タイトル: | 再公表特許(A1)_酸性メタリン酸ナトリウムによるS−アデノシルメチオニンの安定化 |
出願番号: | 2011006780 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A23L 1/30,A61K 31/7076,A61K 47/02,A61P 1/16,A61P 19/02,A61P 25/24,A61P 25/28,A61P 25/02,A61P 25/00,A61P 31/18 |
関口 喜則 JP WO2013080265 20130606 JP2011006780 20111202 酸性メタリン酸ナトリウムによるS−アデノシルメチオニンの安定化 磐田化学工業株式会社 591062331 山本 秀策 100078282 森下 夏樹 100113413 関口 喜則 A23L 1/30 20060101AFI20150331BHJP A61K 31/7076 20060101ALI20150331BHJP A61K 47/02 20060101ALI20150331BHJP A61P 1/16 20060101ALI20150331BHJP A61P 19/02 20060101ALI20150331BHJP A61P 25/24 20060101ALI20150331BHJP A61P 25/28 20060101ALI20150331BHJP A61P 25/02 20060101ALI20150331BHJP A61P 25/00 20060101ALI20150331BHJP A61P 31/18 20060101ALI20150331BHJP JPA23L1/30 ZA61K31/7076A61K47/02A61P1/16A61P19/02A61P25/24A61P25/28A61P25/02A61P25/00A61P31/18 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN 再公表特許(A1) 20150427 2013546846 24 4B018 4C076 4C086 4B018MD01 4B018MD18 4B018ME14 4B018MF02 4C076BB01 4C076CC01 4C076CC09 4C076CC35 4C076CC40 4C076DD26 4C076FF65 4C086AA10 4C086EA18 4C086MA02 4C086MA05 4C086NA03 4C086ZA12 4C086ZA16 4C086ZA75 4C086ZA96 4C086ZB33 4C086ZC55 本発明は、酸性メタリン酸ナトリウムによるS−アデノシルメチオニンの安定化に関する。本発明は特に、S−アデノシルメチオニンと酸性メタリン酸ナトリウムとを含む飲食用組成物に関する。本発明はまた、安定化されたS−アデノシルメチオニンの製造方法に関する。 S−アデノシルメチオニンは生体組織全体に存在し、ホルモン、神経伝達物質、リン脂質、およびタンパク質の合成および代謝における、メチル基供与体または酵素活性化因子として、数多くの生物反応に関与する生理学的化合物である。S−アデノシルメチオニンは、メチル基転移、硫黄基転移、およびアミノプロピル基転移の3つの代謝経路により代謝される。 S−アデノシルメチオニンは、肝硬変などの肝障害、鬱病、関節炎、骨関節症、軟骨保護、アルツハイマー病、HIV感染による末梢神経障害または脊髄症等に対して、有用な効果を有することが報告されている。 しかしながら、S−アデノシルメチオニンは化学的に不安定な物質であり、常温においても急速に分解が進むため、医薬品やサプリメントとして使用する際の大きな障害となっている。これまでに、ポリアニオン(例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム)による安定化(特許文献1)、リン酸化合物による安定化(特許文献2)、硫酸塩やp−トルエンスルホン酸塩などのS−アデノシルメチオニン塩をアルコール溶媒中に懸濁することによる安定化(特許文献3)、および、有機カルボン酸および/またはキレート形成能を有する化合物による安定化(特許文献4)、フィチン酸およびシクロデキストリンによる安定化(特許文献5)などが報告されている。特開昭61−189293号公報特開2007−197346号公報特開2008−13509号公報特開2005−229812号公報特許第4,598,846号公報 本発明者らは、酸性メタリン酸ナトリウムを用いることにより、従来知られていたメタリン酸ナトリウムによる安定化と比べて、S−アデノシルメチオニンの顕著な安定化が達成されることを予想外に発見し、本発明を完成させた。酸性メタリン酸ナトリウムを用いることによってメタリン酸ナトリウムを用いる場合と比較してS−アデノシルメチオニンの優れた安定化が達成されることは従来知られていなかった。さらに、以下の実施例1および2に記載されるように、酸性条件下でメタリン酸ナトリウムをS−アデノシルメチオニンの安定化に用いた場合には、顕著な安定化効果は見られなかった。これらのことを考慮すると、メタリン酸ナトリウムの代わりに酸性メタリン酸ナトリウムを用いることにより顕著な安定化効果が得られることは予想外である。 1つの局面において、本発明は、S−アデノシルメチオニンと酸性メタリン酸ナトリウムとを含む、飲食用組成物を提供する。 1つの実施形態において、本発明の組成物は、上記酸性メタリン酸ナトリウムを、上記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量以上の濃度で含む。 別の実施形態において、本発明の組成物は、上記酸性メタリン酸ナトリウムを、上記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量〜10倍量の濃度で含む。 別の実施形態において、本発明の組成物は、上記酸性メタリン酸ナトリウムを、上記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量〜7.5倍量の濃度で含む。 別の実施形態において、本発明の組成物は、上記酸性メタリン酸ナトリウムを、上記S−アデノシルメチオニンの5〜7.5倍量の濃度で含む。 別の局面において、本発明は、S−アデノシルメチオニンと酸性メタリン酸ナトリウムとを含む、医薬組成物を提供する。 1つの実施形態において、本発明の医薬組成物は、上記酸性メタリン酸ナトリウムを、上記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量以上の濃度で含む。 別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、上記酸性メタリン酸ナトリウムを、上記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量〜10倍量の濃度で含む。 別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、上記酸性メタリン酸ナトリウムを、上記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量〜7.5倍量の濃度で含む。 別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、上記酸性メタリン酸ナトリウムを、上記S−アデノシルメチオニンの5〜7.5倍量の濃度で含む。 別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、鬱病または関節炎の治療のためのものである。 別の局面において、本発明は、安定なS−アデノシルメチオニンの製造方法であって、該S−アデノシルメチオニンを含む組成物に、酸性メタリン酸ナトリウムを添加する工程を包含する、製造方法を提供する。 1つの実施形態において、上記方法において、上記酸性メタリン酸ナトリウムは、上記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量以上の濃度で添加される。 別の実施形態において、上記方法において、上記酸性メタリン酸ナトリウムは、上記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量〜10倍量の濃度で添加される。 別の実施形態において、上記方法において、上記酸性メタリン酸ナトリウムは、上記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量〜7.5倍量の濃度で添加される。 別の実施形態において、上記方法において、上記酸性メタリン酸ナトリウムは、上記S−アデノシルメチオニンの5〜7.5倍量の濃度で添加される。 別の実施形態において、本発明の製造方法は、上記S−アデノシルメチオニンと上記酸性メタリン酸ナトリウムとを含む混合物を乾燥する工程をさらに包含する。 別の局面において、本発明は、S−アデノシルメチオニンの安定化法であって、該S−アデノシルメチオニンを含む組成物に、酸性メタリン酸ナトリウムを添加する工程を包含する、方法を提供する。 1つの実施形態において、上記方法において、上記酸性メタリン酸ナトリウムは、上記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量以上の濃度で添加される。 別の実施形態において、上記方法において、上記酸性メタリン酸ナトリウムは、上記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量〜10倍量の濃度で添加される。 別の実施形態において、上記方法において、上記酸性メタリン酸ナトリウムは、上記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量〜7.5倍量の濃度で添加される。 別の実施形態において、上記方法において、上記酸性メタリン酸ナトリウムは、上記S−アデノシルメチオニンの5〜7.5倍量の濃度で添加される。 S−アデノシルメチオニンの新規安定化法が提供される。本発明により、健康食品、医薬組成物、栄養補助食品等として優れた効能を有するS−アデノシルメチオニンを、より安定な状態で消費者に供給することが可能になる。図1は、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、酸性条件下でのピロリン酸ナトリウム、酸性条件下でのポリリン酸ナトリウム、および酸性条件下でのメタリン酸ナトリウムをそれぞれ安定化剤としてS−アデノシルメチオニンに添加した場合の、加速試験機中での日数に対するS−アデノシルメチオニンの残存度(%)を示すグラフである。縦軸はS−アデノシルメチオニンの残存度(%)を示し、横軸は加速試験機中での日数(日)を示す。図2は、10倍量、7.5倍量、5倍量および2.5倍量の酸性メタリン酸ナトリウムをそれぞれ安定化剤としてS−アデノシルメチオニンに添加した場合の、加速試験機中での日数に対するS−アデノシルメチオニンの残存度(%)を示すグラフである。縦軸はS−アデノシルメチオニンの残存度(%)を示し、横軸は加速試験機中での日数(日)を示す。図3は、「A.燐化学工業株式会社(日本、富山)製の酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム」、「B.エフシー化学株式会社(日本、大阪)製のニューエフシリンサンF」、「C.オルガノフードテック株式会社(日本、埼玉)製のポリリンサン 1−G」、「D.大洋化学工業株式会社(日本、東京)製のマスコリンF−2」、「E.太平化学産業株式会社(日本、大阪)製のウルトラポリン」、「F.上野製薬株式会社(日本、大阪)製のタリンサンU(登録商標)」、「G.株式会社ポリホス化学研究所(日本、大阪)製のウルトラポリホス」、「H.オルガノフードテック株式会社(日本、埼玉)製のポリリンサン 5−B」および「I.(比較例)米山化学工業株式会社(日本、大阪)製のメタリン酸ナトリウム」を安定化剤としてそれぞれS−アデノシルメチオニンに添加した場合の、加速試験機中での日数に対するS−アデノシルメチオニンの残存度(%)を示すグラフである。縦軸はS−アデノシルメチオニンの残存度(%)を示し、横軸は加速試験機中での日数(日)を示す。図4は、「A.燐化学工業株式会社(日本、富山)製の酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ロット(11.05.21)」、「B.燐化学工業株式会社(日本、富山)製の酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ロット(11.08.2)」、「C.大洋化学工業株式会社(日本、東京)製のマスコリンF−2のロット(1)」、および「D.大洋化学工業株式会社(日本、東京)製のマスコリンF−2のロット(2)」を安定化剤としてそれぞれS−アデノシルメチオニンに添加した場合の、加速試験機中での日数に対するS−アデノシルメチオニンの残存度(%)を示すグラフである。縦軸はS−アデノシルメチオニンの残存度(%)を示し、横軸は加速試験機中での日数(日)を示す。 以下に本発明を、必要に応じて、添付の図面を参照して例示の実施例により説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。 以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきではない。本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行なうことができることは、当業者に明らかである。 本発明は、S−アデノシルメチオニンと酸性メタリン酸ナトリウムとを含む、飲食用組成物、および医薬組成物を提供する。酸性メタリン酸ナトリウムを用いる場合、メタリン酸ナトリウムを用いる場合と比較して、S−アデノシルメチオニンの優れた安定化が達成されることは従来知られていなかった。さらに、以下の実施例1および2に記載されるように、酸性条件下でメタリン酸ナトリウムをS−アデノシルメチオニンの安定化に用いた場合には、顕著な安定化効果は見られなかった。これらのことを考慮すると、メタリン酸ナトリウムの代わりに酸性メタリン酸ナトリウムを用いることにより顕著な安定化効果が得られることは予想外である。 (定義) 本明細書において、「S−アデノシルメチオニン」とは「AdoMet」とも表記される平均分子量399.447の物質である。S−アデノシルメチオニンの化学式は、以下の通りである。 本明細書において、「酸性メタリン酸ナトリウム」とは、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウムともいわれ、リン酸と当モル未満のアルカリとの反応生成物を熔融し、脱水縮合して得られる高分子の酸性縮合リン酸塩混合物であって、一般式{NaxHy(PO3)x+y}n(xは1以上の任意の数であり、yは1以上の任意の数であり、nは2以上の任意の数である)を有する、pHが2.2以下のものをいう。本発明における酸性メタリン酸ナトリウムは、食品添加物用酸性メタリン酸ナトリウム、医薬部外品原料用酸性メタリン酸ナトリウム、および/または工業用酸性メタリン酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。 本明細書において、酸性メタリン酸ナトリウムのpHとは、酸性メタリン酸ナトリウムの1w/v%溶液でのpHをいう。pH測定は、当該分野において周知の任意の方法によって行われ得る。 本発明の酸性メタリン酸ナトリウムは、以下のように規定され得る。・含量:本品(酸性メタリン酸ナトリウム)を乾燥したものは、五酸化リン(P2O5=141.94)として60.0%〜83.0%を含む。・性状:本品は、白色の繊維状の結晶もしくは粉末または無〜白色のガラス上の片もしくは塊である。・確認試験(1)本品は、ナトリウム塩の反応を呈する。・純度試験(1)液状 無色、わずかに微濁(粉末1.0g、水20ml)(2)塩化物 Clとして0.21%以下(粉末0.10g、比較液0.01N塩酸0.60ml)(3)正リン酸塩 本品の粉末1.0gを量り、硝酸銀溶液(1→50)2〜3滴を加えるとき、著しい黄色を呈さない。なお、「1→50」とは、硝酸銀溶液(0.1mol/L)1mLを50mLに希釈することを意味する。(4)硫酸塩SO4として0.048%以下。(5)重金属 Pbとして20μg以下。(6)ヒ素As2O3として4.0μg/g以下。・乾燥減量 5.0%以下。 上記規格は、食品添加物公定書第8版における、メタリン酸ナトリウムの項において規定されている。 本明細書においてある特定の物質の濃度を示す場合、「S−アデノシルメチオニンのX倍量の濃度」とは、ある組成物中のS−アデノシルメチオニンの濃度(w/v)に対して、その特定の物質の濃度(w/v)がX倍であることを意味する。例えば、ある組成物において「酸性メタリン酸ナトリウムをS−アデノシルメチオニンの5倍量の濃度で含む」という場合、酸性メタリン酸ナトリウムは、S−アデノシルメチオニンの濃度(w/v)の5倍の濃度(w/v)でその組成物中に含まれる。 本明細書において、酸性メタリン酸ナトリウムの「重合度」とは、酸性メタリン酸ナトリウムの1分子当たりの平均重合度(数平均重合度)をいう。 本明細書において、S−アデノシルメチオニンの「安定化」とは、不安定であるS−アデノシルメチオニンの分解を抑制する効果をいう。より具体的には、本明細書におけるS−アデノシルメチオニンの「安定化」とは、一定時間経過後に未処理のものと比較してS−アデノシルメチオニンの残存量が有意に増加することをいう。 本明細書において、「飲食用組成物」とは、飲食に供される組成物をいい、例えば、健康食品、栄養補助食品またはサプリメントが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の飲食用組成物は、安定化されたS−アデノシルメチオニンを含む任意の製品をいう。本発明の飲食用組成物は、代表的に、肝硬変などの肝障害、鬱病、関節炎、骨関節症、軟骨保護、アルツハイマー病、HIV感染による末梢神経障害または脊髄症等に対する、S−アデノシルメチオニンの有用な効果を表示して販売される。本発明の飲食用組成物は、飲食用補填物であってもよい。 本発明における「健康食品」または「栄養補助食品」とは、身体に必要な栄養となる成分、または健康の維持・増進に役立つ成分であって、生理機能を有する成分を含有する食品をいう。本発明においては、この成分はS−アデノシルメチオニンであるが、他の例としては、例えば、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、コエンザイムQ10、L−カルニチン、ビール酵母や朝鮮人参エキス等が挙げられる。本発明において「栄養補助食品」と「健康食品」の用語は交換可能に使用され、特に厳密に区別されるものではない。 本明細書において、「飲食用補填物」とは、任意の飲食物に添加され、この飲食物に好ましい特性を付与し得る任意の物質をいう。本発明の飲食用補填物は、安定化されたS−アデノシルメチオニンを含む任意の製品をいう。本発明の飲食用補填物における好ましい特性としては、例えば、肝硬変などの肝障害、鬱病、関節炎、骨関節症、軟骨保護、アルツハイマー病、HIV感染による末梢神経障害または脊髄症等に対する効果が挙げられるが、これらに限定されない。 (好ましい実施形態の説明) 以下に好ましい実施形態の説明を記載するが、この実施形態は本発明の例示であり、本発明の範囲はそのような好ましい実施形態に限定されないことが理解されるべきである。当業者はまた、以下のような好ましい実施例を参考にして、本発明の範囲内にある改変、変更などを容易に行うことができることが理解されるべきである。 本発明の組成物は、従来のS−アデノシルメチオニンを含む組成物と比較して、長期間(例えば、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、1年間、またはそれ以上)経過した後に、調製直後のS−アデノシルメチオニンの約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、または約100%のS−アデノシルメチオニンを含む。好ましい実施形態において、本発明の組成物は、加速試験機内で約30日後に調製直後のS−アデノシルメチオニンの約80%以上のS−アデノシルメチオニンを含み、好ましくは加速試験機内で約40日後に調製直後のS−アデノシルメチオニンの約80%以上のS−アデノシルメチオニンを含み、より好ましくは加速試験機内で約60日後に調製直後のS−アデノシルメチオニンの約80%以上のS−アデノシルメチオニンを含む。 本発明の組成物は、S−アデノシルメチオニンと酸性メタリン酸ナトリウムとを含む混合物を乾燥することによって得られる粉末であり得る。この乾燥は、例えば凍結乾燥または噴霧乾燥により行うことができる。例えば、本発明における乾燥は、約3日間またはそれ以上凍結乾燥を行うことにより達成され得る。本発明における乾燥はまた、入口温度120〜230℃、出口温度100℃〜70℃で所望の量の粉末化が達成されるまで噴霧乾燥を行うことによっても達成され得る。 本発明の飲食用組成物は、肝硬変などの肝障害、鬱病、関節炎、骨関節症、軟骨保護、アルツハイマー病、HIV感染による末梢神経障害または脊髄症等に対して、有用な効果を有を有し得る。本発明の飲食用組成物は、飲食用補填物であり得る。 (本発明の飲食用組成物) 本発明の組成物は、飲食用組成物(栄養補助食品、健康食品を含む)であり得る。 本発明の飲食用組成物は、健康食品(特定保健用食品、栄養機能食品)、栄養補助食品(サプリメント)、食品添加物または食品補填物などを包含する。代表的には、本発明の飲食用組成物は、S−アデノシルメチオニン、および酸性メタリン酸ナトリウムの混合物を乾燥させて粉末としたものである。本発明の飲食用組成物は、S−アデノシルメチオニンを産生する酵母を含み得る。粉末状の本発明の飲食用組成物は、食品添加物または食品補填物として他の食品に添加して摂取されてもよいし、粉末状の本発明の飲食用組成物自体が、健康食品または栄養補助食品(サプリメント)等として単独で摂取されてもよい。本発明の組成物は、必要に応じてデキストリン、乳糖、澱粉等の賦型剤や香料、色素等とともにペレット、錠剤、顆粒等に加工されたり、またゼラチン等で被覆してカプセルに成形加工されてもよい。本発明の組成物は、健康食品または栄養補助食品(サプリメント)として用いるのに特に適している。代表的には、本発明の飲食用組成物は、100g当たり約3gまたはそれ以上のS−アデノシルメチオニンを含む。 本発明の飲食用組成物におけるS−アデノシルメチオニンの配合量は、当該食品の種類や状態等により一律に規定しがたいが、S−アデノシルメチオニン含量で10〜5000mg/1食、好ましくは100〜1000mg/1食であり、サプリメントの場合には約10〜100%(好ましくは、30〜100%、より好ましくは50〜100%、さらにより好ましくは80〜100%)、飲料もしくは一般食品などの場合には約0.01%以下であり得る。 本発明の飲食用組成物は、食品に通常用いられる賦形剤または添加剤を配合して、錠剤、タブレット剤、丸剤、顆粒剤、散剤、粉剤、カプセル剤、水和剤、乳剤、液剤、エキス剤、またはエリキシル剤等の剤型に調製することもできる。食品に通常用いられる賦形剤としては、シロップ、アラビアゴム、ショ糖、乳糖、粉末還元麦芽糖、セルロース糖、マンニトール、マルチトール、デキストラン、デンプン類、ゼラチン、ソルビット、トラガント、ポリビニルピロリドンのような結合剤;ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ポリエチレングリコールのような潤沢剤;ジャガイモ澱粉のような崩壊剤;ラウリル硫酸ナトリウムのような湿潤剤等が挙げられる。添加剤としては、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤などが挙げられる。 (本発明の医薬組成物) 本発明の組成物は、医薬組成物(獣医学用薬剤を含む)であり得る。 本発明の組成物を医薬品に製剤化したもの(以下、本発明の医薬組成物という)は、経口投与製剤であってもよいし、非経口投与製剤であってもよい。また、本発明の医薬組成物は、固形製剤であっても液体製剤であってもよい。 固形製剤としては、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、タブレット剤、丸剤、カプセル剤、チュアブル剤などが挙げられ、液体製剤としては、乳剤、液剤、シロップ剤などが挙げられる。本発明の医薬組成物は、100g当たり約3gまたはそれ以上のS−アデノシルメチオニンを含む。 固形製剤は、有効成分である本発明のS−アデノシルメチオニンおよび酸性メタリン酸ナトリウムに、薬学的に受容可能なキャリアまたは添加剤を配合することによって調製され得る。例えば、白糖、乳糖、ブドウ糖、でんぷん、マンニットのような賦形剤;アラビアゴム、ゼラチン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースのような結合剤;カルメロース、デンプンのような崩壊剤;無水クエン酸、ラウリン酸ナトリウム、グリセロールのような安定剤などが、本発明の医薬組成物の製剤化のために配合され得る。さらに、本発明の医薬組成物は、ゼラチン、白糖、アラビアゴム、カルナバロウなどでコーティングまたはカプセル化され得る。 液体製剤は、例えば、有効成分である本発明のS−アデノシルメチオニンおよび酸性メタリン酸ナトリウムを、水、エタノール、グリセリン、シロップ、またはこれらの混合液に溶解または分散させることにより、調製され得る。本発明の医薬組成物には、さらに、甘味料、防腐剤、粘滑剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、または着色剤のような添加剤が添加され得る。 非経口投与製剤は、当業者の公知の任意の非経口投与用の製剤であり得る。本発明の医薬組成物の非経口投与製剤としては、クリーム、スプレー、ゲル、軟膏、膏薬などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のS−アデノシルメチオニンおよび酸性メタリン酸ナトリウムを含む医薬組成物はまた、(例えば、浸漬されかつ乾燥された)包帯、ガーゼ、もしくはパッチへと直接注入され得、次いで、これらが局所に適用され得る。 本発明の医薬組成物の製剤化および投与のための技術は、例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.)に見いだされ得る。 本発明の医薬組成物の有効量および投与方法は、投与方法、処置されている状態および処置されている状態の重症度により変動し得る。通常の医師または獣医は、本発明の医薬組成物の有効量および投与方法を容易に決定することができる。 (酸性メタリン酸ナトリウム) メタリン酸ナトリウムは、リン酸(例えば、P2O5)とアルカリ(例えば、苛性ソーダまたは炭酸ソーダ)との当モル反応生成物を高温で熔融し、脱水縮合させて得られる縮合リン酸塩の総称であり、分子構造的には、単一物でなく、環状体や長鎖の鎖状構造を含む中性の縮合リン酸塩の混合物である。 これに対して、酸性メタリン酸ナトリウムは、リン酸(例えば、P2O5)と当モル未満のアルカリ(例えば、苛性ソーダまたは炭酸ソーダ)との反応生成物を熔融し、脱水縮合して得られる高分子の酸性縮合リン酸塩混合物であり、原料のモル比、反応温度等の製造条件により、異なる組成のものが得られるが、分子構造的には、環状体、鎖状体の他、中性のメタリン酸塩にはみられない網状体を含む点に特徴がある。 上記メタリン酸ナトリウムと酸性メタリン酸ナトリウムとは、リン酸(例えば、P2O5)とアルカリ(例えば、苛性ソーダまたは炭酸ソーダ)との仕込比率を変更することによって、いずれも製造することができ、そのような製造方法は当業者には周知である。メタリン酸ナトリウムおよび酸性メタリン酸ナトリウムは、いずれも、保水剤または金属イオン封鎖剤として使用される食品添加物である。最終製品をより酸性にしたい場合に酸性メタリン酸ナトリウムが使用されることが多いが、他に用途および効果においてこれら2つの添加物における差異は知られていなかった。 本明細書において、酸性メタリン酸ナトリウムは、式:{NaxHy(PO3)x+y}n(xは1以上の任意の数であり、yは1以上の任意の数であり、nは2以上の任意の数である)で表される化合物をいう。 本発明のある実施形態において、本発明において用いられる酸性メタリン酸ナトリウムのpHは、2.2以下である。 本発明のある実施形態において、本発明において用いられる酸性メタリン酸ナトリウムは、式:{NaxHy(PO3)x+y}nで表され、xとyはそれぞれ、酸性メタリン酸ナトリウムのpHが2.2以下であるような数である。 本発明のある実施形態において、本発明において用いられる酸性メタリン酸ナトリウムの数平均重合度は、2以上の任意の数であり、より好ましくは10〜300、さらに好ましくは10〜23、代表的には14である。 酸性メタリン酸ナトリウムは多数の製造者によって製造および販売されている。市販されている酸性メタリン酸ナトリウムとしては、燐化学工業株式会社(日本、富山)製の酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、エフシー化学株式会社(日本、大阪)製のニューエフシリンサンF、オルガノフードテック株式会社(日本、埼玉)製のポリリンサン 1−G、大洋化学工業株式会社(日本、東京)製のマスコリンF−2、太平化学産業株式会社(日本、大阪)製のウルトラポリン、上野製薬株式会社(日本、大阪)製のタリンサンU(登録商標)、株式会社ポリホス化学研究所(日本、大阪)製のウルトラポリホスなどが挙げられるが、これらに限定されない。 (S−アデノシルメチオニンを含む医薬組成物) S−アデノシルメチオニンは、種々の医薬用途を有することが周知である。例えば、S−アデノシルメチオニンは、肝臓障害を緩和する(例えば、肝硬変による死亡率を減少させる)こと(例えば、Lieber CS. Role of S−adenosyl−L−methionine in the treatment of liver diseases. J Hepatol 1999;30:1155-9;Williams R, Lieber CS. The role of SAMe in the treatment of liver disease. Drugs 1990;40(suppl):1-2;Mato JM, Camara J, Fernandez de Paz J, et al. S−Adenosylmethionine in alcoholic liver cirrhosis: a randomized, placebo−controlled, double−blind, multicenter clinical trial. J Hepatol 1999;30:1081-9などを参照のこと)、鬱病に対して治療効果を有すること(例えば、Janicak PG, Lipinski JD, Comaty JE, et al. S−Adenosylmethionine: a literature review and preliminary report. Ala J Med Sci 1988;25:306-13;Friedel HA, Goa KL, Benfield P. S−Adenosyl−L−methionine: a review of its therapeutic potential in liver dysfunction and affective disorders in relation to its physiological role in cell metabolism. Drugs 1989;38:389-416;Bressa GM. S−Adenosyl−L−methionine (SAMe) as antidepressant: meta−analysis of clinical studies. Acta Neurol Scand 1994;154:7-14などを参照のこと)、関節炎の処置に有用であること(例えば、Bradley JD, Flusser D, Katz BP, et al. A randomized, double blind, placebo controlled trial of intravenous loading with S−adenosylmethionine (SAM) followed by oral SAM therapy in patients with knee osteoarthritis. J Rheumatol 1994;21:905〜11;Padova C. S−Adenosylmethionine in the treatment of osteoarthritis: review of the clinical studies. Am J Med 1987;83:60〜5を参照のこと)、アルツハイマー病を改善し得ること(例えば、Morison, L. D., Smith, D. D., and Kish, S. J., Brain S−adenosylmethionine levels are severely decreased in Alzheimer’s disease. J. Neurochem., 67, 1328-1331 (1996)を参照のこと)、HIV感染による末梢神経障害または脊髄症を改善し得ること(例えば、Keating JN, Trimble KC, Mulcahy F, Scott JM, Weir DG, Evidence of brain methltransferase inhibition and early brain involvement in HIV−positive patients. Lancet, 337, 935−939, (1991);Suretees R, Hyland K, Smith I., Central nervous system methyl−group metabolism in children with neurological complications of HIV infection. Lancet, 335, 619−621, (1990);Castagna A, Le Grazie C, Accordini A, Giulidori P, Cavalli G, Bottiglieri T, Lazzarin A., Crebrospinal fluid S−adenosyl−methionine (SAMe) and glutathione concentrations in HIV infection : effect of parenteral treatment with SAMe., Neurology, 45, 1678−1683, (1995)などを参照のこと)などの医薬用途を有することが知られている。 本明細書中で、鬱病とは、代表的に精神病性の鬱病をいう。 (本発明の組成物の製造) 好ましい実施形態において、本発明の組成物は、S−アデノシルメチオニン産生能を有する酵母を培養し、S−アデノシルメチオニンを産生させ、この酵母培養培地に酸性メタリン酸ナトリウムを添加することによって製造される。この酵母は、好ましくは酵母Saccharomyces cerevisiae K−7株(清酒酵母協会7号)である。酵母培養培地への酸性メタリン酸ナトリウムの添加は、酵母の培養中に行われてもよいし、培養後に行われてもよい。好ましくは、酵母を培養してS−アデノシルメチオニンを産生させた後に培養液を除き、酵母菌体の濃縮液を得て、その濃縮液に酸性メタリン酸ナトリウムを添加する。この酵母菌体の濃縮液は、培養液を遠心分離(例えば、8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収し、その回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液とすることによって調製され得る。 別の実施形態において、本発明の組成物は、上記のように酵母によって産生されたか、または酵母内に産生されたS-アデノシルメチオニンを精製し、その精製されたS-アデノシルメチオニンに対し、または化学的に合成されたS−アデノシルメチオニンに対し、酸性メタリン酸ナトリウムを添加することによっても製造され得る。S−アデノシルメチオニンの精製法は当該分野においては周知である。本発明におけるS−アデノシルメチオニンの精製は、S−アデノシルメチオニンの濃度を高める任意の方法によって達成され得る。1つの例として、本発明におけるS−アデノシルメチオニンの精製は、S−アデノシルメチオニンを産生した酵母菌体を凍結・融解することにより得られた抽出液を濃縮および晶析することにより達成され得る。S−アデノシルメチオニン抽出液の濃縮は、S−アデノシルメチオニンの濃縮を達成することができる当業者に周知の方法によって行うことができる。この濃縮法としては、例えば、合成樹脂または陽イオン交換樹脂による吸着と逆透析による濃縮との組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。S−アデノシルメチオニンの濃縮のために使用され得る吸着剤としては、合成樹脂(例えば、合成樹脂セパビーズSP−200(三菱化学株式会社、日本、東京))が挙げられるが、これに限定されない。S−アデノシルメチオニンの濃縮のために使用され得るイオン交換樹脂としては、弱酸性陽イオン交換樹脂(例えば、アンバーライトIRC−50(オルガノ株式会社、日本、東京))が挙げられるが、これに限定されない。S−アデノシルメチオニンの濃縮のための逆透析は、逆浸透膜(例えば、逆浸透Reverse Osmosis(RO):製品名ロメンブラ(東レ株式会社、日本、東京))を用いた透析が挙げられるが、これに限定されない。S−アデノシルメチオニン濃縮液の晶析は、例えば、アセトン-メタノール系溶媒を用いることによって行うことができるが、これに限定されない。 特定の実施形態において、S−アデノシルメチオニンを産生した酵母を含む濃縮液に酸性メタリン酸ナトリウムを添加した後、この混合物を乾燥し得る。乾燥方法としては、凍結乾燥、噴霧乾燥または減圧乾燥などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明における乾燥方法としては凍結乾燥が好ましい。特定の実施形態において、上記混合物を、−80℃で一晩凍結し、凍結乾燥を72h行うことによって乾燥させることができる。 上記酵母を培養する際に使用する炭素源は、酵母が資化し得るものであれば特に制限はなく、例えば、グルコース、ショ糖、澱粉、廃糖蜜等の炭水化物、エタノール等のアルコール、または酢酸等の有機酸が挙げられる。窒素源は、使用する酵母が資化し得るものであれば特に制限はなく、例えば、アンモニア、硝酸、尿素等の無機体窒素化合物、または酵母エキス、麦芽エキス等の有機体窒素化合物を含むものが挙げられる。また、無機塩類としては、リン酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、マンガン、コバルト、銅、モリブデン等の塩が用いられ得る。さらに、S−アデノシルメチオニンの骨格を構成するメチオニン、アデニン、アデノシルリボヌクレオシドを添加して培養することもできる。 本発明におけるS−アデノシルメチオニン産生酵母の培養は、嫌気条件、好気条件のいずれでも実施可能であるが、酵母菌体を効率良く増殖させるために好気条件が好ましい。本発明におけるS−アデノシルメチオニン産生酵母の培養温度は、酵母が増殖できる範囲内の任意の温度であるが、15〜40℃の範囲での培養が好ましく、25〜35℃の範囲がさらに好ましい。本発明におけるS−アデノシルメチオニン産生酵母の培養時のpHは、酵母が増殖できる範囲内の任意のpHであるが、pH3.5〜8.0の範囲での培養が好ましく、pH4.0〜6.5の範囲がさらに好ましい。その他、本発明におけるS−アデノシルメチオニン産生酵母の培養方法および培養条件は、当業者は一般的な酵母の培養方法または培養条件に従って適切に決定することができる。特定の実施形態において、酵母は5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて、培養温度28℃、攪拌速度 500rpm、培養時間36−48h、通気量0.5VVM、培地組成(w/100mL):グルコース5%、酵母エキス0.75%、ペプトン2.0%、メチオニン0.15%の条件で培養される。 本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。 以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したのではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、請求の範囲によってのみ限定される。 (実施例1.各種リン酸化合物の安定化効果および酸性処理の影響の検討) 本実施例では、従来からS−アデノシルメチオニンを安定化することが知られているリン酸化合物であるポリリン酸ナトリウムおよびメタリン酸ナトリウムについて、その安定化効果を確認した。 酵母Saccharomyces cerevisiae K−7株(清酒酵母協会7号)、5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて、培養温度28℃、攪拌速度 500rpm、培養時間36−48h、通気量0.5VVM、培地組成(w/100mL):グルコース5%、酵母エキス0.75%、ペプトン2.0%、メチオニン0.15%で培養した。この培養液を遠心分離(8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収した。回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液を調製した。濃縮液中のS−アデノシルメチオニン濃度を測定し、ピロリン酸ナトリウム(Na4P2O7:太洋化学工業株式会社(日本、東京)製のピロリン酸四ナトリウム(結晶・無水))、ポリリン酸ナトリウム(Na5P3O10:太洋化学工業株式会社(日本、東京)製のトリポリリン酸ナトリウム)、およびメタリン酸ナトリウム((NaPO3)n:太洋化学工業株式会社(日本、東京)製のヘキサメタリン酸ナトリウム)を、それぞれS−アデノシルメチオニンの4倍量になるように菌体濃縮液に添加した。調製したサンプルを−80℃で一晩凍結した。凍結乾燥を72h行い、酵母粉末を調製した。この酵母粉末をアルミパウチに梱包し、加速試験機(Advantec,モデルTHE051FA)内(40℃、湿度75%)で保管した。この条件での加速試験機1日の保管は、常温保管の6日に相当する。定時的に酵母粉末のサンプリングを行い、過塩素酸を用いてS−アデノシルメチオニンの抽出を行った。具体的には、酵母粉末0.02gに10%過塩素酸1mLを加え、1時間抽出を行い、遠心分離(10,000rpm,10分)により上清(抽出液)を回収した。S−アデノシルメチオニンの測定は、UPLC(Waters,モデルTUV)を用い、抽出液を0.1%ギ酸+5mMノナンスルフォン酸ナトリウム混合液とアセトニトリルによるグラジェントで分析した。使用したカラムは、UK−C18(インタクト株式会社(日本、東京);4.6×250mm,3μm)であった。結果を以下の表1に示す。結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。 表1.各種リン酸化合物による安定化効果 表1に示されるように、安定化剤無添加のS−アデノシルメチオニンと比較して、安定化剤としてピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムまたはメタリン酸ナトリウムを添加したS−アデノシルメチオニンにおいては、ある程度の安定性の向上が観察された。しかしながら、この安定性の向上では不十分であると考えられるため、さらなる効率的な安定化法を検討した。 上記のS−アデノシルメチオニンとピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、またはメタリン酸ナトリウムとを含む組成物はアルカリ性を呈する。S−アデノシルメチオニンの安定化に対するpHの影響を検討するために、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、またはメタリン酸ナトリウムによるS−アデノシルメチオニンの安定化を、酸性条件下で行い、その安定化の程度を検証した。酸性処理は、S−アデノシルメチオニンの4倍量で各種リン酸化合物を添加した後に、78%硫酸でpHを1に調整することによって行った。 具体的には、酵母Saccharomyces cerevisiae K−7株(清酒酵母協会7号)、5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて、培養温度28℃、攪拌速度 500rpm、培養時間36−48h、通気量0.5VVM、培地組成(w/100mL):グルコース5%、酵母エキス0.75%、ペプトン2.0%、メチオニン0.15%で培養した。この培養液を遠心分離(8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収した。回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液を調製した。濃縮液中のS−アデノシルメチオニン濃度を測定し、ピロリン酸ナトリウム(Na4P2O7:太洋化学工業株式会社(日本、東京)製のピロリン酸四ナトリウム(結晶・無水))、ポリリン酸ナトリウム(Na5P3O10:太洋化学工業株式会社(日本、東京)製のトリポリリン酸ナトリウム)、およびメタリン酸ナトリウム((NaPO3)n:太洋化学工業株式会社(日本、東京)製のヘキサメタリン酸ナトリウム)を、それぞれS−アデノシルメチオニンの4倍量になるように菌体濃縮液に添加した。各サンプルに78%硫酸を添加し、pH1になるようにpHを調整した。調製したサンプルを−80℃で一晩凍結した。凍結乾燥を72h行い、酵母粉末を調製した。この酵母粉末をアルミパウチに梱包し、加速試験機加速試験機(Advantec,モデルTHE051FA)内(40℃、湿度75%)で保管した。この条件での加速試験機1日の保管は、常温保管の6日に相当する。定時的に酵母粉末のサンプリングを行い、過塩素酸を用いてS−アデノシルメチオニンの抽出を行った。具体的には、酵母粉末0.02gに10%過塩素酸1mLを加え、1時間抽出を行い、遠心分離(10,000rpm,10分)により上清(抽出液)を回収した。S−アデノシルメチオニンの測定は、UPLC(Waters,モデルTUV)を用い、抽出液を0.1%ギ酸+5mMノナンスルフォン酸ナトリウム混合液とアセトニトリルによるグラジェントで分析した。結果を以下の表2に示す。結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。 表2.酸性条件下での各種リン酸化合物による安定化効果 表1および表2の結果を、図1にまとめる。 以上の結果より、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムおよびメタリン酸ナトリウムによって、無添加と比較すると一定の安定化効果が得られるが、それらは不十分であること、および酸性条件下でこれらの物質による安定化を行っても有意な安定性向上は観察されないことが実証された。 (実施例2.酸性メタリン酸ナトリウムによるS−アデノシルメチオニンの安定化) 本実施例では、酸性メタリン酸ナトリウムによるS−アデノシルメチオニンの安定化効果を検討した。 酵母Saccharomyces cerevisiae K−7株(清酒酵母協会7号)、5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて、培養温度28℃、攪拌速度 500rpm、培養時間36−48h、通気量0.5VVM、培地組成(w/100mL):グルコース5%、酵母エキス0.75%、ペプトン2.0%、メチオニン0.15%で培養した。この培養液を遠心分離(8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収した。回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液を調製した。濃縮液中のS−アデノシルメチオニン濃度を測定し、酸性メタリン酸ナトリウム({NaxHy(PO3)x+y}n(燐化学工業株式会社(日本、富山)製の酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム)を、S−アデノシルメチオニンの2.5倍量、5倍量、7.5倍量および10倍量になるように菌体濃縮液に添加した。調製した4つのサンプルを−80℃で一晩凍結した。凍結乾燥を72h行い、酵母粉末を調製した。この酵母粉末をアルミパウチに梱包し、加速試験機加速試験機(Advantec,モデルTHE051FA)内(40℃、湿度75%)で保管した。この条件での加速試験機1日の保管は、常温保管の6日に相当する。定時的に酵母粉末のサンプリングを行い、過塩素酸を用いてS−アデノシルメチオニンの抽出を行った。具体的には、酵母粉末0.02gに10%過塩素酸1mLを加え、1時間抽出を行い、遠心分離(10,000rpm,10分)により上清(抽出液)を回収した。S−アデノシルメチオニンの測定は、UPLC(Waters,モデルTUV)を用い、抽出液を0.1%ギ酸+5mMノナンスルフォン酸ナトリウム混合液とアセトニトリルによるグラジェントで分析した。結果を以下の表3および図2に示す。結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。 表3.酸性メタリン酸ナトリウムによる安定化効果 驚くべきことに、酸性メタリン酸ナトリウムによって、S−アデノシルメチオニンの予想外に顕著な安定化が達成された。この安定化効果は、試験した2.5倍量〜10倍量の全ての濃度において観察され、2.5倍量〜7.5倍量の濃度においてより安定化が達成され、特に5倍量〜7.5倍量の濃度において顕著な安定化が達成された。メタリン酸ナトリウムの添加、または酸性条件下でのメタリン酸ナトリウムの添加によっては顕著な安定化が達成されなかったことを示した実施例1の結果に鑑みると、表3において実証された酸性メタリン酸ナトリウムによるS−アデノシルメチオニンの顕著な安定化は全く予想外である。 また、上記条件での加速試験機1日の保管は、常温保管の6日に相当することから、表3の結果より、酸性メタリン酸ナトリウムを添加したS−アデノシルメチオニンを常温保管した場合、約1年経過後においても約75〜90%程度が安定のまま残存することが分かる。これは、S−アデノシルメチオニンの飲食用、栄養補助用、医薬用、生薬用又は獣医学用への応用において有用である。 (実施例3.種々の酸性メタリン酸ナトリウム製品によるS−アデノシルメチオニン安定化効果) 本実施例では、製造元の異なる種々の酸性メタリン酸ナトリウム製品について、S−アデノシルメチオニン安定化効果の差異を検討した。 酵母Saccharomyces cerevisiae K−7株(清酒酵母協会7号)、5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて、培養温度28℃、攪拌速度 500rpm、培養時間36−48h、通気量0.5VVM、培地組成(w/100mL):グルコース5%、酵母エキス0.75%、ペプトン2.0%、メチオニン0.15%で培養した。この培養液を遠心分離(8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収した。回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液を調製した。濃縮液中のS−アデノシルメチオニン濃度を測定し、燐化学工業株式会社(日本、富山)製の酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、エフシー化学株式会社(日本、大阪)製のニューエフシリンサンF、オルガノフードテック株式会社(日本、埼玉)製のポリリンサン 1−G、大洋化学工業株式会社(日本、東京)製のマスコリンF−2、太平化学産業株式会社(日本、大阪)製のウルトラポリン、上野製薬株式会社(日本、大阪)製のタリンサンU(登録商標)、または、株式会社ポリホス化学研究所(日本、大阪)製のウルトラポリホスを、S−アデノシルメチオニンの4倍量になるように菌体濃縮液に添加した。また、比較例として、メタリン酸ナトリウム(オルガノフードテック株式会社(日本、埼玉)製のポリリンサン 5−Bおよび米山化学工業株式会社(日本、大阪)製のメタリン酸ナトリウム)をそれぞれ4倍量になるように菌体濃縮液に添加した。調製したサンプルを−80℃で一晩凍結した。凍結乾燥を72h行い、酵母粉末を調製した。この酵母粉末をアルミパウチに梱包し、加速試験機加速試験機(Advantec,モデルTHE051FA)内(40℃、湿度75%)で保管した。この条件での加速試験機1日の保管は、常温保管の6日に相当する。定時的に酵母粉末のサンプリングを行い、過塩素酸を用いてS−アデノシルメチオニンの抽出を行った。具体的には、酵母粉末0.02gに10%過塩素酸1mLを加え、1時間抽出を行い、遠心分離(10,000rpm,10分)により上清(抽出液)を回収した。S−アデノシルメチオニンの測定は、UPLC(Waters,モデルTUV)を用い、抽出液を0.1%ギ酸+5mMノナンスルフォン酸ナトリウム混合液とアセトニトリルによるグラジェントで分析した。各製品についての結果を以下の表4および図3に示す。以下の表における各項目と製品との対応は、以下の通りである。 A.燐化学工業株式会社(日本、富山)製の酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム B.エフシー化学株式会社(日本、大阪)製のニューエフシリンサンF C.オルガノフードテック株式会社(日本、埼玉)製のポリリンサン 1−G D.大洋化学工業株式会社(日本、東京)製のマスコリンF−2 E.太平化学産業株式会社(日本、大阪)製のウルトラポリン F.上野製薬株式会社(日本、大阪)製のタリンサンU(登録商標) G.株式会社ポリホス化学研究所(日本、大阪)製のウルトラポリホス H.(比較例)オルガノフードテック株式会社(日本、埼玉)製のポリリンサン 5−B I.(比較例)米山化学工業株式会社(日本、大阪)製のメタリン酸ナトリウム なお、結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。 表4.種々の酸性メタリン酸ナトリウム製品によるS−アデノシルメチオニン安定化 製品によって若干のばらつきはあるものの、種々の酸性メタリン酸ナトリウム製品によって、S−アデノシルメチオニンの優れた安定化が達成されることが明らかになった。 (実施例4.酸性メタリン酸ナトリウム製品のロット間でのS−アデノシルメチオニン安定化効果の差異) 本実施例では、酸性メタリン酸ナトリウム製品のロット間でのS−アデノシルメチオニン安定化効果の差異を検討した。 酵母Saccharomyces cerevisiae K−7株(清酒酵母協会7号)、5L容ジャーファーメンター(仕込み培地量:3L)を用いて、培養温度28℃、攪拌速度 500rpm、培養時間36−48h、通気量0.5VVM、培地組成(w/100mL):グルコース5%、酵母エキス0.75%、ペプトン2.0%、メチオニン0.15%で培養した。この培養液を遠心分離(8,000rpm)し、上清を除いて、菌体を回収した。回収した菌体に除いた上清液を適量加え、菌体濃縮液を調製した。濃縮液中のS−アデノシルメチオニン濃度を測定し、燐化学工業株式会社(日本、富山)製の酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ロット「11.05.21」または「11.08.21」と、大洋化学工業株式会社(日本、東京)製のマスコリンF−2のロット「1」または「2」とを、S−アデノシルメチオニンの4倍量になるように菌体濃縮液に添加した。調製した4つのサンプルを−80℃で一晩凍結した。凍結乾燥を72h行い、酵母粉末を調製した。この酵母粉末をアルミパウチに梱包し、加速試験機加速試験機(Advantec,モデルTHE051FA)内(40℃、湿度75%)で保管した。この条件での加速試験機1日の保管は、常温保管の6日に相当する。定時的に酵母粉末のサンプリングを行い、過塩素酸を用いてS−アデノシルメチオニンの抽出を行った。具体的には、酵母粉末0.02gに10%過塩素酸1mLを加え、1時間抽出を行い、遠心分離(10,000rpm,10分)により上清(抽出液)を回収した。S−アデノシルメチオニンの測定は、UPLC(Waters,モデルTUV)を用い、抽出液を0.1%ギ酸+5mMノナンスルフォン酸ナトリウム混合液とアセトニトリルによるグラジェントで分析した。結果を以下の表5および図4に示す。以下の表における各項目と製品との対応は、以下の通りである。 A.燐化学工業株式会社(日本、富山)製の酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ロット「11.05.21」 B.燐化学工業株式会社(日本、富山)製の酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ロット「11.08.2」 C.大洋化学工業株式会社(日本、東京)製のマスコリンF−2のロット「1」 D.大洋化学工業株式会社(日本、東京)製のマスコリンF−2のロット「2」 なお、結果は、各サンプルの調製時の値を100%として相対値で示されていることに注意されたい。 表5.酸性メタリン酸ナトリウム製品のロット間でのS−アデノシルメチオニン安定化効果の差異 結果から明らかなように、各製品のロット間でのS−アデノシルメチオニン安定化効果における有意な差異は見出されなかった。 以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。S−アデノシルメチオニンと酸性メタリン酸ナトリウムとを含む、飲食用組成物。前記酸性メタリン酸ナトリウムを、前記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量以上の濃度で含む、請求項1に記載の組成物。前記酸性メタリン酸ナトリウムを、前記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量〜10倍量の濃度で含む、請求項1に記載の組成物。前記酸性メタリン酸ナトリウムを、前記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量〜7.5倍量の濃度で含む、請求項1に記載の組成物。前記酸性メタリン酸ナトリウムを、前記S−アデノシルメチオニンの5〜7.5倍量の濃度で含む、請求項1に記載の組成物。S−アデノシルメチオニンと酸性メタリン酸ナトリウムとを含む、医薬組成物。前記酸性メタリン酸ナトリウムを、前記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量以上の濃度で含む、請求項6に記載の医薬組成物。前記酸性メタリン酸ナトリウムを、前記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量〜10倍量の濃度で含む、請求項6に記載の医薬組成物。前記酸性メタリン酸ナトリウムを、前記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量〜7.5倍量の濃度で含む、請求項6に記載の医薬組成物。前記酸性メタリン酸ナトリウムを、前記S−アデノシルメチオニンの5〜7.5倍量の濃度で含む、請求項6に記載の医薬組成物。鬱病または関節炎の治療のための、請求項6に記載の医薬組成物。安定なS−アデノシルメチオニンの製造方法であって、該S−アデノシルメチオニンを含む組成物に、酸性メタリン酸ナトリウムを添加する工程を包含する、製造方法。前記酸性メタリン酸ナトリウムを、前記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量以上の濃度で添加する、請求項12に記載の製造方法。前記酸性メタリン酸ナトリウムを、前記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量〜10倍量の濃度で添加する、請求項12に記載の製造方法。前記酸性メタリン酸ナトリウムを、前記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量〜7.5倍量の濃度で添加する、請求項12に記載の製造方法。前記酸性メタリン酸ナトリウムを、前記S−アデノシルメチオニンの5〜7.5倍量の濃度で添加する、請求項12に記載の製造方法。前記S−アデノシルメチオニンと前記酸性メタリン酸ナトリウムとを含む混合物を乾燥する工程をさらに包含する、請求項12に記載の製造方法。S−アデノシルメチオニンの安定化法であって、該S−アデノシルメチオニンを含む組成物に、酸性メタリン酸ナトリウムを添加する工程を包含する、方法。前記酸性メタリン酸ナトリウムを、前記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量以上の濃度で添加する、請求項18に記載の方法。前記酸性メタリン酸ナトリウムを、前記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量〜10倍量の濃度で添加する、請求項18に記載の方法。前記酸性メタリン酸ナトリウムを、前記S−アデノシルメチオニンの2.5倍量〜7.5倍量の濃度で添加する、請求項18に記載の方法。前記酸性メタリン酸ナトリウムを、前記S−アデノシルメチオニンの5〜7.5倍量の濃度で添加する、請求項18に記載の方法。 S−アデノシルメチオニンの安定化のための新規方法の提供。本発明は、S−アデノシルメチオニンと酸性メタリン酸ナトリウムとを含む、飲食用組成物を提供する。本発明はまた、安定なS−アデノシルメチオニンの製造方法であって、該S−アデノシルメチオニンを含む組成物に、酸性メタリン酸ナトリウムを添加する工程を包含する方法を提供する。本発明はさらに、S−アデノシルメチオニンの安定化法であって、該S−アデノシルメチオニンを含む組成物に、酸性メタリン酸ナトリウムを添加する工程を包含する方法を提供する。