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タイトル:特許公報(B2)_有機電界発光素子
出願番号:2011501562
年次:2014
IPC分類:H01L 51/50,H05B 33/10,C07D 487/04,C07D 519/00,C09K 11/06


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浅利 徹 林田 広幸 白石 和人 清水 隆之 小石川 靖 吉村 和明 JP 5433677 特許公報(B2) 20131213 2011501562 20100218 有機電界発光素子 新日鉄住金化学株式会社 000006644 佐々木 一也 100132230 成瀬 勝夫 100082739 中村 智廣 100087343 佐野 英一 100088203 浅利 徹 林田 広幸 白石 和人 清水 隆之 小石川 靖 吉村 和明 JP 2009046473 20090227 20140305 H01L 51/50 20060101AFI20140213BHJP H05B 33/10 20060101ALI20140213BHJP C07D 487/04 20060101ALI20140213BHJP C07D 519/00 20060101ALI20140213BHJP C09K 11/06 20060101ALI20140213BHJP JPH05B33/14 BH05B33/10C07D487/04 137C07D519/00 311C09K11/06 690 H01L 51/50 C07D 487/04 C07D 519/00 C09K 11/06 H05B 33/10 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特開2008−288344(JP,A) 国際公開第2006/112265(WO,A1) 国際公開第2008/149691(WO,A1) 国際公開第2008/146839(WO,A1) 国際公開第2008/056746(WO,A1) 国際公開第2007/063754(WO,A1) 国際公開第2007/063796(WO,A1) 6 JP2010052411 20100218 WO2010098246 20100902 26 20120827 横川 美穂 本発明は、燐光ドーパント材料とホスト材料を併用することにより高輝度率を示す有機電界発光素子に関する。 有機電界発光素子(有機EL素子)は、その最も簡単な構造として発光層及び該層を挟んだ一対の対向電極から構成される。この両電極間に電界を印加すると陰極から電子が、陽極から正孔が注入され、これらが発光層において再結合することでエキシトンを生成し、そのエネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーとして光を放出する現象を利用する。 有機EL素子は、その発光メカニズムによって、蛍光有機EL素子と燐光有機EL素子とに分類される。燐光有機EL素子の発光層は、一般的に燐光ドーパント材料とホスト材料により構成される。このような燐光ドーパント材料を発光に利用すれば、75%の生成確率を有する三重項状態のエキシトンを利用することができるため、25%の生成確率を有する一重項エキシトンを利用する蛍光有機EL素子より高い発光効率を有しうる。 近年、このような高い発光効率を有しうる燐光有機EL素子分野において、その発光層に用いられるホスト材料として低分子ホスト材料が盛んに研究・開発されている。その大きな理由の一つとして、ホスト材料として使用される低分子化合物は昇華、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の精製手法により高純度化しやすい点が挙げられる。低分子ホスト材料は、高純度化することで不純物由来のエネルギートラップサイトが減少し、電極から注入された電子や正孔、あるいはエキシトンの熱失活が最小限に抑制され、その結果、高性能な素子となるが、一方で低分子ホスト材料は、高純度化するほど結晶性が高くなるという低分子化合物全般にみられる特性をもっている。そのため、高純度な低分子ホスト材料を用いた発光層は、素子作動時に発生する微弱な熱により一部が微細結晶化し、発光層のアモルファス性が損なわれることで素子特性が低下する問題点がある。この特性は、発光層をウェットプロセス製膜する場合に、より顕著に影響する。これは、ウェットプロセス製膜では、低分子ホスト化合物の溶液を塗布後、溶媒を蒸発させる乾燥工程の際に一時的に高濃度溶液となり結晶化が起きやすい状態を経るためと考えられている。このことが、蒸着プロセスでは高性能を示す低分子ホスト材料がウェットプロセスには適用できない大きな問題点となっている。 これらの問題点を解決するために、ベースとなる低分子ホスト材料に、少なくとも1つ以上の他の低分子ホスト材料を混合して発光層のアモルファス安定性を確保する方法が開示されている。例えば、非晶質ポリマー材料を混合する方法(特許文献1)や、電荷注入及び電荷輸送補助材料(特許文献2〜6)を混合する方法が開示されている。特開2002−203674号公報特開平11−354279号公報特開2003−068466号公報特開2004−335204号公報特開2006−135295号公報特開2006−148045号公報 しかしながら、これらの方法では、第二のホスト材料の分子パラメーターであるイオン化ポテンシャル(以下、IPという)、電子親和力(以下、EAという)、三重項励起エネルギー準位(以下、T1という)が、第一のホスト材料のIP、EA、T1値と異なるため、第二のホスト材料の混合により電子・正孔の注入量が大きく変化したり、T1値の低い第二のホスト材料が混合されることにより本来の発光色が維持できないなどの素子特性低下を生じる問題点がある。 本発明の目的は、低分子ホスト材料を用いる燐光有機EL素子において、電子・正孔の注入バランスと効率的な燐光発光機構を保ちながら、素子の作動時に発生する微弱な熱による材料の結晶化を抑制することにより、ウェットプロセス製膜する場合において、結晶化を抑制することが可能な低分子ホスト材料を提供し、信頼性の高い有機電界発光素子を提供することにある。 本発明は、陽極及び陰極の間にウェットプロセスにより製膜された発光層を有する有機電界発光素子であって、発光層がりん光ドーパント材料と分子量10,000以下のホスト材料を含有し、前記ホスト材料は第一のホスト材料と第一のホスト材料とは異なる第二のホスト材料からなり、第一のホスト材料と第二のホスト材料の重量比が90:10〜10:90であり、第一のホスト材料と第二のホスト材料のイオン化ポテンシャル(IP)値の差が0.1eV以下、かつ電子親和力(EA)値の差が0.1eV以下、かつ三重項エネルギー(T1)値の差が0.1eV以下であることを特徴とする有機電界発光素子に関する。ここで、前記第一のホスト材料又は第二のホスト材料は、後記する式(1)で表わされる複素環化合物である。 上記第一のホスト材料又は第二のホスト材料としては、インドロカルバゾール誘導体及びトリアジン誘導体からなる群れから選ばれる複素環化合物が好ましく挙げられる。 上記複素環化合物としては、下記式(1)で表わされる化合物が挙げられる。 式(1)中、環Aは隣接環と任意の位置で縮合する式(1a)で表される芳香環を表し、環Bは隣接環と任意の位置で縮合する式(1b)で表される複素環を表す。式(1)、(1a)中のRは、独立に水素又は1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよい。式(1b)中のL1は、独立に芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を示す。Lは、n価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を示し、nは1〜4である。nが2以上の場合は、環A、Bを含む縮合複素環は同一であっても異なっていても良い。 また、第一のホスト材料又は第二のホスト材料としては、下記式(2)又は(3)で表わされる複素環化合物が好ましく挙げられる。 式(2)中、環A、環B、及びRは式(1)と同意であり、Xは各々独立にC-H、N、C−L2の何れかである。ここで、L2は、独立に芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。 式(3)中、環A、環B、及びRは式(1)と同意であり、環A、Bを含む縮合複素環は同一であっても異なっていても良い。Arは、独立にフェニレン基又は2価の芳香族複素環基を表す。mは1〜5である。 また、本発明は、第一のホスト材料と第二のホスト材料が、式(2)又は(3)で表される複素環化合物から選ばれる2種の複素環化合物である有機電界発光素子に関する。 第一のホスト材料と第二のホスト材料の重量比は、75:25〜25:75であることが好ましい。本発明の有機EL素子の一例を示す模式図である。 本発明の有機EL素子は、陽極(陽極層ともいう)及び陰極(陰極層ともいう)と、陽極及び陰極間に挟まれた有機層を有する。そして、有機層の少なくとも1層は発光層である。素子の層構成としては特に限定されず、代表的な素子構成として図1に示すような構成が挙げられる。本発明の有機EL素子では、基板1、陽極2、発光層5及び陰極7を必須の層として有するが、その他の層を必要に応じて設けることにより素子性能を向上させることができる。図1に示す有機EL素子は、基板1、陽極2、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6及び陰極7の順に積層されているが、必要により必須の層以外は省略されてもよく、また必要により上記以外の層が追加又は置換されてもよい。 本発明の有機EL素子の発光層は、燐光ドーパント材料と分子量10,000以下のホスト材料を含有し、ホスト材料は第一のホスト材料と第二のホスト材料からなる。第二のホスト材料は第一のホスト材料とは異なる少なくとも1種のホスト材料である。そして、説明の都合上、最初に選択されるホスト材料を第一のホスト材料とし、他のホスト材料を第二のホスト材料という。第二のホスト材料は2種以上の化合物を含んでもよいが、1種であることが好ましい。2種以上の化合物を含む場合は、いずれの化合物も第一のホスト材料に対してIP、EA、T1値が下記要件を満足する。 第二のホスト材料は、第一のホスト材料の結晶化を抑制するために有効である。高輝度率の素子は、ホスト材料のIP、EA、T1値が適正な値に既に調整されているため、第二のホスト材料の混合の際には、高輝度率を維持する観点から、第二のホスト材料のIP、EA及びT1値は、第一のホスト材料のIP、EA及びT1値と同じ値であることが望ましいが、これらの値は分子構造から算出される固有の値であり、この3つの値が全て同じ化合物は実際には存在しない。しかし、第一のホスト材料と第二のホスト材料のIP、EA及びT1値の差が各々0.10eV以下であれば、高輝度率な素子特性を維持しながら、発光層の結晶化を抑制し、良好な発光特性を長期間保持することができることが見出された。 第一ホスト材料及び第二のホスト材料のIP及びEA値は、ホスト材料となる化合物の分子構造を基に、化合物固有の値として、順にHOMOエネルギー、LUMOエネルギーの符号をかえた値として算出することができる。この関係は、ハートリー−フォック近似下ではクープマンズの定理(Koopmans' theorem)、密度汎関数理論においてはヤナックの定理(Janak theorem)として定義されている。例えば、HOMOエネルギー、LUMOエネルギーの値(eV単位換算値)は、分子軌道法プログラムGaussian03rev.C02を使用して密度汎関数理論(DFT)法を用いた構造最適化計算により算出することができる。また、T1値は、ホスト材料となる化合物の分子構造を基に、化合物固有の値として算出される励起3重項の励起エネルギーの最も低い値として算出することができる。励起3重項の励起エネルギーの値は、例えば、分子軌道法プログラムGaussian03rev.C02を使用し、密度汎関数理論(DFT)計算を用いて構造最適化を行った後、最適化された構造を基に時間依存密度汎関数理論(TD−DFT)計算を行うことで算出することができる。本発明において、IP、EA、T1値の算出方法については特に制限されないが、計算手法による誤差を避けるため、第一のホスト材料と第二のホスト材料は同一の計算方法を用いる。 第一のホスト材料又は第二のホスト材料となる化合物は、有機EL素子のホスト材料に適用可能であれば特に制限されない。分子量10,000以下の低分子化合物であり、好ましくは500〜5,000である。ホスト材料として有用な化合物は多くの特許文献等により知られており、これらから選択されて使用される。 第一のホスト材料又は第二のホスト材料として適した化合物は、カルバゾール基、インドロカルバゾール基、オキサジアゾール基、トリアジン基等を有する電荷輸送性の複素環化合物である。好ましくは、インドロカルバゾール誘導体及びトリアジン誘導体からなる群から選ばれる複素環化合物が挙げられる。ここで、インドロカルバゾール誘導体はインドロカルバゾール骨格を有する化合物であり1以上の置換基を有することができる。好ましい置換基としてトリアジン環を有する置換基がある。また、トリアジン誘導体は、トリアジン環を有する化合物であり1以上の置換基を有することができる。なお、置換基としてトリアジン環を有するインドロカルバゾール誘導体は、トリアジン誘導体でもある。 第一のホスト材料又は第二のホスト材料として適した複素環化合物としては、上記式(1)で表わされる化合物が好適に使用でき、より好ましくは式(2)又は(3)で表わされる化合物である。式(1)、(2)又は(3)において、環Aは式(1a)で表される芳香環であり、環Bは式(1b)で表される複素環である。そして、環Aと環Aより下側のインドール環とで構成される3環の縮合環をカルバゾール環とすれば、環Bで表される複素環は、Nを1位とすると2,3-位、4,5-位、及びその逆の位置と、隣接するカルバゾール環の1,2-位、2,3-位、及び3,4-位の位置で縮合することができるので、式(1)、(2)又は(3)の環A、環Bを含む縮合複素環には5種類の異性体がある。この縮合複素環はインドロカルバゾール環である。 式(1)において、Lはn価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を示し、好ましくはn価の炭素数6〜100の芳香族炭化水素基又はn価の炭素数3〜100の芳香族複素環基であり、n価の炭素数6〜36の芳香族炭化水素基又はn価の炭素数3〜35の芳香族複素環基がより好ましい。これら芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基は置換基を有していてもよく、2つ以上の置換基を有する場合は、同一であっても異なっていても良い。炭素数の計算にはそれら置換基の炭素数を含む。 好ましい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基としては、ベンゼン、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン、オクタレン、インダセン、アセナフチレン、フェナレン、フェナンスレン、アントラセン、トリンデン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、テトラフェン、テトラセン、プレイアデン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェニレン、コラントリレン、ヘリセン、ヘキサフェン、ルビセン、コロネン、トリナフチレン、ヘプタフェン、ピラントレン、オバレン、コラヌレン、フルミネン、アンタントレン、ゼトレン、テリレン、ナフタセノナフタセン、トルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、キサンテン、オキサトレン、ジベンゾフラン、ペリキサンテノキサンテン、チオフェン、チオキサンテン、チアントレン、フェノキサチイン、チオナフテン、イソチアナフテン、チオフテン、チオファントレン、ジベンゾチオフェン、ピロール、ピラゾール、テルラゾール、セレナゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、フラザン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、インドリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、カルバゾール、インドロカルバゾール、イミダゾール、ナフチリジン、フタラジン、キナゾリン、ベンゾジアゼピン、キノキサリン、シンノリン、キノリン、プテリジン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、カルボリン、フェノテルラジン、フェノセレナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、アンチリジン、テベニジン、キンドリン、キニンドリン、アクリンドリン、フタロペリン、トリフェノジチアジン、トリフェノジオキサジン、フェナントラジン、アントラジン、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾイソチアゾール又はこれら芳香環が複数連結された芳香族化合物からn個の水素を除いて生じる基等が挙げられる。より好ましくはベンゼン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、インドール、カルバゾール又はこれら芳香環が複数連結された芳香族化合物からn個の水素を除いて生じる基が挙げられる。なお、芳香環が複数連結された芳香族化合物から生じる基である場合、連結される数は2〜10が好ましく、より好ましくは2〜5であり、連結される芳香環は同一であっても異なっていても良い。その場合、環A、Bを含むインドロカルバゾール環のNと芳香環が複数連結された芳香族化合物の結合位置は限定されず、連結された芳香環の末端部の環であっても中央部の環であってもよい。また、連結された芳香環に芳香族複素環が含まれる場合、芳香族複素環基に含める。ここで、芳香環は芳香族炭化水素環及び芳香族複素環を総称する意味である。 ここで、芳香環が複数連結されて生じる基は、n=1の場合、例えば、下記式で表わされる。(Ar4〜Ar9は、置換又は無置換の芳香環を示す) 上記芳香環が複数連結されて生じる基の具体例としては、例えばビフェニル、ターフェニル、ビピリジン、ビピリミジン、ビトリアジン、ターピリジン、ビストリアジルベンゼン、ジカルバゾリルベンゼン、カルバゾリルビフェニル、ジカルバゾリルビフェニル、インドロカルバゾリルトリアジン、フェニルターフェニル、カルバゾリルターフェニル、ビナフタレン、フェニルピリジン、フェニルカルバゾール、ジフェニルカルバゾール、ジフェニルピリジン、フェニルピリミジン、ジフェニルピリミジン、フェニルトリアジン、ジフェニルトリアジン、フェニルナフタレン、ジフェニルナフタレン、インドロカルバゾリルベンゼン、インドロカルバゾリルピリジン、インドロカルバゾリルトリアジン等からn個の水素を除いて生じる基が挙げられ、より好ましくはベンゼン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、インドール、カルバゾールから選ばれる芳香環が連結された芳香族化合物からn個の水素を除いて生じる基が挙げられる。 前記芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基が置換基を有する場合、置換基の総数は1〜10、好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜4である。なお、芳香環が複数連結された芳香族化合物から生じる基も同様に置換基を有することができる。好ましい置換基としては炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキル置換アミノ基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数12〜24のジアリールアミノ基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、アミド基、炭素数2〜10のアルキルアミド基、炭素数3〜20のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のトリアルキルシリルアルキル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルケニル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルキニル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基等が挙げられる。より好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、ジフェニルアミノ基があげられる。 式(1)中、nは1〜4を示すが、好ましくは1又は2である。 式(1b)中、L1は独立に芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を示すが、これらは前記式(1)中のL(n=1の場合)で説明したと同様である。L1が置換基を有する場合の置換基も前記式(1)中のLで説明した置換基と同様である。 式(1)、(1a)中、Rは、独立に水素又は1価の置換基であるが、1価の置換基の場合は、炭素数6〜26の芳香族炭化水素基、炭素数3〜25の芳香族複素環基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキル置換アミノ基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数12〜24のジアリールアミノ基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、アミド基、炭素数2〜10のアルキルアミド基、炭素数3〜20のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のトリアルキルシリルアルキル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルケニル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルキニル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基等が挙げられる。より好ましくは炭素数6〜26の芳香族炭化水素基、炭素数3〜25の芳香族複素環基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数12〜24のジアリールアミノ基であり、具体例としてはフェニル基、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基、インドリル基、カルバゾリル基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、ジフェニルアミノ基等があげられる。Rが複数存在する場合は、同一であっても異なっていても良い。 式(2)、(3)において、環A、環B、Rは式(1)と同意である。式(2)において、Xは独立にN、C-H又はC-L2を示すが、好ましくはNが1〜3であり、より好ましくはNが2〜3であり、更に好ましくはNが3である。 ここで、式(2)中のXがC-L2である場合、L2は独立に芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を示す。好ましいL2の具体例は、前記式(1)中のLで説明したn=1の場合の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基が同様に例示できる。また、L2が置換基を有する芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基の場合、式(1)中のLの置換基で説明した置換基と同様である。 式(3)において、Arは、独立にフェニレン基又は2価の芳香族複素環基を示し、好ましくは、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、インドール、カルバゾールから2個の水素を除いた基である。Arが置換基を有する場合は、前記式(1)、(1a)中のRで説明したRが1価の置換基である場合と同様である。mはArの繰り返し数を示し、mは1〜5であり、好ましくは1〜3である。mが2以上の場合、Arは同一であっても異なっていても良い。 以下に、式(1)〜(3)で表わされる化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。化学式に付された番号は化合物番号である。 式(1)で表わされる化合物を次に示す。 式(2)で表わされる化合物を次に示す。 式(3)で表わされる化合物を次に示す。 第一のホスト材料又は第二のホスト材料として適した化合物は、式(1)、(2)又は(3)以外には、例えば、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)、3−(4'−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4'−ビフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)が例示される。 第一のホスト材料が上記のようなホスト材料として使用可能な化合物から最初に選択され、次に第二のホスト材料となる化合物が選択される。第一のホスト材料のIP値をIP(1)、EA値をEA(1)、T1値をT1(1)とし、第二のホスト材料のIP値をIP(2)、EA値をEA(2)、T1値をT1(2)とすれば、IP(1)-IP(2)、EA(1)-EA(2)及びT1(1)-T1(2)は、いずれも±0.10eVの範囲内となるように選択される。このような関係を全て同時に満たすためには、第一のホスト材料となる化合物と、第二のホスト材料となる化合物は基本骨格が類似する化合物であることが好ましい。そして、これらのIP値、EA値、T1値は、上記のように化合物の構造式から算出可能である。 第一のホスト材料及び第二のホスト材料が、式(1)で表される化合物から2種を使用することが好ましく、式(2)又は(3)で表される化合物から2種を使用することがより好ましい。 本発明の有機EL素子の発光層は、ホスト材料と燐光ドーパント材料を含み、ホスト材料は第一のホスト材料と第二のホスト材料を含む。 第一のホスト材料と第二のホスト材料の使用割合(重量比)は、90:10〜10:90であり、好ましくは75:25〜25:75、更に好ましくは2:1〜1:2である。ホスト材料が発光層中に含有される割合は特に制限はないが、50〜99重量%の範囲にあることが好ましい。 燐光ドーパント材料は、発光色、分子構造に何ら制限はないが、好ましくはイリジウム、白金、ルテニウム等の貴金属元素を中心金属として有する錯体類が挙げられる。また、燐光ドーパント材料が発光層中に含有される割合は特に制限はないが、1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲にあることがよい。 以下に、燐光ドーパント材料の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではないが、使用される燐光発光ドーパントは580nm以下に最大発光波長を有するものが好ましい。 発光層のウェットプロセスによる製膜方法について特に制限はないが、スピンコート法、スプレー法、ディップ法、ドクターブレード法などのウェットプロセスによる製膜を選択してもよい。第一のホスト材料と第二のホスト材料を使用することにより、特にウェットプロセスによる製膜の際のホスト材料の結晶化を抑制することができ、素子性能を高めることができる。 ここで、ウェットプロセスは、ホスト材料等の有機EL素子材料を溶媒に溶解させた塗液を作り、これを基板又は基板上の有機層の上に塗布、乾燥する方法である。 塗液の作製方法は、例えば、ホスト材料等の有機EL素子材料と溶媒を混合・攪拌することで作製することができる。ここで、加熱、超音波照射など材料の溶解を促す処理を行ってもよい。塗液の濃度は特に制限はないが、0.01〜50wt%が好ましく、より好ましくは0.1〜10wt%である。また、必要に応じて、増粘剤、消泡剤、界面活性剤などを添加してもよい。 上記塗液を用いた製膜方法としては特に制限はないが、スピンコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレー法、インクジェット法、ディップ法、ドクターブレード法などが挙げられる。乾燥方法としては特に制限はなく、例えば、ホットプレート上で基板を加熱する方法が挙げられる。乾燥温度は、使用する溶媒により異なるが、好ましくは0〜200℃であり、より好ましくは50〜150℃である。 塗液に使用する溶媒としては、発光層の構成材料である第一のホスト材料、第二のホスト材料およびドーパント材料の混合物を、固形物が残らないように溶解させることができれば特に制限はなく、2種以上の溶媒を混合して使用してもよい。融点が0℃以下かつ沸点が30℃以上であることが好ましい。 以下に、溶媒の具体例を挙げるが、何らこれらに限定されるものではない。シクロヘキサン、四塩化炭素、テトラクロロエタン、オクチルベンゼン、ドデシルベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、インダン、メチルナフタレン、デカリン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、アニソール、フェネトール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジブチルエーテル、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソホロン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、2−ヘプタノン、テトラロン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ガンマブチロラクトン、酢酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、キノリン、ピリジン、4−エチルモルホリン、アセトニトリル、ブチロニトリル、ニトロエタン、ニトロベンゼン、フルオロベンゼン、ヘキサメチルジシロキサン、ブチルセロソルブ、二硫化炭素、テルピネオール、及びイオン交換水(純水)。 次に、本発明の有機EL素子における発光層以外の各層について説明する。 基板1としては、一般的な有機電界発光素子で使われる基板であれば特に制限はないが、透明性、表面の平滑性、取扱の容易性及び防水性に優れた有機基板又は透明プラスチック基板、ガラス基板を用いることが好ましい。 陽極2は、一般的な有機電界発光素子で使われる材料であれば特に制限はなく、透明かつ電気伝導性に優れた金属又は金属酸化物が好ましい。例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)などを使用することができる。 正孔注入層3は、陽極の上部にHIL物質を膜厚5〜500nmの薄膜状に形成される。HIL物質は、一般的な有機電界発光素子で使われる材料であれば特に制限はなく、例えば、銅フタロシアニン(CuPc)又はポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェン・ポリスチレンスルホン酸(PEDOT・PSS)等を使用することができる。薄膜形成方法について特に制限はなく、真空蒸着法に代表される蒸着プロセスはもとより、スピンコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレー法、インクジェット法、ディップ法、ドクターブレード法などのウェットプロセスによる製膜方法を使用することができる。 正孔輸送層4は、正孔注入層の上部にHTL物質を膜厚5〜500nmの薄膜状に形成される。HTL材料としては、一般的な有機電界発光素子で使われる材料であれば特に制限はなく、例えば、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N ’−ジフェニル(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(α−NPD)を使用することができる。また、ポリビニルカルバゾール(PVK)等の高分子材料を使用することもできる。薄膜形成方法について特に制限はなく、真空蒸着法に代表される蒸着プロセスはもとより、スピンコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレー法、インクジェット法、ディップ法、ドクターブレード法などのウェットプロセスによる製膜方法を使用することができる。 電子輸送層6は、発光層の上部にETL物質を膜厚5〜500nmの薄膜状に形成する。ETL物質としては、一般的な有機電界発光素子で使われる材料であれば特に制限はなく、例えば、2−(4−ビフェニル)−5−(p−tブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)、2,9―ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)、バソフェナントロリン(Bphen)、トリス(8−ヒドロキシキノレート)アルミニウム(Alq3)、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノレート)−(4−フェニルフェノレート)アルミニウム(Balq)を使用することができる。薄膜形成方法について特に制限はなく、真空蒸着法に代表される蒸着プロセスはもとより、スピンコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレー法、インクジェット法、ディップ法、ドクターブレード法などのウェットプロセスによる製膜方法を使用することができる。 陰極7は、一般的な有機電界発光素子で使われる材料であれば特に制限はなく、電気伝導性に優れた金属材料が好ましい。例えば、Al、Cs、Erなどの金属や、MgAg、AlLi、AlLi、AlMg、CsTeなどの合金、あるいはCa/Al、MgAl、Li/Al、Cs/Al、Cs2O/Al、LiF/Al、ErF3/Alなどの積層構造体を使用することができる。 以下に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例の記載に何ら限定されるものではない。 なお、以下の合成例1〜5で使用するインドロ[2,3−a]カルバゾール、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、及び実施例1の化合物2−1については、WO08―056746号公報に記載の方法に従い合成した。また、化合物3−1については、WO07―063754号公報に記載の方法に従い合成した。合成例1化合物2−9の合成 脱気窒素置換した1L四ッ口フラスコに、インドロ[2,3−a]カルバゾール28.53g(111.4mmol)、炭酸カリウム21.56g(156.02mmol)、銅粉末35.41g(557.21mmol)、1−ブロモ−3,5−ジ−t−ブチルベンゼン30.00g(111.4mmol)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル450gを入れ、内温205℃で24時間攪拌した。室温まで冷却後、ろ過助剤を用いて固形分をろ別し、ろ液を減圧下濃縮した。次いで、シリカゲルカラムにて分画・精製し、白色固体7.42gを得た。この白色固体のFD−MSスペクトルは、445(MH+、base)であった。 次に、脱気窒素置換した300mlナスフラスコに、得られた白色固体7.42g(16.71mmol)、脱水ジメチルホルムアミド150gを入れ、水素化ナトリウム1.36g(58.8%inオイル、33.4mmol)を数回に分けて投入した。水素発生がおさまった後、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン4.69g(17.55mmol)の50gジメチルホルムアミド溶液を滴下した。滴下終了後、室温下で48時間攪拌した。蒸留水で過剰の水素化ナトリウムをクエンチした。この反応混液を、激しく攪拌している蒸留水1000g中に滴下し、析出した固形物をろ取した。この固形分をメタノールで洗浄した後、減圧下80℃で一昼夜乾燥し、粗生成物6.29gを得た。この粗生成物を再結晶精製し、白色結晶3.36gを得た。この白色結晶のFD−MSスペクトルを測定したところ、675(M+、base)のピークが観測され、この白色結晶が化合物2−9であることを確認した。合成例2 化合物2−10の合成 脱気窒素置換した500mL三ッ口フラスコに、インドロ[2,3−a]カルバゾール9.84g(38.4mmol)、炭酸カリウム15.94g(115.33mmol)、銅粉末12.22g(192.22mmol)、4−t−ブチルヨードベンゼン10.00g(38.4mmol)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン150gを入れ、内温205℃で20時間攪拌した。室温まで冷却後、ろ過助剤を用いて固形分をろ別し、ろ液を減圧下濃縮した。ろ液を分液ロートに移し、酢酸エチル700ml、10%塩酸を加えて、0.5時間静置し、下層を廃棄した。上層を蒸留水、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、褐色固体を得た。シリカゲルカラムにて精製後、ジクロロメタン−エタノールで再結晶を行い、白色結晶6.30gを得た。この白色固体のFD−MSスペクトルは、389(MH+、base)であった。 次に、脱気窒素置換した1Lナスフラスコに、得られた白色固体6.30g(16.24mmol)、脱水ジメチルホルムアミド200gを入れ、水素化ナトリウム0.72g(60.2%inオイル、17.86mmol)を数回に分けて投入した。水素発生がおさまった後、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン4.78g(17.86mmol)の50gジメチルホルムアミド溶液を滴下した。滴下終了後、室温下で72時間攪拌した。蒸留水で過剰の水素化ナトリウムをクエンチした。この反応混液を、激しく攪拌している蒸留水260g中に滴下し、析出した固形物をろ取した。この固形分をメタノールで50℃で3時間リスラリー洗浄した後、減圧下80℃で一昼夜乾燥し、粗生成物8.39gを得た。この粗生成物をジクロロメタンで再結晶精製し、微黄色結晶3.31gを得た。この微黄色結晶のFD−MSスペクトルにて、620(MH+、base)のピークが観測され、この微黄色結晶が化合物2−10であることを確認した。合成例3化合物3−4の合成 脱気窒素置換した1L四ツ口フラスコに、インドロ[2,3−a]カルバゾール45.0g(0.176mol)、炭酸カリウム72.9g(0.527mol)、銅粉末55.9g(0.879mol)、1,3−ジヨードベンゼン29.0g(0.088mol)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル638gを入れ、内温205℃で18時間攪拌した。室温まで冷却後、ろ過助剤を用いて固形分をろ別した。得られたろ液を分液ロートに移し、10重量%塩酸1400gを加えた後、酢酸エチル2100gで抽出した。酢酸エチル層を蒸留水、飽和食塩水で順に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥、吸水した硫酸マグネシウムを吸引ろ過で除去後、溶媒を減圧留去した。残渣をジクロロメタンリスラリー、トルエンリスラリーを順に行い、減圧下80℃で乾燥し、白色固体29.08gを得た。この白色固体のFD−MSスペクトルは、587(MH+、base)であった。 次に、脱気窒素置換した1L四ッ口フラスコに、得られた白色固体27.09g(46.23mmol)、脱水ジメチルホルムアミド600gを入れ、水素化ナトリウム7.40g(60.0%inオイル、0.185mol)を数回に分けて投入した。水素発生がおさまった後、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン25.97g(0.097mol)の200gジメチルホルムアミド溶液を滴下した。滴下終了後、室温下で20時間攪拌した。蒸留水で過剰の水素化ナトリウムをクエンチした。次いで蒸留水400gを装入し、析出した固形物をろ取した。この固形物をトルエンで再結晶し、微黄色結晶12.69gを得た。この微黄色結晶のFD−MSスペクトルを測定したところ、1049(MH+、base)のピークが観測され、この白色結晶が化合物3−4であることを確認した。合成例5 化合物3−9の合成 脱気窒素置換した2L四ッ口フラスコに、1,3−ジヨードベンゼン36.96g(0.112mol)、3−ブロモフェニルボロン酸45.00g(0.224mol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)4.27g(3.7mmol)、エタノール225ml、トルエン603mlを入れ、室温で攪拌した。この溶液に、炭酸ナトリウム142.2g(1.342mol)、蒸留水297gを装入し、内温75℃にて19時間攪拌した。室温まで冷却し、水層を抜き出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、吸水した硫酸マグネシウムを吸引ろ過で除去後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムにて精製し、茶色油状物42.13gを得た。これを0.2kPaの減圧下にて蒸留精製し、留出温度220〜234℃を分画し、無色油状物21.55gを得た。FD−MSスペクトルにて、386、388、390(M+、base、1:2:1強度比)のピークが観測され、1,3−ビス(3−ブロモフェニル)ベンゼンであることを確認した。 脱気窒素置換した500mL三ツ口フラスコに、インドロ[2,3−a]カルバゾール20.0g(78.1mmol)、炭酸カリウム31.11g(225.1mmol)、銅粉末24.85g(391.0mmol)、1,3−ビス(3−ブロモフェニル)ベンゼン15.21g(39.2mmol)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン300gを入れ、内温210℃で23時間攪拌した。室温まで冷却後、ろ過助剤を用いて固形分をろ別した。得られたろ液を分液ロートに移し、10重量%塩酸1000mlを加えた後、酢酸エチル700gで抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水で順に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥、吸水した硫酸マグネシウムを吸引ろ過で除去後、溶媒を減圧留去した。残渣をジクロロメタンリスラリー洗浄を行い、減圧下80℃で乾燥し、白色固体13.24gを得た。この白色固体のFD−MSスペクトルは、738(M+、base)であった。 次に、脱気窒素置換した1L四ッ口フラスコに、上記白色固体13.15g(17.82mmol)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン280gを入れ、水素化ナトリウム2.84g(60.2%inオイル、71.28mmol)を数回に分けて投入した。水素発生がおさまった後、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン11.92g(44.56mmol)の60gの1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン溶液を滴下した。滴下終了後、室温下で20時間攪拌した。蒸留水で過剰の水素化ナトリウムをクエンチした。反応混液を分液ロートに移し、蒸留水700gを入れた後、酢酸エチル700gで抽出した。酢酸エチル層を蒸留水700gで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、吸水した硫酸マグネシウムを吸引ろ過で除去後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムにて精製後、減圧下80℃で一夜乾燥し、アモルファス状白色固体10.72gを得た。この固体をテトラヒドロフラン−アセトニトリルにて再結晶精製を行い、微黄色結晶3.16gを得た。この微黄色結晶のFD−MSスペクトルを測定したところ、1201(MH+、base)のピークが観測され、この結晶が化合物3−9であることを確認した。合成例6 化合物3−14の合成 WO07―063754号公報記載の化合物3−1の合成方法において、フェニルボロン酸を(3,5−ジフェニル)フェニルボロン酸に変更した以外は同様にして、化合物3−14を合成した。FD−MSスペクトルを測定したところ、970(M+、base)のピークが観測され、化合物3−14であることを確認した。合成例7化合物Aの合成 特開2005−239703号公報に記載の方法と同様にして、化合物Aを合成した。FD−MSスペクトルを測定したところ、524(M+、base)のピークが観測され、化合物Aであることを確認した。合成例8化合物Bの合成 WO08―056746号公報の実施例4記載の方法に従い、化合物Bを合成した。合成例9化合物Cの合成 WO07―063754号公報記載の化合物3−1の合成方法において、フェニルボロン酸をピレンー2-イルボロン酸に変更した以外は同様にして、化合物Cを合成した。FD−MSスペクトルを測定したところ、941(M+、base)のピークが観測され、化合物Cであることを確認した。参考例1 前述の合成例で得た化合物2−9、2−10、3−4、3−9、3−14、化合物2−1、3−1、及び化合物A、B、Cについて、IP、EA及びT1値を算出した。 IP、EA、T1値は、分子軌道法プログラムGaussian03rev.C02を使用して、密度汎関数理論(DFT)法を用いた構造最適化計算により計算した。IP値、EA値は、B3LYP/6-31G*レベルの構造最適化計算を行うことにより計算されたHOMOエネルギー、LUMOエネルギーの符号をかえた値(eV単位換算値)とした。T1値は、B3LYP/6-31G*レベルの構造最適化計算を行った後、最適化された構造を基にTD-B3LYP/6-31G*レベルで励起3重項の最も低い励起エネルギーを算出した。各化合物の計算値は、表1に示した。実施例1(比較) 図1において正孔輸送層を省略し、電子注入層を追加した構成の有機EL素子を作製した。UVオゾン洗浄及び乾燥工程を経た膜厚150nmのITOからなる陽極が形成されたガラス基板上に、正孔注入層として、PEDOT・PSS(Baytron P CH8000)の20重量%エタノール溶液を、回転数3000rpmで60秒間スピンコート製膜し、200℃で60分間乾燥した。このときの膜厚は25nmであった。次に、発光層として、ホスト材料が化合物2−1(38.0重量部)、燐光ドーパント材料がトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)(2.0重量部)、ジクロロメタン(2840重量部)の混合溶液を、回転数4000rpmで30秒間スピンコート製膜し、120℃にて30分間乾燥した。このときの発光層の膜厚は70nmであった。次に、電子輸送層として、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)を真空蒸着法にて、蒸着レート0.1nm/secにて35nmの厚さで製膜した。更に電子注入層として、真空蒸着法にてフッ化リチウム(LiF)を0.5nmの厚さに形成した。最後に電子注入層上に電極として、真空蒸着法にてアルミニウム(Al)を170nmの厚さに形成し、有機EL素子を作製した。 得られた有機EL素子の初期特性として、素子に外部電源を接続して100mA/cm2の電流が流れるように直流電圧を印加し、そのときの電流効率(cd/A)を測定した。また、素子の寿命特性として、定電流量20mA/cm2となるように直流電圧を印加し、初期輝度が半減するまでの時間(輝度半減期)を測定した。それを初期輝度1000cd/m2の場合に換算した。電流効率は5.7cd/A、輝度半減期は32hrであった。実施例2 ホスト材料として、第一のホスト材料と第二のホスト材料を使用し、第一のホスト材料として化合物2−1(17.3重量部)と第二のホスト材料として化合物2−9(20.7重量部)を使用し、70nm膜厚の発光層を得た以外は、実施例1と同様の操作を行って有機EL素子を作製し、素子評価を行った。実施例3 実施例2において、第一のホスト材料として化合物2−1(18.0重量部)と第二のホスト材料が化合物2−10(20.0重量部)を使用し、70nm膜厚の発光層を得た以外は、同様の操作を行って有機EL素子を作製し、素子評価を行った。実施例4 実施例2において、第一のホスト材料として化合物2−1(13.3重量部)と第二のホスト材料として化合物3−4(24.7重量部)を使用し、70nm膜厚の発光層を得た以外は、全て同様の操作を行って有機EL素子を作製し、素子評価を行った。実施例5 実施例2において、第一のホスト材料として化合物2−1(12.1重量部)と第二のホスト材料として化合物3−9(25.9重量部)を使用し、70nm膜厚の発光層を得た以外は、全て同様の操作を行って有機EL素子を作製し、素子評価を行った。実施例6 実施例2において、第一のホスト材料として化合物2−1(23.6重量部)と第二のホスト材料として化合物3−4(14.4重量部)を使用し、70nm膜厚の発光層を得た以外は、全て同様の操作を行って有機EL素子を作製し、素子評価を行った。実施例7(比較) 実施例2において、第一のホスト材料として化合物2−1(19.7重量部)と第二のホスト材料として化合物A(18.3重量部)を使用し、70nm膜厚の発光層を得た以外は、全て同様の操作を行って有機EL素子を作製し、素子評価を行った。実施例8(比較) 実施例2において、第一のホスト材料として化合物2−1(16.7重量部)と第二のホスト材料として化合物B(21.3重量部)を使用し、70nm膜厚の発光層を得た以外は、全て同様の操作を行って有機EL素子を作製し、素子評価を行った。実施例9(比較) 実施例2において、第一のホスト材料として化合物2−1(14.2重量部)と第二のホスト材料として化合物C(23.8重量部)を使用し、70nm膜厚の発光層を得た以外は、全て同様の操作を行って有機EL素子を作製し、素子評価を行った。実施例10(比較) 実施例1において、ホスト材料として化合物3−1を使用し、70nm膜厚の発光層を得た以外は、全て同様の操作を行って有機EL素子を作製し、素子評価を行った。電流効率は10.8cd/A、輝度半減期は48hrであった。実施例11 実施例2において、第一のホスト材料として化合物3−1(16.6重量部)と第二のホスト材料として化合物3−4(21.4重量部)を使用し、70nm膜厚の発光層を得た以外は、全て同様の操作を行って有機EL素子を作製し、素子評価を行った。実施例12 実施例2において、第一のホスト材料として化合物3−1(20.8重量部)と第二のホスト材料として化合物2−9(17.2重量部)を使用し、70nm膜厚の発光層を得た以外は、全て同様の操作を行って有機EL素子を作製し、素子評価を行った。実施例13 実施例2において、第一のホスト材料として化合物3−1(17.4重量部)と第二のホスト材料として化合物3−14(20.6重量部)を使用し、70nm膜厚の発光層を得た以外は、全て同様の操作を行って有機EL素子を作製し、素子評価を行った。実施例14(比較) 実施例2において、第一のホスト材料として化合物3−1(14.8重量部)と第二のホスト材料として化合物A(23.2重量部)を使用し、70nm膜厚の発光層を得た以外は、全て同様の操作を行って有機EL素子を作製し、素子評価を行った。実施例15(比較) 実施例2において、第一のホスト材料として化合物3−1(20.2重量部)と第二のホスト材料として化合物B(17.8重量部)を使用し、70nm膜厚の発光層を得た以外は、全て同様の操作を行って有機EL素子を作製し、素子評価を行った。実施例16(比較) 実施例2において、第一のホスト材料として化合物3−1(17.7重量部)と第二のホスト材料として化合物C(20.3重量部)を使用し、70nm膜厚の発光層を得た以外は、全て同様の操作を行って有機EL素子を作製し、素子評価を行った。 表2に、実施例1〜実施例6の結果を示す。各実施例の電流効率及び輝度半減期は、実施例1を100としたときの相対値で表している。表中、H1は第一のホスト材料を示し、H2は第二のホスト材料を示す。 表3に、実施例10〜実施例16の結果を示す。各実施例の電流効率及び輝度半減期は、実施例10の値を100としたときの相対値で表している。表中、H1は第一のホスト材料を示し、H2は第二のホスト材料を示す。産業上の利用の可能性 本発明によれば、電子・正孔の注入バランスと効率的な燐光発光機構を保ちつつ、素子の作動時に発生する微弱な熱による材料の結晶化を抑制することにより、信頼性の高い有機電界発光素子を提供することができる。特に、ウェットプロセス製膜により発光層を形成する場合、その乾燥工程における結晶化を抑制することにより、高輝度率かつ信頼性の高い有機電界発光素子を提供することができる。本発明の有機EL素子は、良好な発光特性を長期間保持することができる。 陽極及び陰極の間にウェットプロセスにより製膜された発光層を有する有機電界発光素子であって、発光層がりん光ドーパント材料と分子量10,000以下のホスト材料を含有し、前記ホスト材料は第一のホスト材料と第一のホスト材料とは異なる第二のホスト材料からなり、第一のホスト材料又は第二のホスト材料が、下記式(1)で表わされる複素環化合物であり、第一のホスト材料と第二のホスト材料の重量比が90:10〜10:90であり、第一のホスト材料と第二のホスト材料のイオン化ポテンシャル(IP)値の差が0.1eV以下、かつ電子親和力(EA)値の差が0.1eV以下、かつ三重項エネルギー(T1)値の差が0.1eV以下であることを特徴とする有機電界発光素子。 式(1)中、環Aは隣接環と任意の位置で縮合する式(1a)で表される芳香環を表し、環Bは隣接環と任意の位置で縮合する式(1b)で表される複素環を表す。式(1)、(1a)中のRは、独立に水素又は1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよい。式(1b)中のL1は、独立に芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を示す。Lは、n価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を示し、nは1〜4である。nが2以上の場合は、環A及びBを含む縮合複素環は同一であっても異なっていてもよい。 第一のホスト材料及び第二のホスト材料が、前記式(1)で表わされる複素環化合物である請求項1に記載の有機電界発光素子。 第一のホスト材料又は第二のホスト材料が、下記式(2)又は(3)で表わされる複素環化合物である請求項1に記載の有機電界発光素子。 式(2)中、環A、環B、及びRは式(1)と同意であり、Xは各々独立にC−H、N又はC−L2の何れかである。ここで、L2は独立に芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。 式(3)中、環A、環B、及びRは式(1)と同意であり、Arは独立にフェニレン基又は2価の芳香族複素環基を表す。mは1〜5である。 第一のホスト材料と第二のホスト材料が、式(2)又は(3)で表される複素環化合物から選ばれる2種の複素環化合物である請求項1に記載の有機電界発光素子。 第一のホスト材料と第二のホスト材料の重量比が75:25〜25:75である請求項1〜4のいずれかに記載の有機電界発光素子。 陽極及び陰極の間に発光層を含む有機層を有し、発光層がりん光ドーパント材料と分子量10,000以下のホスト材料を含有する有機電界発光素子の製造方法であって、ホスト材料とりん光ドーパント材料を用意すること、ここで、ホスト材料が、第一のホスト材料と第一のホスト材料とは異なる第二のホスト材料からなり、第一のホスト材料又は第二のホスト材料が、下記式(1)で表わされる複素環化合物であり、第一のホスト材料と第二のホスト材料の重量比が90:10〜10:90であり、第一のホスト材料と第二のホスト材料のイオン化ポテンシャル(IP)値の差が0.1eV以下、かつ電子親和力(EA)値の差が0.1eV以下、かつ三重項エネルギー(T1)値の差が0.1eV以下であること、ホスト材料とりん光ドーパント材料を溶媒に溶解して塗液を形成すること、この塗液を発光層に隣接する有機層上に塗布、乾燥して製膜する工程を含むことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。 式(1)中、環Aは隣接環と任意の位置で縮合する式(1a)で表される芳香環を表し、環Bは隣接環と任意の位置で縮合する式(1b)で表される複素環を表す。式(1)、(1a)中のRは、独立に水素又は1価の置換基であり、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよい。式(1b)中のL1は、独立に芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を示す。Lは、n価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を示し、nは1〜4である。nが2以上の場合は、環A及びBを含む縮合複素環は同一であっても異なっていてもよい。


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