生命科学関連特許情報

タイトル:再公表特許(A1)_血糖値上昇抑制剤
出願番号:2011075723
年次:2014
IPC分類:A61K 31/232,A61P 3/10,A61K 35/60


特許情報キャッシュ

兼廣 秀生 今井 真理子 JP WO2012063820 20120518 JP2011075723 20111108 血糖値上昇抑制剤 持田製薬株式会社 000181147 日本水産株式会社 000004189 小野 新次郎 100140109 小林 泰 100075270 富田 博行 100096013 星野 修 100092967 寺地 拓己 100122644 兼廣 秀生 今井 真理子 JP 2010250870 20101109 A61K 31/232 20060101AFI20140415BHJP A61P 3/10 20060101ALI20140415BHJP A61K 35/60 20060101ALI20140415BHJP JPA61K31/232A61P3/10A61K35/60 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN 再公表特許(A1) 20140512 2012542931 14 4C087 4C206 4C087AA01 4C087AA02 4C087BB29 4C087CA19 4C087CA36 4C087MA52 4C087NA10 4C087ZC35 4C206AA01 4C206AA02 4C206DB09 4C206DB43 4C206DB48 4C206MA01 4C206MA04 4C206MA72 4C206NA10 4C206ZC35 本発明は、血糖値の上昇を抑制する作用を有する経口摂取用組成物、特に食後の血糖値上昇を抑制する作用を有する組成物に関する。 糖尿病、高血糖症および肥満症などの疾患の治療または予防を目的として、血糖値の上昇を抑制する手段について多くの研究が行われている。 高度不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸エチル(EPA−E)を活性成分とする製剤(例えば、エパデール(登録商標)など)は、閉塞性動脈硬化症および高脂血症の治療または予防のための医薬品として使用されている。EPA−Eは、腸管から吸収され血中に移行するために胆汁酸分泌や食物からの成分が担体として必要なため、食直後(食後30分以内)の投与が用法・用量として定められている。また、EPA−E製剤の糖代謝に与える影響についても既に研究がされており、同製剤を食直後に投与した場合、糖代謝に不利な影響を与えるとの報告と少なくとも悪影響はないとの報告があり、同製剤の影響について異なる報告がされている(非特許文献1および2)。 グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)は、インスリン分泌の調節を介しての糖代謝の活性化に関与するペプチドホルモンとして知られている。WO2005/083070A1(特許文献1)は、Gタンパク質共役レセプターであるGPR120がヒト腸内のGLP−1分泌細胞の表面に分布し、GLP−1の分泌促進に関わることを報告する。更に同文献では、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)などの遊離脂肪酸がGPR120のリガンドとして作用することが記載されている。また、マウスを用いた実験では、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)を遊離脂肪酸として大腸内へ直接投与することにより、GLP−1の分泌が促進されることが報告されている(非特許文献3)。さらに、エゴマ油を成分として含む製剤を18時間以上絶食させたマウスに経口投与したところ、GLP−1の濃度上昇が確認されたとの報告がされている(非特許文献4)。国際公開第2005/083070A1号二田哲博ら、「エイコサペンタエン酸(EPA)製剤のインスリン非依存性糖尿病患者における糖代謝に及ぼす影響」、医学の歩み、1994年、169巻、8号、889−890頁新城孝道ら、「糖尿病に及ぼすエパデールの影響」、臨床と研究、1993年、71巻、10号、2716−2718頁Morishitaら、Usefulness of colon targeted DNA and EPA as novel diabetes medications that promote intrinsic GLP-1 secretion、Journal of Controlled Release、2008年、132巻、99−104頁Adachiら、Administration of Perilla Oil Coated with Calshell Increases Glucagon-Like Peptide Secretion、Biol. Pharm. Bull.、2008年、31巻、5号、1021−1023頁 GLP−1分泌促進に関わるレセプター(GPR120)のリガンドとして遊離脂肪酸が知られているが、EPAおよびDHAは、遊離脂肪酸の形態では酸化に対して極めて不安定であるため、EPAおよびDHAを遊離脂肪酸として含有する製剤は保存安定性を高めるための対策を取ることが必要となる。一方、EPAまたはDHAのエステルを経口投与することにより血糖値を抑制する方法はまだ知られていない。 本発明は、安全性が高く、保存安定性などの好ましい特性を有する血糖値上昇抑制剤、特に、食後高血糖を抑制するための手段を提供することを課題とする。 上記の課題を解決すべく鋭意研究を行ったところ、本発明者らは特定の条件にてEPAエステルまたはDHAエステルを投与することにより、血糖値上昇抑制効果が得られることを見いだし、本発明を完成させた。 すなわち、本発明の1つの側面によれば、以下の(1)〜(4)の血糖値上昇抑制剤が提供される。 (1)エイコサペンタエン酸(EPA)エステルまたはドコサヘキサエン酸(DHA)エステルを有効成分として含有し、食間に投与される、血糖値上昇抑制剤。 (2)食後2時間から食前1時間前までの食間に投与される、上記(1)に記載の血糖値上昇抑制剤。 (3)EPAエステルまたはDHAエステルが、EPAまたはDHAを構成脂肪酸とするトリグリセリド、またはEPAまたはDHAのC1−5アルキルエステルである、上記(1)または(2)に記載の血糖値上昇抑制剤。 (4)全脂肪酸中のEPAおよびDHAの合計含量が20重量%以上の精製魚油を有効成分とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の血糖値上昇抑制剤。 さらに、本発明の別の側面によれば、以下の(5)〜(8)の血糖値上昇抑制方法が提供される。 (5)EPAエステルまたはDHAエステルを食間に投与することを含む、血糖値上昇抑制方法。 (6)EPAエステルまたはDHAエステルを食後2時間から食前1時間前までの食間に投与する、上記(5)に記載の血糖値上昇抑制方法。 (7)EPAエステルまたはDHAエステルが、EPAまたはDHAを構成脂肪酸とするトリグリセリド、またはEPAまたはDHAのC1−5アルキルエステルである、上記(5)または(6)に記載の血糖値上昇抑制方法。 (8)全脂肪酸中のEPAおよびDHAの合計含量が20重量%以上の精製魚油を有効成分とする、上記(5)〜(7)のいずれかに記載の血糖値上昇抑制方法。 本発明の血糖値上昇抑制剤は、優れた血糖値上昇抑制作用を有し、特に食後血糖値上昇の抑制に効果を示す。また、EPAおよびDHAは閉塞性動脈硬化症および抗脂血症の治療・予防効果を有するため、本発明の血糖値上昇抑制剤は、高血圧症、高血糖症、肥満症などの生活習慣病に対する治療・予防のために使用することができる。図1は被験者7名の血糖値平均の推移を示すグラフである。縦軸は血糖値(mg/dL)、横軸はOGTT後の時間(分)を表す。図2は、図1のグラフのAUCを示すグラフである。図3は、被験者の血糖値の推移を示すグラフである。縦軸は血糖値(mg/dL)、横軸はOGTT後の時間(分)を表す。図4は、被験者の血糖値の推移を示すグラフである。縦軸は血糖値(mg/dL)、横軸はOGTT後の時間(分)を表す。 本発明の血糖値上昇抑制剤は、EPAエステルまたはDHAエステルを有効成分として含有する経口摂取用組成物である。本発明の一態様において、血糖値上昇抑制剤はEPAエステルおよびDHAエステルの混合物を有効成分として含有する。本発明において使用されるEPAエステルおよびDHAエステルは、経口摂取用として使用可能なものであれば特に限定されない。EPAエステルもしくはDHAエステルとして、天然油から公知の方法で抽出されたもの、粗精製されたもの、またはそれらを更に高度に精製したものを使用することができ、例えば、EPAまたはDHAを構成脂肪酸とするモノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリドなどを使用することができる。例えば、イワシ油、マグロ油、サンマ油、サバ油、アジ油、スケソウダラ油などの魚油を脱酸、脱色、脱臭、脱ガム、脱ロウなど公知の精製方法で処理し、必要に応じて溶剤分画法、尿素付加法、分子蒸留法などを行うことで、EPAとDHAのエステルが濃縮された混合物を調製することができる。 本発明の成分として、EPAエステルもしくはDHAエステルを含有する、購入により入手可能な精製魚油、例えばインクロメガ(Incromega)F2250、F2628、E2251、F2573、TG2162、TG2779、TG2928、TG3525およびE5015(クローダインターナショナル ピーエルシー(Croda International PLC, Yorkshire, England))、およびEPAX6000FA、EPAX5000TG、EPAX4510TG、EPAX2050TG、EPAX7010EE、K85TG、K85EEおよびK80EE(プロノバ バイオファーマ(Pronova Biopharma, Lysaker, Norway))などを使用することもできる。 本発明のEPAエステルもしくはDHAエステルとして、微生物などにより産生されたEPAまたはDHAの誘導体を使用することもできる。 本発明の一態様において、EPAまたはDHAを構成脂肪酸とするトリグリセリドが使用される。また、例えば、EPAまたはDHAを構成脂肪酸とするトリグリセリドを有効成分とする場合、EPAおよび/またはDHA含有精製魚油を本剤の成分として使用することができる。精製魚油としては、例えば、イワシ油、マグロ油、サンマ油、サバ油、アジ油、スケソウダラ油などの魚油を精製して使用することができる。精製方法としては、当該技術分野において公知の方法、例えば、WO95/24459またはWO2007/119811などに記載の方法を使用することができる。 本発明の血糖値上昇抑制剤として、EPAまたはDHAを構成脂肪酸とするトリグリセリドを含有する市販の製剤を使用することもできる。市販の製剤の例として、持田製薬「EPA&DHA」、森下仁丹「DHA/EPA」、日本水産「イマーク」、日本水産「海の元気EPA」、「海の元気DHA」、サントリー「EPA&DHA+セサミンE」、味の素KK「DHA&EPA」、ラフィーネ「エパゴールド」、ファンケル「EPA」、DHC「EPA」などが挙げられる。EPAエステルもしくはDHAエステルの純度は特には限定されないが、トリグリセリドなどの構成脂肪酸および遊離脂肪酸として精製魚油に含まれる全脂肪酸中のDHAおよびEPAの合計の含量は、例えば20重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上である。 本発明の一態様において、EPAまたはDHAのC1−5アルキルエステルが使用される。EPAまたはDHAのC1−5アルキルエステルとしては、EPAエチルエステルまたはDHAエチルエステルを好ましく使用することができる。EPAまたはDHAのC1−5アルキルエステルは公知の方法により製造することができる。例えば、EPAエチルエステルとして、閉塞性動脈硬化症(ASO)および抗脂血症治療薬として使用される高純度EPAエチルエステルを使用することができる。 本発明の血糖値上昇抑制剤として、EPAエステルまたはDHAエステルを含有する市販の製剤を使用することもできる。EPAエステルを含む医薬製剤の例としては、高純度EPAエチルエステル(96.5重量%以上)含有軟カプセル剤(商品名エパデール:持田製薬製)が挙げられる。また、EPAエチルエステルおよびDHAエチルエステルの混合物の例としては、米国で高トリグリセリド血症治療薬として市販されているロバザ(Lovaza:グラクソ・スミスクライン:EPAエチルエステル約46重量%、DHAエチルエステル約37重量%含有する軟カプセル剤)、およびオマコール(Omacor:プロノババイオファーマ:EPAエチルエステルを約46質量%およびDHAエチルエステルを約38質量%含有する軟質カプセル剤)などが挙げられる。 製剤の脂質成分中に含まれるEPAまたはDHAのエチルエステルの量は、DHAおよびEPAのエステルの合計として、例えば20重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。 本発明の血糖値上昇抑制剤は、食間に投与されることを特徴とする。例えば、本発明の血糖値上昇抑制剤は、食後2時間から次の食事の食前1時間前までの食間、好ましくは食後2〜6時間であって、次の食事の食前1時間前までの食間、より好ましくは食後3〜5時間であって、次の食事の食前1時間前までの食間に投与される。一つの態様において、本発明の血糖値上昇抑制剤は、夕食後2〜6時間であって、就寝前に摂取される。 本発明の血糖値上昇抑制剤の投与量は、その剤形、投与方法、1日当たりの投与回数、症状の程度、体重、年齢などによって適宜増減することができる。本発明の1日投与量に含まれる有効成分量は、EPAエステルまたはDHAエステルを遊離のEPAまたはDHAに換算して、100〜2700mg/日、好ましくは200〜1800mg/日、更に好ましくは300〜1200mg/日が例示される。日薬量は、必要に応じて全量を1回で投与してもよく、あるいは数回に分けて投与してもよい。好ましくは、朝食と昼食の食間、昼食と夕食の食間、および夕食後から就寝までなど1日3回の摂取が好ましい。本発明の血糖値上昇抑制剤は、有効成分の安全性が極めて高いことから長期投与に適しており、例えば1週間以上、好ましくは1ヶ月以上、より好ましくは3ヶ月以上の連続投与に適している。 本発明によれば、EPAまたはDHAのエステルを食間に投与することで、胆汁酸分泌によるEPAまたはDHAの上部消化管での血中への吸収が抑制され、あるいは血中への吸収の遅延が起こり、下部消化管に到達する遊離EPAまたはDHAの量を増加させ、優れた血糖値上昇抑制効果を発揮させることが可能となる。 製剤の剤形としては経口投与可能な剤形であれば特に限定されず、錠剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル)、マイクロカプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、経口用液体製剤(エマルジョン、懸濁液など)、シロップ剤、ゼリー剤などの形にすることができる。例えば、カプセル、特に、ソフトカプセルやマイクロカプセルに封入した剤形とすることが好ましい。各製剤は、当該技術分野において公知の方法により、通常使用される賦形剤、希釈剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、吸収促進剤、滑沢剤、溶解補助剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤などを使用して調製される。また添加剤としては、剤形に応じて通常使用される安定化剤、保存剤、緩衝剤、等張化剤、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤、着色剤、香料、風味剤、甘味剤などを使用することができる。 本発明の血糖値上昇抑制剤は、有効成分の安全性が極めて高いことから、使用対象は特に限定されず、例えば、高血糖傾向の緩和のために、または高血糖症の予防のために健常者に使用することができる。例えば、血糖値が空腹時126mg/dL以上、あるいは経口的ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値が200mg/dL以上の高血糖症患者への治療の目的で本発明の血糖値上昇抑制剤を使用することができる。また、対象の血糖値が、OGTT2時間値で140〜199mg/dLである場合(境界型)、高血糖以外のリスクファクター(例えば、高血圧症、肥満症、アルコール摂取または喫煙などの生活習慣など)を有する場合も本発明の血糖値上昇抑制剤を好ましく使用することができる。また、食後高血糖は動脈硬化につながり心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めるため、血糖値が境界型や正常域であっても、食後の血糖値上昇を抑制することはリスク予防の観点から有用である。したがって、本発明の血糖値上昇抑制剤は健常人の健康維持のために使用することができる。 本発明は、血糖値上昇に関わる疾患、例えば、糖尿病、高血糖、耐糖能異常、インスリン抵抗性、空腹時血糖異常、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、ケトアシドーシス、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、異脂肪血症、高リポタンパク質血症、メタボリックシンドローム、肥満、アテローム性動脈硬化症などの予防または治療に使用することができる。特に、本発明は、糖尿病、高血糖、耐糖能異常、空腹時血糖異常、および糖尿病の合併症の治療または予防のために使用することができる。ここで対象とする糖尿病は、好適にはインスリン非依存性の2型糖尿病である。また糖尿病合併症とは糖尿病(好ましくはインスリン非依存性の2型糖尿病)を直接または間接的な要因として併発する全身性もしくは局所性の疾患であり、具体的には、糖尿病アシドーシス、糖尿病性黄色腫、糖尿病性筋萎縮症、糖尿病性ケトーシス、糖尿病性昏睡、糖尿病性胃障害、糖尿性壊疽、糖尿病性潰瘍、糖尿病性合併症、糖尿病性下痢症、糖尿病性細小血管症、糖尿病性子宮体硬化症、糖尿病性心筋症、糖尿病性ニューロパシー、糖尿病性腎症、糖尿病性水疱、糖尿病性白内障、糖尿病性皮膚障害、糖尿病性浮腫性硬化症、糖尿病性網膜症、糖尿病性リポイド類壊死症、糖尿病性血流障害などを例示することができる。 本発明の血糖値上昇抑制剤は、他の薬剤、特に、他の血糖値上昇抑制剤,または糖尿病の治療剤もしくは予防剤と併用することができる。併用薬剤としては、例えば、インスリン製剤(注射剤)、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ(FBPase)阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニスト、グルココルチコイド受容体アンタゴニスト、グルコキナーゼ活性化剤、グルタミン:フルクトース−6−ホスファターゼアミノトランスフェラーゼ(GFAT)阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ(GP)阻害剤、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK−3)阻害剤、GPR40アゴニスト、ホスホエノールピルベートカルボキシキナーゼ(PEPCK)阻害剤、プロテインチロシンホスファターゼ1B(PTPase 1B)阻害剤、ピルベートデヒドロゲナーゼキナーゼ(PDHK)阻害剤、SGLUT阻害剤、SH2ドメイン含有イノシトールホスファターゼ(SHIP2)阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)阻害剤、tGLP−1ペプチドアナログ、αグルコシダーゼ阻害剤、インスリン感受性増強剤、スルホニルウレア受容体アゴニスト(SU剤)、即効型インスリン分泌促進剤(ナテグリニド)、低分子tGLP−1受容体アゴニスト、低分子インスリン経口剤、ビグアナイド剤、11β−HSD−1阻害剤、アディポネクチン受容体アゴニスト、AMP−活性化プロテインキナーゼ(AMPK)活性化剤、PPARγ受容体アゴニスト・アンタゴニスト、β3アドレナリン受容体アゴニストなどが挙げられる。その他の併用薬剤としては、例えば、高脂血症の治療剤または予防剤、肥満症の治療剤または予防剤、糖尿病合併症の治療剤または予防剤、高血圧症の治療剤または予防剤などが挙げられる。上記併用薬剤は、本発明の血糖値上昇抑制剤と別途投与されてもよく、また本発明の血糖値上昇抑制剤を含む配合剤の成分として投与されてもよい。 本発明の1つの側面によれば、EPAのエステルまたはDHAのエステルを有効成分として含有し、食間に投与される、血糖値上昇抑制のための医薬組成物が提供される。該医薬組成物は、血糖値上昇に関わる疾患、例えば、糖尿病、高血糖、耐糖能異常、インスリン抵抗性、空腹時血糖異常、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、ケトアシドーシス、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、異脂肪血症、高リポタンパク質血症、メタボリックシンドローム、肥満、アテローム性動脈硬化症などの予防または治療に使用することができる。 本発明の血糖値上昇抑制剤は、有効成分の安全性が極めて高いことから、食品の成分としても使用することができる。本発明の使用に適した食品としては、食事補強剤、一般食品の他、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、老人用食品、または医薬部外品などを挙げることができる。 本発明は特に、機能性食品、特定保健用食品または栄養補助食品などの有効成分として好ましく使用される。該食品は、例えば、錠剤、カプセル剤(ソフトカプセル、ハードカプセル)、マイクロカプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、経口用液体製剤(エマルジョン、懸濁液、自己乳化型液剤など)、シロップ剤、ゼリー剤などの剤形で調製される。本発明の血糖値上昇抑制剤を含有する食品は、例えば、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特定保健用食品、栄養補助食品、老人用食品または医薬部外品などとしての表示をすることができ、その他厚生労働省によって認可される表示、例えば、特定保健用食品としての表示、またはこれに類似する制度にて認可される表示をすることできる。後者の例としては、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク低減表示などを例示することができる。例えば本発明は、血糖値上昇抑制のために用いられる旨の表示、例えば「食後の血糖値が気になる方」向け、「血糖値が気になり始めた方」向けなどの表示を付した食品に使用することができる。 次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 血糖上昇抑制効果試験 空腹時血糖値が126mg/dL以下で、かつ糖負荷試験30分後の血糖値が130〜200mg/dLである健常人(男性4名、女性3名の計7名、43〜60歳)を対象としてOGTT後の血糖値上昇に対するEPAエステルまたはDHAエステルの効果を確認する試験を行った。 試験に供する製剤として、市販されている持田製薬EPA&DHAおよび森下仁丹DHA/EPAを使用した。その詳細について表1に示す。 被験者は試験前日の18時〜20時の間に標準的な夕食を摂取した後20時以降は絶食し、23時に上記の試験製剤を経口摂取した。試験当日にまず採血を行い、午前9時にブドウ糖(75g)を経口摂取し、30分後、60分後、90分後および120分後に採血し、血糖値の推移を確認した。経口的ブドウ糖負荷試験(OGTT)は同一の被験者に対して計3回行い、1回目は試験製剤を摂取せず(事前検査)、2回目は試料1を試験製剤として摂取し、3回目は試料2を試験製剤として摂取した。各試験は1週間の間隔をおいて行った。被験者7名の血糖値の平均の推移を図1に、図1のグラフのAUCを図2に示す。試料1および試料2のいずれを投与した場合においても、糖負荷後の血糖値上昇の抑制効果が確認された。 また、代表例として、被験者AおよびBの血糖値の推移を図3および図4に示す。被験者Aは、試料1を摂取する当日(試験前日)の20時までに夕食(ちらし寿司とサラダ;通常量)を摂取し、試料2を摂取する当日(試験前日)の20時までに夕食(穴子丼、パン、冷やし中華、サラダ、およびロールケーキ;通常量より多めの量)を摂取した。被験者Bは、試料1を摂取する当日(試験前日)の20時までに夕食(寿司、サラダ、野菜胡麻和え、温州みかん、およびゼリー;通常量)を摂取し、試料2を摂取する当日(試験前日)の20時までに夕食(巻き寿司とゼリー;通常量)を摂取した。被験者AはOGTT2時間後の血糖値が140mg/dL未満の正常型、被験者BはOGTT2時間後の血糖値が140〜199mg/dLの境界型であったが、どちらにおいても試験製剤の摂取による糖負荷後の血糖値上昇の抑制効果が確認された。 本試験により、食間にEPAまたはDHAのエステルを経口摂取することで、次の食事(本試験では翌朝のOGTTに相当する)による食後血糖値の上昇を抑制できることが確認された。 エイコサペンタエン酸のエステルまたはドコサヘキサエン酸のエステルを有効成分として含有し、食間に投与される、血糖値上昇抑制剤。 食後2時間〜食前1時間前までの食間に投与される、請求項1に記載の血糖値上昇抑制剤。 エイコサペンタエン酸のエステルまたはドコサヘキサエン酸のエステルが、エイコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸を構成脂肪酸とするトリグリセリド、またはエイコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸のC1−5アルキルエステルである、請求項1または2に記載の血糖値上昇抑制剤。 全脂肪酸中のエイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸の合計含量が20重量%以上の精製魚油を有効成分とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の血糖値上昇抑制剤。 本発明は、EPAまたはDHAのエステルを有効成分として含有し、食間に投与されることを特徴とする、食後血糖値上昇抑制剤に関する。本発明により、安全性が高く、保存安定性などの好ましい特性を有する血糖値上昇抑制剤、特に、食後高血糖を抑制するための手段が提供される。


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