生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ヒドロキシサンショオール含有物の製造方法
出願番号:2011248207
年次:2013
IPC分類:C07C 231/22,C07C 233/20,A23L 1/226,A23L 1/221


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高林 幸子 小黒 大地 藤本 寛 JP 2013103901 公開特許公報(A) 20130530 2011248207 20111114 ヒドロキシサンショオール含有物の製造方法 長谷川香料株式会社 000214537 高林 幸子 小黒 大地 藤本 寛 C07C 231/22 20060101AFI20130507BHJP C07C 233/20 20060101ALI20130507BHJP A23L 1/226 20060101ALN20130507BHJP A23L 1/221 20060101ALN20130507BHJP JPC07C231/22C07C233/20A23L1/226 DA23L1/221 C 4 OL 9 4B047 4H006 4B047LB08 4B047LF04 4B047LF10 4B047LG43 4B047LP01 4B047LP02 4H006AA02 4H006AD16 4H006BN10 4H006BV34 本発明は、ヒドロキシサンショオールの効率的な抽出方法に関する。より詳しくは、サンショウ属植物の果皮油や果実油などの抽出油を、適度な濃度のエタノール水溶液によりヒドロキシサンショオールを効率的に抽出し、高濃度のヒドロキシサンショオールを含有するヒドロキシサンショオール含有物を製造する方法に関する。 ヒドロキシサンショオールは、サンショウ属植物に特有の痺れ感の強い辛味成分であり、下記式(1)で表されるα−ヒドロキシサンショオールや、下記式(2)で表されるβ−ヒドロキシサンショオールに代表される、イソブチル基の3級炭素に水酸基が結合したアルケニルアミドである。 ヒドロキシサンショオールの辛味の質は、α−ヒドロキシサンショオールでは「ヒリヒリ、痺れ」、β−ヒドロキシサンショオールでは「痺れ、収斂、苦味」といった表現で表され、サンショオールの「ピリピリ」といった刺激感のある辛味の質とは異なることが示されている(非特許文献1)。 ヒドロキシサンショオールは、辛味成分としてだけでなく、麻酔剤(特許文献1)、消化管運動改善剤(特許文献2)、記憶促進剤(特許文献3)としての効能が知られており、精製し、高純度にしたヒドロキシサンショオールの含有物の少量添加により、上記の効能を得ることができる。 ヒドロキシサンショオールをサンショウ属植物の抽出油から精製する方法については、既に幾つかの方法が知られている。例えば、サンショウ属植物のアルコール抽出物を、順相および逆相クロマトグラフィーを適宜組み合わせることにより、精製する方法(特許文献1)、乾燥した山椒粉末の水エキスをカラムクロマトグラフィーで精製する方法(特許文献3)、花椒を水蒸気蒸留した精油を、カラムクロマトグラフィーで分画する方法(非特許文献2)などが挙げられる。しかしながら、これらのカラムクロマトグラフィーを用いる方法では、収率と作業性の煩雑さの面で問題があるため、工業的生産には適していない。 一方で、サンショウ属植物をアルコール抽出する方法についても幾つかの方法が知られている。例えば、サンショウ属植物からアミド化合物の取得は、溶剤抽出および精製により得られ、サンショウ属植物を、含水または非含水の低級アルコール(炭素数1〜4の1価アルコール)で抽出する方法(特許文献1)、サンショウの果皮500gを室温で1週間エタノール浸漬し、この抽出物中のエタノールを留去して9.7gのサンショウ抽出物を得る方法(特許文献4)、サンショウの成熟した果皮の乾燥物を細切し、エタノール中にて、50℃に加熱して5時間抽出する方法(特許文献5)、サンショウを、ヘキサンまたは含水アルコール等の溶剤で芳香成分や辛味成分を抽出した後、溶剤を除去することによりサンショウ抽出物を得る方法(特許文献6)などが挙げられる。しかしながら、これらの方法では、ヒドロキシサンショオール以外の成分、例えば、テルペン類、トリグリセライドなどの高沸点成分を同時に抽出してしまうことから、高純度のヒドロキシサンショオールを得ることはできない。 以上のように、サンショウ属植物の抽出油から、簡便で工業的に好適な方法で、ヒドロキシサンショオールを精製する方法を開発した例はいまだ知られていないのが現状であり、新たな方法の開発に多大な期待が寄せられている。特開平1−294657号公報特許第4627574号公報特許第4421832号公報特開2001−131033号公報特開2001−288047号公報特開2010−115118号公報香料(2006),No.229,129−137Journal of Agricultural and Food Chemistry(2008),56(5),1689−1694 本発明の目的は、上記の従来技術における問題点を解決し、サンショウ属植物の抽出油から、テルペン類、トリグリセライドなどの高沸点成分を除去し、ヒドロキシサンショオールを高効率、高純度で製造する方法を提供することにある。 本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、サンショウ属植物の抽出油をエタノール濃度が35〜65質量%のエタノール水溶液で抽出することにより、高純度のヒドロキシサンショオールを含有するヒドロキシサンショオール含有物を、効率よく抽出する方法を見出し、本発明を完成するに至った。 かくして、本発明は、サンショウ属植物の抽出油からエタノール濃度が35〜65質量%のエタノール水溶液でヒドロキシサンショオールを抽出することを特徴とする、ヒドロキシサンショオール含有物の製造方法を提供するものである。 また、本発明は、ヒドロキシサンショオール含有物中のヒドロキシサンショオールが70質量%以上である前記の製造方法を提供するものである。 また、本発明は、サンショウ属植物がZanthoxylum piperitum(山椒)またはZanthoxylum bungeanum(中国花椒)である前記の製造方法を提供するものである。 さらに、本発明は、前記の製造方法により得られたヒドロキシサンショオール含有物を提供するものである。 本発明によれば、高純度のヒドロキシサンショオールを含有するヒドロキシサンショオール含有物を、低コストで、工業的に汎用性が高く、かつ、安全性の高い方法により提供することができる。 以下、本発明について更に詳細に説明する。 本発明で使用されるサンショウ属植物は、サンショウ属植物であれば特に限定されないが、Zanthoxylum piperitum(山椒)、Zanthoxylum bungeanum(中国花椒)、Zanthoxylum schinifolium(犬山椒)、Zanthoxylum nitidum(照葉山椒)が好ましく、特に、Zanthoxylum piperitum、Zanthoxylum bungeanumが好ましい。 本発明で使用されるサンショウ属植物の抽出油は、サンショウ属植物の果皮や果実、例えば、Zanthoxylum piperitumの果皮、Zanthoxylum bungeanumの果皮、Zanthoxylum piperitumの果実、Zanthoxylum schinifoliumの果実などから、圧搾法、水蒸気蒸留法、溶剤抽出法、超臨界抽出法、炭酸ガス抽出法、油脂吸着法などにより得られ、抽出油中にヒドロキシサンショオールを5〜30質量%含有する。 本発明でサンショウ属植物の抽出油からヒドロキシサンショオール含有物を抽出する方法は以下の通りである。すなわち、サンショウ属植物の抽出油とエタノール水溶液を攪拌混合した後しばらく静置する。その後、テルペン類やトリグリセライドなどの高沸点物を含むオイルが上層に分離される。分離したオイルを取り除くことにより、テルペン類や高沸点物などの夾雑物が除去され、下層のエタノール水溶液を減圧下留去することによりヒドロキシサンショオール含有物が得られる。 ヒドロキシサンショオールを抽出するための温度は、0℃〜70℃、好ましくは5℃〜50℃とすることにより、ヒドロキシサンショオール抽出物中の、ヒドロキシサンショオールの含有率を高めることができる。また、攪拌時間は5分〜120分、攪拌強度は400〜1000rpmが好適である。さらに、攪拌後の静置時間は20分〜120分が好適であるが、これ以上静置時間を長くしても、収率およびヒドロキシサンショオールの含有率に大差はない。 本発明のヒドロキシサンショオールを抽出するために使用されるエタノール水溶液のエタノール濃度は、35〜65質量%、好ましくは40〜60質量%、さらに好ましくは45〜55質量%を例示することができる。エタノール濃度が35質量%未満では、テルペン類やトリグリセライドなどの高沸点物を含むオイルがほとんど分離されず、ヒドロキシサンショオール含有物の収率が悪くなり、ヒドロキシサンショオール含有物を抽出する工業的な方法としては適さない。また、エタノール濃度が65質量%を超えると、抽出油に含まれる高沸点物が固体として沈殿するものの、テルペン類を取り除くことができず、ヒドロキシサンショオールの含有率が低下する。さらに、エタノール水溶液の使用量は、サンショウ属植物の抽出油に対して5〜50倍量、好ましくは10〜30倍量を例示することができる。 上記方法で得られたヒドロキシサンショオール含有物は、70質量%以上、好ましくは、70〜85質量%のヒドロキシサンショオールを含有するが、さらに、必要に応じて他の精製方法を組み合わせることにより、ヒドロキシサンショオールの含有率を高めることができる。精製方法としては、例えば、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーなどが挙げられる。 本発明で得られたヒドロキシサンショオール含有物は、そのままで食品素材、特に辛味増強素材あるいは、機能性素材として使用することができるが、所望により、これに乳化剤、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステルおよび蔗糖脂肪酸エステルなどを添加し、ホモジナイズすることにより乳化状態にすることや、さらに、アラビアガム、澱粉、デキストリン、キサンタンガム、サイクロデキストリンなどの粉末化助剤と混合して噴霧乾燥および真空乾燥などの乾燥手段を用いて乾燥することにより、乳化形態あるいは粉末形態として使用することができる。 本発明で得られたヒドロキシサンショオール含有物は、わさび、カラシ、おろししょうが、おろしにんにく、カレー、豆板醤、キムチ、ハム、ソーセージ、ドレッシング、シチュー、即席麺スープ、野菜スープ、トマトソース、ピザ、焼き鳥、焼き豚、しょうが焼き、うなぎ蒲焼きなどの食品に添加することにより、辛味増強効果を付与することができる。 以下、参考例、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。 参考例1:中国花椒抽出油の調製方法粉砕した中国花椒の乾燥果皮1000gと水300gを均一に混合し、内容量5Lの超臨界抽出装置に仕込み、抽出温度40℃、圧力20MPa、抽出助剤として95%エタノールを2.5%含有した超臨界二酸化炭素により、流速5Kg/hの条件で2時間抽出した。中国花椒抽出物含有二酸化炭素流体を分離槽に導き、分離槽の温度20℃、圧力5MPaの条件で分離し、超臨界二酸化炭素抽出物である、中国花椒抽出油130g(参考品1)を得た。 実施例1:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に中国花椒抽出油(参考品1)、抽出溶媒に40%エタノール水溶液を使用)開放容器内で中国花椒抽出油(参考品1)5.0gを、40%エタノール水溶液130gと室温にて30分、攪拌しながら混合した。前記攪拌混合物を室温で30分放置したところ、オイル層(上層)と含水エタノール層(下層)に分離した。これを分液ロートに移し、含水エタノール層を取り出し、減圧下にて溶媒を留去することにより、ヒドロキシサンショオール含有物1.4g(本発明品1)を得た。収率28%。 実施例2:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に中国花椒抽出油(参考品1)、抽出溶媒に50%エタノール水溶液を使用)実施例1において、40%エタノール水溶液130gに代えて50%エタノール水溶液100gを使用すること以外は実施例1と同じ条件により、ヒドロキシサンショオール含有物1.9g(本発明品2)を得た。収率39%。 実施例3:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に中国花椒抽出油(参考品1)、抽出溶媒に60%エタノール水溶液を使用)実施例1において、40%エタノール水溶液130gに代えて60%エタノール水溶液130gを使用すること以外は実施例1と同じ条件により、ヒドロキシサンショオール含有物2.1g(本発明品3)を得た。収率42%。 比較例1:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に中国花椒抽出油(参考品1)、抽出溶媒に30%エタノール水溶液を使用)実施例1において、40%エタノール水溶液130gに代えて30%エタノール水溶液130gを使用すること以外は実施例1と同じ条件により、ヒドロキシサンショオール含有物0.9g(比較品1)を得た。収率18%。 比較例2:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に中国花椒抽出油(参考品1)、抽出溶媒に70%エタノール水溶液を使用)開放容器内で中国花椒抽出油(参考品1)5.0gを、70%エタノール水溶液100gと室温にて30分、攪拌しながら混合した。前記攪拌混合物を室温で30分放置したところ、含水エタノール層(液層)と白色沈殿物(固層)に分離した。デカントにより含水エタノール層を取り出し、減圧下にて溶媒を留去することにより、ヒドロキシサンショオール含有物4.1g(比較品2)を得た。収率82%。 比較例3:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(中国花椒抽出油(参考品1)の分子蒸留処理)中国花椒抽出油(参考品1)155.5gに対し、米サラダ油(ボーソー油脂社製)31.1gを添加し、表1に示す条件で計3回の分子蒸留を行った。なお、1回目での分子蒸留では原料を、2回目の分子蒸留では1回目の蒸留残渣を、3回目の分子蒸留では2回目の蒸留残渣を試料として供した。 上記の分子蒸留により、蒸留残渣として、ヒドロキシサンショオール含有物130.6g(比較品3)を得た。収率64%。 比較例4:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(中国花椒抽出油(参考品1)の水蒸気蒸留処理)中国花椒抽出油(参考品1)133.9gに対し、イオン交換水500gを添加し、さらにイオン交換水を滴下しながら水蒸気蒸留を行った。水蒸気蒸留により主としてテルペン類を取り除き、蒸留残渣として、ヒドロキシサンショオール含有物98.3g(比較品4)を得た。収率73%。 実施例4参考品1、本発明品1から3および比較品2から4に含まれるヒドロキシサンショオールの含有率をHPLC法にて測定した。比較品1は収率が悪いためHPLC測定を実施しなかった。分析結果を表2に示す。 [HPLC法によるヒドロキシサンショオールの測定]標準液調製25mLのメスフラスコにヒドロキシサンショオール標準品を約0.1g精密に量りとり、アセトニトリルでメスアップした後にさらに50%アセトニトリルで適宜精密に希釈し、標準液を調製した。HPLC測定試料調製抽出物約0.01gを50mLのメスフラスコに精密に量りとり、メタノールでメスアップした後、PTFE膜フィルター(ミリポア社、孔径0.45μm)処理を行った。この調製液をHPLC分析に供した。HPLC分析条件機種 :SHIMADZU LC20A(島津製作所)カラム :TSK−GEL ODS−100V(TOSOH) 内径4.6mm×長さ250mm、粒子径5μmカラム温度 :40℃移動相 :A液 水:アセトニトリル:リン酸=900:100:1 B液 水:アセトニトリル:リン酸=100:900:1グラジェント条件:(A):(B)=50:50(0分),50:50(10分), 〜0:100(30分),0:100(45分)流速 :0.7mL/min注入量 :10μL測定時間 :45min.保持時間 :14〜18min.(ヒドロキシサンショオールとして3本のピーク)検出器 :PDA(測定波長:270nm) [HPLC測定用ヒドロキシサンショオール標準品の合成]HPLC測定用ヒドロキシサンショオール標準品は、非特許文献2およびThe Journal of Organic Chemistry(1969),34(4),1147−1149を参考に合成した。合成したヒドロキシサンショオールをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、HPLC測定用ヒドロキシサンショオール標準品とした。 表2に示したとおり、実施例1から3の抽出方法により、共雑物の少ない、高純度のヒドロキシサンショオールを含有する、ヒドロキシサンショオール含有物を調製することができた。また、比較例2のように、抽出溶媒として使用するエタノール水溶液のエタノール濃度が高すぎると、オイル層が生成されず、トリグリセライドなどの高沸点物を含む白色沈殿物が生成され、テルペン類などがエタノール水溶液の層に含有されるため、高純度のヒドロキシサンショオールを含有する、ヒドロキシサンショオール含有物を調製することができなかった。さらに、分子蒸留や水蒸気蒸留では、中国花椒抽出油のヒドロキシサンショオール含有率と大差なく、ヒドロキシサンショオールの含有率を向上させる効果はあまりなかった。 参考例2:山椒抽出油の調製方法粉砕した山椒の乾燥果皮1000gと水300gを均一に混合し、内容量5Lの超臨界抽出装置に仕込み、抽出温度40℃、圧力20MPa、抽出助剤として95%エタノールを2.5%含有した超臨界二酸化炭素により、流速5Kg/hの条件で3時間抽出した。山椒抽出物含有二酸化炭素流体を分離槽に導き、分離槽の温度20℃、圧力5MPaの条件で分離し、超臨界二酸化炭素抽出物である、山椒抽出油118g(参考品2)を得た。 実施例5:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に山椒抽出油(参考品2)、抽出溶媒に40%エタノール水溶液を使用)開放容器内で山椒抽出油(参考品2)5.0gを、40%エタノール水溶液130gと室温にて30分、攪拌しながら混合した。前記攪拌混合物を室温で30分放置したところ、オイル層(上層)と含水エタノール層(下層)に分離した。これを分液ロートに移し、含水エタノール層を取り出し、減圧下にて溶媒を留去することにより、ヒドロキシサンショオール含有物1.3g(本発明品4)を得た。収率26%。 実施例6:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に山椒抽出油(参考品2)、抽出溶媒に50%エタノール水溶液を使用)実施例5において、40%エタノール水溶液130gに代えて50%エタノール水溶液120gを使用すること以外は実施例5と同じ条件により、ヒドロキシサンショオール含有物1.4g(本発明品5)を得た。収率28%。 実施例7:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に山椒抽出油(参考品2)、抽出溶媒に60%エタノール水溶液を使用)実施例5において、40%エタノール水溶液130gに代えて60%エタノール水溶液130gを使用すること以外は実施例1と同じ条件により、ヒドロキシサンショオール含有物1.5g(本発明品6)を得た。収率30%。 比較例5:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に山椒抽出油(参考品2)、抽出溶媒に30%エタノール水溶液を使用)実施例5において、40%エタノール水溶液130gに代えて30%エタノール水溶液130gを使用すること以外は実施例1と同じ条件により、ヒドロキシサンショオール含有物0.7g(比較品5)を得た。収率14%。 比較例6:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に山椒抽出油(参考品2)、抽出溶媒に70%エタノール水溶液を使用)開放容器内で山椒抽出油(参考品2)5.0gを、70%エタノール水溶液120gと室温にて30分、攪拌しながら混合した。前記攪拌混合物を室温で30分放置したところ、含水エタノール層(液層)と白色沈殿物(固層)に分離した。デカントにより含水エタノール層を取り出し、減圧下にて溶媒を留去することにより、ヒドロキシサンショオール含有物3.8g(比較品6)を得た。収率76%。 実施例8参考品2、本発明品4から6および比較品6に含まれるヒドロキシサンショオールの含有率をHPLC法にて測定した。比較品5は収率が悪いためHPLC測定を実施しなかった。分析結果を表3に示す。ヒドロキシサンショオールの定量方法は、実施例4と同様の方法で行った。 表3に示したとおり、実施例5から7の抽出方法により、共雑物の少ない、高純度のヒドロキシサンショオールを含有する、ヒドロキシサンショオール含有物を調製することができた。また、比較例6のように、抽出溶媒として使用するエタノール水溶液のエタノール濃度が高すぎると、中国花椒抽出油からヒドロキシサンショオールを抽出する方法と同様な理由で、高純度のヒドロキシサンショオールを含有する、ヒドロキシサンショオール含有物を調製することができなかった。 サンショウ属植物の抽出油からエタノール濃度が35〜65質量%のエタノール水溶液でヒドロキシサンショオールを抽出することを特徴とする、ヒドロキシサンショオール含有物の製造方法。 ヒドロキシサンショオール含有物中のヒドロキシサンショオールが70質量%以上である請求項1に記載の製造方法。 サンショウ属植物がZanthoxylum piperitum(山椒)またはZanthoxylum bungeanum(中国花椒)である請求項1または2のいずれかに記載の製造方法。 請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法により得られたヒドロキシサンショオール含有物。 【課題】サンショウ属植物の抽出油に含有する、テルペン類、トリグリセライドなどの高沸点成分を除去し、ヒドロキシサンショオールを高効率、高純度で製造する方法を提供する。【解決手段】サンショウ属植物の抽出油をエタノール濃度が35〜65質量%のエタノール水溶液で抽出することにより、70質量%以上のヒドロキシサンショオールを含有するヒドロキシサンショオール含有物を、効率よく製造する。【選択図】なし


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特許公報(B2)_ヒドロキシサンショオール含有物の製造方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ヒドロキシサンショオール含有物の製造方法
出願番号:2011248207
年次:2014
IPC分類:C07C 231/24,C07C 233/20,A23L 1/226,A23L 1/221


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高林 幸子 小黒 大地 藤本 寛 JP 5628135 特許公報(B2) 20141010 2011248207 20111114 ヒドロキシサンショオール含有物の製造方法 長谷川香料株式会社 000214537 高林 幸子 小黒 大地 藤本 寛 20141119 C07C 231/24 20060101AFI20141030BHJP C07C 233/20 20060101ALI20141030BHJP A23L 1/226 20060101ALN20141030BHJP A23L 1/221 20060101ALN20141030BHJP JPC07C231/24C07C233/20A23L1/226 DA23L1/221 C C07C 231/24 C07C 233/20 A23L 1/221 A23L 1/226 CAplus/REGISTRY(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) Thomson Innovation 特開平04−349875(JP,A) 特開平10−036276(JP,A) 特表2002−520289(JP,A) 中国特許出願公開第101612243(CN,A) Jae Yeon Koo,Hydroxy-α-sanshool activates TRPV1 and TRPA1 in sensory neurons,European Journal of Neuroscience,2007年,Volume 26, Issue 5,pages 1139-1147 4 2013103901 20130530 10 20131015 土橋 敬介 本発明は、ヒドロキシサンショオールの効率的な抽出方法に関する。より詳しくは、サンショウ属植物の果皮油や果実油などの抽出油を、適度な濃度のエタノール水溶液によりヒドロキシサンショオールを効率的に抽出し、高濃度のヒドロキシサンショオールを含有するヒドロキシサンショオール含有物を製造する方法に関する。 ヒドロキシサンショオールは、サンショウ属植物に特有の痺れ感の強い辛味成分であり、下記式(1)で表されるα−ヒドロキシサンショオールや、下記式(2)で表されるβ−ヒドロキシサンショオールに代表される、イソブチル基の3級炭素に水酸基が結合したアルケニルアミドである。 ヒドロキシサンショオールの辛味の質は、α−ヒドロキシサンショオールでは「ヒリヒリ、痺れ」、β−ヒドロキシサンショオールでは「痺れ、収斂、苦味」といった表現で表され、サンショオールの「ピリピリ」といった刺激感のある辛味の質とは異なることが示されている(非特許文献1)。 ヒドロキシサンショオールは、辛味成分としてだけでなく、麻酔剤(特許文献1)、消化管運動改善剤(特許文献2)、記憶促進剤(特許文献3)としての効能が知られており、精製し、高純度にしたヒドロキシサンショオールの含有物の少量添加により、上記の効能を得ることができる。 ヒドロキシサンショオールをサンショウ属植物の抽出油から精製する方法については、既に幾つかの方法が知られている。例えば、サンショウ属植物のアルコール抽出物を、順相および逆相クロマトグラフィーを適宜組み合わせることにより、精製する方法(特許文献1)、乾燥した山椒粉末の水エキスをカラムクロマトグラフィーで精製する方法(特許文献3)、花椒を水蒸気蒸留した精油を、カラムクロマトグラフィーで分画する方法(非特許文献2)などが挙げられる。しかしながら、これらのカラムクロマトグラフィーを用いる方法では、収率と作業性の煩雑さの面で問題があるため、工業的生産には適していない。 一方で、サンショウ属植物をアルコール抽出する方法についても幾つかの方法が知られている。例えば、サンショウ属植物からアミド化合物の取得は、溶剤抽出および精製により得られ、サンショウ属植物を、含水または非含水の低級アルコール(炭素数1〜4の1価アルコール)で抽出する方法(特許文献1)、サンショウの果皮500gを室温で1週間エタノール浸漬し、この抽出物中のエタノールを留去して9.7gのサンショウ抽出物を得る方法(特許文献4)、サンショウの成熟した果皮の乾燥物を細切し、エタノール中にて、50℃に加熱して5時間抽出する方法(特許文献5)、サンショウを、ヘキサンまたは含水アルコール等の溶剤で芳香成分や辛味成分を抽出した後、溶剤を除去することによりサンショウ抽出物を得る方法(特許文献6)などが挙げられる。しかしながら、これらの方法では、ヒドロキシサンショオール以外の成分、例えば、テルペン類、トリグリセライドなどの高沸点成分を同時に抽出してしまうことから、高純度のヒドロキシサンショオールを得ることはできない。 以上のように、サンショウ属植物の抽出油から、簡便で工業的に好適な方法で、ヒドロキシサンショオールを精製する方法を開発した例はいまだ知られていないのが現状であり、新たな方法の開発に多大な期待が寄せられている。特開平1−294657号公報特許第4627574号公報特許第4421832号公報特開2001−131033号公報特開2001−288047号公報特開2010−115118号公報香料(2006),No.229,129−137Journal of Agricultural and Food Chemistry(2008),56(5),1689−1694 本発明の目的は、上記の従来技術における問題点を解決し、サンショウ属植物の超臨界抽出により得られた抽出油から、テルペン類、トリグリセライドなどの高沸点成分を除去し、ヒドロキシサンショオールを高効率、高純度で製造する方法を提供することにある。 本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、サンショウ属植物の超臨界抽出により得られた抽出油をエタノール濃度が35〜65質量%のエタノール水溶液で抽出することにより、高純度のヒドロキシサンショオールを含有するヒドロキシサンショオール含有物を、効率よく抽出する方法を見出し、本発明を完成するに至った。 かくして、本発明は、サンショウ属植物の超臨界抽出により得られた抽出油からエタノール濃度が35〜65質量%のエタノール水溶液でヒドロキシサンショオールを抽出することを特徴とする、ヒドロキシサンショオール含有物の製造方法を提供するものである。 また、本発明は、ヒドロキシサンショオール含有物中のヒドロキシサンショオールが70質量%以上である前記の製造方法を提供するものである。 また、本発明は、サンショウ属植物がZanthoxylum piperitum(山椒)またはZanthoxylum bungeanum(中国花椒)である前記の製造方法を提供するものである。 さらに、本発明は、前記の製造方法により得られたヒドロキシサンショオール含有物を提供するものである。 本発明によれば、高純度のヒドロキシサンショオールを含有するヒドロキシサンショオール含有物を、低コストで、工業的に汎用性が高く、かつ、安全性の高い方法により提供することができる。 以下、本発明について更に詳細に説明する。 本発明で使用されるサンショウ属植物は、サンショウ属植物であれば特に限定されないが、Zanthoxylum piperitum(山椒)、Zanthoxylum bungeanum(中国花椒)、Zanthoxylum schinifolium(犬山椒)、Zanthoxylum nitidum(照葉山椒)が好ましく、特に、Zanthoxylum piperitum、Zanthoxylum bungeanumが好ましい。 本発明で使用されるサンショウ属植物の抽出油は、サンショウ属植物の果皮や果実、例えば、Zanthoxylum piperitumの果皮、Zanthoxylum bungeanumの果皮、Zanthoxylum piperitumの果実、Zanthoxylum schinifoliumの果実などから、圧搾法、水蒸気蒸留法、溶剤抽出法、超臨界抽出法、炭酸ガス抽出法、油脂吸着法などにより得られ、抽出油中にヒドロキシサンショオールを5〜30質量%含有する。 本発明でサンショウ属植物の抽出油からヒドロキシサンショオール含有物を抽出する方法は以下の通りである。すなわち、サンショウ属植物の抽出油とエタノール水溶液を攪拌混合した後しばらく静置する。その後、テルペン類やトリグリセライドなどの高沸点物を含むオイルが上層に分離される。分離したオイルを取り除くことにより、テルペン類や高沸点物などの夾雑物が除去され、下層のエタノール水溶液を減圧下留去することによりヒドロキシサンショオール含有物が得られる。 ヒドロキシサンショオールを抽出するための温度は、0℃〜70℃、好ましくは5℃〜50℃とすることにより、ヒドロキシサンショオール抽出物中の、ヒドロキシサンショオールの含有率を高めることができる。また、攪拌時間は5分〜120分、攪拌強度は400〜1000rpmが好適である。さらに、攪拌後の静置時間は20分〜120分が好適であるが、これ以上静置時間を長くしても、収率およびヒドロキシサンショオールの含有率に大差はない。 本発明のヒドロキシサンショオールを抽出するために使用されるエタノール水溶液のエタノール濃度は、35〜65質量%、好ましくは40〜60質量%、さらに好ましくは45〜55質量%を例示することができる。エタノール濃度が35質量%未満では、テルペン類やトリグリセライドなどの高沸点物を含むオイルがほとんど分離されず、ヒドロキシサンショオール含有物の収率が悪くなり、ヒドロキシサンショオール含有物を抽出する工業的な方法としては適さない。また、エタノール濃度が65質量%を超えると、抽出油に含まれる高沸点物が固体として沈殿するものの、テルペン類を取り除くことができず、ヒドロキシサンショオールの含有率が低下する。さらに、エタノール水溶液の使用量は、サンショウ属植物の抽出油に対して5〜50倍量、好ましくは10〜30倍量を例示することができる。 上記方法で得られたヒドロキシサンショオール含有物は、70質量%以上、好ましくは、70〜85質量%のヒドロキシサンショオールを含有するが、さらに、必要に応じて他の精製方法を組み合わせることにより、ヒドロキシサンショオールの含有率を高めることができる。精製方法としては、例えば、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーなどが挙げられる。 本発明で得られたヒドロキシサンショオール含有物は、そのままで食品素材、特に辛味増強素材あるいは、機能性素材として使用することができるが、所望により、これに乳化剤、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステルおよび蔗糖脂肪酸エステルなどを添加し、ホモジナイズすることにより乳化状態にすることや、さらに、アラビアガム、澱粉、デキストリン、キサンタンガム、サイクロデキストリンなどの粉末化助剤と混合して噴霧乾燥および真空乾燥などの乾燥手段を用いて乾燥することにより、乳化形態あるいは粉末形態として使用することができる。 本発明で得られたヒドロキシサンショオール含有物は、わさび、カラシ、おろししょうが、おろしにんにく、カレー、豆板醤、キムチ、ハム、ソーセージ、ドレッシング、シチュー、即席麺スープ、野菜スープ、トマトソース、ピザ、焼き鳥、焼き豚、しょうが焼き、うなぎ蒲焼きなどの食品に添加することにより、辛味増強効果を付与することができる。 以下、参考例、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。 参考例1:中国花椒抽出油の調製方法粉砕した中国花椒の乾燥果皮1000gと水300gを均一に混合し、内容量5Lの超臨界抽出装置に仕込み、抽出温度40℃、圧力20MPa、抽出助剤として95%エタノールを2.5%含有した超臨界二酸化炭素により、流速5Kg/hの条件で2時間抽出した。中国花椒抽出物含有二酸化炭素流体を分離槽に導き、分離槽の温度20℃、圧力5MPaの条件で分離し、超臨界二酸化炭素抽出物である、中国花椒抽出油130g(参考品1)を得た。 実施例1:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に中国花椒抽出油(参考品1)、抽出溶媒に40%エタノール水溶液を使用)開放容器内で中国花椒抽出油(参考品1)5.0gを、40%エタノール水溶液130gと室温にて30分、攪拌しながら混合した。前記攪拌混合物を室温で30分放置したところ、オイル層(上層)と含水エタノール層(下層)に分離した。これを分液ロートに移し、含水エタノール層を取り出し、減圧下にて溶媒を留去することにより、ヒドロキシサンショオール含有物1.4g(本発明品1)を得た。収率28%。 実施例2:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に中国花椒抽出油(参考品1)、抽出溶媒に50%エタノール水溶液を使用)実施例1において、40%エタノール水溶液130gに代えて50%エタノール水溶液100gを使用すること以外は実施例1と同じ条件により、ヒドロキシサンショオール含有物1.9g(本発明品2)を得た。収率39%。 実施例3:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に中国花椒抽出油(参考品1)、抽出溶媒に60%エタノール水溶液を使用)実施例1において、40%エタノール水溶液130gに代えて60%エタノール水溶液130gを使用すること以外は実施例1と同じ条件により、ヒドロキシサンショオール含有物2.1g(本発明品3)を得た。収率42%。 比較例1:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に中国花椒抽出油(参考品1)、抽出溶媒に30%エタノール水溶液を使用)実施例1において、40%エタノール水溶液130gに代えて30%エタノール水溶液130gを使用すること以外は実施例1と同じ条件により、ヒドロキシサンショオール含有物0.9g(比較品1)を得た。収率18%。 比較例2:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に中国花椒抽出油(参考品1)、抽出溶媒に70%エタノール水溶液を使用)開放容器内で中国花椒抽出油(参考品1)5.0gを、70%エタノール水溶液100gと室温にて30分、攪拌しながら混合した。前記攪拌混合物を室温で30分放置したところ、含水エタノール層(液層)と白色沈殿物(固層)に分離した。デカントにより含水エタノール層を取り出し、減圧下にて溶媒を留去することにより、ヒドロキシサンショオール含有物4.1g(比較品2)を得た。収率82%。 比較例3:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(中国花椒抽出油(参考品1)の分子蒸留処理)中国花椒抽出油(参考品1)155.5gに対し、米サラダ油(ボーソー油脂社製)31.1gを添加し、表1に示す条件で計3回の分子蒸留を行った。なお、1回目での分子蒸留では原料を、2回目の分子蒸留では1回目の蒸留残渣を、3回目の分子蒸留では2回目の蒸留残渣を試料として供した。 上記の分子蒸留により、蒸留残渣として、ヒドロキシサンショオール含有物130.6g(比較品3)を得た。収率64%。 比較例4:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(中国花椒抽出油(参考品1)の水蒸気蒸留処理)中国花椒抽出油(参考品1)133.9gに対し、イオン交換水500gを添加し、さらにイオン交換水を滴下しながら水蒸気蒸留を行った。水蒸気蒸留により主としてテルペン類を取り除き、蒸留残渣として、ヒドロキシサンショオール含有物98.3g(比較品4)を得た。収率73%。 実施例4参考品1、本発明品1から3および比較品2から4に含まれるヒドロキシサンショオールの含有率をHPLC法にて測定した。比較品1は収率が悪いためHPLC測定を実施しなかった。分析結果を表2に示す。 [HPLC法によるヒドロキシサンショオールの測定]標準液調製25mLのメスフラスコにヒドロキシサンショオール標準品を約0.1g精密に量りとり、アセトニトリルでメスアップした後にさらに50%アセトニトリルで適宜精密に希釈し、標準液を調製した。HPLC測定試料調製抽出物約0.01gを50mLのメスフラスコに精密に量りとり、メタノールでメスアップした後、PTFE膜フィルター(ミリポア社、孔径0.45μm)処理を行った。この調製液をHPLC分析に供した。HPLC分析条件機種 :SHIMADZU LC20A(島津製作所)カラム :TSK−GEL ODS−100V(TOSOH) 内径4.6mm×長さ250mm、粒子径5μmカラム温度 :40℃移動相 :A液 水:アセトニトリル:リン酸=900:100:1 B液 水:アセトニトリル:リン酸=100:900:1グラジェント条件:(A):(B)=50:50(0分),50:50(10分), 〜0:100(30分),0:100(45分)流速 :0.7mL/min注入量 :10μL測定時間 :45min.保持時間 :14〜18min.(ヒドロキシサンショオールとして3本のピーク)検出器 :PDA(測定波長:270nm) [HPLC測定用ヒドロキシサンショオール標準品の合成]HPLC測定用ヒドロキシサンショオール標準品は、非特許文献2およびThe Journal of Organic Chemistry(1969),34(4),1147−1149を参考に合成した。合成したヒドロキシサンショオールをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、HPLC測定用ヒドロキシサンショオール標準品とした。 表2に示したとおり、実施例1から3の抽出方法により、共雑物の少ない、高純度のヒドロキシサンショオールを含有する、ヒドロキシサンショオール含有物を調製することができた。また、比較例2のように、抽出溶媒として使用するエタノール水溶液のエタノール濃度が高すぎると、オイル層が生成されず、トリグリセライドなどの高沸点物を含む白色沈殿物が生成され、テルペン類などがエタノール水溶液の層に含有されるため、高純度のヒドロキシサンショオールを含有する、ヒドロキシサンショオール含有物を調製することができなかった。さらに、分子蒸留や水蒸気蒸留では、中国花椒抽出油のヒドロキシサンショオール含有率と大差なく、ヒドロキシサンショオールの含有率を向上させる効果はあまりなかった。 参考例2:山椒抽出油の調製方法粉砕した山椒の乾燥果皮1000gと水300gを均一に混合し、内容量5Lの超臨界抽出装置に仕込み、抽出温度40℃、圧力20MPa、抽出助剤として95%エタノールを2.5%含有した超臨界二酸化炭素により、流速5Kg/hの条件で3時間抽出した。山椒抽出物含有二酸化炭素流体を分離槽に導き、分離槽の温度20℃、圧力5MPaの条件で分離し、超臨界二酸化炭素抽出物である、山椒抽出油118g(参考品2)を得た。 実施例5:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に山椒抽出油(参考品2)、抽出溶媒に40%エタノール水溶液を使用)開放容器内で山椒抽出油(参考品2)5.0gを、40%エタノール水溶液130gと室温にて30分、攪拌しながら混合した。前記攪拌混合物を室温で30分放置したところ、オイル層(上層)と含水エタノール層(下層)に分離した。これを分液ロートに移し、含水エタノール層を取り出し、減圧下にて溶媒を留去することにより、ヒドロキシサンショオール含有物1.3g(本発明品4)を得た。収率26%。 実施例6:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に山椒抽出油(参考品2)、抽出溶媒に50%エタノール水溶液を使用)実施例5において、40%エタノール水溶液130gに代えて50%エタノール水溶液120gを使用すること以外は実施例5と同じ条件により、ヒドロキシサンショオール含有物1.4g(本発明品5)を得た。収率28%。 実施例7:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に山椒抽出油(参考品2)、抽出溶媒に60%エタノール水溶液を使用)実施例5において、40%エタノール水溶液130gに代えて60%エタノール水溶液130gを使用すること以外は実施例1と同じ条件により、ヒドロキシサンショオール含有物1.5g(本発明品6)を得た。収率30%。 比較例5:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に山椒抽出油(参考品2)、抽出溶媒に30%エタノール水溶液を使用)実施例5において、40%エタノール水溶液130gに代えて30%エタノール水溶液130gを使用すること以外は実施例1と同じ条件により、ヒドロキシサンショオール含有物0.7g(比較品5)を得た。収率14%。 比較例6:ヒドロキシサンショオール含有物の抽出方法(原料に山椒抽出油(参考品2)、抽出溶媒に70%エタノール水溶液を使用)開放容器内で山椒抽出油(参考品2)5.0gを、70%エタノール水溶液120gと室温にて30分、攪拌しながら混合した。前記攪拌混合物を室温で30分放置したところ、含水エタノール層(液層)と白色沈殿物(固層)に分離した。デカントにより含水エタノール層を取り出し、減圧下にて溶媒を留去することにより、ヒドロキシサンショオール含有物3.8g(比較品6)を得た。収率76%。 実施例8参考品2、本発明品4から6および比較品6に含まれるヒドロキシサンショオールの含有率をHPLC法にて測定した。比較品5は収率が悪いためHPLC測定を実施しなかった。分析結果を表3に示す。ヒドロキシサンショオールの定量方法は、実施例4と同様の方法で行った。 表3に示したとおり、実施例5から7の抽出方法により、共雑物の少ない、高純度のヒドロキシサンショオールを含有する、ヒドロキシサンショオール含有物を調製することができた。また、比較例6のように、抽出溶媒として使用するエタノール水溶液のエタノール濃度が高すぎると、中国花椒抽出油からヒドロキシサンショオールを抽出する方法と同様な理由で、高純度のヒドロキシサンショオールを含有する、ヒドロキシサンショオール含有物を調製することができなかった。 サンショウ属植物の超臨界抽出により得られた抽出油からエタノール濃度が35〜65質量%のエタノール水溶液でヒドロキシサンショオールを抽出することを特徴とする、ヒドロキシサンショオール含有物の製造方法。 ヒドロキシサンショオール含有物中のヒドロキシサンショオールが70質量%以上である請求項1に記載の製造方法。 サンショウ属植物がZanthoxylum piperitum(山椒)またはZanthoxylum bungeanum(中国花椒)である請求項1または2のいずれかに記載の製造方法。 請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法により得られたヒドロキシサンショオール含有物。


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