| タイトル: | 公開特許公報(A)_糖質吸収抑制物質 |
| 出願番号: | 2011094632 |
| 年次: | 2012 |
| IPC分類: | A61K 31/74,A61P 3/04,A61P 3/10,A23L 1/30 |
木幡 周一 木幡 章賢 JP 2012224589 公開特許公報(A) 20121115 2011094632 20110421 糖質吸収抑制物質 木幡 周一 711004562 木幡 章賢 511100866 木幡 周一 木幡 章賢 A61K 31/74 20060101AFI20121019BHJP A61P 3/04 20060101ALI20121019BHJP A61P 3/10 20060101ALI20121019BHJP A23L 1/30 20060101ALN20121019BHJP JPA61K31/74A61P3/04A61P3/10A23L1/30 Z 1 OL 4 4B018 4C086 4B018LB10 4B018MD07 4B018ME03 4B018ME14 4C086AA01 4C086AA02 4C086FA06 4C086MA01 4C086MA04 4C086MA52 4C086NA14 4C086ZA70 4C086ZC35 本発明は、肥満の予防や治療に、あるいは糖尿病の治療薬として用いられる糖質の腸管吸収抑制物質に関する。 近年、食生活が豊かになり、糖質の摂取過多による肥満等を原因とする糖尿病、動脈硬化症、心臓病及び高血圧症等の成人病が増加している。肥満防止は、健康上あるいは社会問題上、近代社会の重要課題である。 肥満は摂食と代謝の問題であり、その防止法には、摂食量の低減や運動によるカロリーコントロール、時には、一時的飢餓療法等が提案されている。しかし、これらには、栄養学的問題を含むこともあり、また、運動によるカロリーコントロールも、誰もが実行し得るものでない。 一方、簡便法として、食物中80%近くを占める炭水化物(澱粉など)に対する消化酵素の阻害物質を利用する方法が考えられている。消化酵素には、唾液及び膵液中に含まれるα−アミラーゼ、また、小腸粘膜微絨毛膜に局在するスクラーゼ、マルターゼ、イソマルターゼ、ラクターゼなどがある。近年、これら炭水化物の消化に関与する酵素阻害物質が、幾数種か、見出されている。 糖質の腸管での吸収は、主に、小腸粘膜細胞に局在する能動輸送系によって行われていることが明らかになっている。糖は、吸収上皮細胞刷子縁膜に、Na+ との結合状態で吸着し、Na+ の濃度差による電位差を生じさせる。Na+ と糖は、その電位差によって、同時に膜を通過し、細胞内に取り込まれる(林幸三,川崎尚:代謝19:661,1982,川崎尚:病態生理2:12,1983)。フロリジン等が、この過程を阻害する糖質吸収低下薬物として考えられてきた。しかし、これら阻害物質は、微生物または植物から得られたオリゴ糖系及びペプチド系のもので、安全性、有効性の点で問題点を有しており、そのほとんどが実用化に至っていない。また、人工甘味料も繁用されているが、これは砂糖の添加量を抑制するだけで、炭水化物の分解物である糖質吸収には影響がなく、肥満に対して特に大きな効果は期待できない。 また、従来、インド原産のギムネマ属ガガイモ科の植物が、糖質吸収抑制剤として研究されてきた。なかでも、ギムネマシルベスタは、インドにおいて、古くから糖尿病の民間伝承薬として知られてきた。ギムネマシルベスタの温水抽出物やアルコール抽出物は、腸管における炭水化物の吸収を抑制する作用があることから、お茶、あるいは、食品添加物して用いることが提案されている(特開昭63−105661号公報、特開昭61−5023号公報)。 ギムネマシルベスタは、含まれているギムネマ酸が糖吸収抑制に効果的と考えられてきたが、その作用機序は明らかではない(吉岡伸一:米子医学雑誌37:142,1986)。 ギムネマシルベスタは、通常、経口的に投与される。その時ギムネマ酸は舌上の味覚受容体と結合して味覚の知覚抑制として働き、その効果は約1時間持続する。従って、ギムネマシルベスタ投与後は、食事等の味気を感じなくなってしまう等の問題がある。一方、ギムネマ酸は、ギムネマシルベスタから抽出されるため比較的高価であり、また、天然由来であるため安定供給も難しい。 また、従来、分子インプリントポリマーを製造する技術として、(1)鋳型分子の存在下に、必要に応じて機能性モノマーおよび架橋性モノマーを重合し、得られたポリマーから鋳型分子を除去して分子インプリントポリマーを得る方法(架橋重合法)、及び(2)鋳型分子を溶解又は溶融したポリマーに溶解させて、鋳型分子をポリマーの官能基と共有又は非共有結合させて固定化した後、鋳型分子を除去する方法(相転換法)が知られている。(例えば、特許文献1、2及び非特許文献1参照)特表2003−523465号公報特開2003−40807号公報化学,Vol,57,No.3(2002),64−65 本発明は、上述の肥満予防上の問題点を考慮して立案されるものであり、節食や特殊療法に依存することなく、かつ、味覚障害などの障害を引き起こすことなく、糖質の吸収を効果的に阻害する新規糖質吸収抑制物質提供を提案することを、その目的とする。 食物として摂取された炭水化物は小腸から消化吸収される。従って、小腸からの吸収の場を阻害することにより糖質の吸収量を低下させることが可能になる。 本発明の糖質吸収阻害物質は、糖質を分子認識および捕捉機能をもつ高分子を主成分とする物質であり、分子認識(インプリント)法によって製造される。分子インプリント法は、認識、捕捉等の対象となる特定物質を鋳型分子とし、この鋳型分子と相補的な空隙や表面構造(選択認識性のある分子認識サイト)を高分子中に形成する技術である。ここで主体をなす高分子は、糖質に対して親和性を有する物質であり、糖質に結合してその代謝酵素であるα−アミラーゼ、スクラーゼ、マルターゼ、イソマルターゼ、あるいはラクターゼなどの消化酵素による分解反応をまぬがれ、糖質の腸管吸収を拮抗的に抑制するという作用機序を発現する。該分子認識高分子は、糖質を特異的に結合する能力を持ち、しかもそれ自身が高分子であることから、腸管から容易に吸収されない特徴を有する。 本発明で対象とする糖質は、単糖類としてグルコース、ガラクトース、二糖類としてはスクロース、マルトース、ラクトースである。 本発明の糖質吸収抑制物質は、小腸内で自由に拡散し、糖質の担体と結合し得るため、水溶性であることが望ましい。J Am Chem Soc. 131(41):14699−702(2009) 上記のようにして得られた糖質吸収抑制物質は肥満治療や糖尿病治療のための医薬品として使用される他、機能性食品(肥満予防)として食品に添加することもできる。 本発明の糖質吸収抑制物質は、糖質の能動輸送を行う担体に対しても、親和性を有する可能性があり、この担体に結合して、拮抗的に糖質の腸管からの吸収を抑制する作用を果たすことが期待される。 よって、本発明の糖質吸収抑制剤は、糖質の腸管からの吸収量を著しく減少させ、さらに、苦痛を与えることなく肥満予防や治療を可能にする。 鋳型分子の存在下に、必要に応じて機能性モノマーおよび架橋性モノマーを重合し、得られたポリマーから鋳型分子を除去して分子インプリントポリマーを得る。糖質を分子認識かつ捕捉する高分子を主成分とする糖質吸収抑制物質。 【課題】新規糖質吸収抑制物質の提供。【解決手段】新規高分子が、痩身、肥満治療、コレステロール値低下、糖尿病予防、糖尿病治療、あるいは、基礎代謝能力を向上させる、糖質を鋳型分子とする分子認識高分子である新規糖質吸収抑制物質。【選択図】なし