生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ビール風味アルコール飲料の製造方法
出願番号:2011038473
年次:2011
IPC分類:C12G 3/02


特許情報キャッシュ

鈴木 一 勝田 康夫 松田 功 JP 2011223987 公開特許公報(A) 20111110 2011038473 20110224 ビール風味アルコール飲料の製造方法 松谷化学工業株式会社 000188227 辻居 幸一 100092093 熊倉 禎男 100082005 箱田 篤 100084663 浅井 賢治 100093300 山崎 一夫 100119013 市川 さつき 100123777 鈴木 一 勝田 康夫 松田 功 JP 2010082214 20100331 C12G 3/02 20060101AFI20111014BHJP JPC12G3/02 5 OL 15 4B015 4B015AG05 4B015AG17 本発明は、ビール風味アルコール飲料の製造方法に関し、詳しくは安価でコク味の強いビール風味アルコール飲料の製造方法に関する。 従来から、麦芽を主原料とする発泡性のアルコール飲料として、ビールや発泡酒がある。これらのアルコール飲料は、麦芽以外に副原料として、米、コーンスターチなどの澱粉質が用いられる。昨今は、これらに加え、大麦、小麦、麦芽を一切使用しないが、香味がビールに類似するビール様の発泡性アルコール飲料(第3のビール)や、発泡酒に大麦や小麦から作られたスピリッツを添加して得られるビール様の発泡性アルコール飲料(第4のビール)が上市されてきている。以下、これらの発泡性アルコール飲料をビール類と呼称することがある。 昨今、ビール類の売り上げは、景気の減速などを理由に、発泡酒や第3のビール、第4のビールにシフトしている。これらの商品の特徴は、酒税が安く抑えられるため、市場での販売価格が安いことが挙げられるが、同時に麦芽の使用量が少ない、あるいは麦芽を全く使用していないため、ビールと比較した場合、風味やコク味に欠け、味質が軽い商品が多い。 これらビール類のコク味付与のために、これまで食物繊維(酵母難資化性食物繊維、特許文献1)や、ガラクトオリゴ糖(特許文献2)、アラビノース(特許文献3)、サイクロデキストリン(特許文献4,5)、エリスリトール(特許文献6)、エーテル化澱粉、エーテル化架橋澱粉とその加水分解物(特許文献7)などを添加した酒類の製法が紹介されている。 これらコク味付与のために配合される食物繊維、ガラクトオリゴ糖、アラビノース、サイクロデキストリン、エリスリトール、エーテル化澱粉、及びエーテル化架橘澱粉は、いずれも麦芽や糖化酵素による消化に耐性であり、又、酵母で資化されないので、仕込み工程に添加しても製品中に残存してビール類のコク味に寄与している。 しかしながら、これらの添加物はいずれも製品単価が高く、最終製品の価格が高くなる傾向があった。特に発泡酒や第3、第4のビールなどは価格が安いことから、コク味付与の目的で使用すると、商品価格の上昇に繋がる。実際に、酵母難資化性水溶性食物繊維を使用した酒類は、複数のメーカーによって上市されているが、主に健康志向を謳った特殊商品がほとんどであり、コク味付与よりも食物繊維添加が主な目的となっている傾向が見られる。 コク味以外に、特定の重合度のマルトオリゴ糖を含むことを特徴とする、さわやかさ及びまろやかさを両立させた香味の麦芽飲料が開示されている(特許文献8)。この麦芽飲料は、重合度4〜5のマルトオリゴ糖が0.5g/100ml以下で、重合度6〜7のマルトオリゴ糖が0.2〜1.0g/100mlのマルトオリゴ糖を含む原料液を酵母で発酵させたものである。これらのマルトオリゴ糖は、仕込み工程に添加された場合は麦芽のアミラーゼで消化されるが、加熱処理してβ−アミラーゼを失活させた麦芽で澱粉副原料を処理することで該マルトオリゴ糖を生成させ、これを糖化工程終了後の麦汁と混合して酵母で発酵させることで所望のマルトオリゴ糖を麦芽飲料に含有させることができる。 しかしながら、これらのオリゴ糖はビール類のコク味には寄与しない(特許文献8)。特開2002−191347号公報特開2003−250486号公報特開2007−74925号公報特開平06−237750号公報特開平06−237752号公報特開平11−127839号公報特開2009−112211号公報特開平10−113162号公報 本発明の課題は、安価でコク味の強いビール風味アルコール飲料の製造方法を提供することである。 本発明者らは、非発酵性糖質のデキストリンを、糖化工程終了後〜発酵工程終了後のいずれかの過程における液に添加して、ビール類を醸造したところ、デキストリンを添加しなかった場合と比較して、明らかにコク味が強化されたビール類が得られることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、下記の、安価で、かつコク味、芳醇感、濃厚感などの香味が向上したビール風味アルコール飲料の製造方法を提供するものである。1.糖化工程に続き発酵工程を行うことを含むビール風味アルコール飲料の製造方法であって、デキストリンを、糖化工程が終了した後に添加することを特徴とするビール風味アルコール飲料の製造方法。 2.デキストリンを、糖化工程終了後でかつ発酵工程前に添加するか、あるいは発酵工程後に添加することを特徴とする上記1に記載のビール風味アルコール飲料の製造方法。3.デキストリンが、重合度8以上の糖質を40質量%以上含むデキストリンである上記1又は2に記載のビール風味アルコール飲料の製造方法。4.デキストリン添加後の糖化工程終了液又は発酵工程終了液における重合度8以上の糖質含量が0.05〜2.0質量%となるようにデキストリンを添加する上記1〜3のいずれか1に記載のビール風味アルコール飲料の製造方法。5.上記1〜4のいずれか1に記載の方法で得られるビール風味アルコール飲料。 本発明によれば、コク味、芳醇感、濃厚感などの香味が向上したビール風味アルコール飲料を安価に製造することができる。 以下、本発明を実施するための形態、すなわち本発明のビール風味アルコール飲料の製造方法を詳細に説明する。 本発明における「ビール風味アルコール飲料」は、麦芽及び副原料を酵母で発酵して得られるビール以外の発泡性アルコール飲料(発泡酒)、麦芽を含まない原料を酵母で発酵して得られる発泡性アルコ−ル飲料(第3のビール)及び、これらの発泡性アルコール飲料にスピリッツを添加して得られるリキュール(第4のビール)から選択される酒類のことをいう。 本発明に使用するデキストリンは、澱粉を水と共に加熱した糊液を酸又は酵素で加水分解して得られる湿式分解澱粉、又は澱粉をマルトース生成アミラーゼ及びトランスグルコシダーゼを作用させて得られる分岐デキストリンである。 より具体的には、本発明に使用するデキストリンは、ヒトの消化酵素で消化されるが、酵母では資化されない澱粉分解物又はそのグルコース転移誘導体であり、平均分子量が500以上の、直鎖(α−1,4結合)及び又は分岐(α−1,6結合)構造を有するグルコース重合体である。 分岐デキストリンを用いると、比較的少ない量で、コク味、芳醇さ、濃厚さのいずれも良好なビール風味飲料を提供することができるため、特に好ましい。 上述した湿式分解澱粉及び分岐デキストリンは、当業者に知られている製造方法を適宜用いて製造することができる(例えばWO2009/113652参照)。 本発明に使用するデキストリンは、製品に及ぼす粘度や甘味の影響を考慮して、重合度8以上の糖質を含むことが好ましい。また、重合度8以上の糖質を40質量%以上含むものが好ましく、45質量%〜80質量%の範囲で含むものが更に好ましい。また更に、本発明に使用するデキストリンは平均分子量が500〜10000であることが好ましく、600〜5000であることがより好ましく、700〜3000であることが更に好ましく、700〜1500であることが最も好ましい。 さらに、本発明に使用するデキストリンの30℃、30質量%おける粘度は、7〜15mPa・s、好ましくは8〜12mPa・sである。粘度は、VISCOMETER MODEL BMを用い、回転数60rpm、保持時間30秒の条件で測定する。 なお、本願発明の”デキストリン”は、いわゆる難消化性デキストリン及びサイクロデキストリンを含まない。 ここで難消化性デキストリンとは、澱粉の乾式分解物(焙焼デキストリン)を酵素分解して得られる、水溶性食物繊維を多量に含む特殊なデキストリンであり、本発明に使用するデキストリンとは構造的にも機能的にも異なるものである。 また、サイクロデキストリンとは、澱粉に特殊なグルコシルトランスフェラーゼを作用させて得られる、5〜8のグルコースが環状に結合した環状オリゴ糖であり、本発明に使用するデキストリンとは構造的にも機能的にも異なるものである。 次に、本発明のビール風味アルコール飲料の一般的な製造方法を、発泡酒を例にして説明する。 発泡酒の一般的な製造工程は、麦芽、ホップ、色素及び炭素源となる澱粉や糖類に湯を加え、70℃前後で糖化反応を行い、これを煮沸、次いで冷却して発酵原料液とする「糖化工程」(これによって、糖成分とアミノ酸を豊富に含む麦汁を得る)、及び、このようにして得られる発酵原料液をビール酵母などの発酵酵母を使用して発酵させ、その後貯酒、熟成を行う「発酵工程」から構成される。 「糖化工程」には、更に、麦芽の粉砕や、糖化反応後の濾過工程、再煮沸工程などを含んでいてもよい。「糖化工程」における諸条件は、従来公知の条件を適宜設定して行うことができる。 「糖化工程」において使用する原料は、特に限定されないが、例えば、麦芽、糖、水、ホップ、香料、色素、起泡剤、糖アルコール、植物性たんぱく質等が挙げられる。 「発酵工程」は、糖化工程終了液を発酵原料液として、これにビール酵母を加えて発酵させ、その後貯酒、熟成を行う工程である。「発酵工程」における諸条件は、従来公知の条件を適宜設定して行うことができる。 本発明のビール風味アルコール飲料の製造方法は、前述の発泡酒の製造方法の糖化工程と発酵工程を含む方法である。本発明の方法において、デキストリンは、麦芽に含まれている糖化酵素によって、マルトースなどの酵母で資化発酵される糖に分解されてしまうため、糖化工程よりも前に添加するべきではなく、糖化反応終了後〜発酵工程終了までの間に添加する必要がある。かかる製造方法により、コク味、芳醇感、濃厚感などの香味が向上したビール風味アルコール飲料を安価に製造することができる。 本発明のビール風味アルコール飲料の製造方法の第一の態様は、前記糖化工程、すなわち70℃前後で糖化反応を行い、これを煮沸する工程を含む糖化工程が終了した後の糖化工程終了液に上述したデキストリンを添加することを特徴とする。デキストリンを含む糖化工程終了液を発酵原料液として用いて、これを酵母で発酵する発酵工程を行う。 上述したとおり、デキストリンは糖化工程よりも前に添加するべきではない。更に、製造工程における溶解性、殺菌性などを考慮すると、糖化反応終了後の煮沸工程直後又は煮沸工程直後から発酵工程終了までの間に添加することが望ましい。このとき、必要であれば再煮沸を行ってもよい。デキストリンを添加する前にアミラーゼ阻害剤を添加することで、再煮沸を省略することもできる。 糖化工程終了液として、いわゆる麦芽エキスを使用してもよい。麦芽エキスは麦芽を糖化・煮沸、濃縮した麦汁(すなわち、糖化工程終了液あるいは発酵原料液)に相当する。 また、本発明のビール風味アルコール飲料の製造方法の第二の態様として、デキストリンを、発酵工程終了後に添加する方法が挙げられる。この場合、デキストリン中に残存する微量の発酵性の糖類は製品中に残存することになるので、可能な限り発酵性糖類の少ないデキストリンを使用することが望ましい。 また、本発明のビール風味アルコール飲料の製造方法の第三の態様として、デキストリンを、糖化工程終了後と発酵工程終了後の2回にわけて添加する方法が挙げられる。 デキストリンの添加量は、原料に使用する麦芽の量によって異なるが、例えば原料中の麦芽使用量が50質量%以下であれば、添加した液(糖化工程終了後の発酵原料液又は発酵工程終了液)の全質量に対する、重合度8以上の糖質含量(麦芽由来分を含む)が0.05〜2.0質量%、好ましくは0.1〜1.8質量%、より好ましくは0.3〜1.7質量%、更に好ましくは0.5〜1.7質量%、最も好ましくは0.7〜1.7質量%となるように添加すればよい。0.05質量%未満では製品のコク味、芳醇感、濃厚感などの香味が乏しく、2.0質量%を超えると用量に依存した添加効果が見込めない。 糖化工程終了液(発酵原料液)又は発酵工程終了液における重合度8以上の糖質含量が0.05〜2.0質量%となるようにするため、糖化工程終了液(発酵原料液)又は発酵工程終了液に添加するデキストリンの量は、使用する麦芽に残存する重合度8以上の糖質含量から算出することができるが、通常、デキストリンとして0.5〜25g/L、好ましくは2〜23g/L、更に好ましくは3〜20g/L程度添加すればよい。 本発明によれば、デキストリンを糖化工程終了後又は発酵工程終了後の液に添加することにより、ビール風味アルコール飲料、特に麦芽使用量の少ないビール風味アルコール飲料に、コク味、芳醇感、濃厚感などの香味を持たせることが可能となる。したがって、デキストリンは、麦芽使用量の少ない、あるいは麦芽を使用しないビール風味アルコール飲料、例えば発泡酒、第3、第4のビールへのコク味、芳醇感、濃厚感等の香味の安価な付与剤としての適性に優れている。 次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例によって本発明が限定されるものではない。以下の実施例、比較例において他に明記しない限り、「部」は「質量部」である。また、以下の実施例で使用したデキストリンは、全て商業的に入手が可能である。実施例1異なるデキストリンを使用した発泡酒の製造 3種類の異なるデキストリンを使用して、麦芽使用量の少ない発泡酒を醸造した。本実施例では、麦芽の代わりに、麦芽エキスを使用しているが、これは麦芽を糖化・煮沸、濃縮した麦汁(すなわち、糖化工程終了液あるいは発酵原料液)に相当する。なお、麦芽エキス10gは、糖質含量換算で、麦芽約7.14gに相当する。 使用したデキストリンは、マックス1000(サンプル1,平均分子量2000、重合度(DP)8以上の糖質79.1%、粘度15、松谷化学工業株式会社)、パインデックス#2(以下“PDx#2”,サンプル2,平均分子量1700、DP8以上の糖質70.9%、粘度12、松谷化学工業株式会社)、TK−16(サンプル3、平均分子量910、DP8以上の糖質45.0%、粘度8、松谷化学工業株式会社)の3種類である。これらに加え、水溶性食物繊維として難消化性デキストリン(コントロール2で使用、商品名:ファイバーソル2、松谷化学工業株式会社)を比較対照に使用した。表1 上記成分を混合し、80℃で30分間の煮沸を行ったあと、ナイロンクロスによりろ過を行い、ろ液に酵母を加えて、7日間、酵母による発酵を行った。その後、発酵液1Lあたり6gの砂糖を加え、さらに14日間発酵を行い、発泡酒を得た。得られた発泡酒は、エタノール除去、脱塩を実施し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により糖組成分析を行い、その結果を表2に示した。 HPLCの条件は、下記のとおりである。 使用カラム:MCI(登録商標)GEL CK04SS(三菱化学) 移動相:精製水(80℃、0.3ml/分) 検出:示差屈折率表2 以上の結果から、サンプル1(マックス1000)とサンプル2(PDx#2)では、DP8以上の糖質含量が、水溶性食物繊維(コントロール2)以上に、又、サンプル3(TK・16)でも、水溶性食物繊維と同等レベルになっていることが分かる。 さらに、得られた発泡酒のコク味、芳醇感、濃厚感について官能試験を実施した。すなわち、サンプル1〜3が、コントロール1(コク味成分なし)、及びコントロール2(コク味成分を付与したもの)と比較して、コク味、芳醇感及び濃厚感を有するか否かを、6名によるパネルテストによって評価した。評価は5段階で行い、最低を1、最高を5とした。表3 表3の結果から、コントロール1では全ての項目の評価が低く、水溶性食物繊維を加えたコントロール2では評価が高く予想通りの評価となった。一方、デキストリンを添加した場合、コントロール2とほぼ同等かそれ以上のコク味、芳醇感、濃厚感が得られた。実施例2デキストリン使用量の異なる発泡酒の製造 デキストリンとして、マックス1000を用い、その使用量を変えて麦芽使用量の少ない発泡酒を醸造した。処方は表4に示し、製造には実施例1と同じ方法を用いた。表4 上記成分を混合し、80℃で30分間の煮沸を行ったあと、ナイロンクロスによりろ過を行い、ろ液に酵母を加えて、7日間、酵母による発酵を行った。その後、発酵液1Lあたり6gの砂糖を加え、さらに14日間発酵を行い、発泡酒を得た。得られた発泡酒は、エタノール除去、脱塩を実施し、HPLCで糖組成を分析し、その結果を表5に示した。表5 その結果、デキストリンの添加量の増加に応じて製品中のDP8以上の糖質含量は増加した。次いで、実施例1と同様の方法でコク味、芳醇感、濃厚感について官能試験を実施した。表6 表6に示す結果から、0.05%(1Lあたり0.5g添加)の添加でコク味、芳醇感、濃厚感の向上が認められたが、濃度を引き上げることによって、コク味、芳醇感、濃厚感が、さらに向上する傾向が認められた。実施例3デキストリン使用量の異なる発泡酒の製造 デキストリンとしてPDx#2を用い、その使用量を変えて麦芽使用量の少ない発泡酒を醸造した。 処方は表7に示し、製造には実施例1と同じ方法を用いた。表7 上記成分を混合し、80℃で30分間の煮沸を行ったあと、ナイロンクロスによりろ過を行い、ろ液に酵母を加えて、7日間、酵母による発酵を行った。その後、発酵液lLあたり6gの砂糖を加え、さらに14日間発酵を行い、発泡酒を得た。得られた発泡酒は、エタノール除去、脱塩を実施し、HPLCで糖組成の分析を行い、その結果を表8に示した。表8 表8から、DP8以上の含量は、実施例2の場合と同様、デキストリンの添加量と相関することが認められた。さらに、実施例1の方法で、コク味、芳醇感、濃厚感について官能試験を実施した。表9 表9に示す結果から、実施例2の場合と同様、0.05%(1Lあたり0.5g添加)の添加でコク味、芳醇感、濃厚感の向上が認められたが、濃度を引き上げることによって、コク味、芳醇感、濃厚感が、さらに向上する傾向が認められた。実施例4デキストリンの使用量を変えた発泡酒の製造 デキストリンとして、TK−16を用い、その使用量を変えて麦芽便用量の少ない発泡酒を醸造した。 処方は表10に示し、製造には実施例1と同じ方法を用いた。表10 上記成分を混合し、80℃で30分間の煮沸を行ったあと、ナイロンクロスによりろ過を行い、ろ液に酵母を加えて、7日間、酵母による発酵を行った。その後、発酵液1Lあたり6gの砂糖を加え、さらに14日間発酵を行い、発泡酒を得た。得られた発泡酒は、エタノール除去、脱塩を実施し、HPLCで糖組成の分析を行い、その結果を表11に示した。表11 表11から、DP8以上の含量は、実施例2,3の場合と同様、デキストリンの添加量と相関することが認められた。さらに、実施例1と同じ方法で、コク味、芳醇感、濃厚感について官能試験を実施した。表12 表12の結果から、実施例1,2と同様、0.05%(1Lあたり0.5g添加)の添加で、コク味、芳醇感、濃厚感の向上が認められたが、濃度を引き上げることによって、コク味、芳醇感、濃厚感が、さらに向上する傾向が認められた。実施例5麦芽使用量の多い発泡酒の製造 麦芽の使用量を50%に引き上げ、TK−16(実施例4と同じ)を用いて、表13の処方で発泡酒を製造した。表13 上記成分を混合し、80℃で30分間の煮沸を行ったあと、ナイロンクロスによりろ過を行い、ろ液に酵母を加えて、7日間、酵母による発酵を行った。その後、発酵液lLあたり6gの砂糖を加え、さらに14日間発酵を行い、発泡酒を得た。得られた発泡酒は、エタノール除去、脱塩を実施し、HPLCで糖組成の分析を行い、その結果を表14に示した。表14 表14から、DP8以上の含量は、麦芽使用量が少ない実施例1〜4の場合と同様、デキストリンの添加量と相関することが認められた。さらに、実施例1と同じ方法で、コク味、芳醇感、濃厚感について官能試験を実施した。表15 表15の結果から、実施例1〜4と同様、0.05%(1Lあたり0.5g添加)の添加で、コク味、芳醇感、濃厚感の向上が認められたが、濃度を引き上げることによって、コク味、芳醇感、濃厚感が、さらに向上する傾向が認められた。実施例6分岐デキストリンを使用した発泡酒の製造 分岐デキストリンを使用して、麦芽使用量の少ない発泡酒を醸造した。使用した分岐デキストリンは、HBD−20(サンプル1、平均分子量800、重合度(DP)8以上の糖質53.5%、粘度8.5、松谷化学工業株式会社)を用いた。処方は表16に示し、製造には実施例1と同じ方法を用いた。コントロール1はコク味成分なし、コントロール2はコク味成分を付与したものに相当する。表16 上記成分を混合し、80℃で30分間の煮沸を行ったあと、ナイロンクロスによりろ過を行い、ろ液に酵母を加えて、7日間、酵母による発酵を行った。その後、発酵液1Lあたり6gの砂糖を加え、さらに14日間発酵を行い、発泡酒を得た。得られた発泡酒は、エタノール除去、脱塩を実施し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で、糖組成の分析を実施した。結果を表17に示した。表17 以上の結果から、サンプル1(分岐デキストリン)のDP8以上の糖質含量は、水溶性食物繊維(コントロール2)の糖質含量以上になっていることが分かる。 上記コントロール1,2及びサンプル1について、コク味、芳醇さ、濃厚さの付与ができているか確認するため、官能試験を実施した。試験は、6名によるパネルテストによって確認した。評価は5段階で行い、最低を1、最高を5とした。結果を表18に示した。表18 コントロール1では全ての項目の評価が低く、一方で水溶性食物繊維を加えたコントロール2では評価が高くなった。しかし、分岐デキストリンを投入したサンプル1では、コントロール2と比べて明らかにコク味、芳醇さ、濃厚さが向上した。糖化工程に続き発酵工程を行うことを含むビール風味アルコール飲料の製造方法であって、デキストリンを、糖化工程が終了した後に添加することを特徴とするビール風味アルコール飲料の製造方法。デキストリンを、糖化工程終了後でかつ発酵工程前に添加するか、あるいは発酵工程後に添加することを特徴とする請求項1に記載のビール風味アルコール飲料の製造方法。デキストリンが、重合度8以上の糖質を40質量%以上含むデキストリンである請求項1又は2に記載のビール風味アルコール飲料の製造方法。デキストリン添加後の糖化工程終了液又は発酵工程終了液における重合度8以上の糖質含量が0.05〜2.0質量%となるようにデキストリンを添加する請求項1〜3のいずれか1項に記載のビール風味アルコール飲料の製造方法。請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で得られるビール風味アルコール飲料。 【課題】本発明は、安価でコク味の強いビール風味アルコール飲料の製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】糖化工程と発酵工程を含むビール風味アルコール飲料の製造方法であって、糖化工程終了後の液にデキストリンを添加することを特徴とするビール風味アルコール飲料の製造方法。【選択図】なし


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