生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_コラーゲン産生の促進方法
出願番号:2011150005
年次:2013
IPC分類:A61K 38/00,A61K 8/64,A61K 8/46,A61Q 19/08,A61K 38/17,A61K 31/375,A61K 31/198,A61P 17/16


特許情報キャッシュ

▲高▼木 雅哉 柴田 道男 石松 弓子 出田 立郎 本山 晃 JP 2013014555 公開特許公報(A) 20130124 2011150005 20110706 コラーゲン産生の促進方法 株式会社 資生堂 000001959 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 福本 積 100087871 古賀 哲次 100087413 渡辺 陽一 100117019 武居 良太郎 100150810 津田 英直 100166165 ▲高▼木 雅哉 柴田 道男 石松 弓子 出田 立郎 本山 晃 A61K 38/00 20060101AFI20121221BHJP A61K 8/64 20060101ALI20121221BHJP A61K 8/46 20060101ALI20121221BHJP A61Q 19/08 20060101ALI20121221BHJP A61K 38/17 20060101ALI20121221BHJP A61K 31/375 20060101ALI20121221BHJP A61K 31/198 20060101ALI20121221BHJP A61P 17/16 20060101ALI20121221BHJP JPA61K37/02A61K8/64A61K8/46A61Q19/08A61K37/12A61K31/375A61K31/198A61P17/16 3 7 OL 11 4C083 4C084 4C086 4C206 4C083AC581 4C083AC582 4C083AD411 4C083AD412 4C083AD431 4C083AD432 4C083AD641 4C083AD642 4C083CC02 4C083CC03 4C083EE07 4C083EE12 4C083EE13 4C084AA02 4C084BA10 4C084BA14 4C084BA26 4C084BA28 4C084BA44 4C084CA59 4C084DC31 4C084DC50 4C084MA02 4C084MA52 4C084MA57 4C084MA63 4C084MA66 4C084NA14 4C084ZA89 4C084ZB22 4C084ZC28 4C086AA01 4C086AA02 4C086BA18 4C086MA01 4C086MA02 4C086MA03 4C086MA04 4C086MA52 4C086MA57 4C086MA63 4C086MA66 4C086NA14 4C086ZA89 4C086ZB22 4C086ZC28 4C206AA01 4C206AA02 4C206JA58 4C206MA01 4C206MA02 4C206MA03 4C206MA04 4C206MA72 4C206MA77 4C206MA86 4C206NA14 4C206ZA89 4C206ZB22 4C206ZC28 本発明は、アスコルビン酸サイクルを駆動することによるコラーゲン産生の促進方法、並びにアスコルビン酸サイクルを駆動する化合物を含むコラーゲン産生促進剤に関する。 皮膚の表皮及び真皮は、表皮細胞、線維芽細胞、及びコラーゲン等の細胞外マトリクスにより構成されており、これらの皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことによって、皮膚の保湿機能や柔軟性、弾力性などが確保され、張りや艶のあるみずみずしい肌の状態が維持される。ところが、紫外線の照射や乾燥などの外的因子の影響、又は加齢によって、細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲンの産生量が減少すると、皮膚の保湿機能や弾力性が低下し、皮膚の張りや艶が失われ、荒れ、しわ、たるみが発生する。このような、外見上の加齢変化は、多くの中高年齢者に限らず、肌を若々しく保ちたいという女性にとって切実な問題となっている。 しわ・たるみの要因の一つは、皮膚組織が加齢に伴い菲薄化することによる。老化した皮膚においては、真皮の主要なマトリックス成分であるコラーゲン線維の減少が著しく、このことが皮膚の厚さが減少する主たる原因となっている。したがって、コラーゲンの産生を促進させてコラーゲン量を維持することが、しわ・たるみの予防・改善に有効であると考えられる。コラーゲン産生を促進する物質として、様々な物質が研究されてきており、酵母抽出物、ブナ属植物の幼芽、アスコルビン酸などがコラーゲン産生を促進することが分かっている(特許文献1〜3)。 コラーゲンは、美容を目的として特に若い女性を中心に、栄養補助食品として服用されているが、巨大分子であるコラーゲンが体内に吸収されるためには消化されることが必要であることから、コラーゲン摂取による美容効果は疑問視されている。その一方で、コラーゲンペプチドは、分子量250から15,000程度のペプチドまでは腸管から吸収されるという報告されており(非特許文献1)、コラーゲンペプチドが体内で増加することにより、体内のコラーゲンの分解が生じたと誤認識し、コラーゲン生産の促進が図られるという説もあり、コラーゲン摂取による美容効果は未だよく分かっていない。 コラーゲンは、動物の体タンパク質の約30%を占め、皮膚のみならず、骨、歯、腱などを構成する主要なタンパク質である。コラーゲンは特徴あるアミノ酸組成を有し、グリシンが全アミノ酸の3分の1、ヒドロキシプロリンとプロリンの総量が全アミノ酸の4分の1を占める。そしてコラーゲンは、一般のタンパク質に含まれない特殊なアミノ酸として、ヒドロキシリジンとヒドロキシプロリンを含む。ヒドロキシプロリンは、コラーゲンの基本構造である三重らせん構造を安定化させる役割を担い、ヒドロキシリジンは、コラーゲン生合成の最終段階である線維の熟成、架橋形成に重要な役割を果たしている。 コラーゲン前駆体中のプロリン残基やリジン残基をヒドロキシル化して、コラーゲン特有のヒドロキシプロリン残基に変える課程にアスコルビン酸(ビタミンC)が関与していることが知られており、アスコルビン酸が欠乏することにより生成するコラーゲン線維の性質が変化し、壊血病を引き起こす(非特許文献2)。 アスコルビン酸は強い還元性を有し、プロリン残基やリジン残基をヒドロキシル化すると、デヒドロアスコルビン酸へと酸化される。デヒドロアスコルビン酸は、生体内において、グルタチオンを水素供与体としてデヒドロアスコルビン酸レダクターゼにより、又はシステイン、グルタチオンなどのチオール化合物により非酵素的にアスコルビン酸に還元される(非特許文献3)。 アスコルビン酸がコラーゲン産生を促進することは知られていた(特許文献1及び特許文献2)が、グルタチオンとコラーゲン産生との関係については、線維芽細胞内グルタチオン量の減少が、コラーゲン産生量の増加と関係している(特許文献3)と記載されているに過ぎなかった。 したがって、アスコルビン酸サイクルにおいて、グルタチオンを水素供与体としてデヒドロアスコルビン酸をアスコルビン酸に変換する工程が知られていたものの、グルタチオン量の減少が、コラーゲン産生量の増加と関係していることから、グルタチオンの増加が必ずしもアスコルビン酸サイクルを駆動しているわけではないという結論が導かれていた。この結論は、グルタチオンが、生体内で細胞内チオール環境の維持や毒物・薬物などの細胞外排出といった多岐にわたる生理機能を有することに起因すると考えられていた。特開平11−246333特開平11−322577特開平11−158054特開2006−151860Oesser S, et al., J. Oral administration of 14C labeled gelatin hydrolysate leads to an accumulation of radioactivity in cartilage of mice(C57/BL). J Nutr 129:1891-1895,1999コーンスタンプ 生化学 第5版ビタミンハンドブック第2巻 水溶性ビタミン コラーゲン又はコラーゲンペプチドの摂取によるコラーゲン産生促進作用を確認すること、アスコルビン酸サイクルを駆動することによりコラーゲン産生を促進する方法を提供すること、並びにアスコルビン酸サイクルを駆動する物質を提供することが本発明の課題である。 本発明者らがコラーゲンペプチド含有食品を摂取させたヒトにおいて、メタボローム解析を実施して鋭意研究した結果、コラーゲンペプチド含有食品の摂取により、アスコルビン酸サイクルに関与するグルタチオン(システイン)がコラーゲンペプチドの含有食品を摂取した後に減少することを見出した(図4)。 これらの結果は、コラーゲンペプチド含有食品の摂取により、デヒドロアスコルビン酸をアスコルビン酸へと変換するサイクルが駆動された結果、グルタチオンが減少したということを示すものである。すなわち、コラーゲンペプチドの単独摂取によってコラーゲン産生は促進し、アスコルビン酸サイクルが駆動された結果、体内におけるグルタチオンが枯渇してしまい、コラーゲンペプチドの単独摂取ではコラーゲン産生が限定的になるという驚くべき知見を得た。 そこで、本発明者らは、コラーゲン産生を促進するには、アスコルビン酸サイクルを継続的に駆動することが必要であるという結論に到り、本発明に到った。すなわち、本発明は、アスコルビン酸サイクルを駆動することによるコラーゲン産生の促進方法に関する。アスコルビン酸サイクルの駆動は、グルタチオン及び/又はシステインを投与することによる。このアプローチは、特許文献3に記載のコラーゲン産生量を増加させるためにグルタチオンを減少させる化合物を投与する手法とは真逆である。特許文献3は、グルタチオン量の減少が、コラーゲン産生量の増加と関係していることを見出したが、この関係はコラーゲン産生量が増加することにより、グルタチオンが枯渇した結果を見出したにすぎない。したがって、特許文献3に記載されるようにグルタチオンを減少させる化合物を投与したとしても、コラーゲン産生量の増加は期待できず、本願に記載されるようにグルタチオン(又はシステイン)を投与するか、又はグルタチオン(又はシステイン)を増加させる化合物を投与することで始めて、アスコルビン酸サイクルを継続的に駆動することができ、結果としてコラーゲン産生量の増加を導くことが可能となる。 グルタチオン又はシステインを投与することにより、アスコルビン酸サイクルが継続的に駆動されて、コラーゲン産生が促進され(図1及び5)、さらにアスコルビン酸とグルタチオンの組合せ、並びにアスコルビン酸とシステインの組合せを投与することにより、高い効果でコラーゲン産生を促進することが明らかになった(図7)。 本発明により、アスコルビン酸サイクルを継続的に駆動することにより、コラーゲン及び/又はコラーゲンペプチドを単独摂取した場合よりも、皮膚におけるコラーゲン産生が促進される。これにより、皮膚の荒れ、しわ、たるみが改善し、皮膚の老化防止、並びに皮膚の張りや艶、弾力性の向上が期待される。 グルタチオン、システイン、アスコルビン酸、コラーゲンは、いずれも体内に存在する化合物であり、すでにその安全性が認められているものであることから、これらを投与する方法、又はこれらを含む組成物についてもその安全性は極めて高い。図1は、コラーゲン産生に寄与するアスコルビン酸サイクルを図示するものである。Ascはアスコルビン酸を表し、GSHは還元型グルタチオンを表し、GSSGは酸化型グルタチオン(グルタチオンジスルファイド)を表し、Cysはシステインを表す。コラーゲン又はコラーゲンペプチドの摂取によりコラーゲン産生が促進されると、Asc、GSH、及びCysが減少し欠乏する。図2は、ヒトにおけるコラーゲンの摂取が、ヒトの皮膚においてコラーゲン特有のアミノ酸であるヒドロキシプロリン量を増加させることを示すグラフである。図3は、コラーゲンペプチドがヒト線維芽細胞においてコラーゲン産生を促進することを示すグラフである。図4は、ヒトにおけるコラーゲンの摂取が、ヒトの皮膚におけるグルタチオン量を低下させることを示すグラフである。図5は、グルタチオン及びシステインがヒト線維芽細胞においてコラーゲン産生を促進することを示すグラフである。図6は、アスコルビン酸とコラーゲンペプチドの組合せが、ヒト線維芽細胞においてコラーゲン産生をさらに促進することを示すグラフである。図7は、アスコルビン酸とグルタチオン、アスコルビン酸とシステインの組合せがヒト線維芽細胞においてコラーゲン産生をさらに増加させることを示すグラフである。 本発明の1の態様は、アスコルビン酸サイクルを駆動することによるコラーゲン産生の促進方法に関する。アスコルビン酸サイクルの駆動は、グルタチオン及びシステインからなる群から選ばれるいずれか1つ以上を投与することにより、酸化型アスコルビン酸をアスコルビン酸へと還元する反応を促進し、結果としてコラーゲンの産生を増大させることである(図1及び図5を参照のこと)。さらにはアスコルビン酸サイクルの駆動は、グルタチオン及び/又はシステインを増加させる薬剤を投与することにより達成することもできる。このようなコラーゲン産生の促進方法は、コラーゲン産生を必要とするヒトに対して行われることが好ましい。コラーゲン産生を必要とするヒトとは、シワやたるみの予防・改善、ひいては皮膚老化の防止を望むヒトのことを指すが、それらに限られるものではなく、その場合本発明のコラーゲン産生の促進方法は、シワやたるみの予防・改善方法、皮膚老化の予防方法になる。 本発明の他の実施態様では、上記コラーゲン産生の促進方法において、さらにアスコルビン酸が投与されてもよい。アスコルビン酸の投与は、コラーゲン産生のために駆動されているアスコルビン酸サイクルを増強し、結果としてコラーゲンの産生を促進する(図7を参照のこと)。 本発明のさらなる実施態様では、上記コラーゲン産生の促進方法において、コラーゲン及び/又はコラーゲンペプチドがさらに投与されてもよい。コラーゲン及び/又はコラーゲンペプチドは、皮膚においてコラーゲン特有のアミノ酸であるヒドロキシプロリンを増加する(図2を参照のこと)。皮膚におけるヒドロキシプロリンの増加は、皮膚におけるコラーゲンの増加を示す。コラーゲン及び/又はコラーゲンペプチドの投与が、皮膚におけるコラーゲンを増加させる点については、ヒト線維芽細胞を用いた実験においても示されている(図3を参照のこと)。したがって、コラーゲン及び/又はコラーゲンペプチドを、グルタチオン及び/又はシステインと併せて投与することにより、コラーゲン産生により減少するアスコルビン酸を補充しつつ、コラーゲンを継続的に産生させることを可能にし、結果として大幅にコラーゲン産生を促進することができる。さらにアスコルビン酸を投与することによりアスコルビン酸サイクルを増強することができる。 本発明の1の態様では、本発明は、グルタチオン及びシステインからなる群から選ばれる1つ以上を含んでなるコラーゲン産生促進剤に関する。当該コラーゲン産生促進剤は、アスコルビン酸サイクルを駆動することによりコラーゲン産生を促進する。皮膚においてコラーゲンの産生が促進されることにより、しわ、たるみの予防・改善することができるため、コラーゲン産生促進剤は、しわ、たるみ予防・改善用の組成物、及び抗老化用組成物として用いられる。 本発明の他の実施態様では、上記コラーゲン産生促進剤は、アスコルビン酸をさらに含んでもよい。アスコルビン酸を含めることで、アスコルビン酸サイクルが増強され、結果としてコラーゲン産生が大幅に促進される(図7)。 本発明のさらなる実施態様では、上記コラーゲン産生促進剤は、さらにコラーゲン及び/又はコラーゲンペプチドを含む。コラーゲン及び/又はコラーゲンペプチドを含むことで、コラーゲン産生が大幅に促進される。 本発明の1の態様では、本発明は、グルタチオン、システイン、コラーゲン若しくはコラーゲンペプチドからなる群から選ばれる2以上の組合せを含んでなる食品に関する。好ましくは、上記食品は、グルタチオン、システイン、コラーゲン、及びアスコルビン酸を含む。 本発明において、投与されるコラーゲンは、動物由来の任意のコラーゲンが含まれ、例えばブタ、ウシ、魚などに由来するコラーゲンである。このようなコラーゲンのペプチドであってもよい。 本発明において、アスコルビン酸には、体内においてアスコルビン酸に変換されるプロビタミンCも含むものとする。プロビタミンCとしては、例えば、アスコルビン酸−2−リン酸−6−パルミテートナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。 本発明において、投与とは、経口投与、経皮投与、静脈内投与、腹腔内投与、舌下投与などが挙げられるがそれらに限られない。これらの中で経口投与が好ましい。 本発明において、アスコルビン酸サイクルとは、図1において表されるようにコラーゲン前駆体のプロリン及び/又はリジン残基のヒドロキシル化により、アスコルビン酸(Asc)がデヒドロアスコルビン酸(酸化型ASC)に酸化し、このデヒドロアスコルビン酸をグルタチオン(GSH)が還元してアスコルビン酸に戻すサイクルを言う。グルタチオンにより還元されたアスコルビン酸は再びプロリン及び/又はリジン残基をヒドロキシル化するのに用いられる。デヒドロアスコルビン酸を還元する反応により、グルタチオンは、酸化型グルタチオン(GSSG)に変換され、こうして生じた酸化型グルタチオンは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)の作用によりグルタチオンへと再び還元される。グルタチオンは、システイン、グルタミン酸、及びグリシンのトリペプチドであり、システインの投与によりグルタチオン量を増やすことができる。実施例1:コラーゲン摂取がヒトの皮膚におけるヒドロキシプロリン量に与える影響メタボローム解析 4000mgのコラーゲンペプチド(HACP-U2 ゼライス社製)、400mgのクエン酸、12mgの甘味料(スクラロース、アセスルファムK)、及び200mgの香料、及び100mgのカラメル色素を含んでなる4gコラーゲン含有ドリンクを、4週間にわたり被験者に1日1本与えた。4gコラーゲン含有ドリンク摂取前および4週間後に、被験者の臀部より皮膚組織を採取した。消毒薬(0.05%ヒビテン)で皮膚採取部位を消毒し、局所麻酔薬(1%エピネフリン含有キシロカイン)を採取部位に注射し、パンチバイオプシーを内径3mmのデルマパンチを用いて実施し、皮膚組織を採取した。皮膚組織にメタノールを加えてホモジナイズし、皮膚成分を抽出した後、水・クロロホルムを加えて液―液分配を行い、脂質類の除去を行った。その後、限外ろ過フィルター(ミリポア社、UFC3 LCC 00)を用いて、ろ過を行った後、遠心エバポレーターを用いて乾固させた。その後、組織重量に応じたミリQ水を加えて再溶解した後、CE-TOFMS(アジレント社)を用いて、分析を行った。データの解析には解析ソフトMaster Hands(慶応大)を用い、ヒドロキシプロリンに該当するピーク面積を測定した(図2)。実施例2:コラーゲン摂取がヒトの皮膚におけるグルタチオン量に与える影響メタボローム解析 実施例1と同じ処方の4gコラーゲン含有ドリンクを、4週間にわたり被験者に1日1本与えた。4gコラーゲン含有ドリンク摂取前および4週間後に、被験者の臀部より皮膚組織を採取した。消毒薬(0.05%ヒビテン)で皮膚採取部位を消毒し、局所麻酔薬(1%エピネフリン含有キシロカイン)を採取部位に注射し、パンチバイオプシーを内径3mmのデルマパンチを用いて実施し、皮膚組織を採取した。皮膚組織にメタノールを加えてホモジナイズし、皮膚成分を抽出した後、水・クロロホルムを加えて液―液分配を行い、脂質類の除去を行った。その後、限外ろ過フィルター(ミリポア社、UFC3 LCC 00)を用いて、ろ過を行った後、遠心エバポレーターを用いて乾固させた。その後、組織重量に応じたミリQ水を加えて再溶解した後、CE-TOFMS(アジレント社)を用いて、分析を行った。データの解析には解析ソフトMaster Hands(慶応大)を用いた。4gコラーゲン含有ドリンク摂取前のグルタチオンの平均量を100とすると、4週間後のグルタチオンの平均量は35.4に減少した(図4)。実施例3:ヒト線維芽細胞によるコラーゲン産生についてのコラーゲンペプチドの影響 24ウェルプレートに10%FBS添加DMEM培地を加え、ヒト線維芽細胞を6×104細胞/ウェルで播種し接着を確認後、培地を吸引した。1mLのDMEM/0.5%FBSで洗浄後、0.5mLのDMEM/0.5%FBSを加えた。2日目に、ニッピ社コラーゲンペプチドFCP、100μg/mlのゼライス社コラーゲンペプチドHACPを終濃度が各100μg/mlになるように加え、対照については添加せずに48時間培養した。培養後、培地を採取し、−20℃で保存した後にコラーゲンアッセイに用いた。培養上清を除去した後に0.5mLのDMEM/0.5%FBSで細胞を洗浄し、10%アラマブルー/DMEM/0.5%FBSを0.5mL添加し、すぐに0時間における蛍光値を測定した。その後3時間培養して、3時間目における蛍光値を測定した。(3時間後蛍光値)−(0時間蛍光値)の値をもとに細胞生存率を計算した。PIP EIA Kit(I型コラーゲン産生量測定キット:タカラバイオ社)を用いて、製品説明書に従い、上記で採取し保存した培地中のコラーゲン量を測定し、コラーゲン産生量を細胞生存率で補正した(コラーゲン産生/細胞生存率)。結果を図3に示す。実施例4:ヒト線維芽細胞によるコラーゲン産生についてのグルタチオン又はシステインの影響 24ウェルプレートに10%FBS添加DMEM培地を加え、ヒト繊維芽細胞を6×104細胞/ウェルの密度で播種し接着を確認後、培地を吸引した。1mLのDMEM/0.5%FBSで洗浄後、0.5mLのDMEM/0.5%FBSを加えた。2日目に、グルタチオン及びシステインを終濃度が各1mMとなるように添加し、対照については添加せずに48時間培養した。培養後、培地を採取し、−20℃で保存した後にコラーゲンアッセイに用いた。培地を除去した細胞に0.5mLのDMEM/0.5%FBSで細胞を洗浄し、10%アラマブルー/DMEM/0.5%FBSを0.5mL添加し、すぐに0時間における蛍光値を測定した。その後3時間培養して、3時間目における蛍光値を測定した。(3時間後蛍光値)−(0時間蛍光値)の値をもとに細胞生存率を計算した。PIP EIA Kit(I型コラーゲン産生量測定キット:タカラバイオ社)を用いて、製品説明書に従い、上記で採取し保存した培地中のコラーゲン量を測定し、コラーゲン産生量を細胞生存率で補正した(コラーゲン産生/細胞生存率)。結果を図5に示す。実施例5:ヒト線維芽細胞によるコラーゲン産生についてのアスコルビン酸とコラーゲンペプチドの作用 24ウェルプレートに10%FBS添加DMEM培地を加え、ヒト線維芽細胞を6×104細胞/ウェルで播種し接着を確認後、培地を吸引した。1mLのDMEM/0.5%FBSで洗浄後、0.5mLのDMEM/0.5%FBSを加えた。2日目に、アスコルビン酸、アスコルビン酸+ニッピ社コラーゲンペプチドFCP、アスコルビン酸+ゼライス社コラーゲンペプチドHACPをアスコルビン酸は終濃度10μMに、コラーゲンペプチドは100μg/mLになるように加え、対照については添加せずに48時間培養した。培養後、培地を採取し、−20℃で保存した後にコラーゲンアッセイに用いた。培養上清を除去した後に0.5mLのDMEM/0.5%FBSで細胞を洗浄し、10%アラマブルー/DMEM/0.5%FBSを0.5mL添加し、すぐに0時間における蛍光値を測定した。その後3時間培養して、3時間目における蛍光値を測定した。(3時間後蛍光値)−(0時間蛍光値)の値をもとに細胞生存率を計算した。PIP EIA Kit(I型コラーゲン産生量測定キット:タカラバイオ社)を用いて、製品説明書に従い、保存された培地中のコラーゲン量を測定し、コラーゲン産生量を細胞生存率で補正した(コラーゲン産生/細胞生存率)。結果を図6に示す。実施例6:ヒト線維芽細胞によるコラーゲン産生についてのアスコルビン酸とグルタチオン又はシステインの作用 24ウェルプレートに10%FBS添加DMEM培地を加え、ヒト繊維芽細胞を6×104細胞/ウェルの密度で播種し接着を確認後、培地を吸引した。1mLのDMEM/0.5%FBSで洗浄後、0.5mLのDMEM/0.5%FBSを加えた。2日目に、アスコルビン酸、アスコルビン酸+グルタチオン、及びアスコルビン酸+システインを、アスコルビン酸は終濃度10μMに、グルタチオンおよびシステインは1mMになるように添加し、対照については添加せずに48時間培養した。培養後、培地を採取し、−20℃で保存した後にコラーゲンアッセイに用いた。培地を除去した細胞に0.5mLのDMEM/0.5%FBSで細胞を洗浄し、10%アラマブルー/DMEM/0.5%FBSを0.5mL添加し、すぐに0時間における蛍光値を測定した。その後3時間培養して、3時間目における蛍光値を測定した。(3時間後蛍光値)−(0時間蛍光値)の値をもとに細胞生存率を計算した。PIP EIA Kit(I型コラーゲン産生量測定キット:タカラバイオ社)を用いて、製品説明書に従い、保存された培地中のコラーゲン量を測定し、コラーゲン産生量を細胞生存率で補正した(コラーゲン産生/細胞生存率)。結果を図7に示す。結論 本発明者らの研究により、コラーゲンペプチドの摂取が、ヒトにおいて、コラーゲン特有のアミノ酸であるヒドロキシプロリンの量を増加させること(図2)、並びにin vitroにおいてコラーゲンペプチドがヒト線維芽細胞においてコラーゲン産生を増加させること(図3)が示された。その一方で、コラーゲンペプチドの摂取が、ヒトにおいてグルタチオン量の低下を招くことが明らかになり(図4)、コラーゲン産生をさらに増加させるためにはコラーゲンペプチドの投与に加えアスコルビン酸サイクルを駆動するグルタチオンの投与が必要であることが示された(図5)。また、コラーゲンペプチドをアスコルビン酸とともに投与すること、並びにアスコルビン酸を、グルタチオンと供に投与することで、ヒト線維芽細胞において高いコラーゲン産生の効果を生ずることが示された(図6及び図7)。コラーゲンペプチドによるコラーゲン産生効果と、アスコルビン酸の添加が相乗効果を示すことから、アスコルビン酸サイクルを駆動するグルタチオン・システインの投与によるコラーゲン産生効果とコラーゲンペプチドによるコラーゲン産生効果も高い効果を示すと考えられる。 グルタチオン及びシステインからなる群から選ばれるいずれか1つ以上を含んでなるコラーゲン産生促進剤。 さらにアスコルビン酸を含んでなる、請求項1に記載のコラーゲン産生促進剤。 さらにコラーゲンペプチドを含んでなる、請求項1又は2に記載のコラーゲン産生促進剤。 【課題】コラーゲンペプチド摂取によるコラーゲン産生促進作用を確認し、コラーゲン産生の促進を高める方法を提供すること、並びにコラーゲンペプチドと作用してコラーゲン産生を促進する物質を提供すること。【解決手段】グルタチオン及び/又はシステインを投与することによりアスコルビン酸サイクルを駆動することに依る。【選択図】図7


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