生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_濃縮培養液及びその使用方法
出願番号:2011504299
年次:2011
IPC分類:C12N 5/071


特許情報キャッシュ

グオ、ヤジュン ワン、ハオ コウ、ゲン フ、フイ ホウ、シェン タン、ミン JP 2011516086 公表特許公報(A) 20110526 2011504299 20080418 濃縮培養液及びその使用方法 上海中信国健薬業股▲ふん▼有限公司 510277073 SHANGHAI CP GUOJIAN PHARMACEUTICAL CO. Ltd 蔵田 昌俊 100108855 河野 哲 100091351 中村 誠 100088683 福原 淑弘 100109830 峰 隆司 100075672 白根 俊郎 100095441 村松 貞男 100084618 野河 信久 100103034 砂川 克 100140176 グオ、ヤジュン ワン、ハオ コウ、ゲン フ、フイ ホウ、シェン タン、ミン C12N 5/071 20100101AFI20110428BHJP JPC12N5/00 202A AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW CN2008070750 20080418 WO2009127098 20091022 31 20101209 4B065 4B065AA91X 4B065AB01 4B065AC14 4B065BB02 4B065BB09 4B065BB12 4B065BB13 4B065BB15 4B065BB19 4B065BB20 4B065BC01 4B065BC11 4B065BC13 4B065CA24 4B065CA25 4B065CA44 本発明は、細胞培養の分野に関する。より具体的に、大規模な動物細胞培養に適する濃縮培養液及びその添加方法に関する。 動物細胞の大規模培養は、すでにモノクローナル抗体、ウイルスワクチン、免疫調節因子、成長因子、特定の腫瘍抗原及び各種の遺伝子組み換えタンパク質薬物のような各種類の生物活性物質の生産に幅広く応用されている。動物細胞は、微生物と比べると、転写後の修飾の能力を持ち、各種類の品質のいいタンパク質を効率的に発現・生産することができる。 動物細胞培養は、付着細胞でも浮遊細胞でも、操作方式について、主に回分式(Batch)、流加回分式(Fed−batch)及び灌流式(Perfusion)の3種に分かれている。現在、流加回分式(Fed−batch)培養は、動物細胞の大規模培養による分泌型遺伝子組み換えタンパク質薬物の生産において高く評価されている操作方式である。 動物細胞において、チャイニーズハムスター卵巣細胞、即ちCHO細胞(Chinese hamster ovary cell)は、今、モノクローナル抗体、融合タンパク質、ワクチン、サイトカイン、特定の腫瘍抗原及び各種の遺伝子組み換えタンパク質薬物のような各種の遺伝子工学によるタンパク質製品の生産に広く使用されている。細胞培養に適する培地は、その由来及び成分の明確さによって分けると、その発展が概ねに天然培地段階、合成培地段階及び無血清培地段階の三つの段階に分かれている。国内外において無血清培地に関する開発が多岐にわたっているが、中では、姚偉がCHO−C28細胞を培養するための「国産改良型DMEM培地」(「中国生物由来製品学雑誌」 2003、16(6):380-383)を公開し、CHO−C28細胞の大規模培養中に肥厚化・脱落しやすく、維持しにくいという難題を解決した。趙国勝が「ヒトCD34+細胞を精製する無動物血清培養」の方法(「国外医学輸血及び血液学分冊」 1998、21(4):263-264)を公開し、無動物血清基質液(ASF)によってヒト骨髄及び末梢血から分離されるCD34+細胞を培養し、このASF系において、異なる成長因子の組合せを用いてCD34+細胞を培養することを紹介した。10%ウシ胎児血清含有培地と比べると、ASF培養細胞は前駆細胞と同様に良好に生長する。CN00816020(発明名称:無タンパク質・無血清培養細胞用培地)では、無タンパク質・無血清培養細胞、特に哺乳動物細胞に用いられる、一定の比率で大豆加水分解物を含有する培地が記載されている。WO200123527では、大豆加水分解物を含有する無血清・無タンパク質培地が公開されている。この培地の組成は、乾燥重量で10%未満の大豆加水分解物、含有量が500U/g未満の内毒素である。培地には、さらに、アミノ酸(システイン、プロリン、トリプトファン)或いはアミノ酸の混合物が含まれる。培地には、さらに、他の補助成分、緩衝因子、酸化防止物及びプロテアーゼ阻害剤などが含まれる。また、大規模な動物細胞培養中に細胞密度とタンパク質発現量が低いという問題を解決した、CHO細胞の大規模培養に適する無血清・動物由来成分フリーの培地もある。 出願者が、CN200710085142.2で公開したCHO細胞の大規模培養に適する無血清・動物由来成分フリーの培地は、大規模な動物細胞培養中に細胞密度とタンパク質発現量が低いという問題を解決した。前述培地は、連続灌流培養プロセスに応用され、優れた効果が得られた。しかし、同時に、流加培養プロセス(fed−batch)において、細胞に対して流加回分培養を行い、培養の効果の重要な課題は、細胞培養の後期の栄養成分の補充にもある。 そのため、本分野において、fed−batch培養プロセスの細胞培養の結果に対して重要な培地であって、細胞培養の後期で補充可能で、栄養成分を含有する培地が切望されている。 発明の内容 本発明の目的は、CHO細胞の大規模培養のための濃縮培養液を提供することにある。 また、本発明の目的は、前述濃縮培養液の製造方法を提供することにある。 さらに、本発明の目的は、前述濃縮培養液の使用方法を提供することにある。 本発明の第一は、基礎培地と、濃縮培養液の総体積に基づく計算で、以下の成分からなる添加物とで構成され、 ビタミンC 10−25mg/L トランスフェリン 5−18mg/L エタノールアミン 1−10mg/L 亜セレン酸塩 0.01−0.045 mg/L ヒドロキシ酪酸ナトリウム 0.5−1.5mg/L AlCl3・6H2O 0.5−2.5mg/L AgNO3 0.02−0.045mg/L CoCl3・6H2O 0.05−0.3mg/L CuSO4・5H2O 0.002−0.004mg/L KBr 0.0005−0.0008mg/L FeSO4・7H2O 0.5−1.5mg/L Na2SiO3 0.005−0.045mg/L LiCl 0.0005−0.001mg/L NiCl2・6H2O 0.02−0.25 mg/L SnCl2・2H2O 2.00−8.00mg/L ZnSO4・7H2O 0.5−2.5mg/L ビタミンB6 0.01−0.2mg/L ビタミンB12 0.01−0.5mg/L ビオチン 0.05−0.18mg/L 葉酸 0.02−8.00mg/L リボフラビン 0.1−0.15mg/L 還元型グルタチオン 0.5−2.5mg/L アデニン 5.5−8.5 mg/L グアニン 5.5−8.5 mg/L ウラシル 5.5−8.5 mg/L チミン 0.25−1.5mg/L シトシン 5.5−8.5mg/L リボース 2.0−8.5mg/L デオキシリボース 2.0−8.5mg/L プリマトーン 500−3500mg/L 4−ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸(HEPES) 500−3000mg/L β−メルカプトエタノール 0.2−2mg/L 前述濃縮液において、以下に示す成分は、濃度が以下の通りである、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞の大規模培養のための濃縮培養液を提供する。 1000−9000mg/L 塩化ナトリウム 200−4000 mg/L アスパラギン酸 200−9000 mg/L アスパラギン 100−5000 mg/L グルタミン酸 200−3000 mg/L イソロイシン 300−4500 mg/L ロイシン 50−1000 mg/L メチオニン 100−2000 mg/L フェニルアラニン 500−10000 mg/L セリン 50−1500 mg/L トレオニン 25−1000 mg/L トリプトファン 40−1000 mg/L バリン 150−2000 mg/L アルギニン 0.01−0.5 mg/L ビオチン 2−100 mg/L パントテン酸カルシウム 3−270 mg/L 塩化コリン 1−30 mg/L 葉酸 5−900 mg/L イノシトール 0.1−10 mg/L ニコチン酸アミド 0.01−1 mg/L リボフラビン 1−100 mg/L チアミン 0.01−5 mg/L ビタミンB6 別の好ましい例では、前述濃縮液において、以下に示す成分は、濃度が以下の通りである。 1500−6599 mg/L 塩化ナトリウム 350−2000 mg/L アスパラギン酸 550−5000 mg/L アスパラギン 250−3000 mg/L グルタミン酸 500−2500 mg/L イソロイシン 500−2500 mg/L ロイシン 80−700 mg/L メチオニン 200−1250 mg/L フェニルアラニン 2000−7000 mg/L セリン 100−700 mg/L トレオニン 80−350 mg/L トリプトファン 80−400 mg/L バリン 300−1200 mg/L アルギニン 0.05−0.2 mg/L ビオチン 10−70 mg/L パントテン酸カルシウム 10−120 mg/L 塩化コリン 2−15 mg/L 葉酸 25−500 mg/L イノシトール 0.5−5 mg/L ニコチン酸アミド 0.1−0.5 mg/L リボフラビン 5−50 mg/L チアミン 0.1−2 mg/L ビタミンB6 別の好ましい例では、前述濃縮液において、以下に示す成分は、濃度が以下の通りである。 2000−4500 mg/L 塩化ナトリウム 450−1200 mg/L アスパラギン酸 1000−4500 mg/L アスパラギン 700−2200 mg/L グルタミン酸 900−1800 mg/L イソロイシン 700−1400 mg/L ロイシン 300−500 mg/L メチオニン 250−500 mg/L フェニルアラニン 3000−5500 mg/L セリン 250−500 mg/L トレオニン 90−270 mg/L トリプトファン 120−350 mg/L バリン 400−700 mg/L アルギニン 0.07−0.12 mg/L ビオチン 20−60 mg/L パントテン酸カルシウム 20−90 mg/L 塩化コリン 3−12 mg/L 葉酸 65−300 mg/L イノシトール 0.8−3 mg/L ニコチン酸アミド 0.12−0.3 mg/L リボフラビン 10−35 mg/L チアミン 0.2−1.5 mg/L ビタミンB6 別の好ましい例では、前述の基礎培地は、ダルベッコ改良イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium、DMEM)である。 本発明の第二は、基礎培地と、濃縮培養液の総体積に基づく計算で、以下の成分からなる添加物とを混合する工程を含み、 ビタミンC 10−25mg/L トランスフェリン 5−18mg/L エタノールアミン 1−10mg/L 亜セレン酸塩 0.01−0.045 mg/L ヒドロキシ酪酸ナトリウム 0.5−1.5mg/L AlCl3・6H2O 0.5−2.5mg/L AgNO3 0.02−0.045mg/L CoCl3・6H2O 0.05−0.3mg/L CuSO4・5H2O 0.002−0.004mg/L KBr 0.0005−0.0008mg/L FeSO4・7H2O 0.5−1.5mg/L Na2SiO3 0.005−0.045mg/L LiCl 0.0005−0.001mg/L NiCl2・6H2O 0.02−0.25 mg/L SnCl2・2H2O 2.00−8.00mg/L ZnSO4・7H2O 0.5−2.5mg/L ビタミンB6 0.01−0.2mg/L ビタミンB12 0.01−0.5mg/L ビオチン 0.05−0.18mg/L 葉酸 0.02−8.00mg/L リボフラビン 0.1−0.15mg/L 還元型グルタチオン 0.5−2.5mg/L アデニン 5.5−8.5 mg/L グアニン 5.5−8.5 mg/L ウラシル 5.5−8.5 mg/L チミン 0.25−1.5mg/L シトシン 5.5−8.5mg/L リボース 2.0−8.5mg/L デオキシリボース 2.0−8.5mg/L プリマトーン 500−3500mg/L 4−ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸(HEPES) 500−3000mg/L β−メルカプトエタノール 0.2−2mg/L 以下に示す成分の濃度を以下のように調整する、上述のような濃縮培養液の製造方法を提供する。 1000−9000 mg/L 塩化ナトリウム 200−4000 mg/L アスパラギン酸 200−9000 mg/L アスパラギン 100−5000 mg/L グルタミン酸 200−3000 mg/L イソロイシン 300−4500 mg/L ロイシン 50−1000 mg/L メチオニン 100−2000 mg/L フェニルアラニン 500−10000 mg/L セリン 50−1500 mg/L トレオニン 25−1000 mg/L トリプトファン 40−1000 mg/L バリン 150−2000 mg/L アルギニン 0.01−0.5 mg/L ビオチン 2−100 mg/L パントテン酸カルシウム 3−270 mg/L 塩化コリン 1−30 mg/L 葉酸 5−900 mg/L イノシトール 0.1−10 mg/L ニコチン酸アミド 0.01−1 mg/L リボフラビン 1−100 mg/L チアミン 0.01−5 mg/L ビタミンB6 前述の基礎培地は、ダルベッコ改良イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium、DMEM)であることが好ましい。 本発明の第三は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を接種してから1−5日後、上述のような濃縮培養液を、総添加量が初期の培養体積の10−100%となるように添加する工程を含む、上述のような濃縮培養液の使用方法を提供する。 別の好ましい例では、前述の細胞の接種密度が2×105/ml−2×106/mlである。 別の好ましい例では、前述のCHO細胞株がsTNFR融合遺伝子CHO細胞、sCTLA4融合タンパク質を発現するCHO細胞、或いはヒト化抗HER2モノクローナル抗体を発現するCHO細胞から選ばれる。 別の好ましい例では、総添加量が初期の培養体積の15−60%である。 別の好ましい例では、濃縮培養液を、毎日1−5回、或いは1−5日おきに1回添加する。濃縮培養液を、毎日2−4回、或いは2−4日おきに1回添加することがより好ましい。 別の好ましい例では、濃縮培養液を、合計で5−20日間、より好ましくは8−16日間添加する。 別の好ましい例では、毎回の濃縮培養液の添加体積が同様で、あるいは、最初の1−5日間では添加される濃縮培養液の重量の15−25%を、途中の3−9日間では添加される濃縮培養液の重量の50−70%を、最後の1−5日間では添加される濃縮培養液の重量の15−25%を添加する。 これによって、本発明は、fed−batch培養プロセスの細胞培養の結果に対して重要な培地であって、細胞培養の後期で補充可能で、栄養成分を含有する培地を提供する。図1は、異なる補充液を添加する5Lタンクにおける細胞回分培養の生長曲線である。それぞれは、毎日バックグランド体積の2%の300F、300S、300S1、300S2、300S3を添加する場合及び無特殊添加の場合である。図2は、異なる補充液を添加する5Lタンクにおける細胞回分培養の発現結果である。それぞれは、毎日バックグランド体積の2%の300F、300S、300S1、300S2、300S3を添加する場合及び無特殊添加の場合である。図3は、異なる添加量の300Sを添加する5Lタンクにおける細胞回分培養の生長曲線である。毎日の添加量がバックグランド培養体積の1%、2%、3%、4%及び5%である。図4は、異なる添加量の300Sを添加する5Lタンクにおける細胞回分培養の発現結果である。毎日の添加量がバックグランド培養体積の1%、2%、3%、4%及び5%である。図5は、異なる時期から300Sを添加する5Lタンクにおける細胞回分培養の生長曲線である。それぞれは、培養の1−5日目から添加を始め、毎日の添加量がバックグランド培養体積の3%である。図6は、異なる時期から300Sを添加する5Lタンクにおける細胞回分培養の発現結果である。それぞれは、培養の1−5日目から添加を始め、毎日の添加量がバックグランド培養体積の3%である。図7は、異なる頻度で300Sを添加する5Lタンクにおける細胞回分培養の生長曲線である。総添加量がバックグランド培養体積の36%で、毎回の添加量が同様である。A:毎日2回、B:毎日1回、C:2日おきに1回、D:3日おきに1回、E:4日おきに1回。図8は、異なる頻度で300Sを添加する5Lタンクにおける細胞回分培養の発現結果である。総添加量がバックグランド培養体積の36%で、毎回の添加量が同様である。A:毎日2回、B:毎日1回、C:2日おきに1回、D:3日おきに1回、E:4日おきに1回。図9は、異なるプランで300Sを添加する5Lタンクにおける細胞回分培養の生長曲線である。毎回の添加量が同様で、総添加量がバックグランド培養体積の36%である。添加の時期はいずれも培養開始後の3、6、9、12日目で、添加量はそれぞれバックグランド体積に対して、A:9%(d3)−9%(d6)−9%(d9)−9%(d12)、B:6%(d3)−12%(d6)−12%(d9)−6%(d12)、C:12%(d3)−12%(d6)−6%(d9)−6%(d12)、D:6%(d3)−6%(d6)−12%(d9)−12%(d12)である。図10は、異なるプランで300Sを添加する5Lタンクにおける細胞回分培養の発現結果である。毎回の添加量が同様で、総添加量がバックグランド培養体積の36%である。添加の時期はいずれも培養開始後の3、6、9、12日目で、添加量はそれぞれバックグランド体積に対して、A:9%(d3)−9%(d6)−9%(d9)−9%(d12)、B:6%(d3)−12%(d6)−12%(d9)−6%(d12)、C:12%(d3)−12%(d6)−6%(d9)−6%(d12)、D:6%(d3)−6%(d6)−12%(d9)−12%(d12)である。図11は、異なる培養規模の細胞生長曲線である。細胞はそれぞれ5L、30L及び500Lのタンクで培養し、以下のプランで300Sを添加する。接種後72時間経過の時点で300Sの補充を始め、3日おきに1回補充し、毎回の添加量はそれぞれバックグランド体積に対して、6%(d3)−12%(d6)−12%(d9)−6%(d12)である。図12は、異なる培養規模の細胞発現結果である。細胞はそれぞれ5L、30L及び500Lのタンクで培養し、以下のプランで300Sを添加する。接種後72時間経過の時点で300Sの補充を始め、3日おきに1回補充し、毎回の添加量はそれぞれバックグランド体積に対して、6%(d3)−12%(d6)−12%(d9)−6%(d12)である。 具体的な実施形態 発明者は、幅広く深く研究したところ、高い用量の栄養成分を含有する培地を見出し、さらに、CHO細胞の大規模な流加回分式(Fed−batch)培養中に、一定の方式でこの培地を補充することにより、細胞生長の状況に非常に顕著な改善と向上をもたらすことができることを見出した。 本文で用いられるように、「濃縮培養液」と「高い用量の栄養成分を含有する培地」は入替えて使用することができ、いずれも中国特許出願CN200710085142.2で公開されたCHO細胞の大規模培養のための培地に基づき、ある成分の濃度を調整したものである。ここで、出願者は、中国特許出願CN200710085142.2の全文も参考として取り入れる。 本文で用いられるように、「一般培地」とは上述中国特許出願CN200710085142.2で公開されたCHO細胞の大規模培養のための培地で、以下の成分からなるものである。 ビタミンC 10−25mg/L トランスフェリン 5−18mg/L エタノールアミン 1−10mg/L 亜セレン酸塩 0.01−0.045 mg/L ヒドロキシ酪酸ナトリウム 0.5−1.5mg/L AlCl3・6H2O 0.5−2.5mg/L AgNO3 0.02−0.045mg/L CoCl3・6H2O 0.05−0.3mg/L CuSO4・5H2O 0.002−0.004mg/L KBr 0.0005−0.0008mg/L FeSO4・7H2O 0.5−1.5mg/L Na2SiO3 0.005−0.045mg/L LiCl 0.0005−0.001mg/L NiCl2・6H2O 0.02−0.25 mg/L SnCl2・2H2O 2.00−8.00mg/L ZnSO4・7H2O 0.5−2.5mg/L ビタミンB6 0.01−0.2mg/L ビタミンB12 0.01−0.5mg/L ビオチン 0.05−0.18mg/L 葉酸 0.02−8.00mg/L リボフラビン 0.1−0.15mg/L 還元型グルタチオン 0.5−2.5mg/L アデニン 5.5−8.5 mg/L グアニン 5.5−8.5 mg/L ウラシル 5.5−8.5 mg/L チミン 0.25−1.5mg/L シトシン 5.5−8.5mg/L リボース 2.0−8.5mg/L デオキシリボース 2.0−8.5mg/L プリマトーン 500−3500mg/L 4−ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸(HEPES) 500−3000mg/L β−メルカプトエタノール 0.2−2mg/L 発明者は、上述一般培地に基づき、以下の表1の成分の用量を調整し、本発明の濃縮培養液を構成した。調製方法は、中国特許出願CN200710085142.2で公開された方法と同様で、調製後pHを6.8−7.2に、浸透圧を300−1000mOsm/kgの間に調整した。 細胞培養中に、例えば細胞接種密度、濃縮培養液の添加方式及び時期、pH値、ブドウ糖、曝気などの要素の影響及び制御も受ける。 1.細胞接種密度の影響 大規模細胞培養の起点は非常に重要である。高すぎる初期密度によっては、後続の培養中に、より良い増殖空間がなくなり、培養液における栄養及び酸素の供給に障害が生じ、代謝廃棄物の累積が厳重になり、細胞生存率が早めに低下し、培養周期が短くなり、発現が低下する。低すぎる密度によっては、後続の培養が所要の細胞数に達することなく、培養周期が長くなり、密度が低く、発現が少ない。我々の研究によって、2×105/ml−2×106/mlの密度が好適な密度で、特に好ましくは3×105/ml−1×106/ml、最も好ましくは5×105/mlの初期密度であることが見出された。好適な密度で接種してから4−7日後、細胞が6×106/ml−1×107/ml程度と最高の密度に達し、細胞生存率が90−95%で、増殖を継続するか、回分培養に入ることができる。 2.濃縮培養液の添加方式及び時期 細胞を接種してから1−5日後、細胞密度が1−5×106/mlで、濃縮培養液の添加を開始し、この液を回分で添加し、総添加量が初期培養体積の10%−100%、特に好ましくは15−60%で、最も好ましい補充体積が初期培養体積の30%−40%である。 補充の回数は、毎日2回或いは1−5日おきに1回で、最も好ましい補充方式が3日おきに1回である。 毎回の補充量は、互いに同じでも異なってもよい。補充時間は合計で12日間程度で、最初と最後の3日間は補充量がやや少なく、補充量が総補充量の30%−50%で、途中の6日間の補充量が総量の50%−70%で、最適化された補充分布は17%−64%−17%(最初3日間−途中6日間−最後3日間)である。 3.pHの制御 培養中に、pHの制御が重要で、好適なpHが6.5−7.5の間で、特に好ましくは6.7−7.3の間で、最も好ましくは6.8−7.1の間である。タンクに入った初期は、CO2或いはNaHCO3を補充する手段で、6.9−7.1の間に制御する。濃縮培養液を添加した後、細胞培養中に、pHを6.8−7.0の間に制御し、培養の後期はでは、6.9−7.1の間に戻す。 4.ブドウ糖の制御 回分培養において、好適なブドウ糖濃度が非常に重要で、低すぎるブドウ糖濃度が「飢餓」による細胞の死亡を起こし、高すぎるブドウ糖濃度が細胞の生長を抑制し、浸透圧を向上させ、乳酸の過剰発生を引起す。毎日20%−50%のブドウ糖溶液を補充することによって、培養物におけるブドウ糖濃度を好適な範囲にすることが重要である。好適なブドウ糖濃度は0.5−10g/L、特に好ましくは1−5g/Lで、最も好ましくは2.5−3.5g/Lである。 5.曝気の調整 培養中に、無泡曝気或いは微泡曝気を用いることができる。吹き込まれる気体は、空気、酸素及び二酸化炭素を含む。発酵タンクは、空気と酸素の比率を自動的に調整することによって溶解酸素を設定値の付近に維持する。二酸化炭素と発酵液のpHは関連する。無泡曝気の場合、曝気量を毎分間0.5−2倍タンク体積程度に制御する。微泡曝気の場合、曝気量を毎分間0.001−0.01倍タンク体積に制御し、pH及び溶解酸素を有効に制御できれば、できるだけ曝気量を減少する。 本発明で説明された上述特徴、或いは実施例で説明された特徴は任意に組み合わせることができる。本願説明書で開示されたすべての特徴はいずれの組成物の様態とも併用することができ、説明書で開示された各特徴は、いずれの相同、同等或いは類似の目的の代替性特徴にも任意に替えることができる。そのため、特に説明しない限り、開示された特徴は同等或いは類似の特徴の一般的な例にすぎない。 本発明の主な利点は以下の通りである。 1、CHO細胞の大規模培養に用いられる濃縮培養液の処方を見出した。 2、本発明によって提供される濃縮培養液を有効にCHO細胞のFed−batch大規模培養中に応用する。 以下、具体的な実施例によって、さらに本発明を説明する。これらの実施例は本発明を説明するために用いられるものだけで、本発明の範囲の制限にはならないと理解されるものである。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常、通常の条件、或いはメーカーの薦めの条件で行われた。別の説明がない限り、すべての百分率と部は、重量で計算される。 別の定義がない限り、本文に用いられるすべての専門用語と科学用語は、本分野の技術者に知られている意味と同様である。また、記載の内容と類似或いは同等の方法及び材料は、いずれも本発明の方法に用いることができる。ここで記載の好ましい実施方法及び材料は例示のためだけである。 実施例1 培地300Fと4種類の濃縮培養液の調製 基礎培地DMEM/F12培地(Sigma社から購入)に基づき、以下の物質を添加し、培地300Fを得た。 ビタミンC 10.5 mg/L トランスフェリン 6.2mg/L エタノールアミン 3.1mg/L 亜セレン酸塩 0.025mg/L ヒドロキシ酪酸ナトリウム 0.85mg/L CHO細胞培地の総体積で計算される。 微量元素: AlCl3・6H2O 1.2 mg/L AgNO3 0.03 mg/L CoCl2・6H2O 0.21 mg/L CuSO4・5H2O 0.0027mg/L KBr 0.00061 mg/L FeSO4・7H2O 0.72 mg/L Na2SiO3 0.005−0.045 mg/L LiCl 0.00083 mg/L NiCl2・6H2O 0.042 mg/L SnCl2・2H2O 2.12 mg/L ZnSO4・7H2O 1.58 mg/L ビタミン: ビタミンB6 0.18 mg/L ビタミンB12 0.38 mg/L ビオチン 0.12 mg/L 葉酸 3.12 mg/L リボフラビン 0.12 mg/L 及び以下の物質: 還元型グルタチオン 0.68 mg/L アデニン 6.5 mg/L グアニン 6.5 mg/L ウラシル 6.5 mg/L チミン 0.7 mg/L シトシン 6.5 mg/L リボース 2.0 mg/L デオキシリボース 2.0 mg/L HEPES(4−ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸) 2100 mg/L β−メルカプトエタノール 1.5 mg/L 300Fに基づき、以下の成分を調整し、用量が下述表2の通りで、濃縮培養液を形成し、計4種類で、それぞれ300S、300S1、300S2及びS3003と名づけた。調製は、最終体積が80%−90%となるように注射用水で粉剤を溶解させ、十分に3−4時間撹拌し、pHを測定し、1mol/Lの水酸化ナトリウム或いは1mol/Lの希塩酸で6.8−7.2に調整し、注射用水で最終体積に定量する。 実施例2 300S、300S1、300S2、300S3の追加の細胞生長及び発現に対する影響 細胞:特に説明しない限り、実施例における細胞はsTNFR融合遺伝子CHO細胞(中国発明特許01132074.5の実施例で公開された方法によって製造されたもの)から選ばれ、以下同様である。 細胞は種タンクで対数増殖期に生長し、5×105/mlで5L発酵タンクに接種し、液が300Fで、初期体積がタンク動作体積の60%で、fed−batch細胞培養プロセスを開始した。細胞培養中の曝気は無泡曝気であった。細胞培養中に7.5%重炭酸ナトリウムの補充或いは二酸化炭素ガスの吹き込みによってpHを6.8−7.1の間に制御した。毎日培養液における残留糖濃度を測定し、且つ30%のブドウ糖を補充することによってタンクにおける残留糖を2.5−3.5グラム/リットルとした。酸素と圧縮空気で調節することによって、溶解酸素を40−60%に制御した。後続の補充は六つの場合に分かれた。第一は、必要な時だけにブドウ糖とアルカリ溶液を補充し、別に他の栄養成分を補充しなかった。第二は、接種の72時間後から、毎日初期体積の2%の用量で300Fを補充した。第三は、接種の72時間後から、毎日初期体積の2%の用量で300Sを補充した。第四は、接種の72時間後から、毎日初期体積の2%の用量で300S1を補充した。第五は、接種の72時間後から、毎日初期体積の2%の用量で300S2を補充した。第六は、接種の72時間後から、毎日初期体積の2%の用量で300S3を補充した。毎日タンクにおける生細胞を計数した。細胞培養の終点は、15日間の細胞培養を完成した、或いは生細胞が10×105/ml未満になった時点であった。細胞培養終了後、培養上清を取り、ELISA法で発現されたタンパク質に対して濃度を測定した。 その結果、図1に示すように、液の補充を一切しなかった場合、細胞が15日目まで維持できなかった。300Fを補充した場合、細胞が15日目まで維持できたが、高いレベルにはなれなかった。一方、300S、300S1、300S2及び300S3を補充した場合、生細胞の密度が顕著に増加し、維持時間が顕著に延び、中でも、300Sの補充による効果が最も好ましい。図2は、300S、300S1、300S2、300S3を補充した場合、細胞の発現量の結果を示し、中でも300Sのこの細胞のfed−batch細胞培養プロセスに対する促進効果が最も好ましい。 実施例3 300Sの用量と細胞の生長及び発現の比較 細胞は種タンクで対数増殖期に生長し、5×105/mlで5L発酵タンクに接種し、液が300Fで、初期体積がタンク動作体積の60%で、fed−batch細胞培養プロセスを開始した。細胞培養中の曝気は無泡曝気であった。細胞培養中に7.5%重炭酸ナトリウムの補充或いは二酸化炭素ガスの吹き込みによってpHを6.8−7.1の間に制御した。毎日培養液における残留糖濃度を測定し、且つ30%のブドウ糖を補充することによってタンクにおける残留糖を2.5−3.5グラム/リットルとした。酸素と圧縮空気で調節することによって、溶解酸素を40−60%に制御した。接種の72時間後から、毎日それぞれ初期タンク体積の1%、2%、3%、4%及び5%の用量で300Sを補充し、毎日タンクにおける生細胞を計数した。細胞培養の終点は、15日間の細胞培養を完成した、或いは生存細胞が10×105/ml未満になった時点であった。細胞培養終了後、培養上清を取り、ELISA法で発現されたタンパク質に対して濃度を測定した。 その結果、図3に示すように、3%の比率で300Sを補充した場合、生細胞の密度が一番高く、図4の結果は、その発現量も一番高かったことを示すため、初期細胞培養体積の3%の比率で300Sを毎日補充することは、この細胞のfed−batch細胞培養プロセスに対する促進が最も顕著である。 実施例4 300Sの補充開始時期と細胞の生長及び発現の関係 細胞は種タンクで対数増殖期に生長し、5×105/mlで5L発酵タンクに接種し、液が300Fで、初期体積がタンク動作体積の60%で、fed−batch細胞培養プロセスを開始した。細胞培養中の曝気は無泡曝気であった。細胞培養中に7.5%重炭酸ナトリウムの補充或いは二酸化炭素ガスの吹き込みによってpHを6.8−7.1の間に制御した。毎日培養液における残留糖濃度を測定し、且つ30%のブドウ糖を補充することによってタンクにおける残留糖を2.5−3.5グラム/リットルとした。酸素と圧縮空気で調節することによって、溶解酸素を40−60%に制御した。それぞれ接種後の1日目、2日目、3日目、4日目及び5日目から、毎日初期タンク体積の3%の用量で300Sを補充し、毎日タンクにおける生細胞を計数した。細胞培養の終点は、15日間の細胞培養を完成した、或いは生存細胞が10×105/ml未満になった時点であった。細胞培養終了後、培養上清を取り、ELISA法で発現されたタンパク質に対して濃度を測定した。 その結果、図5に示すように、3日目から300Sを補充した場合、生細胞の密度が一番高く、図6の結果は、その発現量も一番高かったことを示すため、3日目から300Sを補充することは、この細胞のfed−batch細胞培養プロセスに対する促進が最も顕著である。 実施例5 300Sの補充間隔時期と細胞の生長及び発現の関係 細胞は種タンクで対数増殖期に生長し、5×105/mlで5L発酵タンクに接種し、液が300Fで、初期体積がタンク動作体積の60%で、fed−batch細胞培養プロセスを開始した。細胞培養中の曝気は無泡曝気であった。細胞培養中に7.5%重炭酸ナトリウムの補充或いは二酸化炭素ガスの吹き込みによってpHを6.8−7.1の間に制御した。毎日培養液における残留糖濃度を測定し、且つ30%のブドウ糖を補充することによってタンクにおける残留糖を2.5−3.5グラム/リットルとした。酸素と圧縮空気で調節することによって、溶解酸素を40−60%に制御した。それぞれ接種の72時間後から、300Sの補充を開始し、計5種の異なる補充方法に分かれた。第一は、12時間おきに1回補充し、毎回の補充量が初期タンク内の液量の1.5%であった。第二は、毎日1回補充し、毎回の補充量が初期タンク内の液量の3%であった。第三は、2日おきに1回補充し、毎回の補充量が初期タンク内の液量の6%であった。第四は、3日おきに1回補充し、毎回の補充量が初期タンク内の液量の9%であった。第五は、4日おきに1回補充し、毎回の補充量が初期タンク内の液量の12%であった。毎日タンクにおける生存細胞を計数した。細胞培養の終点は、15日間の細胞培養を完成した、或いは生存細胞が10×105/ml未満になった時点であった。細胞培養終了後、培養上清を取り、ELISA法で発現されたタンパク質に対して濃度を測定した。 その結果、図7に示すように、接種の72時間後から、300Sの補充を開始し、毎日2回、毎日1回、2日に1回及び3日に1回で補充した4つの場合では、生細胞の密度が近く、図8の結果は、4組の発現量も大きな差がなかったことを示すが、4日に1回補充した場合だけで、細胞密度が顕著に低下し、発現量も顕著に低下した。そのため、簡単な操作を優先することも考えて、接種の72時間後から、300Sを3日に1回で補充するのが最も好ましい補充方式である。 実施例6 300Sの異なる補充プランと細胞の生長及び発現の関係 細胞は種タンクで対数増殖期に生長し、5×105/mlで5L発酵タンクに接種し、液が300Fで、初期体積がタンク動作体積の60%で、fed−batch細胞培養プロセスを開始した。細胞培養中の曝気は無泡曝気であった。細胞培養中に7.5%重炭酸ナトリウムの補充或いは二酸化炭素ガスの吹き込みによってpHを6.8−7.1の間に制御した。毎日培養液における残留糖濃度を測定し、且つ30%のブドウ糖を補充することによってタンクにおける残留糖を2.5−3.5グラム/リットルとした。酸素と圧縮空気で調節することによって、溶解酸素を40−60%に制御した。接種の72時間後から、300Sの補充を開始し、3日に1回で補充し、総補充量が同様で、いずれも初期体積の36%であったが、下述表3に示すように、計4種類の異なる補充方法があった。毎日タンクにおける生存細胞を計数した。細胞培養の終点は、15日間の細胞培養を完成した、或いは生存細胞が10×105/ml未満になった時点であった。細胞培養終了後、培養上清を取り、ELISA法で発現されたタンパク質に対して濃度を測定した。 その結果、図9に示すように、接種の72時間後から、300Sの補充を開始し、3日に1回で補充し、プラン1及びプラン2は生細胞の密度が近く、プラン3及びプラン4は密度が低く、図10の結果はプラン2の発現量が一番高かったことを示す。 実施例7 細胞培養プロセスの拡大 300Sの細胞に対する作用をさらに検証するため、主に5L、30L及び500Lの異なる規模の発酵タンクにおいて上述プロセスを拡大した。細胞は種タンクで対数増殖期に生長し、5×105/mlで発酵タンクに接種し、液が300Fで、初期体積がタンク動作体積の60%で、fed−batch細胞培養プロセスを開始した。5Lタンクの細胞培養中の曝気は無泡曝気で、30L及び250Lのタンクは微泡曝気であった。細胞培養中に7.5%重炭酸ナトリウムの補充或いは二酸化炭素ガスの吹き込みによってpHを6.8−7.1の間に制御した。毎日培養液における残留糖濃度を測定し、且つ30%のブドウ糖を補充することによってタンクにおける残留糖を2.5−3.5グラム/リットルとした。酸素と圧縮空気で調節することによって、溶解酸素を40−60%に制御した。接種の72時間後から、300Sの補充を開始し、3日に1回で補充し、3日目の補充量が初期体積の6%で、6日目の補充量が初期体積の12%で、9日目の補充量が初期体積の12%で、12日目の補充量が初期体積の6%であった。毎日タンクにおける生存細胞を計数した。細胞培養の終点は、15日間の細胞培養を完成した、或いは生存細胞が10×105/ml未満になった時点であった。細胞培養終了後、培養上清を取り、ELISA法で発現されたタンパク質に対して濃度を測定した。 その結果、図11及び図12に示すように、異なる細胞培養の規模及び異なる曝気方式では、いずれも類似の生長曲線と発現量を得たので、この細胞に対して、この濃縮培養液及びその補充添加方式がパイロット規模或いは生産規模に拡大して応用することができる。 本発明の発明者は、さらに、別の2種の細胞、すなわち、sCTLA4融合タンパク質を発現するCHO細胞及びヒト化抗HER2モノクローナル抗体を発現するCHO細胞(それぞれ中国発明特許01132075.3及び01132225.Xの実施例で公開された方法によって製造されたもの)を使用し、上述2種の細胞の代謝特性に合わせてそれぞれ300S−1(300Sの代わりにsCTLA4融合タンパク質を発現するCHO細胞の培養に使用)及び300S−2(300Sの代わりにヒト化抗HER2モノクローナル抗体を発現するCHO細胞の培養に使用)の濃縮培養液を表4のように調製した。その後、300Sの代わりにそれぞれ300S−1及び300S−2を用い、上述実施例2−7における方法に従って検証を重複し、同様な実験結果を得た。本発明における濃縮培養液及びその添加方式は同様に他のCHO細胞をパイロット規模或いは生産規模に拡大して応用できることが示唆される。 細胞培養中の一般培地でも、細胞の流加回分培養中に添加される濃縮培養液でも、その成分及び濃度の変化がいずれも培養される特定の細胞株に関連する。例えば、上述実施例におけるsTNFR融合遺伝子CHO細胞に対する300S、sCTLA4融合タンパク質を発現するCHO細胞に対する300S−1、及びヒト化抗HER2モノクローナル抗体を発現するCHO細胞に対する300S−2のように、特定の細胞株に対して調製される一般培地及び/又は濃縮培養液は、無論、その細胞により優れた培養効果がある。本発明の濃縮培養液は、通常細胞の生長に必要な成分を含有するため、通常の細胞株の細胞培養に用いることにより、細胞の生長状況も顕著に改善、向上する。 各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、本発明の上記の内容を読み終わった後、この分野の技術者が本発明を各種の変動や修正をすることができるが、それらの等価の様態のものは本発明の請求の範囲に含まれることが理解されるべきである。 基礎培地と、濃縮培養液の総体積に基づく計算で、以下の成分からなる添加物とで構成される濃縮培養液であって、 ビタミンC 10−25mg/L トランスフェリン 5−18mg/L エタノールアミン 1−10mg/L 亜セレン酸塩 0.01−0.045 mg/L ヒドロキシ酪酸ナトリウム 0.5−1.5mg/L AlCl3・6H2O 0.5−2.5mg/L AgNO3 0.02−0.045mg/L CoCl3・6H2O 0.05−0.3mg/L CuSO4・5H2O 0.002−0.004mg/L KBr 0.0005−0.0008mg/L FeSO4・7H2O 0.5−1.5mg/L Na2SiO3 0.005−0.045mg/L LiCl 0.0005−0.001mg/L NiCl2・6H2O 0.02−0.25 mg/L SnCl2・2H2O 2.00−8.00mg/L ZnSO4・7H2O 0.5−2.5mg/L ビタミンB6 0.01−0.2mg/L ビタミンB12 0.01−0.5mg/L ビオチン 0.05−0.18mg/L 葉酸 0.02−8.00mg/L リボフラビン 0.1−0.15mg/L 還元型グルタチオン 0.5−2.5mg/L アデニン 5.5−8.5 mg/L グアニン 5.5−8.5 mg/L ウラシル 5.5−8.5 mg/L チミン 0.25−1.5mg/L シトシン 5.5−8.5mg/L リボース 2.0−8.5mg/L デオキシリボース 2.0−8.5mg/L プリマトーン 500−3500mg/L 4−ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸(HEPES) 500−3000mg/L β−メルカプトエタノール 0.2−2mg/L 前述濃縮液において、以下に示す成分は、濃度が以下の通りであることを特徴とする、チャイニーズハムスター卵巣細胞の大規模培養のための濃縮培養液。 1000−9000 mg/L 塩化ナトリウム 200−4000 mg/L アスパラギン酸 200−9000 mg/L アスパラギン 100−5000 mg/L グルタミン酸 200−3000 mg/L イソロイシン 300−4500 mg/L ロイシン 50−1000 mg/L メチオニン 100−2000 mg/L フェニルアラニン 500−10000 mg/L セリン 50−1500 mg/L トレオニン 25−1000 mg/L トリプトファン 40−1000 mg/L バリン 150−2000 mg/L アルギニン 0.01−0.5 mg/L ビオチン 2−100 mg/L パントテン酸カルシウム 3−270 mg/L 塩化コリン 1−30 mg/L 葉酸 5−900 mg/L イノシトール 0.1−10 mg/L ニコチン酸アミド 0.01−1 mg/L リボフラビン 1−100 mg/L チアミン 0.01−5 mg/L ビタミンB6 前述濃縮液において、以下に示す成分は、濃度が以下の通りであることを特徴とする、請求項1に記載の濃縮培養液。 1500−6599 mg/L 塩化ナトリウム 350−2000 mg/L アスパラギン酸 550−5000 mg/L アスパラギン 250−3000 mg/L グルタミン酸 500−2500 mg/L イソロイシン 500−2500 mg/L ロイシン 80−700 mg/L メチオニン 200−1250 mg/L フェニルアラニン 2000−7000 mg/L セリン 100−700 mg/L トレオニン 80−350 mg/L トリプトファン 80−400 mg/L バリン 300−1200 mg/L アルギニン 0.05−0.2 mg/L ビオチン 10−70 mg/L パントテン酸カルシウム 10−120 mg/L 塩化コリン 2−15 mg/L 葉酸 25−500 mg/L イノシトール 0.5−5 mg/L ニコチン酸アミド 0.1−0.5 mg/L リボフラビン 5−50 mg/L チアミン 0.1−2 mg/L ビタミンB6 基礎培地と、濃縮培養液の総体積に基づく計算で、以下の成分からなる添加物とを混合する工程を含む濃縮培養液の製造方法であって、 ビタミンC 10−25mg/L トランスフェリン 5−18mg/L エタノールアミン 1−10mg/L 亜セレン酸塩 0.01−0.045 mg/L ヒドロキシ酪酸ナトリウム 0.5−1.5mg/L AlCl3・6H2O 0.5−2.5mg/L AgNO3 0.02−0.045mg/L CoCl3・6H2O 0.05−0.3mg/L CuSO4・5H2O 0.002−0.004mg/L KBr 0.0005−0.0008mg/L FeSO4・7H2O 0.5−1.5mg/L Na2SiO3 0.005−0.045mg/L LiCl 0.0005−0.001mg/L NiCl2・6H2O 0.02−0.25 mg/L SnCl2・2H2O 2.00−8.00mg/L ZnSO4・7H2O 0.5−2.5mg/L ビタミンB6 0.01−0.2mg/L ビタミンB12 0.01−0.5mg/L ビオチン 0.05−0.18mg/L 葉酸 0.02−8.00mg/L リボフラビン 0.1−0.15mg/L 還元型グルタチオン 0.5−2.5mg/L アデニン 5.5−8.5 mg/L グアニン 5.5−8.5 mg/L ウラシル 5.5−8.5 mg/L チミン 0.25−1.5mg/L シトシン 5.5−8.5mg/L リボース 2.0−8.5mg/L デオキシリボース 2.0−8.5mg/L プリマトーン 500−3500mg/L 4−ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸(HEPES) 500−3000mg/L β−メルカプトエタノール 0.2−2mg/L 以下に示す成分の濃度を以下のように調整し、 1000−9000 mg/L 塩化ナトリウム 200−4000 mg/L アスパラギン酸 200−9000 mg/L アスパラギン 100−5000 mg/L グルタミン酸 200−3000 mg/L イソロイシン 300−4500 mg/L ロイシン 50−1000 mg/L メチオニン 100−2000 mg/L フェニルアラニン 500−10000 mg/L セリン 50−1500 mg/L トレオニン 25−1000 mg/L トリプトファン 40−1000 mg/L バリン 150−2000 mg/L アルギニン 0.01−0.5 mg/L ビオチン 2−100 mg/L パントテン酸カルシウム 3−270 mg/L 塩化コリン 1−30 mg/L 葉酸 5−900 mg/L イノシトール 0.1−10 mg/L ニコチン酸アミド 0.01−1 mg/L リボフラビン 1−100 mg/L チアミン 0.01−5 mg/L ビタミンB6 好ましくは、前述の基礎培地は、ダルベッコ改良イーグル培地(DMEM)であることを特徴とする、請求項1に記載の濃縮培養液の製造方法。 チャイニーズハムスター卵巣細胞を接種してから1−5日後、請求項1記載の濃縮培養液を、総添加量が初期の培養体積の10−100%となるように添加する工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の濃縮培養液の使用方法。 前述の細胞の接種密度が2×105/ml−2×106/mlであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。 前述のチャイニーズハムスター卵巣細胞株がsTNFR融合遺伝子チャイニーズハムスター卵巣細胞、sCTLA4融合タンパク質を発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞、或いはヒト化抗HER2モノクローナル抗体を発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞から選ばれることを特徴とする、請求項4に記載の方法。 総添加量が初期の培養体積の15−60%であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。 濃縮培養液を、毎日1〜5回、或いは1〜5日おきに1回、好ましくは、毎日2〜4回、或いは2〜4日おきに1回添加することを特徴とする、請求項4に記載の方法。 濃縮培養液を、合計で5−20日間、より好ましくは8−16日間添加することを特徴とする、請求項4に記載の方法。 毎回の濃縮培養液の添加体積が同様で、あるいは、最初の1〜5日間では添加される濃縮培養液の重量の15〜25%を、途中の3〜9日間では添加される濃縮培養液の重量の50〜70%を、最後の1〜5日間では添加される濃縮培養液の重量の15〜25%を添加することを特徴とする、請求項4に記載の方法。 基礎培地と、高い用量の添加物とを含有するチャイニーズハムスター卵巣細胞の大規模培養のための濃縮培養液を公開した。さらに、CHO細胞の大規模な流加回分培養において前述濃縮培養液を添加する方法を公開した。 【選択図】なし


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