| タイトル: | 公開特許公報(A)_2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法 |
| 出願番号: | 2011118315 |
| 年次: | 2012 |
| IPC分類: | C07D 487/22 |
▲濱▼口 裕三 舩岡 創平 井上 佳久 福原 学 JP 2012246240 公開特許公報(A) 20121213 2011118315 20110526 2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法 住友ベークライト株式会社 000002141 国立大学法人大阪大学 504176911 増田 達哉 100091292 朝比 一夫 100091627 ▲濱▼口 裕三 舩岡 創平 井上 佳久 福原 学 C07D 487/22 20060101AFI20121116BHJP JPC07D487/22 8 1 OL 19 4C050 4C050PA20 本発明は、2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法に関する。 キュカービット[n]ウリルは、グライコウリルを構成単位として、これが5〜10つ環状に連なっており、内部に疎水性を有する空孔を備えている樽状のホスト化合物である。かかる構成のキュカービット[n]ウリルは、アダマンタン構造、ナフタレン構造またはコレステロール構造等を有する化合物のようなゲスト化合物と、選択的に非常に高い相互作用を示すことが知られている。 特に、7つのグライコウリル単位で構成されるキュカービット[7]ウリルは、ゲスト化合物としてアダマンタン構造を有するものを用いた場合、ゲスト化合物に対して、特に優れた相互作用を示し、生体系で見られるタンパク質同士における特異的な相互作用にも匹敵することから、生化学分野における利用も大いに期待されている。 このようなキュカービット[7]ウリルの特異的な相互作用を各種用途で応用しようとした場合、キュカービット[7]ウリルに各種官能基を導入しなければならないことが少なくない。 そのための方法のうち一般的に用いられているものとしては、キュカービット[7]ウリルの赤道位と呼ばれる胴体部分のメチン基を酸化し、これを足場として官能基を導入する方法が挙げられる(例えば、特許文献1〜4参照。)。 しかしながら、これらの方法では、赤道位に位置する14つのメチン基のうちの全てに官能基が導入されるため、導入された官能基の立体的な障害による相互作用の阻害が生じるという問題がある。特許第4498742号公報特表2002−544133号公報特表2002−544133号公報特表2002−544133号公報 本発明の目的は、ゲスト化合物との相互作用が阻害されることなく官能基が導入された2官能化キュカービット[7]ウリルを高い収率で生成することができる2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法を提供することにある。 このような目的は、下記(1)〜(8)に記載の本発明により達成される。 (1) 6つのグライコウリル単位と、1つの2官能化グライコウリル単位とが環状に結合した下記式(1)で表される2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法であって、 下記式(2)で表される2官能化グライコウリルと、3つのグライコウリル単位がメチレン架橋により直鎖状に結合した下記式(3)で表されるグライコウリル3量体と、アダマンタン構造を有する化合物と、メチレン架橋を形成し得る化合物と、酸とが混合した混合液を得る混合工程と、 前記混合液を加熱して、1つの前記2官能化グライコウリルと2つのグライコウリル3量体とをメチレン架橋させることにより、前記2官能化キュカービット[7]ウリルを生成させ、前記2官能化キュカービット[7]ウリルを含有する生成液を得る生成工程とを有することを特徴とする2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法。(前記式(1)、(2)中、R1、R2は、それぞれ独立して、水素原子とは異なる官能基を表わす。) (2) 前記混合工程において、前記2官能化グライコウリルと前記グライコウリル3量体とのモル比が1:1となるように混合する上記(1)に記載の2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法。 (3) 前記生成工程の後に、前記生成液を加熱することにより、該生成液から前記アダマンタン構造を有する化合物を除去する除去工程を有する上記(1)または(2)に記載の2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法。 (4) 前記除去工程において、前記生成液を加熱する温度は、60〜110℃である上記(3)に記載の2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法。 (5) 前記生成工程において、前記混合液を加熱する温度は、20〜110℃である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法。 (6) 前記アダマンタン構造を有する化合物は、下記式(4)で表わされる化合物である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法。(前記式(4)中、nは、1〜16の整数を表わし、Rは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アンモニウム基、置換または無置換のアルキル基、アシル基、カルボニル基を表わす。) (7) 前記メチレン架橋を形成し得る化合物は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、2,3−ジヒドロピランおよび2,3−ジヒドロフランのうちの少なくとも1種である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法。 (8) 前記酸は、強無機酸または強有機酸のうちの少なくとも1種である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法。 本発明によれば、ゲスト化合物との相互作用が阻害されることなく、2つの官能基がキュカービット[7]ウリルに導入された2官能化キュカービット[7]ウリルを合成することができる。また、この2官能化キュカービット[7]ウリルが優れた選択性をもって生成されるため、2官能化キュカービット[7]ウリルを高い収率で得ることができる。2官能化キュカービット[7]ウリルが生成される反応式を示す図である。実施例1および比較例1の蛍光標識化キュカービット[7]ウリルを基板に固定化する方法を説明するための図である。実施例1および比較例1の蛍光標識化キュカービット[7]ウリルを基板に固定化する方法を説明するための図である。実施例1および比較例1の蛍光標識化キュカービット[7]ウリルを基板に固定化する方法を説明するための図である。実施例1および比較例1の蛍光標識化キュカービット[7]ウリルを基板に固定化する方法を説明するための図である。アダマンタン誘導体およびビオチン誘導体をAuセンサチップに固定化する方法を説明するための図である。実施例2の2官能化キュカービット[7]ウリルおよび比較例2のアビジンと、Auセンサチップとの相互作用を周波数の変化で示した図である。 以下、本発明の2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。 図1は、2官能化キュカービット[7]ウリルが生成される反応式を示す図である。 本発明は、6つのグライコウリル単位と、1つの2官能化グライコウリル単位とが環状に結合した下記式(1)で表される2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法であり、下記式(2)で表される2官能化グライコウリルと、3つのグライコウリル単位がメチレン架橋により直鎖状に結合した下記式(3)で表されるグライコウリル3量体と、アダマンタン構造を有する化合物と、メチレン架橋を形成し得る化合物と、酸とが混合した混合液を得る混合工程と、前記混合液を加熱して、1つの前記2官能化グライコウリルと2つのグライコウリル3量体とをメチレン架橋させることにより、前記2官能化キュカービット[7]ウリルを生成させ、前記2官能化キュカービット[7]ウリルを含有する生成液を得る生成工程とを有する。 2官能化キュカービット[7]ウリルの製造をかかる工程とすることで、ゲスト化合物との相互作用が阻害されるのを的確に防止または抑制された下記式(1)で表される2官能化キュカービット[7]ウリルを製造することができる。また、この2官能化キュカービット[7]ウリルが優れた選択性をもって生成されるため、2官能化キュカービット[7]ウリルを高い収率で得ることができる。(前記式(1)、(2)中、R1、R2は、それぞれ独立して、水素原子とは異なる官能基を表わす。) 以下、各工程について順次説明する。 [1]混合工程 まず、上記式(2)で表される2官能化グライコウリルと、3つのグライコウリル単位がメチレン架橋により直鎖状に結合した上記式(3)で表されるグライコウリル3量体と、アダマンタン構造を有する化合物と、メチレン架橋を形成し得る化合物と、酸とが混合した混合液を得る。 上記式(2)で表される2官能化グライコウリルは、本発明の生成目的物である上記式(1)で表わされる2官能化キュカービット[7]ウリルを得るための構成単位の1つである。 また、上記(3)で表わされる3つのグライコウリル単位がメチレン架橋により直鎖状に結合したグライコウリル3量体は、上記式(2)で表される2官能化グライコウリルと同様に、上記式(1)で表わされる2官能化キュカービット[7]ウリルを得るための構成単位の1つである。 これら上記式(2)で表される2官能化グライコウリルと、上記式(3)で表されるグライコウリル3量体とが混合液中に含まれることにより、これらが1:2の割合で互いにメチレン架橋することで、上記式(1)で表される2官能化キュカービット[7]ウリルが得られるが、その理由については後に詳述する。 なお、以下の説明では、上記式(2)で表される2官能化グライコウリルと、上記式(3)で表されるグライコウリル3量体とを併せて、単に「グライコウリル」と言うこともある。 また、前記式(1)、(2)中において、基R1、基R2は、それぞれ独立して、水素原子とは異なる官能基を表わすが、具体的には、例えば、水酸基、カルボキシ基、エステル基、アミド基、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルキルカルボニル基、置換または無置換のチオールアルキル基、置換または無置換のヒドロキシアルキル基、置換または無置換のアミノアルキル基、置換または無置換のアミノアルキルチオアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、置換または無置換のヘテロシクロアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロアリールアルキル基、置換または無置換のアルキルオキシ基、置換または無置換のアルキルカルボニルオキシ基、置換または無置換のアルキルチオオキシ基、置換または無置換のチオールアルキルオキシ基、置換または無置換のヒドロキシアルキルオキシ基、アルキルシリルオキシ基、置換または無置換のアミノアルキルオキシ基、置換または無置換のアミノアルキルチオアルキルオキシ基、置換または無置換のシクロアルキルオキシ基、置換または無置換のヘテロシクロアルキルオキシ基、置換または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換のヘテロアリールアルキルオキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアルケニルチオ基、置換または無置換のアルキニルチオ基、置換または無置換のアルキルカルボニルチオ基、置換または無置換のアルキルジチオ基、置換または無置換のヒドロキシアルキルチオ基、置換または無置換のアルキルシリルチオ基、置換または無置換のアミノアルキルチオ基、置換または無置換のアミノアルキルチオアルキルチオ基、置換または無置換のシクロアルキルチオ基、置換または無置換のヘテロシクロアルキルチオ基、置換または無置換のアリールチオ基、置換または無置換のアリールアルキルチオ基、置換または無置換のヘテロアリールチオ基、置換または無置換のヘテロアリールアルキルチオ基、置換または無置換のカルボキシアルキルチオ基、置換または無置換のアルキルアミノ基、置換または無置換のアルケニルアミノ基、置換または無置換のアルキニルアミノ基、置換または無置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換または無置換のアルキルチオアミノ基、置換または無置換のヒドロキシアルキルアミノ基、置換または無置換のアルキルシリルアミノ基、置換または無置換のアミノアルキルアミノ基、置換または無置換のアミノアルキルチオアルキルアミノ基、置換または無置換のシクロアルキルアミノ基、置換または無置換のヘテロシクロアルキルアミノ基、置換または無置換のアリールアミノ基、置換または無置換のアリールアルキルアミノ基、置換または無置換のヘテロアリールアミノ基、置換または無置換のヘテロアリールアルキルアミノ基、置換または無置換のカルボキシアルキルアミノ基等が挙げられる。かかる官能基を導入することにより、官能基が有する機能を、上記式(1)で表わされる2官能化キュカービット[7]ウリルに付与することができる。 アダマンタン構造を有する化合物は、次工程[2]において、グライコウリルがメチレン架橋により互いに結合してキュカービット[7]ウリルが生成(合成)される際に、このグライコウリル(キュカービット[7]ウリル)に包摂されることにより、グライコウリルが環状に連結(結合)される数を7つに規定する機能を有するものである。 このようなアダマンタン構造を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、下記式(4)で表わされる化合物が挙げられる。(前記式(4)中、nは、1〜16の整数を表わし、Rは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アンモニウム基、置換または無置換のアルキル基、アシル基、カルボニル基を表わす。) 中でも、11個のRが水素原子であり、1個の1位にあるRが、水酸基、カルボキシル基のようなアニオン性官能基であるものが好ましい。これにより、アニオン性官能基とグライコウリルのカルボニル酸素との間で静電的な反発が生じ、通常、極めて強いキュカービット[7]ウリルとアダマンタン構造を有する化合物との相互作用を適度に抑えることができる。その結果、生成液からのアダマンタン構造を有する化合物の効率的な除去が促される。 なお、上記式(4)で表わされる化合物としては、具体的には、例えば、1−アダマンタノール、1−アミノアダマンタン、1−アダマンタンメチルアミン、1−カルボキシアダマンタン、N,N,N−トリメチル−1−アダマンチルアンモニウム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。 メチレン架橋を形成し得る化合物は、グライコウリル同士を結合させる際に、これら同士間にメチレン架橋を形成するものである。 このメチレン架橋を形成し得る化合物としては、特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、2,3−ジヒドロピランおよび2,3−ジヒドロフラン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。 酸は、グライコウリルと、メチレン架橋を形成し得る化合物とが反応して、上記式(1)で表わされる2官能化キュカービット[7]ウリルが生成される際の触媒として機能する。 この酸としては、特に限定されないが、強無機酸または強有機酸が好ましく用いられる。 具体的には、例えば、塩酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、重水素で置換された硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸およびメタンスルホン酸等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。 また、混合液中における酸の濃度は、特に限定されないが、例えば、5.0M以上であるのが好ましく、5.0〜7.0M程度であるのがより好ましい。 なお、混合液中には、上述した各構成材料の他に、さらに溶媒等が含まれていてもよい。 溶媒としては、例えば、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、1,1,1−トリフルオロエタノール等が挙げられ、これらを単独溶媒または混合溶媒として用いることができる。 また、混合液中における各成分の含有割合は、例えば、以下のようにして設定される。 すなわち、アダマンタン構造を有する化合物は、上記式(2)で表される2官能化グライコウリル100重量部に対し、アダマンタン構造を有する化合物が50〜150重量部の割合で含有するのが好ましく、80〜120重量部の割合で含有するのがより好ましい。 また、メチレン架橋を形成し得る化合物は、上記式(2)で表される2官能化グライコウリルと上記式(3)で表されるグライコウリル3量体との合計量100重量部に対し、メチレン架橋を形成し得る化合物が5〜30重量部の割合で含有するのが好ましく、10〜20重量部の割合で含有するのがより好ましい。 さらに、酸は、上記式(2)で表される2官能化グライコウリルと上記式(3)で表されるグライコウリル3量体とメチレン架橋を形成し得る化合物との合計量100重量部に対し、酸が3000〜6000重量部の割合で含有するのが好ましく、4000〜6000重量部の割合で含有するのがより好ましい。 なお、上記式(2)で表される2官能化グライコウリルと、上記式(3)で表されるグライコウリル3量体との含有割合は、モル比で1:1となっているのが好ましいが、その理由についても後に詳述する。 混合液中における各成分の含有割合を上記範囲内に設定することにより、次工程[2]において生成される記式(1)で表わされる2官能化キュカービット[7]ウリルの生成率の向上を図ることができる。 [2]生成工程 次に、混合液を加熱する。 これにより、図1に示す反応式のように、1つの上記式(2)で表される2官能化グライコウリルと、2つの上記式(3)で表されるグライコウリル3量体とが、メチレン架橋を形成し得る化合物を介して、メチレン架橋されるため、上記式(1)で表される2官能化キュカービット[7]ウリルが生成され、その結果、上記式(1)で表される2官能化キュカービット[7]ウリルを含有する生成液が得られる。 なお、図1の反応式では、メチレン架橋を形成し得る化合物としてホルムアルデヒドを用い、アダマンタン構造を有する化合物として1−アダマンタノールを用いた場合を一例に示している。 ここで、本発明では、混合液中にアダマンタン構造を有する化合物が含まれている。そのため、上記のように、上記式(2)で表される2官能化グライコウリルと上記式(3)で表されるグライコウリル3量体とがメチレン架橋により連結されてキュカービット[7]ウリルが生成される際に、上記式(1)で表される2官能化キュカービット[7]ウリルの内側に形成される疎水性を示す空孔内にアダマンタン構造を有する化合物が包摂されることとなる。 このアダマンタン構造の大きさが、上記式(1)で表される2官能化キュカービット[7]ウリルの空孔の大きさとほぼ等しくなっているため、上記式(1)で表される2官能化キュカービット[7]ウリルは、キュカービット[6]ウリルと比較して熱的安定性が低いものの、混合液中において、優れた選択性をもって生成されることとなり、その結果、生成液中における、上記式(1)で表される2官能化キュカービット[7]ウリルの生成率が向上する。 さらに、本発明では、混合液中には、上記式(2)で表される2官能化グライコウリルと上記式(3)で表されるグライコウリル3量体とが含まれている。 ここで、混合液中に上記式(2)で表される2官能化グライコウリルと上記式(3)で表されるグライコウリル3量体とが存在する際に、7つのグライコウリルが連結したキュカービット[7]ウリルが生成されるのは、I:7つの上記式(2)で表される2官能化グライコウリルが連結する場合と、II:4つの上記式(2)で表される2官能化グライコウリルと1つの上記式(3)で表されるグライコウリル3量体とが連結する場合と、III:1つの上記式(2)で表される2官能化グライコウリルと2つの上記式(3)で表されるグライコウリル3量体とが連結する場合とが考えられる。ところが、本発明では、2官能化グライコウリルが官能基としての基R1、基R2を有している。そのため、アダマンタン構造を有する化合物を足場として、キュカービット[7]ウリルが生成される際に、隣接するグライコウリルが有する官能基や水素原子に、基R1、基R2が接触することに起因する立体障害が生じる。その結果、アダマンタン構造を有する化合物を、4つ以上の2官能化グライコウリルを含むグライコウリルにより包摂するよりも、2つのグライコウリル3量体を含むグライコウリルにより包摂する方が、その安定性が高いため、上記式(1)で表わされるような、赤道位に位置する14つのメチン基のうちの2つが基R1、R2に置換された2官能化キュカービット[7]ウリルの生成率が向上する。 なお、アダマンタン構造を有する化合物の存在下における、上記式(1)で表わされる2官能化キュカービット[7]ウリルは、上記のような理由により、次のような過程を経て生成されると推察される。すなわち、まず、アダマンタン構造を有する化合物を足場として、2つのグライコウリル3量体同士が、メチレン架橋を形成し得る化合物を介してメチレン架橋される。次いで、メチレン架橋された2つのグライコウリル3量体同士の間に、1つの2官能化グライコウリルが入り込み、この状態でこれらがメチレン架橋されることで、2官能化キュカービット[7]ウリルが生成される。 なお、上記式(1)で表される2官能化キュカービット[7]ウリルを得るには、例えば、上記式(2)で表される2官能化グライコウリルと、2つのグライコウリル単位がメチレン架橋により直鎖状に結合したグライコウリル2量体とを、1つ:3つの組合わせで連結されることによっても得られるが、本発明者による検討により、上記IIIのような組合わせとすることで、上記式(1)で表される2官能化キュカービット[7]ウリルの生成率が特に高くなることが判っている。これは、上述した2官能化グライコウリルとグライコウリル3量体との間での立体障害や、2官能化グライコウリルとグライコウリル2量体との間での立体障害等の関係に起因しているものと推察される。 したがって、2つのメチン基に対して選択的に基R1、R2が導入されている上記式(1)で表される2官能化キュカービット[7]ウリルを高い生成率で製造することができる。 なお、混合液中における、2官能化グライコウリルとグライコウリル3量体との混合比率は、モル比で0.6:1〜3:1程度であるのが好ましく、モル比で1:1程度であるのがより好ましい。かかる関係を満足することで、1つの2官能化グライコウリルと、2つのグライコウリル3量体とが反応して2官能化キュカービット[7]ウリルが生成される際に、反応系中には、過剰な2官能化グライコウリルが存在することとなる。そのため、2官能化グライコウリルとグライコウリル3量体との間で上述したような立体障害が生じたとしても、上記反応をより確実に進行させることができるので、2官能化キュカービット[7]ウリルの生成率が向上する。 混合液を加熱する温度は、好ましくは、20〜110℃程度、より好ましくは60〜110℃程度の範囲内に設定される。 また、加熱する時間は、1〜24時間程度であるのが好ましく、12〜24時間程度であるのがより好ましい。 さらに、加熱する際の雰囲気は、特に限定されないが、N2雰囲気のような不活性雰囲気であるのが好ましい。 混合液を加熱する際の条件を、上記のような範囲内に設定することにより、2官能化キュカービット[7]ウリルの生成率の向上が図られる。 [3]除去工程 次に、必要に応じて、生成液をさらに加熱する。 ここで、本発明では、2官能化キュカービット[7]ウリルは、アダマンタン構造を有する化合物を包摂した状態で生成される。 そのため、アダマンタン構造を有する化合物を2官能化キュカービット[7]ウリルから除去する必要があるが、アダマンタン構造を有する化合物は、その加熱により昇華する性質を有する化合物である。したがって、生成液を加熱することで、アダマンタン構造を有する化合物を、生成液から容易に除去すること、すなわち、2官能化キュカービット[7]ウリルから容易に除去することができる。 なお、本工程[3]は、2官能化キュカービット[7]ウリルを生成する前記工程[2]と同時に行うようにしてもよい。 生成液を加熱する温度は、好ましくは、20〜110℃程度、より好ましくは60〜110℃程度の範囲内に設定される。 また、加熱する時間は、1〜18時間程度であるのが好ましく、3〜6時間程度であるのがより好ましい。 さらに、加熱する際の雰囲気は、特に限定されないが、減圧雰囲気であるのが好ましい。 混合液を加熱する際の条件を、上記のような範囲内に設定することにより、アダマンタン構造を有する化合物を生成液中からより確実に除去することができる。 以上のようにして、生成液中にアダマンタン構造を有する化合物が除去された2官能化キュカービット[7]ウリルが得られる。そして、この生成液を必要に応じて精製・乾燥することで、白色の結晶状をなすキュカービット[7]ウリルを得ることができる。 以上、本発明の2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。 例えば、本発明の2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法には、任意の工程が追加されてもよい。 次に、本発明の具体的な実施例について説明する。 1.蛍光標識化キュカービット[7]ウリルの基板への固定化 1−1.アダマンタン誘導体の基板への固定化 まず、図2に示すように、3mg/mLの式(A)で表されるアダマンタン誘導体水溶液1mLと、0.2Mの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)水溶液1mLとを混合し、リン酸緩衝液(pH9.0)1mLを添加した。 次に、この溶液を、表面にアミノ基を有する樹脂製基板にスポットし、80℃で1時間インキュベートした。その後、PBST溶液で3回洗浄した後、乾燥させた。 これにより、式(A)で表されるアダマンタン誘導体を基板に固定化した。 1−2.官能化キュカービット[7]ウリルの製造および蛍光標識化 (実施例1) 2官能化キュカービット[7]ウリルの合成 38.0μmolのジエステル化グライコウリル、38.0μmolのグライコウリル3量体、152μmolのパラホルムアルデヒドおよび38.0μmolの1−アダマンタノールをそれぞれ用意し、これらを10Mの濃塩酸1.5mL中に混合して混合物を得た後、この混合物を80℃で18時間攪拌した。 その後、反応溶液を減圧下、60℃で3時間加熱して溶媒を除去した後、蒸留水を添加して吸引ろ過し、その後、再結晶させることで、図2中の式(B)で表されるジエステル化(2官能化)キュカービット[7]ウリルを得た。 2官能化キュカービット[7]ウリルの蛍光標識化 合成した8.0μmolのジエステル化キュカービット[7]ウリルをジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、この溶液に、300.9μmolのN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、300.9μmolのN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を溶解した。 その後、DMFをさらに添加して室温で30分間攪拌した。さらに、1.5μmolの、Cyanine 3 Monofunctional Hexanoic Acid Dye Ethylenediamine Amideを添加し、室温で一晩攪拌した後、減圧下で溶媒を除去することで真空乾燥し、図3中の式(C)で表されるキュカービット[7]ウリル(Cy3)2を得た。 (比較例1) 14官能化キュカービット[7]ウリルの合成 7.0mmolのグライコウリル、14mmolのパラホルムアルデヒドおよび7.0mmolの1−アダマンタノールをそれぞれ用意し、これらを5.0Mの濃塩酸10.0mL中に混合して混合物を得た後、この混合物を100℃で18時間攪拌した。 その後、反応溶液を濃縮し、蒸留水を添加して吸引ろ過した後、ろ液に対してメタノールを添加し、さらに18時間攪拌した。 吸引ろ過後、残渣を100℃の20%グリセロール水溶液に溶解し、100℃で30分間攪拌した後、室温にまで冷却した。 さらに、吸引ろ過後、ろ液を濃縮し、メタノールを添加した後に吸引ろ過を行った後、残渣を乾燥させることにより、白色の結晶状のキュカービット[7]ウリルを得た。 次に、28.8mmolのペルオキソ二硫酸カリウム水溶液に2.0gのキュカービット[7]ウリルを加え、窒素雰囲気下85℃で6時間攪拌した。その後、反応混合物を室温まで冷却後、沈殿物をろ過により除去し、ろ液を減圧下で濃縮した。そして、濃縮した水溶液に水を加えた後、アセトン蒸気拡散により再結晶を行い白い沈殿物を得た。それをろ過して回収し、アセトンで洗浄して24時間真空乾燥し、白色固体である図4中の式(D)で表されるペルヒドロオキシキュカービット[7]ウリルを得た。 次に、0.06mmolのペルヒドロオキシキュカービット[7]ウリルおよび1.3mmolの水素化ナトリウム(60% dispersion in mineral oil)をジメチルスルホキシド(DMSO)に加え、2時間攪拌した。そして、その反応混合溶液に、23.5mmolのアリルブロミドのDMSO溶液を滴下した。反応混合物を室温で12時間攪拌した後、氷水と混合し、白い沈殿を得た。その後、吸引ろ過によって溶液成分を除去し、24時間減圧乾燥し、得られた白い粉末をカラムクロマトグラフィーにより精製することで、図4中の式(E)で表されるペルアリルオキシキュカービット[7]ウリルを得た。 次に、0.57μmolのペルアリルオキシキュカービット[7]ウリルのメタノール溶液に6−アミノヘキサン−1−チオール塩酸塩を溶かした後、窒素雰囲気下で低圧水銀灯により54時間光照射を行った。溶媒のメタノールを減圧下で留去し、残渣を1mLの蒸留水に溶かした。その溶液をゲル浸透クロマトグラフィーで2回精製することで、図4中の式(F)で表されるペル(3−(6−アミノヘキシルチオ)プロピルオキシ)(14官能化)キュカービット[7]ウリルを得た。 14官能化キュカービット[7]ウリルの蛍光標識化 合成した0.26μmolの14官能基化キュカービット[7]ウリル、をDMFに溶解し、cyanine 3 monofunctional hexanoic acid dye, succinimidyl ester を溶解したDMFを加え、室温で24時間攪拌した。その後、減圧下で溶媒を除去し、真空乾燥することで、図5中の式(G)で表されるキュカービット[7]ウリル(Cy3)14を得た。 1−3.基板への固定化能の評価 式(A)で表されるアダマンタン誘導体が固定化された基板を2つ用意し、これらを実施例1の2官能化キュカービット[7]ウリル(Cy3)2および比較例1の14官能化キュカービット[7]ウリル(Cy3)14のPBS緩衝液溶液(1mg/ml)にそれぞれ浸漬し、室温で1時間インキュベートした。その後、PBST緩衝液および超純水で洗浄後、乾燥した。 そして、マイクロアレイ用スキャナ(Packard BioChip Technologies社製マイクロアレイスキャナー「ScanArray」)を用いて、実施例1の2官能化キュカービット[7]ウリル(Cy3)2および比較例1の14官能化キュカービット[7]ウリル(Cy3)14がそれぞれ固定化された固相化基板のスポットの蛍光を検出した。 その結果、実施例1の2官能化キュカービット[7]ウリル(Cy3)2が固定化された固相化基板では、比較例1の14官能化キュカービット[7]ウリル(Cy3)14が固定化された固相化基板と比較して、約4倍の蛍光強度を示した。 このことは、比較例1の14官能化キュカービット[7]ウリル(Cy3)14が固定化された固相化基板では、14官能化キュカービット[7]ウリル(Cy3)14と基板に固定化されたアダマンタン誘導体との相互作用がほとんどなく、14官能化キュカービット[7]ウリル(Cy3)14がアダマンタン誘導体を包摂しなかったことが要因であると考えられ、これに対して、実施例1の2官能化キュカービット[7]ウリル(Cy3)2が固定化された固相化基板では、がアダマンタン誘導体と相互作用することにより、2官能化キュカービット[7]ウリル(Cy3)2がアダマンタン誘導体を包摂して、アダマンタン誘導体からの離脱を阻止しているものと考えられる。 2.溶媒中におけるAuセンサチップへの固定化 2−1.アダマンタン誘導体およびビオチン誘導体のAuセンサチップへの固定化 アダマンタン誘導体の固定化 まず、図6に示すように、QCM用Auセンサチップを10mMのアミノヘキサンチオールに浸漬し、25℃で2時間インキュベートした。その後、エタノールと水との順で洗浄した後、乾燥させた。 次に、25mMの式(A)で表されるアダマンタン誘導体、0.5Mの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)、1.5MのN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を含有するリン酸緩衝液(pH8.5)を調製し、これに、アミノ基を導入したAuセンサチップを一晩浸漬した。その後、水で洗浄した後、乾燥させた。 これにより、式(A)で表されるアダマンタン誘導体をAuセンサチップに固定化した。 ビオチン誘導体の固定化 まず、図6に示すように、QCM用Auセンサチップを10mMのアミノヘキサンチオールに浸漬し、25℃で2時間インキュベートした。その後、エタノールと水との順で洗浄した後、乾燥させた。 次に、25mMの式(H)で表されるビオチン誘導体(Biotin−(AC)5−OSu)を含有するリン酸緩衝液(pH8.5)を調製し、これに、アミノ基を導入したAuセンサチップを一晩浸漬した。その後、水で洗浄した後、乾燥させた。 これにより、式(H)で表されるビオチン誘導体をAuセンサチップに固定化した。 2−2.アダマンタン誘導体およびビオチン誘導体の認識物の製造 (実施例2) 2官能化キュカービット[7]ウリルの合成 前記実施例1と同様にして、式(C)で表されるキュカービット[7]ウリル(Cy3)2を合成した。 (比較例2) Streptavidin−Cy3(アマシャム・バイオサイエンス社製、「PA43001」)を用意した。 2−3.基板への相互作用の評価 式(A)で表されるアダマンタン誘導体が固定化されたAuセンサチップと、式(H)で表されるビオチン誘導体が固定化されたAuセンサチップとをそれぞれ用意し、これらを、9mLのエタノールに浸漬した。 その後、これらAuセンサチップが浸漬されたエタノール中に、それぞれ、0.22μg/ml、0.44μg/ml、0.66μg/ml、0.88μg/mlの濃度となるように、実施例2の2官能化キュカービット[7]ウリル(Cy3)2および比較例2のStreptavidin−Cy3を添加したところ、図7に示すような周波数の変化が認められた。 すなわち、実施例2では、0.22μg/ml以上の濃度範囲において、その添加に伴い、2官能化キュカービット[7]ウリル(Cy3)2の表面への結合に由来する周波数の減少が認められた。これに対して、図7に示すように、比較例2では、Streptavidin−Cy3の添加に伴う周波数の変化がほとんど認められなかった。 これにより、エタノールのような有機溶媒中においても、2官能化キュカービット[7]ウリル(Cy3)2と式(A)で表されるアダマンタン誘導体との間で相互作用が認められることが判った。これに対して、アビジンとビオチン誘導体との間での相互作用を、エタノール中において認めることはできなかった。 6つのグライコウリル単位と、1つの2官能化グライコウリル単位とが環状に結合した下記式(1)で表される2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法であって、 下記式(2)で表される2官能化グライコウリルと、3つのグライコウリル単位がメチレン架橋により直鎖状に結合した下記式(3)で表されるグライコウリル3量体と、アダマンタン構造を有する化合物と、メチレン架橋を形成し得る化合物と、酸とが混合した混合液を得る混合工程と、 前記混合液を加熱して、1つの前記2官能化グライコウリルと2つのグライコウリル3量体とをメチレン架橋させることにより、前記2官能化キュカービット[7]ウリルを生成させ、前記2官能化キュカービット[7]ウリルを含有する生成液を得る生成工程とを有することを特徴とする2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法。(前記式(1)、(2)中、R1、R2は、それぞれ独立して、水素原子とは異なる官能基を表わす。) 前記混合工程において、前記2官能化グライコウリルと前記グライコウリル3量体とのモル比が1:1となるように混合する請求項1に記載の2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法。 前記生成工程の後に、前記生成液を加熱することにより、該生成液から前記アダマンタン構造を有する化合物を除去する除去工程を有する請求項1または2に記載の2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法。 前記除去工程において、前記生成液を加熱する温度は、60〜110℃である請求項3に記載の2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法。 前記生成工程において、前記混合液を加熱する温度は、20〜110℃である請求項1ないし4のいずれかに記載の2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法。 前記アダマンタン構造を有する化合物は、下記式(4)で表わされる化合物である請求項1ないし5のいずれかに記載の2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法。(前記式(4)中、nは、1〜16の整数を表わし、Rは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アンモニウム基、置換または無置換のアルキル基、アシル基、カルボニル基を表わす。) 前記メチレン架橋を形成し得る化合物は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、2,3−ジヒドロピランおよび2,3−ジヒドロフランのうちの少なくとも1種である請求項1ないし6のいずれかに記載の2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法。 前記酸は、強無機酸または強有機酸のうちの少なくとも1種である請求項1ないし7のいずれかに記載の2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法。 【課題】ゲスト化合物との相互作用が阻害されることなく官能基が導入された2官能化キュカービット[7]ウリルを高い収率で生成し得る2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の2官能化キュカービット[7]ウリルの製造方法は、2官能化グライコウリルと、3つのグライコウリル単位がメチレン架橋により直鎖状に結合したグライコウリル3量体と、アダマンタン構造を有する化合物と、メチレン架橋を形成し得る化合物と、酸とが混合した混合液を得る混合工程と、混合液を加熱して、2官能化キュカービット[7]ウリルを生成させ、1つの2官能化グライコウリルと2つのグライコウリル3量体とをメチレン架橋させることにより、2官能化キュカービット[7]ウリルを含有する生成液を得る生成工程とを有する。【選択図】図1