タイトル: | 特許公報(B2)_粘着剤組成物及び粘着テープ |
出願番号: | 2011500589 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 47/32,A61K 47/06,A61K 9/70,A61L 15/58,A61K 47/14,A61K 47/10,A61F 13/02 |
片岡 弘 JP 5597187 特許公報(B2) 20140815 2011500589 20100215 粘着剤組成物及び粘着テープ ニチバン株式会社 000004020 野村 康秀 100162569 野田 直人 100146282 片岡 弘 JP 2009037372 20090220 20141001 A61K 47/32 20060101AFI20140911BHJP A61K 47/06 20060101ALI20140911BHJP A61K 9/70 20060101ALI20140911BHJP A61L 15/58 20060101ALI20140911BHJP A61K 47/14 20060101ALI20140911BHJP A61K 47/10 20060101ALI20140911BHJP A61F 13/02 20060101ALI20140911BHJP JPA61K47/32A61K47/06A61K9/70 401A61L15/06A61K47/14A61K47/10A61F13/02 310J A61K 9/00− 9/72 A61K 47/00−47/48 A61L 15/00−33/00 A61F 13/02 特開2008−273865(JP,A) 特開2005−097132(JP,A) 国際公開第2005/037946(WO,A1) 14 JP2010052145 20100215 WO2010095578 20100826 22 20130212 石井 裕美子 本発明は、粘着剤組成物及び該粘着剤組成物層が基材上に設けられた粘着テープに関する。さらに詳しくは、本発明は、塗工適性に優れ、皮膚に対する粘着力と自背面粘着力が良好で、皮膚刺激が少なく、かつ、剥離時の痛みが軽減された粘着剤組成物と該粘着剤組成物層を有する粘着テープに関する。本発明の粘着テープは、例えば、テーピングテープなどの皮膚外用貼付剤の用途に好適である。 粘着テープは、その粘着力を利用して、絆創膏、外科用粘着テープ、治療用粘着テープなどの医療用粘着製品として用途展開がなされている。例えば、テーピングテープは、関節、筋肉、靱帯、腱などの軟部生体組織の固定を目的に作られた粘着テープである。 スポーツにおいて、傷害予防、応急処置、再発防止などの目的で、テーピングが行われている。傷害予防は、競技や練習などの運動の前にテーピングを行い、ケガを事前に防止するために行われている。応急処置のためのテーピングは、運動によって生じたケガに対する応急処置を目的として行われている。再発防止のためのテーピングは、再び同じケガを繰り返さないために行われている。 スポーツテーピングは、指、手、足などの関節、筋肉、靭帯、腱などにテーピングテープを巻いて、傷害を受けやすい部位を補強したり、その動きを制限したりすることにより、傷害を予防し、再発を防いでいる。捻挫、靭帯損傷、脱臼などは、その部位が正常な範囲を超えてしまったときに起こる障害であり、テーピングによる可動範囲の制限が効果的である。テーピングにより、過去の受傷部位を補強し保護することにより、ケガに対する恐怖感を軽減することもできる。 テーピングは、スポーツ分野のみならず、腰の痛み、ぎっくり腰、ケガによる関節の痛み、外反母趾の痛みなどの各種痛みを予防したり、やわらげたりする日常生活でのテーピング分野にも拡大している。テーピングは、リハビリテーションの補助手段として、機能回復期において受傷部位を支持し、疼痛の緩和を目的として行うことも多い。 テーピングテープは、一般に、基材の片面に粘着剤層が設けられた層構成を有しており、非伸縮性テープと伸縮性テープとに大別されている。テーピングテープには、皮膚に対する粘着力の大きいことが求められている。その一方、テーピングテープには、皮膚からの剥離時に痛みの生じないことが求められている。 テーピングテープの粘着力が大きすぎると、カブレや血行傷害が生じ易くなる上、皮膚からの剥離時に強い痛みが生じ易くなる。テーピングテープの粘着力が小さすぎると、運動などによる貼付部位の激しい動きによって、貼付したテーピングテープが剥離し易くなり、貼付部位を保護することができなくなる。テーピングテープの粘着力を調整するには、適度の粘着力を示す粘着剤組成を選択すればよいと考えられる。しかし、皮膚からの剥離痛みは、必ずしもテーピングテープの粘着力に比例して強くなるものではない。そのため、皮膚に対する高い粘着力と剥離痛みの緩和の両方の要求を満たすのは、困難な課題であった。 さらに、テーピングテープには、皮膚から剥離した時に、皮膚面に粘着剤が残らないことが求められている。皮膚面への粘着剤の残留(以下、「糊残り」という)は、不快感を与えるだけではなく、その除去のための後処理が必要となる。糊残り現象は、粘着力に比例して現れるものではなく、基材に対する接着性(投錨性)や粘着剤の凝集力などの粘着剤組成による影響が大きい。 これらの諸特性に加えて、テーピングテープには、重ね貼りが可能であることが求められている。テーピングでは、一般に、一枚のテーピングテープ切片を足首などに巻き付けたり、複数枚のテーピングテープ切片を重ねて貼付したりしている。そのため、テーピングテープには、皮膚に対する粘着性に優れるだけではなく、重ね巻きが可能なように、該テープ自身の背面(基材の粘着剤層が設けられていない側の面であり、「自背面」という)に対する粘着性(以下、「自背面粘着性」という)に優れることが求められている。 テーピングテープの基材としては、一般に、柔軟性と通気性のある布基材が用いられている。布基材に対する自背面粘着性を高めるには、粘着剤層の粘着力を強くしたり、粘着剤組成を軟らかなものにして凝集力を低くしたりする方法が有効である。しかし、粘着力が大きくなりすぎると、貼付した皮膚からの剥離痛みが強くなる。粘着剤組成を軟らかくしすぎると、剥がした時の皮膚面への糊残りが生じ易くなる。 このように、テーピングテープには、皮膚に対する粘着力と自背面に対する粘着力を共に大きくし、しかも剥離痛みが小さく、糊残りも少ない、という相反する諸特性を備えることが求められている。 テーピングテープを用いた治癒に際し、運動痛が残っていることが多いため、固定と共に患部の冷却または加温が必要である。例えば、打ち身、打撲、捻挫など損傷が急性であり、損傷直後から通常24時間までの炎症期においては、安静と共に患部を冷やすことが必要となる。損傷が慢性であり、軽微な外力が繰り返し反復して加えられる場合には、加温による療法が有効である。 患部にテーピングを施した後、テーピングテープの上に氷を載せて冷却する方法がある。この冷却方法は、受傷直後やひどい炎症期には有用であるが、長時間の冷却が必要な場合には、氷による冷却は患者の負担が大きい。他方、患部にテーピングを施した後、テーピングテープの上に布製湿布を施しても、湿布薬が皮膚表面にまで浸透し難いため、経皮吸収による湿布効果を得ることができない。 テーピングテープは、患部の固定目的に使用されるため、一般に、粘着力が大きく設定されている。このようなテーピングテープを剥離するときには、皮膚に強く貼付されているため、剥離が重く、剥離時に体毛を巻き込んだり、皮膚剥がれを生じたりするため、非常な痛みを伴う。このような皮膚刺激の問題を緩和するために、アンダーテープを予め皮膚に貼付してからテーピングする方法が知られているが、操作が煩雑である。 このように、テーピングテープには、皮膚に対する粘着力と自背面に対する粘着力を共に大きくし、しかも剥離痛みが小さく、糊残りも少ない、という相反する諸特性を備えることが求められている。さらに、テーピングテープを製造するには、基材上に粘着剤組成物層を設ける必要があるが、そのためには、使用する粘着剤組成物には、塗工適性に優れることが求められる。 実公平6−50501号公報(特許文献1)には、酸素ガスバリヤ性能を有する材質層とヒートシール性能を有する樹脂層との積層シートの該ヒートシール樹脂層面に、酸素反応性発熱組成物を収納した通気性袋を固定し、その上から前記積層シートと同じ構成を持つ積層シートを、該ヒートシール樹脂層を内面にして被せて、2枚の積層シートの周辺を熱融着し、裏面には、薬剤を配合した粘着剤を塗布した医療用粘着テープが提案されている。該医療用粘着テープは、温感療法に用いることができるものの、多層の積層シートによる厚みが大きいため、貼付時の衣服の離脱着が困難である上、関節の動きを固定するため周回して重ね貼りしたり、螺旋状に貼付したりすることが困難であり、関節を固定するというテーピング本来の機能を発揮することができないものである。 特表平8−506127号公報(特許文献2)には、固体ゴムと液体ゴムの重量比が1:0.5〜1:7である人間の皮膚に適用できる感圧性接着剤組成物が提案されている。固体ゴムとして、SBR、A−B−A型ブロック共重合体エラストマーなどが例示されている。液体ゴムとして、液体イソプレン、液体イソプレン−スチレンなどが例示されている。特許文献2に記載の感圧性接着剤組成物は、常温で固形状のゴム成分に、粘着付与樹脂を配合することなく、固体ゴムと液体ゴムとの併用だけで粘着特性を発現させようとするものである。しかし、特許文献2に開示されている感圧性接着剤組成物は、多量の液体ゴムを含有するため、ベタツキ感があること、凝集力が低くなりすぎること、軟らかになりすぎて凝集破壊や被着体への糊残りが生じ易いことなどの欠点を有している。 特開2002−69405号公報(特許文献3)には、常温で固形状のゴム成分100重量部に対して、常温で液状のゴム成分30〜170重量部、及び粘着付与剤50〜400重量部を配合した粘着剤組成物が開示されている。固形状のゴム成分として、A−B型またはA−B−A型ブロック共重合体が例示され、液状のゴム成分として、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエンなどが例示されている。粘着付与剤としては、テルペン系、ロジン系などの天然樹脂系;脂肪族系、芳香族系、石油樹脂系、アルキルフェノール系、キシレン系、クマロンインデン系などの合成樹脂系の粘着付与樹脂が示されている。支持フィルムとして、オレフィン系フィルムが示されている。 しかし、特許文献3に開示されている粘着剤組成物は、常温で固形状のゴムがA−B−A型ブロック共重合体であるときは、硬い粘着感と重い剥離感となり、かぶれなどの皮膚刺激をもたらし易い。該粘着剤組成物は、救急絆創膏やドレッシング材の用途に適用されるものであって、テーピングテープに適用されるものではない。実際、基材上に該粘着剤組成物層を設けた粘着テープは、凝集力が不十分で糊残りするなど、テーピングテープとした場合の使用感が不満足なものである。しかも、特許文献3に開示されている粘着剤組成物は、その有機溶剤溶液をセパレータ上に塗布、乾燥して粘着剤層を形成する方法が適用されており、塗工適性が不満足なものである。 国際特許公開第2005/037946号(特許文献4)には、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、及び固形状のポリイソブチレンを重量比10〜60:10〜50:20〜60で含有し、さらに、これら3成分の合計100重量部に対して1重量部以上30重量部未満の非固形状イソブチレンポリマー、並びに粘着付与剤を含有する粘着剤組成物が開示されている。しかし、該粘着剤組成物層を基材上に設けた粘着テープは、粘着力が十分ではないことに加えて、剥離時の痛みが未だ大きいものである。 特開2006−55411号公報(特許文献5)には、天然ゴム及び/またはジエン系合成ゴムからなるエラストマー成分、粘着性付与樹脂、並びに親水性ポリマー成分からなるゴム系粘着剤に、官能基変性液状ゴム成分を10〜40質量%の割合で配合したゴム系粘着剤組成物が開示されている。しかし、特許文献5に開示されている粘着剤組成物とそれを用いた粘着テープは、救急絆創膏やドレッシング材などの用途に適用されるものであって、テーピングテープとして用いられるものではなく、かつ、テーピングテープに要求される諸特性を備えたものではない。 特開2006−206454号公報(特許文献6)には、支持体層の少なくとも片面側に、ゴム系粘着剤、タッキファイヤー、液状添加剤、及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含有する膏体層を設けた貼付剤が開示されている。該貼付剤は、液状添加剤を比較的多量に配合した場合にも、コールドフローの抑制、凝集性、及び接着性のバランスに優れる点に特徴を有している。しかし、特許文献6に開示されている粘着剤組成物とそれを用いた粘着テープは、テーピングテープとして用いられるものではなく、かつ、テーピングテープに要求される諸特性を備えたものではない。しかも、特許文献6には、該粘着剤組成物の有機溶剤溶液を剥離ライナー上に塗布して粘着剤組成物層を形成したことが示されており、塗工適性に優れたものではない。実公平6−50501号公報特表平8−506127号公報特開2002−69405号公報国際特許公開第2005/037946号特開2006−55411号公報特開2006−206454号公報 本発明の課題は、塗工適性に優れ、皮膚に対する粘着力と自背面粘着力が良好で、皮膚刺激が少なく、かつ、剥離時の痛みが軽減された粘着剤組成物と該粘着剤組成物層を有する粘着テープを提供することにある。 特に、本発明の課題は、前記諸特性に優れ、テーピングテープの用途に適した粘着剤組成物と該粘着剤組成物層を有する粘着テープを提供することにある。 本発明者は、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、常温で固形状のゴム成分として、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、及びポリイソブチレンを特定質量比率で含有し、かつ、常温で液状のポリイソブチレン、粘着付与剤、並びに常温で液状の可塑剤を特定の割合で含有する粘着剤組成物によって、前記課題を解決し得ることを見出した。 該粘着付与剤としては、テルペン系樹脂と脂肪族系炭化水素樹脂とを特定の質量比で併用することが好ましい。液状可塑剤は、流動パラフィンを含有するものであることが好ましい。本発明の粘着剤組成物には、局所刺激剤として、温点刺激薬または冷点刺激薬を含有させることができる。本発明の粘着剤組成物は、塗工適性に優れており、溶液塗工法によることなく、カレンダー塗工法やホットメルト塗工法などによって、基材上または剥離ライナー上に塗工して、粘着剤組成物層を形成することができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。 かくして、本発明によれば、常温で固形状のゴム成分として、ポリイソプレン10質量%以上50質量%未満、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体50質量%超過90質量%以下、及びポリイソブチレン0〜30質量%を含有し、かつ、該固形状のゴム成分100質量部に対して、常温で液状のポリイソブチレン1〜30質量部、粘着付与剤50〜120質量部、並びに常温で液状の可塑剤1〜40質量部を含有する粘着剤組成物が提供される。 また、本発明によれば、基材上に、粘着剤組成物層が設けられたテーピングテープであって、(i)該基材が、織物であり、(ii)該粘着剤組成物が、常温で固形状のゴム成分として、ポリイソプレン10質量%以上50質量%未満、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体50質量%超過90質量%以下、及びポリイソブチレン1〜30質量%を含有し、かつ、該ポリイソプレン、該スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、及び該ポリイソブチレンの3成分の合計が、100質量%の粘着剤組成物であって、該粘着剤組成物が、該固形状のゴム成分100質量部に対して、常温で液状のポリイソブチレン1〜30質量部、粘着付与剤50〜120質量部、並びに常温で液状の可塑剤1〜40質量部を含有し、かつ、該粘着付与剤が、テルペン系樹脂と脂肪族系炭化水素樹脂との質量比1:1〜5:1の範囲内での組み合わせである粘着剤組成物であるテーピングテープが提供される。 また、本発明によれば、基材上に該粘着剤組成物層が設けられた粘着テープが提供される。 本発明によれば、粘着力と凝集力のバランスに優れ、自背面粘着力が良好で、剥離痛さが軽減され、塗工適性に優れた粘着剤組成物を提供することができる。本発明の粘着剤組成物は、医療用粘着テープとして優れており、テーピングテープの用途に特に適している。 本発明で使用する常温で固形状のゴム成分は、いずれも常温(20±15℃)で流動性または半流動性を示すことがなく、固体の形状を保持することができるゴム成分である。本発明の粘着剤組成物は、常温で固形状のゴム成分として、ポリイソプレン10質量%以上50質量%未満、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体50質量%超過90質量%以下、及びポリイソブチレン0〜30質量%を含有するものである(3成分の合計は、100質量%である)。 本発明で使用するポリイソプレンは、合成ポリイソプレンゴム(シス−1,4−ポリイソプレン)である。ポリイソプレンは、高分子量ポリマーであって、常温で固形状を示すゴムである。ポリイソプレンのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、通常40〜96、好ましくは50〜90である。ポリイソプレンの数平均分子量は、通常100,000〜2,500,000、好ましくは500,000〜2,000,000の範囲内である。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として測定される値である。 ポリイソプレンの市販品としては、例えば、JSR(株)社製のIR2200;日本ゼオン(株)社製のニポールIR2200、ニポールIR2200L、ニポールIR2205(登録商標);クレイトンポリマージャパン社製のIR−307、IR−310;クラレ社製のIR−10;が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。 本発明で使用するスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体は、一般に、スチレン含量が10〜30質量%であり、メルトフローレイト(JIS K7210に従って、温度200℃、荷重5kgで測定)が1〜20g/10分の常温で固形状の熱可塑性エラストマーである。GPC法により求めたスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の数平均分子量は、45,000〜400,000の範囲内である。スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の市販品としては、例えば、クレイトンポリマージャパン製クレイトンD1107CP、D1107CU、D1161JP(登録商標);JSR社製のSIS5000、SIS5002;日本ゼオン社製のクインタック3421、3460、3520、3530、3620、3570C(登録商標);などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。 本発明で使用する常温で固形状のポリイソブチレンは、高分子量で弾性を示すエラストマーである。固形状ポリイソブチレンのジイソブチレン中における固有粘度〔η〕と分子量との関係に基づいて求められる粘度平均分子量は、通常200,000〜1,500,000、好ましくは300,000〜1,300,000の範囲内である。市販の固形状ポリイソブチレンとしては、例えば、BASF社製のオパノールB100(登録商標);エクソンモービル社製のビスタネックスMML−80、ビスタネックスMML−100、ビスタネックスMML−140(登録商標);が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。 本発明の粘着剤組成物は、固形状ゴム成分として、ポリイソプレン10質量%以上50質量%未満、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体50質量%超過90質量%以下、及びポリイソブチレン0〜30質量%を含有し、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の割合が高いものである。そのため、本発明の粘着剤組成物は、熱溶融して塗工するのに適している。本発明の粘着剤組成物の塗工法としては、例えば、ホットメルト法やカレンダー法が挙げられる。 剥離痛さを低減するために、凝集力の強いスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体と高分子量で固形状のポリイソブチレンを特定の割合で組み合わせて用いることにより、粘着剤組成物の凝集力を向上させ、皮膚の凹凸への粘着剤組成物のくいこみを少なくしている。スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の割合を増大させると、粘着剤組成物の凝集力が高まって硬くなる傾向にあり、ポリイソプレンと固形状ポリイソブチレンの割合を増大させると、軟らかくなる傾向にある。 他方、粘着剤組成物中にポリイソプレンゴムを含有させることにより、該粘着剤組成物を用いて得られる粘着テープの自背面粘着力及び皮膚貼付力を改善することができる。粘着剤組成物の粘着力は、低分子量の液状ポリイソブチレンと粘着付与剤とを適宜配合することにより、所望の範囲内に制御することができる。そのため、粘着特性、加工適性、凝集力などの諸特性を高度にバランスさせる観点から、常温で固形状のゴム成分の割合を決定することが好ましい。 常温で固形状のゴム成分の割合は、(1)ポリイソプレン15質量%以上50質量%未満、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体50質量%超過85質量%以下、及びポリイソブチレン0〜25質量%であることが好ましく、(2)ポリイソプレン17質量%以上50質量%未満、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体50質量%超過83質量%以下、及びポリイソブチレン0〜23質量%であることがより好ましく、(3)ポリイソプレン18〜49質量%、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体51〜82質量%、及びポリイソブチレン0〜20質量%であることが特に好ましい。 本発明においては、常温で固形状のゴム成分は、ポリイソプレンとスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の2成分からなるものであってもよい。常温で固形状のゴム成分が、前記2成分からなるものである場合、それらの割合は、前記3成分の割合からポリイソブチレンを除いたものであって、(1)ポリイソプレン10質量%以上50質量%未満、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体50質量%超過90質量%以下、(2)好ましくは、ポリイソプレン15質量%以上50質量%未満、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体50質量%超過85質量%以下、(3)より好ましくは、ポリイソプレン17質量%以上50質量%未満、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体50質量%超過83質量%以下、(4)特に好ましくは、ポリイソプレン18〜49質量%、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体51〜82質量%である(2成分の合計は、100質量%)。 常温で固形状のゴム成分が、前記3成分を含有する場合、常温で固形状のポリイソブチレンの割合は、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは2〜25質量%、さらに好ましくは5〜23質量%、特に好ましくは7〜20質量%の範囲内である(3成分の合計は、100質量%である)。多くの場合、常温で固形状のポリイソブチレンの割合が8〜20質量%の場合に良好な結果を得ることができる。 ポリイソプレンの割合が小さすぎて、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の割合が大きすぎると、粘着剤組成物が硬くなりすぎて、粘着テープの粘着特性や使用感に悪影響を及ぼす。ポリイソプレンの割合が小さすぎると、粘着テープの自背面粘着力や皮膚に対する粘着力が低下する傾向を示す。 ポリイソプレンの割合が大きすぎて、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の割合が小さすぎると、粘着剤組成物の凝集力が低下し、糊残りが生じやすくなる。スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の割合が小さすぎると、粘着剤組成物の粘着力とプローブタックとのバランスが悪くなることに加えて、粘着テープの剥離痛さが増大する傾向を示す。 常温で固形状のポリイソブチレンを使用することによって、粘着剤組成物を柔らかくすることができ、ソフトな貼付感と剥離感を得ることができる。固形状ポリイソブチレンの割合が小さすぎると、固形状ポリイソブチレンの使用に伴う機能を得ることができない。固形状ポリイソブチレンの割合が大きすぎると、ポリイソプレン及び/またはスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の割合が小さくなりすぎて、粘着特性や凝集力が低下する。 本発明の粘着剤組成物は、前記の固形状ゴム成分に、特定割合の常温で液状のポリイソブチレン、粘着付与剤、及び常温で液状の可塑剤を含有させることにより、粘着特性、皮膚からの剥離性、自背面粘着力、自背面接着性、及び剥離痛さなどの諸特性を総合的に向上させることができる。本発明の粘着剤組成物は、前記諸特性に優れるため、テーピングテープなどの医療用粘着テープに好適に適用することができる。 本発明で使用する常温で液状のポリイソブチレンは、通常、常温(20±15℃)で粘稠な液体であるが、常温で流動性または半流動性であって無定形の形状を示し、一定の固体形状を保持することができない低分子量ポリイソブチレンを広く包含する。液状ポリイソブチレンのジイソブチレン中における固有粘度〔η〕と分子量との関係に基づいて求められるフローリー法又はFCC法(FDA)による粘度平均分子量は、通常30,000〜100,000、好ましくは35,000〜90,000、特に好ましくは40,000〜70,000の範囲内である。このような低分子量で液状のポリイソブチレンとして、市販品を使用することができる。 市販の液状ポリイソブチレンとしては、例えば、エクソンモービル社製のビスタネックスLM−MS、ビスタネックスLM−MH(登録商標);BASF社製のオパノールB10SFN、オパノールB12SFN、オパノールB13SFN(登録商標);新日本石油化学社製のテトラックス4T、テトラックス5T、テトラックス6T(登録商標);新日本石油化学社製のハイモール4H、ハイモール5H、ハイモール5.5H、ハイモール6H(登録商標);が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。 常温で液状のポリイソブチレンは、常温で固形状のゴム成分100質量部に対して、1〜30質量部、好ましくは3〜28質量部、より好ましくは5〜25質量部の割合で使用する。本発明の粘着剤組成物に液状ポリイソブチレンと粘着付与剤とを含有させることにより、対ベークライト粘着力とプローブタックとを高度にバランスさせ、それによって、皮膚に対する良好な粘着特性を発現させることができる。液状ポリイソブチレンの割合が大きすぎると、粘着力とタックとを増大させることができるが、凝集力が低下する。 本発明で使用する粘着付与剤としては、テルペン系樹脂及び脂肪族系炭化水素樹脂が好ましい。これら2種類の粘着付与樹脂を組み合わせて用いると、常温で固形状のゴム成分の凝集力を向上させた場合でも、皮膚への粘着力を良好にすることができる。テルペン系樹脂と脂肪族系炭化水素樹脂との質量比は、1:1〜5:1の範囲内とすることが好ましい。テルペン系樹脂及び脂肪族系炭化水素樹脂の軟化点は、65〜130℃の範囲内が好ましい。 テルペン系樹脂としては、例えば、ヤスハラケミカル社製YSレジンPX、YSレジンPXN(登録商標);理化ファインテク製ピコライト(登録商標);が挙げられる。脂肪族系炭化水素樹脂としては、日本ゼオン社製のクイントンA100、クイントンB170、クイントンK100、クイントンM100、クイントンR100、クイントンC200S(登録商標)が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。 本発明の粘着剤組成物の粘着特性を損なわない範囲において、所望により、他の粘着付与剤を併用することができる。他の粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂〔荒川化学工業製エステルガム(登録商標)、播磨化成製ハリエスター(登録商標)、播磨化成製ハリタック(登録商標)〕、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。他の粘着付与剤の使用割合は、固形状ゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。 粘着付与剤として、脂環族石油樹脂及び脂環族水添石油樹脂を用いることも可能であるが、その場合、粘着剤組成物の貼付性は良好であるものの、粘着力が高くなりすぎて皮膚からの剥離が痛くなりやすい。そのため、これらを使用する場合には、その使用割合を極力小さくすることが好ましい。 粘着付与剤の割合は、常温で固形状のゴム成分100質量部に対して、50〜120質量部、好ましくは55〜110質量部、より好ましくは60〜100質量部、特に好ましくは65〜90質量部の範囲内である。粘着付与剤の割合が小さすぎると、粘着剤組成物の粘着力とタックが低下傾向を示す。粘着付与剤の割合が増大するに従って、粘着力とタックとが向上するものの、過度に大きくなると、低温での粘着特性が低下する上、皮膚からの剥離が痛くなる傾向にある。 常温で液状の可塑剤(液状可塑剤)は、優れた可塑化作用を示す。液状可塑剤としては、固形状ゴム成分との相溶性に優れる点で、流動パラフィンが特に好適である。液状可塑剤は、固形状ゴム成分に対する割合を調整することにより、粘着剤の粘弾性を制御し、皮膚への粘着性を高め、剥離時の痛みを低減する役割を果たす。本発明の粘着剤組成物は、常温で固形状の可塑剤(固体可塑剤)を実質的に含有しないものであることが好ましい。 粘着テープを経皮吸収製剤とする場合、経皮吸収性と保存安定性の向上、粘着剤組成物中への薬物溶解性を高める目的で、その他の液状可塑剤を使用することができる。 流動パラフィン以外の液状可塑剤としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル等の炭素数12〜16の高級脂肪酸と炭素数1〜4の低級1価アルコールからなる脂肪酸エステル;炭素数8〜10の脂肪酸;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類;オリーブ油、ヒマシ油、スクアレン、ラノリン等の油脂類;酢酸エチル、エチルアルコール、ジメチルデシルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルラウリルアミド、ドデシルピロリドン、イソソルビトール、オレイルアルコール、ラウリン酸等の有機溶剤;液状の界面活性剤;エトキシ化ステアリルアルコール、グリセリンエステル、ミリスチン酸イソトリデシル、N−メチルピロリドン、オレイン酸エチル、オレイン酸、アジピン酸ジイソプロピル、パルミチン酸オクチル、1,3−プロパンジオール、グリセリン等が挙げられる。これらの中から常温で液状の化合物が使用される。 その他の液状可塑剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。その他の液状可塑剤の中でも、グリセリンエステルが好ましく、好ましくは8〜10の脂肪酸とグリセリンとのエステルである中鎖脂肪酸トリグリセリドがより好ましい。中鎖脂肪酸トリグリセリドとしては、例えば、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルが挙げられる。 粘着剤組成物及び粘着テープをテーピングテープなどの医療用粘着テープとして使用する場合、液状可塑剤として、流動パラフィンとその他の液状可塑剤とを組み合わせて使用することが好ましい。流動パラフィンとその他の液状可塑剤とを組み合わせて使用する場合、液状可塑剤中の流動パラフィンの割合は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上であり、その上限値は、好ましくは90質量%である。流動パラフィンと中鎖脂肪酸トリグリセリドとを併用する場合、両者の量比は、1:1〜5:1の範囲内が特に好ましい。 液状可塑剤は、固形状ゴム成分100質量部に対して、1〜40質量部、好ましくは3〜38質量部、より好ましくは5〜35質量部、特に好ましくは8〜33質量部の割合で使用する。液状可塑剤の割合が小さすぎると、その機能を発揮することが困難となり、大きすぎると、粘着剤組成物が柔軟になりすぎて、凝集力が低下するため、満足な粘着特性を得ることが困難となる。液状可塑剤の割合が大きすぎると、体温付近の温度での粘着剤組成物の流動性が高くなり、その流動性により基材が剥れやすくなる上、粘着剤組成物が皮膚表面の微細な凹凸に入り込み、剥離時に痛みが生じる。 上述したとおり、本発明によれば、特定の固形状ゴムの組み合わせからなるゴム成分に、液状ポリイソブチレン、粘着付与剤、及び液状可塑剤を含有させることにより、塗工適性、凝集性、粘着力、自背面粘着力、自背面接着性、剥離痛さなどが総合的に改善され、使用感に優れた粘着剤組成物と該粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着テープを得ることができる。 粘着付与剤としてテルペン系樹脂と脂肪族系炭化水素樹脂とを併用することにより、固形状ゴム成分の凝集力を向上させた場合であっても、皮膚に対する良好な粘着特性を有する粘着剤組成物を得ることができる。さらに、液状可塑剤を含有させることにより、固形状ゴム成分をポリイソプレンとスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体との2成分から構成することが可能となる。本発明の粘着剤組成物を用いた粘着テープは、固形状ゴム成分をポリイソプレンとスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体との2成分から構成することにより、塗工適性の向上、粘着剤組成物の皮膚への粘着力の向上、剥離痛さの低減、個人差が大きな皮膚に対して良好な貼付性を付与するなどの機能を持たせることができる。 本発明の粘着剤組成物には、薬物を含有させることができる。薬物としては、経皮吸収性の薬物であれば特に限定されない。薬物としては、例えば、皮膚刺激剤、鎮痛消炎剤、抗真菌剤、中枢神経作用剤、利尿剤、血圧降下剤、冠血管拡張剤、鎮咳去痰剤、抗ヒスタミン剤、不整脈用剤、強心剤、避妊薬、副腎皮質ホルモン剤または局所麻酔剤、ビタミン剤が挙げられる。 皮膚刺激剤または鎮痛消炎剤としては、例えば、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アセチルサリチル酸、L−メントール、カンフル(D体、L体、DL体)、ハッカ油、チモール、ニコチン酸ベンジルエステル、トウガラシエキス、カプサイシン、ノニル酸ワニリルアミド、フェルビナク、フルフェナム酸ブチル、ピロキシカム、インドメタシン、ケトプロフェン、プラノプロフェン、フェプラゾン、フルルビプロフェン、ロキソプロフェン、アンフェナクナトリウム、オキサプロジン、エモルファゾン、チアプロフェン、フェンブフェン、フェンチアザック、ジクロフェナクナトリウム、ジフルニサール、イブプロフェンピコノール、ベンダザック、スプロフェン、塩酸ブプレノルフィン、ペンタゾシン、酒石酸ブトルファノールが挙げられる。 前記薬物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。粘着テープをテーピングテープの用途に適用する場合、温点刺激薬としてノニル酸ワニリルアミド、冷点刺激薬としてL−メントールを用いることが好ましい。粘着剤組成物中にL−メントールを含有させると、清涼感が感じられ、発汗等による不快な臭いを和らげる機能が付与される。基材にL−メントールを配合することもできるが、皮膚に清涼感を付与させるには、粘着剤組成物中に含有させることが好ましい。 ノニル酸ワニリルアミドの割合は、組成物全量基準で、好ましくは0.0001〜0.1質量%、より好ましくは0.005〜0.05質量%である。L−メントールの割合は、組成物全量基準で、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは3〜18質量%である。本発明の粘着剤組成物は、粘着力と凝集力のバランスに優れているため、L−メントールを比較的多量に含有させた場合でも、テーピングテープとしての機能を発揮することができ、実用的な問題は生じ難い。 本発明の粘着剤組成物は、諸特性のバランスに優れているため、粘着力を下げたり、凝集力を下げたりする目的で充填剤を配合する必要がない。配合する必要のない充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、含水シリカ、シリカ、酸化亜鉛、合成ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。粘着剤組成物の着色や酸化防止等の目的がある場合は、物理的化学的特性に悪影響のない程度、好ましくは粘着剤組成物全量の3質量%以下の割合で各種充填剤を配合することが可能である。 本発明の粘着剤組成物には、溶解剤、可溶化剤、老化防止剤、酸化防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤、着色剤、着香剤、界面活性剤、pH調整剤など、粘着剤組成物の目的に応じて各種添加剤成分を配合することができる。 本発明の粘着テープの基材は、用途により適宜選択される。基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン;ポリブタジエン;ポリ塩化ビニル;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの熱可塑性ポリエステル;ナイロン;ポリウレタン;綿;レイヨン(セルロース誘導体);アルミニウム箔;等のフィルム、シート、金属箔が挙げられる。これらのポリマーからなる多孔体や発泡体、紙、織布、編布、不織布等の伸縮性または非伸縮性を有する基材を用いることもできる。これらの積層体を基材として用いてもよい。 本発明の粘着剤組成物及び粘着テープは、基材の選択により、例えば、経皮吸収貼付剤、救急絆創膏、手術後の傷口保護を目的としたサージカルドレッシング;切開部の細菌汚染防止を目的としたサージカルドレープ;切開縫合部の補強固定用テープ;スポーツ時に用いるテーピングテープ;等に利用することが可能である。 特にテーピングテープ用途においては、粘着テープを手や足等に周回して巻くことが多いため、柔軟性、伸縮性、手切れ性、自背面粘着性等の特性をもつ柔軟性のある基材が好ましく用いられる。基材として、例えば、織物を用いる場合、経糸の一部または全てに、セルロース系繊維と弾性繊維とからなる複合糸を配した織物や、経糸にセルロース系繊維糸のS・Z方向の強然糸を一本交互に配した織物が好ましい。セルロース系繊維とは、綿、ビスコースレーヨン、ポリノジック繊維等の天然セルロース分解酵素で処理することにより、構成分子鎖の一部が分解し、平均重合度の低下を引き起こす素材である。セルロース繊維と弾性繊維との複合糸とは、セルロース系繊維と弾性を有する繊維(例えば、ポリエーテル系ポリウレタン繊維、ポリエステル系ポリウレタン繊維、合成ゴム繊維)との交撚糸、カバード糸、コアスパン糸等を意味し、これらの中でも、ポリエーテル系ポリウレタン繊維とセルロース系繊維のコアスパン糸が好ましいが、これに限定されるものではない。セルロース系繊維糸と弾性繊維の混用率は、セルロース系繊維85〜98質量%が好ましく、90〜95質量%がより好ましい。 緯方向に使用する糸については、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維等のいわゆる合成繊維、綿、レーヨン等のセルロース系繊維等いずれの繊維でもよい。 本発明の粘着テープには、必要に応じて、剥離ライナーを粘着剤組成物層上に配置することができる。剥離ライナーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの熱可塑性ポリエステル;ナイロン;アルミニウム;等のフィルム、シート、または箔、あるいは紙が選ばれ、これらの積層体を用いることもできる。粘着剤組成物層の剥離を容易にするために、剥離ライナーの表面をシリコーン等で表面処理することができる。 本発明の粘着剤組成物及び粘着テープの製造方法は、従来より実施されている方法の中から適宜選択することができる。その具体例として、溶解または混練した粘着剤組成物に、薬物やその他の添加剤成分を添加し混合して、得られた混合物を基材上に直接展延するか、あるいは、一旦、剥離処理の施された紙、フィルム等の剥離ライナー上に展延し、その後、基材上に圧着転写することにより、粘着テープを製造することができる。特に本発明の粘着剤組成物は、カレンダー法による塗工に適している。固形状ゴム成分として固形状ポリイソブチレンを配合しない場合には、ホットメルト法による塗工を選択することも可能である。 本発明の粘着テープにおける粘着剤層の厚みは、通常30〜400μm、好ましくは50〜200μmである。粘着剤組成物層の厚みが厚すぎると、貼付後の皮膚に糊残りが生じたり、粘着剤組成物中に含まれる薬物の放出率が悪くなる傾向にある。粘着剤組成物層の厚みが薄すぎると、皮膚への接着性に劣り、剥がれの原因となる傾向にある。 以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。各実施例及び比較例で得られた粘着テープ試料の特性の評価方法は、次のとおりである。(1)対ベークライト粘着力 日本工業規格のJIS Z 0237に従い、温度23℃の雰囲気下でベークライトパネルに15mm幅の粘着テープ試料を貼付し、2kgのゴムロールで300mm/分の速度で1往復圧着した。この状態で20分間放置後、剥離角度180度と剥離速度300mm/分の条件で剥離力を測定した。この剥離力を対ベークライト粘着力(単位=N/25mm)という。対ベークライト板の180度剥離力が3〜10N/25mmの範囲内が良好と評価される。(2)プローブタック ニチバン(株)製プローブタックテスタ−を使用し、JIS Z 0237に参考として記載されているプローブタック試験法に従って、粘着テープ試料のプローブタックを測定した(単位=N/5mmφ)。プローブタックが2〜6N/5mmφの範囲内が良好であると評価される。(3)自背面粘着力 ベークライトパネルに、縦100mm及び横25mmの短冊状に裁断した粘着テープ試料1を貼り付けた。該粘着テープ試料1の基材上(背面)に、縦100mm及び横15mmの短冊状に裁断した粘着テープ試料2を端部を残して重ね貼りした。次いで、粘着テープ試料2の基材上を、JIS Z 0237に従い、温度23℃の雰囲気下、2kgのゴムロールで300mm/分の速度で1往復圧着した。この状態で20分間放置後、剥離角度180度と剥離速度300mm/分の条件で、粘着テープ試料1の基材(背面)に対する粘着テープ試料2の剥離力を測定した。この剥離力を自背面粘着力(単位=N/25mm)という。(4)自背面接着性 成年男子5名の手首可動部分に、50mm幅×250mm長の粘着テープ試料を巻き付けて重ね貼りしながら貼付した。約6時間放置後、剥がす直前の重ね貼り部分の付着状態を、下記の基準で評価し、平均値を求めて小数点第1位を四捨五入した評点が4の場合をA、評点が3の場合をB、評点が2の場合をC、評点が1の場合をDとして評価結果とした。4点:全く剥がれていない、3点:一部剥がれたが、問題が生じる程ではなかった、2点:剥がれて重ね貼り状態の保持に問題があった、1点:完全に剥がれた。(5)剥離痛さ 成年男子5名の手首可動部分に、50mm幅×250mm長の粘着テープ試料を巻き付けて重ね貼りしながら貼付した。約6時間後、皮膚から剥離したときの剥離痛さを、下記の基準で評価し、平均値を求めて小数点第1位を四捨五入した評点が4の場合をA、評点が3の場合をB、評点が2の場合をC、評点が1の場合をDとして評価結果とした。4点:殆ど痛みを感じない、3点:若干痛みを感じるが問題ない、2点:痛みが感じられて問題である、1点:非常に痛い。[実施例1] ポリイソプレン〔日本ゼオン社製Nipol IR2200(登録商標)〕30質量部、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体〔クレイトンポリマージャパン製クレイトンD1107CP(登録商標)〕51質量部、及び固形状ポリイソブチレン〔BASF製オパノールB100(登録商標)〕19質量部からなる固形状ゴム成分100質量部に対して、液状ポリイソブチレン〔新日本石油化学社製ハイモール4H(登録商標)〕10質量部、テルペン系樹脂〔ヤスハラケミカル社製YSレジンPX1150N(登録商標)〕55質量部、並びに脂肪族系炭化水素樹脂〔日本ゼオン社製クイントンB170(登録商標)〕20質量部を添加し、溶融混合した。 上記で得られた組成物に、流動パラフィン〔カネダ株式会社製ハイコールM352(登録商標)〕25質量部、中鎖脂肪酸トリグリセリド〔日光ケミカル社製トリエスターF810(登録商標)〕5質量部、及び老化防止剤〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガノックス565(登録商標)〕2質量部を100℃で熱溶融して添加混合した。次いで、L−メントール12質量%の割合となるように加えた。このようにして得られた粘着剤組成物を、目付150g/m2の織布(東洋紡STC製UK7032)の片面に、厚さ70μmになるように展延し、幅5cmの幅でロール状に巻回して、粘着テープを作製した。結果を表1に示す。[実施例2] 表1に示すように、固形状ポリイソプレンの割合を30質量部から21質量部に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の割合を51質量部から60質量部に、それぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物と粘着テープを作製した。結果を表1に示す。[実施例3] 表1に示すように、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体をクレイトンD1107CPからクレイトンD1107CU(クレイトンポリマージャパン製)に代え、固形状ポリイソブチレンをオパノールB100からビスタネックスMML−120(エクソンモービル社製、登録商標)に代え、テルペン系樹脂の割合を55質量部から50質量部に代え、流動パラフィンの割合を25質量部から5質量部に代え、L−メントールを添加せず、かつ、ノニル酸ワニリルアミドを0.01質量%の割合で添加したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物と粘着テープを作製した。結果を表1に示す。[実施例4] 表1に示すように、液状ポリイソブチレンの割合を25質量部から20質量部に代え、テルペン系樹脂の割合を50質量部から55質量部に代え、かつ、流動パラフィンの割合を5質量部から10質量部に代えたこと以外は、実施例3と同様にして、粘着剤組成物と粘着テープを作製した。結果を表1に示す。[実施例5] 表1に示すように、液状ポリイソブチレンの割合を25質量部から10質量部に代え、テルペン系樹脂の割合を50質量部から55質量部に代え、かつ、流動パラフィンの割合を5質量部から15質量部に代えたこと以外は、実施例3と同様にして、粘着剤組成物と粘着テープを作製した。結果を表1に示す。[実施例6] 表1に示すように、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の割合を51質量部から60質量部に代え、かつ、固形状ポリイソブチレンの割合を19質量部から10質量部に代えたこと以外は、実施例5と同様にして、粘着剤組成物と粘着テープを作製した。結果を表1に示す。[実施例7](本発明では参考例となる。) ポリイソプレン〔日本ゼオン社製Nipol IR2200L(登録商標)〕40質量部とスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体〔クレイトンポリマージャパン製クレイトンD1107CU(登録商標)〕60質量部とからなる固形状ゴム成分100質量部に対して、液状ポリイソブチレン〔新日本石油化学社製ハイモール4H(登録商標)〕5質量部、テルペン系樹脂〔ヤスハラケミカル社製YSレジンPX1150N(登録商標)〕70質量部、並びに脂肪族系炭化水素樹脂〔日本ゼオン社製クイントンB170(登録商標)〕20質量部を添加し、溶融混合した。 上記で得られた組成物に、流動パラフィン10質量部、中鎖脂肪酸トリグリセリド〔日光ケミカル社製トリエスターF810(登録商標)〕10質量部、及びジブチルヒドロキシトルエン2質量部を、100℃で熱溶融して添加混合した。次いで、ノニル酸ワニリルアミドを組成物全重量基準で0.01重量%の割合となるように添加して、粘着剤組成物を調製した。このようにして得られた粘着剤組成物を、目付150g/m2の織布(東洋紡STC製UK7032)の片面に、厚さ80μmとなるように展延し、幅5cmの幅でロール状に巻回して、粘着テープを作製した。結果を表1に示す。[実施例8](本発明では参考例となる。) 表1に示すように、テルペン系樹脂の割合を70質量部から60質量部に代えたこと以外は、実施例7と同様にして、粘着剤組成物と粘着テープを作製した。結果を表1に示す。[比較例1] 表1に示すように、ポリイソプレンの割合を30質量部から40質量部に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の割合を51質量部から40質量部に、固形状ポリイソブチレンの割合を19質量部から20質量部に、及び流動パラフィンの割合を25質量部から15質量部に、それぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物と粘着テープを作製した。結果を表1に示す。[比較例2] 表1に示すように、流動パラフィンの割合を15質量部から45質量部に代えたこと以外は、比較例1と同様にして、粘着剤組成物と粘着テープを作製した。結果を表1に示す。(脚注)(1)ポリイソプレン(a):日本ゼオン社製ポリイソプレンゴム〔Nipol IR2200(登録商標);ムーニー粘度(中心値)=83〕(2)ポリイソプレン(b):日本ゼオン社製ポリイソプレンゴム〔Nipol IR2200L(登録商標);ムーニー粘度(中心値)=70〕(3)SIS(a):スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体〔クレイトンポリマージャパン製クレイトンD1107CP(登録商標)〕(4)SIS(b):スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体〔クレイトンポリマージャパン製クレイトンD1107CU(登録商標)(5)ポリイソブチレン(a):固形状ポリイソブチレン〔BASF製オパノールB100(登録商標)〕(6)ポリイソブチレン(b):固形状ポリイソブチレン〔エクソンモービル社製ビスタネックスMML−120(登録商標)〕(7)液状ポリイソブチレン:新日本石油化学社製ハイモール4H(登録商標);粘度平均分子量=40,000(8)テルペン系樹脂:ヤスハラケミカル社製YSレジンPX1150N(登録商標)、軟化点=115±5℃(9)脂肪族系炭化水素樹脂:日本ゼオン社製クイントンB170(登録商標)、軟化点=70℃(10)流動パラフィン:カネダ株式会社製ハイコールM352(登録商標)(11)中鎖脂肪酸トリグリセリド:トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル;日光ケミカル社製NIKKOL トリエスターF810(登録商標)(12)老化防止剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガノックス565(登録商標)<考察> 皮膚に貼付する粘着テープは、対ベークライト板の180度剥離力が3〜9N/25mmの範囲内で、かつ、プローブタックが2〜6N/5mmφの範囲内であると、その粘着特性が良好であると評価することができる。実施例1〜8の粘着テープは、上記に挙げた好適の数値範囲内の粘着特性を示すものである。 粘着テープの自背面粘着力は、該粘着テープ自身の基材表面(自背面)に該粘着テープを貼付して、短い貼付時間(約20分間)後に再度貼りなおすときの貼付性を調べている。自背面接着性は、粘着テープを実際に腕に巻き付けて長い貼付時間(約6時間)後に剥がれ状態について調べている。剥離痛さは、粘着テープを皮膚に6時間貼付した後、皮膚から粘着テープ剤を剥がすときの剥離痛さを調べたものである。 実施例1〜8の粘着テープは、粘着特性に優れる上、自背面粘着力と自背面接着性とのバランスが良好であり、かつ、剥離痛さが緩和されている。これに対して、比較例1の粘着テープは、プローブタック値が低く、対ベークライト粘着力とプローブタックとのバランスが悪い上、初期(約20分後)の自背面粘着力が低く、時間が経つに従って(6時間後)自背面接着性が高くなる傾向を示し、かつ、強い剥離痛さを示すものである。比較例2の粘着テープは、対ベークライト粘着力が低い上、初期の自背面粘着力が極めて高い値を示すものの、自背面接着性がやや低い傾向を示し、かつ、強い剥離痛さを示すものである。 以上の実験データから明らかなように、各成分の割合が本発明の範囲内にあるときに、粘着特性に優れ、対ベークライト粘着力とプローブタックとのバランスが良好であり、かつ、剥離時の痛みが大幅に緩和された粘着テープを得ることができる。本発明の粘着剤組成物は、塗工適性も良好である。本発明の粘着剤組成物及び粘着テープは、粘着力と凝集力とのバランスに優れ、使用感が良好で、剥離痛さが低減されており、医療用粘着テープに適している。本発明の粘着テープは、これらの特性に加えて、重ね貼りが可能であるため、特にテーピングテープとして適している。[実施例9] ポリイソプレン〔日本ゼオン社製Nipol IR2200(登録商標)〕20質量部、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体〔クレイトンポリマージャパン製クレイトンD1161JP(登録商標)〕60質量部、及び固形状ポリイソブチレン〔BASF製オパノールB100(登録商標)〕20質量部からなる固形状ゴム成分100質量部に対して、液状ポリイソブチレン〔新日本石油化学社製ハイモール4H(登録商標)〕10質量部、テルペン系樹脂〔ヤスハラケミカル社製YSレジンPX1150N(登録商標)〕40質量部、並びに脂肪族系炭化水素樹脂〔日本ゼオン社製クイントンB170(登録商標)〕10質量部を添加し、溶融混合した。 上記で得られた組成物に、流動パラフィン〔カネダ株式会社製ハイコールM352(登録商標)〕25質量部、中鎖脂肪酸トリグリセリド〔日光ケミカル社製トリエスターF810(登録商標)〕5質量部、及び老化防止剤〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガノックス565(登録商標)〕5質量部を100℃で熱溶融して添加混合した。次いで、L−メントールを8質量%の割合となるように加えた。このようにして得られた粘着剤組成物を、目付150g/m2の織布(東洋紡STC製UK7032)の片面に、厚さ140μmになるように展延し、幅5cmの幅でロール状に巻回して、粘着テープを作製した。結果を表2に示す。[実施例10] テルペン系樹脂の割合を40重量部から96重量部に、かつ、脂肪族系炭化水素樹脂の割合を10重量部から24重量部に、それぞれ変更したこと以外は実施例9と同様に操作して粘着テープを作製した。結果を表2に示す。[実施例11] テルペン系樹脂の割合を40重量部から37.5重量部に、かつ、脂肪族系炭化水素樹脂の割合を10重量部から37.5重量部に、それぞれ変更したこと以外は実施例9と同様に操作して粘着テープを作製した。結果を表2に示す。[実施例12] テルペン系樹脂の割合を40重量部から62.5重量部に、かつ、脂肪族系炭化水素樹脂の割合を10重量部から12.5重量部に、それぞれ変更したこと以外は実施例9と同様に操作して粘着テープを作製した。結果を表2に示す。(脚注)(1)ポリイソプレン(a):日本ゼオン社製ポリイソプレンゴム〔Nipol IR2200(登録商標);ムーニー粘度(中心値)=83〕(2)SIS(c):スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体〔クレイトンポリマージャパン製クレイトンD1161JP(登録商標)〕(3)ポリイソブチレン(a):固形状ポリイソブチレン〔BASF製オパノールB100(登録商標)〕(4)液状ポリイソブチレン:新日本石油化学社製ハイモール4H(登録商標);粘度平均分子量=40,000(5)テルペン系樹脂:ヤスハラケミカル社製YSレジンPX1150N(登録商標)、軟化点=115±5℃(6)脂肪族系炭化水素樹脂:日本ゼオン社製クイントンB170(登録商標)、軟化点=70℃(7)流動パラフィン:カネダ株式会社製ハイコールM352(登録商標)(8)中鎖脂肪酸トリグリセリド:トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル;日光ケミカル社製NIKKOL トリエスターF810(登録商標)(9)老化防止剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガノックス565(登録商標)<考察> 表2の結果から明らかなように、粘着付与剤として、テルペン系樹脂(T1)と脂肪族系炭化水素樹脂(T2)との量比(T1/T2)を、1:1〜5:1の範囲内で変化させて併用しても、粘着特性、自背面接着性、及び剥離痛さなどの諸特性のバランスに優れ、テーピングテープなどの医療用粘着テープの用途に適した粘着テープの得られることが分かる。 本発明の粘着剤組成物は、粘着テープの粘着剤として利用することができる。本発明の粘着テープは、例えば、テーピングテープなどの医療用粘着テープの技術分野において利用することができる。 基材上に、粘着剤組成物層が設けられたテーピングテープであって、(i)該基材が、織物であり、(ii)該粘着剤組成物が、常温で固形状のゴム成分として、ポリイソプレン10質量%以上50質量%未満、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体50質量%超過90質量%以下、及びポリイソブチレン1〜30質量%を含有し、かつ、該ポリイソプレン、該スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、及び該ポリイソブチレンの3成分の合計が、100質量%の粘着剤組成物であって、該粘着剤組成物が、該固形状のゴム成分100質量部に対して、常温で液状のポリイソブチレン1〜30質量部、粘着付与剤50〜120質量部、並びに常温で液状の可塑剤1〜40質量部を含有し、かつ、該粘着付与剤が、テルペン系樹脂と脂肪族系炭化水素樹脂との質量比1:1〜5:1の範囲内での組み合わせである粘着剤組成物であるテーピングテープ。 該粘着剤組成物の該常温で固形状のゴム成分が、ポリイソプレン18〜49質量%、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体51〜82質量%、及びポリイソブチレン7〜20質量%を含有し、かつ、該ポリイソプレン、該スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、及び該ポリイソブチレンの3成分の合計が、100質量%である請求項1記載のテーピングテープ。 該粘着剤組成物の該常温で固形状のポリイソプレンが、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)が40〜96の範囲内で、かつ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより標準ポリスチレン換算値として得られる数平均分子量が100,000〜2,500,000の範囲内の合成ポリイソプレンゴムである請求項1記載のテーピングテープ。 該粘着剤組成物の該常温で固形状のスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体が、JIS K7210に従って温度200℃及び荷重5kgで測定したメルトフローレイトが1〜20g/10分の範囲内で、かつ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより標準ポリスチレン換算値として得られる数平均分子量が45,000〜400,000の範囲内のものである請求項1記載のテーピングテープ。 該粘着剤組成物の該常温で固形状のポリイソブチレンが、粘度平均分子量が200,000〜1,500,000の範囲内のものである請求項1記載のテーピングテープ。 該粘着剤組成物の該常温で液状のポリイソブチレンが、粘度平均分子量が30,000〜100,000の範囲内のものである請求項1記載のテーピングテープ。 該粘着付与剤の割合が、常温で固形状のゴム成分100質量部に対して、50〜120質量部の範囲内である請求項1記載のテーピングテープ。 該粘着剤組成物の該常温で液状の可塑剤が、流動パラフィンを含有するものである請求項1記載のテーピングテープ。 該粘着剤組成物の該常温で液状の可塑剤が、流動パラフィンと中鎖脂肪酸トリグリセリドとを質量比1:1〜5:1の範囲内で含有するものである請求項1記載のテーピングテープ。 該粘着剤組成物の該液状の液状可塑剤の割合が、固形状ゴム成分100質量部に対して、1〜40質量部の範囲内である請求項1記載のテーピングテープ。 該粘着剤組成物の該粘着剤組成物が、常温で固形状の可塑剤を含有しないものである請求項1記載の粘着剤組成物。 該粘着剤組成物が、局所刺激剤として、温点刺激薬または冷点刺激薬をさらに含有するものである請求項1記載のテーピングテープ。 該粘着剤組成物が、冷点刺激薬として、L−メントールを粘着剤組成物全量基準で1〜20質量%の範囲内でさらに含有するものである請求項1記載のテーピングテープ。 該織物が、経糸の一部または全てに、セルロース系繊維と弾性繊維とからなる複合糸を配した織物であるか、または経糸にセルロース系繊維糸のS・Z方向の強然糸を一本交互に配した織物である請求項1記載のテーピングテープ。