生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ポリフェノール含有石けんの製造方法
出願番号:2011069682
年次:2012
IPC分類:C11D 9/38,A61K 8/49,A61K 8/97,A61Q 19/10


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谷 康男 中西 勉 JP 2012201850 公開特許公報(A) 20121022 2011069682 20110328 ポリフェノール含有石けんの製造方法 株式会社 小豆島クリーンサービス 309004529 藤井 淳 100105821 谷 康男 中西 勉 C11D 9/38 20060101AFI20120925BHJP A61K 8/49 20060101ALI20120925BHJP A61K 8/97 20060101ALI20120925BHJP A61Q 19/10 20060101ALI20120925BHJP JPC11D9/38A61K8/49A61K8/97A61Q19/10 5 OL 6 4C083 4H003 4C083AA111 4C083AA112 4C083AC841 4C083AC842 4C083CC22 4C083FF01 4C083FF04 4H003AB03 4H003BA01 4H003CA15 4H003CA16 4H003DA02 4H003EB46 4H003FA21 4H003FA33 本発明は、ポリフェノール含有石けんの新規な製造方法に関する。 オリーブの果実は、オリーブ果実それ自体が商品として用いられているほか、オリーブオイルをはじめとした様々な成分が食品、化粧品等として幅広く利用されている。特に、オリーブの果実を塩水に漬け込んだ加工食品(「塩蔵オリーブ」、「新漬オリーブ」等とも呼ばれている。以下「塩蔵オリーブ」という。)の生産量が増加の一途をたどっている。 塩蔵オリーブは、収穫したオリーブの果実を水酸化ナトリウム水溶液に浸漬してオリーブ特有のポリフェノール成分(いわゆる渋)を除去する脱渋工程を実施した後、水洗と塩漬け工程を経て製造されている。この製造工程において、前記の脱渋工程で高アルカリ性の脱渋液が副生する。この脱渋液は、一般に高アルカリ性であり、オリーブの果実から移行した有機物成分が高濃度で含まれるため、そのまま河川等に放流することができない。このため、その脱渋液の処理に関わるコスト、労力等が塩蔵オリーブの製造者にとって経済的・人的な負担となっている。このような世情において、当該負担を軽減するために上記のような脱渋液を有効活用する技術の開発が切望されている。 他方、オリーブオイルの製造工程で生じる絞り粕、水性残渣物等を利用する方法は種々提案されている。例えば、オリーブの絞り粕については、焼成炭化物粉末と、抗酸化物質(ポリフェノール化合物)としてのオリーブの絞り粕と、木酢成分と、海藻粉末と、タンニン成分とからなり、前記焼成炭化物は熱履歴温度が摂氏800度以上の木炭であり、前記木酢成分は精製木酢液を前記木炭又はゼオライトその他の吸着材に吸着保持させて粉末化したものであることを特徴とする飼料改善材が知られている(特許文献1)。 また例えば、前記の水性残渣物に関しては、オリーブ組織の圧搾液を採油した後の水性残渣物及びこの水性残渣物の濃縮物に水を添加した水性組成物からなる群より選ばれる水性不透明成分を、珪藻土に接触させる透明化工程を備える、ヒドロキシチロソール含有水性オリーブ抽出物の製造方法が提案されている(特許文献2)。特開2005−341828特開2009−46439 しかしながら、これらの従来技術のいずれにおいても、オリーブの果実の脱渋工程で生じる高アルカリ性の脱渋液を有効活用する方法については何ら提案されていない。 従って、本発明の主な目的は、オリーブ由来の原料の脱渋工程で副生される高アルカリ性の脱渋液を効果的に利用するための方法を提供することにある。 本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、オリーブの果実の脱渋工程で副生される脱渋液が高アルカリ性である点、ポリフェノール成分を含有している点等に着眼し、これを石けんの製造に利用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、下記のポリフェノール含有石けんの製造方法に係る。1. オリーブ由来の原料をアルカリ性の液体に浸漬する脱渋工程で副生した高アルカリ性の脱渋液を原料として用いる石けんの製造方法であって、1)前記脱渋液、2)前記脱渋液の濃縮液又は3)前記脱渋液の希釈液を含む液体をアルカリ原料とし、当該アルカリ原料と油脂成分とを混合・反応させて鹸化する鹸化工程を含む、ポリフェノール含有石けんの製造方法。2. 鹸化工程に先立って、前記脱渋液又はアルカリ原料を固液分離処理に供する、前記項1に記載の製造方法。3. 前記アルカリ性の液体が、水酸化ナトリウム水溶液である、前記項1又は2に記載の製造方法。4. 前記アルカリ原料中に含有されるアルカリ成分の濃度が、前記アルカリ原料の重量に対して30〜45%である、前記項1〜3のいずれかに記載の製造方法。5. 前記オリーブ由来の原料が、オリーブの果実、葉及び樹皮の少なくとも1つである、前記項1〜4のいずれかに記載の製造方法。 本発明の石けんの製造方法によれば、オリーブ由来の原料(例えばオリーブ果実)の脱渋工程で副生した強アルカリ性の脱渋液を処分することなく、石けんの原料として利用するので、別途に当該脱渋液を処分するための処理を講じる必要がなくなる。その結果、塩蔵オリーブの製造者等にとっては、その処理のための負担を軽減ないしは解消することができる。 また、上記脱渋液には、オリーブ由来の原料中に含有されているポリフェノール成分が比較的多量に含まれることから、これを原料として用いることで石けん中にポリフェノール成分を効率的に含有させることができる。また、皮膚の健康状態を良好に維持し得るポリフェノール成分も含まれることから、本発明の製造方法で得られる石けんでは、ポリフェノール成分による様々な効能・効用が期待される。 本発明のポリフェノール含有石けんの製造方法は、オリーブ由来の原料をアルカリ性の液体に浸漬する脱渋工程で副生(生成)した高アルカリ性の脱渋液を原料として用いる石けんの製造方法であって、1)前記脱渋液、2)前記脱渋液の濃縮液又は3)前記脱渋液の希釈液を含む液体をアルカリ原料とし、当該アルカリ原料と油脂成分とを混合・反応させて鹸化する鹸化工程を含むことを特徴とする。 オリーブ由来の原料としては、例えばオリーブの果実、葉及び樹皮の少なくとも1つを好適に用いることができる。 オリーブの果実は、熟度0から7までの全ての段階における生鮮の果実が利用可能であるが、特に熟度0および1の早熟の果実の利用が好ましい。そして、塩蔵オリーブを製造する際に実施される脱渋工程において、アルカリ性の液体に当該果実を浸漬し、渋味を有するポリフェノール成分(オレウロペイン、ヒドロキシチロソール等)を主体とする渋成分を除去する。本発明では、その際に副生したアルカリ性の液体(すなわち、脱渋液)を出発原料として用いる。 オリーブの葉については、葉の成長度として、若葉から成長葉まで全ての成長段階における葉を利用できる。特に、ポリフェノール成分の含有量が多い若葉を好適に利用可能である。 また、オリーブの樹皮についても、全ての成長段階における樹皮を使用することができ、例えば幹又は枝のいずれの樹皮も使用することができる。 前記のアルカリ性の液体としては、例えば水酸化ナトリウム水溶液を好適に用いることができる。また、石けん製造時の鹸化反応率を好適に維持する(鹸化率=85〜95%程度)観点から、前記アルカリ原料中に含有されるアルカリ成分の濃度が、前記アルカリ原料の重量に対して30〜45%に調整するのが好ましい。この場合、濃度調整のために必要に応じて、前記アルカリ原料にアルカリを添加しても良い。 脱渋工程は、アルカリ性の液体を使用されて実施される工程である限り、特にその条件等は限定されない。なお、脱渋工程においては、オリーブの果実の脱渋が実施された後、その脱渋液を回収して鹸化工程に供する。脱渋液には、アルカリ成分(例えば水酸化ナトリウム等)のほか、果実中に含有されていた渋味成分(前記ポリフェノール成分)、油分等が含有されている。そのため、前記ポリフェノール成分を保持したまま鹸化反応を実施することが可能となる。 鹸化工程では、1)前記脱渋液、2)その脱渋液の濃縮液又は3)その脱渋液の希釈液を含む液体をアルカリ原料とし、当該アルカリ原料を油脂と混合・反応させて鹸化する。従って、例えば、前記1)〜3)のいずれかをそのままアルカリ原料としても良いし、前記1)〜3)のいずれかを含む液体(例えば前記1)〜3)のいずれかにさらにアルカリが添加された液体)をアルカリ原料として用いることができる。本発明の製造方法では、特に、得られる石けん中のポリフェノール成分含有量を制御するという見地より、前記脱渋液の濃縮率又は希釈率を調整して用いることが好ましい。脱渋液の濃縮又は希釈は、公知の方法に従って実施すれば良い。また、濃縮の程度は、所望のアルカリ成分の濃度に応じて例えば2〜20倍程度の範囲内で適宜設定することができる。希釈の程度も適宜設定することができる。また、鹸化工程では、前記のようにアルカリ成分の濃度調整等のため、必要に応じてアルカリ(水酸化ナトリウム等)を添加することもできる。 なお、本発明では、鹸化工程に先立って、前記脱渋液又はアルカリ原料を固液分離処理を実施しても良い。これにより、脱渋液又はアルカリ原料中に含まれる沈殿物を除去することができる。固液分離方法は、公知の方法に従って行えば良い。 油脂としては、公知又は市販の石けんの製造で使用されているものであれば特に限定されず、動植物由来の天然油脂を好適に用いることができる。この中でも、例えばオリーブ油、ヤシ油、ゴマ油、パーム油、ヒマシ油、椿油、ヒマワリ油等の植物油脂を好ましく用いることができる。 油脂の使用量は、前記アルカリ原料に含有されるアルカリ成分を鹸化反応によって消費するのに十分な量とすれば良く、特に鹸化率が85〜95%となるように調整することが好ましい。添加量としては、前記アルカリ原料に対して2〜2.3倍の量を添加するのが好ましい。 鹸化工程は、通常は室温下(例えば5〜35℃)で実施すれば良いが、必要に応じて加熱しても良い。例えば50℃以下の範囲内での加熱下で鹸化工程を行うこともできる。この鹸化工程においては、鹸化工程前、鹸化工程後又は鹸化工程中において、必要に応じて他の成分(例えば香料、着色料等)を適宜配合することもできる。 鹸化工程に際しては、所望の形状の石けん(固形石けん)を製造するために、特定形状を有する型の中で鹸化を行っても良いし、あるいは鹸化工程後で反応生成物を型に注入し、固化させても良い。このように、反応生成物を固化させることによって、本発明の石けんを得ることができる。 以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。 実施例1 熟度1の早熟オリーブ果実から塩蔵オリーブを製造する工程において、脱渋工程で生じた脱渋液(苛性ソーダ含有量=2%,総ポリフェノール含有量=653mg−GAE/L)を原液とした。当該原液から、分液ロートを用いて固液分離することによって沈殿物を除去した後の静澄液を採取した。得られた静澄液をエバポレータによって濃縮し、最終的に原液に対して2倍まで濃縮した。濃縮液の総ポリフェノール含有量は1,366mg−GAE/Lであった。当該濃縮液15.6gと苛性ソーダ4.4gを別途用意したオリーブ油40gに添加して攪拌することにより鹸化工程を実施し、固形石けんを得た。このようにして得られた石けんについて、総ポリフェノール含有量を測定した結果、25.5mg−GAE/gであった。また、得られた石けんで手を洗ったところ、市販の石けんと同様に泡立ち、手指についた油分等を取ることができた。 実施例2 熟度1の早熟オリーブ果実から塩蔵オリーブを製造する工程において、脱渋工程で生じた脱渋液(苛性ソーダ含有量=2%,総ポリフェノール含有量=653mg−GAE/L)を原液とした。当該原液から、分液ロートを用いて固液分離することによって沈殿物を除去した後の静澄液を採取した。得られた静澄液をエバポレータによって濃縮し、最終的に原液に対して4倍まで濃縮した。濃縮液の総ポリフェノール含有量は2,679mg−GAE/Lであった。当該濃縮液16.3gと苛性ソーダ3.7gを別途用意したオリーブ油40gに添加して攪拌することにより鹸化工程を実施し、固形石けんを得た。このようにして得られた石けんについて、総ポリフェノール含有量を測定した結果、29.7mg−GAE/gであった。また、得られた石けんで手を洗ったところ、市販の石けんと同様に泡立ち、手指についた油分等を取ることができた。 実施例3 オリーブの若葉を苛性ソーダ水溶液に含浸させて葉からポリフェノール成分を溶出させた脱渋液(苛性ソーダ含有量=2%,総ポリフェノール含有量=3,560mg−GAE/L)を原液とした。当該原液から、分液ロートを用いて固液分離することによって沈殿物を除去した後の静澄液を採取した。得られた静澄液を15.3gと苛性ソーダ4.7gを別途用意したオリーブ油40gに添加して攪拌することにより鹸化工程を実施し、固形石けんを得た。このようにして得られた石けんについて、総ポリフェノール含有量を測定した結果、30.3mg−GAE/gであった。また、得られた石けんで手を洗ったところ、市販の石けんと同様に泡立ち、手指についた油分等を取ることができた。さらに、うるおい感があることも確認された。 試験例1 オリーブ由来の高アルカリ性脱渋液を用いた石けんに含有される総ポリフェノール含有量を市販の石けんのものと比較した。比較として一般的な市販の石けん3種類について総ポリフェノールの含有量を測定した結果、3種類の平均は3.3mg−GAE/gであった。すなわち、実施例1及び2の結果からみて、脱渋液の濃縮率を高めて濃縮液中の総ポリフェノール含有量を増加させた場合、それに伴って石けんに含まれる総ポリフェノール含有量を高めることが可能であることがわかる。また、実施例1〜3で得られた石けんに含まれる総ポリフェノール含有量は、前記の市販の石けんに比べてはるかに多いことがわかる。オリーブ由来の原料をアルカリ性の液体に浸漬する脱渋工程で副生した高アルカリ性の脱渋液を原料として用いる石けんの製造方法であって、1)前記脱渋液、2)前記脱渋液の濃縮液又は3)前記脱渋液の希釈液を含む液体をアルカリ原料とし、当該アルカリ原料と油脂成分とを混合・反応させて鹸化する鹸化工程を含む、ポリフェノール含有石けんの製造方法。鹸化工程に先立って、前記脱渋液又はアルカリ原料を固液分離処理に供する、請求項1に記載の製造方法。前記アルカリ性の液体が、水酸化ナトリウム水溶液である、請求項1又は2に記載の製造方法。前記アルカリ原料中に含有されるアルカリ成分の濃度が、前記アルカリ原料の重量に対して30〜45%である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。前記オリーブ由来の原料が、オリーブの果実、葉及び樹皮の少なくとも1つである、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。 【課題】オリーブ由来の原料の脱渋工程で副生される高アルカリ性の脱渋液を効果的に利用するための方法を提供する。【解決手段】オリーブ由来の原料をアルカリ性の液体に浸漬する脱渋工程で副生した高アルカリ性の脱渋液について、1)前記脱渋液、2)前記脱渋液の濃縮液又は3)前記脱渋液の希釈液をを含む液体をアルカリ原料とし、当該アルカリ原料と油脂成分とを混合・反応させて鹸化する鹸化工程を含む、ポリフェノール含有石けんの製造方法に係る。【選択図】なし


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