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タイトル:特許公報(B2)_化粧料用油性基剤及びそれを含む化粧料
出願番号:2011519289
年次:2015
IPC分類:A61K 8/37,A61Q 19/00,A61Q 5/12,A61Q 1/00


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荒平 奈々 苔口 由貴 川合 清隆 JP 5654460 特許公報(B2) 20141128 2011519289 20090615 化粧料用油性基剤及びそれを含む化粧料 高級アルコール工業株式会社 391066319 平山 精孝 100113033 荒平 奈々 苔口 由貴 川合 清隆 20150114 A61K 8/37 20060101AFI20141218BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20141218BHJP A61Q 5/12 20060101ALI20141218BHJP A61Q 1/00 20060101ALI20141218BHJP JPA61K8/37A61Q19/00A61Q5/12A61Q1/00 A61K 8/00− 8/99 A61Q 1/00−90/00 CAplus/REGISTRY(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開2001−342109(JP,A) 特開平08−099827(JP,A) 特開昭50−076238(JP,A) 特開2008−162965(JP,A) 特開2005−112823(JP,A) 新原料紹介「顔料分散・熱安定性に優れた、なめらかな感触の液状エステル『NPDIN』高級アルコール工業,フレグランスジャーナル,日本,フレグランスジャーナル社,2007年10月15日,Vol.35,No.10,pp.120,121 新化粧品ハンドブック,日本,日光ケミカルズ株式会社,2006年10月30日,pp.61,62,68-72 19 JP2009002692 20090615 WO2010146616 20101223 30 20120529 川島 明子本発明は、多価アルコールと脂肪酸とから成るエステル化合物を含む化粧料用油性基剤及びそれを含む化粧料に関し、更に詳しくは、ペンタエリスリトールとイソノナン酸とから成るエステル化合物を含む化粧料用油性基剤及びそれを含む化粧料、並びに該エステル化合物の製造方法に関する。従来、種々の化粧料に使用される油性基剤として、種々のエステル化合物が知られている。特許文献1には、充填材としてポリウレタン粒子、並びに15重量%より少ない水及び/又は水溶性溶媒を含有する化粧リップケア及び/又はリップメイクアップ製品が開示されている。該発明は、化粧リップケア及び/又はリップメイクアップ製品に光沢及び光沢耐久性を付与するものである。また、特許文献1には、該製品に脂肪相を含め得ることが記載されている。該脂肪相として、ポリブテン、水素化ポリイソブチレン、ポリデセン、水素化ポリデセン、ビニルピロリドン共重合体、例えば、ポリビニルピロリドン/ヘキサデセン共重合体、テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、トリメリット酸トリデシル、クエン酸トリイソアラキジル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸グリセリル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、トリス(2−デシル)テトラデカン酸グリセリル、フェニルシリコーン及び植物油、例えば、ゴマ油から選ばれた油が挙げられている。しかし、これらエステル化合物を含む多数の脂肪相となり得る油が記載されてはいるものの、実施例においては、これらのうち、ポリビニルピロリドン/ヘキサデセン共重合体、ポリブテン及びフェニルトリメチコンが使用されているに過ぎない。また、これらの油は全て光沢を有するという観点から選ばれている。これらは化粧リップケア及び/又はリップメイクアップ製品に光沢を与えるものである。特許文献2には、乾燥固形分抽出物により決められる固形分含量が47重量%を超え、またコンシステンシー指数が1,000Pa未満であるケラチン繊維ケアまたはメイクアップ用化粧組成物が開示されている。該組成物は、少なくとも1種の特殊構造化剤(structuring agent)を含む少なくとも1種の脂肪相を含み得る。該発明は、該特殊構造化剤を含む脂肪相を採用することにより、上記組成物に上記所定のコンシステンシーを付与しつつ、かつ多量の脂肪相を組み込むことを可能にしたものである。これにより、該組成物に、容易で均一な塗りと満足すべきボリューム感および分離効果の組合せを実現することを可能にしたのである。該脂肪相を構成する油として、ポリイソブチレン、水素化ポリイソブチレン、ポリデセンおよび水素化ポリデセン、エステル、植物由来の油及びこれらの混合物を使用し得ることが記載されている。これらのうち、エステルとして、全炭素数が30から70個の範囲の直鎖脂肪酸のエステル、例えば、テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル、ヒドロキシエステル、例えば、リンゴ酸ジイソステアリル、芳香族エステル、例えば、トリメリト酸トリデシル、C24〜C28の分岐脂肪酸もしくは脂肪アルコールのエステル、例えば、クエン酸トリイソセチル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸グリセリル、2−トリデシルテトラデカン酸グリセリル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ポリ−2−グリセリル、2−テトラデシルテトラデカン酸ペンタエリスリチルが挙げられている。しかし、これら多数の脂肪相となり得る油が記載されてはいるものの、実施例においては、これらのうち、ポリブテンが使用されているに過ぎない。特許文献3には、アルコキシル化アルコールとカルボン酸との少なくとも1種のエステルおよび少なくとも1種の無極性油を含む所定の化粧品組成物が開示されている。該発明は、上記所定のエステルと無極性油とを組み合わせることにより、光沢度が高くかつ快適性に劣らない化粧品組成物を得るものである。特許文献3には、また、上記所定のエステル及び無極性油以外の不揮発油を含み得ることが記載されている。該不揮発油として、液状トリグリセリドなどの炭化水素系植物油、例えば、ヘプタン酸またはオクタン酸トリグリセリドまたはホホバ油、式RCOOR’の炭化水素系エステル、例えば、イソノナン酸イソノニル、エルカ酸オレイルまたはネオペンタン酸2−オクチルドデシル、炭素数12から26の脂肪アルコール、例えば、オクチルドデカノール、2−ブチルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−ウンデシルペンタデカノールまたはオレイルアルコール、所定のフッ素油、12から26個の炭素原子を含む脂肪酸、例えば、オレイン酸、およびこれらの混合物、並びに、高分子質量の不揮発油、例えば、ポリブチレン、水添ポリイソブチレン、ポリデセンおよび水添ポリデセン、ビニルピロリドンコポリマー、エステル、シリコーン油、ゴマ油などの植物由来の油およびこれらの混合物が挙げられている。また、上記のエステルとして、例えば、直鎖脂肪酸エステル、例えば、テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル、ヒドロキシル化エステル、例えば、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、芳香族エステル、例えば、トリメリト酸トリデシル、分枝状C24〜C28脂肪アルコールまたは脂肪酸のエステル、例えば、クエン酸トリイソアラキジル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、テトラデカン酸グリセリル2−トリデシル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル−2、またはテトラデカン酸ペンタエリスリチル2−テトラデシル、ジオールダイマーエステルおよびポリエステル、例えば、ジオールダイマーと脂肪酸とのエステル、およびジオールダイマーと二酸とのエステルが挙げられている。しかし、これら多数の不揮発性油は任意物質として記載されているに過ぎない。また、実施例においては、これらのうち、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチルが使用されているに過ぎない。特許文献4には、i)ヒドロキシル化カルボン酸のトリグリセリドの少なくとも1種を、脂肪族モノカルボン酸で、さらに脂肪族ジカルボン酸で、エステル化することにより得られる少なくとも1種のポリエステル、ii)6,500から10,000g/molの分子量の少なくとも1種のオイル、ならびにiii)所定の媒質を含む、ケラチン物質のための美容ケアおよび/またはメイクアップ組成物が開示されている。該発明は、上記のi)、ii)及びiii)の物質を組み合わせることにより、施与時および施与後にも光沢があり、優れた適用性、広がり、攻撃(challenge)の後の色の保持、心地よさおよび非移行性(non−migration)という優れた特性、および/または、ケラチン物質に付着した際の輪郭が明確であること、および/または色の強度(intensity)が向上した化粧品組成物を提供するものである。特許文献4には、ii)のオイルとして、親油性ポリマー、例えば、ポリブチレン、水添ポリイソブチレン、ポリデセンおよび水添ポリデセン、ビニルピロリドンコポリマー、エステル、シリコーンオイル、例えば、フェニルシリコーン、植物由来のオイル、例えば、ごま油、及びこれらの混合物等の多数の物質が挙げられている。ここで、エステルとしては、直鎖脂肪酸エステル、例えば、テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル、ヒドロキシル化エステル、例えば、トリイソステアリン酸ポリグリセロール−2、芳香族エステル、例えば、トリメリト酸トリデシル、脂肪酸または脂肪アルコールのエステル、例えば、クエン酸トリイソアラキル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸グリセリル、2−トリデシルテトラデカン酸グルセリル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル−2、2−テトラデシルテトラデカン酸ペンタエリスリチルが挙げられている。しかし、実施例においては、ii)のオイルとして、これらのうち、水添ポリイソブチレン、ポリブチレンが使用されているに過ぎない。特許文献5には、エステル化合物と、三ブロックコポリマー、スターポリマー、ラジアルポリマー、多ブロックコポリマーおよびそれらの組合せから成る群から選択されるポリマー化合物との混合物を含む、所定の二相ゲル組成物が開示されている。ここで、エステル化合物として、著しく多数の物質が挙げられている。しかし、実施例においては、これらのうち、ミリスチン酸イソプロピル、メトキシ桂皮酸オクチル、ジカプリル酸/カプロン酸プロピレングリコール、ネオペンタン酸イソステアリル、ホホバ油が使用されているに過ぎない。特許文献6には、制汗剤化合物、所定のカルボン酸の澱粉加水分解物エステル、所定のゲル化剤、およびシリコーン、炭化水素等を含有する担体を所定量で含むゲル制汗剤組成物が開示されている。該組成物は任意的に脂肪族エステルを含むことができる。該脂肪族エステルは、感触および塗布の容易さを改善するために使用されている。該脂肪族エステルとして、著しく多数の物質が挙げられている。しかし、実施例においては、これらのうち、ミリスチン酸イソプロピル等の一部の脂肪族エステルが使用されているに過ぎない。特許文献7には、所定の構造を有するアミノ変性高分子シリコーン、所定の油分とポリブテンを含有する口唇用化粧料が開示されている。上記の油分として、リンゴ酸ジイソステアリル、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/ エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、ジイソステアリン酸グリセリル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、およびトリオクタノインが挙げられている。該発明は、上記成分の組み合わせにより、 つやがあり、かつ、色もち(化粧もち)、塗布感(なめらかさ)に優れる口唇用化粧料を得るものである。特許文献8には、所定の構造を有するシリコーン・ポリアミド共重合体、フルオロアルキル基含有環状オルガノポリシロキサン及びイソノナン酸と分岐アルコールのエステル油及び/又は2 − エチルヘキサン酸と多価アルコールのエステル油を含有する油性固形化粧料が開示されている。該発明において、上記の物質の組み合わせにより、化粧料のとれ、伸び広がりの良さやべたつきのなさといった使用感が良好で、化粧膜の均一性と化粧膜の持続性に優れ、かつ、保存安定性にも優れた油性固形化粧料が得られたのである。化粧料のとれ及び保存安定性に優れているという観点から、エステル油として、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソドデシル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトールが挙げられている。特許文献9には、生理学的に許容できる媒体に、ジオール二量体と少なくとも1種のC4からC34モノカルボン酸またはジカルボン酸との少なくとも1種のエステルおよび少なくとも1種の皮膜形成剤を含む化粧品組成物が開示されている。該化粧品組成物には高モル質量の油を含めることができる。該高モル質量の油として、直鎖状脂肪酸エステル、水酸化エステル、芳香族エステル、分枝状でC24〜C28の脂肪アルコールまたは脂肪酸のエステル、シリコーン油、植物由来の油、およびこれらの混合物が挙げられている。これらのうち、好ましくは、ポリブチレン、水素化ポリイソブチレン、ポリデセン、水素化ポリデセン、ビニルピロリドンコポリマー、例えば、PVP/ヘキサデセンコポリマー、テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、トリメリト酸トリデシル、クエン酸トリイソアラキジル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸グリセリル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、トリス(2−デシル)テトラデカン酸グリセリル、フェニルシリコーンおよびゴマ油ならびにそれらの混合物が使用される。実施例においては、これらのうち、水素化ポリイソブテンが使用されているに過ぎない。特許文献10には、少なくとも2個のヒドロキシル基を含む脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルとポリカルボン酸とのエステル化により得られる少なくとも1のポリエステル、および前記のポリエステル以外の少なくとも1の炭化水素系エステルを含む、化粧品として許容される媒体を含む化粧品組成物が開示されている。該化粧品組成物には高モル質量の油を含めることができる。該高モル質量の油として、直鎖状脂肪酸エステル、水酸化エステル、芳香族エステル、分枝状でC24〜C28の脂肪アルコールまたは脂肪酸のエステル、シリコーン油、植物由来の油、およびこれらの混合物が挙げられている。これらのうち、好ましくは、ポリブチレン、水素化ポリイソブチレン、ポリデセン、水素化ポリデセン、ビニルピロリドンコポリマー、例えば、PVP/ヘキサデセンコポリマー、テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、トリメリト酸トリデシル、クエン酸トリイソアラキジル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸グリセリル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、トリス(2−デシル)テトラデカン酸グリセリル、フェニルシリコーンおよびゴマ油ならびにそれらの混合物が使用される。しかし、実施例においては、これらのうち、ポリブチレンが使用されているに過ぎない。特開2005−336189号公報特開2004−262913号公報特開2006−188518号公報特開2004−277420号公報特開2003−41087号公報特表平11−514350号公報特開2007−176866号公報特開2006−241003号公報特開2005−350466号公報特開2005−36005号公報本発明は、ペンタエリスリトールとイソノナン酸とから成り、かつペンタエリスリトール残基とイソノナン酸残基とを所定のモル比で有するエステル化合物を含む、新規な化粧料用油性基剤及びそれを含む化粧料を提供するものである。上記の特許文献1〜10には、化粧料用油性基剤に使用し得るとして多数のエステル化合物が列挙されている。しかし、その効果は、これらのエステル化合物のごく一部について実証されているに過ぎない。特許文献7及び8には、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル(テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール)が、同様な効果を有する他のエステル化合物と共に併記されている。しかし、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルは、皮膚に対する密着性及び他の油剤との相溶性が良好であるとは言えなかった(下記の合成比較例2参照)。従って、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルを含む化粧料も、化粧料としての効果は良好なものとは言えなかった(下記の比較例5参照)。また、特許文献3には、同様な効果を有するエステル化合物として列挙された多数のエステル化合物の中から、エステル化合物としてテトライソステアリン酸ペンタエリスリチルを使用した実施例が記載されている。しかし、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチルにおいても、皮膚に対する密着性及び他の油剤との相溶性が良好なものであるとは言えなかった(下記の合成比較例3参照)。また、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチルを含む化粧料も、化粧料としての効果は良好なものとは言えなかった(下記の比較例2、3及び6参照)。特許文献1〜6及び9〜10には、多数のエステル化合物の一例として、テトライソノナン酸ペンタエリスリチルが挙げられている。しかし、いずれの特許文献においても、テトライソノナン酸ペンタエリスリチルは、化粧料用油性基剤として使用し得るであろうと言う推測のみに基づいて、多数のエステル化合物の一例として単に列挙されているに過ぎず、実施例においては使用されていなかった。従って、テトライソノナン酸ペンタエリスリチルの皮膚に対する密着性及び他の油剤との相溶性に関する知見は存在せず、かつテトライソノナン酸ペンタエリスリチルを含む化粧料に関する効果も全く知られていなかった。加えて、テトライソステアリン酸とペンタエリスリトールとから成るエステル化合物、即ち、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル、モノイソノナン酸ペンタエリスリチルの夫々及びこれらの混合物が化粧料用油性基剤として如何に作用するかについての知見は全くなかった。本発明者らは、化粧料用油性基剤として使用し得るより優れたエステル化合物を得るべく、種々の検討を重ねた。その結果、従来から公知の多数のエステル原料の中から、ペンタエリスリトールとイソノナン酸とを選び出し、かつこれらを所定のモル当量比で反応させて得られたエステル化合物が、しっとりとした適度な油性感を有し、不快なべたつきがなく、皮膚に対する密着性及び安全性に優れ、かつ油剤、とりわけシリコーン油との相溶性に優れることを見出した。加えて、該エステル化合物を種々の化粧料に含めると、化粧料に適度なエモリエント性及び保湿性を付与し得るばかりではなく、滑らかな使用感、皮膚に対する密着性及び安全性、化粧効果の持続性、並びに保存安定性をも付与し得ることを見出した。また、ペンタエリスリトールとイソノナン酸とを所定のモル当量比で反応せしめて得られた、複数のエステル化合物を含む化粧料用油性基剤が、上記種々の効果を有することは全く新しい知見である。即ち、本発明は、(1)多価アルコールと脂肪酸とから成るエステル化合物を含む化粧料用油性基剤において、エステル化合物がペンタエリスリトールとイソノナン酸とから成り、かつ、該エステル化合物中のペンタエリスリトール残基とイソノナン酸残基とのモル比が、1.0:2.3〜1.0:4.0であり、かつ、該エステル化合物が、テトライソノナン酸ペンタエリスリチルと、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル及びモノイソノナン酸ペンタエリスリチルより成る群から選ばれる1種類以上との混合物であることを特徴とする化粧料用油性基剤である。好ましい態様として、(2)ペンタエリスリトール残基とイソノナン酸残基とのモル比が、1.0:2.5〜1.0:4.0である上記(1)記載の化粧料用油性基剤、(3)ペンタエリスリトール残基とイソノナン酸残基とのモル比が、1.0:3.0〜1.0:4.0である上記(1)記載の化粧料用油性基剤、(4)上記エステル化合物が、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル 100質量部未満20.0質量部以上、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル 0質量部超55.0質量部以下、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル 0質量部超30.0質量部以下、及びモノイソノナン酸ペンタエリスリチル 0質量部以上10.0質量部以下の合計100質量部から成る上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤、(5)上記エステル化合物が、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル 100質量部未満22.0質量部以上、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル 0質量部超52.0質量部以下、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル 0質量部超25.0質量部以下、及びモノイソノナン酸ペンタエリスリチル 0質量部以上5.0質量部以下の合計100質量部から成る上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤、(6)上記エステル化合物が、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル 100質量部未満40.0質量部以上、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル 0質量部超45.0質量部以下、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル 0質量部超15.0質量部以下、及びモノイソノナン酸ペンタエリスリチル 0質量部以上2.0質量部以下の合計100質量部から成る上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤、(7)水酸基価が0.3〜140であるところの上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤、(8)水酸基価が0.5〜90であるところの上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤、(9)粘度(25℃)が300〜1,000mPa・sであるところの上記(1)〜(8)のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤、(10)粘度(25℃)が300〜800mPa・sであるところの上記(1)〜(8)のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤、(11)粘度(25℃)が300〜600mPa・sであるところの上記(1)〜(8)のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤、(12)数平均分子量が500〜800であるところの上記(1)〜(11)のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤、(13)数平均分子量が520〜780であるところの上記(1)〜(11)のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤、(14)数平均分子量が540〜760であるところの上記(1)〜(11)のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤、(15)上記(1)〜(14)のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤を含む化粧料、(16)スキンクリーム、ヘアトリートメント、ファンデーション、マスカラ、アイシャドウ、リップグロス又はリップスティック用の上記(1)〜(14)のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤を挙げることができる。本発明は、また、(17)多価アルコールと脂肪酸とを反応せしめて、化粧料用油性基剤用のエステル化合物を製造する方法において、多価アルコールがペンタエリスリトールであり、脂肪酸がイソノナン酸であり、かつ上記反応におけるペンタエリスリトールとイソノナン酸とのモル当量比が、1.0:2.3〜1.0:4.0であり、かつ、得られたエステル化合物が、テトライソノナン酸ペンタエリスリチルと、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル及びモノイソノナン酸ペンタエリスリチルより成る群から選ばれる1種類以上との混合物であることを特徴とする方法である。好ましい態様として、(18)ペンタエリスリトールとイソノナン酸とのモル当量比が、1.0:2.5〜1.0:4.0である上記(17)記載の方法、(19)ペンタエリスリトールとイソノナン酸とのモル当量比が、1.0:3.0〜1.0:4.0である上記(17)記載の方法を挙げることができる。本発明の化粧料用油性基剤は、しっとりとした適度な油性感を有し、不快なべたつきがなく、皮膚に対する密着性及び安全性に優れ、かつ油剤、とりわけシリコーン油との相溶性に優れる。また、種々の化粧料に配合すると、化粧料に適度なエモリエント性及び保湿性を付与し得るばかりではなく、滑らかな使用感、皮膚に対する密着性及び安全性、化粧効果の持続性、並びに保存安定性をも付与し得る。本発明の化粧料用油性基剤に含まれるエステル化合物は、多価アルコールであるペンタエリスリトールと、脂肪酸であるイソノナン酸とから成る。該エステル化合物中のペンタエリスリトール残基とイソノナン酸残基とのモル比は、1.0:2.3〜1.0:4.0、好ましくは1.0:2.5〜1.0:4.0、より好ましくは1.0:3.0〜1.0:4.0である。イソノナン酸残基のモル比が、上記下限未満では、不快なべたつきを有するばかりではなく皮膚に対する安全性に劣り、かつ油剤、例えば、シリコーン油及び炭化水素油との相溶性が低下するため好ましくない。ペンタエリスリトールとイソノナン酸とから成るエステル化合物は、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル及びモノイソノナン酸ペンタエリスリチルである。本発明の化粧料用油性基剤は、ペンタエリスリトールとイソノナン酸とから成る上記エステル化合物を1種類以上、好ましくは2種類以上含む。好ましいエステル化合物は、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル100質量部以下20.0質量部以上、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル0質量部以上55.0質量部以下、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル0質量部以上30.0質量部以下、及びモノイソノナン酸ペンタエリスリチル0質量部以上10.0質量部以下の合計100質量部から成る。より好ましくは、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル100質量部以下22.0質量部以上、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル0質量部以上52.0質量部以下、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル0質量部以上25.0質量部以下、及びモノイソノナン酸ペンタエリスリチル0質量部以上5.0質量部以下の合計100質量部から成り、更に好ましくは、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル100質量部以下40.0質量部以上、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル0質量部以上45.0質量部以下、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル0質量部以上15.0質量部以下、及びモノイソノナン酸ペンタエリスリチル0質量部以上2.0質量部以下の合計100質量部から成る。上記エステル化合物を2種類以上含む場合には、テトライソノナン酸ペンタエリスリチルと、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル及びモノイソノナン酸ペンタエリスリチルから選ばれる1種類以上との混合物が好ましい。その際、好ましいエステル化合物は、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル100質量部未満20.0質量部以上、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル0質量部超55.0質量部以下、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル0質量部超30.0質量部以下、及びモノイソノナン酸ペンタエリスリチル0質量部以上10.0質量部以下の合計100質量部から成り、より好ましくは、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル100質量部未満22.0質量部以上、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル0質量部超52.0質量部以下、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル0質量部超25.0質量部以下、及びモノイソノナン酸ペンタエリスリチル0質量部以上5.0質量部以下の合計100質量部から成り、更に好ましくは、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル100質量部未満40.0質量部以上、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル0質量部超45.0質量部以下、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル0質量部超15.0質量部以下、及びモノイソノナン酸ペンタエリスリチル0質量部以上2.0質量部以下の合計100質量部から成る。上記いずれのエステル化合物においても、テトライソノナン酸ペンタエリスリチルの含有量が上記下限未満であり、かつトリイソノナン酸ペンタエリスリチル、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル及びモノイソノナン酸ペンタエリスリチルから選ばれる1種類以上の含有量が上記上限を超えては、該エステル化合物の皮膚に対する密着性及び他の油剤との相溶性が低下し、かつ各種化粧料に含めた際、所期の効果を達成することができない。また、本発明の化粧料用油性基剤には、上記エステル化合物に加えて、上記エステル化合物を製造する際に副生成物等として生成する物質を含むことができる。該物質は明らかではないが、例えば、原料由来の物質、酸無水物、ペンタエリスリトールの自己縮合によるジペンタエリスリトール、エステル重合物等であると推定される。これら物質の含有量は、反応に使用するペンタエリスリトールとイソノナン酸とのモル当量比等に依存して変化するが、化粧料用油性基剤中に、好ましくは5質量%以下である。本発明の化粧料用油性基剤は、これらの副生成物等を分離せずして使用し得る。従って、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル等を単独で使用する場合に比べて分離等の操作を省略できると言う利点がある。もちろん、これらの副生成物を分離除去して使用しても差し支えない。本発明のエステル化合物を含む化粧料用油性基剤の水酸基価の上限は、好ましくは160、より好ましくは140、更に好ましくは90であり、下限は特に制限はないが、好ましくは0.3、より好ましくは0.5である。上記上限を超えては、油性基剤との相溶性が悪くなり、上記下限未満では、保湿性又はエモリエント性が乏しくなる。本発明の化粧料用油性基剤の粘度(25℃)の上限は、好ましくは1,000mPa・s、より好ましくは800mPa・s、更に好ましくは600mPa・sであり、下限は、好ましくは300mPa・sである。上記上限を超えては、粘着性が強く、皮膚に適用した場合に不快なべたつき感があり、上記下限未満では、皮膚に対する密着性が低下し、化粧料用として好ましくない。本発明の化粧料用油性基剤の数平均分子量の上限は、好ましくは800、より好ましくは780、更に好ましくは760であり、下限は、好ましくは500、より好ましくは520、更に好ましくは540である。上記上限を超えては、皮膚に適用した際に不快なべたつき感があり、上記下限未満では、皮膚に対する密着性が低下し、化粧料用として好ましくない。上記本発明の化粧料用油性基剤は、種々の化粧料、例えば、スキンクリーム、ヘアトリートメント、ファンデーション、マスカラ、アイシャドウ、リップグロス及びリップスティック等に含めて使用することができる。化粧料中の該油性基剤の含有量は、化粧料の種類に依存するが、好ましくは0.1〜80質量%、より好ましくは0.5〜70質量%、更に好ましくは0.5〜60質量%で含まれる。本発明の化粧料用油性基剤に含まれるエステル化合物は、ペンタエリスリトールとイソノナン酸とをモル当量比で1.0:2.3〜1.0:4.0、好ましくは1.0:2.5〜1.0:4.0、より好ましくは1.0:3.0〜1.0:4.0で反応させることにより製造することができる。該反応は従来公知の方法により実施することができる。以下の実施例において、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。合成実施例及び合成比較例合成実施例及び合成比較例において使用した物質は、特に記載のない限り下記の通りである。ペンタエリスリトール:三菱ガス化学株式会社製ペンタエリスリトール(商標)又は広栄パーストープ株式会社ペンタリット(商標)イソノナン酸:協和発酵ケミカル株式会社製キョーワノイック−N(商標)2−エチルヘキサン酸:協和発酵ケミカル株式会社製オクチル酸イソステアリン酸:高級アルコール工業株式会社製イソステリン酸EX(商標)合成実施例及び合成比較例において得られたエステル化合物の酸価、水酸基価、粘度、数平均分子量、密着性及び相溶性は、以下のようにして測定した。<酸価>化粧品原料基準18.酸価測定法に準拠して測定したものである。<水酸基価>化粧品原料基準24.水酸基価測定法に準拠して測定したものである。<粘度(mPa・s)>ブルックフィールド粘度計 DV−II+(スピンドルNo.2、12rpm、25℃)により測定したものである。<数平均分子量>下記条件において、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によりポリスチレン換算の相対分子量分布を測定して得たものである。測定機種 昭和電工株式会社製 GPC‐101カラム Shodex GPC KF‐603(2本)溶離液 THF温度 カラム恒温槽 40℃流速 0.5mL/min注入量 100μL(約0.2重量%/体積%)溶解性 完全溶解検出器 示差屈折計(R1)<密着性>合成実施例及び合成比較例で得られたエステル化合物0.1グラムを上腕部内側に塗布し、塗布後の「密着性」について、パネラー20名で評価を行った。評価結果は、20人中15人以上が「密着性良好」と回答した場合を「G」で示し、20人中6〜9人が「密着性良好」と回答した場合を「M」で示し、20人中5人以下が「密着性良好」と回答した場合を「B」で示した。<相溶性>使用した油剤は下記の通りである。炭化水素油:スクワラン(高級アルコール工業株式会社製、オリーブスクワラン)シリコーン油:シクロメチコン(東レ・ダウコーニング株式会社製、DOWCORNING TORAY SH 245 FLUID、商標)上記の各油剤(10質量%)に合成実施例及び合成比較例で得られたエステル化合物(90質量%)を80〜90℃の湯浴中で約60分間攪拌しながら溶解した。次いで、50℃まで攪拌しながら冷却し、その後、25℃の恒温室に保存した。1週間後の状態を目視により評価した。評価結果は、炭化水素油及びシリコーン油の両者と相溶した場合を「G」、いずれか一方と相溶した場合を「M」、両者のいずれとも相溶しない場合を「B」により示した。合成実施例1〜4及び合成比較例1において得られたエステル化合物中に含まれる各物質の定量はガスクロマトグラフィー(アジレント・テクノロジー株式会社製6890N(商標))を使用して実施した。測定機種 Agilent Technologies 6890Nカラム 開管カラム DB−1 15m×0.25mm×0.1mmキャリアーガス ヘリウム 45ml/minオーブン温度 150℃ to 280℃ 5℃/min 280℃ for 10min注入口温度 250℃検出器 水素炎イオン化検出器(FID)注入量 1μL(約0.5重量%/体積%)溶解液 シクロヘキサン溶解性 完全溶解[合成実施例1]攪拌装置、温度計、窒素ガス導入管、ディーンスターク水分計及びコンデンサーを取り付けた2リットルの4つ口フラスコに、ペンタエリスリトール204.2グラム(1.5mol)、イソノナン酸593.3グラム(3.75mol)を仕込んだ。次いで、メタスルホン酸を0.8グラム、溶媒としてのトルエンを100ミリリットル加えた。次いで、窒素を20ミリリットル/分で流しながら200℃から230℃まで徐々に昇温した。該温度で、生成水を溶媒と共沸させながら留去しつつ反応させた。生成水の留出が無くなったところで反応を停止した。次いで、温度を170℃に下げた後に減圧(約20mmHg)とし、溶媒(トルエン)を完全に除去した。淡黄色で粘性のあるエステル化合物647.5グラムが得られた。[合成実施例2]イソノナン酸の仕込み量を711.9グラム(4.5mol)に変えた以外は、合成実施例1と同一にして実施した。淡黄色で粘性のあるエステル化合物706.2グラムが得られた。[合成実施例3]イソノナン酸の仕込み量を830.6グラム(5.25mol)に変えた以外は、合成実施例1と同一にして実施した。淡黄色で粘性のあるエステル化合物843.5グラムが得られた。[合成実施例4]イソノナン酸の仕込み量を949.2グラム(6.0mol)に変えた以外は、合成実施例1と同一にして実施した。淡黄色で粘性のあるエステル化合物964.2グラムが得られた。[合成比較例1]イソノナン酸の仕込み量を474.6グラム(3.0mol)に変えた以外は、合成実施例1と同一にして実施した。淡黄色で粘性のあるエステル化合物503.5グラムが得られた。[合成比較例2]イソノナン酸に代えて2−エチルヘキサン酸864.6グラム(6.0mol)を仕込んだ以外は、合成実施例1と同一にして実施した。淡黄色で粘性のあるエステル化合物896.2グラムが得られた。[合成比較例3]イソノナン酸に代えてイソステアリン酸1707グラム(6.0mol)を仕込んだ以外は、合成実施例1と同一にして実施した。淡黄色で粘性のあるエステル化合物1726グラムが得られた。表1に各合成実施例及び合成比較例により得られた各物質の組成及び性状を示す。表中、*1及び*2は、イソノナン酸に代えて、夫々、2−エチルヘキサン酸及びイソステアリン酸を使用したものである。*3の生成物組成におけるモノエステル、ジエステル、トリエステル及びテトラエステルは、夫々、モノイソノナン酸ペンタエリスリチル、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル及びテトライソノナン酸ペンタエリスリチルを示す。合成実施例1〜4は、エステル合成反応におけるイソノナン酸のモル当量比を本発明の範囲内で変化させたものである。得られたエステル化合物は、合成実施例1〜3では、モノイソノナン酸ペンタエリスリチル、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル及びテトライソノナン酸ペンタエリスリチルの混合物であり、合成実施例4では、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル及びテトライソノナン酸ペンタエリスリチルの混合物であった。また、いずれの混合物においても、ペンタエリスリトール残基とイソノナン酸残基とのモル比は本発明の範囲内にあった。得られたエステル化合物の肌への密着性はいずれも良好であった。また、油性基剤との相溶性も良好であった。得られたエステル化合物の粘度は、イソノナン酸のモル当量比の増加、即ち、イソノナン酸残基のモル数の増加に伴って増加する傾向が見られた。いずれのエステル化合物においても粘度は化粧料用油性基剤として適しているものであった。一方、合成比較例1は、イソノナン酸のモル当量比を本発明の範囲未満にしたものである。得られたエステル化合物は、モノイソノナン酸ペンタエリスリチル、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル及びテトライソノナン酸ペンタエリスリチルの混合物であり、ペンタエリスリトール残基に対するイソノナン酸残基のモル比は本発明の範囲未満にあった。得られたエステル化合物の粘度は著しく高く、かつ密着性、相溶性及び皮膚安全性は悪いものとなった。合成比較例2は、合成実施例1におけるイソノナン酸に代えて2−エチルヘキサン酸を使用したものである。肌への密着性は悪く、また、油性基剤との相溶性も良好とは言えなかった。合成比較例3は、合成実施例1におけるイソノナン酸に代えてイソステアリン酸を使用したものである。肌への密着性及び油性基剤との相溶性共に良好とは言えなかった。実施例及び比較例実施例及び比較例で使用した物質は、特に記載のない限り下記の通りである。スクワラン:高級アルコール工業株式会社製オリーブスクワラン(イソステアリン酸ポリグリセリル−2/ダイマージリノール酸)コポリマー:高級アルコール工業株式会社製ハイルーセント ISDA(商標)ステアリン酸ポリグリセリル‐10:日光ケミカルズ株式会社製NIKKOL Decaglyn 1−SV(商標)ポリソルベート−80:花王株式会社製レドール TW−0120V(商標)水添レシチン:日光ケミカルズ株式会社製NIKKOL レシノール S−10EX(商標)ベヘニルアルコール:高級アルコール工業株式会社製ベヘニルアルコール 65(商標)水添ナタネ油アルコール:高級アルコール工業株式会社製アルコールNo.20−B(商標)セトステアリルアルコール:高級アルコール工業株式会社製セタノール NX(商標)ペンチレングリコール:高級アルコール工業株式会社製ジオール PD(商標)パラフィン:株式会社伊那貿易商会製PARAFFIN WAX SP(商標)ジプロピレングリコール(DPG):株式会社クラレ製DPG−RF(商標)1,3−ブチレングリコール(1,3−BG):高級アルコール工業株式会社製ハイシュガーケインBG(商標)シア脂:高級アルコール工業株式会社製シアバターRF(商標)ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル:高級アルコール工業株式会社製ハイルーセント 138DP(商標)コハク酸ビスエトキシジグリコール:高級アルコール工業株式会社製ハイアクオスターDCS(商標)ホホバ油:高級アルコール工業株式会社製エコオイル RS(商標)マカデミアナッツ油:日光ケミカルズ株式会社製NIKKOL マカデミアンナッツ油(商標)ステアリルアルコール:高級アルコール工業株式会社製ステアリルアルコール NX(商標)ステアリルトリモニウムクロリド:Clariant社製Genamin STAC(商標)ジステアリルジモニウムクロリド:Clariant社製Genamin DSAC(商標)ベヘントリモニウムクロリド:Clariant社製Genamin KDM−P(商標)ジココジモニウムクロリド:竹本油脂株式会社製パイオニンB−2211(商標)アモジメチコン:東レ・ダウコーニング株式会社製SF 8452 C(商標)シクロメチコン:東レ・ダウコーニング株式会社製SH245 Fluid(商標)ジメチコン:GE東芝シリコーン株式会社製TSF451−100A(商標)(実施例3〜5で使用)ジメチコン:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製TSF451−10A(商標)(実施例9において使用)フェノキシエタノール:東邦化学工業株式会社製ハイソルブ EPH(商標)マイカ:Merck社製Timiron Star Luster MP−1001(商標)酸化チタン被覆雲母:Merck社製Timiron Star Luster MP−115(商標)シリコーン処理硫酸バリウム:堺化学工業株式会社製板状硫酸バリウムHシリーズ(商標)窒化ホウ素:水島合金鉄株式会社製ボロンナイトライドSHP−6(商標)球状PMMA粉体:積水化成品工業株式会社製MBX−8C(商標)タルク:US Cosmetic Corporation製Soft Talc(商標)ナイロンパウダー:東レ株式会社製ナイロンパウダーTR−1(商標)シリコーン処理微粒子酸化チタン:テイカ株式会社製SMT−100SAS(商標)シリコーン処理微粒子酸化亜鉛:テイカ株式会社製MZ−505S(商標)シリコーン処理酸化チタン:US Cosmetic Corporation製DHL−TRI−77891(商標)シリコーン処理黄酸化鉄:US Cosmetic Corporation製DHL−Y−77492(商標)シリコーン処理赤酸化鉄:US Cosmetic Corporation製DHL−R−77491(商標)シリコーン処理黒酸化鉄:US Cosmetic Corporation製DHL−B−77499(商標)ジメチコン:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製TSF451−10A(商標)トリエチルヘキサノイン:高級アルコール工業株式会社製TOGジイソノナン酸ネオペンチルグリコール:高級アルコール工業株式会社製NPDINメトキシケイ皮酸エチルヘキシル:ISP社製ESCALOL 557(商標)トコフェロール:エーザイ株式会社製イーミックスD(商標)イソステアリン酸ヘキシルデシル:高級アルコール工業株式会社製ICISジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール:高級アルコール工業株式会社製KAK NDO(商標)(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマー:高級アルコール工業株式会社製リソカスタ HSDA(商標)モノイソステアリン酸ソルビタン:日本エマルジョン株式会社製エマレックス SPIS−100(商標)ジメチコンコポリオール:Evonik Goldschmidt GmbH製ABIL EM90(商標)パルミチン酸デキストリン:千葉製粉株式会社製レオパール KL2(商標)(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン:千葉製粉株式会社製レオパール TT2(商標)マイクロクリスタリンワックス:日興リカ株式会社製精製マイクロクリスタリンワックス 疎水化処理酸化チタン:US Cosmetic Corporation製NHS−TRI−77891(商標)疎水化処理黄酸化鉄:US Cosmetic Corporation製NHS−Y−77492(商標)疎水化処理赤酸化鉄:US Cosmetic Corporation製NHS−R−77491(商標)疎水化処理黒酸化鉄:US Cosmetic Corporation製NHS−B−77499(商標)ナイロン‐6:宇部興産株式会社製POMP605(商標)架橋型シリコーン末:東レ・ダウコーニング株式会社製トレフィル E506C(商標)ミネラルオイル:カネダ株式会社製ハイコール K230(商標)イソステアリン酸イソステアリル:高級アルコール工業株式会社製ISISミリスチン酸イソセチル:高級アルコール工業株式会社製ICM−R(商標)ネオデカン酸オクチルドデシル:高級アルコール工業株式会社製ネオライト2000(商標)デカメチルシクロペンタンシロキサン:東レ・ダウコーニング株式会社製SH245 Fluid(商標)ダイマージリノール酸水添ヒマシ油:高級アルコール工業株式会社製リソカスタ DA−L(商標)キャンデリラワックス:STRAHL & PITSCH社製CANDELILLA WAX 75(商標)カルナウバロウ:STRAHL & PITSCH社製CARNAUBA WAX 142(商標)ミツロウ:三木化学工業株式会社製精製ミツロウポリエチレン:Baker Petrolite社製ポリワックス 500(商標)青色1号:癸巳化成株式会社製青色1号リンゴ酸ジイソステアリル:高級アルコール工業株式会社製ハイマレート DIS(商標)ステアリン酸グリセリル(SE):日本エマルジョン株式会社製EMALEX GMS−195(商標)疎水化処理群青:Whittaker Clark & Daniels製7104 Ultramarine Blue(商標)雲母チタン:Merck社製Timiron Star Luster MP−115(商標)水添ポリイソブテン:日油株式会社製パールリーム18(商標)ジイソステアリン酸ポリグリセリル‐2:高級アルコール工業株式会社製リソレックス PGIS22(商標)トリイソステアリン酸ポリグリセリル‐2:高級アルコール工業株式会社製リソレックス PGIS23(商標)テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル:高級アルコール工業株式会社製KAK PTI(商標)ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル:高級アルコール工業株式会社製リソカスタ IOHS(商標)ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル:高級アルコール工業株式会社製リソカスタ ODSHS(商標)オクチルドデカノール:高級アルコール工業株式会社製リソノール 20SP(商標)ステアリン酸イヌリン:千葉製粉株式会社製レオパール ISL2(商標)(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル:日清オイリオグループ株式会社製ノムコート HK−G(商標)ダイマージリノール酸ジ(C20−40)アルキル:Koster Keunen社製Kester Wax K82−D(商標)ジブチルラウロイルグルタミド:味の素株式会社製GP−1(商標)ステアリルジメチコン:クラリアント社製Silcare Silicone 41M65(商標)アミド末端ポリアミド樹脂:Arizona Chemical社製Sylvaclear 200V(商標)エステル末端ポリアミド樹脂:Arizona Chemical社製Uniclear 100VG(商標)赤色218号:癸巳化成株式会社製赤色218号赤色226号:癸巳化成株式会社製赤色226号赤色201号:癸巳化成株式会社製赤色201号赤色202号:癸巳化成株式会社製赤色202号カルミン:Merck 社製COLORONA CARMINE RED(商標)酸化チタン:石原産業株式会社製タイペークCR−30(商標)合成金雲母、酸化チタン、酸化鉄[ラメ剤]:トピー工業株式会社製プロミネンス RYH(商標)ホウケイ酸(Ca/Al)、シリカ、酸化チタン、酸化スズ[ラメ剤]:Merck社製Ronastar Silver(商標)(PET/ポリメタクリル酸メチル)ラミネート[ラメ剤]:株式会社ダイヤケムコ製イリデッセントグリッターIF8101(商標)トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン:高級アルコール工業株式会社製KAK TTO(商標)イソノナン酸イソトリデシル:高級アルコール工業株式会社製KAK 139(商標)イソステアリン酸水添ヒマシ油:高級アルコール工業株式会社製リソカスタ MIS(商標)トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル:高級アルコール工業株式会社製TCG−M(商標)ネオペンタン酸イソステアリル:高級アルコール工業株式会社製ネオライト 180P(商標)ジカプリン酸ネオペンチルグリコール:高級アルコール工業株式会社製NPDC(商標)セレシン:STRAHL & PITSCH社製セレシン SP1020(商標)合成ワックス、(エチレン/プロピレン)コポリマー:日本ナチュラルプロダクツ社製LIP WAX PZ80−20(商標)黄色4号アルミニウムレーキ:癸巳化成株式会社製黄色4号アルミニウムレーキベンガラ:US Cosmetic Corporation社製NHS−R−77491(商標)青色1号アルミニウムレーキ:癸巳化成株式会社製青色1号アルミニウムレーキグリセリン:高級アルコール工業株式会社製トリオール VE(商標)(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー:クラリアント社製Aristoflex AVC(商標)キサンタンガム:三晶株式会社製KELTROL T(商標)カルボマー:日光ケミカルズ株式会社製カーボポールETD2050(商標)ヒドロキシエチルセルロース:住友精化株式会社製HEC(商標)ヒドロキシプロピルメチルセルロース:信越化学工業株式会社製メトローズ 60SH−4000(商標)ペンチレングリコール:高級アルコール工業株式会社製ジオール PD(商標)ポリクオタニウム-7:ライオン株式会社製リポフローMN(商標)加水分解シルク:株式会社成和化成製プロモイスシルク‐1000Q(商標)グリコール酸:和光純薬工業株式会社製グリコール酸(商標)メチルパラベン:クラリアント社製Nipagin M(商標)高重合メチルポリシロキサン(1):東レ・ダウコーニング株式会社製BY 22−029(商標)実施例及び比較例において製造した各化粧料の保存安定性、塗りやすさ(伸びやすさ、空すべり感のなさ)、油性感・保湿性、肌へのなじみ良さ・付きの良さ、及び皮膚安全性は、以下のようにして測定した。<保存安定性>実施例及び比較例の各化粧料(スキンクリーム、ヘアトリートメント、ファンデーション、マスカラ、アイシャドウ、リップグロス及びリップスティック)を下記所定の方法により、夫々、3個ずつ調製した。次いで、25℃及び45℃の恒温槽内で、夫々、1個ずつ、いずれも1ヶ月間保存した。残りの1個を、夫々、恒温室内で−10℃、25℃、45℃の3つの温度で8時間ずつ保持して、1往復48時間かけて5往復させた。このようにして得たサンプルについて、外観の劣化(粒子の粗大化)の有無、着色着臭の有無、分離の有無について人間の五感により観察した。その結果、外観の劣化及び着色着臭については、いずれのサンプルについても変化が認められなかった。従って、評価は分離の有無のみについて判断した。評価結果は、各サンプルを目視確認し、全てのサンプルで分離がない場合を「G」で示し、一つの温度条件のサンプルに僅かにでも分離がある場合を「M」で示し、二つ以上の温度条件のサンプルに僅かにでも分離がある場合を「B」で示した。<塗りやすさ>実施例及び比較例の各化粧料(スキンクリーム、ヘアトリートメント、ファンデーション、マスカラ、アイシャドウ、リップグロス及びリップスティック)の塗布時の「塗り易さ」について、パネラー20名で評価を行った。スキンクリームに関しては、0.5グラムを顔面に塗布した。ヘアトリートメントに関しては、2.0グラムを毛髪に塗布した。ファンデーションに関しては、1.0グラムを顔面に塗布した。マスカラに関しては、0.1グラムをまつ毛に塗布した。アイシャドウに関しては、0.1グラムを瞼に塗布した。リップグロス及びリップスティックに関しては、0.2グラムを唇に塗布した。評価結果は、20人中15人以上が「塗りやすさ良好」と回答した場合を「G」で示し、20人中6〜9人が「塗りやすさ良好」と回答した場合を「M」で示し、20人中5人以下が「塗りやすさ良好」と回答した場合を「B」で示した。<油性感・保湿性>実施例及び比較例の各化粧料(スキンクリーム、ヘアトリートメント、ファンデーション、マスカラ、アイシャドウ、リップグロス及びリップスティック)の塗布後の「油性感・保湿性」については、上記の「塗りやすさ」の評価方法と同一にして、パネラー20名を使用し、同一箇所に同一量を塗布することにより評価した。評価結果は、20人中15人以上が「適度な油性感・保湿性あり」と回答した場合を「G」で示し、20人中6〜9人が「適度な油性感・保湿性あり」と回答した場合を「M」で示し、20人中5人以下が「適度な油性感・保湿性あり」と回答した場合を「B」で示した。<肌(毛髪、まつ毛、瞼、唇)へのなじみ良さ・付きの良さ>実施例及び比較例の各化粧料(スキンクリーム、ヘアトリートメント、ファンデーション、マスカラ、アイシャドウ、リップグロス及びリップスティック)の肌(毛髪、まつ毛、瞼、唇)へのなじみ良さ、付きの良さについて、パネラー20名で評価を行った。スキンクリームに関しては、0.5グラムを顔面に塗布した。ヘアトリートメントに関しては、2.0グラムを毛髪に塗布した。ファンデーションに関しては、1.0グラムを顔面に塗布した。マスカラに関しては、0.1グラムをまつ毛に塗布した。アイシャドウに関しては、0.1グラムを瞼に塗布した。リップグロス及びリップスティックに関しては、0.2グラムを唇に塗布した。評価結果は、20人中15人以上が「各化粧料塗布後の肌(毛髪、まつ毛、瞼、唇)へのなじみが良好、付きが良好」と回答した場合を「G」で示し、20人中6〜9人が「各化粧料塗布後の肌(毛髪、まつ毛、瞼、唇)へのなじみが良好、付きが良好」」と回答した場合を「M」で示し、20人中5人以下が「各化粧料塗布後の肌(毛髪、まつ毛、瞼、唇)へのなじみが良好、付きが良好」」と回答した場合を「B」で示した。<皮膚安全性>被試験者は男子10名及び女子10名の合計20名である。前腕屈側部皮膚に、実施例及び比較例において得られた各化粧料の0.05gを、直径1.0cmのリント布の付いた円型パッチテスト用絆創膏を用いて24時間閉塞貼布する。絆創膏を除去した後の1時間及び24時間における被試験者20名の皮膚状態を、下記の評価基準に従い評価した。評価には、絆創膏除去後1時間後及び24時間後のうち、反応の強いほうを採用した。(−)が20名のときを「G」、(±)が1〜2名であり他の被験者が(−)のときを「M」、(±)が3名以上であり他の被験者が(−)のとき、又は(+)〜(+++)が1名以上のときを「B」で示した。評価に際し、ヘアトリートメントは0.5%の水溶液を使用した。(評価基準)(皮膚状態) (評価)紅斑、浮腫、水疱: (+++)紅斑、浮腫 : (++)紅斑 : (+)軽微な紅斑 : (±)無紅斑、無浮腫 : (−)[実施例1及び2]スキンクリーム表2に示した(A)及び(B)の各成分を、夫々別個に75〜80℃において均一に溶解した。次いで、組成物(B)を組成物(A)に攪拌しながら加え、ホモミキサーにより乳化した。次いで、該混合物を攪拌しながら30℃まで冷却してスキンクリームを調製した。[比較例1]スキンクリーム合成実施例3のエステル化合物に代えて、合成比較例1のエステル化合物を使用したこと以外は、実施例1と同一にして実施した。実施例1、2及び比較例1の結果を表2に示した。表2及び以下の表3〜10に示した数値の単位は全て質量%である。実施例1及び2は、夫々、合成実施例3及び4のエステル化合物を使用してスキンクリームを製造したものである。いずれも良好な性状を示した。一方、比較例1は、実施例1に対して、合成実施例3のエステル化合物を、合成比較例1のエステル化合物、即ち、イソノナン酸残基のモル比が本発明の範囲未満のエステル化合物に変えたものである。いずれの性状も良好なものではなかった。[実施例3〜5]ヘアトリートメント表3に示した(A)及び(B)の各成分を、夫々別個に75〜80℃において均一に溶解した。次いで、組成物(B)を組成物(A)に攪拌しながら加え、ホモミキサーにより乳化した。次いで、攪拌しながら該乳化物に(C)成分を添加し、更に該混合物を攪拌しながら30℃まで冷却してヘアトリートメントを調製した。表3に評価結果を示した。実施例3及び4は、夫々、合成実施例1及び2のエステル化合物を使用してヘアトリートメントを製造したものである。また、実施例5は、合成実施例1のエステル化合物と合成実施例4のエステル化合物とを使用してヘアトリートメントを製造したものである。いずれも良好な性状を示した。[実施例6及び7]固形粉末ファンデーション表4に示した(A)の各成分をヘンシェルミキサーにより均一分散させた。別途、(B)の各成分を60℃に加熱して、均一に混合して溶解させる。次いで、ヘンシェルミキサーにより攪拌しながら、組成物(B)を組成物(A)に加え均一分散した。得られた混合物を30℃まで冷却して粉砕した後、金皿に充填し、次いで、圧縮成形して固形粉末ファンデーションを調製した。表4に評価結果を示した。実施例6及び7は、夫々、合成実施例1及び2のエステル化合物を使用して固形粉末ファンデーションを製造したものである。いずれも良好な性状を示した。[実施例8〜10]クリーム状ファンデーション(W/O型)表5に示した(A)及び(B)の各成分を、夫々別個に75〜80℃において均一に溶解した。次いで、組成物(B)を組成物(A)に攪拌しながら加え、ホモミキサーにより乳化した。次いで、該混合物を攪拌しながら30℃まで冷却してクリーム状ファンデーションを調製した。[比較例2]クリーム状ファンデーション(W/O型)合成実施例4のエステル化合物に代えて、合成比較例3のエステル化合物を使用したこと以外は、実施例10と同一にして実施した。実施例8〜10及び比較例2の結果を表5に示した。実施例8、9及び10は、夫々、合成実施例2、3及び4のエステル化合物を使用してクリーム状ファンデーションを製造したものである。いずれも良好な性状を示した。一方、比較例2は、実施例10に対して、合成実施例4のエステル化合物を、合成比較例3のエステル化合物、即ち、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチルに変えたものである。いずれの性状も良好なものではなかった。[実施例11及び12]マスカラ表6に示した(A)の各成分中の粉体状成分を除く全ての成分を100℃において均一溶解した後、上記の粉体状成分を加えディスパー分散を行なった。次いで、室温まで攪拌冷却してマスカラを調製した。[比較例3]マスカラ合成実施例4のエステル化合物に代えて、合成比較例3のエステル化合物を使用したこと以外は、実施例12と同一にして実施した。実施例11、12及び比較例3の結果を表6に示した。実施例11及び12は、夫々、合成実施例3及び4のエステル化合物を使用してマスカラを製造したものである。いずれも良好な性状を示した。一方、比較例3は、実施例12に対して、合成実施例4のエステル化合物を、合成比較例3のエステル化合物、即ち、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチルに代えたものである。保存安定性、塗りやすさ及びなじみの良さ、付きの良さが悪いものであった。[実施例13及び14]アイシャドウ表7に示した(A)及び(B)の各成分を、夫々別個に75〜80℃において均一に溶解した。次いで、組成物(B)を組成物(A)に攪拌しながら加え、ホモミキサーにより乳化した。次いで、該混合物を攪拌しながら30℃まで冷却してアイシャドウを調製した。実施例13及び14の結果を表7に示した。実施例13及び14は、夫々、合成実施例1及び2のエステル化合物を使用してアイシャドウを製造したものである。いずれも良好な性状を示した。[実施例15〜18]ペースト状リップグロス表8に示した各成分を110℃において均一に溶解した後、脱泡した。次いで、該混合物を30℃まで冷却してリップグロスを調製した。[比較例4及び5]ペースト状リップグロス合成実施例2のエステル化合物に代えて、夫々、合成比較例1及び2のエステル化合物を使用したこと以外は、実施例15と同一にして実施した。実施例15〜18及び比較例4、5の結果を表8に示した。実施例15〜17は、いずれも合成実施例2のエステル化合物を使用してペースト状リップグロスを製造したものであり、実施例18は、合成実施例4のエステル化合物を使用してペースト状リップグロスを製造したものである。いずれも良好な性状を示した。一方、比較例4及び5は、実施例15に対して、合成実施例2のエステル化合物を、夫々、合成比較例1及び2のエステル化合物、即ち、イソノナン酸残基のモル比が本発明の範囲未満のエステル化合物及びテトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリチルに代えたものである。比較例4では、いずれの性状も良好なものではなかった。また、比較例5では、塗りやすさ及びなじみの良さ、付きの良さが悪いものであった。[実施例19及び20]パレット型リップグロス表9に示した各成分を110℃において均一に溶解した後、脱泡した。次いで、該混合物を適当な金型に流し込み、30℃まで冷却してリップグロスを調製した。実施例19及び20の結果を表9に示した。実施例19及び20は、夫々、合成実施例3及び4のエステル化合物を使用してパレット型リップグロスを製造したものである。いずれも良好な性状を示した。[実施例21〜24]リップスティック表10に示した各成分を110℃において均一に溶解した後、脱泡した。次いで、該混合物を適当な金型に流し込み、10℃で20分間冷却してリップスティックを調製した。[比較例6]リップスティック合成実施例4のエステル化合物に代えて、合成比較例3のエステル化合物を使用したこと以外は、実施例24と同一にして実施した。実施例21〜24及び比較例6の結果を表10に示した。実施例21及び23は、いずれも合成実施例1のエステル化合物を使用してリップスティックを製造したものである。また、実施例22及び24は、いずれも合成実施例4のエステル化合物を使用してリップスティックを製造したものである。いずれも良好な性状を示した。一方、比較例6は、実施例24に対して、合成実施例4のエステル化合物を合成比較例3のエステル化合物、即ち、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチルに代えたものである。塗りやすさ、油性感・保湿感及びなじみの良さ・付きの良さが良いものではなかった。本発明の化粧料用油性基剤に含まれるエステル化合物は、従来のエステル化合物では得られなかった化粧料として効果、例えば、化粧料に適度なエモリエント性及び保湿性を付与し得るばかりではなく、滑らかな使用感、皮膚に対する密着性及び安全性、化粧効果の持続性、並びに保存安定性をも付与し得ると言う効果を有する。従って、スキンクリーム、ヘアトリートメント、ファンデーション、マスカラ、アイシャドウ、リップグロス、リップスティック等の種々の化粧料において有用である。多価アルコールと脂肪酸とから成るエステル化合物を含む化粧料用油性基剤において、エステル化合物がペンタエリスリトールとイソノナン酸とから成り、かつ、該エステル化合物中のペンタエリスリトール残基とイソノナン酸残基とのモル比が、1.0:2.3〜1.0:4.0であり、かつ、該エステル化合物が、テトライソノナン酸ペンタエリスリチルと、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル及びモノイソノナン酸ペンタエリスリチルより成る群から選ばれる1種類以上との混合物であることを特徴とする化粧料用油性基剤。ペンタエリスリトール残基とイソノナン酸残基とのモル比が、1.0:2.5〜1.0:4.0である請求項1記載の化粧料用油性基剤。ペンタエリスリトール残基とイソノナン酸残基とのモル比が、1.0:3.0〜1.0:4.0である請求項1記載の化粧料用油性基剤。上記エステル化合物が、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル 100質量部未満20.0質量部以上、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル 0質量部超55.0質量部以下、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル 0質量部超30.0質量部以下、及びモノイソノナン酸ペンタエリスリチル 0質量部以上10.0質量部以下の合計100質量部から成る請求項1〜3のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤。上記エステル化合物が、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル 100質量部未満22.0質量部以上、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル 0質量部超52.0質量部以下、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル 0質量部超25.0質量部以下、及びモノイソノナン酸ペンタエリスリチル 0質量部以上5.0質量部以下の合計100質量部から成る請求項1〜3のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤。上記エステル化合物が、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル 100質量部未満40.0質量部以上、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル 0質量部超45.0質量部以下、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル 0質量部超15.0質量部以下、及びモノイソノナン酸ペンタエリスリチル 0質量部以上2.0質量部以下の合計100質量部から成る請求項1〜3のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤。水酸基価が0.3〜140である請求項1〜6のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤。水酸基価が0.5〜90である請求項1〜6のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤。粘度(25℃)が300〜1,000mPa・sである請求項1〜8のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤。粘度(25℃)が300〜800mPa・sである請求項1〜8のいずれか一つに記載の化粧料用エステル化合物。粘度(25℃)が300〜600mPa・sである請求項1〜8のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤。数平均分子量が500〜800である請求項1〜11のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤。数平均分子量が520〜780である請求項1〜11のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤。数平均分子量が540〜760である請求項1〜11のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤。請求項1〜14のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤を含む化粧料。スキンクリーム、ヘアトリートメント、ファンデーション、マスカラ、アイシャドウ、リップグロス又はリップスティック用の請求項1〜14のいずれか一つに記載の化粧料用油性基剤。多価アルコールと脂肪酸とを反応せしめて、化粧料用油性基剤用のエステル化合物を製造する方法において、多価アルコールがペンタエリスリトールであり、脂肪酸がイソノナン酸であり、かつ上記反応におけるペンタエリスリトールとイソノナン酸とのモル当量比が、1.0:2.3〜1.0:4.0であり、かつ、得られたエステル化合物が、テトライソノナン酸ペンタエリスリチルと、トリイソノナン酸ペンタエリスリチル、ジイソノナン酸ペンタエリスリチル及びモノイソノナン酸ペンタエリスリチルより成る群から選ばれる1種類以上との混合物であることを特徴とする方法。ペンタエリスリトールとイソノナン酸とのモル当量比が、1.0:2.5〜1.0:4.0である請求項17記載の方法。ペンタエリスリトールとイソノナン酸とのモル当量比が、1.0:3.0〜1.0:4.0である請求項17記載の方法。


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