タイトル: | 公開特許公報(A)_マイクロカプセルの製造方法 |
出願番号: | 2011088132 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | B01J 13/04,A61K 47/38,A61K 8/73,A61K 9/50,A61K 8/11,A61K 47/20,A61K 8/46,A61K 47/34,A61K 8/84,A61K 47/32,A61K 8/81,A61K 47/02,A61K 8/19,A61K 8/26 |
佐貫 淳 JP 2012217960 公開特許公報(A) 20121112 2011088132 20110412 マイクロカプセルの製造方法 第一工業製薬株式会社 000003506 蔦田 璋子 100059225 蔦田 正人 100076314 中村 哲士 100112612 富田 克幸 100112623 夫 世進 100124707 佐貫 淳 B01J 13/04 20060101AFI20121016BHJP A61K 47/38 20060101ALI20121016BHJP A61K 8/73 20060101ALI20121016BHJP A61K 9/50 20060101ALI20121016BHJP A61K 8/11 20060101ALI20121016BHJP A61K 47/20 20060101ALI20121016BHJP A61K 8/46 20060101ALI20121016BHJP A61K 47/34 20060101ALI20121016BHJP A61K 8/84 20060101ALI20121016BHJP A61K 47/32 20060101ALI20121016BHJP A61K 8/81 20060101ALI20121016BHJP A61K 47/02 20060101ALI20121016BHJP A61K 8/19 20060101ALI20121016BHJP A61K 8/26 20060101ALI20121016BHJP JPB01J13/02 AA61K47/38A61K8/73A61K9/50A61K8/11A61K47/20A61K8/46A61K47/34A61K8/84A61K47/32A61K8/81A61K47/02A61K8/19A61K8/26 4 OL 9 4C076 4C083 4G005 4C076AA61 4C076DD21 4C076DD57 4C076EE06 4C076EE18 4C076EE32 4C076FF27 4C076GG16 4C083AB031 4C083AB032 4C083AB211 4C083AB212 4C083AB221 4C083AB222 4C083AB231 4C083AB232 4C083AC791 4C083AC792 4C083AD011 4C083AD012 4C083AD091 4C083AD092 4C083AD111 4C083AD112 4C083AD271 4C083AD272 4C083CC01 4C083DD14 4C083EE07 4G005AA01 4G005AB14 4G005BA01 4G005BB06 4G005DA13W 4G005DA14W 4G005DB14Z 4G005DC09W 4G005DC52W 4G005DD12W 4G005DD24W 4G005DD53W 4G005DD57W 4G005DD70W 4G005EA02 4G005EA04 4G005EA05 本発明は、マイクロカプセルの製造方法に関し、より詳細にはカルボキシメチルセルロースを膜壁とするマイクロカプセルの製造方法に関する。 マイクロカプセルの製法には、縮合重合による化学的方法と、コアセルベーション法・液中乾燥法・融解分散冷却法等の物理化学的方法、及びパンコーティング法・気中懸濁化法・噴霧乾燥法等の機械的方法がある。 上記縮合重合による化学的方法(以下、縮合重合法という)とは、例えば特許文献1に示されたような、多官能性イソシアネートを原料とするポリウレタン樹脂やポリウレア樹脂、メチロールメラミンを原料とするメラミン樹脂等を膜壁とするマイクロカプセルを製造する方法である。しかしこの方法には、ポリウレタン膜壁やポリウレア膜壁の生成では炭酸ガスが生じ、またメラミン樹脂膜壁の生成ではホルムアルデヒドが発生するという問題がある。 また、複合コアセルベーション法とは、高分子溶液としてポリカチオン溶液とポリアニオン溶液とを組み合わせて使用し、これらを混合した際に電気的な相互作用で相分離を起こして生じる濃厚コロイド層をカプセル化皮膜に利用するものである(非特許文献1)。カルボキシメチルセルロース及び/又はそのナトリウム塩を膜壁とするマイクロカプセルの製造方法としては、この複合コアセルベーション法でゼラチンを併用する方法が用いられている。複合コアセルベーションに用いるカルボキシメチルセルロース以外のポリアニオンとしては、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、寒天などの多糖類が知られている。 この複合コアセルベーション法では、上記縮合重合法におけるようなガスの発生はないが、相分離を起こさせるためにpHの調整を行い、さらに濃厚コロイド層を硬化させるために有機溶剤(ホルムアルデヒドやエタノールなど)を添加した上で、pHを再調整する必要があるなど、作業が煩雑になる上、有機溶媒の残留や環境汚染などの問題も考慮する必要がある。 これに対し、特許文献2及び3には、セルロース類を用いたマイクロカプセル化方法であって、有機溶剤もゼラチンも使用しない方法として、相溶性のないセルロース類の水溶液とコポリマーの水溶液とを混合し、分離剤として塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、又は硫酸ナトリウムを加えて、マイクロカプセルを生成させる製造方法が開示されている。 しかし、これら特許文献2及び3に示された方法では、安定なマイクロカプセルを得るために、特定のセルロース類と特定のコポリマーとを組み合わせる必要があり、カルボキシメチルセルロースを用いてマイクロカプセルを得るための具体的な方法については何ら開示されていない。特開平11−188257号公報特開2000−033259号公報特開2001−205075号公報「マイクロカプセル−その製法・性質・応用」、三共出版、近藤保・小石真純共著、1977年10月15日、第49−55頁 本発明は上記に鑑みてなされたものであり、カルボキシメチルセルロース又はそのナトリウム塩を用い、上記縮合重合法のようなガスの発生なしに、かつ有機溶媒も使用せずに、強固なマイクロカプセルが容易に得られる製造方法を提供することを目的とする。 本発明のマイクロカプセルの製造方法は、上記の課題を解決するために、カルボキシメチルセルロース及び/又はそのナトリウム塩とこれら以外の水溶性高分子とを含有する水溶液を調製する工程と、この水溶液に芯物質を加えて乳化懸濁液を調製する工程と、この乳化懸濁液に二価以上の金属塩を添加する工程とを含むものとする。 上記製造方法において、カルボキシメチルセルロース及び/又はそのナトリウム塩としては、エーテル化度が0.4〜2.0であり、B型粘度計による、ローター回転数60rpm、25℃における1重量%水溶液の粘度が1〜10000mPa・sであるものを好適に用いることができる。 また、水溶性高分子としては、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物塩、ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン酸、及びポリスチレンスルホン酸塩からなる群から選択された1種又は2種以上を用いることができる。 また、二価以上の金属塩としては、カルシウム塩、鉄塩、銀塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、及び銅塩からなる群から選択された1種又は2種以上を用いることができる。 本発明の製造方法によれば、二価以上の金属塩を使用することにより、カルボキシメチルセルロース(以下、CMCと記載する場合がある)からなる強固な膜壁を有し、芯物質保持性に優れ、放出の制御も容易なマイクロカプセルを、ガスの発生もなく、有機溶媒を全く使用しないで、簡便に製造することが可能となる。 本発明で使用するカルボキシメチルセルロース(以下、CMCと記載する場合がある)及び/又はそのナトリウム塩(以下、CMC−Naと記載する場合がある)は、エーテル化度が0.4〜2.0であることが好ましい。エーテル化度が0.4未満では水溶性が不十分であり、均一な液状にならず、マイクロカプセルの粒度分布が不均一になる等、性能がばらつくおそれがある。また、エーテル化度が2.0を超えると、価格的に高価になり、経済的に不利となる。 また、CMC及び/又はCMC−Naは、B型粘度計により、ローター回転数60rpm、25℃で測定した1重量%水溶液の粘度が、1〜10000mPa・sであることが好ましい。粘度はより好ましくは1〜100mPa・sであり、さらに好ましくは1〜10mPa・sである。高粘度であるほど乳化の際にゲル化が生じたり、均一な乳化が困難になる傾向があり、得られたマイクロカプセル水分散液も粘度が高くなり、流動性が乏しくなるため実用的に不利となる。一方、低粘度であるほど水溶液中のCMCの濃度を高めることができ、よってCMC膜壁の厚みを増すことができる。 本発明に用いるCMC及び/又はCMC−Na以外の水溶性高分子については、特に制限はなく、天然由来のもの及び化学合成により得られるもののどちらを用いることもできる。例としては、キサンタンガム、ジェランガム、ポリグルタミン酸、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、デンプン、キトサン、ペクチン、及びそれらの誘導体、また、合成系有機高分子であるポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ナフタレンスルホン酸ナトリウム又はアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物又はそれらの塩、ポリスチレンスルホン酸又はその塩等が例示できる。また、CMC及びCMC−Na以外の、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体も使用することができる。これらの中でも、ポリビニルアルコール、ナフタレンスルホン酸ナトリウム又はアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物並びにそれらの塩が好ましい。これら水溶性高分子は1種を単独で使用することもでき、2種以上を組み合わせて使用することもできる。 また、これらの水溶性高分子の分子量は、重量平均分子量(Mw)で3000〜100万が好ましく、1万〜10万がより好ましい。分子量が低すぎると乳化状態が不安定になり、分子量が高すぎるとCMC膜壁が形成され難くなる。 次に、本発明に用いる二価以上の金属塩の例としては、カルシウム塩、鉄塩、銀塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、銅塩等が挙げられる。好ましい具体例としては、塩化鉄、硫酸鉄、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ミョウバン、硝酸銀、水酸化カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅等が挙げられる。これら二価以上の金属塩も、1種を単独で使用することもでき、2種以上を組み合わせて使用することもできる。本発明ではこれら二価以上の金属塩を用いることにより、マイクロカプセルの芯物質保持性に優れ、放出の制御も容易なマイクロカプセルが得られる。これは、これら二価以上の金属塩とCMCのカルボキシル基の水素イオン又はナトリウムイオンとの間でイオン交換が行われることにより、CMC分子間に架橋が生じ、これにより強固なCMC壁によってマイクロカプセルが形成されるためであると考えられる。上述したように、従来の縮合重合法によるポリウレタン膜壁やポリウレア膜壁からなるマイクロカプセル製造の際には炭酸ガスが発生し、また、メラミン樹脂からなるマイクロカプセル生成の際にはホルムアルデヒドが発生するが、本発明ではこのようなガスの発生がないため、ガス除去や未反応物除去の必要がなく、短時間でマイクロカプセル化を終了することが可能となる。 本発明のカプセルに用いる芯物質は特に限定されず、香料(天然香料、合成香料及び植物精油)、農薬、生理活性物質、忌避剤、消臭剤、着色料などが挙げられる。これらの芯物質は疎水性を有することが好ましく、液体に限らず、固体でもよい。また、これらの芯物質を不揮発性のオイルに溶解したものも芯物質として使用できる。 本発明のマイクロカプセルの製造方法は、(1)CMC及び/又はCMC−Naとそれの水溶性高分子とを含有する水溶液を調製する工程と、(2)この水溶液に芯物質を加えて乳化懸濁液を調製する工程と、(3)この乳化懸濁液に二価以上の金属塩を添加する工程とを少なくとも含む。 上記CMC等の水溶液を調製する工程(1)において、水溶液中のCMC及び/又はCMC−Naの濃度は0.1〜10重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。また、この水溶液中のCMC及び/又はCMC−Na以外の水溶性高分子の濃度は0.1〜10重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。この水溶液は公知の方法に従い調製することができ、必要に応じて加熱する。 次に、上記水溶液に芯物質を加えて乳化懸濁液を調製する工程において、芯物質の濃度は、最終的に得られる水性媒体を含めたマイクロカプセル水分散液中の0.1〜50重量%となるよう調整することが好ましい。これより濃度が高いと乳化が困難になったり、マイクロカプセル水分散液の粘度が増大するおそれがある。一方、0.1重量%未満の場合はマイクロカプセルは何ら問題なく調製できるが、目的とする芯物質の濃度が低くなりすぎ、経済的な面から現実的ではない。なお、乳化懸濁はホモディスパー等を使用して公知の方法により行うことができる。 さらに、上記乳化懸濁液に二価以上の金属塩を添加する工程において、この二価以上の金属塩の濃度は目的物たる水分散液中0.1〜10重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。金属塩添加のタイミングとしては乳化状態が安定したころを見計らって添加するのが好ましい。得られた乳化懸濁液が十分均一になったことが目視で認められれば、乳化懸濁操作を終了する。 上記乳化懸濁操作終了後は、室温〜80℃程度で1〜24時間程度熟成することが好ましい。このように熟成を行うことにより、架橋が十分に進むため、CMC膜壁をより強固にすることができる。 上述した本発明の製造方法により、マイクロカプセルが水中に安定に分散した水分散液(スラリーを含む)が得られる。本発明の製造方法により得られるマイクロカプセルは、平均粒径が通常1〜1000μmのほぼ球形の粒子であり、その平均粒径は用途によって適宜選択され、乳化時のホモディスパー等による撹拌速度を調整すること等により調整することができる。 得られたマイクロカプセル水分散液は、そのまま使用することができ、必要に応じて水等で希釈して使用することもできる。例えば、香料を芯物質とするマイクロカプセル水分散液であれば、これを適宜希釈等して布製品にスプレー、浸漬等の方法により付与して乾燥させることにより、マイクロカプセルを布製品に付着して、香りが長期間保持される布製品を得ることができる。 上述した本発明の製造方法においては、発明の目的を外れない範囲であれば、マイクロカプセルの製造方法において通常使用される界面活性剤、防腐剤、pH調整剤、増粘剤等の添加剤を、上記水溶液又は乳化懸濁液に添加することもできる。 以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に記載しない場合は「%」は「重量%」を指すものとする。また、CMC−Naの粘度は、B型粘度計による、ローター回転数60rpm、25℃における1重量%水溶液の粘度を示す。<マイクロカプセルの製造>[実施例1] CMC−Na(商品名:セロゲン703A、第一工業製薬(株)製、エーテル化度0.7、1%粘度5.0mPa・s)とポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールGL−05、日本合成化学(株)製、ケン化度88%、4%粘度5.0mPa・s)を各々の濃度が3%となるように水に分散し、80℃まで加温して溶解させて水溶液を得た。 溶解後、室温まで冷却した上記水溶液60gを300mLのトールビーカーに入れ、さらにヒノキオイルを35g添加し、ホモディスパー(羽根の径φ40mm、攪拌速度1000rpm)により10分間乳化させた。乳化開始5分後に、0.25%に調製した塩化第一鉄の水溶液5gを少しずつ添加した。 乳化終了後、ホモディスパーの羽根を碇型の攪拌羽根に変更し、200rpmで24時間、室温で攪拌して熟成することで、表1に示した組成を有するマイクロカプセル水分散液(スラリー、以下同様)を得た。[実施例2] 実施例1のポリビニルアルコールをナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物(商品名:セルフロー120P、第一工業製薬(株)製、平均分子量約15000)6%に変更し、塩化第一鉄水溶液を0.1%水酸化カルシウム水分散液に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて水溶液を調製した後、乳化した。乳化終了後、羽根を碇型の撹拌羽根に変更し、さらに60℃まで加温し、その温度で1時間攪拌して熟成することで、表1に示した組成のマイクロカプセル水分散液を得た。[実施例3] 実施例1のポリビニルアルコールを5%とし、CMC−Naを、エーテル化度0.45、1%粘度15.0mPa・sのCMC−Na(商品名:セロゲンPL−15、第一工業製薬(株)製)5%に変更し、塩化第一鉄水溶液を0.25%カリミョウバン水分散液に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて水溶液を調製した後、乳化した。乳化終了後、羽根を碇型の撹拌羽根に変更し、さらに60℃まで加温し、その温度で1時間攪拌して熟成することで、表1に示した組成のマイクロカプセル水分散液を得た。[実施例4] 実施例1のCMC−Naを、エーテル化度0.75、1%粘度10000mPa・sのCMC−Na(商品名:セロゲンBSH−12、第一工業製薬(株)製)1%に、ポリビニルアルコールをポリスチレンスルホン酸ナトリウム(商品名:VERSA−TL502、分子量約100万、AkzoNobel社)5%に、塩化第一鉄水溶液を0.25%カリミョウバン水分散液にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の方法にて水溶液を調製した後、乳化した。乳化終了後、羽根を碇型の撹拌羽根に変更し、さらに60℃まで加温し、その温度で1時間攪拌して熟成することで、表1に示した組成のマイクロカプセル水分散液を得た。[比較例1] 0.25%の塩化第一鉄水溶液を添加しなかった点、及び60℃で1時間熟成を行った点を除き、実施例1と同じ作業を行い、マイクロカプセル水分散液の製造を試みた。 上記各実施例及び比較例により得られたマイクロカプセルの平均粒径をレーザ回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所製、SALD−2200)により測定した。結果を表1に示す。 表1に示されたように、実施例1〜4では平均粒径20μm以下のマイクロカプセルが得られたのに対し、二価の金属塩を使用しなかった比較例1ではマイクロカプセルを得ることができなかった。<残香性評価> 上記実施例1〜4で得られたマイクロカプセルスラリー0.4gを界面活性剤1%水溶液(商品名:ノイゲンCX−100、第一工業製薬(株)製)1000gに添加し、スターラーで10分間攪拌したマイクロカプセル水分散液に、市販のポリエステル布帛から切り取った試験片(4cm×6cm)を投入し、さらに10分間攪拌し、水を切った直後、及び一晩自然乾燥させた後の残香の有無をそれぞれ確認した。また乾燥後7日経過後の処理布の残香の有無、及びこの処理布を軽くもみ合わせた後の残香の有無も同様に確認した。結果を表2に示す。 比較のために、ヒノキオイル0.14gを上記界面活性剤1%水溶液(商品名:ノイゲンCX−100、第一工業製薬(株)製)1000gに添加して分散させ、上記マイクロカプセル水分散液に替えてこの分散液を用いた以外は実施例1〜4と同様にして、処理布の残香の有無を調べた。結果をブランクとして表2に併記する。 表2に示されたように、処理後7日経過後では、ブランクの処理布は香料が蒸散していたのに対し、実施例1〜4のマイクロカプセル水分散液で処理した処理布は、なお香料を保持しているのが確認できた。 本発明の製造方法により得られるマイクロカプセルは、香料(天然香料、合成香料、植物精油等)、農薬、生理活性物質、忌避剤、消臭剤、着色料等の放出の持続及び制御に利用できる。 カルボキシメチルセルロース及び/又はそのナトリウム塩とこれら以外の水溶性高分子とを含有する水溶液を調製する工程と、 この水溶液に芯物質を加えて乳化懸濁液を調製する工程と、 この乳化懸濁液に二価以上の金属塩を添加する工程とを含むことを特徴とするマイクロカプセルの製造方法 前記カルボキシメチルセルロース及び/又はそのナトリウム塩として、エーテル化度が0.4〜2.0であり、かつB型粘度計による、ローター回転数60rpm、25℃における1重量%水溶液の粘度が1〜10000mPa・sであるものを用いることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロカプセルの製造方法。 前記水溶性高分子として、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物塩、ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン酸、及びポリスチレンスルホン酸塩からなる群から選択された1種又は2種以上を用いることを特徴とする、請求項1又は2に記載のマイクロカプセルの製造方法。 前記二価以上の金属塩として、カルシウム塩、鉄塩、銀塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、及び銅塩からなる群から選択された1種又は2種以上を用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロカプセルの製造方法。 【課題】有機溶媒を使用せずに、カルボキシメチルセルロースを膜壁とするマイクロカプセルが容易に得られる製造方法を提供する。【解決手段】カルボキシメチルセルロース及び/又はそのナトリウム塩とこれら以外の水溶性高分子とを含有する水溶液を調製する工程と、この水溶液に芯物質を加えて乳化懸濁液を調製する工程と、この乳化懸濁液に二価以上の金属塩を添加する工程とを含む製造方法を用いる。【選択図】なし