| タイトル: | 公開特許公報(A)_液体の着色度測定器 |
| 出願番号: | 2011290642 |
| 年次: | 2013 |
| IPC分類: | G01J 3/50,G01N 21/27 |
稲岡 精晃 JP 2013134246 公開特許公報(A) 20130708 2011290642 20111222 液体の着色度測定器 株式会社エックス電子設計 593051467 稲岡 精晃 G01J 3/50 20060101AFI20130611BHJP G01N 21/27 20060101ALN20130611BHJP JPG01J3/50G01N21/27 Z 1 1 書面 7 2G020 2G059 2G020AA08 2G020DA02 2G020DA05 2G020DA13 2G020DA22 2G020DA34 2G020DA62 2G059AA02 2G059BB04 2G059EE01 2G059EE13 2G059GG02 2G059HH02 2G059JJ26 2G059KK01 2G059NN10 液体あるいは加熱して液状になる化学製品の着色度測定器に関し、さらに詳しくはハーゼン単位色数測定器に関する。 溶剤、石油類、可塑剤、化学品の原料など、液体あるいは加熱して液状になる化学製品の品質管理の一つとして色試験を行い、着色度を表示することが行われている。色試験の方法はJIS K 0071等で複数規定されていて、その規格のなかで代表的なものとして、ハーゼン単位色数(非特許文献1参照)、ガードナー色数がある。ハーゼン単位色数のハーゼン色数標準液は黄色味を帯びた比較的薄い色で、ガードナー色数のガードナー色数標準液は比較的濃い色であり、それぞれそれらの色合いを有する化学製品を対象にしている。 ハーゼン単位色数はJIS(非特許文献1参照)で規定していて、同JIS規格 「化学製品の色試験方法、ハーゼン単位色数」では、規定した方法で作製したハーゼン標準液を、底の平らなガラス管や試験管に入れて標準液比色管としている。色試験はハーゼン色数の異なった標準液比色管を複数の用意して、試料がどの標準液に近いか、肉眼で比較し試料のハーゼン色数を判定することを主としている。しかし肉眼判定は個人誤差を生ずる惧れがあり、信頼性に問題があった。 そこで測定機器による色試験方法も行われるようになっている。ガードナー色数の色試験は標準色ガラス等もあり、機器測定化が進んでいる。一方、ハーゼン単位色数の色試験は光電光度計や分光光度計、色彩計を用いて行う方法も提案されているが、着色度が少ないため、必要とされる精度で測定することが困難であったり、精度は十分でも測定方法が繁雑で実用に耐えないのが現状であった。 光電光度計を用いた場合、特定の光の波長で測定することになるが、測定試料の成分は様ようで、肉眼でハーゼン標準液と同じ色のように見えても、分光曲線は同じとはならず、測定値と目視判定が異なる場合がある。また、液体の光の透過率(吸光度)を測定するので、試料の屈折率の違いによる透過率の増減や、試料内部の泡などによる透過率の乱れが影響して誤差が発生し、必要とされる精度でハーゼン単位色数を測定することは困難であった。 また分光光度計を用いて、予めハーゼン標準液の分光スペクトルを測定して、その吸光度とハーゼン色数の相関関係を求めておいて、試料のハーゼン色数の測定を行うことも提案されているが(例えば、特許文献1参照)、この場合も前述の光電光度計を用いた場合と同様に、測定試料の成分の違いにより測定値と目視判定が異なったり、屈折率、泡などの影響で測定誤差を生ずることは免れない。 ハーゼン単位色数の色試験は、色を測定することが基本的なことといえる。そこで色彩計(色差計)を用いたハーゼン単位色数の測定方法(例えば、特許文献2、3参照)も提案されている。色彩計は被測定試料からの光を三刺激値X、Y、Z(非特許文献2、3参照)としてマイクロコンピューターなどに入力して、その値から被測定試料の色を数値化している。 その光学系は種々実施されているが、透過型色彩計では一様に、光源→被測定試料→受光部の系統で光が通過するようになっていて、光源としてタングステン電球やキセノンランプによる白色光源を用い、受光部は複数の受光素子で構成し、受光素子の取付け、配置方法など種々な方法があるが、なかでも積分球型、並列型(特許文献4参照)などが代表的といえる。いずれの方法でも受光素子の前面には三刺激値X、Y、Zに対応するフィルターを設置するのが一般的である。 図4は、従来の色彩計を用いた液体の着色度測定の一例で、その光学系の構成例を示したブロック図である。この例においてもフォトセンサー6a、6b、6cの前面に三刺激値X、Y、Zに対応する光学フィルター8a、8b、9cを設置し、それぞれ異なる波長の光に最大感度を持つようにしたフォトセンサー6a、6b、6cの検出値をマイクロコンピューターに入力して計算し、色を数値化している。 特開2000−180262号公報特開平06−347328号公報特開平05−296838号公報特開2002−310800号公報 JIS K 0071−1JIS Z 8701JIS Z 8722 光電光度計や分光光度計を用いてハーゼン単位色数測定を行った場合は、測定試料の成分の違い、屈折率、泡などの影響を受けて正確な測定が出来ないという問題があった。ハーゼン単位色数測定の本質は着色度、すなわち色を計測するので、色彩計(色差計)が適当と考えられる。しかし色彩計(色差計)は色を数値化することはできるが、ハーゼン単位色数として表示はできないので、色の数値からハーゼン単位色数に換算する必要があり、換算が煩雑で結果を出すまでに時間がかかる不都合がある。また、光学系も複数の受光素子と光学フィルターを必要とし、その光路も単純ではない。ハーゼン単位色数測定に多用される底の平らなガラス管や試験管は液体の入った円筒状なのでレンズ効果があり、三刺激値X、Y、Z毎の光軸を安定に保つことは困難で、ガラス管や試験管測定用には向かない光学系で構成されているので、ハーゼン色数測定用に簡単に転用することができない不都合があった。本発明はこのような不都合、問題点を解決する液体の着色度測定器を提供することにある。 本発明の液体の着色度測定器は、光源からの光を被測定液体が入った試料セルを通過させフォトセンサーで検出するように構成した液体の着色度測定器において、光源として一つのパッケージに封印されたRGB三色LEDを用い、該三色LEDをマイクロコンピューターで制御して赤、緑、青、それぞれ単独、且つ順繰りに発光させて、同LEDの発光色に同期してフォトセンサーの検出値を同マイクロコンピューターに入力し、LEDの発光色毎の検出値を区別して分類し、これら色別の検出値から色の三刺激値X、Y、Z、を計算して、その値から被測定液体の色数を算出することを特徴としている。 以上説明の通り、本発明による液体の着色度測定器は、光源として一つのパッケージに封印されたRGB三色LEDと一個のフォトセンサーで構成しているので、一定の光路が確保され、ガラス管や試験管に入れた試料も安定して測定できる。測定は色の三刺激値X、Y、Z、からxy色度図の座標を計算し、ハーゼン色数を計算するので多少の色調の違いがあっても肉眼判定から外れることが無く、肉眼測定と同等な測定結果が得られ、なおかつ肉眼判定ではないので、個人差のない客観的なハーゼン色数の測定ができる。さらに測定原理が光の透過率(吸光度)を測定するのでないから、被測定試料の成分、屈折率の違い、試料内部の泡などの影響を受けずに、精度よく測定できるので、着色度が少ない試料も精度よく測定できる。また、光学フィルターが不要であり、可動部分もなく、光学部の単純化が図れるなどの効果がある。 本発明の実施に係わる液体の着色度測定器の構成を示したブロック図である。色を座標で表すxy色度図にz軸も書き入れた座標図である。xy色度図におけるハーゼン色数のおよその座標も書き入れた座標図である。従来の色彩計を用いた液体の着色度測定の一例で、その光学系の構成例を示したブロック図である。 図1は、本発明の実施に係わる液体の着色度測定器の構成を示したブロック図で、試験管などの円筒型ガラスセルに被測定試料を入れて測定できるようにしている。本発明の実施は色彩計と同様の三刺激値X、Y、Zを、RGB三色LEDとフォトセンサーを用いて測定し、色の濃度を算出して、ハーゼン色数値を判定するようにした。 図1に基づき本発明の液体の着色度測定器を詳しく説明する。本発明、液体の着色度測定器の光学系は、光源のランプ2として一つのパッケージに封印されたRGB三色LEDを用い、このランプ2の光を受光する一個のフォトセンサー6で構成している。ランプ2とフォトセンサー6は直線状に配置した単純な光路で、その中間に試料セル5がセットされる。測定に供する三色の光、R(赤)、G(緑)、B(青)は、一つのパッケージに封印されているので、三色ともに同一の光路が確保され、中間にガラス管や試験管に入れた試料をセットしても、三色の光は同一の光路を通過するので安定した測定ができる 計測部のマイクロコンピューター1は、ランプ2を制御するランプコントロール部1b、フォトセンサー6からの信号を入力するセンサー入力部1a、表示器7に表示信号を与える表示出力部1c、これらを制御、処理して入力信号からハーゼン色数を計算する計算部1dから成り立っている。 ランプ2は一つのパッケージに封印されたRGB三色LEDを用い、マイクロコンピューター1のランプコントロール部1bによって赤、緑、青と、単独、且つ順繰りに発光させている。このランプ2の光は、セルBOX4にセットされた試料セル5中の液体の被測定試料を通過しフォトセンサー6で受光する。 フォトセンサー6は分光感度か可視光にある素子を使用する。RGB三色LED光源の分光光度とフォトセンサーの分光感度を合わせた統合感度は、等色関数に合うように組み合わせることが好ましいが、本発明着色度測定器は、色相の数値化に正確さを要求される色彩計とは異なるので、比較的、厳密さは要求しない。RGB三色LEDの分光光度と、視感度に近い分光感度のフォトセンサーを組合わせることで、実用上差し障りの無い、近似的な三刺激値X、Y、Zの分光特性が得られる。このようなことからフォトセンサー6として、信号のダイナミックレンジの広さ、安定性を考慮して、シリコンフォトダイオードを使用するのが好ましい。 図1に示す本発明の実施に係わるブロック図では、ランプ2の光は拡散板3を通して試料セル5にあてるようにしている。前述したように本発明の光路は三色の光とも同一の光路が確保されていて安定であるが、ランプ2の光を、拡散板3を通すことにより、ランプ2の光は面発光状になり、光は平均化されて試料セル5を通過するのでさらに安定し、試料セル5に多少の前後左右位置の偏り、多少の傾きが生じても光路の乱れは少なく、試験管などの円筒型ガラスセルでも安定した測定が出来る。 フォセンサー6の検出値はセンサー入力部1aに、RGB三色LEDの発光色に同期してマイクロコンピューターに入力され、発光色毎に検出値を区別し分類する。分類したこれら色別の検出値から、赤をX、緑をY、青をZとすることで、色の三刺激値X、Y、Z、として処理することが出来る。 色を表す方法の一つに、横軸x、縦軸yの座標空間で表したCIE(国際照明委員会)色度図があり、これをxy色度図といい、標準表色系として多く用いられている。x、yは3刺激値XYZをもとに、x=X/(X+Y+Z)、y=Y/(X+Y+Z)として算出し、xy色度図に表わしている。 また、z=Z/(X+Y+Z)であり、上式と、前述式から、x+y+z=1の関係が成り立つ。xy色度図は通常、z軸は描かないが、図2のように、色を座標で表すxy色度図にz軸も書き入れることもできる。xy色度図上で、x=y=z=0.333…、の点が理論的な白色点(無色)であり、この点がほぼ、ハーゼン0となる。 ハーゼン標準液の色は、xy色度図上で白色点から、およそx=y=0.5の点をむすぶ線上のz軸上に、ほぼ位置する。図3はxy色度図におけるハーゼン色数のおよその座標も書き入れた座標図で、ハーゼン標準液で100、500など、前述のz軸上にプロットすることができる。 実際の測定は、ハーゼン色数0の標準液(精製水)とスパン用のハーゼン標準液(ハーゼン10〜1000の任意)を用いて、スケーリング測定を行い、検出値から計算したz軸座標値をスケーリング定数としてマイクロコンピューターにメモリーする。このスケーリング定数は前述のz軸上に位置し、例えばハーゼン色数0の標準液のz軸座標値をz(0)、スパン用としてハーゼン色数100の標準液で測定した場合のz軸座標値をz(100)などとしてメモリーされる。被測定試料の液体も同様に測定、計算したz軸上の位置z(?)が得られる。 これらの計算処理は、フォトセンサー6の入力信号から三刺激値X、Y、Z、を取得し、z=Z/(X+Y+Z)式からz軸上の位置z()を算出する。被測定試料のハーゼン色数の値は、z(?)の値を、先にメモリーしたスケーリング定数、z(0)、z(100)を使用して比例計算し算出する。算出したハーゼン色数は表示出力部1cを介して表示器7で表示するようにしているので、スケーリング測定を行った後の、被測定試料の測定は、被測定液体の入った試料セル5をセルBOX4にセットするだけで、直ちに計算されハーゼン色数が表示され直読できる。 計算部1dはマイクロコンピューター1に組み込まれたソフトウエアで、ランプ2の制御、入力したフォトセンサー6の信号の処理、ハーゼン色数の計算、表示処理など、以上説明した動作、処理を行っている。 尚、ハーゼン色数標準液は、JIS規格で規定した方法で作製したハーゼン色数500、あるいは1000の原液を、精製水で希釈して作る。例えばハーゼン色数1000の原液の割合を1%として希釈したならハーゼン色数10の標準液となり、原液の割合が10%ならハーゼン色数100の標準液となる。 溶液を通過する光の吸光度は濃度の対数に比例するので、前述のスケーリング定数からの比例計算も同様に対数で行う。以上のように構成、処理した計算結果とハーゼン標準液の関係は正確であり、多数の標準液を測定して検量線を作成して、被測定試料と比較する操作や、測定値の誤差を少なくするため、予め算定しておいた補正値で補正する、などの処理も必要としない。従って、本発明の着色度測定器は、被測定試料である液体、あるいは加熱して液状になる化学製品に対して、多少の色調の違いがあったり、成分、屈折率の違い、試料内部の泡などの影響を受けずに着色度測定が可能で、正確な色試験を行うことができる。 以上、主としてハーゼン単位色数測定について説明をした。ハーゼン色数の測定はハーゼン標準液の色と試料の色を比較して、被測定試料の着色度を特定している通り、本発明の液体の着色度測定器は比色測定器ということもできる。従って本発明はガードナー色数など、ほかの色数測定にも応用できる。 11a センサー入力部1b ランプコントロール部1c 表示出力部1d 計算部2 ランプ3 拡散板4 セルBOX5 試料セル6、6a、6b、6c フォトセンサー7 表示器8a、8b、9c 光学フィルター 光源からの光を被測定液体が入った試料セルを通過させフォトセンサーで検出するように構成した液体の着色度測定器において、光源として一つのパッケージに封印されたRGB三色LEDを用い、該三色LEDをマイクロコンピューターで制御して赤、緑、青、それぞれ単独、且つ順繰りに発光させて、同LEDの発光色に同期してフォトセンサーの検出値を同マイクロコンピューターに入力し、LEDの発光色毎の検出値を区別して分類し、これら色別の検出値から色の三刺激値X、Y、Z、を計算して、その値から被測定液体の色数を算出することを特徴とした液体の着色度測定器。 【課題】測定試料の成分の違い、屈折率、泡などの影響を受けず、個人誤差を含まずに目視判定と同じ結果がえられる液体の着色度測定器を提供する。【解決手段】光源2として一つのパッケージに封印されたRGB三色LEDを用い、該三色LEDをマイクロコンピューター1で制御して赤、緑、青、それぞれ単独、且つ順繰りに発光させて、同LEDの発光色に同期してフォトセンサー6の検出値を同マイクロコンピューターに入力し、LEDの発光色毎の検出値を区別して分類し、これら色別の検出値から色の三刺激値X、Y、Z、を計算して、その値から被測定液体の色数を算出する。【選択図】図1