タイトル: | 再公表特許(A1)_物質の粘弾性係数の測定方法及び物質の粘弾性係数の測定装置 |
出願番号: | 2011005810 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | G01N 5/02,G01N 11/16 |
伊藤 敦 市橋 素子 JP WO2012053189 20120426 JP2011005810 20111018 5372263 20131218 物質の粘弾性係数の測定方法及び物質の粘弾性係数の測定装置 株式会社アルバック 000231464 清水 善廣 100087745 阿部 伸一 100098545 辻田 幸史 100106611 伊藤 敦 市橋 素子 JP 2010235657 20101020 G01N 5/02 20060101AFI20140128BHJP G01N 11/16 20060101ALI20140128BHJP JPG01N5/02 AG01N11/16 B AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN 再公表特許(A1) 20140224 2012539597 14 本発明は、化学・物理・生化学・薬学・材料など分野で、溶液中での物質の吸着量測定や物性評価に用いられるセンサーを使用した物質の粘弾性係数の測定方法及び物質の粘弾性係数の測定装置に関する。 QCMの吸着による周波数変化と質量負荷の関係は以下の数14で示すSauerbreyの式が用いられる。 ところが、溶液中においての測定が主となる化学、生化学や薬学等の分野の測定の場合、大気中とは異なり溶液を吸着物質内に含むため、吸着物質は粘弾性の性質を持つ膜になることが知られている。このため、従来のQCMにおいて測定した共振周波数Fsの周波数変化は、吸着による質量負荷と溶液の粘性負荷そして吸着物質自体の粘弾性効果を含んだ値を示し、この3つの要素の分離はできていなかった。 そこで、本出願人は、特許文献1に記載した発明により、上記のFsの周波数変化量に含まれる3つの要素を分離し、それを周波数変化量としてそれぞれ算出することが可能なことを見出した。 しかしながら、分離した質量負荷による周波数変化から上記Sauerbreyの式を使って質量を換算することができても、分離した粘弾性要素から吸着物質の粘弾性係数を算出することはできなかった。 詳細には、特許文献1に記載の発明により、上記のFsの周波数変化量に含まれる3つの要素を分離し、それを周波数変化量としてそれぞれ算出することが可能なことを見出したが、質量負荷項、粘性負荷項及び粘弾性項を互いに分離することは、全ての測定において可能でなく、粘性変化が無い場合でも粘性変化項がゼロでなく計算される場合があった。また、分離した各項は周波数の値であり、粘弾性係数を算出することはできなかった。特開2007−10519号公報 そこで、本発明は、吸着物質の粘弾性の情報を、粘弾性を表すときに一般的に使われている係数G'、G''で表すことを可能とし、更には、粘弾性係数をリアルタイムで算出することが可能な物質の粘弾性係数の測定方法を提供することを目的とする。また、得られた粘弾性係数から、吸着物質の粘弾性の損失係数、剛性率及び粘性率を算出することも目的とする。 上記課題を解決するために、本発明の第1の解決手段は、溶液に両側又は片側が浸される圧電素子を用いたセンサーにより、前記溶液中で前記圧電素子表面、或いは、前記圧電素子上に固定化された膜に物質が吸着されて膜が形成される系において、前記圧電素子のN倍波(N=1,3,5・・・(N=2n+1))のうち、少なくとも2つを使用し、各N倍波において、共振周波数Fs、共振周波数のコンダクタンス値の半分のコンダクタンス値を持つ半値周波数F1,F2(F2>F1)のうちの少なくとも2つを用いて、下記の数1〜数3で表される質量負荷項、粘弾性項(1)、粘弾性項(2)及び粘弾性項(3)を算出し、 前記膜の粘弾性係数G'(貯蔵弾性率)及びG''(損失弾性率)を下記数4及び関係式G''=C*G'により算出する、(式中において、ΔFs=Δ(F1-F2)/2、G:複素弾性率(MPa)、G':貯蔵弾性率(動的弾性率)(MPa)、G'':損失弾性率(動的損失)(MPa)、ω:角周波数、ρ2:溶液の密度(g/cm3)、η2:溶液の粘度(Pa・s)、h1:形成された前記膜の厚み(nm)であり、ρ1:形成された前記膜の密度(g/cm3)、f0:基本周波数(Hz)、zq:水晶のせん断モード音響インピーダンス(gm/sec/cm2)である。)ことを特徴する。 また、本発明の第2の解決手段は、第1の解決手段において、前記粘弾性係数G'を使用し、吸着される物質の粘弾性の損失係数tanδ、吸着物質の剛性率μ、及び吸着される物質の粘性率ηを算出することを特徴とする。 また、本発明の第3の解決手段は、第1の解決手段において、前記吸着物質の粘弾性係数、損失係数、剛性率又は粘性率の算出は、前記周波数変化量の測定とともに行うことを特徴とする。 また、本発明の第4の解決手段は、第1の解決手段において、前記圧電素子は、水晶振動子、APM(ACOUSTIC PLATE MODE SENSOR)、FPW(FLEXURAL PLATE-WAVE SENSOR)又はSAW(SOURFACE ACOUSTIC-WAVE SENSOR)であることを特徴とする。 また、本発明の測定装置は、溶液に両側又は片側が浸される圧電素子を用いたセンサーを、前記溶液中で前記圧電素子表面、或いは、前記圧電素子上に固定化された膜に物質が吸着されて膜が形成される系における前記物質の粘弾性係数を測定する装置であって、 前記圧電素子の共振周波数Fs、共振周波数のコンダクタンス値の半分のコンダクタンス値を持つ半値周波数F1,F2(F2>F1)のうちの少なくとも2つを測定する測定手段と、 前記測定手段により測定された値を用いて、下記の数1〜数3で表される質量負荷項、粘弾性項(1)、粘弾性項(2)及び粘弾性項(3)を算出し、且つ、 前記膜の粘弾性係数G'(貯蔵弾性率)及びG''(損失弾性率)を下記数4及び関係式G''=C*G'により算出する演算手段と(式中において、ΔFs=Δ(F1-F2)/2、G:複素弾性率(MPa)、G':貯蔵弾性率(動的弾性率)(MPa)、G'':損失弾性率(動的損失)(MPa)、ω:角周波数、ρ2:溶液の密度(g/cm3)、η2:溶液の粘度(Pa・s)、h1:形成された前記膜の厚み(nm)、ρ1:形成された前記膜の密度(g/cm3)、f0:基本周波数(Hz)、zq:水晶のせん断モード音響インピーダンス(gm/sec/cm2)とする。)を備えたことを特徴する。 従来は吸着による質量負荷と吸着物質の粘弾性の要素を含んだ共振周波数Fsのみの測定しかできないため、粘弾性の情報を正確に得られなかった。また、特許文献1に提案した発明により質量、粘性、粘弾性の要素をそれぞれ分離して求めることが可能であったが、周波数変化量として表すことしかできなかった。 しかし、本発明によれば、得られた各要素の周波数変化量から、粘弾性を表すパラメーターとして一般的なG'、G''値を算出する方法を可能とした。また、これにより、周波数変化量を測定中にリアルタイムで粘弾性係数G'、G''を求めることが可能となり、周波数以外の物理的情報(損失係数、弾性率、粘性率)も瞬時に取得できることから、吸着物質のより正確な物性評価が可能になった。本発明の実施形態の装置構成の説明図本発明の一実施例の測定結果を示すグラフ同実施例の測定結果に基づいて算出した値の変化を示すグラフ同実施例における粘弾性率及び粘性率の変化を示すグラフ本発明の一実施の形態のN倍波等の測定周波数の説明図本発明の他の実施例において使用するための周波数変化値を示すグラフ図6の周波数変化値を使用して本発明の測定方法を使用した解析を行った結果を示すグラフ図6の周波数変化値を使用して本発明の測定方法を使用した解析を行った結果を示すグラフ 1 セル 2 測定手段(ネットワークアナライザー) 3 制御手段 4 温度制御手段 5 温調調整手段 6 第1の演算部 7 第2の演算部 8 表示部 本発明の測定原理について以下に説明する。 Martinらの伝送理論(V.E.Granstaff,S.J..Martin,J.Appl.Phys. 1994,75,1319)により粘弾性膜が溶液中で水晶振動子に吸着した場合のインピーダンスZの変化は、以下の(1)式で表される。 (1)式から、共振周波数Fsの変化は(2)式で表され、半値周波数の半分の(F1 - F2)/2(=Fw)の変化量は(3)式で表される。 また(2)及び(3)式から、(4)式で示されるように周波数F2の変化量を求めることができる。 尚、本明細書中において、G:複素弾性率(MPa)、G':貯蔵弾性率(動的弾性率)(MPa)、G'':損失弾性率(動的損失)(MPa)、ω:角周波数、ρ2:溶液の密度(g/cm3)、η2:溶液の粘度(Pa・s)、h1:形成された前記膜の厚み(nm)、ρ1:形成された前記膜の密度(g/cm3)、η1:形成された前記膜の粘性率(Pa・s)、f0:基本周波数(Hz)、zq:水晶のせん断モード音響インピーダンス(gm/sec/cm2)とする。 また、ここで膜の粘弾性のモデルとしてよく使用されるVoight モデルをG'、G''に適用する。 弾性要素のばねGとダッシュポットηを並列に接続したモデルは、以下の式で表される。 G = G' + jG" =μ+jωη ここで、ωη=Cμとおくと(C:定数、μ:剛性率(MPa))、(2)式は、以下のように変形することができる。 そして、N倍波の場合は以下の式になる。 2つの周波数のそれぞれのΔFwの値を除算することで、定数Cを含む式になる。 上記の式は、基本波(N=1)と3倍波(N=3)の周波数変化量Fwを使用した場合の式である。 測定によって得られた周波数変化量Fw3をFw1により除算することにより得られる値をAとし、その値Aを上記式の左辺に代入することで、以下の定数Cを算出することができる。 算出した値Cと、測定した基本波の周波数変化量ΔF2、ΔFw、ΔFs値から、以下の数1〜数3で示される各項の周波数変化を求める。この時、溶液の粘性負荷は生じない測定を条件とする。 粘性負荷の変化が生じるのは、バッファー溶液とサンプル溶液の粘度が大きく異なる場合であり、例えば、濃度の高いグリセロール溶液を含むサンプルをバッファー溶液に加えて測定する場合で、殆どの場合はサンプル溶液とバッファー溶液の粘度はほぼ等しく、粘性変化を生じないとして良い。 まず、ΔFwが粘弾性項(2)のみで成立しているため、 粘弾性項(2)=ΔFwとなる。 次に、粘弾性項(1)は次式で求められる。定数CはG"/G'で表すことができるので、C=G"/G'を代入し、粘弾性項(2)と乗算すると粘弾性項(1)が算出できる。 粘弾性項(1)=-(1+C)*粘弾性項(2) 質量負荷項は、ΔF2の式に上記で得られた粘弾性項(1)の値を代入することで得られる。 質量負荷項=ΔF2−粘弾性項(1) 最後に粘弾性項(3)は、ΔFsの式に上記で得られた質量負荷項の値を代入することで得られる。 粘弾性項(3)=ΔFs−質量負荷項 以上の原理により、それぞれの項が周波数変化量として分離できることがわかる。 更に、上記で得られた質量負荷項と粘弾性項(2)の周波数変化量を使用し、粘弾性係数G'、G''を下記式より算出する。尚、式中において、ω:角周波数、ρ2:溶液の密度(g/cm3)、η2:溶液の粘度(Pa・S)、ρ1:膜の密度(g/cm3)とする。 G''=C*G' また、この定数Cは粘弾性体の損失分を表す損失係数tanδ(=G''/G')にも該当する。この損失係数が0の場合は理想固体を表し、∞を示せば理想液体を表し、粘弾性体の硬軟を表すパラメーターの一つとなる。 更に得られた粘弾性係数にはVoightモデルG = G' + jG" =μ+jωηを適応していることから、吸着物質の剛性率μ(MPa)、粘性率η(Pa・s)をG'、G''値から算出することも可能である。 尚、上記の測定方法で使用されるFs,F1,F2の周波数の測定は、発振回路による方法やインピーダンスアナライザーやネットワークアナライザーなど外部機器からの周波数掃引によって得られる方法など、共振周波数Fs、共振周波数のコンダクタンス値の半分のコンダクタンス値を持つ半値周波数F1,F2(F2>F1)であれば、その測定方法を制限するものではない。 本発明の装置は、図1に示すように、圧電素子を備えたセル1を、測定手段であるネットワークアナライザー2を介して、ネットワークアナライザー2の制御を行う制御手段3、ネットワークアナライザー2で測定された周波数の周波数成分を演算するための第1の演算部6及び第1の演算部6で得られた結果を用いて膜厚及び粘弾性の演算を行う第2の演算部7、各演算部で得られた周波数、粘弾性等の値を交互乃至は同時に表示するための表示手段8から構成される。尚、制御手段3、演算部6,7及び表示部8は、通常のパソコンとモニタにより構成することができる。 また、図示した例では、セル1の温度調整を行うために、ペルチェ素子等の温度制御手段4をセル1の下面に備え、温度制御手段4を調整するための温度調整手段5を、同様に制御手段3により制御する構成としている。 また、上記説明したものでは、基本波と3倍波とを使用したが、図5に示すような、基本波を含むオーバートーンの周波数のうちの少なくとも2つの周波数であれば、本発明を使用することができる。 また、本発明において使用される圧電素子は、上記対象となる周波数を測定できるものであれば制限はなく、水晶振動子、APM(ACOUSTIC PLATE MODE SENSOR)、FPW(FLEXURAL PLATE-WAVE SENSOR)又はSAW(SOURFACE ACOUSTIC-WAVE SENSOR)も使用することができる。 上記図1を参照して説明した装置を使用し、本発明により27MHzの基本波と3倍波を使用して、下記表1に示す生体分子膜などの粘弾性係数求めた結果を同表に示す。 尚、実験に用いた各サンプルについては以下の通りである。1)50nmビーズ(ラテックスビーズで測定時の終濃度は10μg/ml)2)Neutravidin(球状タンパク質で測定時の終濃度は10μg/ml)3)ssDNA 30mer( 1本鎖DNAで長さ30mer、測定時の終濃度は1μg/ml)4)ssDNA 60mer( 1本鎖DNAで長さ60mer、測定時の終濃度は1μg/ml)4)ssDNA 90mer( 1本鎖DNAで長さ90mer、測定時の終濃度は1μg/ml)5)dsDNA 90mer( 2本鎖DNAで長さ90mer、測定時の終濃度は1μg/ml) 次に、具体的に、ssDNA90merの基本波(N1)、3倍波(N3)の測定データを図2〜図4に示す。 図2は、上記2種類の異なる周波数のそれぞれのΔF2、ΔFwの測定データを示すグラフであり、この測定データからリアルタイムでDNA膜の粘弾性係数G'、G''を算出したものを図3のグラフに示す。 図3で得られた粘弾性係数から、同様にリアルタイムでDNA膜の弾性率と粘性率を求めた結果を、図4のグラフに示す。 上記の結果から、本実施例の方法によって、周波数変化量から粘弾性係数G'、G''を求めることが可能となり、測定時にリアルタイムで、測定対象物の損失係数、弾性率や粘性率の測定が可能であることがわかった。 次に、本発明の測定方法を使用した他の実施例について説明する。 図6は測定して得られた周波数変化値を示し、図7及び図8はその周波数変化値を使用して本発明の測定方法を使用した解析を行った結果を示す。 各図において、a〜cは、以下の通りである。a.溶液中で金電極上にNeutrAvidin(タンパク質)を修飾し、安定化させる領域。b.60merビオチン化DNAをインジェクションした時の変化領域。c.上記ビオチン化DNAの相補鎖である60merDNAをインジェクションし、ハイブリダイセージョンが起こったときの変化領域。 図6〜図8から、従来のQCMの測定法では、図1のbの領域又はcの領域で、ΔFsやΔF2が変化していることから、吸着現象が起こっていることは解るが、吸着した膜の粘弾性を数値化することはできないが、本発明の方法によれば、溶液中で電極上に形成された膜の粘弾性係数や質量や膜厚等の物性値を算出することが可能となった。 図7のbからcで起こっているΔG’値の粘弾性変化は、一本鎖DNAが相補鎖とハイブリダイゼーションを起こしたことで、DNAの膜の硬さが増したことを示す。損失係数と呼ばれるtanδは、完全固体ではゼロ、完全溶液では∞の値を示すが、そのtanδが減少していることからも、膜の硬度が増していることが解る。 また、図8では、一本鎖DNAの吸着、相補鎖の吸着が、質量の増加で計測できていることが解った。 溶液に両側又は片側が浸される圧電素子を用いたセンサーにより、前記溶液中で前記圧電素子表面、或いは、前記圧電素子上に固定化された膜に物質が吸着されて膜が形成される系において、 前記圧電素子のN倍波(N=1,3,5・・・(N=2n+1))のうち、少なくとも2つを使用し、各N倍波において、共振周波数Fs、共振周波数のコンダクタンス値の半分のコンダクタンス値を持つ半値周波数F1,F2(F2>F1)のうちの少なくとも2つを用いて、下記の数1〜数3で表される質量負荷項、粘弾性項(1)、粘弾性項(2)及び粘弾性項(3)を算出し、 前記膜の粘弾性係数G'(貯蔵弾性率)及びG''(損失弾性率)を下記数4及び関係式G''=C*G'により算出する、(式中において、ΔFs=Δ(F1-F2)/2、G:複素弾性率(MPa)、G':貯蔵弾性率(動的弾性率)(MPa)、G'':損失弾性率(動的損失)(MPa)、ω:角周波数、ρ2:溶液の密度(g/cm3)、η2:溶液の粘度(Pa・s)、h1:形成された前記膜の厚み(nm)、ρ1:形成された前記膜の密度(g/cm3)、f0:基本周波数(Hz)、zq:水晶のせん断モード音響インピーダンス(gm/sec/cm2)とする。)ことを特徴する物質の粘弾性係数の測定方法。 前記粘弾性係数G'を使用し、吸着される物質の粘弾性の損失係数tanδ、吸着物質の剛性率μ、及び吸着される物質の粘性率ηを算出することを特徴とする請求項1記載の物質の粘弾性係数の測定方法。 前記吸着物質の粘弾性係数、損失係数、剛性率又は粘性率の算出は、前記周波数変化量の測定とともに行うことを特徴とする請求項1に記載の物質の粘弾性係数の測定方法。 前記圧電素子は、水晶振動子、APM(ACOUSTIC PLATE MODE SENSOR)、FPW(FLEXURAL PLATE-WAVE SENSOR)又はSAW(SOURFACE ACOUSTIC-WAVE SENSOR)であることを特徴とする請求項1に記載の物質の粘弾性係数の測定方法。 溶液に両側又は片側が浸される圧電素子を用いたセンサーを、前記溶液中で前記圧電素子表面、或いは、前記圧電素子上に固定化された膜に物質が吸着されて膜が形成される系における前記物質の粘弾性係数を測定する装置であって、 前記圧電素子の共振周波数Fs、共振周波数のコンダクタンス値の半分のコンダクタンス値を持つ半値周波数F1,F2(F2>F1)のうちの少なくとも2つを測定する測定手段と、 前記測定手段により測定された値を用いて、下記の数1〜数3で表される質量負荷項、粘弾性項(1)、粘弾性項(2)及び粘弾性項(3)を算出し、且つ、 前記膜の粘弾性係数G'(貯蔵弾性率)及びG''(損失弾性率)を下記数4及び関係式G''=C*G'により算出する演算手段と(式中において、ΔFs=Δ(F1-F2)/2、G:複素弾性率(MPa)、G':貯蔵弾性率(動的弾性率)(MPa)、G'':損失弾性率(動的損失)(MPa)、ω:角周波数、ρ2:溶液の密度(g/cm3)、η2:溶液の粘度(Pa・s)、h1:形成された前記膜の厚み(nm)、ρ1:形成された前記膜の密度(g/cm3)、f0:基本周波数(Hz)、zq:水晶のせん断モード音響インピーダンス(gm/sec/cm2)とする。)を備えたことを特徴する物質の粘弾性係数の測定装置。 【課題】 吸着物質の粘弾性の情報を、粘弾性を表すときに一般的に使われている係数G' 、G''で表すことを可能とし、更には、粘弾性係数をリアルタイムで算出することが可能な物質の粘弾性係数の測定方法及び物質の粘弾性係数の装置を提供する。【解決手段】 溶液中で圧電素子表面か圧電素子上に固定化された膜に物質が吸着されて膜が形成される系において、圧電素子のN倍波のうち、少なくとも2つを使用し、各N倍波において、共振周波数Fs、共振周波数のコンダクタンス値の半分のコンダクタンス値を持つ半値周波数F1,F2(F2>F1)のうちの少なくとも2つを用いて、質量負荷項、粘弾性項、粘弾性項及び粘弾性項を算出し、膜の粘弾性係数G'(貯蔵弾性率)及びG''(損失弾性率)を算出する。