生命科学関連特許情報

タイトル:再公表特許(A1)_植物由来の新規な免疫賦活剤
出願番号:2011055092
年次:2013
IPC分類:A61K 31/765,A61P 43/00,A61P 37/04


特許情報キャッシュ

藤原 大介 小泉 英樹 辻 亮平 JP WO2012023301 20120223 JP2011055092 20110304 植物由来の新規な免疫賦活剤 キリンホールディングス株式会社 000253503 平木 祐輔 100091096 藤田 節 100118773 藤原 大介 小泉 英樹 辻 亮平 JP 2010182206 20100817 A61K 31/765 20060101AFI20131001BHJP A61P 43/00 20060101ALI20131001BHJP A61P 37/04 20060101ALI20131001BHJP JPA61K31/765A61P43/00 111A61P37/04 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20131028 2012529500 38 4C086 4C086AA01 4C086AA02 4C086FA02 4C086GA17 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZB09 4C086ZC41 本発明は、植物由来の新規の免疫賦活作用を有するリグニン配糖体及びその製法に関する。 免疫系は、多様な外来侵入物や異物から生体を防御するために生物に備わった防御システムである。免疫には細胞性免疫と体液性免疫があり、細胞性免疫はT細胞の活性化により生じたキラーT細胞が外来侵入物に侵された細胞を破壊するものであり、一方、体液性免疫は抗原提示細胞により提示された抗原の情報を受け取ったヘルパーT細胞による指令によってB細胞が該抗原に対する抗体を産生し防御するものである。いずれの免疫でも免疫能を増強するためにワクチン接種の際にアジュバントとして知られる免疫増強剤がワクチンと一緒に投与されることがあるが、この免疫増強剤がもつ性質が免疫賦活作用又は免疫賦活活性である(非特許文献1)。 免疫賦活化は、生体での免疫能の強化を可能にするために感染症や癌などの疾患の予防や治療に有効であると考えられる。外来侵入物や異物の侵襲に備えて、前もって免疫能を強化することは意味がある。なぜなら、免疫能は、老化や、AIDSなどの免疫抑制性疾患によって低下することが知られているからである。一方で、生体には免疫寛容が備わっており、自己と非自己が区別されている。これは免疫を抑制する制御性T細胞が存在し、活性化T細胞との間でそれらの機能が巧妙にバランスされているからである。 免疫賦活作用を有する物質は、微生物、藻類、植物などに由来するものが多数知られており、例えば、乳酸菌、納豆菌などの食用細菌や酵母などの真菌細胞壁画分、アガリクス、ハナビラタケなどのキノコ類のβ-グルカン、海草類に含まれる多糖類(フコイダン)などが免疫賦活活性を有している(特許文献1〜2)。また、ニラ、ササ、サラシア属植物などの植物の粉砕物又は抽出物にも免疫賦活活性があることが知られている(特許文献3〜4)。さらにまた、松かさ由来のリグニン配糖体が知られており、これは、松かさを熱水、エタノール、アセトンで処理し、ついで、アルカリ水溶液で抽出したのちエタノール沈殿物として得られる分子量60,000〜140,000、リグニン対多糖類の結合比1:1〜20:1(分子比)、多糖類の構成比ウロン酸60〜70%及び中性糖30〜40%として特徴付けられており、ポリ(ADP-リボース)グリコヒドロラーゼ阻害活性を有しかつ制癌作用を有する(特許文献5〜6)。上記の物質の他に、トウモロコシ外皮を原料として得られたヘミセルロース分解物に抗アレルギー作用(引用文献7)又は免疫賦活作用(引用文献8)があることが知られている。このようなヘミセルロース分解物の作製は、トウモロコシ外皮のアルカリ処理と酵素処理を含んでいる。 免疫賦活化は、例えば細菌細胞壁由来のリポ多糖(LPS)、リポペプチド及びペプチドグリカンなどのトール様受容体(Toll-Like Receptor; TLR)アゴニストによって生じることが知られている。このようなアゴニストは、マクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞に作用して抗原提示の増強、CD80やCD86などの共刺激分子の発現上昇、サイトカインの分泌を誘導し、T細胞を分化活性化し、それによって免疫賦活化することが知られている(特許文献9)。 上記のリグニン配糖体に関連して、その成分であるリグニンは木質素とも呼ばれ、植物の細胞壁を構成する成分の1つで、天然界に存在する主要なポリフェノールの1種である。乾燥した木材の約20〜35%、草本類の約15〜25%を占め、セルロースに次いで地球上に多量に存在する有機物である。リグニンはシンナミルアルコール類が脱水重合して3次元に架橋したフェノール性高分子で、多糖が結合した不定形の構造をとる(非特許文献2)。リグニンは、抗腫瘍活性、抗菌活性、抗ウイルス(エイズウイルス、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス)活性(直接的にウイルスの細胞への付着を阻止することによる)等の多彩な生物活性を示すことが知られている(非特許文献3)。またリグニンは、マクロファージや単球による腫瘍壊死因子(TNF)やインターロイキン-1(IL-1)の産生を促進するが、その機構は不明である(非特許文献4)。 上記のとおり免疫賦活物質として種々の物質が知られているが、生物学的効果や安全性の面で実用可能な免疫賦活物質となると、自ずと制限される。そして、可能であれば安全でかつ免疫賦活活性のある飲食物として免疫賦活物質を食することができるならば、例えば感染症や癌などの疾患の予防の強化につながると考えられる。特開2010-095465号公報特開2008-120738号公報特開2010-77039号公報特開2008-31122号公報特許第2782009号特許第2784605号特開2002-338488号公報特開2008-63299号公報特開2008-127277号公報Marciani D.J., Drug Discov. Today, 8: 934-43, 2003Kirk T. K. and Obst J. R., Methods Enzymol., 161: 87-101, 1988Sakagami H., Oi T. and Satoh K., In Vivo, 13: 155-171, 1999Sakagami H. and Takeda M., Int. J. Oncol., 1: 283-287, 1992 本発明の目的は、植物由来の新規の免疫賦活物質を得ることである。具体的には、該免疫賦活物質は、従来の製法と異なる手法によって得られるものであること、そして該物質がリグニン配糖体であることである。 従来、植物(特に、松かさ、茶葉、草みづき及び三豆根)からのリグニン配糖体について特許文献5及び6が知られているが、それは、上記背景技術に記載のように、熱水、エタノール、アセトンで処理し、ついで、アルカリ水溶液で抽出したのちエタノール沈殿物として得られる分子量60,000〜140,000、リグニン対多糖類の結合比1:1〜20:1(分子比)、多糖類の構成比ウロン酸60〜70%及び中性糖30〜40%として特徴付けられており、ポリ(ADP)-リボース)グリコヒドロラーゼ阻害活性を有しかつ制癌作用を有するものである。 本発明者らは、今回、工程に植物組織の(微)粉砕と、セルラーゼ、あるいはセルラーゼとヘミセルラーゼ、での処理とを含む製造方法によって従来のものと異なるリグニン配糖体を得ることに成功し、かつ該配糖体が優れた免疫賦活作用を有することを見出した。 したがって、本発明は、要約すると、以下の特徴を含む。 (1) 植物由来のリグニン配糖体を主成分として含有する免疫賦活剤であって、該リグニン配糖体が、粉砕した植物の組織又は器官を、セルラーゼのみか、あるいはセルラーゼとヘミセルラーゼで処理し、その残渣を水性極性溶媒(メタノール及びエタノールを除く)で抽出し、その抽出物からエタノール不溶性画分として得ることができるリグニン配糖体である、上記免疫賦活剤。 (2) 粉砕が微粉砕である、上記(1)に記載の免疫賦活剤。 (3) 植物の組織又は器官が、目開きが約250μm以下である篩を通過することが可能なサイズに粉砕される、上記(2)に記載の免疫賦活剤。 (4) 植物の組織が、種子の殻もしくは外皮、木皮、葉、及び根もしくは地下茎からなる群から選択される、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の免疫賦活剤。 (5) 植物及びその組織が、大麦外皮、小麦外皮、イネ籾殻、シナモン木皮、緑茶葉、ターメリック地下茎、及びゴマ種子からなる群から選択される、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の免疫賦活剤。 (6) 植物及びその組織が、大麦外皮又はイネ籾殻である、上記(5)に記載の免疫賦活剤。 (7) 水性極性溶媒が、約45〜約95%ジオキサン水溶液である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の免疫賦活剤。 (8) リグニン配糖体が、トール様レセプター4(TLR4)アゴニストである、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の免疫賦活剤。 (9) 上記(1)〜(8)のいずれかに記載の免疫賦活剤を1μg/ml以上含む発酵アルコール飲料。 (10) 上記(1)〜(8)のいずれかに記載の免疫賦活剤を含む医薬組成物。 (11) 上記(1)〜(8)のいずれかに記載の免疫賦活剤を含む飼料。 (12) 植物種子の殻もしくは外皮の微粉砕物をさらに含む、上記(11)に記載の飼料。 (13) 植物種子外皮の微粉砕物が、大麦搗精粕の微粉砕物である、上記(12)に記載の飼料。 (14) 植物種子外皮の微粉砕物を含む飼料。 (15) 植物種子外皮が大麦搗精粕である、上記(14)に記載の飼料。 (16) 微粉砕物が、目開きが約250μm以下である篩を通過することが可能なサイズを有する、上記(12)〜(15)のいずれかに記載の飼料。 さらに、本発明は、以下の特徴も有する。 (17) 上記(1)〜(16)において、リグニン配糖体が、10ng/ml以上で、骨髄細胞から誘導した樹状細胞においてCD86及びIL-12p40の発現を誘導する作用を有するものである。 (18) 上記(1)〜(16)において、リグニン配糖体が全身性免疫賦活作用及び/又は腸管免疫賦活作用を有するものである。 (19) 上記(1)〜(8)のいずれかに記載の免疫賦活剤を含む、ビールを除く飲料又は食品。 (20) 上記(10)に記載の医薬組成物が、ワクチン、抗癌剤、感染症治療薬などの、体内での免疫応答を亢進することが求められるような医薬、或いは抗アレルギー剤である。 (21) 上記(10)に記載の医薬組成物が、経口投与用である。 本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2010-182206号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。 本発明のリグニン配糖体は食用植物由来のものであるので高い安全性を有しているとともに、優れた免疫賦活作用を有している。大麦搗精粕から本発明のリグニン配糖体(以下、「LREL画分」と称することもある。)を製造するための工程を示す図である。図1に示すLREL画分、PML画分、HRML画分及びPEL画分について、Flt-3L(R&D systems)でC57BL/6マウス骨髄細胞を処理して誘導されたマウス樹状細胞(DC)を上記の各画分の存在下でインキュベーションしたときのCD86(A)及びIL-12p40(B)の発現レベルを比較した図である。ここで、Ctrlは上記画分が存在しないときの陰性対照を示す。また、MFIは、Mean of Fluorescent Intensityの略称であり、発現強度を示す。Flt-3L(R&D systems)でC57BL/6マウス骨髄細胞を処理して誘導されたマウスDCを、種々の濃度のLREL画分の存在下でインキュベーションしたときのCD86(A)及びIL-12p40(B)の発現レベルを比較した図である。ここで、Ctrlは図2と同様の陰性対照を示し、一方、LPSはリポ多糖であり陽性対照を示す。各種TLR KOマウス(TLR1, TLR2, TLR4, TLR6, TLR7, TLR9及びそれらの共通アダプター分子であるMyD88)から得られた骨髄細胞からDCを調製し、LREL画分の有無によるCD86(A)及びIL-12p40(B)の発現を測定することにより、LREL画分が作用する標的レセプターの解析を行った図である。大麦、稲、小麦、シナモン、ゴマ、緑茶及びターメリックから図1の手法で調製した各LREL画分を、その種々の濃度でDC培養系に添加してインキュベーションしたときのCD86(A)及びIL-12p40(B)の発現を調べた結果を示す。脱脂小麦ふすまを材料とし、その微粉砕物及び粗粉砕物から調製された各LREL画分をDC培養系に添加してインキュベーションしたときの、IL-12p40の発現に対する粉砕度の影響を示す。腹腔内投与したときのLREL画分のin vivo免疫賦活効果をマウスで試験した結果を示す。(A)は、血中のIL-12p40レベル(左)とTNF-α(右)の経時変化を示す。(B)は、脾臓中のmDC(ミエロイドDC)のCD86発現量を示し、(C)は、IL12を産生するmDCの比率(%)を示す。Ctrlは陰性対照である。図7-1の続き。(D)は、NK細胞の活性化の度合いをCD44の発現で調べた結果を示し、(E)は、該度合いをIFN-γ産生細胞の比率(%)で調べた結果を示す。(F)は、LREL画分の癌細胞に対する細胞傷害活性を示す。Ctrlは陰性対照である。図7-2の続き。(G)は、CD4+ T細胞(左)及びCD8+ T細胞(右)についてのIFN-γ産生細胞の比率(%)を示す。Ctrlは陰性対照である。(A)は、マウスに種々の用量のLREL画分を腹腔内(i.p.)投与した後の血漿中のIL-12p40濃度の動向を示し、(B)は、各用量のLREL画分のi.p.投与3時間後の血漿中のIL-12p40濃度を示す。マウスにLREL画分を経口投与したときの免疫賦活効果を調べた結果を示す。(A)は、腸管膜リンパ節でのMHCクラスII分子のレベル(左)及びCD86の発現レベル(右)を示す。(B)は、IL-12p40を発現するmDCの比率(%)を示す。ビール中のLREL様画分の免疫賦活効果を、マウスDCでのIL-12p40の発現量を指標にして調べた結果を示す。大麦から図1の手法で調製した各LREL画分を、0.1N HCl中80℃(A)、あるいは、1NNaOH中室温(B)で1時間、3時間、24時間処理した後、中和した溶液をDC培養系に添加してインキュベーションしたときのCD86の発現を調べた結果を示す。ここで、Ctrlは図2と同様の陰性対照を示す。LRELをウシPBMCに添加したときのサイトカイン産生能を示した図である。(A)にIL-12を(B)にIFN-γの結果を示す。ウシPBMCからDCを単離し(A)、LRELを添加したときのIL-12産生能(B)を調べた図である。シバヤギ個体に対し、LRELを筋肉内投与したときの血中IL-12の経時的変化を調べた図である。ウシ個体に対し、LRELを筋肉内投与したときの血中TNF-αの経時的変化を調べた図である。(A)にLRELを投与しないコントロール群の結果を、(B)にLRELを300μg/kgで投与した群の結果をそれぞれ示す。マウス個体に対し、ワクチン抗原としてのOVA(卵アルブミン)をIRELとともに経口投与したときの血漿中の抗OVA IgG抗体の力価を示す。図16-1の続き。(A)は、小腸洗浄液中のtotal IgAの濃度を示し、(B)は、同洗浄液中の抗OVA IgAの濃度を示す。ウシ個体に対し、大麦搗精粕の微粉砕物を経口投与したときの、唾液中のIgA濃度(A)及びIgM濃度(B)を示す。図17-1の続き。PBMC(1×106 cells)をPMA 50ng/mLとionomycin 500 ng/mLの共存下で24時間培養し、培養上清中の免疫賦活サイトカインの濃度を測定した結果を示す。(A)は、IFN-γの濃度を示し、(B)は、TNF-αの濃度を示す。 以下に、本発明をさらに詳細に説明する。<リグニン配糖体の製法> 本発明のリグニン配糖体は、図1に記載された工程に従って製造することができる。 上記リグニン配糖体を製造するための原料は、リグニンを含む、植物の組織又は器官であり、例えば種子、葉、根、茎、花、木皮又は樹皮などであり、好ましい原料は、種子の殻もしくは外皮、木皮、葉、あるいは、根もしくは地下茎である。本発明のリグニン配糖体は、あらゆる植物に存在すると考えられるため、植物種は限定されない。したがって、植物には、少なくとも、双子葉植物、単子葉植物、裸子植物、被子植物、木本、穀類などが含まれる。具体的には、植物原料は、大麦外皮、小麦外皮、イネ籾殻、米外皮(もしくは米ぬか)、シナモン木皮、緑茶葉、ターメリック地下茎、ゴマ種子などである。 図1を参照しながら、リグニン配糖体の製造工程を説明する。 製造工程は、(1) 上記の植物原料(乾燥、半乾燥又は非乾燥のいずれでもよい。)を用意し、これを脱脂する工程、(2) 脱脂した植物原料を粉砕する工程、(3) 水性極性溶媒で処理し、不溶性の残渣を回収し、必要に応じて水洗する工程、(4) 該残渣を、セルラーゼのみか、あるいはセルラーゼとヘミセルラーゼで処理し、残渣を回収し、必要に応じて水洗する工程、(5) 残渣を水性極性溶媒で抽出し可溶性画分を回収する工程、(6) 溶媒を除去し、エタノールを添加し、沈殿する画分を回収する工程、及び、(7) 必要に応じて乾燥(例えば加熱乾燥、風乾、凍結乾燥など)する工程を含む。(第1工程) 植物の組織及び器官などの原料には、脂肪酸、グリセリド、リン脂質、ステロール、セラミド、ワックスなどの種々の脂質が含まれている。第1工程では、そのような脂質を除去する脱脂を行う。脱脂は、通常、親油性の非極性有機溶剤を用いて行うことができる。場合により、非極性有機溶剤に、それと混和性の別の非極性有機溶剤又は極性有機溶剤を混合することもできる。非極性有機溶剤として、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶剤、塩化メチレン、トリクロロメチレン、クロロホルムなどのハロゲン化溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素溶剤などが挙げられる。また、極性有機溶剤として、例えばメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン溶剤などが挙げられる。非極性有機溶剤と極性有機溶剤を混合する場合には、非極性有機溶剤の比率がより高い混合溶剤とするのが好ましい。例えば非極性有機溶剤対極性有機溶剤の比は、例えば約1〜10:約1である。また、非極性有機溶剤と別の非極性有機溶剤を混合する場合、芳香族炭化水素溶剤又はハロゲン化有機溶剤の比率が高まるようにすることが好ましい。混合溶剤の例は、トルエン/エタノール(2:1)などである。 脱脂は、加温又は冷却してもよいが、通常、室温にて、上記有機溶剤に植物原料を添加し、浸漬するか、場合により攪拌して行うことができる。植物原料(重量)に対する有機溶剤(体積)の比率は、例えば約3〜20(体積/重量)又はそれ以上である。(第2工程) 脱脂した植物原料の粉砕は、例えばロールミル、ディスクミル、ハンマーミル、カッターミル、ジェットミル、振動ミル、マルチビーズショッカーなどの微粉砕機によって行うことができる。原料によっては、はじめに粗粉砕し、その後で微粉砕してもよい。通常、粉砕度が高いほど免疫賦活活性が高くなる傾向がある(図6)。微粉砕する工程は、本発明の製法において重要である。好ましい粉砕度は、全量が、例えばASTM規格の目開き500μm以下、好ましくは250μm以下、さらに好ましくは220μm以下の篩を通過する程度の粉砕度である。(第3工程) この工程では、第2工程からの微粉砕した植物原料を水性極性溶媒で抽出処理する。抽出された画分には免疫賦活活性はないため、水性極性溶媒に不溶性の抽出残渣が後続の工程に送られる。 第3工程及び第5工程で使用可能な極性溶媒は、非限定的に、例えばジオキサン、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフランなどの水溶性極性溶媒(ただし、メタノール及びエタノール溶媒を除く)であり、また、水性極性溶媒は、極性溶媒と水から実質的になる混合溶媒であり、極性溶媒の割合(体積%)が、例えば約30%〜98%、好ましくは約45%〜95%、より好ましくは約50%〜90%である。好ましい極性溶媒はジオキサンであり、上記範囲内の濃度の同じ又は異なるジオキサン水溶液で1回又は複数回(例えば2〜4回)抽出処理を行うことができる。例えば、90%ジオキサン水溶液で2回抽出処理を行った後で、50%ジオキサン水溶液で1回抽出処理を行うことができる。 植物原料(重量)に対する1回の抽出溶剤の量(体積)の比は、限定されないが、例えば約5〜20(体積/重量)、好ましくは約8〜12(体積/重量)でよい。 抽出処理の時間は、限定されないが、例えば1回の抽出操作あたり約3〜24時間、好ましくは約5〜15時間でよい。また、処理温度は、限定されないが、室温でよいが、場合により加温してもよいし、又は冷却してもよい。通常、10℃〜50℃の温度を使用できる。 抽出残渣をろ過、遠心分離などの分離手段で回収し、次の酵素処理に悪影響がないように残渣を多量の水で洗浄しジオキサンを除去することが望ましい。(第4工程) この工程では、第3工程からの残渣を、セルラーゼのみか、あるいはセルラーゼとヘミセルラーゼで処理する。この工程は、本発明の製法において重要である。この酵素処理によって初めて、後続の水性極性溶媒処理で抽出されるリグニン配糖体が植物原料から生成される。したがって、この酵素処理がない場合には、本発明のリグニン配糖体を得ることは難しいと予想される。 この工程で使用されるセルラーゼ及びヘミセルラーゼは、細菌、原生動物(例えばシロアリ共生及びゴキブリ共生の原生動物など)、担子菌、木材腐朽菌、糸状菌(例えばトリコデルマ属、クロストリジウム属、アスペリギルス属、リゾプス属、テルモミセス属、オウレオバシヂウム属、ストレプトミセス属、バチルス属、テルモトガ属、テルモアスクス属、カルドセラム属、テルモモノスポラ属、フミコーラ属、ペニシリウム属など)などに由来する酵素を、単一で又は組み合わせて使用できる。酵素は、天然から公知の手法で精製、半精製又は粗製の天然酵素であってもよいし、あるいは遺伝子組換え酵素であってもよいし、あるいは耐熱性又は好熱性であってもよい。 セルラーゼは、β-1,4-グルカンのグルコシド結合を加水分解する酵素である。セルラーゼには、糖鎖の内部から分解するか、末端から分解するかによってエンドグルカナーゼとエキソグルカナーゼが存在する。 ヘミセルラーゼは、植物細胞壁を構成するヘミセルロースを分解する酵素である。ヘミセルラーゼ酵素活性を有する酵素には、例えばβ-グルコシダーゼ、キシロシダーゼ、キシラナーゼ、マンノシダーゼ、マンナナーゼ、アラビノシダーゼ、アラバナーゼ、グルカナーゼなどが含まれるので、これらの酵素も使用可能である。 セルラーゼ又はヘミセルラーゼによる酵素処理は、一般的には、10〜90℃、好ましくは30〜60℃の温度、3〜10、好ましくは4〜7のpHで行うが、使用するセルラーゼ又はヘミセルラーゼの至適温度又は至適pHにて行うことが好ましい。また酵素による処理時間は、限定されないが、約3〜100時間、好ましくは約10〜75時間である。なお、酵素の添加量は、酵素の由来や精製度合い、基質原料の種類や形態などに応じて変化させうるが、例えば、出発植物原料に対して5〜50%、好ましくは10〜30%(ここで、%は重量基準である。)である。上記酵素処理によって切断された本発明のリグニン配糖体を含む処理物のなかで水に不溶性の画分(又は残渣)を、ろ過又は遠心分離などの分離手段で分離し、さらに水洗して緩衝成分、酵素類及び可溶性物質を除去する。(第5工程) この工程では、第4工程からの残渣を、上記と同様の水性極性溶媒、好ましくは水性ジオキサン溶媒で抽出し可溶性画分を回収する。 上記溶媒での抽出処理は、第3工程と同様の条件で行うことができる。具体的には、該残渣を、例えば同じか又は異なる濃度の約45%〜95%ジオキサン水溶液で1回又は複数回(例えば2〜4回)抽出処理を行うことができる。例えば、90%ジオキサン水溶液で2回抽出処理を行った後で、50%ジオキサン水溶液で1回抽出処理を行うことができる。 ろ過又は遠心分離などの手段による固液分離によって、可溶性物質を含む抽出液を回収する。(第6工程) この工程では、溶媒を除去し、エタノールを添加して沈殿する画分を回収する工程である。 上記溶媒の除去は、減圧下で加熱して溶媒を蒸発させることによって行うことができる。減圧度と温度は、当業者が適宜選択することができるものである。蒸発した溶媒は、必要に応じて、冷却され、液体として回収し、再利用されてもよい。 残渣にエタノールを約2〜5倍容量、好ましくは約3倍容量を添加し、沈殿物をろ過又は遠心分離などの分離手段によって回収する。(第7工程) 沈殿物は、エタノール及び水分を含んでいるため、乾燥処理に付すことができる。乾燥は、加熱乾燥、風乾、凍結乾燥などの一般的な乾燥でよい。 上記の手法によって、本発明のリグニン配糖体(LREL画分)を製造することができる。収量は、植物原料の種類によって異なるが、例えば大麦搗精粕100gから161mg、稲籾殻5.56gから5mg、小麦ふすま33.7gから16mg、シナモン96.5gから81mg、緑茶92.6gから278mg、ターメリック97.1gから368mg、及びゴマペースト205gから117mgを得ることができる。<リグニン配糖体の特徴> 上記の製法によって得られる本発明のリグニン配糖体は、後述の実施例で証明されるようにin vitro及びin vivoでの試験で免疫賦活作用又は免疫賦活活性を有することが判明した。また、本発明のリグニン配糖体は腸管免疫賦活作用を有する。しかもこの作用は、血中への投与だけでなく経口投与によっても発揮される。したがって、もしリグニン配糖体が食用植物から製造される場合には、リグニン配糖体は安全性が高いため、多量に経口摂取することによって生体での免疫活性を高めることができるという利点がある。経口摂取によって免疫活性が高まると、感染症、癌などの疾患の予防や治療のために、あるいはワクチンのアジュバントとして、利用価値が高いことを意味する。実際に、本発明のリグニン配糖体は、免疫賦活作用とともに、腫瘍細胞に対する細胞傷害活性も見出されている(図7F)。 上記の特許文献5及び6で知られるリグニン配糖体は、本発明のものと製法が異なるものであり同一物質でない。それは本発明のリグニン配糖体(本発明品)を1Nの水酸化ナトリウム溶液中で室温に放置すると僅か1時間で活性が失われるという理由からである(図11B)。特許文献5及び6(それぞれ特許第2782009号、特許第2784605号)で知られるリグニン配糖体は、松かさを0.1N〜1Nの水酸化ナトリウムにて6時間または一昼夜撹拌しながら抽出して得られる物質である。本発明品の抽出時に同様の操作を行うと当該活性が消失することが容易に想像されることから、本発明品は、特許文献5及び6に記載のリグニン配糖体(並びに、特許文献7及び8(それぞれ特開2002-338488号公報、特開2008-63299号公報)に記載の有効成分)と同一物質ではない。植物細胞壁多糖の抽出時にアルカリ溶液を用いることは一般的ではあるが、多糖の中にはアセチル基、硫酸基、もしくはリン酸基などが結合しているものが少なくない。また、ペクチンのようなポリウロナイドでは、カルボキシル基の一部がメチルエステルとなっている。エステル結合はアルカリによって容易に加水分解されることから、このような置換基を有する多糖をネイティブな状態で得るためにはアルカリ抽出は不適当であり、他の溶剤を使用しなければならない(例えば、「多糖の分離・精製法」学会出版センター)。本発明品は特許文献5及び6で知られるリグニン配糖体とは異なり、アルカリ処理によって外れてしまう置換基が活性に重要な役割を担っていると推定される。 このように本発明のリグニン配糖体は、1N NaOHで室温、1時間処理しただけで免疫賦活作用をほぼ完全に消失する(図11B)。また、0.1N HClで80℃、1時間処理したときにも免疫賦活作用は未処理の活性の約1/3に低下し、24時間処理でほぼ完全に消失する(図11A)。 本発明のリグニン配糖体は、トール様レセプター4(TLR4)アゴニストである(図4)。すなわち、該配糖体は、マクロファージ表面に存在するトール様レセプター4(TLR4)に結合することができる。これまで、TLR4に結合性の物質として、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸オリゴマー、リポ多糖(LPS)、マンナン類などが知られている。TLR4にリガンドが結合すると細胞内シグナル伝達によりTNF-α、IL-12、IFN-γなどのサイトカインの産生や、CD40、CD80、CD86などの樹状細胞(DC)の表面マーカーの発現などが生じる。本発明のリグニン配糖体は、上記公知のTLR4結合性物質と同様に、このようなサイトカインやDCマーカーの発現を起こすことが後述の実施例で立証されている。具体的には、本発明のリグニン配糖体は、10ng/ml以上、好ましくは100ng/ml以上で、骨髄細胞から誘導したDCにおいてCD86及びIL-12の発現を誘導する(図3、図5)。また、本発明のリグニン配糖体は、血中投与では250μg/kg以上、好ましくは500μg/kg以上で免疫賦活効果を発揮し、経口投与では50mg/kg以上で腸管免疫賦活効果を発揮する(図8、図9)。<組成物> 本発明はさらに、上記の製法で得られたリグニン配糖体を主成分とする免疫賦活剤を提供する。 本発明の免疫賦活剤は、本発明のリグニン配糖体のみからなってもよいし、あるいは、副成分(少量成分)として他の免疫賦活活性を有する物質(例えばヒアルロン酸、ヒアルロン酸オリゴマー又はリポ多糖(LPS)など)との組み合わせでもよい。好ましくは、本発明のリグニン配糖体のみからなる免疫賦活剤である。 本発明の免疫賦活剤又はリグニン配糖体は、飲食品、動物飼料、医薬などの組成物に含有させることができる。これによって、被験者に免疫賦活効果を付与する、飲食品、動物飼料、医薬などの組成物を製造することができる。 本発明の免疫賦活剤又はリグニン配糖体は、そのまま又は飲食品、動物飼料もしくは医薬中の有効成分として日常的に摂取又は投与することで、被験者において免疫賦活することができる。この目的のために、本発明の免疫賦活剤又はリグニン配糖体を、体重60kgのヒト換算で1日あたり1g以上、好ましくは3g以上摂取又は投与することが望ましい。 本発明の免疫賦活剤又はリグニン配糖体は、食用植物、例えば穀類植物の種子から食品用酵素により処理して得られる生理活性物質であるので、日常の食生活に取り入れることができる。また、摂取又は投与の時期は、食前、食間及び食後のいずれの時期でもよい。 本明細書で使用する、被験者は、ヒトを含む哺乳類や鳥類などであり、ヒト、ペット動物(イヌ、ネコ、モルモットなど)、家畜動物(ウシ、ブタ、ウマ、ラクダなど)、鳥類(ニワトリなど)などを非限定的に含む。(飲食品) 本発明の免疫賦活剤又はリグニン配糖体を飲料又は食品(すなわち、飲食品)に含有させることによって、経口摂取により被験者に免疫賦活効果を付与することができる。 本発明の免疫賦活剤又はリグニン配糖体を飲食品に配合して免疫賦活を提供する場合、あらゆる食品形態に加工することが可能である。本発明の免疫賦活剤又はリグニン配糖体を配合することのできる飲食品としては、天然物及びその加工品を含む飲食物等を挙げることができる。またその配合量は、飲食品の形態に応じて異なるが、100gに対し、本発明の免疫賦活剤又はリグニン配糖体を約0.01〜1000mg、好ましくは約0.1〜500mg配合することができる。 飲食品には、既存又は新規の飲食品、例えば穀類加工品(例えばパン、もちなど)、菓子類(例えばチョコレート、ガム、キャンディー、洋菓子、和菓子、スナック菓子、米菓など)、飲料(例えばドリンク剤、アルコール飲料(例えばビール、酎ハイ、カクテルなど)、ノンアルコール飲料(例えばコーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、コーラ、ガラナ飲料、スポーツドリンク、炭酸飲料、清涼飲料、果汁入り飲料、薬系ドリンク、ジュースなど))、乳製品(例えばチーズ、バター、牛乳、ヨーグルト、アイスクリームなど)、食肉製品(例えばハム、ソーセージなど)、魚肉製品(例えば蒲鉾、ちくわなど)、錠剤形、粉末状、顆粒状、カプセル状、ゼリー状等の機能性食品、パン類、惣菜や加工食品、サプリメント、健康飲食品などが含まれるが、これらに限定されない。飲食品にはさらに、飲食品に一般的に含有される担体、希釈剤、賦形剤、増量剤、ゲル化剤、分散剤、懸濁化剤、溶解補助剤などに加えて、ビタミン類、有機酸、甘味剤、pH調整剤、香味剤、着色剤、安定剤、ミネラル、香料、保存剤、湿潤剤、果汁なども含むことができる。 飲料のなかで、大麦を原料とするビール等の発酵アルコール飲料にも、今回初めて、本発明のリグニン配糖体に類似の物質が存在することが判明した。その含有量は、粗抽出物としてビール350mlあたり約25mgであり、濃度依存的にIL-12p40の増加が認められることから、ビールに免疫賦活作用があると示唆された(図10)。また活性の比較から粗抽出物中にはおよそ1%のLREL画分が含有されると推定された。そのためビールの免疫賦活効果を増強するために、本発明のリグニン配糖体を添加することができる。この場合、ビールに、本発明の免疫賦活剤をリグニン配糖体として1μg/ml以上、好ましくは10μg/ml以上含有させることができる。またビールの製造時、特に酵素が活発に作用すると考えられる麦汁製造時に原料となる植物体の微粉砕物、好ましくは大麦や麦芽穀皮の微粉砕物を添加、あるいは、原材料として用いる麦芽粉砕物の穀皮の粉砕度を高めることによっても、本発明品の含量を高めたビールを作成することができる。このようにして、健康志向のビールとすることができる。(飼料) 本発明の免疫賦活剤又はリグニン配糖体は、動物の飼料に配合することができる。 酪農・畜産において一般的に感染症治療・予防用途で抗生物質が使用されるのが一般的であるが、近年世界中で抗生物質の大量使用による耐性菌の出現が多く報告されるようになり、また環境への抗生物質の悪影響も顕在化している。世界の潮流としては今後抗生物質の使用制限がかかる方向に向かっており、これを代替する動物飼料が求められている。本発明の免疫賦活剤又はリグニン配糖体は、動物用免疫賦活剤として有用である。飼料への配合量は、非限定的に、上記飲食品の場合と同程度である。また、原料からのリグニン配糖体の露出には原料微粉砕化及びセルラーゼの存在が必要であるが、ウシを含む反芻動物においては体内にセルラーゼ生産性の細菌が共生していることから、そのような動物飼料用途ではリグニン配糖体を精製せずとも、原料を微粉砕化したものを飼料として与えることで同等な効果を得ることができる。この用途においては、リグニン配糖体と組み合わせて、或いは単独に、植物の組織又は器官、好ましくは種子の外皮や籾殻、さらに好ましくは大麦搗精粕、の微粉砕化物を免疫賦活剤として使用することが可能である。微粉砕化は、上記第2工程に記載したものと同様に行うことができる。(医薬組成物) 本発明はさらに、上記の免疫賦活剤を含む医薬組成物を提供する。 医薬用途として、例えば、第一に細菌やウイルス感染などの感染症に対する予防・治療的用途、第二に抗原を投与する際のアジュバントとしての用途、特にその経口投与可能な性質から経口・粘膜ワクチンのアジュバント用途、第三にがん予防、がん再発予防又は手術後免疫低下予防用途、第四に強力なTh1誘導を起こすことから抗アレルギー用途が挙げられる。 本発明のリグニン配糖体を医薬品中の有効成分として配合する場合、免疫賦活剤の他に、例えばワクチン、抗癌剤、感染症治療薬、又は抗アレルギー剤として製剤化することができる。製剤の投与形態は特に限定されないが、例えば投与経路として、経口投与、経腸投与、非経口投与、例えば静脈内投与、腹腔内投与、経粘膜投与、膣内投与、直腸内投与などを挙げることができる。これらの場合、本発明の免疫賦活剤又はリグニン配糖体をそのまま投与してもよいが、医薬的に許容できる賦形剤とともに、溶液剤、懸濁剤、散剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、乳濁剤、シロップ剤などのいずれの形態で投与してもよい。 医薬的に許容できる賦形剤又は担体としては、これに限定されるものではないが、乳糖、ショ糖、ブドウ糖などの糖類、デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等の無機物、結晶セルロース、蒸留水、精製水、ゴマ油、ダイズ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油等の一般に使用されているものを例示することができる。また、組成物には、賦形剤の他、結合剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、乳化剤、希釈剤、防腐剤、湿潤剤、抗酸化剤、細菌抑制剤、安定化剤、崩壊剤、着色剤、風味剤、香味剤などの添加剤を適宜含有させることができる。他の医薬品と混合、或いは併用することも可能である。なお、上記の製剤は殺菌処理を行なってもよい。 本発明の医薬組成物の用量は、被験者の年齢、体重、性別、症状の程度など、様々な要因に応じて変化するが、典型的には、本発明の免疫賦活剤を、リグニン配糖体として1日あたり、1g以上、好ましくは3g以上摂取・投与することが望ましく、投与間隔は特に制限されない。 以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例によって制限されることを意図していない。[実施例1]リグニン画分の調製 本発明のリグニン画分は、J. Appl. Polymer Sci. 68, 1633-1641(1998)に記載の方法を一部改変し、以下の手法で抽出した(図1)。<実験方法> 大麦搗精粕(キリンビール社製)100gに対して約600mlのトルエン/エタノール(2:1)を添加し、撹拌しながら12時間脱脂した。その後、搗精粕と抽出液を吸引濾過により分離し、残渣に再び約600mlのトルエン/エタノール(2:1)を添加して、撹拌しながら12時間再度脱脂した。脱脂搗精粕と抽出液は吸引濾過により分離し、搗精粕は1晩風乾した。以上の操作により得られた脱脂大麦搗精粕はマルチビーズショッカー(安井器械株式会社)を用いて粉砕し、目開き212μmの篩を通過するものを回収した。得られた粉砕物100gに対して約1000mlの90%ジオキサン(水溶液)を添加し、常温で12時間撹拌しながら抽出した後、吸引濾過で固液分離した。得られた抽出後の粉砕物に対し、同様の操作を再び行った後、固液分離した。続いて、得られた粉砕物に1000mlの50%ジオキサンを添加し、常温で12時間撹拌しながら抽出した後、固液分離した。以上の操作で得られた抽出液を合一し、エバポレーターでジオキサンを除去後に、残液の3倍量のエタノールを添加し、-20℃で1時間冷却後、遠心操作により上清と沈殿に分離した。上清はエバポレーターで濃縮後に凍結乾燥した(PML画分)。また、沈殿は少量の脱イオン水に分散後、凍結乾燥した(HRML画分)。 上記操作で得られたジオキサン抽出後の粉砕物は、脱イオン水で洗浄後、約1000mlの0.2M 酢酸バッファー(pH=4.7)、及び、セルラーゼ(Aspergillus niger由来;シグマ社製)、ヘミセルラーゼ(Aspergillus niger由来;シグマ社製)を20gずつ添加し、37℃で72時間撹拌しながら酵素反応を行った。酵素反応後に粉砕物を回収し、脱イオン水で洗浄後に上記と同様に90%ジオキサンで2回、50%ジオキサンで1回抽出した後、エタノール沈殿により上清(PEL画分)と沈殿(LREL画分)に分離し、凍結乾燥した。<結果> 各工程をまとめたものを図1に示す。上記操作により、PML画分5.99g、HRML画分2.52g、PEL画分2.97g、LREL画分0.161gが回収できた。得られた各画分の凍結乾燥物は各々50%エタノールに溶解し、各種評価に用いた。[実施例2]リグニン画分のin vitroにおけるDC活性化能評価 実施例1によって大麦搗精粕から調製された各種リグニン画分について、特に目的の物質が高分子量であることから、作用点は抗原提示細胞であると予想した。抗原提示細胞の代表例として樹状細胞を用いることとし、下記の方法でマウス樹状細胞を誘導し、リグニン画分について活性を評価した。<実験方法> C57BL/6マウス骨髄細胞を大腿骨から常法に従って回収し、赤血球除去処理を行った。次に得られた骨髄細胞を、10% FCS、2μM β-メルカプトエタノールを含有するRPMI培地(Gibco)に、1×106細胞/mLになるように縣濁した。得られた細胞懸濁液に、DC誘導サイトカインとしてFlt-3L(R&D systems)を終濃度100ng/mlで添加し、CO2インキュベーター内で37℃、5%CO2にて培養した。7日後に各種リグニン画分を100ng/mlで添加し、24時間後に細胞を回収した。CD86発現量をフローサイトメーターを用いた解析により評価した。簡潔には、細胞を回収し、洗浄した後、抗CD11b-APC cy7、抗B220-PerCP(ベクトンディッキンソン社製)および抗CD11c-APC、抗CD86-PE(e-Bioscience社製)の各抗体を用いて30分間、4℃にて染色し、細胞を洗浄し、FACS CantoII(ベクトンディッキンソン社製)を用いて解析した。mDCのゲートとしてCD11c+CD11b+を設定し、当該細胞についてのCD86発現レベルを測定した。抗体は全てベクトンディッキンソン社の製品を用いた。また、OptEIATM IL-12p40 ELISA Set(ベクトンディッキンソン社製)を用いて、ELISA法によって、培養上清中のIL-12p40濃度を測定した。<結果> 図2に示すように、DC活性化マーカーであるCD86は配糖体画分であるLREL画分でのみ強い上昇を見せた。さらに免疫賦活サイトカインであるIL-12p40の発現もLREL画分でのみ起こることが判明した。以上のことから、大麦外皮に相当する搗精粕由来の各種リグニンの中で配糖体に特異的に免疫賦活活性があることが示された。[実施例3]LREL画分のin vitroにおけるDC活性化能と添加濃度<実験方法> 実施例2と同様にマウスDCを調製し、1ng/ml,10ng/ml,100ng/ml,1μg/mlのLREL画分を添加した。抗原提示細胞活性化ポジティブコントロールとして、LPS(シグマアルドリッチ社製)を終濃度5ng/mLで添加した。<結果> 図3に示すようにCD86及びIL-12p40の発現は濃度依存的に上昇し、10ng/mlで活性が検出され、100ng/ml以上で十分な活性化が起こることが示唆された。[実施例4]LREL画分の標的レセプターの同定 LREL画分が抗原提示細胞を活性化させることが判明したため、その標的レセプターとして自然免疫系の外来・内因性刺激感知システムであるトール様レセプター(Toll-like receptor(TLR))に着目し、ノックアウトマウスを用いて責任標的レセプターの同定を試みた。<実験方法> 市販の各種TLR KOマウス(TLR1, TLR2, TLR4, TLR6, TLR7, TLR9及びそれらの共通アダプター分子であるMyD88;全てオリエンタルバイオサービス社から購入)から実施例2と同様に骨髄細胞を調製し、7日間培養しDCを作製した。それらのDCに対してLREL画分を100ng/mlで添加、あるいは非添加でさらに1日培養後、CD86及びIL-12p40について測定した。<結果> 図4に示すように、TLR4 KOマウスでCD86及びIL-12p40の活性化が完全に消失した。MyD88 KOでは部分的な低下が起こった。これは、TLR4のシグナルはMyD88とTRIFという二つのアダプターを介して伝達されることから、合理的な結果であると言える。以上のことから、LREL画分の標的レセプターはTLR4であることが判明した。[実施例5] LREL画分の免疫賦活活性は植物全般に普遍的であることを示すために、代表的な植物の各組織であるイネもみがら(穀物籾殻)、小麦フスマ(穀物外皮)、シナモン(木皮)、緑茶(葉)、ターメリック(地下茎)、ゴマ(果実)からLREL画分を調製した。<実験方法> イネもみがら、小麦フスマは、実施例1に記載の大麦搗精粕と同様の手法により、脱脂後に粉砕し、LREL画分を調製した。またその他の材料については、一般的な市場から粉砕されたシナモン、緑茶、ターメリック、及び、ゴマペーストを購入し、各々について実施例1に記載の手法で脱脂後に、そのままジオキサン抽出以下の操作を実施し、LREL画分を調製した。<結果> 本操作により、イネもみがら5.56gから5mg、小麦フスマ33.7gから16mg、シナモン96.5gから81mg、緑茶92.6gから278mg、ターメリック97.1gから368mg、ゴマペースト205gから117mgのLREL画分が回収できた。得られた各画分の凍結乾燥物は各々50%エタノールに溶解し、各種評価に用いた。[実施例6]各種植物抽出LREL画分の活性比較 LREL画分の免疫賦活活性は植物全般に普遍的であることを示すために、代表的な植物の各組織から実施例5によってLREL画分を調製し、活性を測定した。<実験方法> 大麦・稲については1ng/ml, 10ng/ml, 100ng/mlで、小麦・シナモン・ゴマ・緑茶・ターメリックについては100ng/ml, 1μg/ml, 10μg/ml,100μg/mlの各濃度でDC培養系に添加した。<結果> 図5に示すように、大麦及び稲については10ng/mlで活性が検出され、100ng/mlで顕著な活性を示した。その他の素材では10μg/mlで活性が検出された。これらの結果から、LREL画分は植物全般から得られる普遍的な物質であり、その免疫賦活活性は強弱こそあるものの全般に認められるものであることが判明した。[実施例7]粉砕度と活性の相関 LREL画分の抽出において素材の粉砕度が影響するかどうかについて、微粉砕物及び粗粉砕物を作成して活性比較を行った。<実験方法> 実験材料として脱脂小麦フスマを使用した。それぞれ脱脂小麦フスマ60gを家庭用ミキサーで粉砕したもの(粗粉砕)と、マルチビーズショッカーで粉砕後にほぼ全量が目開き212μmの篩を通過するまで粉砕したもの(微粉砕)を作成した。得られた各粉砕物は、実施例1に記載の手法のジオキサン抽出以下の操作を実施し、LREL画分を調製した。活性については他の実施例同様マウス骨髄由来DCに添加し、培養上清中のIL-12p40濃度を測定することで評価した。<結果> 上記操作により、粗粉砕小麦フスマから41mg、微粉砕小麦フスマから43mgのLREL画分が回収できた。得られた各画分の凍結乾燥物は各々50%エタノールに溶解し、各種評価に用いた。 図6に示すように、微粉砕物では活性が検出されたが、粗粉砕物では活性が出ず、従ってLREL画分の抽出には微粉砕が必須であることが判明した。[実施例8]In vivo腹腔内投与効果 In vitroで抗原提示細胞活性化効果の見られたLREL画分について、in vivo免疫賦活効果が得られるかどうかを腹腔内注射によって、検討した。<実験方法> C57BL/6Jマウス(5週令メス・チャールズリバー)に対し、200μg/headとなるようにLREL画分を腹腔内注射した。コントロール群のマウスには生理食塩水を腹腔内注射した。採決は投与前および、投与後6時間後と24時間後に計三回行った。血漿を採取した後、OptEIATM IL-12p40 ELISA Setおよび、Ready-Set-Go! Mouse TNF-α(e-bioscience社製)を用いて、ELISA法により、血漿中のIL-12p40とTNF-αの濃度を測定した。 投与24時間後にマウスを安楽死させ、脾臓を採取した。脾臓を細かくはさみで切断後、37℃で15分間、1mg/mLのコラゲナーゼIV(シグマ社製)と100μg/mLのDNase I(ロシュ社製)で酵素処理した後、セルストレーナー(ベクトンディッキンソン社製)で未消化組織を取り除いた後、溶血バッファーで赤血球を破壊し、脾細胞を調製した。 マウスリンパ腫細胞株であるYac-1(理化学研究所バイオリソースセンター)に対する脾細胞のNK細胞傷害活性を測定した。簡潔には、Yac-1細胞を最終濃度として15μMとなるようにCalcein-AM(同仁化学社製)と混和し、37℃で30分間染色した。1×104個のYac-1と1×106, 5×105, 2.5×105, 1.25×105個の脾細胞を混合し(Effector:Target = 100:1, 50:1, 25:1, 12.5:1)、37℃で4時間培養したあと、殺傷されてYac-1から培養上清中に放出されたCalceinの濃度を蛍光プレートリーダーのSPECTRA MAX GEMINI EM(Molecular Devices社)にて測定し、死滅率を算出した。 脾臓細胞中の樹状細胞、NK細胞及びT細胞の活性化度をフローサイトメーターによって評価した。簡潔には、NK細胞の活性はCD44の発現量で評価した。リンパ球を抗CD44-PE、抗NK1.1-PE cy7(e-Bioscience社製)を用いて30分間、4℃にて染色し、細胞を洗浄し、FACS CantoIIを用いて解析した。NK細胞のゲートとしてNK1.1+を設定し、当該細胞についてのCD44発現レベルを測定した。樹状細胞の活性は抗CD11b-APC-Cy7、抗CD86-PE、抗CD11c-PE-Cy7(e-Bioscience社製)、抗mPDCA-1-APC(ミルテニーバイオテク社製)の各抗体を用いて30分間、4℃にて染色し、細胞を洗浄し、FACS CantoIIを用いて解析した。mDCのゲートとしてCD11c+CD11b+を設定し、当該細胞についてのCD86発現レベルを測定した。 リンパ球の細胞内サイトカインの産生に関して、1×106個/mLとなるように細胞を懸濁し、24 well plateに1mL播種した。Leukocyte Activation Cocktail(ベクトンディッキンソン社製)を2μL添加し、12時間培養した。細胞を回収、洗浄後、抗CD3-APC-Cy7、抗CD4-APC、抗CD8-PerCP(ベクトンディッキンソン社製)、抗NK1.1-PE-Cy7を用いて細胞表面マーカーを30分間、4℃にて染色した。次にCytofix/Cytoperm Fixation/Permeabilization kit(ベクトンディッキンソン社製)を用いて、細胞を固定化・細胞膜透過処理を行った。固定した細胞を洗浄した後、抗IFN-γ-PE(ベクトンディッキンソン社製)を用いて30分間4℃で染色し、細胞を洗浄し、FACS CantoIIを用いて解析した。CD4+ T細胞のゲートとしてはCD3+ CD4+を設定、CD8+T細胞のゲートとしてはCD3+ CD8+を設定し、当該細胞について、IFN-γ+となっている細胞の比率を測定した。樹状細胞の細胞内サイトカインに関しては、抗CD11c-PE-Cy7、抗CD11b-APC-Cy7、抗mPDCA-1-APCを用いて細胞表面マーカーを30分間、4℃にて染色した。Cytofix/Cytoperm Fixation/Permeabilization kitにて細胞を固定化・細胞膜透過処理した。固定した細胞を洗浄した後、抗IL-12抗体-PE(ベクトンディッキンソン社製)を用いて、30分間4℃で染色し、細胞を洗浄し、FACS CantoIIを用いて解析した。<結果> 図7Aに示すように、LREL画分の腹腔内単回注射によって6時間後に血中IL-12p40及びTNF-αの有意な上昇が観察された。このとき脾臓中のCD11b+ DCすなわちmDCのCD86発現量は増加し、DCの活性化が起こっていることが示唆された(図7B)。さらに、IL-12p40を産生するDCの比率についても有意な増加が観察された(図7C)。 また、生体内における自然免疫賦活の代表的なもう一つの細胞であるNK細胞についても活性化度合いを検討したところ、活性化マーカーであるCD44発現(図7D)及びIFN-γ産生細胞比率(図7E)、癌細胞に対する細胞障害活性(図7F)、いずれにおいても有意な増加を認めた。 さらに自然免疫系の活性化の結果、獲得免疫系であるT細胞への影響についても検討したところCD4+T細胞については活性化を認めなかったが、CD8+T細胞についてはIFN-γ産生細胞比率の有意な上昇を認めた(図7G)。以上の結果、LREL画分はin vivoにおいても免疫賦活能を有することが示された。[実施例9]In vivo腹腔内投与効果の必要量検討 上記の実施例によりLREL画分がin vivoでも免疫賦活効果を有することが判明したが、有効投与量については定かでなかったため、in vivoにおける単回腹腔内投与を濃度を変えて検討してみることとした。<実験方法> C57BL/6Jマウス(5週令メス)に対し、5μg/head、10μg/head、20μg/head、50μg/headとなるようにLREL画分を腹腔内注射した。コントロール群のマウスには生理的食塩水を腹腔内注射した。LREL画分を腹腔内注射する前および、腹腔内注射して3時間後と6時間後に眼底下静脈叢より採血を行った。血漿を採取した後、OptEIATM IL-12p40 ELISA Setを用いて、ELISA法により、血漿中のIL-12p40の濃度を測定した。<結果> 図8に示すとおり、最低量の5μg/headで血中IL-12p40の増加が観察され、10μg/headで統計学的に有意な上昇を認めた。従って、必要量としては250μg/kg望ましくは500μg/kgが必要であると算出された。[実施例10]In vivo経口投与効果の検討 実施例8及び9により、LREL画分が腹腔内投与によって免疫賦活効果を発揮することは証明されたが、食品及び経口ワクチンアジュバントへの用途を考えるときに経口投与で効くことは必須である。そこでLREL画分をマウスに経口投与して、免疫賦活効果が見られるかどうかを検討した。<実験方法> C57BL/6Jマウス(5週令メス)に対し、1mg/head、10mg/headとなるようにLREL画分をゾンデで経口投与した。コントロール群のマウスには生理的食塩水をゾンデにて経口投与した。 LREL画分を経口投与して24時間後にマウスの腸間膜リンパ節を採取した。腸間膜リンパ節由来リンパ球は、1mg/mLのコラゲナーゼIVと100ug/mLのDNase Iを用いて37℃で15分間、酵素処理した後、セルストレーナーで未消化組織を取り除くことで調製した。 樹状細胞の活性化度をMHC classIIおよびCD86の発現量、IL-12産生比率によって評価した。方法は実施例2と同じである。<結果> 図9(A)に示すように、経口投与された異物が吸収される腸管局所のリンパ節である腸間膜リンパ節においてDCの活性化マーカーであるMHC classII分子の有意な上昇が1mg/head投与群で見られた。またCD86については10mg/head投与群で有意な上昇となった。さらに図9(B)に示すように、IL-12p40を発現するmDCの比率の上昇が1mg/head投与群で観察された。以上の結果、LREL画分は単回で経口投与しても腸管免疫系を賦活する効果があり、必要量としては500mg/kgであることが示唆された。[実施例11]In vitroにおけるビール中リグニン配糖体活性 LREL画分は植物外皮に含まれ、その溶出にはセルラーゼが必須であるが、ビール醸造の工程ではそのような反応が自然に起こっていることが想像された。また、LREL画分はある程度水に溶解する物質であることが考えられた。そこで市販のビール中から極性が低く、かつ、エタノール沈殿で沈殿するLREL画分様の物質を回収し、免疫賦活効果が見られるかどうかを検討した。<実験方法> 減圧下で脱気した市販のビール100mlを、60mlメタノールと60mlの脱イオン水で順次コンディショニングしたメガボンドエルート C18(10g/60ml)(ジーエルサイエンス社製)にアプライした。全量をカラムに通した後、100mlの脱イオン水でカラムを洗浄した。続いて100mlのメタノールでカラムに吸着した物質を溶出した。得られた溶出液に100mlの脱イオン水を添加後に、エバポレーターでメタノールを除去した後、残液の3倍量のエタノールを添加し、-20℃で1時間冷却後、遠心操作により上清と沈殿に分離した。得られた沈殿は少量の脱イオン水に分散後、凍結乾燥した。活性については他の実施例同様マウス骨髄由来DCに添加し、培養上清中のIL-12p40濃度を測定することで評価した。<結果> 上記操作により、ビール100mlから7mgの物質が回収された。得られた各画分の凍結乾燥物は各々50%エタノールに溶解し、各種評価に用いた。 図10に示すようにビール由来LREL画分様の物質、1μg/mlからIL-12p40の増加が観察され、100μg/mlまで濃度依存的に上昇した。本操作で得られたLREL画分様物質1μgはビール換算で14μlに相当することから、ビールを飲用することにより自然免疫系の活性化効果が得られることが示唆された。活性の比較から、本操作で得られたLREL画分様物質中には、実施例1の手法で得られるLREL画分がおよそ1%程度含まれていると換算されることから、ビール350ml缶中にはおよそ250μgのLREL画分が含まれると計算された。[実施例12]LREL画分の化学処理耐性の検討 LREL画分の化学的処理による耐性を調べるために、LREL画分が弱い酸溶液による部分酸加水分解、あるいは、アルカリによる分解を経ても活性を保持できるかどうか検討を行った。<実験方法> LREL画分を終濃度2mg/mlになるように0.1N HCl溶液に調製した。この溶液を80℃で1時間、3時間、24時間放置し、所定の時間が経過後に0.1N NaOHで中和した溶液を作成した(部分酸加水分解溶液)。同様に、LREL画分を終濃度2mg/mlになるように1N NaOH溶液に調製し、室温で1時間、3時間、24時間放置後に1N HClで中和した溶液を作成した(アルカリ処理溶液)。実施例2と同様にマウスDCを調製し、終濃度が10ng/ml、100ng/ml、1μg/mlとなるように各々の処理溶液を添加した。抗原提示細胞活性化ポジティブコントロールとして、LPS(シグマアルドリッチ社製)を終濃度5ng/mLで添加した。<結果> 図11(A)に示すようにCD86の発現は部分酸加水分解により経時的に徐々に低下していくことが判明し、LREL画分は酸加水分解により徐々に活性を失うことが示唆された。また、図11(B)に示すようにCD86の発現は1時間のアルカリ処理により完全に低下することが判明し、LREL画分はアルカリ処理により即時に活性を失うことが示唆された。[実施例13]ウシ末梢血リンパ球(PBMC)に対する効果 LREL画分をウシ飼料用途で使用することを想定した場合、ウシ免疫細胞での反応性を担保する必要がある。一方でウシの免疫系についてはまだ良く分かっていないため、必ずしもマウスと同様なデータが出る保証もないため検討した。<実験方法> ウシの血液を採取し、3000rpm、20分間で遠心分離した。バッフィーコートを採取し、リン酸バッファーで希釈した。3mLのLymphoprep(コスモバイオ社製)上に6mLのリン酸バッファーで希釈したバッフィーコートを重層し、2000rpm、20分間遠心分離し、PBMCを分離した。2×106個/mLとなるようにRPMI培地(シグマ社製)でPBMCを懸濁し、24 well plateに1mL播種した。10ng/mL、100ng/mL、1μg/mLのLRELを添加し、48時間培養した。培養上清中のIL-12およびIFN-γの濃度をELISA法にて測定した。ウシIL-12のELISA法は、capture抗体としてウシIL-12(クローン:CC326、AbD serotec社製)を用い、detection抗体として、Biotinを結合したウシIL-12(クローン:CC301、AbD serotec社製)を用いた。スタンダードとして、ウシの血液を用い、血漿原液中に含まれるIL-12の濃度を2000として、培養上清中のIL-12の相対濃度を測定した。ウシIFN-γのELISA法はBovine IFN-γScreening Set(Thermo Scientific社製)を用いて測定した。<結果> 図12(A)にIL-12を(B)にIFN-γのデータを示す。両者ともLRELを100ng/mL以上の濃度で添加すると、統計的に有意に培養上清中のサイトカインの産生が亢進されることが明らかとなった。以上の結果は、ウシ免疫細胞に対してLRELはマウスと同様免疫賦活効果を有していることを示している。[実施例14]ウシDCに対する効果 実施例13により、LRELがウシ免疫細胞にもマウスと同等の効果を有していることが明らかとなったが、そのターゲット細胞と考えられるDCに対する影響を検討した。<実験方法> 実施例13の方法でウシのPBMCを採取し、抗ウシCD11c抗体(VMRD社製)および抗ウシCD172a抗体(Thermo Scientific社製)を用いて30分間、4℃で抗原抗体反応を行った後、2次抗体としてそれぞれ抗IgM-APC抗体(e-Bioscience社製)および抗IgG2b-FITC抗体(ベクトンディッキンソン社製)、7-AAD(ベクトンディッキンソン社製)を用いて30分間、4℃で染色した。染色した細胞をFACS Aria(ベクトンディッキンソン社製)でウシDCのマーカーであるCD11c+ CD172a+(Miyazawa et al.,Research in Veterinary Science 81 (2006) 40-45)の細胞を分取した。 得られたウシDCを4×105個/mLとなるように懸濁し、48 well plateに500μLずつ播種した。10ng/mL、100ng/mLのLREL存在下で48時間培養した。培養上清中のIL-12の濃度を実施例13記載のELISA法にて測定した。<結果> 図13(A)に示すように、PBMC中にCD11c+ CD172a+で規定されるDCは3%含まれていた。また、図13(B)に示すように、LRELを100ng/mL以上の濃度でIL-12の産生の亢進が確認された。従って、LRELはPBMCのDCに作用し、IL-12の産生を亢進させていることが明らかとなった。[実施例15]ヤギin vivo筋肉内投与試験 実施例13及び14によりIn vitroでウシの細胞に有効性が確認されたため、実施例8及び9の検討結果を参考に、ウシと同じ反芻動物であるシバヤギを用いた有効性及び安全性試験を行った。<実験方法> シバヤギ(2〜3年齢オス)に対し、3μg/kg、30μg/kg、300μg/kgとなるようにLREL画分を頸部筋肉内に投与した。コントロール群のシバヤギにはリン酸バッファーを筋肉内投与した。LREL画分を筋肉内投与する前および、投与して1時間、3時間、6時間、24時間後に頸静脈より採血を行った。血漿を採取した後、血漿中に含まれるIL-12濃度を実施例13に記載のELISA法により測定した。<結果> 図14に示すように、300μg/kg群において、投与3時間後にIL-12の統計的に有意な一過的な産生亢進を認め、30μg/kg群においても増加傾向を認めた。従ってヤギを含む反芻動物においてもLRELの免疫賦活作用があることが明らかとなり、必要量としては30μg/kg、望ましくは300μg/kgであると算出された。また、獣医師による安全性に関する異常所見は認められなかった。[実施例16]ウシin vivo筋肉内投与効果 実施例15において、シバヤギを用いたin vivo筋肉内投与ではLREL画分を300μg/kgを投与して免疫賦活活性が見られたため、ウシにおいても同様の検討を行った。<実験方法> ホルスタイン(3〜7年齢メス)に対し、300μg/kgとなるようにLREL画分を尻部筋肉内に投与した。コントロール群のホルスタインにはリン酸バッファーを筋肉内投与した。LREL画分を筋肉内投与する前および、投与して1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、24時間後に頸静脈より採血を行った。血漿を採取した後、DuoSet bovine TNF-α(R&D systems社製)を用いて、ELISA法により、血漿中に含まれるTNF-αの濃度をO.D.420の吸光度によって評価した。<結果> 図15(A)に示すように、LREL投与群のウシでは、いずれの個体においても血中TNF-α濃度が一過的に上昇し、投与2時間後に統計的に有意な上昇を認めた。つまり、LREL画分には300μg/kgでウシの免疫系を賦活化する作用があることが明らかとなった。[実施例17]経口ワクチンのアジュバントとしての作用検討 LRELが食用植物由来であることから、安全に食することができる。実施例10より、LRELには経口で免疫賦活作用があることから、感染症に対する経口ワクチンのアジュバント作用があるかどうかを検討した。<実験方法> 実験開始1日目、8日目、15日目、22日目に以下のような方法でマウスに経口免疫を行った。C57BL/6Jマウス(7週令メス)を16時間絶食させた後、1.5% 炭酸水素ナトリウム(Wako社製)水溶液500μLをゾンデで経口投与して胃酸を中和した。30分後にEgg Albumin(生化学コーポレーション社製、以下OVAとする)1mgとLREL100μgまたは1mgをコーンオイルに懸濁したものをゾンデで経口投与した。コントロール群のマウスにはOVAのみをコーンオイルに懸濁してゾンデで経口投与した。経口免疫が成立しているかどうかを調べるために実験開始36日目に採血すると共に、小腸洗浄液を作製した。小腸洗浄液は盲腸より小腸側10cmを切除し、Protease inhibitor cocktailを添加した10% FCS溶液を4mL通し、3分以上Vortexで混合した後、10000rpm、4℃、30分の条件で遠心分離したあとの上清を採取することによって作製した。 抗体価はELISA法を用いて測定し、IgGの抗体価はMouse IgG ELISA Quantitation Set (Bethyl社製)を、IgAの抗体価はMouse IgA ELISA Quantitation Set (Bethyl社製)を用いた。抗原特異的な抗体価は、上記キットのCapture抗体の代わりに、経口投与に使用したOVAを用いることで測定した。すべてのマウスの血漿を混合した原液中に含まれる抗原特異的抗体価を1として、それぞれのマウスの血漿中に含まれる抗体価を測定した。<結果> 図16-1に示すように、OVAと共にLRELを1mg経口で投与した場合、血液中において、統計的に有意に抗原特異的IgG濃度の上昇が確認された。すなわち、OVA単体で投与したときにはほとんど抗原特異的な免疫は成立しないが、LRELには抗原特異的な免疫を成立させる経口ワクチンのアジュバントとしての機能を持つことが明らかとなった。 また図16-2(A)に示すように、LRELを経口投与することによって、小腸洗浄液中のtotal IgAの濃度は統計的に有意な上昇が認められたものの、図16-2(B)に示すように、抗原特異的IgAは誘導されなかった。腸管において、IgA濃度の上昇は外部からの異物の侵入を防ぐことに繋がることから、OVAとLRELを経口投与することによって、腸管においても、全身性においても免疫系を活性化し、外敵の侵入を防ぐ機能があることが明らかとなった。[実施例18]大麦搗精粕微粉砕物の反芻動物への経口投与による効果 実施例13〜16において、LRELにはマウスだけではなく、反芻動物にも免疫賦活作用があることが明らかとなった。LRELの抽出には大麦搗精粕の微粉砕処理とセルラーゼ処理が必要であること、ウシの第1胃であるルーメンにはセルラーゼ生成菌がいることから、大麦搗精粕微粉砕物をウシに経口で投与すると、ルーメン中でセルラーゼ反応が起こり、免疫賦活能が発揮される可能性が考えられたため、大麦搗精粕微粉砕物の経口投与における機能を検証した。<実験方法> 大麦搗精粕微粉砕物は幹ペレくん((株)タイワ精機社製)によってペレットを作製した。ホルスタイン(3〜7年齢メス)に対し、隔日に1.2kg/headで経口投与した。投与開始18日目まで合計10回投与し、その後投与開始32日目までは通常食を食べさせた。大麦搗精粕微粉砕物を経口投与すると同時に、唾液を採取した。また、投与開始時、投与開始18日目、32日目に実施例13に従ってPBMCを採取した。 唾液中に含まれるIgAおよびIgMの濃度をELISA法によって測定した。IgAの抗体価はBovine IgA ELISA Quantitation Set (Bethyl社製)を、IgMの抗体価はBovine IgM ELISA Quantitation Set (Bethyl社製)を用いた。採取した唾液を10000rpm、3分の条件で遠心分離し、上清を回収し、ムチン等の粘性物質を取り除いた。 PBMCを1 x 106 cells/mLとなるように完全培地に懸濁し、PMA 50ng/mL、ionomycin 500ng/mLの共存下で24時間培養し、培養上清中に含まれるIFN-γとTNF-αの濃度をELISA法により測定した。IFN-γの濃度はBovine IFN-g Screening Set(Thermo Scientific社製)で、TNF-αの濃度はDuoSet bovine TNF-α(R&D systems社製)を用いて測定した。<結果> 図17-1に示すように、唾液中のIgAおよびIgMの濃度が経口投与18日目に経口投与前と比較して統計的に有意に上昇した。また、大麦搗精粕微粉砕物の投与をやめて2週間経った後の32日目の唾液を測定したところ、IgAおよびIgM濃度が18日と比較して低下していたことから、唾液中抗体価の上昇は大麦搗精粕微粉砕物を投与したことによる効果であることが明らかとなった。 さらに、図17-2に示すように、PBMCの培養上清中のIFN-γおよびTNF-αの濃度は投与開始前と比較して、投与開始32日目のPBMCで統計的に有意に上昇していた。これはPBMCの外部刺激に対する反応性が上昇していることを意味しており、大麦搗精粕微粉砕物をウシに経口投与することで全身性の免疫系を活性化する機能があることが明らかとなった。本検討において、18日目で大麦搗精粕微粉砕物の投与をやめたのにも関わらず、32日目にPBMCの反応性が上昇した理由として、反芻動物は餌を食べてから消化・吸収するまでに数日かかること、吸収された免疫賦活物質が全身性の免疫系に影響を与えるまでに時間がかかるであろうことが考えられる。 今回本発明者らは、植物全ての細胞壁に含まれると考えられるリグニンのうち、組織を微粉砕処理後にセルラーゼ処理を行って得られる高分子配糖体画分にのみ強い免疫賦活活性、すなわちマクロファージ・樹状細胞(DC)などの活性化作用を見出し、なおかつ、それがTLR4という自然免疫系のレセプターをターゲットとしていることを見出した。従って、本発明のリグニン配糖体は、新規な植物由来TLR4リガンド(アゴニスト)であり、既存の代表的TLR4Lである細菌由来リポポリサッカライド(LPS)のような食品用途が不可能なものと一線を画した安全で一般消費者に受け入れられうる免疫賦活剤である。 上記の作用メカニズムがあることから、用途としては第一に細菌感染やウイルス感染に対する予防的用途、第二に抗原を投与する際のアジュバントとしての用途、特にその経口投与可能な性質から経口・粘膜ワクチンのアジュバント用途、第三にがん予防・がん再発予防・手術後免疫低下予防用途、第四に強力なTh1誘導を起こすことから抗アレルギー用途が考えられる。 また、リグニン配糖体は、本発明において特殊な方法で濃縮を行っているが、自然な状態での食品、例えばビールのようなものに活性を検出することができ、生理活性から換算した含有量は生体において効果を発揮するに十分量と考えられることから、本発明のリグニン配糖体を増強したビールなどは健康志向のビールとしての利用も考えられる。 さらに、酪農・畜産において一般的に感染症治療・予防用途で抗生物質が使用されるのが一般的である。しかし、近年世界中で抗生物質の大量使用による耐性菌の出現が多く報告されるようになり環境への抗生物質の悪影響が顕在化している。世界の潮流としては今後抗生物質の使用制限がかかる方向に向かっており、これを代替する動物飼料が求められている。本発明のリグニン配糖体は実施例で示したように、植物から露出させるのにセルラーゼ処理及び微粉砕が必要である。ところでウシのような反芻動物は胃にセルラーゼ産生菌を有していることが広く知られており、植物種子外皮の微粉砕物を与えることで自然にリグニン配糖体が体内で抽出されてくることが考えられる故に、植物種子外皮の微粉砕物は動物用免疫賦活剤としての用途も考えられる。免疫賦活によって感染予防される具体的な疾患としては、乳房炎、蹄葉炎、肺炎や気管支炎などの呼吸器感染症、牛疫、牛肺疫、口蹄疫、水胞性口炎、出血性敗血症、ブルセラ病、結核病、ヨーネ病、アカバネ病、牛ウイルス性下痢・粘膜病、牛伝染性鼻気管炎、牛丘疹性口炎、牛流行熱、破傷風、気腫疽、サルモネラ症、牛カンピロバクター症などが挙げられるが、この限りではない。中でも近年流行している口蹄疫については、その簡便な予防法が大いに期待されており、本発明によってウイルス感染に有効とされるIgA上昇が見られたことから有望と考えられる。 本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。 植物由来のリグニン配糖体を主成分として含有する免疫賦活剤であって、該リグニン配糖体が、粉砕した植物の組織又は器官を、セルラーゼのみか、あるいはセルラーゼとヘミセルラーゼで処理し、その残渣を水性極性溶媒(メタノール及びエタノール溶媒を除く)で抽出し、その抽出物からエタノール不溶性画分として得ることができるリグニン配糖体である、前記免疫賦活剤。 粉砕が微粉砕である、請求項1に記載の免疫賦活剤。 植物の組織又は器官が、目開きが約250μm以下である篩を通過することが可能なサイズに粉砕される、請求項2に記載の免疫賦活剤。 植物の組織が、種子の殻もしくは外皮、木皮、葉、及び根もしくは地下茎からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の免疫賦活剤。 植物及びその組織が、大麦外皮、小麦外皮、イネ籾殻、シナモン木皮、緑茶葉、ターメリック地下茎、及びゴマ種子からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の免疫賦活剤。 植物及びその組織が、大麦外皮又はイネ籾殻である、請求項5に記載の免疫賦活剤。 水性極性溶媒が、約45〜約95%ジオキサン水溶液である。請求項1〜6のいずれか1項に記載の免疫賦活剤。 リグニン配糖体が、トール様レセプター4(TLR4)アゴニストである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫賦活剤。 請求項1〜8のいずれか1項に記載の免疫賦活剤を1μg/ml以上含む発酵アルコール飲料。 請求項1〜8のいずれか1項に記載の免疫賦活剤を含む医薬組成物。 請求項1〜8のいずれか1項に記載の免疫賦活剤を含む飼料。 植物種子の殻もしくは外皮の微粉砕物をさらに含む、請求項11に記載の飼料。 植物種子外皮の微粉砕物が、大麦搗精粕の微粉砕物である、請求項12に記載の飼料。 植物種子外皮の微粉砕物を含む飼料。 植物種子外皮が大麦搗精粕である、請求項14に記載の飼料。 微粉砕物が、目開きが約250μm以下である篩を通過することが可能なサイズを有する、請求項12〜15のいずれか1項に記載の飼料。 この発明は、粉砕した植物の組織又は器官を、セルラーゼのみか、あるいはセルラーゼとヘミセルラーゼで処理し、その残渣を水性極性溶媒で抽出し、その抽出物からエタノール不溶性画分として得ることができるリグニン配糖体を主成分とする免疫賦活剤、ならびに、該免疫賦活剤を含有する飲食品、医薬組成物及び飼料に関する。


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