生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_脂肪吸収抑制剤
出願番号:2011094625
年次:2011
IPC分類:A61K 36/00,A61P 43/00,A61P 3/04,A61P 3/06,A61P 1/00,A61P 3/10,A61P 9/12,A61P 9/10,A23L 1/30


特許情報キャッシュ

印南 朱 今田 啓介 JP 2011178796 公開特許公報(A) 20110915 2011094625 20110421 脂肪吸収抑制剤 大正製薬株式会社 000002819 印南 朱 今田 啓介 A61K 36/00 20060101AFI20110819BHJP A61P 43/00 20060101ALI20110819BHJP A61P 3/04 20060101ALI20110819BHJP A61P 3/06 20060101ALI20110819BHJP A61P 1/00 20060101ALI20110819BHJP A61P 3/10 20060101ALI20110819BHJP A61P 9/12 20060101ALI20110819BHJP A61P 9/10 20060101ALI20110819BHJP A23L 1/30 20060101ALN20110819BHJP JPA61K35/78 BA61P43/00 111A61P3/04A61P3/06A61P1/00A61P3/10A61P9/12A61P9/10 101A23L1/30 B 4 2004365631 20041217 OL 8 4B018 4C088 4B018LB10 4B018MD48 4B018ME03 4B018ME04 4B018ME14 4B018MF06 4C088AB03 4C088AC04 4C088BA09 4C088BA10 4C088CA08 4C088NA14 4C088ZA42 4C088ZA45 4C088ZA66 4C088ZA70 4C088ZC20 4C088ZC33 4C088ZC35 本発明は肥満および高トリグリセリド血症を予防および改善するとともに、肥満に起因する糖尿病、高脂血症、高血圧症、動脈硬化といった疾患の予防に有効な天然物由来の脂肪吸収抑制剤に関する。 従来、日本人の食事は炭水化物が中心であったが、近年はファーストフードを始めとした欧米型の食事が普及し、脂肪の摂取量が多くなってきている。平成14年度の国民1人1日当たりの栄養素等摂取量を見ると、エネルギー摂取量に占める脂質エネルギーの割合が、20〜40歳代で適正比率の上限である25%を上回っている状況である(非特許文献1)。 脂肪の過剰摂取は肥満および血清高トリグリセリド血症の原因である。また、肥満ではインスリン抵抗性が惹起され、糖尿病、高脂血症、高血圧症、動脈硬化性疾患の発症率が高いことが知られている。このことから、食物中の脂肪の吸収を抑制する薬剤は、肥満や血清高トリグリセリド血症の予防または改善に有効であるにとどまらず、肥満に起因する糖尿病、高脂血症、高血圧症、動脈硬化性疾患といった疾患の発症を予防し、生活の質の向上に寄与すると考えられる。 実際、欧米において発売されている医療用医薬品のオルリスタットは食事中の脂肪吸収を抑制し、抗肥満作用および血清高トリグリセリド血症改善作用を示すことが知られている。しかしながらオルリスタットは胃腸障害や脂肪便等の副作用の報告も多いことから、作用が穏やかで、長期間にわたって摂取しても安全性の高い、天然物由来の脂肪吸収抑制剤が求められている。 食物中の脂肪の大半を占めるトリグリセリドは、胃および膵臓から分泌されるリパーゼによって脂肪酸とモノグリセリドに分解されて、小腸において吸収される。よって脂肪の吸収を抑制するためには、リパーゼの阻害、または小腸での脂肪酸およびモノグリセリド吸収の阻害という2つの機序が考えられる。現在のところ、実際に脂肪の吸収を抑制する作用が認められているのはリパーゼ阻害剤であり、前述のオルリスタットを始めとした多くのリパーゼ阻害剤において、その作用が報告されている。 従来、脂肪の吸収を抑制する天然物由来の素材としては、脱脂カカオマス(特許文献1)が知られている。また、リパーゼ阻害作用を示す天然物としては、ドッカツ、リョウキョウ、ビンロウシ、ヨウバイヒ、サンペンズおよびケツメイシ(特許文献2)、レモングラス、オールスパイス、シナモン又はクローブ(特許文献3)、アルファルファ抽出物、苦丁茶抽出物、金銀花抽出物、ペパーミント抽出物、チョウジ抽出物、セイヨウキズタ抽出物、オリーブ抽出物およびラフマ茶抽出物(特許文献4)、ウワウルシ、西洋サクラソウ、ボダイジュ、アスパラガス、イチョウ、ウアナルポマチョ、オオアワダチソウ、リンデン、カツアーバ、ユーカリ、コウキ、カスカラサグラダ、オノニス、ムユウジュ、セネガの植物及びローヤルゼリー(特許文献5)などが開示されている。 ハクトウオウ(白頭翁)はキンポウゲ科の植物ヒロハオキナグサ(Pulsatilla chinensis)、の根を乾燥したものである。薬理作用としては強心作用、末梢血管拡張作用、内臓神経系支配の血管収縮作用、抗アメーバ原虫作用、抗膣トリコモナス作用、抗菌作用が知られている。漢方では清熱、解毒を目的に使用されている。 ミツモウカ(密蒙花)はフジウツギ科の植物ワタフジウツギ(Buddleia officinalis Maxim)の蕾を花が開かないうちに採取し、乾燥したものである。薬理作用に関する報告はほとんどないが、解熱、消炎、眼病治療の用途で使用されている。 カイトウヒ(海桐皮)はマメ科のデイゴ(Erythrina indica L. = E. variegata L. var. orientalis (L.) Merr.)の樹皮を乾燥したものである。また、ミカン科のカラスザンショウ(Zanthoxylum ailanthoides Sieb. Et zucc.)、ウコギ科のハリギリ(Kalopanax pictus(thumb.) Nakagi)およびパンヤ科のキワタノキ(Bombax malabaricum DC.)も海桐皮と称されている。薬理作用としては皮膚真菌や黄色ブドウ球菌に対する抑制作用が報告されている。薬剤としては関節リウマチなどの鎮痛剤や、皮膚疥癬や歯痛の用途で使用されている。 ハクシジン(柏子仁)はヒノキ科の植物コノテガシワ(Thuja orientalis L.= Biota orientalis (L)ENDL.)の種子より皮を除いて得た種仁を乾燥したものである。薬理作用に関する報告はほとんどないものの、滋養、強壮、不眠、便秘の用途で使用されている。なお、コノテガシワの枝および葉はソクハクヨウ(側柏葉)として知られているが、主成分、用途ともハクシジンとは異なるものである。 トウガシ(冬瓜子)はウリ科のトウガ=カモウリ(Benincasa cerifera Savi = B. hispida (Thumb.) Cogn.)の成熟種子を乾燥したものである。薬理作用に関する報告はほとんどないが、鎮咳、去痰、排膿、消炎性利尿薬として、内臓の化膿症(内癰)・熱痰による咳嗽に補助薬として用いられている(非特許文献2、3)。なお、トウガの果実部分はトウガ(冬瓜)として知られており、ダイエット食品として広く知られているが、その種子であるトウガシとは主成分、用途とも異なるものである。特開平6-321796特開平5-255100特開2001-120237特開2003-26585特開2003-192605国民栄養の現状/平成14年厚生労働省国民栄養調査結果、健康・栄 養情報研究会編難波恒夫著、和漢薬百科図鑑[I]、保育社、p.57-58、p.286-287、p .219-220難波恒夫著、和漢薬百科図鑑[II]、保育社、p.112-113、p.154-156 本発明の目的は、天然物由来の脂肪吸収抑制剤を提供することにある。 本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ある種の生薬またはそのエキスが優れた脂肪吸収抑制作用を有するとともに、その作用がリパーゼ阻害作用に起因することを見出し、本発明を完成した。 すなわち本発明は、1)ハクシジンを配合することを特徴とする脂肪吸収抑制剤。2)ハクシジンを配合することを特徴とするリパーゼ阻害剤。3)ハクシジンを配合することを特徴とする肥満の予防または改善剤。4)ハクシジンを配合することを特徴とする血清高トリグリセリド血症の予防または改善剤。である。 本発明は脂質の吸収阻害作用を有することから、肥満、血清高トリグリセリド血症の予防または改善に有効であるとともに、肥満に起因する糖尿病、高脂血症、高血圧症、動脈硬化といった疾患の予防にも有効である。 本発明に係るハクシジンはそのまま生薬末として、また、水、極性溶媒、それらの混合溶媒などで抽出したエキスとして使用することができるが、水とアルコールを等量混合した溶媒を用いて抽出したエキスが好ましい。また、エキスは乾燥エキス、流エキスなどを用いることもできる。 本発明で用いる生薬成分は単品または混合して用いることができる。 本発明の脂肪吸収抑制剤の投与量は、年齢、性別などを考慮して適宜増減できるが、通常成人で1日あたり、原生薬換算量として100mg〜50gの範囲で用いることができ、好ましくは、500mg〜5gである。 本発明は、発明の効果を損なわない質的および量的範囲で、ビタミン、キサンチン誘導体、アミノ酸、賦形剤、pH調製剤、清涼化剤、懸濁化剤、消泡剤、粘稠剤、溶解補助剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤、香料などを配合して、常法により、液剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、ドライシロップ剤、チュアブル錠、経粘膜剤などの経口または非経口製剤とすることができる。 本発明の生薬成分は優れた脂肪吸収阻害作用、リパーゼ阻害作用を有することが明らかになった。 以下に実施例および試験例をあげ、本発明を具体的に説明する。 ハクトウオウを細切後、10倍量の50%エタノールを加え、約80℃で加熱抽出し、濾過後減圧下でエタノールを留去し、さらに、濃縮を行うことによりエキスを得た。 なお、ミツモウカ、カイトウヒ、ハクシジンおよびトウガシについても同様の抽出法で抽出しエキスを製造した。試験例1(ラットにおける脂肪吸収抑制作用の測定) SDラット(雄性)を1群7匹で2群に分け、試験前日より16-20時間の絶食を行った。そのうち1群には生薬エキスを10mL/kgの用量で経口投与し、その直後に3H標識トリオレインを1mL/匹の用量で経口投与した。別の1群は対照群とし、生薬エキスの代わりに精製水10mL/kgを経口投与し、その直後に3H標識トリオレインを経口投与した。なお、生薬エキスは、エキスとして1g/10mLとなるように精製水で希釈したものを用いた。3H標識トリオレインは、トリオレインとして0.25nmol(放射活性として486.55kBq)をガラスチューブに分注し、窒素ガスで溶媒を蒸発させ、0.5% Tween-80溶液1mLを加えて10分間超音波処理することによって分散させたものを用いた。3H標識トリオレインの投与から30、60、90、120分後に尾静脈より無麻酔下で採血を行い、ヘパリン入りのチューブに血液を回収した。遠心分離によって血漿を分離し、そのうち50μLをシンチレータ溶液10mLとよく混ぜ合わせ、液体シンチレーションカウンターを用いて放射活性を測定した。 対照群および生薬エキス投与群の血漿50μLの放射活性の経時変化を図1に示した。さらに、血中濃度曲線下面積(AUC)を算出し、対照群のAUCに対する生薬エキス投与群のAUCの減少率を脂肪吸収阻害率(%)とし、表1に示した。 図1、表1から明らかなように、生薬エキス投与群には脂肪吸収抑制作用が認められた。試験例2(リパーゼ阻害作用の測定) 基質溶液(0.2 mM 4-methylumbelliferyl oleate)50μLに実施例1で得た各生薬エキス(2.5% DMSOで溶解)25μLおよび酵素溶液(100U/mL pancreatic lipase,TypeVI-S from porcine pancreas)25μLを添加した。37℃で15分間反応させた後、0.1M塩酸150μLおよび0.1Mクエン酸ナトリウム25μLを加え、励起波長320nm、蛍光波長450 nmにおける蛍光吸収を測定した。なお、各生薬エキスは最終濃度として12.5、25、50および100μg/mLの各濃度となるように添加した。 生薬エキス無添加群を100%としたときの生薬エキス配合群の蛍光をリパーゼ阻害率(%)として表した結果を図2に、50%活性阻害濃度を表2に示した。 図2、表2から明らかなように、ラットにおける脂肪吸収を抑制した生薬エキス投与群には、リパーゼの阻害作用が認められた。 本発明の生薬は優れた脂肪吸収抑制作用を有することから、肥満、血清高トリグリセリド血症など脂肪の蓄積に由来する疾患、さらに肥満に起因する糖尿病、高脂血症、高血圧症、動脈硬化といった疾患の治療または予防用の医薬品、食品、機能性食品などに利用可能である。本発明の各生薬エキスについての脂肪吸収抑制作用を示した図であり、各縦軸にラット血漿50μLの放射活性を、各横軸に3H標識Trioleinの投与から経過した時間を示した。本発明の各生薬エキスについてのリパーゼ活性阻害率を示した図であり、各縦軸に阻害率、各横軸にエキス濃度を示した。ハクシジンを配合することを特徴とする脂肪吸収抑制剤。ハクシジンを配合することを特徴とするリパーゼ阻害剤。ハクシジンを配合することを特徴とする肥満の予防または改善剤。ハクシジンを配合することを特徴とする血清高トリグリセリド血症の予防または改善剤。 【課題】作用が穏やかで、長期間にわたって摂取しても安全性の高い天然物由来の脂肪吸収抑制剤の提供。【解決手段】ヒノキ科の植物コノテガシワの種子より皮を除いて得た種仁を乾燥したものである、ハクシジン(柏子仁)を配合することを特徴とする脂肪吸収抑制剤、リパーゼ阻害剤、肥満の予防または改善剤、および血清高トリグリセリド血症の予防または改善剤。【選択図】なし


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