生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_敗血症診断用組合せマーカー
出願番号:2011018257
年次:2012
IPC分類:G01N 33/68


特許情報キャッシュ

白川 嘉門 JP 2012159356 公開特許公報(A) 20120823 2011018257 20110131 敗血症診断用組合せマーカー 持田製薬株式会社 000181147 渡辺 望稔 100080159 三和 晴子 100090217 白川 嘉門 G01N 33/68 20060101AFI20120727BHJP JPG01N33/68 18 OL 26 2G045 2G045AA13 2G045AA25 2G045BB20 2G045CA11 2G045CA25 2G045CA26 2G045CB21 2G045DA20 2G045DA36 2G045DA37 2G045DA41 2G045DA64 2G045DA66 2G045DB05 2G045FB03 2G045GA03 2G045JA06 本発明は、敗血症診断用組合せマーカーに関する。より詳細には、本発明は、sCD14−STと少なくとも1つのsCD14−ST以外のバイオマーカーとを組み合わせてなる敗血症診断用組合せマーカーに関する。 「敗血症」とは、感染によって惹起された全身性炎症反応症候群(SIRS:Systemic Inflammatory Response Syndrome)である。すなわち、敗血症は、感染の存在に加え、以下のSIRS4項目のうち2項目以上を満たす病態と定義される(非特許文献1):(1)体温>38℃または<36℃、(2)心拍数>90/分以上、(3)呼吸数>20/分または二酸化炭素分圧(PaCO2)<32Torr、および(4)白血球数>12000/mm3もしくは<4000/mm3または未熟顆粒球>10%。 感染は、細菌感染に限定されず、真菌(菌類)、ウイルス、または寄生虫等の感染を含む。なお、傷口などから細菌が血液中に侵入しただけの状態は菌血症と呼ばれ、敗血症とは区別される。逆に、敗血症であっても定義上、血液中から菌が検出される必要はなく、あくまで全身性炎症反応症候群(SIRS)の状態を指す。 「重症敗血症」とは、臓器機能障害、循環不全(乳酸アシドーシス、乏尿、急性意識障害等)、または血圧低下(収縮期血圧<90mmHgまたは平時の収縮期血圧よりも40mmHg以上の血圧低下)を合併する敗血症をいう。 「敗血症性ショック」とは、適切な補液でも血圧低下(収縮期血圧<90mmHgまたは平時の収縮期血圧より40mmHg以上の血圧低下)が持続する、または血管作動薬使用により血圧が維持されている場合でも、臓器機能障害・循環不全(乳酸アシドーシス、乏尿、急性意識障害など)がある状態をいう。 敗血症が重症敗血症や敗血症性ショックに進展した場合、その治療は、今に至っても困難である。病態生理の解明が進み、治療技術も進歩しているが、積極的な治療開始が遅れた場合の死亡率は依然として高く、発症第一週に多臓器不全が発生すると死に至ることが多い。 そのため、敗血症の診断を迅速に精度よく行うことが極めて重要である。 敗血症の診断には、従来、体温、白血球、C反応性蛋白質(CRP)といった指標が用いられてきた。しかしながら、これらは非感染性の疾患でも高値を示すため診断に正確性を欠く。また、血液培養は、血液培養陽性が敗血症の診断基準から外れているうえ、検査結果が判明するまで少なくとも2〜3日を要し、感度にも問題がある。さらに、血清中の炎症性サイトカイン(TNF−α、IL−1β、IL−6など)がSIRS患者で上昇することがわかっているが、実際には一過性(間欠性)の上昇を認めるのみで、臨床における応用には不向きである。このように、敗血症の診断においては、明確に診断に結び付く検査項目が存在しないために、多くは担当医の主観に基いて診断が行われてきた経緯がある。敗血症の死亡率はいまだ高く、一因として、その診断や治療開始の遅れが挙げられることから、敗血症の診断に有用なバイオマーカーの探索がこれまで続けられてきた。 例えば、非特許文献2では、敗血症におけるバイオマーカーを評価した3370件の研究で取り扱われた178種類のバイオマーカーをリストアップしている。そして、その著者らは、170以上のバイオマーカーが、診断のためよりも予後のために、敗血症における使用可能性を評価されてきたが、臨床検査において日常的に使用するために十分な特異性または感度を有するものは無いと結論している。また、その著者らは、数種類のバイオマーカーの組合せが、単独のバイオマーカーよりも効果的であろうが、さらなる評価を必要とすると述べている。なお、FDA(アメリカ食品医薬品局)の定義によれば、「バイオマーカー」とは「正常なプロセスや病的プロセス、あるいは治療に対する薬理学的な反応の指標として客観的に測定・評価される項目」である。バイオマーカーとしては、尿や血液中に含まれる生体由来の化学物質が代表的であるが、化学物質に限定されず、例えば、APACHE IIスコアやSOFAスコアといった生理学的スコア、心電図、血圧、PET画像、骨密度、肺機能、SNPs等も含まれる。 一方、有用な敗血症マーカーとして、可溶性CD14サブタイプ(sCD14−ST)が提案されている(特許文献1、2;非特許文献3)。 特許文献1、2には、sCD14−STが敗血症マーカーとして有用であること、sCD14−STに特異的に結合するモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、血漿または血清中sCD14−STを測定して敗血症を検出する方法、ならびにsCD14−ST測定キット等が記載されている。 非特許文献3には、sCD14−STは、ROC曲線による検討で、敗血症の診断マーカーとして、PCT(プロカルシトニン)、CRP(C反応性蛋白質)、エンドトキシン、IL−6などよりも優れていると結論付けられている。 また、非特許文献4には、敗血症患者のsCD14−STのELISA法による定量値とPOCテストによる半定量値が、ともに敗血症の重症度をよく反映していたこと、CRPやIL−6の上昇はsCD14−STの上昇の1〜2日後に起こったことが記載され、sCD14−STは、CPRやIL−6よりも、敗血症の早期診断および重症度の判定に有用であると結論されている。 また、非特許文献5には、IVIG療法(高用量ヒト免疫グロブリン大量療法)を受けている重症敗血症または敗血症性ショックの患者のELISA法による血清sCD14−ST測定値がIVIG療法に反応して徐々に減少したこと、および、APACHE IIスコアおよびSOFAスコアが徐々に減少したことが記載され、血清sCD14−STのモニタリングは治療効果を評価するための有用な方法であることが示唆されている。 また、非特許文献6には、ポイントオブケアテスト(POCテスト)キットの測定結果がsCD14−STの血清濃度とよく相関すること、さらには、POCテストの結果が敗血症の重症度を信頼性高く反映していることが記載されている。 また、非特許文献7には、sCD14−STの血清中濃度がAPACHE IIスコアおよびSOFAスコアを反映すること、さらには、POCテストの結果と血清sCD14−ST濃度との間には有意な相関があることが記載され、血清sCD14−STの測定が敗血症の重症度の評価のために有用であることが示唆されている。特許第4040666号公報特許第4081489号公報Levy, Mitchell M.、外9名,「2001 SCCM/ESICM/ACCP/ATS/SIS International Sepsis Definitions Conference.」,Critical Care Medicine,2003年4月,第31巻,第4号,p.1250−1256Pierrakos, Charalampos、Vincent, Jean-Louis,「Sepsis biomarkers: a review」,Critical Care,2010年,第14巻,R15Yaegashi, Yasunori、外9名,「Evaluation of a newly identified soluble CD14 subtype as a marker for sepsis」,Journal of Infection and Chemotherapy,2005年,第11巻,第5号,p.234−238Takahashi, Gaku、外13名,「Assessment of the usefulness of the soluble CD14 subtype and the point of care test in septic patients」,Medical Postgraduates,2010年,第48巻,第1号,p.15−18Takahashi, Gaku、外10名,「Evaluation of responses to IVIG therapy in patients with severe sepsis and septic shock by soluble CD14 subtype monitoring」,Medical Postgraduates,2010年,第48巻,第1号,p.19−24Takahashi, Gaku、他13名,「Severity assessment of sepsis by determination of the soluble CD14 subtype using the POC test」,Medical Postgraduates,2010年,第48巻,第1号,p.25−27Kojika, Masahiro、外10名,「Serum level of soluble CD14 subtype reflect the APACHE II and SOFA scores」,Medical Postgraduates,2010年,第48巻,第1号,p.46−50 以上に述べたように、sCD14−STは優れた敗血症マーカーである。しかし、より高精度の敗血症の早期検出、重症度判定および/または治療効果判定に対する需要が存在する。 そこで、本発明は、より高精度の敗血症の早期検出、重症度判定および/または治療効果判定のために有用な、敗血症診断用組合せマーカーを提供することを課題とする。 本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、sCD14−STとsCD14−ST以外のバイオマーカーとを敗血症マーカーとして使用する敗血症診断用組合せマーカーが、より高精度の敗血症の早期検出、重症度判定および/または治療効果判定のために有用であることを知見し、本発明を完成させるに至った。 すなわち、本発明は以下の敗血症診断用組合せマーカーを提供する。(1.1)sCD14−STと少なくとも1つのsCD14−ST以外のバイオマーカーとを組み合わせてなる敗血症診断用組合せマーカー。(1.2)上記sCD14−ST以外のバイオマーカーが、 プロカルシトニン、N−プロカルシトニン−(1−57)−ペプチドおよびC−プロカルシトニン−(60−116)−ペプチド; ガストリン放出ペプチド前駆体(proGRP)、エンドセリン−1前駆体(proET−1)、脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体(proBNP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド前駆体(proANPまたはproANF)、レプチン前駆体、神経ペプチドY前駆体、ソマトスタチン前駆体、ペプチドYY前駆体、アドレノメデュリン前駆体(proAM)およびこれらから導かれる部分ペプチド; カルシニューリンB様蛋白質(CHP); 可溶性サイトケラチン1断片; グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ(GNAT); CA125; CA19−9; S100B蛋白質、S100A蛋白質; サイトケラチン1、サイトケラチン8、サイトケラチン18またはサイトケラチン19の1以上の可溶性フラグメント、TPA、TPS、CYFRA21−1およびCY1F; カルバモイルリン酸シンテターゼ(CPS1)およびその断片; LASP−1およびその断片; IgGおよび/またはIgAタイプの抗AGM1および/または抗GM1(自己)抗体またはこれと交差反応する抗体; アルドース−1−エピメラーゼ(A1E); アポリポ蛋白質C1(ApoC1); Cu/Znスーパーオキシドジスムターゼ(Cu/Zn SODまたはSOD−1); プレプロエンドセリン−1およびそのC末端断片(93−212); コペプチン(CT−proAVP); ガストロカイン−1(GKN1); 短鎖SRLアルコールデヒドロゲナーゼ(DHRS4); アドレノメデュリン前駆体(proAM)およびエンドセリン前駆体(proET); 全長プロカルシトニン1−116; CD64、CD11b、HLAクラスII分子(HLA−DR、HLA−DQ)、CD54、CD71、CD86、TNF受容体(TNFR)、パターン認識受容体(PRRs)、トール様受容体(TLR)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−8、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−18、腫瘍壊死因子α(TNF−α)、C反応性蛋白質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)、6−ケトプロスタグランジンF1α(6keto PG F1α)、トロンボキサンチンB2(TXB2)、ロイコトリエンB4(LTB4)、ロイコトリエンC3(LTC3)、ロイコトリエンC4(LTC4)、ロイコトリエンC5(LTC5)、ロイコトリエンD4(LTD4)、ロイコトリエンE4(LTE4)、インターフェロンγ(IFNγ)、インターフェロンα(IFNα)、インターフェロンβ(IFNβ)、リンフォトキシンα(LTα)、補体成分(C’)、血小板活性化因子(PAF)、ブラジキニン(BK)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージ遊走阻止因子(MMIF)、IL−1受容体アンタゴニスト(IL−1Ra)、可溶性腫瘍壊死因子受容体(sTNFR)、可溶性IL−1受容体(sIL−1R)、可溶性IL−2受容体(sIL−2R)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)、プロスタグランジンE2(PGE2)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、白血球数、接着分子、インテグリン、Fcγ受容体(FcγR); 心房性ナトリウム利尿ペプチド、B型心房性ナトリウム利尿ペプチド、C型心房性ナトリウム利尿ペプチド、ウロテンシンII、アルギニン、バソプレッシン、アルドステロン、アンジオテンシンI、アンジオテンシンII、アンジオテンシンIII、ブラジキニン、カルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、アドレノメデュリン、カルシホシンエンドセリン−2、エンドセリン−3、レニンおよびウロジラチンを含む血圧調節に関連したバイオマーカー; 急性相反応物質、血管細胞接着分子、細胞間接着分子−1、細胞間接着分子−2、細胞間接着分子−3、C反応性蛋白質、HMG−1、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−1受容体アゴニスト、単球走化性蛋白質−1、カスパーゼ−3、リポカイン型プロスタグランジンD合成酵素、マスト細胞トリプターゼ、好酸球カチオン性蛋白質、KL−6、ハプトグロビン、TNF−α、TNF−β、フィブロネクチン、マクロファージ遊走阻止因子(MMIF)および血管内皮増殖因子(VEGF)を含む炎症に関連したバイオマーカー; ヘプシジン、Hsp60、Hsp65、Hsp70、sFASリガンド、不斉ジメチルアルギニン、マトリクス・メタプロテイン11,3および9、βディフェンシン−1(hBD1)、βディフェンシン−2(hBD2)、血清アミロイドA、酸化LDL、インスリン様増殖因子(IGF)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)、インター−α−インヒビター、e−セレクチン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、低酸素誘導因子−1α(HIF−1α)、誘導型一酸化窒素合成酵素、細胞内接着分子、乳酸脱水素酵素、単球走化性ペプチド−1、N−アセチルアスパラギン酸、プロスタグランジンE2、NF−κBリガンドの受容体アクチベータ、TNF受容体スーパーファミリー・メンバー1AおよびシスタチンCを含む急性相反応物質; プラスミン、フィブリノーゲン、D−ダイマー、βトロンボグロブリン、血小板因子4、フィブリノペプチドA、血小板誘導増殖因子、プロトロンビン・フラグメント1+2、プラスミン−α2−アンチプラスミン複合体、トロンビン−アンチトロンビンIII複合体、P−セレクチン、トロンビン、フォンビレブラント因子、組織因子および血栓前駆体蛋白質を含む凝固および止血に関連したバイオマーカー; GROα、HMGB1、IL−1受容体アンタゴニスト、IL−1β、IL−2、IL−4、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、IL−13、IL−18、マクロファージ炎症性蛋白質−1、マクロファージ炎症性蛋白質−2、マクロファージ遊走阻止因子、単球走化性蛋白質−1、単球走化性蛋白質−2、オステオポンチン、RANTESおよびTNF; CD10、CD11b、CD11c、膜結合型CD14、可溶性CD14、CD18、細胞性CD25、可溶性CD25、可溶性CD28、細胞性CD40、可溶性CD40、CD48、CD64、CD69、CD80、CD163および可溶性mHLA−DR; CCケモカイン受容体2、CCケモカイン受容体3、C5L2、CRTh2、可溶性Fas受容体、FcγRIII、可溶性FLT1、GP130、可溶性IL−2受容体、可溶性グループIIホスホリパーゼA2、可溶性RAGE、可溶性ST2、トール様受容体2、トール様受容体4、バニロイド受容体1、可溶性TREM−1、TNF受容体および可溶性ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体; アンチトロンビン、活性化部分トロンボプラスチン時間、D−ダイマー、トロンビン−アンチトロンビンIII複合体、F12、PT、フィブリン、PF4、プラスミノーゲン活性化因子インヒビター−1、プロテインC、プロテインSおよびトロンボモジュリン; ADAMTS13、アンジオポエチン−1、アンジオポエチン−2、エンドカン、細胞性ELAM−1、可溶性ELAM−1、血管内皮前駆細胞、可溶性細胞間接着分子−1、ラミニン、ネオプテリン、血小板由来成長因子−BB、細胞性E−セレクチン、可溶性E−セレクチン、可溶性L−セレクチン、P−セレクチン、血管細胞接着分子−1、血管内皮増殖因子、フォン・ウィルブランド因子およびフォン・ウィルブランド因子抗原; アドレノメデュリン、プロアドレノメデュリン、アナンダミド、アンジオテンシン変換酵素、2−アラキドノイルグリセロール、コペプチン、C型ナトリウム利尿ペプチド、環状ヌクレオチド、環状グアノシン一リン酸、エラスチン、CGRP、47kD HK、神経ペプチドY、一酸化窒素、硝酸塩、亜硝酸塩、P物質、テトラヒドロビオプテリンおよび血管作動性腸管ペプチド; 心房性ナトリウム利尿ペプチド、脳性ナトリウム利尿ペプチド、カルバモイルリン酸合成酵素1、エンドセリン−1、プロエンドセリン−1、濾過性血管弛緩物質、Gc−グロブリン、グリア繊維性酸性蛋白質、α−グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、細胞性肝細胞増殖因子、可溶性肝細胞増殖因子、MEGX試験、心筋アンジオテンシンII、神経特異的エノラーゼ、膵炎関連蛋白質−1、プレB細胞コロニー促進因子、S100B蛋白質、サーファクタント蛋白質A、サーファクタント蛋白質B、サーファクタント蛋白質C、サーファクタント蛋白質Dおよびトロポニン; 血清アミロイドA、セルロプラスミン、C反応性蛋白質、フェリチン、α1−酸性糖蛋白質、ヘプシジン、LPS結合蛋白質、プロカルシトニンおよびペントラキシン3;ならびに、 α2−マクログロブリン、アルブミン、抗エンドトキシンコア抗体、アポリポ蛋白質C−I、Bcl−2、β−トロンボグロブリン、カスパーゼ−1、セラミド、コレステロール、補体C3濃度、補体C4濃度、C5a濃度、末端補体複合体、樹状細胞、ジペプチジルペプチダーゼ、ジヨードチロシン、イコサノイド、エラスターゼ−α1−アンチトリプシン複合体、エリスロポエチン、F2イソプロスタン化合物、脂肪酸アミドヒドロラーゼ、血中遊離DNA、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球単球コロニー刺激因子、ゲルソリン、グレリン、GAS6蛋白質、熱ショック蛋白質70、HDLコレステロール、可溶性HLA−G5蛋白質、H2S、ヒアルロナン、加水分解性IgG抗体、インターα−インヒビター蛋白質、白血球の細胞内一酸化窒素、IFNγ誘導蛋白質−10、乳酸、ラクトフェリン、レプチン、血清中リゾチーム、マトリクスメタロプロテイナーゼ−9、微小粒子、ニューロテンシン、尿中硝酸塩、ノシセプチン/オルファニンFQ、NF−κB、ヌクレオソーム、ペプチドグリカン、胎盤増殖因子1、血漿中アミノ酸、血漿中フィブロネクチン、プラスミン−α2−アンチプラスミン複合体、レニン、レジスチン、セレン、セレノプロテインP、血清中重炭酸塩、スフィンゴミエリナーゼ(酵素活性)、亜硫酸塩、トランスフォーミング増殖因子−b1、組織性メタロプロテアーゼ阻害因子−1、組織性メタロプロテアーゼ阻害因子−2、組織性メタロプロテアーゼ阻害因子−3、尿酸、尿中8−ヒドロキシデオキシグアノシン、尿中ビリルビン酸化代謝物、アネキシンV結合性およびキサンチンオキシダーゼからなる群から選択される少なくとも1つである、上記(1.1)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.3)上記sCD14−ST以外のバイオマーカーが敗血症マーカーである、上記(1.1)または(1.2)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.4)上記敗血症マーカーがプロカルシトニンである、上記(1.3)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.5)上記sCD14−ST以外のバイオマーカーが、急性相反応物質および/または急性期蛋白質である、上記(1.1)または(1.2)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.6)上記急性相反応物質が、ヘプシジン、Hsp60、Hsp65、Hsp70、sFasリガンド、不斉ジメチルアルギニン、マトリクス・メタプロテイン11,3および9、βディフェンシン−1、βディフェンシン−2、血清アミロイドA、酸化LDL、インスリン様増殖因子、トランスフォーミング増殖因子β、インター−α−インヒビター、e−セレクチン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、低酸素誘導因子−1α、誘導型一酸化窒素合成酵素、細胞内接着分子、乳酸脱水素酵素、単球走化性ペプチド−1、N−アセチルアスパラギン酸、プロスタグランジンE2、NF−κBリガンドの受容体アクチベータ、TNF受容体スーパーファミリー・メンバー1AおよびシスタチンCからなる群から選択される少なくとも1以上である、上記(1.5)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.7)上記急性期蛋白質が、血清アミロイドA、セルロプラスミン、C反応性蛋白質、フェリチン、α1−酸性糖蛋白質、ヘプシジン、LPS結合蛋白質、プロカルシトニンおよびペントラキシン3からなる群から選択される少なくとも1以上である、上記(1.5)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.8)上記sCD14−ST以外のバイオマーカーが敗血症マーカー以外のバイオマーカーである、上記(1.1)または(1.2)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.9)上記敗血症マーカー以外のバイオマーカーが、肝機能に関するバイオマーカーである、上記(1.8)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.10)上記敗血症マーカー以外のバイオマーカーが、腎機能に関するバイオマーカーである、上記(1.8)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.11)上記敗血症マーカー以外のバイオマーカーが、心機能に関するバイオマーカーである、上記(1.8)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.12)上記敗血症マーカー以外のバイオマーカーが、免疫機能に関するバイオマーカーである、上記(1.8)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.13)上記敗血症マーカー以外のバイオマーカーが急性呼吸促迫症候群(ARDS)に関するバイオマーカーである、上記(1.8)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.14)上記急性呼吸促迫症候群(ARDS)に関するバイオマーカーが、IL−1β、TNF−α、IL−8、ICAM−8、プラスミノーゲン活性化抑制因子(PAI−1)、プロテインC、vWF、RAGE、サーファクタントプロテイン−D(SP−D)およびペントラキシン3(PTX3)からなる群から選択される、上記(1.13)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.15)被験者の血液中のsCD14−STおよびsCD14−ST以外のバイオマーカーを測定し、それぞれの測定値を予め定めたそれぞれの閾値と比較することを特徴とする、上記(1.1)または(1.2)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.16)被験者の血液中のsCD14−STおよびsCD14−ST以外のバイオマーカーを経時的に測定し、それぞれの測定値を予め定めたそれぞれの閾値と比較することを特徴とする、上記(1.1)または(1.2)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.17)被験者の血液中のsCD14−STおよび少なくとも1つのsCD14−ST以外のバイオマーカーを経時的に測定し、それぞれの測定値を予め定めたそれぞれの閾値と比較することを特徴とする、上記(1.1)または(1.2)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.18)前記閾値が、予め測定した健常人の平均値+0.5SD〜健常人の平均値+12SDの間に設定した閾値であることを特徴とする、上記(1.16)または(1.17)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.19)前記閾値が、sCD14−STまたはsCD14−ST以外のバイオマーカーを単独で使用する場合より健常人の平均値に近く設定されていることを特徴とする、上記(1.16)〜(1.18)のいずれかに記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.20)被験者の血液中のsCD14−STおよび少なくとも1つのsCD14−ST以外のバイオマーカーを経時的に測定し、それぞれの測定値の変化の程度を評価することを特徴とする、上記(1.1)または(1.2)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.21)前記測定値の変化の程度が、1日あたりの変化量または前記被験者のsCD14−STおよびsCD14−ST以外のバイオマーカーの最大値からの変化量に基づいて算出されることを特徴とする、上記(1.20)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.22)前記測定値の変化の程度が、1日あたりの変化率または前記被験者のsCD14−STおよびsCD14−ST以外のバイオマーカーの最大値からの変化率を用いて表わされることを特徴とする、上記(1.20)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.23)上記sCD14−ST以外のバイオマーカーがプロカルシトニンである、上記(1.15)〜(1.22)のいずれかに記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.24)上記sCD14−ST以外のバイオマーカーが生理学的スコアである、上記(1.1)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.25)さらに上記(1.2)に記載のsCD14−ST以外のバイオマーカーの少なくとも1つを測定することを特徴とする、上記(1.24)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.26)被験者の血液中のsCD14−STおよび/またはsCD14−ST以外のバイオマーカーの測定値を予め定めた閾値と比較し、測定値が閾値を超えた場合に生理学的スコアを組み合わせて用いることを特徴とする、上記(1.24)または(1.25)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.27)上記sCD14−ST以外のバイオマーカーがプロカルシトニンである、上記(1.25)または(1.26)に記載の敗血症診断用組合せマーカー。(1.28)敗血症の診断、早期検出、重症度判定、治療効果判定および/またはMODSの重篤度の評価のための、上記(1.1)〜(1.27)のいずれかに記載の敗血症診断用組合せマーカーの使用。 また、本発明は、敗血症の診断法、早期検出方法、重症度判定方法、治療効果判定方法および/またはMODSの重篤度の評価方法を提供する。(2.1)被験者の血液中のsCD14−STおよび少なくとも1つのsCD14−ST以外のバイオマーカーを測定することを特徴とする敗血症の診断法、早期検出方法、重症度判定方法、治療効果判定方法および/またはMODSの重篤度の評価方法。 ここで、「血液中」とは、全血中、血漿中または血清中をいう。以下同じ。(2.2)sCD14−ST以外のバイオマーカーが上記(1.2)に記載のバイオマーカーの少なくとも1つである上記(2.1)に記載の敗血症の診断法、早期検出方法、重症度判定方法、治療効果判定方法および/またはMODSの重篤度の評価方法。(2.3)被験者の血液中のsCD14−STおよび少なくとも1つのsCD14−ST以外のバイオマーカーを測定し、それぞれの測定値を予め定めたそれぞれの閾値と比較することを特徴とする、上記(2.1)または(2.2)に記載の敗血症の診断法、早期検出方法、重症度判定方法、治療効果判定方法および/またはMODSの重篤度の評価方法。(2.4)被験者の血液中のsCD14−STおよび少なくとも1つのsCD14−ST以外のバイオマーカーを経時的に測定し、それぞれの測定値を予め定めたそれぞれの閾値と比較することを特徴とする、上記(2.1)または(2.2)に記載の敗血症の診断法、早期検出方法、重症度判定方法、治療効果判定方法および/またはMODSの重篤度の評価方法。 ここで、「血液中のsCD14−STおよびsCD14−ST以外のバイオマーカーを経時的に測定」とは、経時的に複数採取されたそれぞれの血液のsCD14−STを測定することをいう。(2.5)前記閾値が、予め測定した健常人の平均値+0.5SD〜健常人の平均値+12SDの間に設定した閾値であることを特徴とする、上記(2.3)または(2.4)に記載の敗血症の診断法、早期検出方法、重症度判定方法、治療効果判定方法および/またはMODSの重篤度の評価方法。(2.6)前記閾値が、sCD14−STまたはsCD14−ST以外のバイオマーカーを単独で使用する場合より健常人の平均値に近く設定されていることを特徴とする、上記(2.3)〜(2.5)のいずれかに記載の敗血症の診断法、早期検出方法、重症度判定方法、治療効果判定方法および/またはMODSの重篤度の評価方法。(2.7)被験者の血液中のsCD14−STおよび少なくとも1つのsCD14−ST以外のバイオマーカーを経時的に測定し、それぞれの測定値の変化の程度に基いて行うことを特徴とする、上記(2.1)または(2.2)に記載の敗血症の診断法、早期検出方法、重症度判定方法、治療効果判定方法および/またはMODSの重篤度の評価方法。(2.8)前記測定値の変化の程度が、1日あたりの変化量または前記被験者のsCD14−STおよびsCD14−ST以外のバイオマーカーの最大値からの変化量に基づいて算出されることを特徴とする、上記(2.7)に記載の敗血症の診断法、早期検出方法、重症度判定方法、治療効果判定方法および/またはMODSの重篤度の評価方法。(2.9)前記測定値の変化の程度が、1日あたりの変化率または前記被験者のsCD14−STおよびsCD14−ST以外のバイオマーカーの最大値からの変化率を用いて表わされることを特徴とする、上記(2.7)に記載の敗血症の診断法、早期検出方法、重症度判定方法、治療効果判定方法および/またはMODSの重篤度の評価方法。(2.10)上記sCD14−ST以外のバイオマーカーがプロカルシトニンである、上記(2.1)〜(2.9)のいずれかに記載の敗血症の診断法、早期検出方法、重症度判定方法、治療効果判定方法および/またはMODSの重篤度の評価方法。(2.11)被験者の血液中のsCD14−ST測定値と、生理学的スコアを組み合わせて用いることを特徴とする、敗血症の診断法、早期検出方法、重症度判定方法、治療効果判定方法および/またはMODSの重篤度の評価方法。(2.12)さらに少なくとも1つのsCD14−ST以外のバイオマーカーを測定することを特徴とする、上記(2.11)に記載の敗血症の診断法、早期検出方法、重症度判定方法、治療効果判定方法および/またはMODSの重篤度の評価方法。(2.13)被験者の血液中のsCD14−STおよび/またはsCD14−ST以外のバイオマーカーの測定値を予め定めた閾値と比較し、測定値が閾値を超えた場合に生理学的スコアを組み合わせて用いることを特徴とする、上記(2.11)または(2.12)に記載の敗血症の診断法、早期検出方法、重症度判定方法、治療効果判定方法および/またはMODSの重篤度の評価方法。(2.14)上記sCD14−ST以外のバイオマーカーがプロカルシトニンである、上記(2.12)または(2.13)に記載の敗血症の診断法、早期検出方法、重症度判定方法、治療効果判定方法および/またはMODSの重篤度の評価方法。 さらにまた、本発明は、敗血症の重症度または多臓器機能障害症候群(MODS)の重篤度の指標となるスコアリングシステムを提供する。(3.1)APACHE IIスコア、APACHE IIIスコアまたはSOFAスコアに、患者の血液中のsCD14−ST測定値をスコア化して組み入れたことを特徴とする、敗血症の重症度または多臓器機能障害症候群(MODS)の重篤度の指標となるスコアリングシステム。(3.2)APACHE IIスコア、APACHE IIIスコアまたはSOFAスコアに、患者の血液中のsCD14−ST測定値および患者の血液中のプロカルシトニン測定値をスコア化して組み入れたことを特徴とする、敗血症の重症度または多臓器機能障害症候群(MODS)の重篤度の指標となるスコアリングシステム。 本発明によれば、より高精度の敗血症の診断、早期検出、重症度判定、治療効果判定および/または多臓器機能障害症候群(MODS)の重篤度評価のために有用な敗血症診断用組合せマーカーが提供される。 また、本発明によれば、より高精度の敗血症の診断、早期検出、敗血症患者の重症度判定、治療効果判定および/またはMODSの重篤度評価をする方法が提供される。 さらに、本発明によれば、敗血症の重症度または多臓器機能障害症候群(MODS)の重篤度を反映する指標となるスコアリングシステムが提供される。 本発明によれば、sCD14−STとsCD14−ST以外のバイオマーカーとを組み合わせて使用することにより、感度および/または特異性が向上した、より精度の高い敗血症診断が可能となる。また、敗血症患者の病状や進行度をより正確に把握することが可能となり、治療方針の策定に有用である。 本発明の敗血症診断用組合せマーカーは、sCD14−STと少なくとも1つのsCD14−ST以外のバイオマーカーとを組み合わせてなる敗血症診断用組合せマーカーである。また本発明の敗血症の診断方法、早期検出方法、敗血症患者の重症度判定および/または治療効果判定をする方法、MODSの重篤度評価方法は、sCD14−STとsCD14−ST以外のバイオマーカーとを組み合わせて使用することを特徴とする。〈sCD14−ST〉 sCD14−STは、可溶型CD14(sCD14)のうち、非還元条件下SDS−PAGEにおいて分子量13±2kDaに泳動されることを特徴とし、可溶型CD14のN端部を保持しているものである。以下に詳細に説明する。 CD14分子は、単球の膜上に発現されている分化マーカーの一つとして同定された糖蛋白質であり、LPS(リポポリサッカライド)のレセプターとしての機能を有することが知られている(Science, 249: 1431-1433, 1999年)。 CD14分子は単核球細胞の膜表面上に発現している糖蛋白質を認識する一群の抗体により同定される蛋白質として1986年に第3回Leukocyte Typing Conferenceにて、命名された。1990年、WrightらはこのCD14分子が、エンドトキシンであるLPSのレセプターであることを明らかにした(Science, 249: 1431-1433, 1999年)。このCD14分子は分子量53〜55kDaの糖蛋白質で、mRNAは約1.4kbのサイズで356個のアミノ酸からなることがcDNAの解析から明らかにされた(Nucleic Acids Research, 16: 4173, 1988年)。 CD14分子には、細胞表面上に発現している膜結合型CD14(mCD14)と、可溶型CD14(sCD14)の2種類が存在する。sCD14として、約55kDa、約49kDaの分子量を有する分子種の存在が知られており、肝臓からの分泌と、単球の活性化に伴うmCD14の酵素による切断によって産生されると考えられている(Journal of Immunology, 147: 1567-1574, 1991年;European Journal of Immunology, 25: 604-610, 1995年;Journal of Hepatology, 31: 435-442, 1999年)。 ヒトCD14分子には、膜結合型CD14のほかに可溶型CD14があり、血中には分子量の異なる複数の可溶型CD14が存在することが報告された(European Journal of Immunology, 23: 2144-2151, 1993年)。 また、Landmannらは、敗血症患者血清の可溶型CD14のウエスタンブロット分析を行い、約55kDaの可溶型CD14が敗血症死亡例や発作性夜行性ヘモグロビン尿症(PNH)患者で高値であり、正常人血清中にはこの分子が認められず、正常人には分子量の少し小さい49kDaの可溶型CD14が検出されたことを報告した(The Journal of Infectious Disease, 171: 639-644, 1995年)。 この分子量の異なるサブタイプについては、糖鎖の違いが関与していること、またNおよびO結合型糖鎖を除去してもなお2種の異なる分子量の可溶型CD14が血中に存在することをStelterらが報告している(European Journal of Biochemistry, 236: 457-464, 1996年)。 また、Buflerらは可溶型CD14のC末端分析を行い可溶型CD14の327番のセリン残基にGPI基が結合すること、約56kDaの分子量を持つ可溶型CD14はGPIアンカリングされない分子種であることを報告した(European Journal of Immunology, 25: 604-610, 1995年)。 CD14分子に対する抗体は、Bazilらの作製したMEM−18(European Journal of Immunology, 16: 1583-1589, 1986年)、Shuttらの作製したRoMo−1(Allergie und Immunologie, 34: 17-26, 1988年)、Steinmanらの作製した3C10(Journal of Experimental Medicine, 158: 126-145, 1983年)をはじめ、多くの抗CD14抗体が作製され、CD14蛋白質の同定に使用されている。 また、これら抗体を用いた可溶型CD14の測定系が、Shuttら(西独国特許公開第286876号)、Bazilら(Molecular Immunology, 26: 657-662, 1989年)、Grunwaldら(Jounal of Immnological Methods, 155: 225-232, 1992年)により報告され、ヒト体液中の可溶型CD14が測定されるようになった。 さらに、可溶型CD14−ELISAキットがIBL−Hamburg、Medgenix、R&D Systemsより発売され、敗血症をはじめとして多くの疾患で可溶型CD14の測定が行われている(Clinical Immunology And Immunopathology, 80: 307-310;臨床検査, 38: 341-344, 1994年)。 しかし、敗血症以外の疾患でも疾患の進行度に伴って前述の約55kDa,49kDaを含む(ただし、約55kDa、49kaに限定されるわけではない。)可溶型CD14(以下「高分子量sCD14」という。)濃度が上昇し、高分子量sCD14は敗血症特異的なマーカーではないことが明らかになった(Infection and Immunity 67: 417-420, 1999年;Clinical and Experimental Immunology, 120: 483-487;Clinical Experimental Immunology, 96: 15-19, 1994年)。 また、高分子量sCD14は敗血症の重症化のマーカーとして期待されていたが、敗血症性ショックとの相関が見られないこと(Pediatric allergy and immunology, 8: 194-199, 1997年)、全身性炎症反応症候群(SIRS)との相関が認められないことから(European Journal of Clinical Investigation, 28: 672-678, 1998年)、敗血症の診断マーカーとはなり得なかった。 一方、敗血症患者において特徴的に血中濃度が上昇する、新たなsCD14の分子種として、sCD14−ST(可溶性CD14抗原サブタイプ;別名プレセプシン(presepsin))が存在することが報告されている。 sCD14−STとは、sCD14のうち、非還元条件下SDS−PAGEにおいて分子量13±2kDaに泳動されることを特徴とし、CD14のN端部を保持しているものである。高分子量sCD14と比べると、C端側が大きく欠失したアミノ酸配列を有しており、高分子量sCD14とは異なりLPS結合能を有していない。 また、sCD14−STは高分子量sCD14とは異なる免疫原性を示すため、抗体を用いて両者を区別できる。sCD14−STは敗血症患者において特異的に血中濃度が上昇する(国際公開第005/108429号パンフレット)。 また、敗血症との判別が難しい、全身性炎症反応(SIRS)を示す患者と比較しても、敗血症患者の血中で高値を示すという報告があり、sCD14−STは敗血症の特異的な診断マーカーであると考えられている(Journal of Infection and Chemotherapy, 11:234-238, 2005年)。 なお、本明細書中においてsCD14−STは特に断りのない限りヒトsCD14−STを意味する。 sCD14−STは、高分子量sCD14とは異なる免疫原性を示す。たとえば、高分子量sCD14は、3C10抗体(ATCC TIB−228)により認識されるが、sCD−14STは3C10抗体に結合しない。 一方で、sCD14−STを特異的に認識し、高分子量sCD14は認識しない抗体も存在する。このような抗体は、sCD14−STの特定部位のペプチドをエピトープとするペプチド抗体である。特定部位とは、CD14の二次構造におけるβ3とβ4の間の領域である(Journal of Biological Chemistry, 280:11347-11351, 2005年)。 具体的にはヒトCD14(配列番号1)では36〜79番目のアミノ酸配列が該当する。当該領域の中の、連続した8アミノ酸以上の配列からなるペプチドを、抗原として抗体を作製することができる。ヒトCD14の53〜68番目の16アミノ酸からなるペプチド(配列番号2)が好適な例である。 高分子量sCD14は、β3〜β4の領域(β3−α2−α3−β4を含む)においてβシート構造やαヘリックス構造をとっているが、sCD14−STは高分子量sCD14に比べてC端側が大きく欠失した配列を有しているため、β3〜β4の領域において本来の立体構造を維持できず、両者は立体構造的に異なっていることが、抗体の認識性の違いを生じさせていると考えられる。 したがって、sCD14−STは、非還元条件下SDS−PAGEにおいて分子量13±2kDaに泳動されることを特徴とし、CD14のN端部のアミノ酸配列を保持していることに加え、特定の免疫原性によって特徴づけることができる。特定の免疫原性とは、CD14のβ3〜β4の領域中の連続した8アミノ酸以上の配列からなるペプチドを抗原として作製した抗体により認識されることである。 また、sCD14−STは、生菌感染による敗血症または敗血症モデルにおいて特異的に血中濃度が上昇する因子である。たとえば、sCD14−STは、非還元条件下SDS−PAGEにおいて分子量13±2kDaに泳動され、N末端配列に配列番号1に記載のアミノ酸配列の1番目〜8番目の配列を有し、配列番号1に記載のアミノ酸配列の53番目〜68番目の16アミノ酸残基からなるペプチド(配列番号2)に結合する抗体に特異的に結合することを特徴とする。 さらに、配列番号1に記載のアミノ酸配列の17番目〜26番目からなるペプチドに結合する抗体に特異的に結合すること、3C10抗体に結合しないこと、MEM−18抗体に結合しないこと、LPS結合能を有さないこと、ヒト血清から得られうること、および、敗血症患者において特異的に血中濃度が上昇する因子であること、という特徴のうち任意の一つ以上を付け加えることができる。 sCD14−STはCD14のN端部のアミノ酸配列を保持しているので、sCD14−STを単離しN端のアミノ酸配列を解析した場合、CD14のN端部と同一のアミノ酸配列を有していることが確認できる。少なくともN端から1番目〜8番目のアミノ酸配列が同一であればよい。 sCD14−STの測定は、sCD14−STを検出できる系であれば特に限定されるものではないが、sCD14−STに特異的に結合する抗体を用いた免疫学的測定系により測定することが好ましい。免疫学的測定系は、好ましくは、直接吸着法、サンドイッチ法、凝集法、固相結合法または溶液反応法などから選ぶことができる。特に好ましい方法は、サンドイッチ法(サンドイッチ免疫測定法)である。 サンドイッチ免疫測定法は、測定する蛋白質の異なる部位を認識する2種類以上の抗体を用いて、抗体−抗原−抗体複合体を形成させることにより測定する方法である。サンドイッチ免疫測定法は公知の技術を利用することができる。測定法の原理、応用および改良法については、たとえば、石川栄治著「超高感度酵素免疫測定法」、学会出版センター(1993年)、松橋直ほか編著「免疫測定法の新しい活用事例と診断試薬・治療薬開発への応用」、経営教育出版(1985年)、石川栄治ほか編「酵素免疫測定法」(第3版)、医学書院(1987年)に記載されている。 sCD14−STに特異的に結合する抗体は、CD14の二次構造におけるβ3とβ4の間の領域中の、連続した8アミノ酸以上の配列からなるペプチドに結合する抗体である。このような抗体の例は、国際公開第05/108429号パンフレットに記載のS68抗体(配列番号1に記載のアミノ酸配列の53番目〜68番目の16アミノ酸残基からなるペプチド(配列番号2)に結合する抗体)などが挙げられる。サンドイッチ免疫測定法を用いる場合は、更にもう一種の抗体が必要であるが、sCD14−STに結合する抗体であれば特に特異性は問わない。高分子量sCD14とsCD14−STの両方を認識する抗体を用いることもできる。このような抗体の例は、国際公開第05/108429号パンフレットに記載のF1106−13−3抗体(配列番号1に記載のアミノ酸配列の17番目〜26番目からなるペプチドに結合する抗体)などが挙げられる。これらの抗体は、ポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよく、特に限定されない。サンドイッチ免疫測定法を用いる場合には、モノクローナル抗体が好ましい。また、当該モノクローナル抗体の断片であってもよい。ここでいう抗体の断片とは、当該モノクローナル抗体のFab、Fab´、またはF(ab´)2のいずれかである。 免疫学的な測定系では、sCD14−STと抗体の複合体を形成させた後、形成された複合体を標識により検出することで、sCD14−STの存在を測定する。標識は、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、オキシダーゼ、もしくはウリカーゼ等の酵素、アクリジニウムもしくはその誘導体、エクオリンもしくはその改変体等の化学発光物質、FITC、ユウロピウム(Eu)、もしくはサマリウム(Sm)等のランタノイド等の蛍光物質、色素、金コロイド、着色ラテックス、またはアイソトープを用いればよい。化学発光物質、蛍光物質、着色標識、またはアイソトープを標識として用いる場合は、その標識に応じた測定機器により光学的に測定できる。色素、金コロイドまたは着色ラテックスを標識として用いて、イムノクロマト法またはフロースルー法を利用したキットにて測定する場合は、目視により測定可能である。 免疫学的な測定系は、キットの形態で提供することも可能である。キットはsCD14−STに特異的に結合する抗体を必須要素とし、その他、sCD14−STと抗体の複合体を形成させた後、形成された複合体を標識により検出するための構成要素を含む。たとえば、抗体を固相化させた不溶性担体(プラスチックプレート、ラテックス粒子など)、ペルオキシダーゼ等の標識酵素、金コロイド等の標識物質、テトラメチルベンジン(TMB)等の発色物質、検出感度を上げるためのビオチン−ストレプトアビジン等の特異結合物質、ブロッキング剤、希釈液、洗浄液、標準物質などを含んでよい。 測定は定性的および/または定量的に行うことができる。測定した結果を、標準値と比較し、sCD14−STの存在の有無および/または量を判断する。 sCD14−STの存在の有無および/または量から、敗血症の診断、早期検出、重症度判定および/または治療効果判定に必要な情報を得ることができる。標準値は、測定する目的により適宜定めうるが、健常人のsCD14−ST測定値から標準値を設定することが好ましい。 具体的には、予め複数の健常人の測定結果を求めておき、その測定結果の平均値又は範囲をとる等により標準化した健常人の値又はその範囲を標準値とする。例えば、標準偏差(SD)又は標準誤差(SE)を用いて、健常人の平均値+2SD(もしくはSE)又は3SD(もしくはSE)を閾値として、検体中のsCD14−ST値が閾値より高いかどうかを判定し、敗血症の検出を行う。また、予め患者の基準値を求めておいて、測定した値と比較してもよい。 その他、統計学的有意差を指標とすることもできる。sCD14−STの定量分析には、sCD14−STの標準物質の測定値から求めた検量線を用い、検体の測定値を、検量線と比較して行うことが好ましい。sCD14−STの標準物質は、血液から精製したsCD14−ST、組換え体sCD14−ST、ペプチド合成したsCD14−STなどを用いうる。sCD14−STの精製法および組換え体の製造方法は、国際公開第05/108429号パンフレットに記載されている。 sCD14−STは、敗血症のごく初期から上昇し始めるため、敗血症の早期検出に有用である。また、敗血症では上昇するものの、重症外傷時や感染を伴わないSIRSでは上昇しないため、類似疾患との鑑別も容易である。〈sCD14−ST以外のバイオマーカー〉 sCD14−ST以外のバイオマーカーとしては、特に限定されず、従来公知の敗血症マーカーから少なくとも1種類以上を選択して使用することができ、測定方法も従来その敗血症マーカーについて使用されている方法を使用することができる。 sCD14−ST以外のバイオマーカーとしては、具体的には、例えば、プロカルシトニン、N−プロカルシトニン−(1−57)−ペプチドおよびC−プロカルシトニン−(60−116)−ペプチド(国際公開第94/004927号パンフレット);ガストリン放出ペプチド前駆体(proGRP)、エンドセリン−1前駆体(proET−1)、脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体(proBNP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド前駆体(proANPまたはproANF)、レプチン前駆体、神経ペプチドY前駆体、ソマトスタチン前駆体、ペプチドYY前駆体、アドレノメデュリン前駆体(proAM)およびこれらから導かれる部分ペプチド(国際公開第00/022439号パンフレット);カルシニューリンB様蛋白質(CHP)(国際公開第03/005035号パンフレット);可溶性サイトケラチン1断片(国際公開第03/002600号パンフレット);グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ(GNAT)(国際公開第03/048781号パンフレット);CA125(国際公開第03/048776号パンフレット);CA19−9(国際公開第03/048777号パンフレット);S100B蛋白質、S100A蛋白質(国際公開第03/048778号パンフレット);サイトケラチン1、サイトケラチン8、サイトケラチン18またはサイトケラチン19の1以上の可溶性フラグメント、TPA、TPS、CYFRA21−1およびCY1F(国際公開第03/048782号パンフレット);カルバモイルリン酸シンテターゼ(CPS1)およびその断片(国際公開第03/089933号パンフレット);LASP−1およびその断片(国際公開第03/089934号パンフレット);IgGおよび/またはIgAタイプの抗AGM1および/または抗GM1(自己)抗体またはこれと交差反応する抗体(国際公開第03/102586号パンフレット);アルドース−1−エピメラーゼ(A1E)(国際公開第03/048780号パンフレット);アポリポ蛋白質C1(ApoC1)(国際公開第05/038461号パンフレット);Cu/Znスーパーオキシドジスムターゼ(Cu/Zn SODまたはSOD−1)(国際公開第05/076006号パンフレット);プレプロエンドセリン−1およびそのC末端断片(93−212)(国際公開第05/078456号パンフレット);コペプチン(CT−proAVP)(国際公開第06/018315号パンフレット);ガストロカイン−1(GKN1)(国際公開第06/037521号パンフレット);短鎖SRLアルコールデヒドロゲナーゼ(DHRS4)(国際公開第06/094747号パンフレット);アドレノメデュリン前駆体(proAM)およびエンドセリン前駆体(proET)(国際公開第07/062676号パンフレット);ならびに、全長プロカルシトニン1−116(国際公開第08/104321号パンフレット);と、CD64、CD11b、HLAクラスII分子(HLA−DR、HLA−DQ)、CD54、CD71、CD86、TNF受容体(TNFR)、パターン認識受容体(PRRs)、トール様受容体(TLR)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−8、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−18、腫瘍壊死因子α(TNF−α)、C反応性蛋白質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)、6−ケトプロスタグランジンF1α(6keto PG F1α)、トロンボキサンチンB2(TXB2)、ロイコトリエンB4(LTB4)、ロイコトリエンC3(LTC3)、ロイコトリエンC4(LTC4)、ロイコトリエンC5(LTC5)、ロイコトリエンD4(LTD4)、ロイコトリエンE4(LTE4)、インターフェロンγ(IFNγ)、インターフェロンα(IFNα)、インターフェロンβ(IFNβ)、リンフォトキシンα(LTα)、補体成分(C’)、血小板活性化因子(PAF)、ブラジキニン(BK)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージ遊走阻止因子(MMIF)、IL−1受容体アンタゴニスト(IL−1Ra)、可溶性腫瘍壊死因子受容体(sTNFR)、可溶性IL−1受容体(sIL−1R)、可溶性IL−2受容体(sIL−2R)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)、プロスタグランジンE2(PGE2)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、白血球数、接着分子、インテグリンおよびFcγ受容体(FcγR)等のバイオマーカー(国際公開第03/084388号パンフレット)と、心房性ナトリウム利尿ペプチド、B型心房性ナトリウム利尿ペプチド、C型心房性ナトリウム利尿ペプチド、ウロテンシンII、アルギニン、バソプレッシン、アルドステロン、アンジオテンシンI、アンジオテンシンII、アンジオテンシンIII、ブラジキニン、カルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、アドレノメデュリン、カルシホシンエンドセリン−2、エンドセリン−3、レニンおよびウロジラチンを含む血圧調節に関連したバイオマーカー;急性相反応物質、血管細胞接着分子、細胞間接着分子−1、細胞間接着分子−2、細胞間接着分子−3、C反応性蛋白質、HMG−1、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−1受容体アゴニスト、単球走化性蛋白質−1、カスパーゼ−3、リポカイン型プロスタグランジンD合成酵素、マスト細胞トリプターゼ、好酸球カチオン性蛋白質、KL−6、ハプトグロビン、TNF−α、TNF−β、フィブロネクチン、マクロファージ遊走阻止因子(MMIF)および血管内皮増殖因子(VEGF)を含む炎症に関連したバイオマーカー;ヘプシジン、Hsp60、Hsp65、Hsp70、sFASリガンド、不斉ジメチルアルギニン、マトリクス・メタプロテイン11,3および9、βディフェンシン−1(hBD1)、βディフェンシン−2(hBD2)、血清アミロイドA、酸化LDL、インスリン様増殖因子(IGF)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)、インター−α−インヒビター、e−セレクチン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、低酸素誘導因子−1α(HIF−1α)、誘導型一酸化窒素合成酵素、細胞内接着分子、乳酸脱水素酵素、単球走化性ペプチド−1、N−アセチルアスパラギン酸、プロスタグランジンE2、NF−κBリガンドの受容体アクチベータ、TNF受容体スーパーファミリー・メンバー1AおよびシスタチンCを含む急性相反応物質;ならびに、プラスミン、フィブリノーゲン、D−ダイマー、βトロンボグロブリン、血小板因子4、フィブリノペプチドA、血小板誘導増殖因子、プロトロンビン・フラグメント1+2、プラスミン−α2−アンチプラスミン複合体、トロンビン−アンチトロンビンIII複合体、P−セレクチン、トロンビン、フォンビレブラント因子、組織因子および血栓前駆体蛋白質を含む凝固および止血に関連したバイオマーカー;(国際公開第05/033327号パンフレット)と、GROα(CXCケモカインリガンド1,CXCL1)、ハイモビリティ・グループ・ボックス1(HMGB1)、IL−1受容体アンタゴニスト(IL−1Ra)、IL−1β、IL−2、IL−4、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、IL−13、IL−18、マクロファージ炎症性蛋白質−1(MIP−1)、マクロファージ炎症性蛋白質−2(MIP−2)、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)、単球走化性蛋白質−1(MCP−1)、単球走化性蛋白質−2(MCP−2)、オステオポンチン(OPN)、RANTES(CCケモカインリガンド5,CCL5)および腫瘍壊死因子(TNF)を含むサイトカイン/ケモカインバイオマーカー;CD10、CD11b、CD11c、CD14(細胞性,可溶性)、CD18、CD25(細胞性,可溶性)、CD28(可溶性)、CD40(細胞性,可溶性)、CD48、CD64、CD69、CD80、CD163およびmHLA−DR(可溶性,単球HLA−DR)を含む細胞マーカー関連バイオマーカー;CCケモカイン受容体2(CCR2,CD192)、CCケモカイン受容体3(CCR3,CD193)、C5L2(C5a様受容体2)、CRTh2(Th2細胞に発現する化学遊走物質受容体;CD294)、Fas受容体(可溶性)、FcγRIII(Fcγ受容体III)、FLT1(可溶性:血管内皮増殖因子受容体1,Fms様チロシンキナーゼ)、GP130(130kD糖蛋白質,CD130)、IL−2受容体(可溶性)、グループIIホスホリパーゼA2(可溶性:PLA2−II)、RAGE(可溶性:終末糖化産物(AGEs)受容体)、ST2(可溶性:IL−1受容体)、トール様受容体2(TLR2)、トール様受容体4(TLR4)、バニロイド受容体1(TRPV1)、TREM−1(可溶性:骨髄細胞に発現する誘発性受容体−1)、TNF受容体(可溶性)およびウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体(可溶性:uPAR)からなる受容体バイオマーカー;アンチトロンビン、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)、D−ダイマー、トロンビン−アンチトロンビンIII複合体(TAT)、F12(凝固因子12)、PT(プロトロンビン時間)、フィブリン、PF4(血小板第4因子)、プラスミノーゲン活性化因子インヒビター−1(PAI−1)、プロテインC、プロテインSおよびトロンボモジュリンを含む凝固関連バイオマーカー;ADAMTS13、アンジオポエチン−1、アンジオポエチン−2、エンドカン、ELAM−1(細胞性,可溶性:内皮白血球接着分子−1)、血管内皮前駆細胞(cEPC)、細胞間接着分子−1(可溶性:ICAM−1)、ラミニン(細胞接着性糖蛋白質)、ネオプテリン、血小板由来成長因子−BB(PDGF−BB)、E−セレクチン(細胞性,可溶性)、L−セレクチン(可溶性)、P−セレクチン、血管細胞接着分子−1(VCAM−1)、血管内皮増殖因子(VEGF)、フォン・ウィルブランド因子(vWF)およびフォン・ウィルブランド因子抗原(vWF−ag)からなる血管内皮障害関連バイオマーカー;アドレノメデュリン(AM)、プロアドレノメデュリン(proAM)、アナンダミド(AEA)、アンジオテンシン変換酵素(ACE;活性,血清濃度)、2−アラキドノイルグリセロール(2−AG)、コペプチン、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、環状ヌクレオチド、環状グアノシン一リン酸(cGMP)、エラスチン(ELN)、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)、47kD HK(高分子量キニノーゲンの47kD軽鎖)、神経ペプチドY、一酸化窒素(NO)、硝酸塩、亜硝酸塩、P物質(SP)、テトラヒドロビオプテリン(BH4)および血管作動性腸管ペプチド(VIP)を含む血管拡張関連バイオマーカー;心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、カルバモイルリン酸合成酵素1(CPS1)、エンドセリン−1(ET−1)、プロエンドセリン−1(proET−1)、濾過性血管弛緩物質(FCS)、Gc−グロブリン、グリア繊維性酸性蛋白質(GFAP)、α−グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(α−GST)、肝細胞増殖因子(細胞性,可溶性:HGF)、MEGX試験、心筋アンジオテンシンII、神経特異的エノラーゼ(NSE)、膵炎関連蛋白質−1(PAP1)、プレB細胞コロニー促進因子(PBEF)、S100B蛋白質、サーファクタント蛋白質A、サーファクタント蛋白質B、サーファクタント蛋白質C、サーファクタント蛋白質Dおよびトロポニンを含む臓器不全バイオマーカー;血清アミロイドA(SAA)、セルロプラスミン、C反応性蛋白質、フェリチン、α1−酸性糖蛋白質、ヘプシジン、LPS結合蛋白質(LBP)、プロカルシトニンおよびペントラキシン3(PCX3)を含む急性期蛋白質バイオマーカー;およびα2−マクログロブリン(α2M)、アルブミン(ALB)、抗エンドトキシンコア抗体(EndoCab)、アポリポ蛋白質C−I(APOC1)、Bcl−2(B-cell lymphoma 2)、β−トロンボグロブリン(β−TG)、カスパーゼ−1、セラミド、コレステロール、補体C3濃度、補体C4濃度、C5a濃度、末端補体複合体(TCC;MAC,膜侵襲複合体)、樹状細胞、ジペプチジルペプチダーゼ、ジヨードチロシン、イコサノイド(エイコサノイド)、エラスターゼ−α1−アンチトリプシン複合体(EAA)、エリスロポエチン、F2イソプロスタン化合物(8−イソプロスタン等)、脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)、血中遊離DNA(血漿中DNA濃度)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球単球コロニー刺激因子(GM−CSF)、ゲルソリン(GSN)、グレリン(GHRL)、GAS6蛋白質、熱ショック蛋白質70(HSP70)、HDLコレステロール、HLA−G5蛋白質(可溶性)、H2S、ヒアルロナン(ヒアルロン酸)、加水分解性IgG抗体、インターα−インヒビター蛋白質(IAIP)、白血球の細胞内一酸化窒素(NO)、IFNγ誘導蛋白質−10(IP−10)、乳酸、ラクトフェリン、レプチン、血清中リゾチーム(ムラミナーゼ;酵素活性)、マトリクスメタロプロテイナーゼ−9(MMP−9)、微小粒子(MPs;血小板由来)、ニューロテンシン(NTS)、尿中硝酸塩、ノシセプチン/オルファニンFQ(N/OFQ)、核因子κB(NF−κB;活性、発現量)、ヌクレオソーム、ペプチドグリカン、胎盤増殖因子(PIGF)1、血漿中アミノ酸、血漿中フィブロネクチン、プラスミン−α2−アンチプラスミン複合体、レニン、レジスチン、セレン(セレニウム)、セレノプロテインP、血清中重炭酸塩、スフィンゴミエリナーゼ(酵素活性)、亜硫酸塩、トランスフォーミング増殖因子−b1(TGF−b1)、組織性メタロプロテアーゼ阻害因子−1(TIMP−1)、TIMP−2、TIMP−3、尿酸、尿中8−ヒドロキシデオキシグアノシン(尿中8−OHdG)、尿中ビリルビン酸化代謝物(尿中BOMs;尿中バイオピリン)、アネキシンV結合性およびキサンチンオキシダーゼ(活性)を含むバイオマーカー;(Pierrakos, Charalampos、外1名,「Sepsis biomarkers: a review」,Critical Care,2010年,第14巻,R15)と、からなる群から少なくとも1つ以上選択されることが好ましい。 sCD14−STとsCD14−ST以外のバイオマーカーとを敗血症マーカーとして組み合わせてなるとは、sCD14−STおよびsCD14−ST以外のバイオマーカーをそれぞれ個別に測定し、その結果を組み合わせて、敗血症の診断、早期検出、重症度判定、治療効果判定および/またはMODSの重篤度評価に用いることを言う。また、敗血症の重篤度と予後は相関するため、重篤度から予後予測をすることも可能である。すなわち本発明は、被験者の血液中のsCD14−STおよび少なくとも1つのsCD14−ST以外のバイオマーカーを測定することを特徴とする敗血症の診断法、早期検出方法、重症度判定方法、治療効果判定方法および/またはMODSの重篤度の評価方法を提供する。好ましくは被験者の血液中のsCD14−STおよび少なくとも1つのsCD14−ST以外のバイオマーカーを測定することを特徴とする敗血症の診断法であり、敗血症の診断法には、敗血症の病態の把握や敗血症の進行度を把握することが含まれる。 前記のsCD14−ST以外のバイオマーカーの測定方法は公知であり、各引用文献中に記載の方法を用いて実施することができる。基本的には、測定値を予め定めた閾値と比較することにより陽性(+)、陰性(−)を判断すればよく、閾値としては健常人の平均値+0.5SD〜健常人の平均値+12SDの間に設定すればよい。また、閾値を複数設け、+、++、+++といった段階的評価をできるようにしてもよい。また閾値を、sCD14−STまたはsCD14−ST以外のバイオマーカーを単独で使用する場合より健常人の平均値に近く設定してもよい。例えば、マーカーを単独で使用する場合健常人の平均値+2SDとするところを、マーカーを組み合わせて使用する場合は、健常人の平均値+0.5SDとする。sCD14−STは、公知の敗血症マーカーの中で、最も早期に上昇するマーカーであることから、sCD14−STが+となり、他のマーカーが−の場合は、非常に早期の敗血症、あるいは症状が軽症であると判断できる。sCD14−ST以外のマーカーが+となる数が増えるにつれ、敗血症の症状が重篤化していると判断できる。 また、sCD14−ST以外のマーカーが+になる時期を加味することで、より詳細に患者の病態を把握することができる。すなわち、sCD14−STおよびsCD14−ST以外のバイオマーカーを経時的に測定し、その結果を組み合わせて判断に用いることで、患者の病態を把握や敗血症の進行度を把握し、重篤度評価や治療効果判定をより精度よく行うことが可能となる。例えば、IL−6、TNFα、Il−1、IL−8、IL−10といったサイトカイン類はsCD14−STより遅れて血中濃度が上昇するが、sCD14−STに加えてこれらが上昇するということは、敗血症により体内でサイトカインストームが起こっていることを意味し、多臓器不全への移行リスクが予測できる。 また、D−アンチトロンビン、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)、D−ダイマー、トロンビン−アンチトロンビンIII複合体(TAT)、F12(凝固因子12)、PT(プロトロンビン時間)、フィブリン、PF4(血小板第4因子)、プラスミノーゲン活性化因子インヒビター−1(PAI−1)、プロテインC、プロテインSおよびトロンボモジュリンといった凝固関連バイオマーカー値の異常は、DICの発症を予測させ、DICによる多臓器不全の移行リスクが予測できる。 さらに、sCD14−STに加えてサイトカイン類と凝固関連マーカーの両方が高値を示す場合は、敗血症が重篤であることを意味し、死亡リスクが高まっていることを予測できる。 sCD14−STおよびsCD14−ST以外のバイオマーカーを経時的に測定し、その結果を組み合わせて判断に用いる際には、それぞれの測定値を予め定めたそれぞれの閾値と比較すればよい。あるいは、それぞれの測定値の変化の程度に基づき判断してもよい。変化の程度は、1日あたりの変化量または最大値からの変化量に基づいて算出してもよいし、量を率に変換して算出してもよい。最大値とは、当該被験者についてマーカーの測定を開始して以降得られた測定値の最大値である。《プロカルシトニン(PCT)》 sCD14−ST以外のバイオマーカーとしては、プロカルシトニン(PCT)が好ましいものの一つとして例示される。 プロカルシトニン(Procalcitonin:PCT)は、Nylenら(Hormone and Metabolic Research, 24: 439-443, 1992年)が熱傷患者を対象として行った研究結果をもとに、重度の炎症マーカーとしての意義を1992年に初めて報告したことに端を発している。それ以降、PCTの生物学的意義が徐々に解明され、現在では、細菌・寄生虫・真菌感染症に特異な血清マーカーとして、また敗血症重症度評価の指標として、その地位を確立しつつある。 PCTはアミノ酸116個からなる分子量約13kDaのペプチド(配列番号3)で、正常ではカルシトニンの前駆体として甲状腺C細胞で合成される。しかし、細菌、寄生虫、真菌による重篤な感染症においては、その菌体や毒素などの作用により、TNF−αなどの炎症性サイトカインが産生され、その刺激を受けて肺・腎臓・肝臓・脂肪細胞・筋肉といった全身の臓器でPCTが産生され、血中に分泌される。血中に分泌されたPCTは単球の遊走を惹起し、細菌の貪食能を高める。またPCTの作用によってTリンパ球が活性化され、生体防御に向けた反応が促進される。 一方、非感染性の疾患、ウイルス感染および全身症状を伴わない局所細菌感染では、血清PCT値が上昇したとしても軽度の範囲に留まる。このような特徴から、血清PCT測定は重症細菌感染症の鑑別に有用ではないかと注目を集めるようになった。なお細菌感染時の血中PCTは、上述のごとくその多くが全身の各種臓器に由来しているが、白血球などの血球成分からはほとんど分泌されないことがわかっている。これによりステロイドや抗癌剤など白血球の機能に影響を与えやすい薬剤を使用している状況でも、細菌感染症の場合は血清PCT濃度の上昇は妨げられない。PCTの動態については、炎症性サイトカインのピークには遅れるが、感染症発症後比較的早期より血中濃度が上昇し、CRPよりも早期の時点で立ち上がりが認められる。その後、半減期は約22時間と長いため、血中で長時間高濃度を維持しやすい。 また、敗血症患者の場合、血漿または血清中では、116個のアミノ酸からなる全長プロカルシトニン(配列番号3:「カルシトニン1−116」ともいう。)はほとんどみられず、代わりにN末端のアミノ酸2個を欠くアミノ酸114個からなるプロカルシトニン(配列番号4:「カルシトニン3−116」ともいう。)が主にみられる(国際公開第08/104321号パンフレット)。 したがって、本発明において、プロカルシトニンという場合には、プロカルシトニン1−116およびプロカルシトニン3−116を含むときがある。 プロカルシトニンの測定方法は、血漿または血清を試料として、国際公開第94/04927号パンフレットまたは国際公開第08/104321号パンフレットに記載された方法で行うことが好ましい。 また、市販の測定キットを使用してもよく、具体的には、例えば、「ブラームスPCT−Q」(和光純薬工業社)、「スフィアライト・ブラームスPCT」(和光純薬工業社)、「ミュータスワコー ブラームスPCT」(和光純薬工業社)等を使用することができる。 PCTのELISA法による定量分析の場合には、例えば、基準値:単位(ng/ml)0.5以下、敗血症(細菌性)の鑑別診断の指標 カットオフ値:0.5、敗血症(細菌性)重症度判定の指標 カットオフ値:2.0とすることが好ましい。 また、上記sCD14−ST以外のバイオマーカーは、急性相反応物質および/または急性期蛋白質であるものも好ましい。 上記急性相反応物質としては、例えば、ヘプシジン、Hsp60、Hsp65、Hsp70、sFasリガンド、不斉ジメチルアルギニン、マトリクス・メタプロテイン11,3および9、βディフェンシン−1、βディフェンシン−2、血清アミロイドA、酸化LDL、インスリン様増殖因子、トランスフォーミング増殖因子β、インター−α−インヒビター、e−セレクチン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、低酸素誘導因子−1α、誘導型一酸化窒素合成酵素、細胞内接着分子、乳酸脱水素酵素、単球走化性ペプチド−1、N−アセチルアスパラギン酸、プロスタグランジンE2、NF−κBリガンドの受容体アクチベータ、TNF受容体スーパーファミリー・メンバー1AおよびシスタチンCからなる群から選択される少なくとも1以上が挙げられる。 また、上記急性期蛋白質としては、例えば、血清アミロイドA、セルロプラスミン、C反応性蛋白質、フェリチン、α1−酸性糖蛋白質、ヘプシジン、LPS結合蛋白質、プロカルシトニンおよびペントラキシン3からなる群から選択される少なくとも1以上が挙げられる。 上記sCD14−ST以外のバイオマーカーは、敗血症マーカーであってもよいし、敗血症マーカー以外のバイオマーカーであってもよい。敗血症以外のバイオマーカーとしては、肝機能に関するバイオマーカー、腎機能に関するバイオマーカー、心機能に関するバイオマーカー、免疫機能に関するバイオマーカー、急性呼吸促迫症候群(ARDS)に関するバイオマーカー、生理学的スコア等が挙げられる。 本発明は、sCD14−STとAPACHE IIスコア、APACHE IIIスコア、SOFAスコアといった生理学的スコアを組み合わせて使用することを特徴とする、敗血症の診断方法、早期検出方法、敗血症患者の重症度判定方法および/または治療効果判定をする方法、MODSの重篤度評価方法を提供する。 sCD14−STの値と生理学的スコアを組み合わせることにより、患者の病状や進行度をより精度よく把握することが可能となる。sCD14−STの値と生理学的スコアが共に高い場合は敗血症および/またはMODSが重篤な状態であり、共に低い場合は敗血症および/またはMODSが早期または軽度な状態であると確度高く判断できる。また、sCD14−ST測定値を予め定めた閾値と比較し、測定値が閾値を超えた場合に生理学的スコアを組み合わせて用いることで、敗血症が早期段階から全身症状が現れる重篤な段階へ移行したといった病態の進行度を精度よく判断できる。特に、sCD14−STの値とAPACHE IIスコアの組合せが好ましい。 さらに、生理学的スコアに加え、敗血症の進行度により上昇するタイミングが異なるsCD14−ST以外のバイオマーカーを組み合わせて使用することにより、更に精度よく患者の病状や進行度を把握することが可能となる。 例えば、IL−6やプロカルシトニンは、sCD14−STが敗血症診断の閾値を超えて数時間〜数日後にピークを示すことがあるが、IL−6やプロカルシトニンの値が上昇を続けている局面では病状が進行中と判断することができる。一方で、IL−6やプロカルシトニンが高値を保っていてもsCD14−STの値と生理学的スコアが低下を始めた場合は回復局面にあると判断することができる。それぞれの状況に応じて、適切な治療法を選択することが可能となる。 また、sCD14−STの値を数段階の閾値に基づきスコア化することで、生理学的スコアとの併用をより簡便に行うこともできる。sCD14−ST値のスコア化は、組み合わせる生理学的スコアとの相関関係に基づき、生理学的スコアに対して適切なウエイトとなるように設定すればよい。 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。〈sCD14−STとsCD14−ST以外のバイオマーカーとの組み合わせ使用による敗血症診断の精度向上〉 健常人、SIRS(全身性炎症反応症候群)、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、MODS(多臓器機能障害症候群)の各群の血液検体を10〜30例用意する。集めた検体について、sCD14−ST値および本明細書に記載のsCD14−ST以外のバイオマーカーから少なくとも1種を測定する。sCD14−ST単独およびsCD14−ST以外のバイオマーカー単独でのROC面積、感度および/または特異性に対し、両者を組み合わせた場合のROC面積、感度および/または特異性が向上する組み合わせを選択する。これを複数のsCD14−ST以外のバイオマーカーについて行い、最も精度よく診断が可能なパネルを設定する。パネルは、バイオマーカーの組み合わせとそれに関するパラメータにより構成され、パラメータは各バイオマーカーの閾値情報、バイオマーカー間の重みづけ情報等を含む。さらに、APACHE IIスコア等の生理学的スコアをパネルに取り込んでもよい。具体的には、sCD14−STとプロカルシトニンとの組み合わせが好適であり、更にAPACHE IIスコアを組み合わせると有用である。〈sCD14−STとsCD14−ST以外のバイオマーカーとの組み合わせ例〉 sCD14−STとsCD14−ST以外のバイオマーカーとを組み合わせて使用することにより、より高精度の敗血症の早期検出、重症度評価および/または治療効果判定が可能となる。 sCD14−STと組み合わせる好適なCD14−ST以外のバイオマーカー、そのバイオマーカーの従来の用途およびsCD14−STとそのバイオマーカーとの組合せにより得られる効果は、表1に示す通りである。 sCD14−STと少なくとも1つのsCD14−ST以外のバイオマーカーとを組み合わせてなる敗血症診断用組合せマーカー。 前記sCD14−ST以外のバイオマーカーが、 プロカルシトニン、N−プロカルシトニン−(1−57)−ペプチドおよびC−プロカルシトニン−(60−116)−ペプチド; ガストリン放出ペプチド前駆体(proGRP)、エンドセリン−1前駆体(proET−1)、脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体(proBNP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド前駆体(proANPまたはproANF)、レプチン前駆体、神経ペプチドY前駆体、ソマトスタチン前駆体、ペプチドYY前駆体、アドレノメデュリン前駆体(proAM)およびこれらから導かれる部分ペプチド; カルシニューリンB様蛋白質(CHP); 可溶性サイトケラチン1断片; グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ(GNAT); CA125; CA19−9; S100B蛋白質、S100A蛋白質; サイトケラチン1、サイトケラチン8、サイトケラチン18またはサイトケラチン19の1以上の可溶性フラグメント、TPA、TPS、CYFRA21−1およびCY1F; カルバモイルリン酸シンテターゼ(CPS1)およびその断片; LASP−1およびその断片; IgGおよび/またはIgAタイプの抗AGM1および/または抗GM1(自己)抗体またはこれと交差反応する抗体; アルドース−1−エピメラーゼ(A1E); アポリポ蛋白質C1(ApoC1); Cu/Znスーパーオキシドジスムターゼ(Cu/Zn SODまたはSOD−1); プレプロエンドセリン−1およびそのC末端断片(93−212); コペプチン(CT−proAVP); ガストロカイン−1(GKN1); 短鎖SRLアルコールデヒドロゲナーゼ(DHRS4); アドレノメデュリン前駆体(proAM)およびエンドセリン前駆体(proET); 全長プロカルシトニン1−116; CD64、CD11b、HLAクラスII分子(HLA−DR、HLA−DQ)、CD54、CD71、CD86、TNF受容体(TNFR)、パターン認識受容体(PRRs)、トール様受容体(TLR)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−8、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−18、腫瘍壊死因子α(TNF−α)、C反応性蛋白質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)、6−ケトプロスタグランジンF1α(6keto PG F1α)、トロンボキサンチンB2(TXB2)、ロイコトリエンB4(LTB4)、ロイコトリエンC3(LTC3)、ロイコトリエンC4(LTC4)、ロイコトリエンC5(LTC5)、ロイコトリエンD4(LTD4)、ロイコトリエンE4(LTE4)、インターフェロンγ(IFNγ)、インターフェロンα(IFNα)、インターフェロンβ(IFNβ)、リンフォトキシンα(LTα)、補体成分(C’)、血小板活性化因子(PAF)、ブラジキニン(BK)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージ遊走阻止因子(MMIF)、IL−1受容体アンタゴニスト(IL−1Ra)、可溶性腫瘍壊死因子受容体(sTNFR)、可溶性IL−1受容体(sIL−1R)、可溶性IL−2受容体(sIL−2R)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)、プロスタグランジンE2(PGE2)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、白血球数、接着分子、インテグリン、Fcγ受容体(FcγR); 心房性ナトリウム利尿ペプチド、B型心房性ナトリウム利尿ペプチド、C型心房性ナトリウム利尿ペプチド、ウロテンシンII、アルギニン、バソプレッシン、アルドステロン、アンジオテンシンI、アンジオテンシンII、アンジオテンシンIII、ブラジキニン、カルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、アドレノメデュリン、カルシホシンエンドセリン−2、エンドセリン−3、レニンおよびウロジラチンを含む血圧調節に関連したバイオマーカー; 急性相反応物質、血管細胞接着分子、細胞間接着分子−1、細胞間接着分子−2、細胞間接着分子−3、C反応性蛋白質、HMG−1、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−1受容体アゴニスト、単球走化性蛋白質−1、カスパーゼ−3、リポカイン型プロスタグランジンD合成酵素、マスト細胞トリプターゼ、好酸球カチオン性蛋白質、KL−6、ハプトグロビン、TNF−α、TNF−β、フィブロネクチン、マクロファージ遊走阻止因子(MMIF)および血管内皮増殖因子(VEGF)を含む炎症に関連したバイオマーカー; ヘプシジン、Hsp60、Hsp65、Hsp70、sFASリガンド、不斉ジメチルアルギニン、マトリクス・メタプロテイン11,3および9、βディフェンシン−1(hBD1)、βディフェンシン−2(hBD2)、血清アミロイドA、酸化LDL、インスリン様増殖因子(IGF)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)、インター−α−インヒビター、e−セレクチン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、低酸素誘導因子−1α(HIF−1α)、誘導型一酸化窒素合成酵素、細胞内接着分子、乳酸脱水素酵素、単球走化性ペプチド−1、N−アセチルアスパラギン酸、プロスタグランジンE2、NF−κBリガンドの受容体アクチベータ、TNF受容体スーパーファミリー・メンバー1AおよびシスタチンCを含む急性相反応物質;ならびに、 プラスミン、フィブリノーゲン、D−ダイマー、βトロンボグロブリン、血小板因子4、フィブリノペプチドA、血小板誘導増殖因子、プロトロンビン・フラグメント1+2、プラスミン−α2−アンチプラスミン複合体、トロンビン−アンチトロンビンIII複合体、P−セレクチン、トロンビン、フォンビレブラント因子、組織因子および血栓前駆体蛋白質を含む凝固および止血に関連したバイオマーカーからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の敗血症診断用組合せマーカー。 前記sCD14−ST以外のバイオマーカーが、 GROα、HMGB1、IL−1受容体アンタゴニスト、IL−1β、IL−2、IL−4、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、IL−13、IL−18、マクロファージ炎症性蛋白質−1、マクロファージ炎症性蛋白質−2、マクロファージ遊走阻止因子、単球走化性蛋白質−1、単球走化性蛋白質−2、オステオポンチン、RANTESおよびTNF; CD10、CD11b、CD11c、細胞性CD14、可溶性CD14、CD18、細胞性CD25、可溶性CD25、可溶性CD28、細胞性CD40、可溶性CD40、CD48、CD64、CD69、CD80、CD163および可溶性mHLA−DR; CCケモカイン受容体2、CCケモカイン受容体3、C5L2、CRTh2、可溶性Fas受容体、FcγRIII、可溶性FLT1、GP130、可溶性IL−2受容体、可溶性グループIIホスホリパーゼA2、可溶性RAGE、可溶性ST2、トール様受容体2、トール様受容体4、バニロイド受容体1、可溶性TREM−1、TNF受容体および可溶性ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体; アンチトロンビン、活性化部分トロンボプラスチン時間、D−ダイマー、トロンビン−アンチトロンビンIII複合体、F12、PT、フィブリン、PF4、プラスミノーゲン活性化因子インヒビター−1、プロテインC、プロテインSおよびトロンボモジュリン; ADAMTS13、アンジオポエチン−1、アンジオポエチン−2、エンドカン、細胞性ELAM−1、可溶性ELAM−1、血管内皮前駆細胞、可溶性細胞間接着分子−1、ラミニン、ネオプテリン、血小板由来成長因子−BB、細胞性E−セレクチン、可溶性E−セレクチン、可溶性L−セレクチン、P−セレクチン、血管細胞接着分子−1、血管内皮増殖因子、フォン・ウィルブランド因子およびフォン・ウィルブランド因子抗原; アドレノメデュリン、プロアドレノメデュリン、アナンダミド、アンジオテンシン変換酵素、2−アラキドノイルグリセロール、コペプチン、C型ナトリウム利尿ペプチド、環状ヌクレオチド、環状グアノシン一リン酸、エラスチン、CGRP、47kD HK、神経ペプチドY、一酸化窒素、硝酸塩、亜硝酸塩、P物質、テトラヒドロビオプテリンおよび血管作動性腸管ペプチド; 心房性ナトリウム利尿ペプチド、脳性ナトリウム利尿ペプチド、カルバモイルリン酸合成酵素1、エンドセリン−1、プロエンドセリン−1、濾過性血管弛緩物質、Gc−グロブリン、グリア繊維性酸性蛋白質、α−グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、細胞性肝細胞増殖因子、可溶性肝細胞増殖因子、MEGX試験、心筋アンジオテンシンII、神経特異的エノラーゼ、膵炎関連蛋白質−1、プレB細胞コロニー促進因子、S100B蛋白質、サーファクタント蛋白質A、サーファクタント蛋白質B、サーファクタント蛋白質C、サーファクタント蛋白質Dおよびトロポニン; 血清アミロイドA、セルロプラスミン、C反応性蛋白質、フェリチン、α1−酸性糖蛋白質、ヘプシジン、LPS結合蛋白質、プロカルシトニンおよびペントラキシン3;ならびに、 α2−マクログロブリン、アルブミン、抗エンドトキシンコア抗体、アポリポ蛋白質C−I、Bcl−2、β−トロンボグロブリン、カスパーゼ−1、セラミド、コレステロール、補体C3濃度、補体C4濃度、C5a濃度、末端補体複合体、樹状細胞、ジペプチジルペプチダーゼ、ジヨードチロシン、イコサノイド、エラスターゼ−α1−アンチトリプシン複合体、エリスロポエチン、F2イソプロスタン化合物、脂肪酸アミドヒドロラーゼ、血中遊離DNA、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球単球コロニー刺激因子、ゲルソリン、グレリン、GAS6蛋白質、熱ショック蛋白質70、HDLコレステロール、可溶性HLA−G5蛋白質、H2S、ヒアルロナン、加水分解性IgG抗体、インターα−インヒビター蛋白質、白血球の細胞内一酸化窒素、IFNγ誘導蛋白質−10、乳酸、ラクトフェリン、レプチン、血清中リゾチーム、マトリクスメタロプロテイナーゼ−9、微小粒子、ニューロテンシン、尿中硝酸塩、ノシセプチン/オルファニンFQ、NF−κB、ヌクレオソーム、ペプチドグリカン、胎盤増殖因子1、血漿中アミノ酸、血漿中フィブロネクチン、プラスミン−α2−アンチプラスミン複合体、レニン、レジスチン、セレン、セレノプロテインP、血清中重炭酸塩、スフィンゴミエリナーゼ(酵素活性)、亜硫酸塩、トランスフォーミング増殖因子−b1、組織性メタロプロテアーゼ阻害因子−1、組織性メタロプロテアーゼ阻害因子−2、組織性メタロプロテアーゼ阻害因子−3、尿酸、尿中8−ヒドロキシデオキシグアノシン、尿中ビリルビン酸化代謝物、アネキシンV結合性およびキサンチンオキシダーゼからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の敗血症診断用組合せマーカー。 前記sCD14−ST以外のバイオマーカーがプロカルシトニンである、請求項1に記載の敗血症診断用組合せマーカー。 前記sCD14−ST以外のバイオマーカーが急性相反応物質および/または急性期蛋白質である、請求項1〜3のいずれかに記載の敗血症診断用組合せマーカー。 前記急性相反応物質が、ヘプシジン、Hsp60、Hsp65、Hsp70、sFasリガンド、不斉ジメチルアルギニン、マトリクス・メタプロテイン11,3および9、βディフェンシン−1、βディフェンシン−2、血清アミロイドA、酸化LDL、インスリン様増殖因子、トランスフォーミング増殖因子β、インター−α−インヒビター、e−セレクチン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、低酸素誘導因子−1α、誘導型一酸化窒素合成酵素、細胞内接着分子、乳酸脱水素酵素、単球走化性ペプチド−1、N−アセチルアスパラギン酸、プロスタグランジンE2、NF−κBリガンドの受容体アクチベータ、TNF受容体スーパーファミリー・メンバー1AおよびシスタチンCからなる群から選択される少なくとも1以上である、請求項5に記載の敗血症診断用組合せマーカー。 前記急性期蛋白質が、血清アミロイドA、セルロプラスミン、C反応性蛋白質、フェリチン、α1−酸性糖蛋白質、ヘプシジン、LPS結合蛋白質、プロカルシトニンおよびペントラキシン3からなる群から選択される少なくとも1以上である、請求項5に記載の敗血症診断用組合せマーカー。 被験者の血液中のsCD14−STおよび少なくとも1つのsCD14−ST以外のバイオマーカーを測定し、それぞれの測定値を予め定めたそれぞれの閾値と比較することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の敗血症診断用組合せマーカー。 被験者の血液中のsCD14−STおよび少なくとも1つのsCD14−ST以外のバイオマーカーを経時的に測定し、それぞれの測定値を予め定めたそれぞれの閾値と比較することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の敗血症診断用組合せマーカー。 前記閾値が、予め測定した健常人の平均値+0.5SD〜健常人の平均値+12SDの間に設定した閾値であることを特徴とする請求項8または9に記載の敗血症診断用組合せマーカー。 前記閾値が、sCD14−STまたはsCD14−ST以外のバイオマーカーを単独で使用する場合より健常人の平均値に近く設定されていることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の敗血症診断用組合せマーカー。 被験者の血液中のsCD14−STおよび少なくとも1つのsCD14−ST以外のバイオマーカーを経時的に測定し、それぞれの測定値の変化の程度を評価することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の敗血症診断用組合せマーカー。 前記測定値の変化の程度が、1日あたりの変化量または前記被験者のsCD14−STおよびsCD14−ST以外のバイオマーカーの最大値からの変化量に基づいて算出されることを特徴とする請求項12に記載の敗血症診断用組合せマーカー。 前記測定値の変化の程度が、1日あたりの変化率または前記被験者のsCD14−STおよびsCD14−ST以外のバイオマーカーの最大値からの変化率に基づいて算出されることを特徴とする請求項12に記載の敗血症診断用組合せマーカー。 生理学的スコアを組み合わせることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の敗血症診断用組合せマーカー。 被験者の血液中のsCD14−STおよび/またはsCD14−ST以外のバイオマーカーの測定値を予め定めた閾値と比較し、測定値が閾値を超えた場合に生理学的スコアを組み合わせて用いることを特徴とする、請求項15に記載の敗血症診断用組合せマーカー。 sCD14−ST以外のバイオマーカーがプロカルシトニンである、請求項15または16に記載の敗血症診断用組合せマーカー。 敗血症の診断、早期検出、重症度判定、治療効果判定および/またはMODSの重篤度の評価のための、請求項1〜17のいずれかに記載の敗血症診断用組合せマーカーの使用。 【課題】より高精度の敗血症の診断、早期検出、重症度判定および/または治療効果判定のために有用な、敗血症診断用組合せマーカーを提供する。【解決手段】sCD14−STと少なくとも1つのsCD14−ST以外のバイオマーカーとを組み合わせてなる敗血症診断用組合せマーカー。【選択図】なし配列表


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る