タイトル: | 再公表特許(A1)_神経保護作用を持つ薬剤配合 |
出願番号: | 2011075802 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 31/58,A61K 31/255,A61P 43/00,A61P 25/00,A61P 27/02,A61P 29/00,A61P 41/00 |
石橋 達朗 久冨 智朗 納富 昭司 江内田 寛 鍵本 忠尚 JP WO2012066994 20120524 JP2011075802 20111109 神経保護作用を持つ薬剤配合 国立大学法人九州大学 504145342 廣瀬 隆行 100116850 関 大祐 100165847 長江 太一 100185649 石橋 達朗 久冨 智朗 納富 昭司 江内田 寛 鍵本 忠尚 JP 2010255422 20101115 A61K 31/58 20060101AFI20140415BHJP A61K 31/255 20060101ALI20140415BHJP A61P 43/00 20060101ALI20140415BHJP A61P 25/00 20060101ALI20140415BHJP A61P 27/02 20060101ALI20140415BHJP A61P 29/00 20060101ALI20140415BHJP A61P 41/00 20060101ALI20140415BHJP JPA61K31/58A61K31/255A61P43/00 121A61P25/00A61P27/02A61P29/00A61P41/00 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN 再公表特許(A1) 20140512 2012544200 13 4C086 4C206 4C086AA01 4C086AA02 4C086DA13 4C086MA02 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA01 4C086ZA33 4C086ZB11 4C086ZC75 4C086ZC78 4C206AA01 4C206AA02 4C206JA13 4C206MA02 4C206MA04 4C206NA14 4C206ZA01 4C206ZA33 4C206ZB11 4C206ZC75 本発明は,神経保護作用を持つ薬剤に関するものである。より詳しく説明すると,本発明は,ブリリアントブルーGとトリアムシノロンアセトニドとを含む神経保護剤に関する。 米国特許第7731941号明細書(特許文献1)には,ブリリアントブルーG(BBG)が眼膜除去を行う際の眼膜染色として有効であることが開示されている。 米国出願公開第2010−74884号(特許文献2)には,BBGが,P2X受容体のアンタゴニストであり,ATPの病理作用を阻害またはブロックすることが開示されている。そして,同文献には,BBGが,神経保護作用を有するとされている。 一方,米国出願公開第2004−65137号(特許文献3)には,眼の疾患の治療のために眼に注入するために設計されたステロイドトリアムシノロンを含む注入用処方物が開示されている。この公報には,ステロイドトリアムシノロンを含む市販される製剤が,眼に関連する重篤な慢性的なアレルギープロセスおよび炎症プロセス(例えば,眼部帯状疱疹;虹彩炎;虹彩毛様体炎;脈絡網膜炎;びまん性後部ブドウ膜炎および脈絡膜炎;視神経炎;交感性眼炎;ならびに前眼部炎症)の治療に有効であること,糖尿病性黄斑浮腫を処置するために有効であることが開示されている。 米国出願公開第2005−245497号(特許文献4)には,ステロイドトリアムシノロンに眼血管新生の軽減作用があることが開示されている。 米国出願公開第2006−9498号(特許文献5)には,ステロイドトリアムシノロンが網膜中心静脈閉塞症(CRVO),網膜静脈分枝閉塞症(BRVO),脈絡膜黄斑浮腫(CME),糖尿病性黄斑浮腫(DME),糖尿病性黄斑網膜症,ブドウ膜炎,毛細血管炎症,及び加齢性黄斑変性症(ARMD)の治療に有効であることが開示されている。 米国出願公開第2005−181017号(特許文献6)には,ステロイドトリアムシノロンが網膜中心静脈閉塞症(CRVO),網膜静脈分枝閉塞症(BRVO),脈絡膜黄斑浮腫(CME),糖尿病性黄斑浮腫(DME),糖尿病性黄斑網膜症,ブドウ膜炎,毛細血管炎症,及び加齢性黄斑変性症(ARMD)の治療に有効であることが開示されている。 上記において説明した公知文献は,引用することによりその全体が明細書に取り込まれるものである。米国特許第7731941号明細書米国出願公開第2010−74884号米国出願公開第2004−65137号米国出願公開第2005−245497号米国出願公開第2006−9498号米国出願公開第2005−181017号 上記の公知文献に開示された神経保護剤よりもより高い効果を有する神経保護剤が望まれた。特に,眼膜除去や硝子体染色の際に,視神経を保護し,組織の炎症を効果的に防止できる剤が望まれた。 本発明は,神経細胞を効果的に保護することができる神経保護剤を提供することを目的とする。本発明は,特に視神経保護剤を提供することを目的とする。 本発明は,視神経を含む眼内細胞を効果的に保護でき,更に眼膜除去を行う際の眼膜染色用組成物として有効である神経保護剤を提供することを目的とする。 本発明は,視神経を含む眼内細胞を効果的に保護でき,更に硝子体を染色するための染色用組成物として有効である神経保護剤を提供することを目的とする。 本発明は,高い抗炎症作用を有する神経保護剤を提供することを目的とする。 本発明は,ブリリアントブルーGとトリアムシノロンアセトニドとを含む剤が,相乗効果により極めて有効な神経保護作用を発揮するという実施例により得られた知見に基づくものである。 本発明は,神経保護剤に関する。この神経保護剤は,ブリリアントブルーG,その薬学的に許容される塩,又はその薬学的に許容される溶媒和物を有効成分として含む。また,この神経保護剤は,トリアムシノロンアセトニド,その薬学的に許容される塩,又はその薬学的に許容される溶媒和物を有効成分として含む。 この薬剤は,特に視神経の保護剤として用いられる。 この薬剤は,さらに眼膜除去を行う際の眼膜染色のための染色組成物として用いられる。 この薬剤は,さらに硝子体染色のための染色組成物として用いられる。 この薬剤は,さらに抗炎症剤として用いることができる。 本発明は,神経細胞を効果的に保護することができる神経保護剤を提供できる。本発明は,特に視神経保護剤を提供できる。 本発明は,視神経を含む眼内細胞を効果的に保護でき,更に眼膜除去を行う際の眼膜染色用組成物として有効である神経保護剤を提供できる。 本発明は,視神経を含む眼内細胞を効果的に保護でき,更に硝子体を染色するための染色用組成物として有効である神経保護剤を提供できる。 本発明は,高い抗炎症作用を有する神経保護剤を提供できる。図1は,細胞染色色素を用いた蛍光写真(図面に替わる写真)である。図2は,細胞生存率を示すグラフである。 本発明の第1の側面は,神経保護剤に関する。神経保護剤の例は,視神経の保護剤である。この神経保護剤は,対象となる神経に局所投与することにより目的とする神経を保護することができる。このため,本発明の神経保護剤は,神経系の疾患の予防及び治療に有効であるほか,外科手術の際に利用できる。特に,本発明の神経保護剤は,神経細胞をブロックすることにより神経細胞を損傷から防ぐことができる。この薬剤は,染色性を有するため,薬剤を投与した個所とそうでない個所を明瞭に区別できしかも高い抗炎症作用を有する。このため,薬剤の投与し忘れを効果的に防止できる。 本発明の神経保護剤により保護できる神経細胞の例は,視神経である。また,本発明の神経保護剤により保護できる神経細胞は,中枢神経系(CNS)の神経(例えば,脳もしくは脊髄ニューロン,またはRGC)ならびに末梢神経系(PNS)中の神経(例えば,自律神経,脊髄神経,または脳神経)におけるニューロンであってもよい。神経損傷の例は水頭症,浮腫,物理的および圧迫性外傷,興奮毒性損傷,および虚血である。本発明の神経保護剤は,これらの神経損傷を効果的に予防でき,治療できる。 この神経保護剤は,基本的には2つの有効成分を含む。第1の有効成分は,ブリリアントブルーG,その薬学的に許容される塩,又はその薬学的に許容される溶媒和物である。そして,第2の有効成分は,トリアムシノロンアセトニドその薬学的に許容される塩,又はその薬学的に許容される溶媒和物である。 ブリリアントブルーG(BBG)は,市販されているので,BBGを購入することでBBGを利用できる。そして,BBGの薬学的に許容される塩,及びBBGの薬学的に許容される溶媒和物は,公知の方法により得ることができる。なお,以下ではこれらをまとめて単にBBGとも称する。たとえば,これらは米国特許第6,057,160号の明細に開示される方法によって製造することができ,この文献は参照することにより本書の一部に含まれる。BBGの投与量は公知の文献に従って調整できる。また,BBGは,先に説明した公知文献に開示された方法に従って製剤化できる。 トリアムシノロンアセトニドは,市販されているので,トリアムシノロンアセトニドを購入することでトリアムシノロンアセトニドを利用できる。そして,トリアムシノロンアセトニドの薬学的に許容される塩,及びトリアムシノロンアセトニドの薬学的に許容される溶媒和物は,公知の方法により得ることができる。なお,以下ではこれらをまとめて単にトリアムシノロンアセトニドとも称する。トリアムシノロンアセトニドの投与量も,公知の文献に従って調整できる。また,トリアムシノロンアセトニドは,先に説明した公知文献に開示された方法で製剤化できる。 薬理学的に許容される塩の例は,無機塩基,アンモニア,有機塩基,無機酸,有機酸,塩基性有機酸,ハロゲンイオン等から成る塩,及び分子内塩を含む。無機塩基の例はアルカリ金属(Na,K等)及びアルカリ土類金属(Ca,Mg等)を含む。有機塩基の例はトリメチルアミン,トリエチルアミン,コリン,プロカイン,エタノールアミン等を含む。無機酸の例は,塩酸,臭化水素酸,硫酸,硝酸,及びリン酸等を含む。有機酸の例はp−トルエンスルホン酸,メタンスルホン酸,蟻酸,トリフルオロ酢酸及びマレイン酸等を含む。塩基性アミノ酸の例はリジン,アルギニン,オルニチン,ヒスチジン等を含む。 薬学的に許容される溶媒和物の例は,水和物である。水和物の例は一水和物である。 本発明の第2の側面は,眼膜除去を行う際の眼膜染色のための染色用途をも有するものである。すなわち,この側面の薬剤は,先に説明した神経保護剤としての高い機能を発揮しつつ,眼膜除去を行う際の眼膜染色のための染色組成物としての用途をも有する。すなわち,特許文献1に開示される通り,BBGは眼膜除去を行う際の眼膜染色のための染色組成物として有効である。そして,本発明のように,トリアムシノロンアセトニドを含むことで,BBGとトリアムシノロンアセトニドの相乗効果が生じて,極めて高い神経保護作用を有することとなる。このため,本発明の剤を,眼膜除去を行う際の眼膜染色に用いた場合,極めて高い染色性と,極めて高い神経保護作用を発揮することとなる。換言すれば,本発明は,神経保護作用を有する眼膜除去を行う際の眼膜染色のための染色組成物をも提供する。 本発明の好ましい態様の一つによれば,前記染色組成物は例として,黄斑円孔,高度近視性(hymyopic)黄斑円孔による網膜剥離,網膜上膜,増殖性の糖尿病性網膜症,糖尿病性黄斑浮腫,増殖性硝子体網膜症,過熟白内障及び先天性白内障のように特異的な白内障といった硝子体網膜疾患,及び分層角膜移植等,眼球の疾患の眼科手術において外科的アジュバントとして利用できる。本発明の染色組成物に従えば,識別し難い眼膜をより明確に確認し,外科手術中の安全性を向上させることが可能となる。 本発明のより好ましい態様においては,前記染色組成物は眼膜及び,より好ましくは,内境界膜及び/あるいは前嚢の染色に用いることができる。 また,本発明の態様の一つによれば,本発明の染色組成物は薬理学的に許容される担体と組み合わせて用いることができる。溶解液及び薬品粉末との一式として,あるいは注射器中に満たされた溶液の形として,及びヒアルロン酸と組み合わせてゲル状溶液として調合できる。最も好ましくは,溶液として調合されるが,必ずしもこれに限定されない。 本発明の態様の一つによれば,前記染色組成物は薬学的に許容される溶液として調合されるが,必ずしもこれに限定されない。これはBBGの直接かつ容易に眼内洗浄液に溶解され,またシリンジフィルターによって滅菌できるという特性による。 更に,本発明の態様の一つによれば,前記染色組成物は眼内灌流液,平衡塩類溶液(BSS),生理食塩水,あるいは最も好ましくは,眼内灌流液(眼内洗浄液)であるOPEGUARD−MA(千寿製薬株式会社,大阪府,日本)に溶解した溶液として調合できる。しかしながら,必ずしもこの形式に限定されない。 更に,本発明の染色組成物の態様の一つによれば,浸透圧が298mOsm近傍であることが好ましい。この態様によれば,本発明の染色組成物は生理食塩水に等しい浸透圧である。以前ICGによる網膜色素上皮の障害はその溶液の低浸透圧性に由来する可能性があることが報告されていた。これに関連して,本発明の一つの態様における染色組成物は,網膜色素上皮において浸透圧の差により起こる障害といった,細胞膨張あるいは脱水症状に関する組織障害(細胞脱落あるいは細胞死等)を引き起こさないという点において,優れた効果を有する。 本発明の好ましい態様の一つにおいては,本発明の染色組成物は中性のpH,すなわち,pH=7.4近傍のpHを示すことが望ましい。 この側面の剤に関連して,患者の目にこの剤を投与し,眼膜を染色し,染色した眼膜を除去する方法が提供される。この方法はBBG及びトリアムシノロンアセトニドを含む染色組成物を調整するステップと予め規定された濃度の染色組成物を用いて眼膜を染色するステップと,染色された眼膜を除去するステップとを含む。すなわち,この側面の剤は,眼科手術のための外科的アジュバントとして利用できる。本発明の好ましい態様の一つとして,前記眼科手術は哺乳類の眼球に対して施行され,より好ましくは,ヒトの眼球に対して施行される。 更に,本発明の態様の一つにおいて,前記染色組成物及び/あるいはそれを利用する染色法は眼科手術の一部として適切に用いられる。本発明の好ましい態様により,先述の眼科疾患手術は黄斑円孔,近視性黄斑円孔による網膜剥離,網膜上膜,増殖性糖尿病網膜症,糖尿病性黄斑浮腫,増殖性硝子体網膜症,成熟白内障及び先天性白内障等の特異的白内障,及び分層角膜移植等の治療に行われる外科手術であり,最も好ましくは,硝子体−網膜疾患(特に黄斑円孔及び網膜上膜(ERMS))及び白内障に対して行われるものである。 この側面の剤に関連して,眼科疾患の治療のための染色組成物の製造するためのBBG及びトリアムシノロンアセトニドの使用をも提供できる。特に,本発明は,眼膜除去のための染色組成物を製造するためのBBG及びトリアムシノロンアセトニドの使用をも提供できる。 本発明の第3の側面は,硝子体染色のための用途をも有するものに関する。すなわち,この側面の薬剤は,BBG及びトリアムシノロンアセトニドを含むことで,先に説明した神経保護剤としての高い機能を発揮しつつ,硝子体染色のための染色組成物としての用途をも有する。この側面の薬剤は,先に説明した第2の側面と同様であるので記載を引用する。すなわち,本発明は,患者の硝子体内又は硝子体表面にこの剤を投与し,硝子体を染色する方法をも提供する。また,本発明は,硝子体染色のための染色組成物を製造するための,BBG及びトリアムシノロンアセトニドの使用をも提供する。換言すれば,本発明は,神経保護作用を有する硝子体染色のための染色組成物をも提供する。 本発明の第4の側面は,抗炎症剤として機能するものに関する。すなわち,本発明の薬剤は,抗炎症機能を有するとともに,BBGとトリアムシノロンアセトニドの相乗効果が生じて,極めて高い神経保護作用を有する。すなわち,この側面の薬剤は,眼炎症の予防及び治療に有効である。結膜炎,角膜炎,ぶどう膜炎,強膜炎及び網膜炎の予防及び治療に有効である。 結膜炎の例は,アレルギー性結膜炎,乾性角結膜炎,ウィルス性急性結膜炎,流行性角膜炎,咽頭結膜熱,急性出血性結膜炎,クラミジア結膜炎(トラコーマ),細菌性結膜炎及び淋菌性結膜炎である。 角膜炎の例は,角膜潰瘍,細菌性角膜潰瘍,カタル性角膜潰瘍,蚕食性角膜潰瘍,角膜真菌症,単純ヘルペス角膜炎,帯状疱疹角膜炎,アカントアメーバ角膜炎,梅毒性角膜実質炎,及び点状表層角膜炎である。 ぶどう膜炎の例は,ベーチェット病,サルコイドーシス,原田病,交感性眼炎,急性前部ぶどう膜炎(AAU),成人T細胞白血病ウィルスによるぶどう膜炎(HAU),イヌ回虫による網膜結膜炎,及び桐沢型ぶどう膜炎(急性網膜壊死)である。 強膜炎の例は,上強膜炎である。 網膜炎の例は,網膜血管炎である。 この側面の薬剤は,眼以外の部位の炎症の予防及び治療にも有効である。このため,この薬剤は,外科手術の際の炎症防止剤としても有効である。また,この薬剤は,リウマチや変形性関節症の予防及び治療に有効である。この態様の薬剤は,染色性を有するため,薬剤を投与した個所とそうでない個所を明瞭に区別できしかも高い抗炎症作用を有する。このため,薬剤の投与し忘れを効果的に防止できる。さらに,この薬剤は,単に染色機能があるだけではなく,BBGとトリアムシノロンアセトニドの相乗効果が生じて,極めて高い神経保護作用及び細胞保護作用を有する。 次に,本発明の薬剤におけるBBGの投与量について説明する。本発明の薬剤は,BBGを0.1−10mg/ml,好ましくは0.1−1.0mg/mlの濃度,最も好ましくは0.1−0.25mg/mlの濃度で含有することが望ましい。染色組成物中のBBGは0.25mg/mlの低濃度で充分な染色及び神経保護作用を得ることができる。また,本発明の薬剤を神経保護剤として利用する場合も,対処個所に局所投与すればよく,BBGを1回あたり1μg以上10mg以下投与すればよい。具体的には,BBGを1回あたり10μg投与すればよい。 次に,本発明の薬剤におけるトリアムシノロンアセトニドの投与量について説明する。本発明の薬剤は,トリアムシノロンアセトニドを1mg/ml以上500mg/ml以下含むものが好ましい。そして,トリアムシノロンアセトニドは,1回あたり1μg以上0.5g以下投与すればよい。具体的には,トリアムシノロンアセトニドを1回あたり0.1g投与すればよい。 本発明の薬剤の剤型は特に限定されない。剤型の例は注射剤である。また,先に説明した特許文献に開示された剤型とすることで,眼内に局所投与することができる。注射剤を製造するためには,公知の担体(水等)と有効成分を混合して,シリンジに封入すればよい。剤型の製造方法は,公知の方法を適宜用いることができる。 本発明の神経保護剤は,経口投与されてもよい。この場合,公知の担体に有効成分であるBBGとトリアムシノロンアセトニドとを混合し,打錠機で打錠することで製剤化できる。 本発明の薬剤が,染色剤として利用される場合は,施術個所に適量を投与すればよい。たとえば,注射剤である本発明の剤を1cc以上1ml以下投与すればよい。本発明の薬剤を神経保護剤又は抗炎症剤として用いる場合は,たとえば1日当たり1回〜3回を所定期間投与すればよい。 ブリリアントブルーGとトリアムシノロンアセトニドの同時投与による網膜神経細胞初代培養における神経保護効果試験 マウス網膜を採取、Neurobasal A培地にて初代培養を行った。ブリリアントブルーG10μmol/lおよびトリアムシノロンアセトニド0.2mg/mlを単独または同時投与した後、B27サプリメント非含有培地にて栄養飢餓刺激を行い、生細胞をCalceinAMにて蛍光標識し細胞生存率を評価した。 細胞染色色素を用いた蛍光写真を図1に示す。また図1に基づいて評価した細胞生存率を図2に示す。図1から,BBGとトリアムシノロンアセトニドを同時に投与したものは,BBG又はトリアムシノロンアセトニドをそれぞれ投与したものと比べて,極めて高い栄養飢餓刺激後の生細胞率の増加が認められた。このことは,BBGとトリアムシノロンアセトニドとを含むことで,相乗効果が発揮され極めて高い神経保護作用を有することを意味する。本発明の薬剤は,製薬産業において利用されうる。 ブリリアントブルーG,その薬学的に許容される塩,又はその薬学的に許容される溶媒和物と, トリアムシノロンアセトニド,その薬学的に許容される塩,又はその薬学的に許容される溶媒和物と, を有効成分として含む神経保護剤。 請求項1に記載の神経保護剤であって,視神経の保護剤である神経保護剤。 請求項1に記載の神経保護剤であって,さらに眼膜除去を行う際の眼膜染色のための染色組成物として用いられる神経保護剤。 請求項1に記載の神経保護剤であって,さらに硝子体染色のための染色組成物として用いられる神経保護剤。 請求項1に記載の神経保護剤であって,さらに抗炎症剤として用いられる神経保護剤。 【課題】 本発明は,視神経を含む眼内細胞を効果的に保護でき,更に眼膜除去を行う際の眼膜染色用組成物として有効である神経保護剤を提供することを目的とする。【解決手段】 上記の課題は,ブリリアントブルーG,その薬学的に許容される塩,又はその薬学的に許容される溶媒和物と,トリアムシノロンアセトニド,その薬学的に許容される塩,又はその薬学的に許容される溶媒和物と,を有効成分として含む神経保護剤により解決される。この神経保護剤は,BBGに由来する眼膜染色作用を有するとともに,ブリリアントブルーGとトリアムシノロンアセトニドとによる相乗効果により極めて高い神経保護作用を発揮する。【選択図】図2