タイトル: | 公開特許公報(A)_N−置換ラクタムのアミン含有率を低下させるための方法 |
出願番号: | 2011114670 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C07D 207/267 |
エルハルト ヘンケス ガブリエレ イフラント ユルゲン ツィプリアン JP 2011168612 公開特許公報(A) 20110901 2011114670 20110523 N−置換ラクタムのアミン含有率を低下させるための方法 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 508020155 BASF SE 久野 琢也 100099483 矢野 敏雄 100061815 高橋 佳大 100112793 星 公弘 100128679 二宮 浩康 100135633 篠 良一 100156812 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 100114890 エルハルト ヘンケス ガブリエレ イフラント ユルゲン ツィプリアン DE 19910504.9 19990310 C07D 207/267 20060101AFI20110805BHJP JPC07D207/267 11 2000065327 20000309 OL 10 4C069 4C069AB12 4C069BA01 4C069BC12 4C069CC24 本発明は、アミンで汚染されたN−置換ラクタムのアミン含有率の低下のための方法に関する。 N−置換ラクタム、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)は極性の非プロトン性溶剤、合成構成単位ならびに、例えばパラフィン系炭化水素からの芳香族化合物の抽出のための選択的な抽出剤として重要である。特にエレクトロニクス工業(例えばリチウムイオン電池およびホトレジスト剥離器)ならびに製薬工業での使用のために高度に純粋なN−置換ラクタムが必要である。 GB−A−2088850号はNMP中の酸性または腐食性の不純物を除去するために塩基性アニオン交換体でN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を処理する方法を開示している。 US−A−4831160号は、NMP中の酸性成分の濃度を複数の工程で低下させる方法に関し、その際、最後の工程は塩基性アニオン交換体によるNMPの処理を含む。 DE−A−3736603号は未知のタイプの塩基性不純物を含有するN−ビニル−2−ピロリドンを、粗製のN−ビニル−2−ピロリドンを酸性カチオン交換体で処理することによって精製する方法を記載している。N−ビニル−2−ピロリドンの重合は強酸性カチオン交換体の存在下に生じることがあるので、弱酸性カチオン交換体が有利である(アンカー基としての−COOH基)。 US−A−5777131号は、ラクタムをその製造後にイオン交換体、有利には販売名Dowex(R)G23、Dowex(R)G26、Dowex(R)HCR−SおよびDowex(R)HGRの強酸性カチオン交換体での処理によってN−置換ラクタムの特性を改善する方法を記載している。 挙げたDowex(R)カチオン交換体は専らアンカー基としてのスルホン酸基(−SO3H)で官能化されたゲルタイプのスチレン−ジビニルベンゼンコポリマーである(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A14, 5th ed., page 451参照)。用語"ゲルタイプ"は、前記のカチオン交換体が孔径約1〜3nmの天然の多孔性(natural porosity)を有することを意味している(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A14, 5th ed., page 395 and pages 399ff, Chapter 3.1(1989))。 US−A−5777131号によるラクタムの特性の改善は、NMPの場合には約100ppbから10ppb未満へのナトリウム含有率の低下、約11.5から7へのpHの低下ならびに約12ppmから1ppm未満へのアミン含有率の低下を構成している。 EP−A−878454号は、有機の実質的に水不含の液体、例えばNMP、イソプロピルアルコール、モノエタノールアミン、ジメチルアセトアミド、酢酸エチル、アセトンおよびスルホラン中の金属カチオン、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属のカチオンの含有率を、該有機液体と、ジビニルベンゼンの割合がスルホン酸基を無視して全質量の50〜60質量%であるスチレン−ジビニルベンゼンコポリマーをベースとするスルホン化された樹脂との接触によって低下させる方法を開示している。GB2088850AUS4831160ADE3736603AUS5777131AUS5777131AEP878454A 本発明の課題は、N−置換ラクタム中に不純物として存在するアミンの濃度を低下させるための経済的、選択的かつ効率的な方法を見いだすことである。 前記課題は、アミンで汚染されたN−置換ラクタムのアミン含有率を低下させるにあたり、汚染されたN−置換ラクタムを酸性マクロ孔質カチオン交換体で処理する方法によって解決されると判明した。 本発明の方法の利点は、例えば製造方法の結果として不純物としてアミン、例えば式RNH2の第一級アミン、特に第一級C1〜C12−アルキルアミンおよびC1〜C4−モノアルカノールアミン、例えばモノメチルアミン(MMA)、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソ−プロピルアミン、n−ブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、モノエタノールアミン、特にMMAを含有するN−置換ラクタムを高い選択性および効率で精製することである。 同時に、本発明の方法はN−置換ラクタム中に不純物として存在する金属カチオン、例えば重金属イオン、Fe3+、Fe2+、Cd2+、Co2+、Co3+、Cr2+、Cr3+、Cu+、Cu2+、Mn2+、Mn3+、Ni2+、Pb2+、Pb4+、Sn2+、Sn4+、Zn2+およびTi4+ならびにアルカリ金属イオン、例えばK+および、特にNa+およびアルカリ土類金属カチオン、例えばCa2+およびMg2+の濃度を低下させる。 本発明の方法は、マクロ孔質カチオン交換体の高い能力(単位:[除去すべきアミン不純物(モル)/イオン交換体のリットル])と一緒にマクロ孔質カチオン交換体によって高い合計の処理量(単位:[BV];BV=床容量=イオン交換体の容量)を可能にし、かつマクロ孔質カチオン交換体によって高い1時間の処理量(単位:[BV/h])を可能にしている。 強酸性マクロ孔質カチオン交換体、すなわちアンカー基として−SO3-基(スルホン酸基)を有するものを使用するのが有利である。 有利には、酸性マクロ孔質カチオン交換体は有機マクロ孔質カチオン交換体であり、特にスチレン−ジビニルベンゼンコポリマー基体を有するものである。 本発明の方法において、マクロ孔質カチオン交換体はその酸形(H形で)で使用される。 一般に、本発明の方法で使用されるカチオン交換体のマクロ細孔の孔径は10〜150nmであり、このように孔径約1〜3nmしかないゲルタイプのカチオン交換体の孔径よりも著しく大きい。 有利には、本発明の方法で使用されるカチオン交換体のマクロ孔は孔径20〜120nm、特に有利には20〜100nm、より特に有利には20〜40nmを有している。 本発明の方法で使用されるカチオン交換体の著しく大きい細孔は、例えばスチレン−ジビニルベンゼンコポリマーの製造を重合不可能な化合物、例えばヘプタン、飽和脂肪酸、C4〜C10−アルコールまたは低分子量の多価アルコールもしくは直鎖状ポリスチレンの存在下に実施することにより得られる(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A14, 5th Ed., page 395 and pages 399ff, Chapter 3.1(1989)参照)。 一般に、本発明の方法で使用されるマクロ孔質カチオン交換体は、カチオン交換体1リットルあたり、不純物として存在するアミン少なくとも0.5モル、特に少なくとも0.8モル、より特に有利には少なくとも1モルの使用可能な能力を有している。 本発明の方法で使用されるマクロ孔質カチオン交換体は公知法(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A14, 5th Ed., page 399, last paragraph, and page 400参照)によって製造でき、市販されている。 本発明の方法で使用できるH形のマクロ孔質カチオン交換体の例は:Duolite(R)C264;Amberlite(R)252、UP252および200;Imac(R)C16P;Lewatit(R)SP112およびK2621;Dowex(R)88およびMSC1;Kastel(R)C300P;Ionac(R)CFP110;Relite(R)CFSおよびCFZ;Diaion(R)PK220およびPK228;PuroliteC150、CT165およびCT175;Wofatit(R)KS10である。 有利にはDuolite(R)C264、Amberlite(R)252およびAmberlite(R)UP252が使用される。 本発明の方法は、特に式I:[式中、Rは、− 直鎖状または分枝鎖状の飽和脂肪族基、有利にはC1〜C12−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、s−ペンチル、ネオ−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、イソ−ヘキシル、s−ヘキシル、シクロペンチルメチル、n−ヘプチル、イソ−ヘプチル、シクロヘキシルメチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、イソ−ノニル、n−デシル、イソ−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、イソ−ドデシル、特に有利にはC1〜C8−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルおよび2−エチルヘキシル、より特に有利にはC1〜C4−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、s−ブチル、t−ブチルまたは、− 3〜12個の炭素原子を有する飽和脂環式基、有利にはC4〜C8−シクロアルキル、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル、特に有利にはシクロペンチルおよびシクロヘキシルであり、その際、基Rは反応条件下で不活性な1個または2個のの置換基、例えばヒドロキシもしくはC1〜C8−アルコキシ(例えば:R=C1〜C4−ヒドロキシアルキルまたはC1〜C8−アルコキシ置換C1〜C4−アルキル)を有していてよく、かつnは1〜4の整数であり、N−置換ラクタムの複素環は反応条件下で不活性な1個または2個の置換基、例えばアルキル基、例えばC1〜C8−アルキル基を互いに独立に有してよく、有利には1個のC1〜C8−アルキル基を有していてよい]のN−置換ラクタムの精製のために使用される。 R上の適当な置換基は、特に:−ヒドロキシおよび−C1〜C8−アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、イソ−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、イソ−ペントキシ、s−ペントキシ、ネオ−ペントキシ、1,2−ジメチルプロポキシ、n−ヘキソキシ、イソ−ヘキソキシ、s−ヘキソキシ、n−ヘプトキシ、イソ−ヘプトキシ、n−オクトキシ、イソ−オクトキシ、特に有利にはC1〜C4−アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、イソ−ブトキシ、s−ブトキシおよびt−ブトキシである。 N−置換ラクタムの複素環が置換基として有してよいC1〜C8−アルキル基の例は:−メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチルおよび2−エチルヘキシルである。 本発明の方法は、式I:[式中、Rは前記のようなC1〜C4−アルキルであり、ヒドロキシ置換基を有してよく、nは1、2または3である]のN−置換ラクタムの精製のために特に有利に使用される。 本発明の方法で使用できるN−置換ラクタムの例は:N−メチル−2−ピロリドン=N−メチル−2−ピロリジノン=N−メチル−γ−ブチロラクタム(NMP)、1,3−ジメチル−2−ピロリドン、1,4−ジメチル−2−ピロリドン、1,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−n−プロピル−2−ピロリドン、N−イソ−プロピル−2−ピロリドン、N−n−ブチル−ピロリドン、N−イソ−ブチル−2−ピロリドン、N−n−ペンチル−2−ピロリドン、N−n−ヘキシル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N−シクロペンチル−2−ピロリドン、N−n−デシル−2−ピロリドン、N−n−ドデシル−2−ピロリドン、N−ベンジル−2−ピロリドン、N−メチル−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、N−(3−ヒドロキシプロピル)−2−ピロリドン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−2−ピロリドン、N−(2−メトキシエチル)−2−ピロリドン、N−(1−メトキシエチル)−2−ピロリドン、N−(2−エトキシエチル)−2−ピロリドン、N−メチル−δ−バレロラクタム、N−(2−ヒドロキシエチル)−δ−バレロラクタム、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−エチル−ε−カプロラクタム、N−(2−ヒドロキシエチル)−ε−カプロラクタム、N−メチルヘプタン酸−ω−ラクタム(N-methylheptanoic-omega-lactam)、N−(2−ヒドロキシエチル)−ヘプタン酸−ω−ラクタム、またはその混合物、有利にはNMPおよびN−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、特に有利にはNMPである。 有利には、本発明の方法で使用されるN−置換ラクタムは、例えば蒸留生成物として90質量%より大、特に95質量%より大の純度で使用され、公知法、例えば式II:[式中、nは1〜4の整数であり、ラクトンの複素環は反応条件下で不活性な1個または2個の置換基、例えば互いに独立してC1〜C8−アルキル基を有していてよい]のラクトンとRが前記のものである式RNH2のアミンとを高めた温度および過圧下に1モル当量の水の遊離を伴い反応させることにより、例えばウルマン工業化学百科辞典(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A22, 5th Ed., page 459(1993))、JP−A−74020 586号(Derwent Abstr. 46186V/25)、JP−A−49000 259号(Derwent Abstr. 21795V/12)、DE−A−19626123号に記載のように製造できる。 N−置換された2−ピロリドンは、無水マレイン酸と式RNH2のアミンとを水素および触媒の存在下に反応させることによっても、例えばEP−A−745589号に記載のように製造することもできる。 式IIのラクトンの例は:γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ヘプタン酸−ω−ラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、特にγ−ブチロラクトンである。 式RNH2のアミンの例は:モノメチルアミン(MMA)、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソ−プロピルアミン、n−ブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミンおよびモノエタノールアミン、特にMMAである。 本発明の方法は以下のように実施できる: ラクタムの精製のためのマクロ孔質カチオン交換体によるN−置換ラクタムの処理はバッチ式に、例えば容器中でカチオン交換体の存在下にラクタムを撹拌することによるか、または有利には連続的に、例えば固定床としてイオン交換体を配置した管中にラクタムを通過させることによって実施できる。作業方法およびイオン交換体の固定床を有する管の適当な例は、例えばウルマン工業化学百科辞典(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A14, 5th Ed., pages 431ff, Chapter 10.2(1989))に見いだすことができる。 管中に固定床として配置したマクロ孔質カチオン交換体を使用し、その際イオン交換体床を通って底部から上に向かって(逆流モード)または頂部から下に向かって液体が流動できる連続的方法において、イオン交換体を通る1時間の処理量は一般に0.05〜100、特に0.1〜20、より特に有利には0.1〜10床容量/時間(BV/h)であり、かつ空管速度(empty tube velocity)、すなわち体積流量([m3/h])/管の単位横断面積([m2])は一般に0.5〜40m/h、特に0.5〜20m/h、より特に有利には0.5〜10m/hである。 また精製方法は、カチオン交換体と化学的に反応しない不活性の、極性もしくは非極性の、プロトン性もしくは非プロトン性の溶剤またはその混合物、例えば水、アルコール、例えばメタノール、エタノールおよびイソプロパノール、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、芳香族もしくは脂肪族の炭化水素、例えばトルエン、ペンタンもしくはヘキサン、またはジメチルスルホキシド(DMSO)の存在下で実施でき、該方法は精製したプロセス生成物を相応の溶液の形で更に進行させる場合に特に有用である。 一般に、温度は5〜130℃、有利には10〜50℃の範囲である。特に有利には本発明の方法は15〜30℃で実施される。 精製すべきN−置換ラクタムまたはその溶液の種類によって、温度を精製方法のために少なくとも十分高く設定し、液相で進行させる。 使用されるカチオン交換体の再生は公知法を使用して実施され、かつ並流または向流によりブレンステッド酸水溶液での処理、例えば4〜10質量%濃度、特に約7質量%濃度の塩化水素水溶液、または有利には0.5〜8%濃度、特に約5%濃度の水性硫酸での処理によって実施される。 高い処理量(床容量)を可能にし、かつ本発明の方法で使用されるマクロ孔質カチオン交換体の高い能力のために、前記のイオン交換体は長期の作業寿命を有し、かつ再生工程間の間隔が長い。特に、負荷したカチオン交換体を新しい未負荷のカチオン交換体と交換する事は再生工程よりも経済的である。 更に、本発明の方法はプロセス工学特性を有さないので、前記の対象における更なる情報は不必要である。 本発明によるN−置換ラクタム、特にNMPの処理はアミン、特に式RNH2のアミン、殊にモノメチルアミン(MMA)の濃縮を可能にし、これらは一般に不純物として10000ppm以下、特に1000ppm、殊に100ppmの濃度で、また10000ppmより高い濃度で存在し、10ppm未満、特に5ppm未満の濃度に低下させることができ、これは200以下の床容量(BV)、特に500BV以下、殊に1000BV(溶剤不含のN−置換ラクタムに対するBV)のマクロ孔質カチオン交換体を通る処理量において可能である。 同時に本発明によるN−置換ラクタム、特にNMPの処理は金属カチオン、例えばNa+、K+、Ca2+、Mg2+、Fe2+およびFe3+、特にNa+の濃縮を可能にし、これらは不純物として一般に1000ppb以下、特に100ppb、殊に50ppbの濃度、また1000ppbより高い濃度で存在してよく、10ppb未満、特に5ppb未満の濃度に低下させることができ、これは200以下の床容量(BV)、特に500BV以下、殊に1000BV(溶剤不含のN−置換ラクタムに対するBV)のマクロ孔質カチオン交換体を通る処理量において可能である。 ppmおよびppbは質量に対するものである。 比較例 GCによる純度99.8体積%、30ppbのナトリウムイオン含有率および52ppmのモノメチルアミン(MMA)含有率を有するN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を、H形でゲルタイプの強酸性カチオン交換体Dowex(R)650C(ダウケミカル社)で充填した融解石英管(内径:30mm、長さ:100cm)を通して逆流モードで25℃で通過させた。イオン交換体の床容量(BV)は620mlであった。空管速度は1m/hであった。1BV/h(=1時間の処理量)の体積流量で、融解石英管からの排出量のMMA含有率は、僅か50BVを供給した後に5ppmより高かった。約120BVを供給した後には、MMA含有率は10ppmより高く、かつ170BVを供給した後には、35ppmより高かった。170BVを供給した後に、イオン交換体の負荷はイオン交換体1リットルあたりMMA僅か0.22モルであった。 例1 試験を比較例に記載のように実施したが、但し管をマクロ孔質タイプの強酸性カチオン交換体Duolite(R)C264(Rohm and Haas Company)によってH形で充填した。イオン交換体の床容量(BV)は630mlであった。空管速度は1m/hであった。1BV/h(=1時間の処理量)の体積流量で、ガラス管からの排出量のMMA含有率は、1000BVを供給した後に依然として5ppm未満であった。1000BVを供給した後に、イオン交換体の負荷はイオン交換体1リットルあたりMMA1.6モルに達した。更に1BV/hの体積流量で、1000BVを供給した後の生成物のナトリウムイオン含有率は同様に依然として5ppb未満であった。 例2 試験を比較例に記載のように実施したが、但し管をマクロ孔質タイプの強酸性カチオン交換体Amberlite(R)UP252(Rohm and Haas Company)によってH形で充填した。イオン交換体の床容量(BV)は630mlであった。空管速度は1m/hであった。1BV/h(=1時間の処理量)の体積流量で、融解石英管からの排出量のMMA含有率は、1000BVを供給した後に依然として5ppm未満であった。1000BVを供給した後に、イオン交換体の負荷はイオン交換体1リットルあたりMMA約1.4モルに達した。更に1BV/hの体積流量で、1000BVを供給した後の生成物のナトリウムイオン含有率は同様に依然として5ppb未満であった。 本発明の方法の結果として不純物としてアミン、例えば式RNH2の第一級アミン、特に第一級C1〜C12−アルキルアミンおよびC1〜C4−モノアルカノールアミン、例えばモノメチルアミン(MMA)、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソ−プロピルアミン、n−ブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、モノエタノールアミン、特にMMAを含有するN−置換ラクタムを高い選択性および効率で精製することである。 アミンで汚染されたN−置換ラクタムのアミン含有率を低下させるための方法において、汚染されたN−置換ラクタムを酸性マクロ孔質カチオン交換体で処理することを特徴とするN−置換ラクタムのアミン含有率を低下させるための方法。 前記処理を強酸性マクロ孔質カチオン交換体を使用して実施する、請求項1記載の方法。 カチオン交換体がスチレン−ジビニルベンゼンコポリマー基体を有する、請求項1または2記載の方法。 酸性マクロ孔質カチオン交換体の孔径が10〜150nmである、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。 酸性マクロ孔質カチオン交換体の使用可能な能力がカチオン交換体1リットルあたりアミン少なくとも0.5モルである、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。 式I:[式中、Rは直鎖状もしくは分枝鎖状の、置換もしくは非置換の、飽和脂肪族もしくは脂環式の基であり、nは1〜4の整数であり、N−置換ラクタムの複素環が不活性置換基を有していてよい]のN−置換ラクタムを精製するための、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。 式中のRはC1〜C4−アルキルまたはヒドロキシアルキルであり、かつnが1、2もしくは3である式IのN−置換ラクタムを精製するための、請求項6記載の方法。 N−メチル−2−ピロリドンを精製するための、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。 N−置換ラクタムをカチオン交換体によって5〜130℃で処理する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。 カチオン交換体を固定床として使用する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。 使用されるN−置換ラクタムが相応のラクトンと第一級アミンとの反応によって得たものである、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。 【課題】N−置換ラクタム中に不純物として存在するアミンの濃度を低下させるための経済的、選択的かつ効率的な方法を見いだす。【解決手段】アミン汚染されたN−置換ラクタムのアミン含有率を低下させるにあたり、汚染されたN−置換ラクタムを酸性マクロ孔質カチオン交換体で処理する。【選択図】なし