管侵入阻害剤であることを特徴とする、請求項1に記載の病理的血管新生を阻害する組成物。 上記病理性の血管新生が、細胞増殖性疾患を伴うことを特徴とする、請求項1に記載の病理的血管新生を阻害する組成物。 上記細胞増殖性疾患が癌であることを特徴とする、請求項8に記載の病理的血管新生を阻害する組成物。 上記癌が、肝臓癌、肺癌、乳癌、大腸癌、胃癌及び黒色腫から選ばれるものであることを特徴とする、請求項9に記載の病理的血管新生を阻害する組成物。 上記癌が、肺癌又は肝臓癌であることを特徴とする、請求項9に記載の病理的血管新生を阻害する組成物。 上記個体が、哺乳類であることを特徴とする、請求項1に記載の病理的血管新生を阻害する組成物。 上記個体が、ヒトであることを特徴とする、請求項1に記載の病理的血管新生を阻害する組成物。 個体において細胞増殖性疾患を治療及び/又は阻害する組成物であって、有効量のLECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体、及び薬学上受容できるキャリアを含むことを特徴とする、細胞増殖性疾患を治療及び/又は阻害する組成物。 上記LECT2蛋白質類似体は、LECT2組換え蛋白質であることを特徴とする、請求項14に記載の細胞増殖性疾患を治療及び/又は阻害する組成物。 上記細胞増殖性疾患が癌であることを特徴とする、請求項14に記載の細胞増殖性疾患を治療及び/又は阻害する組成物。 上記癌が、肝臓癌、肺癌、乳癌、大腸癌、胃癌及び黒色腫から選ばれるものであることを特徴とする、請求項16に記載の細胞増殖性疾患を治療及び/又は阻害する組成物。 上記癌が、肺癌又は肝臓癌であることを特徴とする、請求項16に記載の細胞増殖性疾患を治療及び/又は阻害する組成物。 上記LECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体が、個体において腫瘍の成長を阻害することを特徴とする、請求項14に記載の細胞増殖性疾患を治療及び/又は阻害する組成物。 上記LECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体が、腫瘍内皮細胞遊走阻害剤であることを特徴とする、請求項14に記載の細胞増殖性疾患を治療及び/又は阻害する組成物。 上記LECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体が、腫瘍血管侵入阻害剤であることを特徴とする、請求項14に記載の細胞増殖性疾患を治療及び/又は阻害する組成物。 上記個体が、哺乳類であることを特徴とする、請求項14に記載の細胞増殖性疾患を治療及び/又は阻害する組成物。 上記個体が、ヒトであることを特徴とする、請求項14に記載の細胞増殖性疾患を治療及び/又は阻害する組成物。 病理的血管新生を阻害する医薬組成物を製造することを特徴とする、LECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体の用途。 上記LECT2蛋白質類似体がLECT2組換え蛋白質であることを特徴とする、請求項24に記載のLECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体の用途。 細胞増殖性疾患の治療及び/又は阻害に用いる医薬組成物を製造することを特徴とする、LECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体の用途。 上記細胞増殖性疾患は癌であることを特徴とする、請求項26に記載のLECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体の用途。 上記癌が、肝臓癌、肺癌、乳癌、大腸癌、胃癌および黒色腫から選ばれるものであることを特徴とする、請求項27に記載のLECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体の用途。 上記癌が、肺癌又は肝臓癌であることを特徴とする、請求項27に記載のLECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体の用途。 上記LECT2蛋白質類似体がLECT2組換え蛋白質であることを特徴とする、請求項26に記載のLECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体の用途。 個体に対して有効量のLECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体、及び薬学上受容できるキャリアを投与することを特徴とする、病理的血管新生を阻害する方法。 上記LECT2蛋白質類似体がLECT2組換え蛋白質であることを特徴とする、請求項31に記載の病理的血管新生を阻害する方法。 上記LECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体が、血管新生因子の活性を阻害することを特徴とする、請求項31に記載の病理的血管新生を阻害する方法。 上記血管新生因子が、血管内皮増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮細胞成長因子(EGF)及び肝細胞増殖因子(HGF)から選ばれるものであることを特徴とする、請求項33に記載の病理的血管新生を阻害する方法。 上記血管新生因子が、血管内皮増殖因子であることを特徴とする、請求項33に記載の病理的血管新生を阻害する方法。 上記LECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体が、内皮細胞の遊走を阻害することを特徴とする、請求項31に記載の病理的血管新生を阻害する方法。 上記LECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体が、腫瘍の血管侵入を阻害することを特徴とする、請求項31に記載の病理的血管新生を阻害する方法。 上記病理的血管新生が、細胞増殖性疾患を伴うことを特徴とする、請求項31に記載の病理的血管新生を阻害する方法。 上記細胞増殖性疾患が癌であることを特徴とする、請求項38に記載の病理的血管新生を阻害する方法。 上記癌が、肝臓癌、肺癌、乳癌、大腸癌、胃癌および黒色腫から選ばれるものであることを特徴とする、請求項39に記載の病理的血管新生を阻害する方法。 上記癌が、肺癌又は肝臓癌であることを特徴とする、請求項39に記載の病理的血管新生を阻害する方法。 上記個体が、哺乳類であることを特徴とする、請求項31に記載の病理的血管新生を阻害する方法。 上記個体が、ヒトであることを特徴とする、請求項31に記載の病理的血管新生を阻害する方法。 【課題】本発明は、病理的血管新生及び/又は細胞増殖性疾患を阻害する医薬組成物を提供する。【解決手段】本発明の医薬組成物は、有効量のLECT2蛋白質又はLECT2蛋白質類似体、及び薬学上受容できるキャリアを含む。【選択図】なし


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