生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_内臓脂肪蓄積抑制剤
出願番号:2011019761
年次:2012
IPC分類:A61K 36/06,A61K 36/899,A61P 3/06,A61P 3/10,A61P 1/16,A61P 3/04,A61P 9/12,A61P 9/10


特許情報キャッシュ

常山 幸一 藤本 誠 近藤 浩代 福岡 忠彦 JP 2012158553 公開特許公報(A) 20120823 2011019761 20110201 内臓脂肪蓄積抑制剤 グンゼ株式会社 000001339 特許業務法人三枝国際特許事務所 110000796 常山 幸一 藤本 誠 近藤 浩代 福岡 忠彦 A61K 36/06 20060101AFI20120727BHJP A61K 36/899 20060101ALI20120727BHJP A61P 3/06 20060101ALI20120727BHJP A61P 3/10 20060101ALI20120727BHJP A61P 1/16 20060101ALI20120727BHJP A61P 3/04 20060101ALI20120727BHJP A61P 9/12 20060101ALI20120727BHJP A61P 9/10 20060101ALI20120727BHJP JPA61K35/70A61K35/78 UA61P3/06A61P3/10A61P1/16A61P3/04A61P9/12A61P9/10 101A61P9/10 8 OL 9 4C087 4C088 4C087AA01 4C087AA02 4C087AA03 4C087BC05 4C087CA10 4C087MA02 4C087MA52 4C087NA14 4C087ZA36 4C087ZA42 4C087ZA45 4C087ZA70 4C087ZA75 4C087ZC33 4C087ZC35 4C088AB74 4C088CA25 4C088MA52 4C088NA14 4C088ZA36 4C088ZA42 4C088ZA45 4C088ZA70 4C088ZA75 4C088ZC33 4C088ZC35本発明は、天然物由来であって食経験も豊富であることから安全性が高く、かつ優れた抗肥満効果を有する内臓脂肪蓄積抑制剤に関する。また、本発明は、当該脂肪蓄積抑制剤を含有する医薬品に関する。 内臓脂肪型の肥満症は、糖尿病、高血圧症、高脂血症などをしばしば合併し、脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化症を発症するメタボリックシンドロームの主要な構成疾患である。肥満症が悪化すると、上記合併する疾患の病態はさらに悪化することから、肥満症は代表的な生活習慣病であり、メタボリックシンドロームの中で、より上流に位置すると考えられている。 これまで、メタボリックシンドロームの病態の中核として、インスリン抵抗性が注目されてきたが、近年、脂肪細胞が産生・分泌する多種類のホルモンやサイトカインが、肥満症の成因や合併する生活習慣病の病態形成に関与していることが明らかになってきた。例えば、脂肪細胞により分泌されるホルモンのうち、アディポネクチンは、血中に多量存在し抗炎症や動脈硬化の修復など体内の防御機構に関与するホルモンであるが、内臓脂肪が増加すると、血中のアディポネクチン濃度は減少することが知られている。すなわち、肥満の予防・改善に重要な役割を果たすホルモンであると考えられている。また、レプチンは、摂食抑制やエネルギー代謝の増大をもたらすことから、その作用不足が肥満症形成の成因に重要な役割を果たすと考えられているところ、ほとんどの肥満者において、血中レプチン濃度は体脂肪量に比例して上昇している。すなわち、一般に肥満者は、レプチン抵抗性による作用不足の状態にあると考えられている。 さらに、脂肪が肝臓に蓄積された場合(脂肪肝)は、肝細胞が壊れ(肝炎)、肝硬変から肝ガンに至る。近年、こうした肥満が原因の非アルコール性脂肪肝疾患の患者数が右肩上がりで増加している。厚生労働省の統計によれば、40〜74歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人は、メタボリックシンドロームの該当者であると言われており、さらに予備群と考えられる人と併せると、約2,010万人が該当すると推定されている。また、上記高血糖、脂質異常症、高血圧といった症状全てが重なると、1つも当該症状がない人よりも、30倍以上も危険であると言われている。 したがって、メタボリックシンドロームの基盤となる内臓脂肪の蓄積を抑制、改善する、日常に安心して摂取できるような肥満抑制剤が求められている。 ところで、紅麹は、穀類にモナスカス属の菌株を繁殖させた麹で、中国、台湾などでは紅酒、老酒、紅乳腐などの醸造原料として利用されており、また古来より生薬として「消食活血」「健脾燥胃」などの効果が知られているように、食経験の豊富な安全性の高い素材である。従来、紅麹には、血圧降下作用、コレステロール改善作用等の薬理作用があることが明らかにされている。 例えば、特許文献1には、モナスカス属に属する糸状菌を用いて製造した麹を有効成分としてなる、高血圧改善剤が開示されている。しかしながら、当該特許文献1には、紅麹が、脂肪蓄積に対する抑制効果を有するか否かについては開示されていない。また、特許文献2には、白米と共に、大豆類、小麦類又は麦芽類を製麹原料として用いて製造した紅麹には、血圧降下成分が含有されていることが開示されている。しかしながら、当該特許文献2にも、紅麹の、脂肪蓄積に対する抑制効果の有無については、報告されていない。さらに、特許文献3には、モナスカス属に属するかびを培養して得られた麹が、コレステロール低下作用及び血糖低下作用を有することが開示されているが、脂肪蓄積に対する抑制効果の有無については、開示されていない。特開昭61−197524号公報特開2000−279163号公報特開昭57−146570号公報 そこで本発明の目的は、安全性が高く、優れた脂肪蓄積抑制効果を有する内臓脂肪蓄積抑制剤を提供することである。また、本発明は、当該脂肪蓄積抑制剤を含有する医薬品を提供することを目的とするものである。 本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、紅麹菌による培養発酵物に、優れた脂肪蓄積抑制効果があることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、さらに改良を重ねることにより完成したものである。 即ち、本発明は、下記に掲げる発明を提供するものである:項1.紅麹菌による培養発酵物を有効成分として含有する内臓脂肪蓄積抑制剤。項2.前記発酵物が米紅麹である、項1に記載の内臓脂肪蓄積抑制剤。項3.アディポネクチン生産促進剤である、項1又は2に記載の内臓脂肪蓄積抑制剤。項4.レプチン生産抑制剤である、項1又は2に記載の内臓脂肪蓄積抑制剤。項5.インスリン抵抗性改善剤である、項1又は2に記載の内臓脂肪蓄積抑制剤。項6.脂肪肝緩和剤である、項1又は2に記載の内臓脂肪蓄積抑制剤。項7.肝機能改善剤である、項1又は2に記載の内臓脂肪蓄積抑制剤。項8.項1〜7のいずれか1項に記載の内臓脂肪蓄積抑制剤を含有することを特徴とする医薬品。 本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤は、内臓脂肪の増加や肥大を抑制する効果に加え、アディポネクチン生産量を増加させる効果又は減少を抑制する効果、レプチン生産量を減少させる効果又は増加を抑制する効果、インスリン抵抗性を改善する効果、さらには、脂肪肝を緩和又は肝機能を改善する効果を奏する。表1におけるアディポネクチン量を示した図である。表1におけるレプチン量を示した図である。表1におけるインスリン量を示した図である。表2における精巣周囲脂肪量を示した図である。 以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤は、紅麹菌による培養発酵物を有効成分とすることを特徴とするものである。 本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤の有効成分である紅麹菌による培養発酵物は、紅麹菌を用いて、製麹原料を製麹して得られるものである。 製麹原料としては、麹の調製に用いることのできる原料であればいずれでもよく、例えば、精白米、玄米、麦、粟、コウリャン、ソバ、トウモロコシ、大豆、小豆などの各種穀類や、それらの糠、フスマ、胚芽、モミガラ等を用いることができる。好ましくは、精白米である。また、破砕米のような形状のものでもよく、原産地や品種は特に限定されない。これらの原料は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。さらに、これら原料には、必要に応じて、紅麹菌の繁殖に必要な各種の成分、例えば、炭素源、窒素源、無機質、ビタミン等を加えても良い。 上記製麹原料は、製麹に先立って、加熱、加圧加熱等の公知の手段により、殺菌処理されていることが望ましい。 本発明において、上記培養発酵物を調製する際に使用される紅麹菌は、食品衛生上又は薬学的に許容されるものであれば、特に制限することなく使用できる。当該紅麹菌としては、具体的には、モナスカス属(Monascus)に属する糸状菌、より具体的には、モナスカス・プルプレウス(Monascus purpureus)、モナスカス・アンカ(Monascus anka)、モナスカス・ルーバー(Monascus ruber)、モナスカス・ピーロサス(Monascus pilosus)、これらの変種、及びこれらの変異株等が挙げられる。特に、食用としての実績があり、風味、外観等に優れるモナスカス・ピーロサス(Monascus pilosus)が好適に用いられる。なお、これらの紅麹菌は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。 本発明において、上記紅麹による製麹は、上記製麹原料に上記紅麹菌を植菌し、よく混合した後に、好気的条件下で培養を行うことにより実施される。 製麹時の温度条件としては、上記紅麹菌が生育可能である限り、特に制限されないが、通常20〜37℃、好ましくは25〜35℃が例示される。 培地のpHは、培養期間中において4.0 〜 8.0 、好ましくは、4.5 〜 7.0 である。また、当該製麹に要する時間は、使用する紅麹菌の種類や使用する製麹原料の種類等によって異なり、一律に規定することはできないが、通常5〜20日間、好ましくは7〜14日間である。 当該製麹の期間中、製麹期間中1回若しくは数回に分けて、水やpH調整剤を添加し、水分含量やpHが上記範囲に保持されるように調節することができる。 斯くして得られる紅麹菌による培養発酵物には、優れた内臓脂肪蓄積抑制効果を有する物質が含有されており、当該培養発酵物は、そのまま用いるだけでなく、麹の利用法として公知の全ての形で利用することができる。例えば、常法により、菌および酵素の失活物、乾燥物、乾燥粉砕物、粉末、顆粒物、水溶液、ペースト状物、抽出エキス、抽出エキス濃縮物、抽出エキスなどの加工物を施したものも、内臓脂肪蓄積抑制剤の有効成分として使用できる。 また、本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤としては、上記培養発酵物の他に、当該培養発酵物の抽出物を使用することもできる。 当該培養発酵物の抽出物は、当該培養発酵物から水溶性画分を、抽出溶媒を用いて抽出することにより得ることができる。具体的には、当該培養発酵物の抽出物は、当該培養発酵物をそのまま、或いは必要に応じて細切や破砕等の処理を施したものを、抽出溶媒で抽出することにより取得できる。当該抽出溶媒としては、冷水、温水、熱水等の水;有機溶剤;又は水と有機溶剤の混合液が例示される。当該抽出溶媒として使用される有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級アルコール等を挙げることができる。当該抽出溶媒としては、好ましくは水、及び水とエタノールの混合液を挙げることができる。抽出溶媒として、水と有機溶剤の混合液を使用する場合、該混合液の総重量に対する該有機溶媒の含有割合としては、例えば1〜99重量%、好ましくは1〜50重量%となる割合を挙げることができる。 本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤は、その脂肪蓄積抑制作用に基づいて、内臓脂肪の増加又は肥大を抑制し、肥満症の予防又は治療に有用である。特に、肥満の予防・改善に重要な役割を果たすことが知られているアディポネクチンの、血中濃度を高めることができる上、作用不足が肥満症形成の成因に重要な役割を果たすと考えられているレプチンの、血中濃度を減らすことができる。また、肥満に関与するインスリン抵抗性を、改善することができる。さらに、肝臓への脂肪蓄積を抑制し、脂肪肝を緩和、肝機能を改善することもできる。 本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤は、医薬品の分野において使用され、これによって、肥満抑制用の医薬品が提供される。本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤は、食品成分により構成され、日常的に摂取されても安全であるということを鑑みれば、食品添加剤や食品などにも応用することができる。 また、医薬分野では、本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤は、薬学的に許容される基材や担体と共に製剤化され、肥満抑制用の医薬品に調製され、使用される。当該医薬品には、必要に応じて、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、湿潤化剤、緩衝剤、保存剤、香料等の薬学的に許容される添加剤を任意に配合してもよい。当該医薬組品の形態としては、特に制限されるものではないが、例えば散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤等を挙げることができる。 内臓脂肪蓄積抑制剤を含有する医薬品の投与量については、有効成分の種類、投与対象者の年齢や体重、症状、投与回数等によって異なり一律に規定することはできないが、例えば、成人1日当たりの投与量として、内臓脂肪蓄積抑制剤が、培養発酵物の乾燥重量に換算して1〜100gに相当する量を挙げることができる。 内臓脂肪蓄積抑制剤を含有する医薬品の投与回数については、有効成分の種類、投与対象者の年齢や体重、症状、該医薬品の1回当たりの投与量等に応じて適宜設定できる。 なお、内臓脂肪蓄積抑制剤を含有する医薬品における、該脂肪蓄積抑制剤の配合割合については、該医薬品の形態や前記投与量等に応じて適宜設定すればよい。 以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 実施例 精白米を90分間水に浸漬し、45分間水切りした後、オートクレーブで125℃、30分間加圧蒸気滅菌した。 次いで、この製麹原料に、Monascus pilosusNBRC4520を植菌し、温度25〜30℃で10日間、培養を行い、米紅麹を得た。 上記で得られた米紅麹を、110℃で30分間熱処理し、紅麹菌と酵素を失活後、通風60℃で水分率を約10%まで乾燥した後、粉砕し、紅麹粉末を得た。試験例1<MSG肥満モデルマウスに対する紅麹の有効性評価> 実施例で得られた紅麹粉末を、標準食に重量比1%の割合で添加し、下記MSG肥満モデルマウス(12週齢雄)に、24週齢までの3ヶ月間与えた。対照群マウスには、標準食のみを与えた。 投与3ヶ月後の血液検査および解剖後の臓器検査の結果を表1に示した。この結果、脂肪細胞改善、アディポネクチン増加、レプチン減少、インスリン抵抗性改善、脂肪肝改善に対し有効であることが明らかになった。(MSGマウス;実験的糖尿病モデル)新生マウスにグルタミン酸ナトリウムを投与することにより誘発できる重度の肥満モデルで、非アルコール性肝疾患を発症するモデルである。肥満の進行に伴って、2型糖尿病を発症し、高血糖、高インスリン、耐糖能異常の他、総コレステロール、中性脂肪の異常なども確認される。非アルコール性脂肪性肝疾患活性スコア: 非アルコール性脂肪性肝疾患の程度の指標であり、肝細胞の脂肪変性、肝小葉の炎症、肝細胞肥大、線維化を複合的に評価した数値試験例2<TSOD肥満モデルマウスに対する紅麹の有効性評価>実施例で得られた紅麹粉末を、標準食に重量比3%の割合で添加し、下記TSODマウス(8週齢雄)に、20週齢までの3ヶ月間与えた。対照群マウスには、標準食のみを与えた。 投与3ヶ月後の血液検査および解剖後の臓器検査の結果を表2に示した。この結果、脂肪細胞改善、レプチン減少、インスリン抵抗性改善、血糖値、中性脂肪および遊離脂肪酸の改善に対し有効であることが明らかになった。(TSODマウス;遺伝的糖尿病モデル) 自然発症による内臓脂肪蓄積型肥満マウスであり、病態として、内臓脂肪の増加、耐糖能低下、インスリン感受性の減少、腎障害、末梢神経障害、骨粗鬆症、脂質代謝異常、雄の生殖機能障害などが確認されており、ヒトの肥満や糖尿病によって引き起こされる症状と類似した症状を示す。紅麹菌による培養発酵物を有効成分として含有する内臓脂肪蓄積抑制剤。前記発酵物が米紅麹である、請求項1に記載の内臓脂肪蓄積抑制剤。アディポネクチン生産促進剤である、請求項1又は2に記載の内臓脂肪蓄積抑制剤。レプチン生産抑制剤である、請求項1又は2に記載の内臓脂肪蓄積抑制剤。インスリン抵抗性改善剤である、請求項1又は2に記載の内臓脂肪蓄積抑制剤。脂肪肝緩和剤である、請求項1又は2に記載の内臓脂肪蓄積抑制剤。肝機能改善剤である、請求項1又は2に記載の内臓脂肪蓄積抑制剤。請求項1〜7のいずれか1項に記載の内臓脂肪蓄積抑制剤を含有することを特徴とする医薬品。 【課題】本発明は、安全性が高く、優れた抗肥満効果を有する内臓脂肪蓄積抑制剤を提供することを目的とするものである。【解決手段】紅麹菌による培養発酵物を内臓脂肪蓄積抑制剤の有効成分として使用する。【選択図】なし


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