生命科学関連特許情報

タイトル:再公表特許(A1)_腫瘍部位に対する標的化剤
出願番号:2011050178
年次:2013
IPC分類:A61K 49/00,A61K 47/42,A61K 47/48,A61K 9/127,A61K 9/10,A61K 51/00,A61K 49/04,C07K 14/78


特許情報キャッシュ

荻原 一隆 大野 誠 小島 政芳 川上 雅之 柿沼 千早 佐々木 翼 高田 清人 JP WO2011083845 20110714 JP2011050178 20110107 腫瘍部位に対する標的化剤 富士フイルム株式会社 306037311 特許業務法人特許事務所サイクス 110000109 荻原 一隆 大野 誠 小島 政芳 川上 雅之 柿沼 千早 佐々木 翼 高田 清人 JP 2010002696 20100108 A61K 49/00 20060101AFI20130419BHJP A61K 47/42 20060101ALI20130419BHJP A61K 47/48 20060101ALI20130419BHJP A61K 9/127 20060101ALI20130419BHJP A61K 9/10 20060101ALI20130419BHJP A61K 51/00 20060101ALI20130419BHJP A61K 49/04 20060101ALI20130419BHJP C07K 14/78 20060101ALN20130419BHJP JPA61K49/00 AA61K47/42A61K47/48A61K9/127A61K9/10A61K49/02 AA61K49/00 CA61K49/04 AC07K14/78 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20130516 2011549033 26 4C076 4C085 4H045 4C076AA19 4C076BB11 4C076BB13 4C076CC27 4C076EE23 4C076EE41 4C076EE59 4C076FF34 4C076FF67 4C076FF68 4C076GG21 4C085HH03 4C085HH05 4C085HH07 4C085HH11 4C085JJ05 4C085KA27 4C085KA28 4C085KA29 4C085KA30 4C085KB07 4C085KB08 4C085KB12 4C085KB39 4C085KB74 4C085KB82 4C085LL18 4H045AA10 4H045AA30 4H045BA10 4H045CA40 4H045EA20 本発明は、ゼラチン様タンパク質により被覆されたキャリアを含む腫瘍部位に対する標的化剤に関する。 がん治療のために多くの薬剤が開発されているが、現在に至るまで腫瘍組織に対してのみ選択的に殺細胞効果を示す抗腫瘍剤は開発されていない。抗腫瘍活性物質をそのまま血管内に投与した場合、血中から早く消失し、標的以外の臓器にも分布する。このため抗腫瘍活性物質の多くは、がん組織に対する十分な抗腫瘍作用を発揮できない。また望ましくない正常組織への作用(副作用)を伴い、重篤な毒性を引き起こしている。そのため抗腫瘍活性物質の抗腫瘍の増強及び副作用の軽減は、がん化学療法の重要な課題であり、薬物をがん組織、がん細胞に効率的に集積させる薬物送達システム(DDS, Drug Delivery System)の開発が強く求められている。 リポソームは生体成分由来のリン脂質を主成分とする閉鎖小胞であり、生体に投与したときの毒性及び抗原性が低いという特徴を持つ。またリポソーム内に薬物を封入することにより、その薬物の血中安定性および生体内分布を変化させて標的組織への到達性を改善できることが示されている。またがん組織に多く存在する新生血管の血管壁は既存の血管のそれと比較して透過性が高く、リポソームなどの小胞はがん組織に集積しやすいことが知られている。従って、リポソーム製剤は抗腫瘍作用を増強し、副作用を軽減することが大いに期待されるDDSのひとつである。 しかし抗腫瘍活性物質を包含するリポソーム製剤をがん治療に用いる場合、通常のリポソーム組成ではがん組織への選択的な到達性が不十分であり、抗腫瘍効果が十分に発揮されない場合が多い。また、リポソームが標的以外の臓器に多量に分布することによる副作用も発現も問題となっている。そこで、受動的DDS及び能動的DDSという2つのアプローチによって上記問題の解決が試みられている。 受動的DDSとは、リポソームをポリエチレングリコールなどの親水性高分子で修飾し、高い血中滞留性を持たせることにより、腫瘍組織や炎症部位などの血管透過性が亢進した組織へ集積させる方法である(特許文献1及び特許文献2を参照)。親和性高分子で膜修飾するための修飾剤としては、一般的に、ポリエチレングリコール (PEG)にリン脂質またはコレステロールなどを結合したポリエチレングリコール誘導体が用いられている。 能動的DDSとは、リポソームの脂質膜を、がん組織に選択的に集まる性質を有するペプチド、タンパク質又は抗体で物理的あるいは化学的に修飾して、がん組織への移行性をより高くすることである。腫瘍組織親和性ペプチドとしては、正常組織に少なく、腫瘍内の新生血管に特異的に発現しているインテグリンなどに特異的に移行し、結合するものがよく知られている。代表的なものとして、RGD配列を含むペプチドがあり、腫瘍新生血管のインテグリンαvβ3及びαvβ5に選択的に結合することが報告されている。しかしこれらのペプチドを単独でリポソーム脂質膜に修飾した場合、がん組織への選択的な移行性、抗腫瘍効果の増大は認められるものの、その効果は不十分であることが多かった。また、多くの場合、抗腫瘍効果が現れる動物種やがん種が限定されていた。ペプチドの種類、修飾量を種々変更しても抗腫瘍効果の増加の程度には限界があり、臨床現場で実用化できる製剤とするためのハードルは高いと考えられている。例えば、特許文献3では、アミノ酸数3〜15のペプチドを用いてリポソームを修飾しているが集積能の点では十分とはいえなかった。また、癌に集積する糖鎖をリポソーム表面に修飾したリポソームでも、集積能の点では十分とはいえなかった。 一方、ゼラチンなどの生体高分子はこれまで広く医療材料として用いられてきた。近年の遺伝子工学手法の進歩により、大腸菌や酵母に遺伝子を導入することによる遺伝子組み換えタンパク質の製造が行われている。該手法により、種々の遺伝子組み換えコラーゲン様タンパク質が合成されている(特許文献4及び5)。これらの遺伝子組み換えコラーゲン様タンパク質は、天然のゼラチンと比較して、非感染性に優れ、均一であり、また配列が決定されているので強度及び分解性を精密に設計することが可能であるなどの優位点を有する。特許文献6には、RGD配列を増強した配列がドラックデリバリー剤として有用であることが開示されているが、リポソームとの組み合わせにおいて有用であるとの示唆はない。特公平7−20857号公報特許第2667051号公報国際公開WO2007/088952号公報米国特許6992172号国際公開WO2008/103041号公報特開2007−297402号公報 本発明は、高い血中滞留性とがん組織に選択的に集まる性質の両方の機能を兼ね備えたキャリアを開発することにより、腫瘍部位への集積効果を利用して腫瘍部位に対する薬物送達やイメージングを可能とする標的化剤を提供することを解決すべき課題とした。 本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、PEG化したリポソームに、コラーゲンの部分アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を有する遺伝子組み換えゼラチンなどのゼラチン様タンパク質を被覆したキャリアが、腫瘍部位に集積することを見出することにより本発明を完成するに至った。 即ち、本発明によれば、親水性高分子で修飾されたキャリアであって、コラーゲンに特徴的なGly-X-Yで示される配列(X及びYはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示す)の繰り返しを有し(複数個のGly-X-Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい)、細胞接着シグナルを一分子中に2配列以上含むゼラチン様タンパク質で被覆されているキャリアを含む、腫瘍部位に対する標的化剤が提供される。 好ましくは、親水性高分子で修飾されたキャリアは、親水性高分子で修飾された脂質膜成分を含有するリポソーム、又は親水性高分子で修飾された高分子ミセルである。 好ましくは、ゼラチン様タンパク質の分子量は2 KDa以上100 KDa以下である。 好ましくは、ゼラチン様タンパク質の分子量が10 KDa以上90 KDa以下である。 好ましくは、ゼラチン様タンパク質は、式:A−[(Gly−X−Y)n]m−B(式中、Aは任意のアミノ酸又はアミノ酸配列を示し、Bは任意のアミノ酸又はアミノ酸配列を示し、n個のXはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示し、n個のYはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示し、nは3〜100の整数を示し、mは2〜10の整数を示す。なお、n個のGly-X-Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)で示される。 好ましくは、ゼラチン様タンパク質は、式:Gly-Ala-Pro-[(Gly−X−Y)63]3−Gly(式中、63個のXはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示し、63個のYはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示す。なお、63個のGly-X-Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)で示される。 好ましくは、細胞接着シグナルはArg-Gly-Aspで示されるアミノ酸配列である。 好ましくは、ゼラチン様タンパク質のアミノ酸配列は、セリン及びスレオニンを含まない。 好ましくは、ゼラチン様タンパク質のアミノ酸配列は、セリン、スレオニン、アスパラギン、チロシン、及びシステインを含まない。 好ましくは、ゼラチン様タンパク質のアミノ酸配列は、Asp-Arg-Gly-Aspで示されるアミノ酸配列を含まない。 好ましくは、ゼラチン様タンパク質は、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列、又は(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列と80%以上の相同性を有し、腫瘍部位に対する標的化作用を有するアミノ酸配列を有する。 好ましくは、ゼラチン様タンパク質は架橋されている。 好ましくは、架橋はアルデヒド類、縮合剤、又は酵素により施される。 好ましくは、親水性高分子はポリエチレングリコールである。 好ましくは、本発明の標的化剤は、腫瘍部位を標的としたイメージング剤である。 好ましくは、本発明の標的化剤は、腫瘍部位を標的としたドラッグデリバリー剤である。 好ましくは、本発明の標的化剤は、さらに標識プローブ及び/または薬剤を含有する。 好ましくは、標識プローブは、蛍光色素、放射性同位体、PET用核種、SPECT用核種、MRI造影剤、CT造影剤、又は磁性体である。 好ましくは、蛍光色素は、量子ドット、インドシアニングリーン又は近赤外蛍光色素であり、放射性同位体、PET用核種及びSPECT用核種が、11C、13N、15O、18F、66Ga、 67Ga、68Ga、60Cu、61Cu、62Cu、67Cu、 64Cu、48V、Tc-99m、241Am、55Co、57Co、153Gd、111In、133Ba、82Rb、139Ce、Te-123m、137Cs、86Y、90Y、185/187Re、186/188Re、125I、又はそれらの錯体、あるいはそれらの組み合わせであり、MRI造影剤、CT造影剤及び磁性体が、ガドリニウム、Gd-DTPA、Gd-DTPA-BMA、Gd-HP-DO3A、ヨード、鉄、酸化鉄、クロム、マンガン、又はその錯体・キレート錯体、あるいは又はそれらの組み合せである。 本発明によればさらに、親水性高分子で修飾されたキャリアであって、コラーゲンに特徴的なGly-X-Yで示される配列(X及びYはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示す)の繰り返しを有し(複数個のGly-X-Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい)、細胞接着シグナルを一分子中に2配列以上含むゼラチン様タンパク質で被覆されており、さらに標識プローブ及び/または薬剤を含むキャリアを、生体に投与することを含む、腫瘍部位に対して上記標識プローブ及び/または薬剤を標的化する方法が提供される。 本発明によればさらに、腫瘍部位に対する標的化剤の製造のための、親水性高分子で修飾されたキャリアであって、コラーゲンに特徴的なGly-X-Yで示される配列(X及びYはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示す)の繰り返しを有し(複数個のGly-X-Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい)、細胞接着シグナルを一分子中に2配列以上含むゼラチン様タンパク質で被覆されているキャリアの使用が提供される。 本発明の腫瘍部位に対する標的化剤は、腫瘍部位への集積効果を利用して腫瘍部位に対する薬物送達やイメージングが可能である。本発明の腫瘍部位に対する標的化剤は、高い血中滞留性とがん組織に選択的に集まる性質の両方の機能を有する。R-Gel被覆ICG内包PEGリポソーム、動物ゼラチン被覆ICG内包PEGリポソーム、又はICG内包PEGリポソームを担癌動物へ尾静脈投与にて投与し、その体外からの蛍光イメージング実験を行った結果を示す。 以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。(1)親水性高分子で修飾されたキャリア 親水性高分子で修飾されたキャリアとしては、高分子ミセルやリポソームがあげられるが、リポソームが好ましい。高分子ミセルとは、溶解性の異なる2種の高分子鎖(例えば、疎水性鎖と親水性鎖)のブロック共重合体を溶媒中で会合させることによって形成される会合体である。また、リポソームとは、リン脂質を水中に分散させて形成される脂質二分子膜により囲まれた内水相部分を有する閉鎖小胞であり、そのサイズや脂質二分子の数によって多重相リポソーム(Multilamellar Vesicle: MLV)、大きな一枚膜リポソーム(Large Unilamellar Vesicle: LUV)および小さな一枚膜リポソーム(Small Unilamellar Vesicle: SUV)の3種類に分類される。本発明のリポソームとしては、上記の何れのリポソームも使用できる。本発明で用いるリポソームは、生体内投与前および投与後に安定なリポソーム構造を形成するものが好ましい。 リポソームを構成する二分子膜の流動性及び膜透過性は相転移温度を境として大きく増加するため、一般的には相転移温度が37℃以上であるリン脂質を用いることが好ましい。このようなリン脂質としては、例えば水素添加精製卵黄ホスファチジルコリン(相転移温度50−60℃、以下HEPCとする)、水素添加精製大豆ホスファチジルコリン(相転移温度約55℃、以下HSPCとする)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(相転移温度約41℃、以下DPPCとする)およびジステアロイルホスファチジルコリン(相転移温度約58℃、以下DSPCとする)などが挙げられ、より好ましくはDSPC及びDPPCが挙げられる。これらのリン脂質は1種または2種以上を混合して用いることができる。本発明で用いるリポソームは、これらのリン脂質以外に、リポソームの安定性を改善することが報告されているコレステロール誘導体などの安定化剤を混合してもよい。コレステロール誘導体とリン脂質のモル比は、1:0.3〜3が好ましく、1:1〜2.5がさらに好ましい。また、等張化剤として、例えば、グリセリン、ブドウ糖、塩化ナトリウムなどの添加も可能である。さらに、パラベン類、クロルブタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコールなどの防腐剤を加えてもよい。 本発明で用いるリポソームは、親水性高分子で修飾された脂質膜成分を含有する。即ち、本発明で用いるリポソームは、脂質二重膜の外側が親水性高分子で修飾されている。親水性高分子としては、特に限定されないが、ポリエチレングリコール、フィコール、ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸交互共重合体、ジビニルエーテル−無水マレイン酸交互共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリヒドロキシプロピルメタアクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアスパルトアミド、合成ポリアミノ酸などが挙げられる。これらの中でも、製剤の血中滞留性を優れたものにする効果があることから、ポリエチレングリコール類、ポリグリセリン類、ポリプロピレングリコール類が好ましく、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリグリセリン(PG)、ポリプロピレングリコール(PPG)がより好ましい。なお、このような親水性高分子は、保存安定性の観点から、片末端がアルコキシ化(例えば、メトキシ化、エトキシ化、プロポキシ化)されているものが好ましい。親水性高分子としては、上記の中でもポリエチレングリコール(PEG)は最も汎用であり、血中滞留性を向上させる効果があり、特に好ましい。 上記した親水性高分子は、リポソームを修飾するための構造を有していることが好ましい。特に、親水性高分子鎖の一端に該構造を有していることが好ましい。すなわち、修飾に使用される親水性高分子は、親水性高分子の本体部分とリポソームを修飾するための構造部分とからなっていることが好ましい。該構造が脂質等の疎水性部分である場合は、該疎水性部分がリポソーム膜に挿入されるかたちで親水性高分子の本体部分がリポソーム外表面上から突出するように固定化され、該構造がリポソーム膜構成成分と共有結合しうる反応性官能基である場合は、リポソームの外表面に露出しているリン脂質等のリポソーム膜構成成分と共有結合することにより親水性高分子の本体部分がリポソーム外表面上から突出するように固定化される。 次に、親水性高分子本体と結合して親水性高分子−疎水性高分子化合物を形成せしめるために使用される疎水性化合物について以下に説明する。 当該疎水性化合物は、特に限定されない。例えば、疎水性の領域を有する化合物(疎水性化合物)を挙げることができる。疎水性化合物としては、例えば、後述する混合脂質を構成するリン脂質や、ステロール等の他の脂質類、あるいは、長鎖脂肪族アルコール、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。中でも、リン脂質が好ましい態様の一つである。また、これらの疎水性化合物は反応性官能基を有してもよい。反応性官能基によって形成される結合としては共有結合が望ましく、具体的にはアミド結合、エステル結合、エーテル結合、スルフィド結合、ジスルフィド結合、などが挙げられるが特に限定されない。 上記リン脂質に含まれるアシル鎖は、飽和脂肪酸であることが望ましい。アシル鎖の鎖長は、C14−C20が望ましく、さらにはC16−C18であることが望ましい。アシル鎖としては、例えば、ジパルミトイル、ジステアロイル、パルミトイルステアロイルが挙げられる。リン脂質は、特に制限されない。リン脂質としては、例えば、上記の親水性高分子と反応可能な官能基を有するものを使用することができる。このような親水性高分子と反応可能な官能基を有するリン脂質の具体例としては、アミノ基を有するフォスファチジルエタノールアミン、ヒドロキシ基を有するフォスファチジルグリセロール、カルボキシ基を有するフォスファチジルセリンが挙げられる。上記のフォスファチジルエタノールアミンを使用するのが好適な態様の1つである。 親水性高分子の脂質誘導体は、上記の親水性高分子と上記の脂質とからなる。上記の親水性高分子と上記の脂質との組み合わせは、特に限定されない。目的に応じて適宜組み合わせたものを使用することができる。例えば、リン脂質、ステロール等の他の脂質類、長鎖脂肪族アルコール、グリセリン脂肪酸エステルの中から選ばれる少なくとも1つと、PEG、PG、PPGの中から選ばれる少なくとも1つとが結合した親水性高分子の誘導体が挙げられる。具体的には、ポリオキシプロピレンアルキルなどが挙げられ、特に、親水性高分子がポリエチレングリコール(PEG)である場合において脂質としてリン脂質、コレステロールを選択するのが好適な態様のひとつである。このような組み合わせによるPEGの脂質誘導体としては、例えば、PEGのリン脂質誘導体またはPEGのコレステロール誘導体が挙げられる。 親水性高分子の脂質誘導体は、脂質の選択により、正電荷、負電荷、中性の選択が可能である。例えば、脂質としてDSPEを選択した場合、リン酸基の影響で負電荷を示す脂質誘導体となり、また脂質としてコレステロールを選択した場合、中性の脂質誘導体となる。脂質の選択は、その目的に応じ、選択することが可能である。 PEGの分子量は、特に限定されない。PEGの分子量は、通常、500〜10,000ダルトンであり、好ましくは1,000〜7,000ダルトン、より好ましくは2,000〜5,000ダルトンである。PGの分子量は、特に限定されない。PGの分子量は、通常100〜10000ダルトンであり、好ましくは200〜7000ダルトン、より好ましくは400〜5000ダルトンである。PPGの分子量は、特に限定されない。PPGの分子量は、通常100〜10,000ダルトンであり、好ましくは200〜7,000ダルトン、より好ましくは1,000〜5,000ダルトンである。 これらの中でも、PEGのリン脂質誘導体が好ましい態様の一つとして挙げられる。PEGのリン脂質誘導体としては、例えば、ポリエチレングリコール−ジステアロイルフォスファチジルエタノールアミン(PEG-DSPE)が挙げられる。PEG-DSPEは、汎用の化合物であり入手容易であることから好ましい。 上記の親水性高分子は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。 このような親水性高分子の脂質誘導体は、従来公知の方法によって製造することができる。親水性高分子の脂質誘導体の一例であるPEGのリン脂質誘導体を合成する方法としては、例えば、PEGに対し反応可能な官能基を有するリン脂質と、PEGとを、触媒を用いて反応させる方法が挙げられる。当該触媒としては、例えば、塩化シアヌル、カルボジイミド、酸無水物、グルタルアルデヒドが挙げられる。このような反応により、前記官能基とPEGとを共有結合させてPEGのリン脂質誘導体を得ることができる。 上記親水性高分子脂質誘導体による膜脂質(総脂質)の修飾率は、膜脂質に対する比率で、通常0.1〜20mol%、好ましくは0.1〜5mol%、より好ましくは0.5〜5mol%とすることができる。ここでの総脂質とは、親水性高分子脂質誘導体以外の膜を構成するすべての脂質の総量であり、具体的に、リン脂質類および他の脂質類、さらに他の表面修飾剤を含む場合にはこの表面修飾剤も含む。 本発明で用いるリポソームは、上記リン脂質、親水性高分子の脂質誘導体の他に、他の膜構成成分を含むことができる。他の膜構成成分としては、例えば、リン脂質以外の脂質およびその誘導体(以下、これらを「他の脂質類」と称することもある。)が挙げられる。リポソームは、主膜材として上記のリン脂質および親水性高分子の脂質誘導体とともに、他の脂質類を含む混合脂質による膜で形成されるのが好ましい。 本発明で用いるリポソームは公知の方法により調製することができる。本発明においては、リポソームの平均粒子径として50〜200nmが好ましい。(2)ゼラチン様タンパク質 本発明で用いるゼラチン様タンパク質は、コラーゲンに特徴的なGly-X-Yで示される配列(X及びYはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示す)の繰り返しを有し(複数個のGly-X-Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい)、細胞接着シグナルを一分子中に2配列以上含む。本発明で用いるゼラチン様タンパク質としては、コラーゲンの部分アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を有する遺伝子組み換えゼラチンを用いることができ、例えばEP1014176A2、US6992172、WO2004-85473、WO2008/103041等に記載のものを用いることができるが、これらに限定されるものではない。本発明で用いるゼラチン様タンパク質として好ましいものは、以下の態様の遺伝子組み換えゼラチンである。 本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンは天然のゼラチン本来の性能から、生体適合性に優れ、且つ天然由来ではないことでBSEなどの懸念がなく、非感染性に優れている。また、本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンは天然のものに比して均一であり、配列が決定されているので、強度、分解性においても後述の架橋等によってブレを少なく精密に設計することが可能である。 本発明で用いるゼラチン様タンパク質の分子量は2 KDa以上100 KDa以下であることが好ましい。より好ましくは2.5 KDa以上95KDa以下である。より好ましくは5 KDa以上90 KDa以下である。最も好ましくは、10 KDa以上90KDa以下である。 本発明で用いるゼラチン様タンパク質は、コラーゲンに特徴的なGly−X−Yで示される配列の繰り返しを有する。ここで、複数個のGly-X-Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Gly−X−Y において、Glyはグリシン、X及びYは、任意のアミノ酸(好ましくは、グリシン以外の任意のアミノ酸)を表す。コラーゲンに特徴的なGXY配列とは、ゼラチン・コラーゲンのアミノ酸組成および配列における、他のタンパク質と比較して非常に特異的な部分構造である。この部分においてはグリシンが全体の約3分の1を占め、アミノ酸配列では3個に1個の繰り返しとなっている。グリシンは最も簡単なアミノ酸であり、分子鎖の配置への束縛も少なく、ゲル化に際してのヘリックス構造の再生に大きく寄与している。X,Yであらわされるアミノ酸はイミノ酸(プロリン、オキシプロリン)が多く含まれ、全体の10%〜45%を占めることが好ましい。好ましくはその配列の80%以上、更に好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上のアミノ酸がGXYの繰り返し構造であることが好ましい。 一般的なゼラチンは極性アミノ酸のうち、電荷を持つものと無電荷のものが1:1で存在する。ここで、極性アミノ酸とは具体的にシステイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、アルギニンを指し、このうち極性無電荷アミノ酸とはシステイン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシンを指す。本発明で用いるゼラチン様タンパク質においては、構成する全アミノ酸のうち、極性アミノ酸の割合が10〜40%であり、好ましくは20〜30%である。且つ該極性アミノ酸中の無電荷アミノ酸の割合が5%以上20%未満、好ましくは10%未満であることが好ましい。さらに、セリン、スレオニン、アスパラギン、チロシン、システインのうちいずれか1アミノ酸、好ましくは2以上のアミノ酸を配列上に含まないことが好ましい。 一般にポリペプチドにおいて、細胞接着シグナルとして働く最小アミノ酸配列が知られている(例えば、株式会社永井出版発行「病態生理」Vol.9、No.7(1990年)527頁)。本発明で用いるゼラチン様タンパク質は、これらの細胞接着シグナルを一分子中に2以上有することが好ましい。具体的な配列としては、接着する細胞の種類が多いという点で、アミノ酸一文字表記で現わされる、RGD配列、LDV配列、REDV配列、YIGSR配列、PDSGR配列、RYVVLPR配列、LGTIPG配列、RNIAEIIKDI配列、IKVAV配列、LRE配列、DGEA配列、及びHAV配列の配列が好ましく、さらに好ましくはRGD配列、YIGSR配列、PDSGR配列、LGTIPG配列、IKVAV配列及びHAV配列、特に好ましくはRGD配列である。RGD配列のうち、好ましくはERGD配列である。 本発明で用いるゼラチン様タンパク質におけるRGD配列の配置として、RGD間のアミノ酸数が0〜100の間、好ましくは25〜60の間で均一でないことが好ましい。 この最小アミノ酸配列の含有量は、細胞接着・増殖性の観点から、タンパク質1分子中3〜50個が好ましく、さらに好ましくは4〜30個、特に好ましくは5〜20個である。最も好ましくは12個である。 本発明で用いるゼラチン様タンパク質において、アミノ酸総数に対するRGDモチーフの割合は少なくとも0.4%であることが好ましく、ゼラチン様タンパク質が350以上のアミノ酸を含む場合に、350のアミノ酸の各ストレッチが少なくとも1つのRGDモチーフを含むことが好ましい。アミノ酸総数に対するRGDモチーフの割合は、更に好ましくは少なくとも0.6%であり、更に好ましくは少なくとも0.8%であり、更に好ましくは少なくとも1.0%であり、更に好ましくは少なくとも1.2%であり、最も好ましくは少なくとも1.5%である。ゼラチン様タンパク質内のRGDモチーフの数は、250のアミノ酸あたり、好ましくは少なくとも4、更に好ましくは6、更に好ましくは8、更に好ましくは12以上16以下である。RGDモチーフの0.4%という割合は、250のアミノ酸あたり、少なくとも1つのRGD配列に対応する。RGDモチーフの数は整数であるので、0.4%の特徴を満たすには、251のアミノ酸からなるゼラチンは、少なくとも2つのRGD配列を含まなければならない。好ましくは、本発明のゼラチン様タンパク質は、250のアミノ酸あたり、少なくとも2つのRGD配列を含み、より好ましくは250のアミノ酸あたり、少なくとも3つのRGD配列を含み、さらに好ましくは250のアミノ酸あたり、少なくとも4つのRGD配列を含む。本発明のゼラチン様タンパク質のさらなる態様としては、少なくとも4つのRGDモチーフ、好ましくは6つ、より好ましくは8つ、さらに好ましくは12以上16以下のRGDモチーフを含む。 また、ゼラチン様タンパク質は部分的に加水分解されていてもよい。 本発明で用いるゼラチン様タンパク質は、A[(Gly−X−Y )n]m−B の繰り返し構造を有することが好ましい。mとして好ましくは2〜10、好ましくは3〜5である。nは3〜100が好ましく、15〜70がさらに好ましく、50〜65が最も好ましい。 繰り返し単位には天然に存在するコラーゲンの配列単位を複数結合することが好ましい。ここで言う天然に存在するコラーゲンとは天然に存在するものであればいずれであっても構わないが、好ましくはI型、II型、III型、IV型、およびV型である。より好ましくは、I型、II型、III型である。別の形態によると、該コラーゲンの由来は好ましくは、ヒト、ウシ、ブタ、マウス、ラットである。より好ましくはヒトである。 本発明で用いるゼラチン様タンパク質の等電点は、好ましくは5〜10であり、より好ましくは6〜10であり、さらに好ましくは7〜9.5である。 好ましくは、ゼラチン様タンパク質は脱アミン化されていない。 好ましくは、ゼラチン様タンパク質はテロペプタイドを有さない。 好ましくは、ゼラチン様タンパク質は天然コラーゲンをコードする核酸により調製された実質的に純粋なコラーゲン用材料である。 本発明で用いるゼラチン様タンパク質として特に好ましくは、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列;又は(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列と80%以上(さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上)の相同性を有し、腫瘍部位に対する標的化作用を有するアミノ酸配列;を有するゼラチン様タンパク質である。 本発明で用いるゼラチン様タンパク質(遺伝子組み換えゼラチン)は、当業者に公知の遺伝子組み換え技術によって製造することができ、例えばEP1014176A2、US6992172、WO2004-85473、WO2008/103041等に記載の方法に準じて製造することができる。具体的には、所定の遺伝子組み換えゼラチンのアミノ酸配列をコードする遺伝子を取得し、これを発現ベクターに組み込んで、組み換え発現ベクターを作製し、これを適当な宿主に導入して形質転換体を作製する。得られた形質転換体を適当な培地で培養することにより、遺伝子組み換えゼラチンが産生されるので、培養物から産生された遺伝子組み換えゼラチンを回収することにより、本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンを調製することができる。 本発明で用いるゼラチン様タンパク質は用途に応じて、化学的に修飾することができる。化学的な修飾としては、ゼラチン様タンパク質の側鎖のカルボキシル基やアミノ基への低分子化合物あるいは各種高分子(生体高分子(糖、タンパク質)、合成高分子、ポリアミド)の導入や、ゼラチン様タンパク質間の架橋が挙げられる。該ゼラチン様タンパク質への低分子化合物の導入としては、例えばカルボジイミド系の縮合剤が挙げられる。 本発明で用いる架橋剤は本発明を実施可能である限りは特に限定はなく、化学架橋剤でも酵素でもよい。化学架橋剤としては、例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、カルボジイミド、シアナミドなどが挙げられる。好ましくは、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドである。さらに、ゼラチン様タンパク質の架橋としては、光反応性基を導入したゼラチンへの光照射、あるいは光増感剤の存在化での光照射によるものが挙げられる。光反応性基としては、例えば、シンナミル基、クマリン基、ジチオカルバミル基、キサンテン色素、カンファキノンが挙げられる。 酵素による架橋を行う場合、酵素としては、ゼラチン様タンパク質鎖間の架橋作用を有するものであれば特に限定されないが、好ましくはトランスグルタミナーゼおよびラッカーゼ、最も好ましくはトランスグルタミナーゼを用いて架橋を行うことができる。トランスグルタミナーゼで酵素架橋するタンパク質の具体例としては、リジン残基およびグルタミン残基を有するタンパク質であれば特に制限されない。トランスグルタミナーゼは、哺乳類由来のものであっても、微生物由来のものであってもよく、具体的には、味の素(株)製アクティバシリーズ、試薬として発売されている哺乳類由来のトランスグルタミナーゼ、例えば、オリエンタル酵母工業(株)製、Upstate USA Inc.製、Biodesign International製などのモルモット肝臓由来トランスグルタミナーゼ、ヤギ由来トランスグルタミナーゼ、ウサギ由来トランスグルタミナーゼなど、ヒト由来の血液凝固因子(Factor XIIIa、Haematologic Technologies, Inc.社)などが挙げられる。 ゼラチン様タンパク質の架橋には、ゼラチン様タンパク質の溶液と架橋剤を混合する過程とそれらの均一溶液の反応する過程の2つの過程を有する。 本発明においてゼラチン様タンパク質を架橋剤で処理する際の混合温度は、溶液を均一に攪拌できる限り特に限定されないが、好ましくは0℃〜40℃であり、より好ましくは0℃〜30℃であり、より好ましくは3℃〜25℃であり、より好ましくは3℃〜15℃であり、さらに好ましくは3℃〜10℃であり、特に好ましくは3℃〜7℃である。 ゼラチン様タンパク質と架橋剤を攪拌した後は温度を上昇させることができる。反応温度としては架橋が進行する限りは特に限定はないが、ゼラチン様タンパク質の変性や分解を考慮すると実質的には0℃〜60℃であり、より好ましくは0℃〜40℃であり、より好ましくは3℃〜25℃であり、より好ましくは3℃から15℃であり、さらに好ましくは3℃〜10℃であり、特に好ましくは3℃〜7℃である。 ゼラチン様タンパク質によるキャリアの被覆方法は、化学的結合による方法でもよいし、静電相互作用による方法でもよいが、キャリア膜の変性などを避けるためには静電相互作用による方法が好ましい。 本発明で用いられるリン脂質とゼラチン様タンパク質の総量とのモル比は、1:0.01〜0.3が好ましく、1:0.05〜0.2がさらに好ましく、1:0.1が特に好ましい。(3)本発明の腫瘍部位に対する標的化剤の用途及び使用方法 本発明においては、上記したゼラチン様タンパク質(好ましくは遺伝子組み換えゼラチン)を、対象者(例えば、ヒトなどの哺乳動物)に投与することによって、物質を腫瘍部位に標的化することができる。即ち、本発明においては、ゼラチン様タンパク質は、腫瘍部位を標的として集積することから、所望の物質を腫瘍部位を標的として送達することができる。従って、本発明の腫瘍部位に対する標的化剤は、例えば、腫瘍部位を標的としたイメージング剤として使用することができ、また腫瘍部位を標的としたドラッグデリバリー剤として使用することができる。 本発明の腫瘍部位に対する標的化剤を、腫瘍部位を標的としたイメージング剤として使用する場合には、標的化剤は、標識プローブを含むことができる。また、本発明の腫瘍部位に対する標的化剤を、腫瘍部位を標的としたドラッグデリバリー剤として使用する場合には、標的化剤は、薬剤(治療有効成分)を含むことができる。また、必要な場合には、標的化剤は、標識プローブ及び薬剤(治療有効成分)の両方を含むことができる。 本発明の標的化剤をイメージング剤として用いる場合の標識プローブの例としては、蛍光色素、放射性同位体、PET用核種、SPECT用核種、MRI造影剤、CT造影剤、磁性体などが挙げられる。放射線同位体、PET用核種、SPECT(Single photon emission computed tomography)用核種として好ましくは、11C、13N、15O、18F、66Ga、 67Ga、68Ga、60Cu、61Cu、62Cu、67Cu、 64Cu、48V、Tc-99m、241Am、55Co、57Co、153Gd、111In、133Ba、82Rb、139Ce、Te-123m、137Cs、86Y、90Y、185/187Re、186/188Re、125I、又はそれらの錯体、あるいはそれらの組み合わせである。MRI造影剤、CT造影剤及び磁性体が、ガドリニウム、Gd-DTPA、Gd-DTPA-BMA、Gd-HP-DO3A、ヨード、鉄、酸化鉄、クロム、マンガン、又はその錯体・キレート錯体が挙げられる。また、蛍光色素としては、公知の量子ドット、インドシアニングリーン、近赤外蛍光色素(Cy5.5、Cy7、AlexaFluoro等)が挙げられる。 本発明の標的化剤をドラックデリバリー剤として使用する場合は、本発明の標的化剤には、薬剤(治療有効成分)を封入することもできる。ここで用いる薬剤の種類は特に制限されないが、本発明の腫瘍部位に対する標的化剤は、優れた腫瘍組織親和性を有するので、腫瘍組織において活性を有するものであればよく、抗腫瘍活性物質が好ましい。具体的な抗腫瘍活性物質としては、特に限定されないが、例えばアルキル化剤、各種代謝拮抗剤、抗腫瘍性抗生物質、その他抗腫瘍剤、抗腫瘍性植物成分、BRM(生物学的応答性制御物質)、血管新生阻害剤、細胞接着阻害剤、マトリックス・メタロプロテアーゼ阻害剤またはホルモン等が挙げられる。 より具体的には、アルキル化剤として、例えば、ナイトロジェンマスタード、ナイトロジェンマスタードN-オキシド、イホスファミド、メルファラン、シクロホスファミド、クロラムブシル等のクロロエチルアミン系アルキル化剤、;例えば、カルボコン、チオテパ等のアジリジン系アルキル化剤;例えば、ディブロモマンニトール、ディブロモダルシトール等のエポキシド系アルキル化剤;例えば、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ニムスチンハイドロクロライド、クロロゾトシン、ラニムスチン等のニトロソウレア系アルキル化剤;ブスルファン、トシル酸インプロスルファン、ピポスルファン等のスルホン酸エステル類;ダカルバジン;プロカルバジン等が挙げられる。 各種代謝拮抗剤としては、例えば、6-メルカプトプリン、アザチオプリン、6-チオグアニン、チオイノシン等のプリン代謝拮抗剤;フルオロウラシル、テガフール、テガフール・ウラシル、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、カルモフール、ドキシフルリジン、ブロクスウリジン、シタラビン、エノシタビン等のピリミジン代謝拮抗剤;メトトレキサート、トリメトレキサート等の葉酸代謝拮抗剤等、および、その塩もしくは複合体が挙げられる。 抗腫瘍性抗生物質としては、例えば、ダウノルビシン、アクラルビシン、ドキソルビシン、ピラルビシン、エピルビシン等のアントラサイクリン系;アクチノマイシンD等のアクチノマイシン系;クロモマイシンA3等のクロモマイシン系;マイトマイシンC等のマイトマイシン系;ブレオマイシン、ペプロマイシン等のブレオマイシン系等;および、それらの塩もしくは複合体が挙げられる。 その他の抗腫瘍剤としては、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、TAS-103、タモキシフェン、L-アスパラギナーゼ、アセブラトン、シゾフィラン、ピシバニール、ウベニメクス、クレスチン等、および、それらの塩もしくは複合体が挙げられる。 抗腫瘍性植物成分としては、例えば、カンプトテシン、ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン等の植物アルカロイド類;エトポシド、テニポシド等のエピポドフィロトキシン類;および、その塩もしくは複合体が挙げられる。また、ピポブロマン、ネオカルチノスタチン、ヒドロキシウレア等も挙げることができる。 BRMとしては、例えば、腫瘍壊死因子、インドメタシン等、および、その塩もしくは複合体が挙げられる。血管新生阻害剤としては、例えばフマギロール誘導体、および、その塩もしくは複合体が挙げられる。 細胞接着阻害剤としては、例えば、RGD配列を有する物質、および、その塩もしくは複合体が挙げられる。 マトリックス・メタロプロテアーゼ阻害剤としては、例えば、マリマスタット、バチマスタット等、および、その塩もしくは複合体が挙げられる。 ホルモンとしては、例えばヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プラステロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、オキシメトロン、ナンドロロン、メテノロン、ホスフェストロール、エチニルエストラジオール、クロルマジノン、メドロキシプロゲステロン等、および、その塩もしくは複合体が挙げられる。 薬剤の形態としては、低分子化合物、ペプチド、蛋白、抗体、siRNAあるいは遺伝子が例示できる。 以上、具体的な薬剤を列挙したが、上記に挙げる薬剤に限定されることはない。 本発明の標的化剤(イメージング剤、ドラックデリバリー剤など)は、腫瘍の診断、腫瘍の治療効果診断、腫瘍の病態解析、又は腫瘍の治療のために用いることができる。 対象疾患としては、各種の癌及び腫瘍を挙げることができる。診断方法としては、PET、SPECT、CT、MRI、内視鏡、蛍光検出器を用いることができる。 本発明の標的化剤は、その使用目的に合わせて用量、用法、剤型を適宜決定することが可能である。例えば、本発明の標的化剤は、生体内の目的部位に直接投与してもよいし、あるいは注射用蒸留水、注射用生理食塩水、pH5〜8の緩衝液(リン酸系、クエン酸系等)等の水性溶媒等の液状賦形剤に懸濁して、例えば注射、塗布等により投与してもよい。また、適当な賦形剤と混合し、軟膏状、ゲル状、クリーム状等にしてから塗布してもよい。即ち、本発明の標的化剤の投与形態は、経口でもよいし、非経口(例えば静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与等)でもよい。剤型としては、例えば錠剤、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、エキス剤、シロップ剤等の経口投与剤、又は注射剤(例えば静脈内注射剤、筋肉内注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤等)等の非経口投与剤を挙げることができる。 本発明の標的化剤の製剤化は、当業者に公知の方法に従って行うことができる。例えば、製剤用担体が液体の場合は、溶解又は分散させ、また、製剤用担体が粉末の場合は、混合又は吸着させることができる。さらに必要に応じて、薬学的に許容される添加物(例えば、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、滑沢剤、着色剤、芳香剤、矯味剤、剤皮、懸濁化剤、乳化剤、溶解補助剤、緩衝剤、等張化剤、塑性剤、界面活性剤又は無痛化剤等)を含有させることもできる。 キャリアの投与量は、特に限定されないが、例えば、投与される生体の体重1kg当たり.10μg/kgから100mg/kgであり、好ましくは100μg/kgから10mg/kgである。 以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。 遺伝子組み換えゼラチンとして以下記載のCBE3を用意した(WO2008-103041に記載)。CBE3分子量:51.6kD構造: Gly-Ala-Pro[(Gly−X−Y)63]3-Glyアミノ酸数:571個RGD配列:12個イミノ酸含量:33%ほぼ100%のアミノ酸がGly−X−Y の繰り返し構造である。CBE3のアミノ酸配列には、セリン、スレオニン、アスパラギン、チロシン及びシステインは含まれていない。CBE3はERGD配列を有している。等電点:9.34アミノ酸配列(配列表の配列番号1)(WO2008/103041号公報の配列番号3と同じ。但し末尾のXは「P」に修正)GAP(GAPGLQGAPGLQGMPGERGAAGLPGPKGERGDAGPKGADGAPGAPGLQGMPGERGAAGLPGPKGERGDAGPKGADGAPGKDGVRGLAGPIGPPGERGAAGLPGPKGERGDAGPKGADGAPGKDGVRGLAGPIGPPGPAGAPGAPGLQGMPGERGAAGLPGPKGERGDAGPKGADGAPGKDGVRGLAGPP)3G 以下の実施例では、特に断りのない限り、上記CBE3として表される遺伝子組み換えゼラチンをR-Gelと記載している。(1)ICG内包PEGリポソームの作成 ナス型フラスコ内でNC21E(日油(株)製)とPEG-distearoylphosphatidylethanolamine(日油(株)製:以後PEGと表記)をそれぞれ180mM、20mMとなるようにクロロホルム10mlで溶解させた。エバポレーターと真空乾燥機を用いてクロロホルムを減圧で留去してフラスコ底面に乾膜を形成した。このナス型フラスコに水相としてICG(インドシアニングリーン)20μM水溶液10ml添加し、恒温水槽で60℃2分間加温した後、ボルテックスミキサーにて強攪拌し、乾膜を水相に溶解・分散した。 ミニエクストルーダーセット(Avanti社製)に孔径0.1μmのポリカーボネートフィルター(ワットマン社製 ヌクレオポアメンブレン)を装着し、フィルターハウジングが55℃となるようにホットプレートを加温した。ナス型フラスコ内の全水相をシリンジに取り、フィルターを10往復させることでエクストルージョン処理を行った。さらに、セファデックスG100ゲルを用いてゲルろ過精製を行い外水相中に存在するICGを除去後、遠心限外ろ過により濃縮を行った。ここで作製した粒子をICG内包PEGリポソームとする。その粒径とζ電位をELS-Z2(大塚電子(株)製)にて測定した結果を表1に示す。(2)R-Gel被覆ICG内包PEGリポソームの作成 上記(1)で調製したICG内包PEGリポソームに0.5%R-Gel溶解液(溶媒:PBS)を体積比1:1で混合し、10℃で30分静置しR-Gel被覆ICG内包PEGリポソームを作成した。その粒径とζ電位を測定した結果を表2に示す。R-Gel添加後にζ電位が増加したことにより、PEGリポソームにR-Gelが被覆したと判断した。またR-Gelの対照として動物ゼラチン(ニッピ:等電点9、分子量53kDa)を同様に用いた。(3)腫瘍保持動物モデルの作製 腫瘍保持動物モデルとして、担癌動物を作製した。担癌動物の作製は、北山ラベスに依頼した。使用動物はBALB/cAJcl-nu/nuマウス(雄、5週齢、日本クレア)を用いた。使用した移植がん細胞はU-87MG(ヒト神経膠芽種)を用い、10%ウシ胎児血清を含むEagle's Minimum Essential Medium培地中で実施した。培養にはT-225フラスコを用いた。ここから得られたU-87MG細胞液5×106cells/50μlをBALB/cAJcl-nu/nuマウスの右脇腹皮下へ埋め込み移植を行った。移植後約2週間で〜100mm3サイズの腫瘍が形成された。これを担癌動物として以後の実験に使用した。以後、この動物を担癌動物と表記する。(4)R-Gel被覆ICG内包PEGリポソームによる担癌動物の腫瘍部位のイメージング R-Gel被覆ICG内包PEGリポソーム、動物ゼラチン被覆ICG内包PEGリポソーム、又はICG内包PEGリポソームを担癌動物へ尾静脈投与にて100μl投与し、その体外からの蛍光イメージング実験を行った。 蛍光シグナル検出および測定・画像化にはルミノ・イメージアナライザーLAS5000(富士フイルム試作品)を使用した。可視光画像と蛍光画像を同時に撮像し、両画像の重ね合わせを行うことで蛍光を発する部位を同定した。蛍光画像の撮像に当たっては、光源に落斜IR光源を使用し、フィルターには795nmのバンドパスフィルターを使用した。画像解析・シグナル強度の測定にはソフトウェアMultiGauge(富士フイルム)を使用した。 その結果、R-Gel被覆ICG内包PEGリポソームのみ、投与6時間後に担癌動物の腫瘍性新生血管部位、及び腫瘍部位に蛍光の集積を確認した。(図1)(比較例) 比較例として、片山化学より購入した蛍光色素Cy7を内包したリポソームGLYCOLIPO Kシリーズ K1-Cy7を用いた。表3に試験成績書に記載されていた粒径、ζ電位を示す。K1-Cy7による担癌動物の腫瘍部位のイメージング K1-Cy7を担癌動物へ尾静脈投与にて100μl投与し、先の実験と同様にその体外からの蛍光イメージング実験を行った。 その結果、上記の実験系では、K1-Cy7では投与6時間まで担癌動物の腫瘍性新生血管部位、及び腫瘍部位に蛍光の集積は確認されず、本発明の標的化剤よりも集積能が劣ることが分かった。 この結果は、原理的には親水性高分子で表面修飾されたDDSキャリア、例えば高分子ミセル、においても共通であることが予想される。親水性高分子で修飾されたキャリアであって、コラーゲンに特徴的なGly-X-Yで示される配列(X及びYはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示す)の繰り返しを有し(複数個のGly-X-Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい)、細胞接着シグナルを一分子中に2配列以上含むゼラチン様タンパク質で被覆されているキャリアを含む、腫瘍部位に対する標的化剤。親水性高分子で修飾されたキャリアが、親水性高分子で修飾された脂質膜成分を含有するリポソーム、又は親水性高分子で修飾された高分子ミセルである、請求項1に記載の標的化剤。ゼラチン様タンパク質の分子量が2 KDa以上100 KDa以下である、請求項1又は2に記載の標的化剤。ゼラチン様タンパク質の分子量が10 KDa以上90 KDa以下である、請求項1から3の何れかに記載の標的化剤。ゼラチン様タンパク質が、式:A−[(Gly−X−Y)n]m−B(式中、Aは任意のアミノ酸又はアミノ酸配列を示し、Bは任意のアミノ酸又はアミノ酸配列を示し、n個のXはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示し、n個のYはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示し、nは3〜100の整数を示し、mは2〜10の整数を示す。なお、n個のGly-X-Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)で示される、請求項1から4の何れかに記載の標的化剤。ゼラチン様タンパク質が、式:Gly-Ala-Pro-[(Gly−X−Y)63]3−Gly(式中、63個のXはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示し、63個のYはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示す。なお、63個のGly-X-Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)で示される、請求項1から5の何れかに記載の標的化剤。細胞接着シグナルがArg-Gly-Aspで示されるアミノ酸配列である、請求項1から6の何れかに記載の標的化剤。ゼラチン様タンパク質のアミノ酸配列が、セリン及びスレオニンを含まない、請求項1から7の何れかに記載の標的化剤。ゼラチン様タンパク質のアミノ酸配列が、セリン、スレオニン、アスパラギン、チロシン、及びシステインを含まない、請求項1から8の何れかに記載の標的化剤。ゼラチン様タンパク質のアミノ酸配列が、Asp-Arg-Gly-Aspで示されるアミノ酸配列を含まない、請求項1から9の何れかに記載の標的化剤。ゼラチン様タンパク質が、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列、又は(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列と80%以上の相同性を有し、腫瘍部位に対する標的化作用を有するアミノ酸配列を有する、請求項1から10の何れかに記載の標的化剤。ゼラチン様タンパク質が架橋されている、請求項1から11の何れかに記載の標的化剤。架橋がアルデヒド類、縮合剤、又は酵素により施される、請求項1から12の何れかに記載の標的化剤。親水性高分子がポリエチレングリコールである、請求項1から13の何れかに記載の標的化剤。腫瘍部位を標的としたイメージング剤である、請求項1から14の何れかに記載の標的化剤。腫瘍部位を標的としたドラッグデリバリー剤である、請求項1から15の何れかに記載の標的化剤。さらに標識プローブ及び/または薬剤を含有する、請求項1から16の何れかに記載の標的化剤。標識プローブが、蛍光色素、放射性同位体、PET用核種、SPECT用核種、MRI造影剤、CT造影剤、又は磁性体である請求項17に記載の標的化剤。蛍光色素が、量子ドット、インドシアニングリーン又は近赤外蛍光色素であり、放射性同位体、PET用核種及びSPECT用核種が、11C、13N、15O、18F、66Ga、 67Ga、68Ga、60Cu、61Cu、62Cu、67Cu、 64Cu、48V、Tc-99m、241Am、55Co、57Co、153Gd、111In、133Ba、82Rb、139Ce、Te-123m、137Cs、86Y、90Y、185/187Re、186/188Re、125I、又はそれらの錯体、あるいはそれらの組み合わせであり、MRI造影剤、CT造影剤及び磁性体が、ガドリニウム、Gd-DTPA、Gd-DTPA-BMA、Gd-HP-DO3A、ヨード、鉄、酸化鉄、クロム、マンガン、又はその錯体・キレート錯体、あるいは又はそれらの組み合せである、請求項18に記載の標的化剤。親水性高分子で修飾されたキャリアであって、コラーゲンに特徴的なGly-X-Yで示される配列(X及びYはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示す)の繰り返しを有し(複数個のGly-X-Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい)、細胞接着シグナルを一分子中に2配列以上含むゼラチン様タンパク質で被覆されており、さらに標識プローブ及び/または薬剤を含むキャリアを、生体に投与することを含む、腫瘍部位に対して上記標識プローブ及び/または薬剤を標的化する方法。 本発明の目的は、腫瘍部位への集積効果を利用して腫瘍部位に対する薬物送達やイメージングを可能とする標的化剤を提供することである。本発明によれば、親水性高分子で修飾されたキャリアであって、コラーゲンに特徴的なGly-X-Yで示される配列(X及びYはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示す)の繰り返しを有し(複数個のGly-X-Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい)、細胞接着シグナルを一分子中に2配列以上含むゼラチン様タンパク質で被覆されているキャリアを含む、腫瘍部位に対する標的化剤が提供される。配列表


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