生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ヒト肝細胞が移植されたマウス
出願番号:2010546546
年次:2012
IPC分類:A01K 67/027,C12N 15/09,C12Q 1/02,C12N 7/00,C12N 5/074,A61K 45/00,A61P 1/16,A61P 31/14,G01N 33/50,G01N 33/15,G01N 33/48


特許情報キャッシュ

末水 洋志 川井 健司 中村 雅登 長谷川 雅巳 JP 5073836 特許公報(B2) 20120831 2010546546 20091006 ヒト肝細胞が移植されたマウス 公益財団法人実験動物中央研究所 390016470 中外製薬株式会社 000003311 平木 祐輔 100091096 藤田 節 100118773 田中 夏夫 100111741 末水 洋志 川井 健司 中村 雅登 長谷川 雅巳 JP 2009008097 20090116 20121114 A01K 67/027 20060101AFI20121025BHJP C12N 15/09 20060101ALI20121025BHJP C12Q 1/02 20060101ALI20121025BHJP C12N 7/00 20060101ALI20121025BHJP C12N 5/074 20100101ALI20121025BHJP A61K 45/00 20060101ALI20121025BHJP A61P 1/16 20060101ALI20121025BHJP A61P 31/14 20060101ALI20121025BHJP G01N 33/50 20060101ALI20121025BHJP G01N 33/15 20060101ALI20121025BHJP G01N 33/48 20060101ALI20121025BHJP JPA01K67/027C12N15/00 AC12Q1/02C12N7/00C12N5/00 202DA61K45/00A61P1/16A61P31/14G01N33/50 ZG01N33/15 ZG01N33/48 M A01K 67/027 C12N 5/074 C12N 15/09 C12Q 1/02 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) PubMed CiNii 特表2003−512846(JP,A) 特許第3753321(JP,B2) 国際公開第03/080821(WO,A1) 国際公開第2008/151283(WO,A1) 特開2008−022853(JP,A) BLOOD,2002年11月 1日,Vol. 100, No. 9,pp. 3175-3182 32 JP2009067688 20091006 WO2010082385 20100722 85 20120313 特許法第30条第1項適用 Biochemical and Biophysical Research Communications第377巻第1号(平成20年10月7日sciencedirectに掲載)エルゼビア発行第248−252頁に発表 太田 雄三 本発明は、ヒトの肝細胞が移植されたマウスであって、チミジンキナーゼ遺伝子がその肝臓において発現可能に保持され、グアノシンアナログ、及び、ヒトより単離された肝細胞が投与されたマウスに関する。さらに、本発明は、ヒトの肝細胞が移植されたマウスであって、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子遺伝子がその肝臓において発現可能に保持され、ヒトより単離された肝細胞が投与されたNOGマウスに関する。また、ヒトの肝細胞が移植されたマウスの作製方法であって、チミジンキナーゼ遺伝子がその肝臓において発現可能に保持されるマウスにグアノシンアナログ、及び、ヒトより単離された肝細胞を投与することを含む作製方法に関する。前記のこれらのマウスを用いて被験物質の血漿中動態を測定する方法、被験物質の代謝物を同定する方法、及び、被験物質の代謝速度を測定する方法に関する。さらに、前記のこれらのマウスに肝指向性病原体を感染させたマウスモデル、当該マウスモデルを使用した肝指向性病原体に対する薬剤及びワクチンのスクリーニング方法に関する。 ヒトに特異的な肝炎ウイルスの感染や、投与された薬剤の代謝、又は、ヒト肝臓の増殖を解析することを目的とする、ヒト肝細胞を保持する免疫寛容マウスがいくつかのグループによってこれまでに作出されてきている。これらのマウスはウロキナーゼ型・プラスミノーゲン活性化因子(uPA)のトランス遺伝子がその肝臓中で発現するように保持された免疫不全マウスにヒトの肝細胞が移植されたものである。こうしたマウスにはヒトに特異的な肝炎ウイルスが感染できることが知られている(非特許文献1及び2)。また、こうしたマウスから由来する肝細胞はヒト肝臓において見出される酵素を発現し(非特許文献3)、被験物質からヒトに特異的な代謝物が生成される(非特許文献4)ことが知られている。 ヒト肝細胞の置換率が50%程度と低く、ヒト肝細胞の移植後生存期間が50日程度のマウスであっても、上記のような肝炎ウイルスの感染試験等の一定の目的には利用できることが知られている(特許文献1及び2)。一方、例えばヒトの治療用薬剤の血漿中動態やその代謝物を測定するという目的のためには、宿主動物由来の肝細胞による影響を可能な限り排除する必要があることから、ヒト肝細胞の置換率の上昇が求められていた。ところが、uPAトランス遺伝子は肝細胞の増殖に重要なマトリックスメタロプロテアーゼの活性を調節するプラスミノーゲンを活性化するため、uPAトランス遺伝子の発現はそれ自身、肝幹細胞に対して持続的かつ進行性の傷害を引き起こす。そのため、uPAトランス遺伝子のホモ接合体の胎生致死率は30%と高く、また肝細胞の移植時期も5〜17日齢と制限が認められる(特許文献1)上に、ヘテロ接合体での系統の維持を行った上で得られたホモ接合体を致死に至らしめないためにラットの肝細胞の移植等の処置が必要であり(特許文献2)、その系統の維持には煩雑な作業が必要であるとともに所望の特性を有するマウスを作出する頻度も極めて低頻度であった。また、腎傷害や低繁殖率等の副作用が多いことが知られている。そのため、宿主の成育を促進しヒト肝細胞の置換率を上昇させる試みとして、宿主のマウスに対してヒト補体からの攻撃防御のための薬剤を投与したり(特許文献3)、ヒト成長ホルモンを投与したり(特許文献4)する試みが行われてきている。また、拒絶反応に関わるマウスのNK細胞を除去する抗体である抗アシアロGM1抗体をヒト肝細胞の移植前日に投与することによりヒト肝細胞の置換率を上昇させる試みも実施されている。こうしたマウスにおけるヒト肝細胞の置換率は70%程度に留まっていることが知られている。 最近、フマリルアセト酢酸ヒドラーゼ(Fah)ノックアウトマウス(Fah−/−/Rag2−/−/II2rg−/−)(FRGマウス)を宿主としたキメラマウスが作出された(非特許文献4)。しかし、アデノウイルス自身には種特異性がないためマウス中のその残存によるヒト肝細胞に対する傷害の可能性が考えられる。事実、FRGマウスのヒト血清アルブミンのレベルはFRGマウスにおけるヒトの肝細胞の置換レベルから期待される値と比較して低く、ヒトの肝細胞に特異的な薬剤代謝酵素のいくつかの遺伝子はFRGマウスにおけるヒトの肝細胞の置換レベルから期待されるレベルでの発現が観察されなかった(非特許文献5)。国際公開第WO2001067854号パンフレット国際公開第WO2001087059号パンフレット国際公開第WO2003080821号パンフレット国際公開第WO2007004547号パンフレットDandri,M.et al.J.Hepatol.(2005)42,54−60Tateno,C.et al.Am.J.Pathol.(2004)165,901−912Katoh,M.et al.J.Pharm.Sci.(2007)96,428−437Azuma,H.et al.Nat.Biotechnol.(2007)25,903−910Shafritz,DA.et al.Nat.Biotechnol.(2007)25,871−872Sandgren,EP.et al.Cell(1991)66,245−256 本発明はこのような状況に鑑みて為されたものであり、その目的は、ヒトの肝細胞が移植されたマウスであって、チミジンキナーゼ遺伝子がその肝臓において発現可能に保持され、グアノシンアナログ、及び、ヒトより単離された肝細胞が投与されたマウス、当該マウスの作製方法、ヒトの肝細胞が移植されたマウスであって、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化遺伝子がその肝臓において発現可能に保持され、ヒトより単離された肝細胞が投与されたNOGマウス、前記のこれらのマウスを用いて被験物質の血漿中動態を測定する方法、当該マウスを用いて被験物質の代謝物を同定する方法、当該マウスを用いて被験物質の代謝速度を測定する方法、前記のこれらのマウスに肝指向性病原体を感染させたマウスモデル、当該マウスモデルを使用した肝指向性病原体に対する薬剤及びワクチンのスクリーニング方法を提供することにある。 本明細書はより具体的には、以下の発明;[1] 外来チミジンキナーゼ遺伝子がその肝臓において特異的に発現可能に保持され、マウスの肝細胞がヒトの肝細胞に置換された、ヒトの肝細胞が移植されたマウス、[2] 肝臓がヒト肝臓の3次元構造又は機能を有している[1]のヒトの肝細胞が移植されたマウス、[3] チミジンキナーゼ遺伝子が、ヒト単純ヘルペスウイルス1型―チミジンキナーゼ(HSV−tk)遺伝子である[1]又は[2]のヒトの肝細胞が移植されたマウス、[4] マウスの肝細胞の75%以上がヒトの肝細胞に置換された[1]から[3]のいずれかのヒトの肝細胞が移植されたマウス、[5] マウスの肝細胞の80%以上がヒトの肝細胞に置換された[1]から[3]のいずれかのヒトの肝細胞が移植されたマウス、[6] マウスの肝細胞の90%以上がヒトの肝細胞に置換された[1]から[3]のいずれかのヒトの肝細胞が移植されたマウス、[7] マウスの肝細胞の95%以上がヒトの肝細胞に置換された[1]から[3]のいずれかのヒトの肝細胞が移植されたマウス、[8] マウスが免疫不全マウスである[1]から[7]のいずれかのヒトの肝細胞が移植されたマウス、[9] 免疫不全マウスがNOD/SCIDマウス、RAG−2とIL−2Rγcを欠損するdKOマウス(RAG−2 KO、IL−2Rnull)、又はNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスである[8]のヒトの肝細胞が移植されたマウス、[10] RAG−2とIL−2Rγcを欠損するdKOマウスが、Balb/c dKOマウス(RAG−2 KO、IL−2Rnull)、又はNOD dKOマウス(RAG−2 KO、IL−2Rnull)である[9]のヒトの肝細胞が移植されたマウス、[11] ヒトより単離された肝細胞がヒト肝細胞株である[1]から[10]のいずれかのヒトの肝細胞が移植されたマウス、[12] ヒト肝細胞株が、HepG2、Hep3B、又はHuH−7である[11]のヒトの肝細胞が移植されたマウス、[13] ヒトより単離された肝細胞が初代培養された肝細胞である[1]から[10]のいずれかのヒトの肝細胞が移植されたマウス、[14] チミジンキナーゼ遺伝子がアルブミンプロモーター、LST−1 プロモーター、αフェトプロテインプロモーター、又はα−TTPプロモーターの制御下に配置されることによりチミジンキナーゼ遺伝子がその肝臓において特異的に発現可能に保持される[1]から[13]のいずれかのヒトの肝細胞が移植されたマウス、[15] ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子遺伝子がその肝臓において特異的に発現可能に保持され、マウスの肝細胞がヒトの肝細胞に置換された、ヒトの肝細胞が移植されたNOG(NOD/SCID/γcnull)変異を有するマウス、[16] ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子遺伝子がマウスウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子遺伝子である[15]に記載のマウス、[17] マウスの肝細胞の75%以上がヒトの肝細胞に置換された[15]又は[16]のヒトの肝細胞が移植されたマウス、[18] マウスの肝細胞の80%以上がヒトの肝細胞に置換された[15]又は[16]のヒトの肝細胞が移植されたマウス、[19] マウスの肝細胞の90%以上がヒトの肝細胞に置換された[15]又は[16]のヒトの肝細胞が移植されたマウス、[20] マウスの肝細胞の95%以上がヒトの肝細胞に置換された[15]又は[16]のヒトの肝細胞が移植されたマウス、[21] ヒトより単離された肝細胞がヒト肝細胞株である[15]から[20]のいずれかのヒトの肝細胞が移植されたマウス、[22]ヒト肝細胞株が、HepG2、Hep3B、又はHuH−7である[21]のヒトの肝細胞が移植されたマウス、[23] ヒトより単離された肝細胞が初代培養された肝細胞である[15]から[20]のいずれかのヒトの肝細胞が移植されたマウス、[24] ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子遺伝子がアルブミンプロモーター、LST−1プロモーター、αフェトプロテインプロモーター、又はα−TTPプロモーターの制御下に配置されることによりウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子遺伝子がその肝臓において特異的に発現可能に保持される[15]から[23]のいずれかのヒトの肝細胞が移植されたマウス、[25] マウスの肝細胞がヒトの肝細胞に置換された、ヒトの肝細胞が移植されたNOG(NOD/SCID/γcnull)変異を有するマウス、[26] ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子遺伝子及び外来チミジンキナーゼ遺伝子がその肝臓において特異的に発現可能に保持された[24]のマウス、[27] ヒトの肝細胞が移植され、マウスの肝細胞がヒトの肝細胞に置換されたマウスの作製方法であって、マウスにチミジンキナーゼ遺伝子を肝臓において特異的に発現可能に保持されるように導入し、該マウスに自殺基質、及びヒトより単離された肝細胞を投与し、マウス肝細胞を傷害しマウス肝細胞をヒト肝細胞で置換することを含む、ヒトの肝細胞が移植されたマウスの作製方法、[28] チミジンキナーゼ遺伝子が、ヒト単純ヘルペスウイルス1型―チミジンキナーゼ(HSV−tk)遺伝子である[27]のヒトの肝細胞が移植されたマウスの作製方法、[29] 自殺基質がチミジンキナーゼにより毒性物質に代謝される物質である[27]又は[28]のヒトの肝細胞が移植されたマウスの作製方法、[30] 代謝される物質がアシクロビル、又はガンシクロビルである[29]のヒトの肝細胞が移植されたマウスの作製方法、[31] マウスが免疫不全マウスである[27]から[30]のいずれかのヒトの肝細胞が移植されたマウスの作製方法、[32] 免疫不全マウスがNOD/SCIDマウス、RAG−2とIL−2Rγcを欠損するdKOマウス(RAG−2 KO、IL−2Rnull)、又はNOGマウスである[31]のヒトの肝細胞が移植されたマウスの作製方法、[33] ヒトより単離された肝細胞がヒト肝細胞株である[27]から[32]のいずれかのヒトの肝細胞が移植されたマウスの作製方法、[34] ヒト肝細胞株が、HepG2、Hep3B、又はHuH−7である[33]の方法、[35] ヒトより単離された肝細胞が初代培養された肝細胞である[27]から[32]のいずれかのヒトの肝細胞が移植されたマウスの作製方法、[36] チミジンキナーゼ遺伝子がアルブミンプロモーター、LST−1プロモーター、αフェトプロテインプロモーター、又はα−TTPプロモーターの制御下に配置されることによりチミジンキナーゼ遺伝子がその肝臓において特異的に発現可能に保持されることを特徴とする[27]から[35]のいずれかのヒトの肝細胞が移植されたマウスの作製方法、[37] [27]から[36]のいずれかの方法で得られたヒトの肝細胞が移植されたマウス、[38] [1]から[26]及び[37]のいずれかのマウスを用いて被験物質の血漿中動態を測定する方法、[39] [1]から[26]及び[37]のいずれかのマウスを用いて被験物質の代謝物を同定する方法、[40] [1]から[26]及び[37]のいずれかのマウスから単離された肝細胞を用いて被験物質の代謝物を同定する方法、[41] [1]から[26]及び[37]のいずれかのマウスを用いて被験物質の代謝速度を測定する方法、[42] 以下の工程;(i) [1]から[26]及び[37]のいずれかのマウスを作製する工程;及び(ii) ヒトHCVを(i)に記載のマウスに接種する工程;を含む、ヒトC型肝炎ウイルス(HCV)が感染したマウスを作製する方法、[43] [42]の方法で作製されるヒトC型肝炎ウイルス(HCV)が感染したマウス、[44] 以下の工程;(i) [1]から[26]及び[37]のいずれかのマウスにヒトHCVを投与する工程;及び(ii) 宿主内でヒトHCVの複製が起こる十分な期間をおいた後にヒトHCVを感染宿主から単離する工程;を含む、ヒトC型肝炎ウイルス(HCV)の培養方法、[45] 以下の工程;(i) [1]から[26]及び[37]のいずれかのマウスに候補薬剤を投与する工程;及び(ii) 候補薬剤がHCV感染に及ぼす作用を分析する工程であって、未投与のマウスに対する、又は候補薬剤投与前のマウスにおける感染量に対するヒトHCVの感染量の低下が、該薬剤の抗HCV活性を意味する工程;を含む、抗HCV活性を有する候補薬剤をスクリーニングする方法、[46] 候補薬剤をヒトHCVの感染前に投与する、[45]の方法、[47] 抗HCV活性を有する候補薬剤が抗HCV抗体又はそのHCV結合性断片である、[45]又は[46]の方法、[48] 以下の工程;(i) [1]から[26]及び[37]のいずれかのマウスの免疫を再構成する工程;(ii) (i)のマウスに候補ワクチンを投与する工程;及び(iii) 該ワクチンがHCV感染に及ぼす作用を分析する工程であって、未投与のマウスに対する、又は該ワクチン投与前のマウスにおける感染量に対するヒトHCVの感染量の低下が、該ワクチンの抗HCV活性を意味する工程;を含む、能動免疫療法に用いる抗HCV活性を有する候補ワクチンをスクリーニングする方法、[49] 以下の工程;(i) [1]から[26]及び[37]のいずれかのマウスの免疫を再構成する工程;(ii) (i)のマウスに治療用ワクチン接種用の候補ワクチンを投与する工程;及び(iii) 該ワクチンがHCV感染に及ぼす作用を分析する工程であって、未投与のマウスに対する、又は該ワクチン投与前のマウスにおける感染量に対するヒトHCVの感染量の低下が、該ワクチンの抗HCV活性を意味する工程;を含む、抗HCV活性を有する治療用ワクチン接種用の候補ワクチンをスクリーニングする方法、[50] [1]から[26]及び[37]のいずれかのマウスを用いて肝幹細胞を探索する方法であって、マウスに生着した肝組織から肝幹細胞を同定することを含む方法、[51] [1]から[26]及び[37]のいずれかのマウスを用いて肝幹細胞を含む細胞集団を採取する方法であって、マウスに生着した肝組織から肝幹細胞を含む細胞集団を採取することを含む方法、[52] [1]から[26]及び[37]のいずれかのマウスを用いて再構築されたヒト肝臓組織、[53] チミジンキナーゼ遺伝子および/またはウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子遺伝子がその肝臓において発現可能に保持され、ヒト肝細胞を肝臓に生着させることができるマウス、[54] チミジンキナーゼ遺伝子が単純ヘルペスウイルス1型チミジンキナーゼである、[53]のマウス、[55] マウスが免疫不全マウスである、[53]または[54]のマウス、[56] 免疫不全マウスがNOD/SCIDマウス、RAG−2とIL−2Rγcを欠損するdKOマウス(RAG−2 KO、IL−2Rnull)、又はNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスである、[55]のマウス、並びに[57] RAG−2とIL−2Rγcを欠損するdKOマウスが、Balb/c dKOマウス(RAG−2 KO、IL−2Rnull)、又はNOD dKOマウス(RAG−2 KO、IL−2Rnull)である、[56]のマウス、を提供する。 本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2009−008097号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。 図1は、単純ヘルペスウイルス1型チミジンキナーゼ(UL23又はHSVtk)遺伝子発現ユニットの構造を示す図である。 図2は、TK−NOGマウスのトランスジーンの制限地図と構造、および、実施例で用いたプローブの位置を示す図である。 図3は、ヒト肝細胞を移植したTK−NOGマウスの血清中のヒトアルブミン濃度を示す図である。 図4は、ヒト肝細胞を移植したTK−NOGマウスの血清中のタンパク質を示す図である。 図5は、ヒト肝細胞を移植したTK−NOGマウスの肝臓で発現したmRNAを示す図である。 図6は、ヒト肝細胞を移植したTK−NOGマウスの肝臓の組織学と免疫組織染色(immunohistochemical staining)の結果を示す図である。 図7は、CFDAを投与した、ヒト肝細胞を移植したTK−NOGマウスの肝臓における毛細胆管(BC)へのカルボキシフルオレセイン(CF)の排出を示す図である。 図8は、CFDAを投与した、ヒト肝細胞を移植したTK−NOGマウスの肝臓におけるヒトの肝細胞の移植の52日後に得た、2匹の異なったTK−NOGマウスの肝臓h−CK8/18免疫組織染色の結果を示す図である。 図9は、CFDAを投与した、ヒト肝細胞を移植したTK−NOGマウスにおける糞へのCF分泌量を示す図である。 図10は、CFDAを投与した、ヒト肝細胞を移植したTK−NOGマウスにおける胆汁のCF代謝産物の存在を示す図である。 図11は、CFDAを投与した、ヒト肝細胞を移植したTK−NOGマウスにおける胆汁のマウス及びヒトトランスフェリンの解析結果を示す図である。 図12は、ヒト肝細胞を移植したTK−NOGマウスから得た肝臓切片のH&E及びグルタミン合成酵素(GS)の免疫組織染色を示す図である。 図13は、HSVtk発現ユニットの染色体上の位置を示す図である。 図14は、TK−NOGマウスのトランスジーンの分子分析の結果を示す図である。 図15は、HSVtkトランスジーン発現のRT−PCR分析の結果を示す図である。 図16は、ガンシクロビル(GCV)投与TK−NOGマウス(Tg HSVtk)及び非トランスジェニックNOGマウス(NTg)における、血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の活性を示す図である。 図17は、ガンシクロビル(GCV)投与TK−NOGマウス(Tg HSVtk)の肝臓を示す図である。 図18は、GCVを投与した、ヒトの肝細胞を移植したTK−NOGマウスの血清ヒトアルブミン濃度を示す図である。 図19は、GCVを投与した、ヒトの肝細胞を移植したTK−NOGマウスにおけるヒト血清アルブミン濃度と置換インデックス(RI)の間の相関関係を示す図である。 図20は、GCVを投与した、ヒトの肝細胞を移植しヒト肝細胞が再増殖したTK−NOGマウスにおけるヒトの遺伝子発現を示す図である。 図21は、GCVを投与した、ヒトの肝細胞を移植しヒト肝細胞が再増殖したTK−NOGマウスにおける腎臓の組織病理学解析の結果を示す図である。 図22は、ヒトの肝細胞を移植しヒト肝細胞が再増殖したTK−NOGマウスの肝臓のマウスアルブミン及びヒトアルブミン染色の免疫蛍光2重染色の結果を示す図である。 図23は、ヒトの肝細胞を移植しヒト肝細胞が再増殖したTK−NOGマウスにおけるクローン増殖性ヒト肝細胞コロニーの顕微解剖の結果を示す図である。 図24は、ヒトとマウスの肝細胞の区別のためのPCR分析の結果を示す図である。 図25は、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)遺伝子発現ユニットの構造を示す図である。 図26は、uPA−NOGマウスのトランスジーンの制限地図と構造、および、実施例で用いたプローブの位置を示す図である。 図27は、uPAトランスジーン発現のRT−PCR分析の結果を示す図である。 図28は、ヘミ接合型(Tg/+)及びホモ接合型(Tg/Tg)トランスジェニックuPA−NOGマウスにおける、血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の活性を示す図である。 図29は、ホモ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウス(Tg/Tg)肝臓の肉眼像及び肝細胞傷害像を示す図である。図29のスケールバーは100μmである。Pは門脈路を示し、Cは中心静脈を示す。 図30は、uPA−NOGマウスに導入されたuPAトランスジーンのサザンブロット法による分子解析の結果を示す図である。 図31は、ヒトの肝細胞を移植したヘミ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウス(Tg/+)及びホモ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウス(Tg/Tg1)の肝臓肉眼像を示す図である。 図32は、uPA−NOGマウスの血清ヒトアルブミン濃度の推移と体重変化を示す図である。 図33は、マウス血清、ヒト血清、ヒト肝細胞が移植されたヘミ接合型(Tg/+)及びホモ接合型(Tg/Tg1及び2)トランスジェニックuPA−NOGマウスの血清を免疫ブロット法により解析した結果を示す図である。 図34は、ヒト肝細胞が移植されたホモ接合型(Tg/Tg1及び2)トランスジェニックuPA−NOGマウス肝臓の組織学と免疫組織染色の結果を示す図である。 図35は、ヒト化肝臓を有するマウス生体内でのDebrisoquin及びS−Warfarineの代謝を表す。 図36は、ヒト化肝臓を有するマウスにおけるKi−67抗原を発現するヒト増殖性肝細胞の検出を表す。 図37は、TK−Balb/c dKOマウス及びNOD dKOマウスにおける、ヒトサイトケラチン8/18抗体にて染色されるヒト肝細胞の生着を示す。 以下、本発明を詳細に説明する。 本願発明において開示される、チミジンキナーゼは元来生体内においてチミジンをリン酸化してチミジル酸を合成する酵素活性を有するが、正常な細胞中では律速段階となっており殆ど検出されない。そのため、チミジンキナーゼによって代謝されることにより毒性を奏する自殺基質は、チミジンキナーゼのトランス遺伝子が導入され、チミジンキナーゼ活性を有する細胞に対してのみ細胞毒性を発揮することから標的細胞のみに細胞傷害を与える選択的治療剤として用いられている。このような自殺基質として、グアノシンアナログが好適に使用され得る。より好ましくは、そのようなグアノシンアナログとして、抗ウイルス薬として汎用されているガンシクロビル(ganciclovir;GCV)、アシクロビル(acyclovir)が好適に挙げられる。 例えば、ガンシクロビルはウイルスが固有に有する酵素であるチミジンキナーゼによるリン酸化を受け、更に、ヒト細胞内にある内在性酵素であるグアニル酸キナーゼとチミジンキナーゼにより、最終的に活性型ガンシクロビル−三リン酸に代謝される。活性型ガンシクロビル−三リン酸は、ウイルスDNAポリメラーゼの基質であるデオキシグアノシン−三リン酸(dGTP)と競合的に拮抗することによって、DNAポリメラーゼを阻害する。したがってウイルスに感染した感染細胞内のウイルス複製のみが阻害される。同様のメカニズムにより、HSV−tkトランス遺伝子が導入されたリンパ球においても、ガンシクロビルが活性化を受け、DNA合成が阻害されることにより、当該細胞が選択的に死滅する機序が明らかとされている。 本発明においては、外来のチミジンキナーゼ遺伝子をマウス肝臓で特異的に発現するように導入する。本発明において使用されるチミジンキナーゼ遺伝子の由来する生物種は、ヒトや哺乳類であってもよいし、さらに原核細胞やウイルスであってもよく、その由来する生物種には制限されない。本発明において、チミジンキナーゼの一具体的態様として用いられるチミジンキナーゼとしては、ヒト単純ヘルペスウイルス1型―チミジンキナーゼ(HSV−tk)が好適に挙げられる。例えば、ガンシクロビルを複数の細胞群に投与したときにHSV−tk遺伝子を発現する細胞のみが死滅する。このため、HSV−tk遺伝子は一般的に「自殺遺伝子」と呼ばれている。本願発明においては、HSV−tk遺伝子とは例えば配列番号1で示されるポリヌクレオチド配列で表される遺伝子をいうが、これに限定されない。 1つのアミノ酸をコードするコドンは複数存在することが知られている。従って、例えば配列番号1で示されるポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列又はその酵素活性部分をコードするものであれば、いずれのポリヌクレオチド配列も本発明のマウスに利用することができる。一般に、チミジンキナーゼ等の酵素活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列が多少変更された場合、即ち、当該アミノ酸配列の中の1又は複数のアミノ酸が置換され若しくは欠失し、あるいは1又は複数のアミノ酸が付加された場合でも当該ポリペプチドの酵素活性が維持される場合があることは周知の事実である。例えば、変異体は保存的に置換された配列を含んでいてもよく、これは、特定のアミノ酸残基が類似の物理化学的特徴を有する残基によって置き換えられていてもよいことを意味している。保存的置換の非限定的な例には、Ile、Val、Leu又はAla相互の置換の如き脂肪族基含有アミノ酸残基の間の置換、又はLysとArg間の置換の如き極性基含有アミノ酸残基の間の置換が含まれる。したがって、例えば配列番号1で示されるポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列又はその酵素活性部分において、このような修飾が加えられ、かつチミジンキナーゼの酵素活性を有するチミジンキナーゼの変異体をコードするDNAも本発明のマウスに用いることができる。 アミノ酸の付加、欠失又は置換による変異体は、例えばそれをコードするDNAに例えば、周知技術である部位特異的変異誘発(例えば、Nucleic Acid Research,Vol.10,No.20,p.6487−6500,1982参照)を施すことにより好適に作製され得る。本明細書において「1又は複数のアミノ酸」とは、部位特異的変異誘発法により付加、欠失又は置換できる程度の数のアミノ酸をいい、好ましくは1又は数個、さらに好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1個若しくは2個をいう。部位特異的変異誘発法は、例えば、所望の変異である特定の不一致の他は、変異を受けるべき一本鎖ファージDNAに相補的な合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いて次のように実施され得る。即ち、プライマーとして上記合成オリゴヌクレオチドを用いてファージにより相補的な鎖として合成された二重鎖DNAで宿主細胞が形質転換される。形質転換された細菌の培養物が寒天に播種され、ファージを含有する単一細胞からプラークが形成される。理論的には50%の新コロニーが一本鎖として変異を有するファージを含有し、残りの50%が元の配列を有する。上記所望の変異を有するDNAと完全に一致するものとはハイブリダイズするが、元の鎖を有するものとはハイブリダイズしない温度において、得られたプラークがキナーゼ処理により標識した合成プローブとハイブリダイズされる。次に該プローブとハイブリダイズするプラークからDNAが回収される。 なお、酵素のアミノ酸配列にその活性を喪失せしめない1又は複数のアミノ酸の置換、欠失又は挿入を施す方法としては、上記の部位特異的変異誘発の他にも、遺伝子を変異原で処理する方法及び遺伝子を選択的に開裂し、次に選択されたヌクレオチドを除去、付加又は置換し、次いで連結する方法も好適に挙げられる。 さらに、例えば本明細書に開示した配列番号1に記載されるチミジンキナーゼをコードするポリヌクレオチド配列に温和な又は苛酷なストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的に活性なチミジンキナーゼをコードする単離されたDNA及びRNAも本発明のマウスに利用することができる。温和なストリンジェンシーによるハイブリダイゼーションの条件は、例えば、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2 ed.Vol.1,pp.1.101−104,Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989)に記載された条件を意味する。Sambrookらにより定義されているように、温和なストリンジェンシーの条件には、5×SSC,0.5%SDS,1.0mM EDTA(pH8.0)の前洗浄用溶液と約55℃,5×SSC,一晩のハイブリダイゼーション条件が挙げられる。苛酷なストリンジェンシーの条件には、より高温のハイブリダイゼーションと洗浄が含まれる。その際、プローブの長さ等の各種要因に応じて温度及び洗浄溶液の塩濃度は適宜調節され得る。例えば、5×SSC以下で20℃以上の範囲の条件が好適に挙げられる。 さらに、配列番号1に記載されるチミジンキナーゼをコードするポリヌクレオチド配列とBLAST等(例えば、デフォルトすなわち初期設定のパラメータを用いて)を用いて計算したときに、少なくとも80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上の同一性を有しており、かつ生物学的に活性なチミジンキナーゼをコードする単離されたDNA及びRNAも本発明のマウスに利用することができる。 「チミジンキナーゼ遺伝子がマウスの肝臓において発現可能に保持される」とは、上記のチミジンキナーゼ遺伝子がマウスの肝細胞に含まれ、該細胞中で発現することをいう。 本発明のチミジンキナーゼ遺伝子がマウスの肝臓において発現可能にするために、肝臓において機能している調節遺伝子が適宜使用され得る。当該調節遺伝子としては、肝細胞で機能しているタンパク質をコードしている遺伝子の調節遺伝子が好適に使用される。ここで「調節遺伝子」とは、遺伝子転写効率の増減に働くDNA上の配列をいい、プロモーター、並びに、エンハンサー、上流活性化配列、サイレンサー、上流抑制配列、及びアテニュエーター等が含まれるが、これらに限定されない。前記調節遺伝子の由来する生物種は、特定の生物種に限定されるものではない。マウスの肝臓においてより適切に発現可能とするために、マウス由来の調節遺伝子が好適に使用され得る。 上記のプロモーターとしては、チミジンキナーゼ遺伝子が肝臓で発現されるプロモーターであれば特に限定されない。例えば、アルブミンのプロモーター、有機アニオントランスポーターLST−1のプロモーター、αフェトプロテインのプロモーター、α−トコフェロール輸送タンパク質(α−TTP)遺伝子のプロモーターなどが例示できる。 肝臓特異的に発現する遺伝子の発現機構(遺伝子のプロモーター解析)は非常に良く研究されている。すなわち、肝臓特異的に発現する遺伝子の転写開始点の5’上流域に、遍在性の転写調節因子の結合部位や肝臓に豊富に存在する肝臓特異的転写因子の結合部位、ホルモンなどの細胞外刺激に応答する上流活性化配列が、比較的狭い領域に詰め込まれていることが知られている。こうした転写因子の例として、HNF−1、HNF−3、HNF−4、HNF−6、C/EBP、DBP等が好適に挙げられる。本発明においては、チミジンキナーゼ遺伝子がマウスの肝臓において発現可能に保持されるために、マウスの肝臓で機能する上流活性化配列にチミジンキナーゼ遺伝子が連結される。 したがって、例えば上述のアルブミンのプロモーター、有機アニオントランスポーターLST−1のプロモーター、αフェトプロテインのプロモーター、α−トコフェロール輸送タンパク質(α−TTP)遺伝子のプロモーター領域の一定の領域が上述した連結に用いられることにより潜在的に含まれる肝臓特異的な転写因子の結合する上流活性化配列が使用され得る。また、別の態様では、既にその配列が同定された肝臓特異的な上流活性化配列が外来性の遺伝子として遺伝子組換え手法により好適に組み込まれ得る。 また、プロモーターからの転写レベルを増大させるエンハンサーとしては、上流活性化配列だけでなく転写開始点より下流にも存在することが明らかとなっている。例えば、5’上流1.3kb及び3’下流領域を含む全長14kbのヒトアンギオテンシノーゲン遺伝子を持つトランスジェニックマウスにおいて、肝臓で当該遺伝子の高い発現が認められている。さらに、ヒト肝臓癌由来のHepG2細胞において、前記遺伝子の転写開始点より下流領域である3.8kbのDNA断片にエンハンサーの存在が確認された。本発明において、チミジンキナーゼ遺伝子を肝臓特異的に発現させるためにそのようなエンハンサーも好適に使用され得る。 さらに、本発明において、チミジンキナーゼ遺伝子を肝臓特異的に発現させるためにポリA付加シグナルを含む3’非翻訳配列も好適に使用され得る。 本発明においては、チミジンキナーゼ遺伝子がマウスの肝臓において発現可能に保持されるために、マウスの肝臓で機能する上流活性化配列にチミジンキナーゼ遺伝子が連結される。さらにエンハンサーやポリA付加シグナルを含む3’非翻訳配列等が適宜好適に連結され得る。このように連結された遺伝子群は薬剤耐性遺伝子等のマーカー遺伝子を含むベクターに挿入されることによって、チミジンキナーゼ遺伝子が宿主の肝臓において発現可能に保持するための遺伝子発現ユニットを調整する組込みベクターが作製される。 当該組込みベクターより調整された遺伝子発現ユニットが導入されたトランスジェニックマウスを作製することができる。例えば、トランスジェニックマウスは公知の方法に従って好適に作製され得る(Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1980)77,7380−4)。 具体的には、目的のチミジンキナーゼ遺伝子が宿主の肝臓において発現可能に保持されるために作製された遺伝子発現ユニットが、マウスの全能細胞に導入される。遺伝子が導入される全能細胞としては、受精卵や初期胚のほか、多分化能を有するES細胞のような培養細胞等が好適に挙げられる。例えば、排卵誘発剤が投与されたメスのマウスに正常なオスのマウスを交配させることにより、当該遺伝子発現ユニットの導入が可能な受精卵が好適に回収され得る。マウス受精卵には一般に雄性前核へのマイクロインジェクションにより遺伝子発現ユニットが導入される。受精卵細胞の体外での培養の後に遺伝子発現ユニットの導入に成功したと考えられる細胞がスクリーニングされる。スクリーニングされた細胞は、代理母の卵管に移植され、その後トランスジェニックキメラマウスが誕生する。代理母としては、通常は、精管が切断されたオスと交配させて偽妊娠状態としたメスが使用される。 得られた複数の個体から体細胞及び生殖細胞中に導入遺伝子が組み込まれた個体を選別することによって、目的とするトランスジェニックマウスが作製され得る。より具体的には、後述する実施例記載の方法により作製され得る。 通常、マウスにヒトの肝細胞が移植される場合、異種細胞の移植に対する免疫反応によりヒトの肝細胞は拒絶されるため、本発明においてヒトの肝細胞が移植されるマウスとして、異種細胞の移植に対する免疫反応が不活化された免疫不全マウスが好適に使用され得る。このような免疫不全マウスは、全身にX線照射をすることによっても好適に製作し得る。他に好ましくは遺伝的にその免疫機能が欠損したマウスでもあり得る。免疫不全の動物の例としては、一般的に入手可能なヌードマウスやSCIDマウスにアシアロGM1抗体やTMβ1を投与したマウス、さらにX線照射マウスなどが挙げられる。 本発明において、遺伝的にその免疫機能が欠損した免疫不全マウスとしては、T細胞、B細胞を持たないNOD/SCIDマウスやRag2ノックアウトマウスが好適に挙げられ得る。また、これらのNOD/SCIDマウスやRag2ノックアウトマウスにIL−2Rγノックアウトを掛け合わせたノックアウト動物(以下、dKO(ダブルノックアウト)動物)も好適に使用され得る。例えば、dKOマウス(Rag2 KO、IL−2Rnull)を用いることができる。本発明において、遺伝背景をBalb/cとするdKOマウスをBalb/c dKOマウス、遺伝背景をNODとするdKOマウスをNOD dKOマウスという。更に、当該マウス中で認められるNK細胞等の免疫細胞による影響を除外するために、前記の様にSCIDマウスにアシアロGM1抗体が投与されて使用される態様の他に、本発明において使用される別の好適なマウスとして、NOD/SCIDマウス由来でIL−2受容体の共通γ鎖をノックアウトしたマウスであるNOD/SCID/γcnull(NOD/Shi−scid,IL−2RγKOマウスともいう。以下、NOGマウスと指称される。「NOG mouse」は登録商標)(特許3753321号公報)を宿主として使用することも好適に挙げられる。NOGマウスにおいてはリンパ球の存在が認められないため、NOGマウスはNK活性を示さず樹上細胞機能も欠損している。 本発明のチミジンキナーゼ遺伝子がその肝臓において発現可能に保持されたマウスとして、目的のチミジンキナーゼ遺伝子が宿主の肝臓において発現可能に保持するために設計された遺伝子が前記の免疫不全マウスの受精卵に導入された結果生じるトランスジェニックマウスが好適に挙げられる。その他、前記の免疫不全マウスと当該マウスの近交系であって免疫機能が欠損していないマウスの受精卵に当該遺伝子が導入された結果生じるトランスジェニックマウスとの交配の結果誕生する子孫から、免疫不全マウスの形質を保持し、かつ、目的のチミジンキナーゼ遺伝子が宿主の肝臓において発現可能に保持するものとして選択される免疫不全マウスも好適に使用され得る。さらに、前記の免疫不全マウスと当該マウスの近交系であって免疫機能が一部欠損するマウスの受精卵に当該遺伝子が導入された結果生じるトランスジェニックマウスとの交配の結果誕生する子孫から、免疫不全マウスの形質を保持し、かつ、目的のチミジンキナーゼ遺伝子が宿主の肝臓において発現可能に保持するものとして選択される免疫不全マウスも好適に使用され得る。より具体的には、NOGマウスとNOD/SCIDマウスの受精卵に当該遺伝子が導入された結果生じるNOD/SCIDトランスジェニックマウスとの交配の結果誕生する子孫から、NOGマウスの形質を保持し、かつ、目的のチミジンキナーゼ遺伝子が宿主の肝臓において発現可能に保持するものとして選択されるマウス、TK−NOGマウスとBalb/cA dKOマウス(RAG−2 KO、IL−2Rnull)を交配し、更にBalb/cA dKOマウスと交配を繰り返すことで作製されるTK−Balb/cA dKOマウス(HSV−Tk(+)、SCID wild、RAG−2 KO、IL−2Rnull)、又は、TK−NOGマウスとNOD dKOマウス(RAG−2 KO、IL−2Rnull)を交配し更にNOD dKOマウスと交配を繰り返すことで作製されるTK−NOD dKOマウス(HSV−Tk(+)、SCID wild、RAG−2 KO、IL−2Rnull)等が好適な例として挙げられ得る。本発明において、NOGマウスの形質を保持し、かつ、目的のチミジンキナーゼ遺伝子が宿主の肝臓において発現可能に保持するものとして選択されるマウスをTK−NOGマウスという。 本発明のチミジンキナーゼ遺伝子がその肝臓において発現可能に保持されたマウスに対して前記のグアノシンアナログが投与されることにより、グアノシンアナログが当該マウスの肝細胞中において毒性物質に代謝される結果、当該マウスに肝傷害が生じる。前記グアノシンアナログの好適な例として挙げられるガンシクロビルは、マウスの肝細胞中においてガンシクロビル−三リン酸に代謝されマウスに肝傷害を引き起こす。当該マウスへのグアノシンアナログの投与方法は自由に選択され得る。例えば、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、さらには皮膚上への塗布等が適宜選択され得る。これら通常の経路によりマウス体内に投与される他、給餌中に混合することによってもマウス体内に投与され得る。グアノシンアナログの投与量も限定されないが、0.1〜10mg/Kg体重、好ましくは0.5〜1.5mg/Kg体重である。 上記の他、本発明のチミジンキナーゼ遺伝子がその肝臓において発現可能に保持されたマウスに対して肝傷害を引き起こす方法としては、前記のガンシクロビルの投与の他、四塩化炭素、D−ガラクトサミン、ピロロジンアルカロイド、又は2−アセチルアミノフルオレン等の公知の肝傷害誘発物質による処置や外科的肝切除等の外科的処置も好適に挙げられる。さらに、別の態様では、当該マウスに抗マウスFas抗体を投与することによってもマウスに肝傷害を引き起こすことが可能である。抗マウスFas抗体は、ヒトの肝細胞において発現するFas抗原には結合せず、マウスの肝細胞において発現するFas抗原に結合することによって、マウス肝細胞に特異的にアポトーシスを引き起こす。 さらに上記の他、本発明のチミジンキナーゼ遺伝子の代わりにウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子遺伝子がその肝臓において発現可能に保持されたNOG変異を有するマウスも好適に用いられる。すなわちウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子遺伝子が宿主の肝臓において発現可能に保持するために作製された遺伝子発現ユニットが前記のNOG変異を有するマウスの全能細胞に導入された結果生じるトランスジェニックマウスが好適に用いられる。ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子遺伝子としては、例えば、配列番号47に記載されるマウスのウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子をコードするポリヌクレオチド配列が使用され得る。その遺伝子発現ユニットの作製に際しては、前記のチミジンキナーゼ遺伝子を用いる方法と同様の方法が好適に用いられる。 さらに、チミジンキナーゼ遺伝子とウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子遺伝子の両者がその肝臓において発現可能に保持されたNOG変異を有するマウスも好適に用いられる。チミジンキナーゼの作用により肝傷害が与えられる時期とウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子の作用により肝傷害が与えられる時期を適宜選択することによって投与されたヒト肝細胞の生着を最適化することができる。 当該マウスは、例えば、チミジンキナーゼ遺伝子がその肝臓において発現可能に保持されたマウスとウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子遺伝子がその肝臓において発現可能に保持されたNOG変異を有するマウス等を適宜組み合わせて繁殖させ所望の形質、すなわちチミジンキナーゼ遺伝子とウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子遺伝子の両者がその肝臓において発現可能に保持されかつNOG変異を有する子孫のマウスを選択する事によって好適に得られる。また、例えば、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子遺伝子が宿主の肝臓において発現可能に保持されるために作製された遺伝子発現ユニットが、チミジンキナーゼ遺伝子が宿主の肝臓において発現可能に保持されたマウスの全能細胞に導入する等の操作によっても作製され得る。 上述のようにマウスに肝傷害を引き起こすことにより、肝傷害を引き起こしたマウスの肝細胞に代わって、当該マウス中に移植されたヒトの肝細胞がマウスの肝臓に生着する。マウスの肝細胞が死滅するのとは反対に、マウス肝臓に生着したヒトの肝細胞が増殖することによりヒトの肝細胞が一定以上の数を占めるキメラマウスが作製される。当該キメラマウスとしてはマウス肝臓の50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上のマウス肝臓がヒトの肝細胞で占有されたマウスが好適に挙げられる。ヒトの肝細胞によって占有された割合は、実施例で好適に示されるように、ヒト及びマウスの肝細胞に特異的なマーカーを認識する抗体の染色像から算出する方法や、ヒト血清アルブミン等の血清マーカーの定量値から算出する方法が公知である。さらに、試験後のキメラマウスの肝臓は公知の方法で解剖検査することによって、より正確な置換率を確認することができる。細胞の置換率をRI(Replacement Index)と呼ぶ。本発明におけるヒトの肝細胞の置換率が決定される具体的態様として、本発明の実施例では組織免疫染色の切片におけるヒトのサイトケラチンCK8/18陽性肝細胞によって占有される割合によって決定される態様が記載されている。 本発明において、ヒトの肝細胞をマウスに移植する方法としては、マウスの脾臓を経由して肝臓へ移植する方法のほか、直接門脈から移植する方法も適宜採用され得る。また、腹腔内や静脈内に移植してもよい。一度に移植されるヒトの肝細胞の細胞数は1から2000000(2x106)細胞の中から適宜選択され得る。 本発明の肝細胞は、血清(例えば、ウシ胎児血清)の存在下で維持(培養、継代、保存を含む)された通常の肝細胞、初代肝細胞、好ましくは株化された肝細胞が好適に使用され得る。移植に供するヒトの肝細胞としては、ヒト肝実質細胞を始めヒト肝臓中の細胞であればいかなる種類の細胞から由来する肝細胞も好適に使用され得る。通常の肝細胞が使用される場合には、被験体の肝組織から得られた肝細胞が好適に使用され得る。肝組織を採取する方法としては、手術の際の切除のほか、公知の方法である生検(バイオプシー)が好適に用いられる。肝生検とは細く長い針が皮膚の表面から直接肝臓に刺され、肝臓の組織を採取する方法をいう。通常、針が穿刺される部位は右胸下部の肋間である。術前に超音波検査装置を用いて穿刺部の安全性が確認された上で、穿刺部が消毒される。更に皮膚から肝臓の表面までが麻酔の対象となり、穿刺部の皮膚が小切開された後に穿刺針が穿刺される。さらに、市販の凍結ヒト肝細胞を用いることもできる。 初代肝細胞が使用される場合には、採取された肝臓又は肝組織から肝細胞が、灌流法又は浸透法等の公知技術を用いて氷冷したハンクス液等に分散された細胞懸濁液を遠心分離等により分画することによって適宜単離される。得られた肝細胞は、適宜ウシ血清が添加されたWilliams’E等の培地で5%のCO2存在下、37℃において24時間培養される。さらに、3日毎に培地がASF104培地(味の素)等に交換され1週間程度まで培養された細胞が使用され得る。培地にはHGFやEGF等の細胞増殖因子が添加され得るほか、培養マトリックスや三次元培養等が適宜改変され得る。 株化された肝細胞が使用される場合には、肝細胞の種類は特に制限されないが、例えば、SSP−25,RBE,HepG2,TGBC50TKB,HuH−6,HuH−7,ETK−1,Het−1A,PLC/PRF/5,Hep3B,SK−HEP−1,C3A,THLE−2,THLE−3,HepG2/2.2.1,SNU−398,SNU−449,SNU−182,SNU−475,SNU−387,SNU−423,FL62891,DMS153等が好適に挙げられる。これらの細胞はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC;住所 12301 Parklawn Drive,Rockville Maryland 20852,United States of America)などから入手され得る。例えば、Hep3B及びHepG2はATCCにそれぞれHB−8064及びHB−8065の登録番号で、HuH−7はJCRB細胞バンクにJCRB0403の登録番号で登録されている。 グアノシンアナログとヒト肝細胞は、同時にマウスに投与してもよいし、別々に投与してもよい。例えば、ヒト肝細胞を脾臓や静脈から移植したと同時に、グアノシンアナログをマウスの腹腔内に投与すればよい。 マウスの肝細胞がヒトの肝細胞に置換することをヒトの肝細胞又は肝臓の再構築(repopulation)といい、マウスの肝細胞をヒトの肝細胞に置換したマウスをヒト肝細胞再構築キメラマウス又はヒト肝臓再構築キメラマウスという。また、肝細胞がヒト肝細胞に置換した肝臓をヒト化肝臓(humanized liver)という。 本発明は上記のマウス中で再構築されたヒト肝臓組織をも包含する。該肝臓組織には、ヒト肝臓の3次元的構造又は機能を有しており、マウスの肝細胞の75%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上がヒトの肝細胞に置換されて再構築されている。 これらのヒト肝細胞を有するキメラマウスは、例えば、ヒトの肝細胞の移植から60日程度後に被験物質の投与に供される。被験物質としては、例えば、医薬候補物質が好適に挙げられる。医薬候補物質としては、医薬品開発の過程にある物質であり、ヒトにおける薬物相互作用の予測を必要とする物質が好適に挙げられる。このような物質は、医薬品の薬効に対する主成分物質であり得るし、あるいは主成分物質を含む組成物であり得る。医薬候補物質の投与量は、その物質が対象とする疾患の種類や物質組成の種類、あるいは投与経路等によって異なるが、0.1mg/kg体重から2000mg/kg体重程度の範囲から適宜選択され得る。また投与経路は、医薬候補物質の種類やその適した剤型等に応じて、経口、皮下、静脈内又は腹腔内投与等から適宜選択され得る。 キメラマウスの肝臓内における医薬候補物質等の被験物質の代謝の程度、及び代謝物は、マウス血漿における医薬候補物質の濃度を、クロマトグラフ法等の当該技術分野における定法によって適宜測定、及び、同定され得る。また、測定は、候補物質の投与から30分から24時間程度までの間から適宜選択された、1又は複数のタイムポイントで測定される経時測定によって実施され得る。 そして、この血漿中の医薬候補物質の濃度、および、肝臓において薬物代謝酵素によって代謝された物質の濃度によって、医薬候補物質が、例えば、CYP2D6、CYP2C9、又はCYP2C19欠損者で代謝されやすい物質か代謝されにくい物質かが判定され得る。 ヒトの薬物代謝酵素は、CYP群酵素に属するCYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C10、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A3、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A7、CYP4F1、CYP4A2、CYP4A3等であり、それぞれの指標化合物は、例えば、CYP1A2で代謝される指標化合物はカフェイン、CYP2C9はトルブタミド、CYP2D6はデキストロメトルファン、CYP2C19はオメプラゾール、CYP3A4はエリスロマイシン等である。 本発明のキメラマウスに医薬候補物質が投与された後、これらの指標化合物の混合物が投与され、経時的に各化合物の血漿中濃度を測定することによって、医薬候補物質が各酵素の活性を促進する物質か、あるいは阻害する物質であるかが判定され得る。例えば、医薬候補物質を投与した場合にカフェインの代謝が促進して血漿中濃度が減少していれば、当該医薬候補物質はCYP1A2の活性を特異的に促進する物質であると判定され得る。 すなわち、本発明のマウスを用いてヒトに投与される医薬がヒトの肝臓においてどのように代謝され、どのような代謝物質が生成されるか、すなわち医薬の血漿中動態、代謝物の同定、代謝速度等の評価を行うことができる。代謝の観点から人に投与することが適切な医薬のスクリーニング、及び人に投与される適切な医薬用量の予想が可能になる。また、ヒト肝臓の増殖、再生等の研究に用いることができる。 また、本発明の別の目的として、通常の感染経路によるヒトHCV等の肝指向性病原体(hepatotrophic pathogen)の感染に感受性のあるマウスモデルを提供することが挙げられる。すなわち、本発明は、マウスモデルが、通常の感染経路によるHCV等の肝指向性病原体の感染に感受性があり、HCV等の肝指向性病原体に感染したヒトとウイルス量が等しくなりうる長期的に一貫して安定に感染する動物モデルを提供する。このようなマウスを用いる別の利点としては、マウスモデルを作製する際に、HCV等の肝指向性病原体の感染細胞を入手したり扱ったりする必要がない点が挙げられる。したがって本発明では、HCV等の肝指向性病原体に感染したヒトドナーから肝細胞を入手する必要がなく、またインビトロでヒト肝細胞を培養して感染させる必要もない。 本願発明のマウスには、HCV等の肝指向性病原体、特に霊長類(例えばヒト)に限定される宿主範囲をもつ肝指向性病原体を感染させることができる。病原体の性質に応じて、慢性感染したマウス宿主は数週間から数か月間維持することができる。例えば肝指向性病原体がHCVの場合には、本願のマウスをHCVに慢性的に感染させ(例えば慢性感染)、また活性型のHCV感染を少なくとも約5週間、通常は少なくとも約14〜約20週間又はそれ以上、最長で約35週間又はそれ以上の期間、あるいは宿主のマウスの生涯にわたって維持することができる。 感染宿主(マウス)のウイルス負荷は、感染者(ヒト)におけるウイルス負荷と同程度になりうる。例えば、病原体がHCVの場合、宿主のマウスは、血清1mlあたり約103〜約104個から約106個のウイルス粒子、通常は血清1mlあたり約103〜約107個のウイルス粒子濃度で感染を維持することができる。感染宿主におけるウイルス負荷は、長期に渡って実質的に一貫し、慢性的で、且つ安定しており、例えば感染した未投与の宿主の血清から単離可能なウイルス粒子の数は、週毎のサンプリング期間中に大きく変動することはなく、例えば、いったん安定な感染が、通常は感染後の約2〜4週以内に宿主で確立すると、初回サンプリング時に1mLの血清に多数のHCVウイルス粒子を含む本発明のHCV感染宿主は、次のサンプリング時にHCV感染陽性を示し、かつ、一般に血清1mLあたりに同じか同等の多量のHCV粒子を含む。通常、感染宿主のウイルス負荷は大きく変動することはないので、候補抗ウイルス物質の作用の評価が可能となる。 ある態様では、本発明のマウスモデルを用いて、ウイルス性肝炎、より具体的にはHCV感染によって引き起された症状を改善する薬剤を同定し、及び/又は、より直接的には、感染ウイルスの病原性機構に影響を与える。例えば、ウイルス感染を抑制したり、ウイルスの複製を低下させたり、又はそれ以外ではウイルスの増殖サイクルを破壊したりする。一般的には、候補薬剤を本発明のマウスモデルに投与し、候補薬剤が及ぼす作用を、対照に対して(例えば、未感染マウスに対して、抗HCV作用が知られている薬剤(例えばIFN−α)を投与するHCV感染マウスに対して等)評価する。例えば候補薬剤を本発明のHCV感染マウスに投与することが可能であり、投与前のマウスのウイルス量及び/又は対照である未投与HCV感染間マウスのウイルス量と投与マウスのウイルス量を(例えば血清試料を対象としたRT−PCR法による測定で)比較することができる。一般に、候補薬剤投与後における感染マウスでウイルス量が検出可能な低下、又は有意な低下がみられれば、対象薬剤に抗ウイルス作用があることを意味する。 候補薬剤は、任意の多くの所望の方法、及び/又は薬剤送達に適切な方法で投与することができる。例えば候補薬剤は、注射(例えば、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は所望の作用を達成するための組織への直接注射)、経口投与、又は他の任意の望ましい方法で好適に投与され得る。通常、インビボにおけるスクリーニング法には、さまざまな量及び濃度の候補薬剤(薬剤非投与から、動物に良好に送達されうる量の上限に至る薬剤量まで)を受ける数種の動物を対象とし、多様な剤形及び経路による薬剤の送達法が含まれる。薬剤は単独で投与することができるほか、特に薬剤の併用投与が相乗効果を生む場合は、2種又はそれ以上の薬剤と組み合わせて投与され得る。 スクリーニングされる候補薬剤としては、合成分子、天然分子、又は組換え的に作製された分子(例えば低分子量の分子;薬物:ペプチド;抗体(抗原結合性の抗体断片、例えば受動免疫をもたらすものを含む)、又は他の免疫療法薬:真核細胞又は原核細胞に含まれる内因性因子(例えばポリペプチドや植物抽出物など)など)が好適に用いられる。ヒト細胞に対する毒性が低い薬剤のスクリーニングアッセイ法は特に重要である。 候補薬剤の活性は、さまざまな方法で評価することが可能である。例えば、宿主動物をHCV等の肝指向性病原体(例えばHCVなど)に感染させる場合は、薬剤の作用は、血清試料中の病原体の有無(例えばウイルス量における力価)、又は病原体の存在に関連するマーカー(例えば、病原体に特異的なタンパク質、又はそれをコードする核酸など)を調べることで評価され得る。ウイルス感染の有無並びに重症度の定量的及び定性的な検出法及び評価法は当技術分野で周知な方法が採用され得る。ある態様では、HCV感染に対する薬剤の活性は、血清試料及び/又は組織切片を対象にウイルスの有無を調べることで(例えばHCVの場合にはRT−PCR法などで)評価され得る。また、別の態様では、ウイルス感染に対する薬剤の活性は、血清試料を対象に、ウイルスの核酸(例えばHCVのRNA)の有無を調べることで評価可能である。例えばHCVのRNAは、例えば逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、競合的RT−PCR法、RT−PCR法による(−)鎖RNA(HCVの複製中間体)の検出、又は治療によって生じるウイルスゲノム上の変異/シフト(準種進化(quasispecies evolution))を検出するためのウイルスRNAの配列決定により検出することができる。又は/及び、宿主の肝臓を生検対象として、またin situ RT−PCRハイブリダイゼーション法を行うことによって、組織切片に含まれるウイルス粒子量の任意の量的変化又は質的変化が直接的に示され得る。又は/及び、宿主を安楽死させた後に、薬剤によって引き起された感染及び/又は毒性の徴候が肝臓にないか組織学的に調べることも好適に使用され得る。 また、本発明の動物モデルを用いることによって、肝指向性病原体による感染を予防する能力又は改善する能力をもつか否かについて候補ワクチンのスクリーニングが実施され得る。一般的に「ワクチン」とは、投与されることで、標的となる病原体に対する免疫応答を宿主が開始するのを促す物質をいう。ワクチンの投与の結果誘発される液性、細胞性、又は液性/細胞性の免疫応答によって、ワクチン開発の対象となる病原体による感染の抑制が促進され得る。本発明では、肝指向性病原体(例えば、細菌病原体、ウイルス性病原体、又は寄生虫病原体、特に例えばHCVなどのウイルス性病原体)の肝内での複製及び/又は肝指向性病原体による感染を抑制する、防御的な免疫応答を誘発する予防的ワクチンが特に重要である。また本発明では、受動免疫、又は速やかに促進される特異的な能動免疫(例えば、抗HCV免疫グロブリンなど)の供給によって肝指向性病原体による感染に対する防御をもたらす治療用ワクチンもまた重要である。 本発明のこの態様では、免疫不全マウスの免疫系は、例えば幹細胞、末梢血単核球(PBMC)、血液の索細胞、造血細胞、又はヒト免疫系を動物にもたらすヒト起源の他の適切な細胞を用いて再構成され得る。ヒト免疫細胞を単離する方法、及び免疫不全マウスの免疫系の再構成(例えば、ヒト免疫系をもつマウス)は当技術分野で周知である(例えばNature 335:256〜59;Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93(25):14720〜25が適宜参照され得る)。ある態様では、ヒトの免疫細胞は、本願発明にかかるマウスを作製する際に使用されるヒト肝細胞が得られたドナーと同じドナーから得られる。別の態様では、ヒトの免疫細胞は当技術分野で周知の方法(例えば腹腔内注射)によって宿主に導入され得る。 有効なワクチンは上述のスクリーニング法と類似の方法によってスクリーニングされ得る。すなわち、候補ワクチンが、肝指向性病原体の接種前にキメラ動物に投与される。候補ワクチンは通常、単回ボーラス投与(例えば、腹腔内注射、又は筋肉内注射、局所投与若しくは経口投与)に続いて、1回又は複数回の追加免疫を行うことによって投与される。免疫応答の誘導は、当技術分野で周知の方法で、抗原に特異的なB細胞及びT細胞の応答を調べることにより評価され得る。次に、免疫化した動物に肝指向性病原体が投与される。通常は数匹の免疫化マウスを対象に、病原体の力価を上昇させながら投与が行われる。次いで、免疫化マウス及び免疫化していない対照マウスを対象にして、感染の進行が観察され、感染の重症度が(例えば存在する病原体の力価を評価する、又は、上述したヒト肝細胞の機能に関するパラメータを調べることによって)評価される。候補ワクチンの投与後に生じる病原体感染の有意な低下、及び/又は疾患重症度の有意な低下をもたらすワクチン候補が有効なワクチンとみなされる。 さらに、本発明の別の目的として、細胞移植治療等に用いられる将来肝臓になることが可能な細胞、例えば、肝幹細胞の探索、検出、同定に使用され得るマウスモデルを提供することが挙げられる。肝幹細胞は、将来的に肝細胞に分化すればよく、肝細胞に分化するために必要な世代数等は特に特定されない。すなわち、本発明は、マウスモデルに、ヒト肝組織から取得した初代分離細胞の経脾門脈的移植を行い、生着した肝組織の中からヒト肝幹細胞等の細胞移植治療等に用いられる将来肝臓になることが可能な細胞を探索し、あるいはさらに同定する方法をも提供する。さらに、生着した肝組織の中からヒト肝幹細胞等の細胞移植治療等に用いられる将来肝臓になることが可能な細胞を含む細胞集団を採取することができる。本発明は、この肝幹細胞等の細胞移植治療等に用いられる将来肝臓になることが可能な細胞を含む細胞集団を採取する方法をも提供する。経脾門脈的移植の代わりに同所移植する方法も適宜使用され得る。初代分離細胞の代わりに試験管内で適切な条件下で培養され肝細胞への分化を誘導づけられた幹細胞も本目的のために適宜使用され得る。そのような幹細胞を用いて肝細胞への分化を誘導づける方法は例えば、Gastroenterology(2009)136,990−999等に記載されている。肝組織の中から増殖性を指標として肝幹細胞を探索し、同定するために、肝細胞を検出するマーカーを認識する抗原、及び/又は、増殖性細胞を認識する抗体を用いて組織免疫染色を行うことができる。肝細胞を検出するマーカーとして、アルブミン、tyrosine aminotransferase、glucose−6−phosphatase、coagulation factor(CF)VII、asialoglycoprotein receptor、Cytokeratin 8/18等から適宜選択され得る。細胞増殖マーカーとして、Ki−67抗原、5−bromo−2’ −deoxyuridine取り込み能、PCNA等から適宜選択され得る。これらのマーカーを用いることによりヒト肝肝細胞を含む細胞集団を取得することができ、さらに、こうしたマーカーを発現する肝細胞はFACSCalibur(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)等を用いて適宜単離され、単離された肝幹細胞が細胞移植治療等に適宜供され得る。 以下、実施例を示してこの発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、この発明は以下の実施例によって限定して解釈されるものではない。 TK−NOGマウスの作出とその機能の解析1.方法本実施例は以下の方法で行った。(1)トランスジェニックマウスの作出 単純ヘルペスウイルス1型チミジンキナーゼ(UL23又はHSVtk)遺伝子発現ユニットは図1のようにして構築された。最初に42ヌクレオチドのポリリンカー(GATCCAAGCTTATGCAGTCGACCCGGGCATGCGAATTCTCGA:配列番号2)がpBlueScriptII(pBSII;Promega)のBam HI−Xho I部位(pBSII/linker)に導入された。HSVtk遺伝子が以下のプライマーを用いてアニーリング温度62℃でPCRで増幅された。 次いで、増幅産物がpCIプラスミド(Promega)のNhe I−Sal I部位(pCI−TK)にクローニングされた。ヒト成長ホルモン(hGH)3’フランキング領域が以下のプライマーを用いてアニーリング温度60℃にてPCRで増幅された。 次いで、増幅産物がpBSII/リンカープラスミドのSma I− EcoR I部位(pBSII/linker/hGH)にクローニングされた。プラスミドp2335A−1(Pinkert,C.A.et al.Genes Dev.1,268−276(1987))由来のマウスアルブミンエンハンサー/プロモーターの2,345−bp Not I− BamH Iフラグメント及びpCI−TK由来のキメライントロン/HSVtkの1,456−bp Hind III−Sal IフラグメントがpBSII/リンカー/hGHプラスミド(pmAlbEPintUL23GH;GenBankアクセッション番号AB453181)の対応部位にクローニングされた。pmAlbEPintUL23GHプラスミドDNAがNot I及びKpnIで消化され、ベクター部を含まない4,4−kbフラグメントがHSVtk発現ユニットとして調製された。この発現ユニットが公知の方法でNOD/Shiマウスの受精卵にマイクロインジェクトされた。トランスジーンを有する産仔がHTKF1フォワードプライマー5’−CACGTCTTTATCCTGGATTACG−3’(配列番号7)及びhGHR1リバースプライマー5’−CACTGGAGTGGCAACTTCCA−3’(配列番号8)を用いたPCRで同定された(アニーリング温度63℃)。尾組織から抽出したゲノムDNAが20μl反応混液中で、94℃2分、94℃30秒30サイクル、63℃30秒、72℃30秒、72℃3分の条件で増幅された。トランスジーンDNAはアガロースゲル上で236bpの増幅産物バンドとして確認された。雌のトランスジェニックマウスを雄のNOD.Cg−PrkdcscidIl2rgtm1Sug/ShiJic(NOG)と交配させscid及びIL2Rgnullの変異を有する個体が得られた。scid及びIL2Rgnull遺伝子の変異がPCRによりジェノタイピングされた(Maruyama,C.et al.Exp.Anim.51,391−393(2002):Ito,M.et al.Blood 100,3175−3182(2002))。作製したマウスの正式系統名は、NOD.Cg−PrkdcscidIl2rgtm1SugTg(Alb−UL23)7−2/ShiJicで表され、これをTK−NOGと称する。(2)蛍光in situハイブリダイゼーション分析 トランスジーンの染色体中の位置は、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)法により決定された。TK−NOGマウスから採取し、マイトジェンで活性化した脾細胞から得られた9個のメタフェーズ細胞がビオチン16dUTP標識pCI−TKプラスミドを用いて分析された。ビオチン標識DNAはアビジンFITC(Vector Laboratories)により可視化し、当該細胞がヨウ化プロピジウム(Sigma−Aldrich Chemie GmbH)で対比染色された。観察はライカQ550サイトジェニックワークステーションを用いて行われた。蛍光シグナルを有する染色体がGバンディングスタンダードにより同定された。(3)サザンブロット分析 ゲノムDNAサンプルは12週齢TK−NOGマウス及び非トランスジェニックマウスの腎臓を一晩プロテイナーゼKで消化を行い、フェノール:クロロフォルム:エタノール抽出することにより得られた。制限酵素Bam HI、Bgl II、Xba I及びNot I plus Kpn Iで消化したゲノムDNAが0.6%アガロースゲルで電気泳動し、陽性荷電ナイロン膜(F.Hoffmann−La Roche)にトランスファーされたブロット膜が得られた。PCR DIG Probe Synthesis Kit(F.Hoffmann−La Roche)を用いて調製したDIG標識プローブを用いて当該膜のハイブリダイゼーションが行われた。用いたプライマーは以下の配列:を有するものであった。 それぞれのプローブが認識する位置を図2に示す。(4)RT−PCRによるHSVtkトランスクリプトの検出 65日齢のTK−NOGマウス肝臓、腎臓、脾臓、肺、脳、骨格筋及び睾丸からRNeasy Mini kit(Qiagen K.K.)を用いてトータルRNAが得られた。RT−PCRはHigh Capacity cDNA Reverse Transcription kit(Applied Biosystems)を用いて行われた。pCIspF forward primer 5’−GAGGCACTGGGCAGGTGTCC−3’(配列番号13)及びHTKR1 reverse primer 5’−GTAAGTCATCGGCTCGGGTAC−3’(配列番号14)を用いてHSVtkトランスクリプトのスプライス型が343bpバンドとして検出された(アニーリング温度68℃)。G3PDHF forward primer 5’−TCACCATCTTCCAGGAGCGAGA−3’(配列番号15)及びG3PDHR reverse primer 5’−GAAGGCCATGCCAGTGAGCTT−3’(配列番号16)を用いて増幅した479bpグリセルアルデヒド−3−フォスフェートデヒドロゲナーゼ(Gapdh)フラグメントが内部標準として用いられた(アニーリング温度65℃)。(5)肝臓傷害の誘発 ガンシクロビル(GCV)ナトリウム(Denosine−IV;Mitsubishi Tanabe Pharma)又はベシクル(生理食塩水)が26ゲージ針を用いて1日おきに2回、マウスの腹腔内に投与された。水又は生理食塩水に溶解されたGCVは、その投与前にフィルター滅菌された。すべてのマウスが毎日モニターされた。肝臓傷害の程度は生化学的血清検査値及び病理学的分析により調べられた。GCV投与1週間後、ALT及びASTの分析のために下大静脈から末梢血が採取され、FUJI DRI−CHEM7000(Fujifilm)により臨床化学分析が行われた。また、4%(v/v)リン酸緩衝化フォルマリンで固定、パラフィン包埋された組織の、ヘモトキシリン及びエオシン(H&E)染色が行われた。(6)ヒト肝細胞及びヒト大腸癌細胞の移植 市販の凍結ヒト肝細胞(Lonza Walkersville)3ロットがドナー細胞として用いられた。ドナーの年齢は4〜7歳であった。以下の一般的な方法で移植が行われた。移植5及び3日前に、6〜8週齢の成体TK−NOGレシピエントマウスにGCV(0.5〜1.5mg/kg)が腹腔内に投与された。細胞数及び生存率はトリパンブルー排除法により血球計算盤を用いて測定された。40μlのHank’s Balanced Solution(HBSS)又はWilliam’s medium Eに浮遊させた1〜2×106の生肝細胞が26ゲージの注射針をつけたハミルトンシリンジを用いて脾臓内に移植された。コントロールとして、1×104のヒト大腸癌細胞株HCT116(American Type Culture Collection;ATCC)が非トランスジェニックNOGマウスの脾臓内に移植された。(7)ヒトアルブミン測定 小量の血液が隔週で眼底静脈叢からプラスティックキャピラリーを用いて採取された。採取された血液は、1%ウシ血清アルブミン及び0.05%Tween20(BSA)を含むTBS(Tris−buffered saline)で500〜30000倍に希釈され、そのヒトアルブミン濃度がヒトアルブミンELISA Quantitation Kit(Bethyl Laboratories)を用いて測定された。閾値濃度は〜3×103ng/mlであった。(8)イムノブロッティング 希釈血清及び胆汁サンプル(希釈倍率:3〜3000倍)が5%βメルカプトエタノールを含むSDSサンプルバッファーに溶解され、SDS−PAGEに供された後にHybond−ECL膜(GE Healthcare Bio−Sciences)に転写された。転写された膜がポリクローナルヤギ抗マウスアルブミン抗体(A90−234A;Bethyl Laboratories)、ポリクローナルヤギ抗ヒトアルブミン抗体(A80−229A;Bethyl Laboratories)、ポリクローナルヤギ抗マウストランスフェリン抗体(I−20;Santa Cruz Biotechnology)、ポリクローナルウサギ抗ヒトトランスフェリン抗体(H−65;Santa Cruz Biotechnology)、ポリクローナルマウス抗補体C3抗体(A01;Abnova)、ポリクローナルヤギ抗ヒト補体C3抗体(D−19;Santa Cruz Biotechnology)及びポリクローナルヤギ抗セルロプラスミン3抗体(H−60;Santa Cruz Biotechnology)と共にインキュベーションされ、洗浄後の当該膜は、ヤギIgG(Bethyl Laboratories)、マウスIgG(GE Healthcare Bio−Sciences)又はウサギIgG(GE Healthcare Bio−Sciences)に対する西洋ワサビペルオキシダーゼ標識2次抗体と共に60分間インキュベーションされた。次いで、ECL Western Detection System(GE Healthcare Bio−Sciences)及びHyperfilm ECL(GE Healthcare Bio−Sciences)を用いた発色が検出された。(9)ヒト肝細胞特異的遺伝子発現のRT−PCR TotalRNAがRNeasy mini kit(Qiagen K.K.)を用いて単離された。相補DNAがHigh Capacity cDNA Reverse Transcription kit(Applied Biosystems)及びランダムプライマーを用いて合成された。マウスGpdh、アルブミン(Alb)、ヒトGAPDH、ALB、チロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)、トランスサイレチン(TTR)、毛細管特異的有機アニオントランスポーターATP結合カセット、サブファミリーC(CFTR/MRP)、メンバー2(ABCC2;MRP2)、胆汁塩輸送ポンプATP結合カセット、サブファミリーC(MDR/TAP)、メンバー11(ABCB11)、ビリルビンUDPグルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT1A1)及びチトクロームP450ファミリー(CYP1A1,CYP1A2,CYP2C9,CYP2C19,CYP2D6及びCYP3A4)遺伝子の発現がRT−PCRで分析された。表1に、用いたプライマー情報(ターゲット遺伝子、配列)、アニーリング温度、増幅産物サイズ等を示す。(10)組織学及び免疫組織染色 フォルマリン固定された肝臓及び腎臓がパラフィンに包埋され、その5μm切片が調製された。切片のいくつかはtarget retrieval solution(0.1M citrate buffer,pH6.0;1mM EDTA,pH9.0)に浸漬され10分間オートクレーブの処理を受けた後に20分間室温に置かれた。モノクローナルマウス抗ヒトCK8/18抗体(clone 5D3;Novocastra Laboratories)、モノクローナルマウス抗ヒトHLA−classI−A,B,C抗体(clone EMR8−5;Hokudo)、ポリクローナルヤギ抗ヒトアルブミン抗体(Bethyl Laboratories)及びポリクローナルウサギ抗ヒトGLUL抗体(Sigma−Aldrich)が1次抗体として用いられた。明視野免疫組織染色のために、ヤギ、ウサギ及びマウスIgがアミノ酸ポリマー/ペルオキシダーゼ複合体標識抗体(Histofine Simple Stain Mouse MAX PO(G,R,and M);Nichirei Bioscience)及びジアミノベンジジン(DAB;Dojindo Laboratories)基質(0.2mg/ml 3,3’−ジアミノベンジジンテトラヒドロクロリド,0.05M Tris−HCl,pH7.6,and 0.005% H2O2)を用いて可視化された。切片がヘマトキシリンを用いて対比染色された。過ヨウ素酸−シッフ(PAS)染色キット(Muto Pure Chemicals)がグリコーゲンの可視化に用いられた。AxioCam HRm及びAxioCam MRc5 CCD cameras(Carl Zeiss)を備えた直立顕微鏡Axio Imager(Carl Zeiss)を用いて撮像された。レシピエント肝臓におけるドナーヒト肝細胞の割合である置換インデックス(RI:replacement index)は、免疫組織染色切片中の全面積中のヒトCK8/18陽性肝細胞により占められる面積の割合で表された。凍結切片を作製するために用いた肝臓はOCTコンパウンド(Sakura Finechemicals)中に包埋され、液体窒素中で凍結され、5〜10μmの厚さで切片化された。FluoReporter Mini−Biotin−XX Protein Labeling Kit(Invitrogen)を用いて標識したビオチン化ポリクローナルヤギ抗ヒトアルブミン抗体、Alexa Fluor 594標識ストレプトアビジン(Invitrogen)及びFITC標識ポリクローナルヤギ抗マウスアルブミン抗体(A90−234F;Bethyl Laboratories)を用いて免疫蛍光染色が行われた。(11)レーザーマイクロダイセクション解析(LCM) 連続凍結組織切片(10μm)がエタノールで固定され、次いで固定液中のエタノール濃度が段階的に減らされ、最終的に該切片はDNase及びRNaseを含まない水に浸漬された。次いで、モノクローナルマウス抗ヒトCK8/18抗体(clone;5D3;Novocastra Laboratories)を用いて前記切片の免疫組織染色が行われた。切片化組織中の抗ヒトCK8/18抗体の陽性及び陰性染色領域が顕微鏡を用いてLCMのためにマッピングされた。それぞれの領域の切りだし捕捉はAutoPix LCM system(Molecular Devices)を用いて行われた。ゲノムDNAがTPMK緩衝液(10mM Tris−HCl,pH8.3,50mM KCl,2mM MgCl2,and 40μg/ml proteinase K)を用いて抽出された。55℃で一晩インキュベーションが行われ、95℃5分間のサンプルの熱処理によりプロテイナーゼKが不活性化された。緩衝液の一部がゲノムPCRの鋳型DNAとして用いられ、ヒトとマウスの肝細胞が区別された。ヒト及びマウスβアクチン遺伝子は以下の配列;を有するプライマーを用いてPCRにより増幅された(アニーリング温度60℃)。 このプライマーセットによりヒトβアクチンだけでなく、マウスβアクチン遺伝子(それぞれ、245bp及び271bp)が増幅された。コントロールプラスミド(pBSII−hm/β−ACT)はヒト及びマウスDNA由来の対応配列をそれぞれpBSIIベクターのSma I及びHindIII部位に挿入することにより調製された。(12)5−カルボキシフルオレセインジアセテートを用いた胆汁排出試験 カルボキシフルオレセイン(CF)はMrp2を介して様々な細胞から排出される有機アニオンである。この色素のエステル前駆体である5−カルボキシフルオレセインジアセテート(5−CFDA,0.5nmol;Sigma−Aldrich)が尾部から静脈注射により投与された。5−CFDA投与の10分後、肝臓が50nmol/L5−CFDA溶液で3分間かん流され、当該肝臓がOCTコンパウンド中に包埋され、液体窒素で凍結された。この試薬はその易脂溶性のため容易に肝細胞中に侵入し、エステラーゼにより加水分解され、CF(水溶性蛍光基質)を形成し、次いで胆汁中に排出される。 10μm厚の連続凍結切片が調製され、空気乾燥された。CFの蛍光シグナルはAxioCam HRm及びAxioCam MRc5 CCD cameras(Carl Zeiss)を備えた直立顕微鏡Axio Imager(Carl Zeiss)を用いて観察、撮影が行われた。蛍光顕微鏡写真の撮影後、組織切片がエタノールで固定され、固定液のエタノール濃度が段階的に減らされ、該切片は最終的にDNase及びRNaseを含まない水に浸漬された。次いで、モノクローナルマウス抗ヒトMRP2抗体(Clone M2 III−6;Millipore)、Histofine Simple Stain Mouse MAX PO(M)(Nichirei Bioscience)及びDAB基質を用いて免疫組織染色が行われた。切片がヘマトキシリンを用いて対比染色された。他の組織切片は4%パラホルムアルデヒド液で固定され、モノクローナルヤギ抗ヒトHLA−classI−A,B,C抗体(clone EMR8−5;Hokudo)及びテキサスレッド標識ストレプトアビジン−(GE Healthcare Bio−Sciences)を用いて免疫蛍光染色が行われた。他の組織切片はヘモトキシリン及びエオシン(H&E)染色が行われた。きわめて置換度の高いヒト化肝臓NOGマウス#2−11−5及びヒト化の程度が極めて低いヒト化肝臓NOG#48−L5から採取した胆汁及び糞サンプルが0.1M Tris−HCl(pH8.0)で希釈され、Molecular Dynamics BioLumin 960 spectrophotometer(GE Healthcare Bio−Sciences)を用いてその蛍光が測定された。蛍光イメージはMolecular Dynamics FluroImager 595(GE Healthcare Bio−Sciences)を用いて得られた。糞サンプル中のCF濃度は0.1M Tris−HCl(pH8.0)中の既知濃度のCFに基づいて算出され、サンプルの湿重量により標準化された。2.結果結果は以下のとおりであった。(1)TK−NOGマウスへのヒト肝細胞移植 TK−NOGマウスの血清中のヒトアルブミンは、ヒトの肝細胞移植の後に図3に示したタイミングにてELISAにより測定された。結果を図3に示す。黒丸、黒三角、黒四角は、それぞれマウス#12−14、#6−6−10及び#2−4−7を用いて行われたアッセイの結果を示す。 3匹のTK−NOGマウスの血清中のタンパク質がヒト肝細胞移植後70、44及び41日目に免疫ブロット法により測定された。マウス及びヒト血清が陽性及び陰性コントロールとして用いられた。結果を図4に示す。 コントロールと3匹のTK−NOGマウスの肝臓で発現したmRNAはヒト肝細胞移植後70、44及び41日目にRT−PCRで測定された。マウス及びヒト肝臓RNAがコントロールサンプルとして用いられた。結果を図5に示す。 ヒト肝細胞移植後それぞれ70、44、及び41日後に得られた、TK−NOGマウスの肝臓の組織学と免疫組織染色の結果を示す。連続切片はH&E、h−CK8/18、HLA、h−アルブミン及びPAS染色された。結果を図6に示す。図6には、#12−14(70日)、#6−6−10(44日)及び#2−4−7(41日)のHE染色(それぞれ、A、C及びE)及び抗ヒトCK8/18抗体染色(それぞれ、B、D及びF)の結果を示す。GからKは、H&E、h−CK8/18、HLA、h−アルブミン及びPAS染色した連続切片を示す。(2)ヒト化肝臓の解剖学的及び機能的な分析 図7に毛細胆管(BC)へのカルボキシフルオレセイン(CF)排出を示す。ヒトの肝細胞移植の42日後のTK−NOGマウス(A、B、C及びD)又はヒトの大腸癌細胞株(HCT−116、E、F、G及びH)移植の21日後のNOGマウスに5−CFDAを投与し、肝臓が得られた。ヒト肝臓が再構築されたTK−NOG又は大腸癌が移植されたコントロールNOGマウス肝臓の連続切片が作製され、蛍光代謝産物の存在が観察された。ヒト肝臓が再構築したTK−NOGマウスでは、5−CFDAの代謝産物(CF)が、ヒト肝細胞コロニーの小葉上にハチの巣状に認められ、その毛細胆管内(BC)への排出が確認された。対照的に、HCT−116大腸癌増殖巣では、このハチの巣パターンが全く認められなかった。他の切片について、H&E染色、HLA及びヒト−MRP2染色が行われた。 図8にヒト肝細胞の移植から52日後に得た、2匹の異なるヒト肝臓再構築TK−NOGマウス肝臓のヒトCK8/18免疫組織染色の結果を示す。#2−11−5マウスの肝臓はヒト肝細胞でほぼ完全に置換されていた(RI>90%)が、#48−L5ではマウス肝臓が部分的にヒト肝細胞で置換されているだけであった(RI〜20%)。5−CFDA投与後、2匹の再構築TK−NOGマウスについて、糞へのCF排泄量が測定された。図9に結果を示す。 図10に、5−CFDA投与10時間後に回収したほぼ完全にヒト化された#2−11−5 TK−NOGマウス胆汁中の代謝産物CFの蛍光イメージを示す。 ヒト化されたTK−NOGマウス#2−11−5における胆汁中のマウス及びヒトトランスフェリンの解析結果を図11に示す。図11に示すように、ヒトトランスフェリンは、ほぼ完全にヒト化された#2−11−5マウス由来の胆汁中には認められたが、コントロールNOGマウスでは認められなかった。 図12にヒトの肝細胞移植の6週間(A及びB)又は16週間(C及びD)後のTK−NOGマウスから得られた肝臓切片のH&E(A及びC)及びグルタミン合成酵素(GS)(B及びD)の免疫組織染色を示す。図12に示すように移植後6週間のヒト肝細胞巣にある中心静脈域にはGS発現が認められなかった。対照的に、移植後16週が経過したTK−NOGマウス肝臓のヒト肝細胞巣中では、中心静脈の周辺にGSの発現が認められた。図12Bの挿入図は、抗GS抗体で染色したコントロールNOG(マウス)及び、図12Dの挿入図は、ヒト肝臓での染色結果を示す。Pは門脈路を示し、Cは中心静脈を示す。(3)HSVtkトランスジェニックNOGマウスのキャラクタライゼーション HSVtkのトランスジーン構造はマウスアルブミンエンハンサ/プロモーター(Alb En/Pro)、キメライントロン、HSVtk cDNA、及びポリアデニル化シグナル(hGHpA)と共にヒト成長ホルモンの遺伝子の3’−UTRからなる。図1にその構造を示す。矢尻はトランスジーン特異的な転写物を検出するのに使用したプライマーの位置と方向を示す。それぞれの矢の先はオリゴヌクレオチドの3’末端を表す。NOG系統ではscid変異が引き起こすDNA再構成の欠陥により、遺伝子断片をマイクロインジェクトしても得られる産仔の数がきわめてすくない。そのためはじめに、NOD/Shi系統でHSVtk−遺伝子トランスジェニックマウスが確立された(HSVtk−トランスジェニック;系統7−2)。NOGマウスの遺伝背景はNOD/Shi系統そのものであり、scidとIL2Rgnull変異が唯一の違いであるため、その後、NOG系統と交配することにより、scidとIL2Rgnull変異を保有させ、重度の免疫不全系統であるNOG−Tg(Alb−UL23)7−2/ShiJic(正式には、NOD.Cg−PrkdcscidIl2rgtm1Sug Tg(Alb−UL23)7−2/ShiJic,abridged name:略してTK−NOGと呼ぶ)が得られた。HSVtk遺伝子を有する雄トランスジェニックマウスは不妊になることが一般的に知られており、雄TK−NOGマウスも不妊であった。 図13に、遺伝子導入されたHSVtk発現ユニットの染色体上の位置を示す。図13に示すようにTK−NOGマウスは染色体1G座にHSVtk発現ユニットを有していた。 図14に、TK−NOGマウスに導入されたHSVtkトランスジーンの分子分析の結果を示す。非トランスジェニックNOGマウス腎臓(N)とTK−NOGマウス腎臓(T)からのゲノムDNAサンプルはサザンブロット解析のためにBam HI(Ba)、Not IとKpn I(NK)、Bgl II(Bg)、及びXba I(Xb)で消化された。 図2に、TK−NOGマウスのトランスジーンの制限地図と構造を示す。クローニングベクター(影付きのボックスはクローニングベクターを示す)が2つのHSVtkトランスジーンで挟まれたhead−to−tailタンデムアレイ構造(黒のボックスは転写セグメントを示す)でマウスゲノムに組み込まれていた。ベクターを有しないHSVtk発現ユニット(Not I−Kpn I fフラグメント)がマイクロインジェクトされたがNot I−Kpn I制限酵素で切断された少量のベクターが混入した可能性があり、HSVtk発現ユニットがhead−to−tail構造中でタンデムにベクターと繋がったと考えられる。アスタリスクはDIGによってラベルされたプローブ(*;5’プローブ、**;3’プローブ)で認識された位置を示す。 図15に、HSVtkトランスジーン発現をRT−PCRで解析した結果を示す。HSVtkトランスジーンの検出は、正確にスプライシングされたキメライントロンの配列を特異的に認識するプライマーを用いて行われた。試験された組織は、非トランスジェニックNOGマウス肝臓(nLi)、TK−NOGマウス肝臓(Li)、腎臓(Ki)、脾臓(Sp)、肺(Lu)、脳(Br)、骨格筋(Sm)、睾丸(Te)であった。グリセロアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(Gapdh)が内部標準として使用された。 図16は、ガンシクロビル(GCV)投与TK−NOGマウス(Tg HSVtk)及び非トランスジェニックNOGマウス(NTg)における、血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の活性を示す図である。図16に示すように、TK−NOGマウスの「プロドラック」GCV投与はゆるやかな用量依存性肝細胞傷害をもたらした。細胞傷害像を図17に示す。 図17Aは、ガンシクロビル投与の陰性対照としてPBSを投与したTK−NOGマウス肝臓のH&E染色像を示す。 図17B〜Dは、1.5mg/kgのGCV投与(図17B)、50mg/kgのGCV投与(図17C)のTK−NOGマウス肝臓のH&E染色像、及び50mg/kgのGCV投与(図17D)の非トランスジェニックNOGマウス肝臓のH&E染色の結果である。GCV(投与量、mgGCV/kg体重)は1日おきに計2回投与され、14日後に血液検体、組織検体が採取された。GCV処理トランスジェニックマウス肝臓は肝細胞メガロサイトーシス、重度から中度の細胞質空胞変性及び病巣細胞の死を示した。しかしながら、精巣以外の他のほとんどの組織では明確な細胞又は組織傷害は観察されなかった。図17のスケールバーは200μmである。Pは門脈路を示し、Cは中心静脈を示す。(4)TK−NOGマウスへのヒト肝細胞の移植と肝再構築 図18に種々の濃度でGCVが投与され、ヒトの肝細胞が移植されたTK−NOGマウスの血清ヒトアルブミン濃度を示す。図18に示すように、1.5mgのGCVが投与された群のヒト血清アルブミン濃度は、5mg/kgのGCVを投与した群より有意に高かった(P=0.0404、Mann−Whitney U−test)。0.5mg/kgと1.5mg/kgのGCV投与群では血清ヒトアルブミン濃度に有意な差は認められなかった。 図19にヒト血清アルブミン濃度と置換インデックス(RI)の相関関係を示す。図19に示すように、RI値とヒトの血清アルブミン濃度は強く相関していた(R2=0.9043)。 図20に、ヒト肝細胞で再構築されたTK−NOGマウス肝臓におけるヒトの遺伝子発現を示す。ヒト及びマウスmRNAがそれぞれ陽性及び陰性コントロールとして用いられた。 図21にヒト肝細胞を移植したマウスから採取した腎臓の組織病理学解析の結果を示す。図21に示すように、肝臓が再構築されたTK−NOGマウスの腎臓(A及びB)及び非トランスジェニックNOGマウスの腎臓(C及びD)のH&E及びPAS染色では、腎不全は認められなかった。バーは100μmである。 図22から24は、再構築したTK−NOGマウスの肝臓が細胞融合によるものではないことを示す。 図22は、マウスアルブミン(緑色)及びヒトアルブミン(赤)の免疫蛍光2重染色の結果を示す。図22に示すようにほとんどすべてのマウスアルブミン陽性肝細胞ではヒトアルブミンは陰性であり、ほとんどのヒトアルブミン陽性肝細胞ではマウスアルブミンは陰性であった。マウスアルブミン陽性肝細胞がヒト肝細胞コロニー中に点在して見られた。ヒトアルブミン陽性肝細胞は図22B中、白で示され、黒はマウスアルブミン陽性肝細胞を示す。 図23は、クローン増殖性ヒト肝細胞コロニーをレーザーマイクロダイセクション法で捕捉した結果を示す。抗ヒトCK8/18染色凍結切片のレーザーマイクロダイセクション法による捕捉前(A)及び捕捉後(B)を示す。図23Aの破線はヒト及び非ヒトターゲット(図23BのI及びII)からなる捕捉領域の境界を示す。 図24にレーザーマイクロダイセクション法で捕捉した肝細胞がヒトであるかマウスであるかを区別のために行ったPCR解析の結果を示す。用いたプライマーセットは、ヒトβアクチンだけではなくマウスβアクチン遺伝子も同様に増幅し、それぞれサイズの異なる産物が得られた(それぞれ、245bp及び271bp)。ヒトCK8/18陽性コロニーからは(図23A)245−bpバンドのヒトβアクチンアンプリコンのみが検出され、逆に、ヒトCK8/18陰性領域(図23B)からは271bpバンドのマウスβアクチンアンプリコンのみが検出された(図24、レーン「領域II(region II)」)。マウス及びヒトのDNAがコントロールサンプルとして用いられた。また、マウス及びヒトのDNAの両方のターゲット配列を含むプラスミドもコントロールとして用いられた。 ガンシクロビル(GCV)投与及びヒト肝細胞移植後のヒト血清アルブミンの産生をモニターしたところ、0.5〜1.5mg/kgの量のGCVがヒト肝細胞の移植に最適であることがわかった。60のレシピエントすべてで程度に差があったものの、移植後4週間以内で被験レシピエントにおいてヒト血清アルブミンが最初に検出され、徐々に上昇し数週間後に11.5mg/mlの最高濃度に達した(図3)。移植されたヒト肝細胞は完全にレシピエントマウスの肝臓構造中に組み込まれた(図6)。置換インデックス(RI)(免疫組織染色切片中のCK8/18陽性肝細胞により占められる面積の比)は、測定されたヒト血清アルブミン濃度と強く相関していた(R2=0.9043)(図19)。ヒト血清アルブミン濃度が>1mg/mlであるマウスにおいては、RI>10%である。これに基づけば、移植レシピエントの63%(38/60)の肝臓は12週間以内に10%を超えるヒト肝細胞が再増殖した(図3)。11例では高度に再増殖し(RI>40%、ヒト血清>4mg/ml)、5例はさらに高度に再増殖した(RI>80%、ヒト血清>8mg/ml)。本実施例では、凍結肝細胞を用いて、移植も1回しか行われなかった(生着したTK−NOGマウスからヒト肝細胞を分離し、再度移植する連続移植法を実施していないことを意味する)にも係らずTK−NOGマウスの肝臓でのヒト肝細胞の高レベルの再増殖が認められた。 異なった程度に(RIが10%、30%及び85%)ヒト肝細胞が再構築された3匹のTK−NOGマウスを用いて、肝臓組織学、RNA及びDNA、並びに血清タンパク質についての詳細な解析が行われた。イムノブロット解析により、複数の異なったヒトタンパク質(アルブミン、トランスフェリン、補体C3及びセルロプラスミン)がこれらのマウスの血清で検出された(図3)。C3前駆タンパク質がC4b−C2a複合体(C3転換酵素)によりプロセシングされたことを示す105kDaのヒトのC3α’鎖の存在は興味深い。uPAトランスジェニックマウスではヒトC3の血清濃度上昇が腎不全発症に寄与していると考えられており、免疫抑制剤の投与によりこれを抑制している(Tateno,C.et al.Am.J.Pathol.165,901−912(2004))。しかしながら、驚くべきことにTK−NOGマウスでは腎不全を発症せず、免疫抑制剤も必要としない。成熟肝細胞に存在している複数のヒトmRNAはTK−NOGマウスの肝臓中でも多量に発現した(図5)。また、複数の薬剤代謝酵素(UGT1A1、CYP1A1、CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP3A4)やトランスポーターABCC2;MRP2、ABCB11;MDR/TAP)のヒトmRNAの発現がTK−NOGマウスの肝臓中で確認された(図20)。ヘマトキシリン及びエオシン染色切片において、ヒト(CK8/18陽性)肝細胞はサイズと白っぽい細胞質によってマウス肝細胞と明確に区別された(Azuma,H.et al.Nat.Biotechnol.25,903−910(2007);Meuleman,P.et al.Hepatology 41,847−856(2005))(図6)。ヒトCK8/18陽性肝細胞はHLAやヒト特異的アルブミン抗体でも染色された。これはヒトCK8/18陽性肝細胞がマウスのものではなく、紛れもなくヒト肝細胞であることを示している(図6)。グリコーゲン蓄積はヒト肝細胞の細胞質のみで見られた。再構築された肝臓はヒトとマウスの肝細胞が融合することにより生じた可能性も考えられた。しかしながら、ヒト又はマウスのアルブミンに特異的な抗体を用いた免疫蛍光2重染色及びレーザーマイクロダイセクション法で捕捉した組織中のゲノムをPCRで解析した結果により、ヒトとマウスの細胞融合は否定された。 ほとんどのヒト肝細胞が移植後6週間以内に宿主肝組織の中でクローン性増殖したような小さな増殖巣として存在していた(図6)。再構築したTK−NOG肝臓中の胆管又は毛細胆管ネットワークが機能的なものであるかを評価するために、胆汁の排泄テストが蛍光代謝マーカーである5−カルボキシルフォレセインジアセテート(5−CFDA)を用いて行われた。5−CFDAは脂溶性のために容易に肝細胞に入り、そこでエステラーゼにより水溶性の蛍光代謝物質(CF)に代謝され(Mor−Cohen,R.et al.J.Biol.Chem.276,36923−36930(2001))、有機アニオントランスポーターであるMrp2によって胆汁中に排出される。5−CFDA投与の15分後に、5−CFDA代謝物質は急速に小葉上にハチの巣構造として観察され、代謝物CFが毛細胆管(BC)に排出されている様子を示す(図7)。このハチの巣パターンは、ヒト特異的な抗HLA及び抗MRP2抗体で染色された領域中にも存在した(図7)。対照的に、ヒト大腸癌細胞株(HCT−116)を移植した非トランスジェニックNOGマウス肝臓に形成されたヒト大腸癌増殖巣では、ヒト特異的な抗HLA染色で陽性を示したが、CF排泄を示すハチの巣構造は認められなかった。さらにヒト大腸癌の増殖巣では抗ヒトMRP2抗体も陰性であった(図7)。次いで、肝又は胆管システムが機能しているか、すなわち、胆汁が総胆管を通って胆嚢に集まり、十二指腸から腸管に排泄されているかが調べられた。ヒト肝細胞により排泄されたことを示すため、肝臓の90%以上がヒト肝細胞からなるTK−NOGマウス(図8)を用い、腸管への5−CFDA代謝物質(水溶性CF)の排泄が調べられた。5−CFDA投与の6時間後まで糞中にCFに由来する蛍光は観察されなかったが、7時間後にピークに達した(図9)。糞中でのシグナルは、5−CFDA投与後10時間以内に排除されたが、このマウスの胆汁中に5−CFDAの代謝物質がわずかに検出された(図10)。さらに、ヒトの胆汁タンパク質(トランスフェリン)が同じ胆汁サンプル中で検出された(図11)。マウス肝臓の90%以上の肝細胞がヒト肝細胞に置換しているので、このマウスの腸管に排泄されたCFは、実質上ヒト肝細胞により代謝され、排泄されたと考えられる。これらのデータは肝胆管システムが解剖学的に正常に構築されており、異物排泄機能も正常に働いていることを示す。このことから薬物など代謝物が腸肝循環する生体機能もヒト肝再構築TK−NOGマウスは備えると考えられる。 TK−NOGマウスで再構築された肝臓が成熟ヒト肝臓の3次元構造的特性を有しているかを決定する必要があった。そこで、肝小葉内で分布特性が異なる酵素(グルタミン合成酵素(GS))の発現パターンが調べられ、再構築された肝臓で形成された小葉構造が生理機能(中心静脈域と門脈域での栄養又は酸素濃度勾配により誘導される酵素の発現)を反映しているか評価された。通常、GSは中心静脈域のすぐ近くの肝細胞で発現する(Smith,D.D.J.et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85,160−164(1988))。移植6週間後のヒト肝細胞を含む肝小葉内にはGSの発現が認められず、この時点(移植から6週間)では機能的に未成熟であることを示唆する(図12)。対照的に、移植16週間経過した再構築肝臓では中心静脈周辺でGSの発現が認められた(図12)。ヒト肝細胞で再構築された肝臓は、多数の肝臓特異的ヒト遺伝子を発現し、ヒト血清タンパク質も分泌し、また、部分的に胆管ネットワークを形成しているものの、生理的な肝機能の成熟化には移植6週間では不十分であった。異種であるヒト肝細胞により肝臓が再構築され、さらに成熟したヒト肝臓構造が形成されるまでに8〜12週が必要であった。この結果は、マウスを用いた自己肝移植の研究(Braun,K.M.et al.Nat.Med.6,320−326(2000))において、実質の再構成が起こるのに移植から8週間を要するという報告と一致している。 これらの特性は、TK−NOGマウスに再構築されたヒト肝臓は成熟した「ヒトの肝臓という器官」であること示す。成熟肝臓の特徴である胆管ネットワークや機能的小葉構造(小葉内部位特異的酵素発現)などの3次元構造を有する新規TK−NOGプラットホームは、ヒト肝臓の移植に用いられていた公知のuPAトランスジェニックマウス及びFahノックアウトマウスの限界を克服する。肝胆汁ネットワークや機能的小葉構造等成熟肝臓が持つ機能は、3次元構造(細胞間)を持たない初代培養肝細胞などin vitro実験では決して再現できない。TK−NOGマウスに再構築されたヒト化肝臓は薬剤代謝や肝臓研究に好ましいプラットホームになる。 uPA−NOGマウスの作出とその機能解析1.方法本実施例は以下の方法で行った。(1)トランスジェニックマウスの作出マウスウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(Plau又はuPA)遺伝子発現ユニットは図25のように構築された。はじめにマウスuPA遺伝子が以下のプライマー;を用いてアニーリング温度60℃にてPCRで増幅された。実施例1で記載された単純ヘルペスウイルス1型チミジンキナーゼ遺伝子発現プラスミド(pmAlbEPintUL23GH)が制限酵素Nhe I・Sal Iによって二重に消化されることによって、単純ヘルペスウイルス1型チミジンキナーゼ遺伝子部分が取り除かれた後に、対応部位に同酵素で処理した上記マウスuPA遺伝子(配列番号47)がクローニングされたプラスミド(pmAlbEPintPlauGH;GenBankアクセッション番号AB453180)が得られた。pmAlbEPintPlauGHプラスミドDNAがNot I及びKpn Iで消化され、ベクター部を含まない4.6−kbフラグメントがuPA発現ユニットとして調製された。当該発現ユニットが公知の方法でNOD/Shiマウスの受精卵にマイクロインジェクトされた。トランスジーンを有する産仔がMuPAF1フォワードプライマー5’−AGTGTATGCAGCCCCACTACTATG−3’(配列番号50)及びhGHR1リバースプライマー5’−CACTGGAGTGGCAACTTCCA−3’(配列番号8)を用いたPCRで同定された(アニーリング温度63℃)。尾組織から抽出したゲノムDNAが20μl反応混液中で、94℃2分、94℃30秒35サイクル、63℃20秒、68℃60秒、68℃3分の条件で増幅された。トランスジーンDNAはアガロースゲル上で383bpの増幅産物バンドとして確認された。雌のトランスジェニックマウスを雄のNOD.Cg−PrkdcscidIl2rgtm1Sug/ShiJic(NOG)と交配させscid及びIL2Rgnullの変異を有する個体が得られた。scid及びIL2Rgnull遺伝子の変異がPCRによりジェノタイピングされた(Maruyama,C.et al.Exp.Anim.51,391−393(2002):Ito,M.et al.Blood 100,3175−3182(2002))。作製したマウスの正式系統名は、NOD.Cg−PrkdcscidIl2rgtm1Sug Tg(Alb−Plau)11−4/ShiJicで表され、これをuPA−NOGと称する。(2)RT−PCRによる導入遺伝子(マウスuPA cDNA)トランスクリプトの検出 29週齢のuPA−NOGマウス肝臓、腎臓及び脾臓からRNeasy Mini kit(Qiagen K.K.)を用いてトータルRNAが得られた。RT−PCRはHigh Capacity cDNA Reverse Transcription kit(Applied Biosystems)を用いて行われた。pCIspF forward primer5’−GAGGCACTGGGCAGGTGTCC−3’(配列番号13)及びMuPAR reverse primer 5’−AGGGCCGACCTTTGGTATCAGTG−3’(配列番号51)を用いて導入遺伝子(マウスuPA cDNA)トランスクリプトのスプライス型が365bpバンドとして検出された(アニーリング温度65℃)。G3PDHF forward primer 5’−TCACCATCTTCCAGGAGCGAGA−3’(配列番号15)及びG3PDHR reverse primer 5’−GAAGGCCATGCCAGTGAGCTT−3’(配列番号16)を用いて増幅した479bpグリセルアルデヒド−3−フォスフェートデヒドロゲナーゼ(Gapdh)フラグメントが内部標準として用いられた(アニーリング温度65℃)。(3)自然発症肝臓傷害 肝臓傷害の程度はFUJI DRI−CHEM7000(Fujifilm)による生化学的血清検査(alanine aminotransferase aminotransferase(ALT)値の変動)により調べられた。(4)サザンブロット分析 ゲノムDNAサンプルは8週齢uPA−NOGマウス及び非トランスジェニックマウスの肝臓及び腎臓を一晩プロテイナーゼKで消化を行い、フェノール:クロロフォルム:エタノール抽出することにより得られた。制限酵素XbaI、XhoI、BglII及びBamHIで消化したゲノムDNAが0.6%アガロースゲルで電気泳動され、陽性荷電ナイロン膜(F.Hoffmann−La Roche)にトランスファーされた。PCR DIG Probe Synthesis Kit(F.Hoffmann−La Roche)を用いて調製したDIG標識プローブを用いてハイブリダイゼーションが行われた。用いられたプライマーは以下の配列;を有するものであった。プローブが認識する位置を図26中の*で示す。(5)ヒト肝細胞の移植 市販の凍結ヒト肝細胞(Lonza Walkersville)をドナー細胞として用い、以下の一般的な方法で移植が行われた。6週齢の成体ヘミ接合型及びホモ接合型uPA−NOGマウスがレシピエントとして用いられた。細胞数及び生存率はトリパンブルー排除法により血球計算盤を用いて測定された。40μlのHank’s Balanced Solution(HBSS)又はWilliam’s medium Eに浮遊させた1〜2×106の生肝細胞が26ゲージの注射針をつけたハミルトンシリンジを用いて脾臓内に移植された。(6)ヒトアルブミン測定 小量の血液が隔週で眼底静脈叢からプラスティックキャピラリーを用いて採取された。採取された血液は、1%ウシ血清アルブミン及び0.05%Tween20(BSA)を含むTBS(Tris−buffered saline)で500〜30000倍に希釈され、そのヒトアルブミン濃度がヒトアルブミンELISA Quantitation Kit(Bethyl Laboratories)を用いて測定された。閾値濃度は〜3×103ng/mlであった。(7)イムノブロッティング 希釈血清サンプル(希釈倍率:2000倍)が5%βメルカプトエタノール含有SDSサンプルバッファーに溶解され、SDS−PAGEに供された後に、Hybond−ECL膜(GE Healthcare Bio−Sciences)に転写された。転写された膜がビオチン標識ポリクローナルヤギ抗マウスアルブミン抗体(A90−234A;Bethyl Laboratories)及びビオチン標識ポリクローナルヤギ抗ヒトアルブミン抗体(A80−229A;Bethyl Laboratories)と共にインキュベーションされ、洗浄後の当該膜は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識ストレプトアビジン(GE Healthcare Bio−Sciences)と共に60分間インキュベーションされた。ビオチン標識はFluoReporter Mini−Biotin−XX Protein Labeling Kit(Invitrogen Corp.,CA,USA)により行われ、ECL Western Detection System(GE Healthcare Bio−Sciences)及びHyperfilm ECL(GE Healthcare Bio−Sciences)を用いた発色が検出された。(8)組織学及び免疫組織染色 フォルマリン固定した組織がパラフィンに包埋され、5μm切片を調製してヘマトキシリン及びエオシン染色(H&E)、及びポリクローナルヤギ抗ヒトアルブミン抗体(Bethyl Laboratories)を1次抗体とした免疫組織染色が行われた。ヤギIgがアミノ酸ポリマー/ペルオキシダーゼ複合体標識抗体(Histofine Simple Stain Mouse MAX PO(G);Nichirei Bioscience)及びジアミノベンジジン(DAB;Dojindo Laboratories)基質(0.2mg/ml 3,3’−ジアミノベンジジンテトラヒドロクロリド,0.05M Tris−HCl,pH7.6,and 0.005% H2O2)を用いて可視化され、ヘマトキシリンを用いて対比染色が行われた。2.結果結果は以下のとおりであった。(1)uPAトランスジェニックNOGマウスのキャラクタライゼーション uPAのトランスジーン構造はマウスアルブミンエンハンサ/プロモーター(Alb En/Pro)、キメライントロン、mouse uPA cDNA、及びポリアデニル化シグナル(hGHpA)と共にヒト成長ホルモンの遺伝子の3’−UTRからなる。図25にその構造を示す。矢尻はトランスジーン特異的な転写物を検出するのに使用したプライマーの位置と方向を示す。それぞれの矢の先はオリゴヌクレオチドの3’末端を表す。NOG系統ではscid変異が引き起こすDNA再構成の欠陥により、遺伝子断片をマイクロインジェクトしても得られる産仔の数がきわめてすくない。そのためはじめに、NOD/Shi系統でuPA−遺伝子トランスジェニックマウスが確立された(uPA−トランスジェニック;系統11−4)。NOGマウスの遺伝背景はNOD/Shi系統そのものであり、scidとIL2Rgnull変異が唯一の違いであるため、その後、NOG系統と交配することにより、scidとIL2Rgnull変異を保有させ、重度の免疫不全系統であるNOG−Tg(Alb−Plau)11−4/ShiJic(正式には、NOD.Cg−PrkdcscidIl2rgtm1Sug Tg(Alb−Plau)11−4/ShiJic,abridged name:略してuPA−NOGと呼ぶ)が得られた。従来技術で観察されていたようなuPAトランスジェニックな胎生致死はホモ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウスでは観察されず、驚くべきことにuPA−NOGマウスはそのホモ系統での維持が可能であった。 図27に、uPAトランスジーン発現をRT−PCRで解析した結果を示す。uPAトランスジーンの検出は、正確にスプライシングされたキメライントロンの配列を特異的に認識するプライマーを用いられた。非トランスジェニックNOGマウス(Wild)、ヘミ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウス(Tg/+)、ホモ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウス(Tg/Tg)の肝臓(Liver)、腎臓(Kidney)、脾臓(Spleen)についてその検出が行われ、ヘミ接合型及びホモ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウスの肝臓においてその発現が確認された。グリセロアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(Gapdh)が内部標準として使用された。 図28は、ヘミ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウス(Tg/+)及びホモ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウス(Tg/Tg)における肝傷害マーカー・血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の活性を示す図である。ヘミ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウス(Tg/+)における肝傷害マーカー値は、点線で示す非トランスジェニックNOGマウス(Wild)の値に対し有意な差は認められなかった。一方、ホモ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウス(Tg/Tg)におけるALT活性は生後6週以降、ヘミ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウス(Tg/+)及び非トランスジェニックNOGマウス(Wild)に対し有意な上昇が認められ、14週まで継続することが認められた。 ホモ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウス(Tg/Tg)肝臓の肉眼像(図29A)及び肝細胞傷害像(図29B及びC)を図29に示す。非特許文献6のuPAトランスジェニックマウスでは肝臓自体の白色変性が報告されているが、驚くべきことに本発明のuPA−NOGマウスでは生後6週のホモ接合型マウス(Tg/Tg)の肝臓でも肉眼的異常は認められなかった。生後6週のホモ接合型マウス(Tg/Tg)の肝臓のH&E染色像を図29Bに示す。主として中心静脈域に肝細胞の退行変性巣やエオシン好性体が見られた。生後16週のホモ接合型ではエオシン好性体の増加を伴う肝細胞メガロサイトーシスが顕著に認められた(図29C)。 図30に、uPA−NOGマウスに導入されたuPAトランスジーンのサザンブロット法による分子解析の結果を示す。非トランスジェニックNOGマウス腎臓(Kid.(W))とuPA−NOGマウス腎臓(Kid.(Tg))及びuPA−NOGマウス肝臓(Liv.(Tg))からのゲノムDNAサンプルをサザンブロット解析のためにXba I及びXho Iで消化した(図30左)。遺伝子導入に使用した4.6−kbのuPA発現ユニット(Cont.)が陽性対照として使用された。非特許文献6のuPAトランスジェニックマウスでは肝臓でのトランスジーン欠失が報告されているが、驚くべきことに本発明のuPA−NOGマウスでは肝臓でのトランスジーン欠失は認められなかった。非トランスジェニックNOGマウス腎臓(Wild)及びuPA−NOGマウス腎臓(Tg)からのゲノムDNAサンプルをサザンブロット解析のためにBgl II及びBam HIで消化した(図30右)。解析の結果、uPA−NOGマウスは少なくとも3コピーのuPA発現ユニットを保有することが明らかとなった。 図26に、uPA−NOGマウスのトランスジーンの制限地図と構造を示す。Xba I(Xb)、Bgl II(Bg)、Bam HI(Ba)及びXho I(Xh)による切断部位を示す。アスタリスクはDIGによってラベルされたプローブで認識される位置を示す。(2)uPA−NOGマウスへのヒト肝細胞の移植と肝再構築 図31にヒトの肝細胞を移植したヘミ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウス(Tg/+)(図31A)及びホモ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウス(Tg/Tg1)(図31B)の肝臓肉眼像を示す。驚くべきことに、ヒト肝細胞の移植から10週後においても、非特許文献6で報告されている白色変性は認められなかった。 図32にuPA−NOGマウスの血清ヒトアルブミン濃度の推移(図32A)と体重変化(図32B)を示す。ヘミ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウス(Tg/+)における血清ヒトアルブミン濃度は、点線で示す非トランスジェニックNOGマウス(Wild)の値と同レベルであり、ヒト肝細胞の生着が確認されなかった。一方、ホモ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウス(Tg/Tg1及び2)における血清ヒトアルブミン濃度はヒト肝細胞移植後約4週から上昇し、移植した2例中2例とも血清ヒトアルブミン濃度が1mg/ml以上、すなわち、ヒト肝細胞による置換率が10〜15%となった。1例は更に上昇を続け、血清ヒトアルブミン濃度が6.5mg/mlにまで達した。ヒト肝細胞が移植されたホモ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウス(Tg/Tg1及び2)の成長は良好であった。これらのマウス血清を免疫ブロット法により解析した結果を図33に示す。マウス及びヒト血清が陽性及び陰性コントロールとして用いられた。抗ヒトアルブミン抗体ではヒト肝細胞が移植されたホモ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウス(Tg/Tg1及び2)とヒト血清のみで65kDaのバンドが認められた。抗マウスアルブミン抗体ではヒト血清以外で65kDaのバンドが認められた。 ヒト肝細胞移植10週後のホモ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウス(Tg/Tg1及び2)の抗ヒトアルブミン抗体による免疫染色及びH&E染色結果を図34に示す。Tg/Tg1ホモ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウスにおける血清ヒトアルブミン濃度は1.8mg/mlに達し、抗ヒトアルブミン抗体染色では切片上の約20%がヒト肝細胞であった(図34A)。一方、血清ヒトアルブミン濃度が6.5mg/mlに達したTg/Tg2ホモ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウスの抗ヒトアルブミン抗体染色では切片上の約80%がヒト肝細胞であった(図34B)。Tg/Tg1ホモ接合型トランスジェニックuPA−NOGマウスにおける抗ヒトアルブミン抗体染色陽性部(図34C)はH&E染色において細胞質が透明でああることが観察された(図34D)。上記の観察はヒト肝細胞中に蓄積したグリコーゲン顆粒がH&E染色で透明になるという非特許文献2及び4の報告と一致する。 医薬の血漿中動態、代謝物の同定、代謝速度等の評価1.ヒト化肝臓を有するマウス生体内でのDebrisoquin(DB)又はS−Warfarine(WF)の代謝試験 肝臓の50%以上がヒト肝細胞によって置換されたキメラマウス(hu−Liver:血液中のヒトアルブミン濃度が4.5mg/mL以上)に対し、DB(Research Biochemicals International)が2.0mg/kgの用量にて強制経口投与、又は、WF(和光純薬工業株式会社)が30mg/kgの容量にて腹腔内投与された。DB又はWF投与後0、0.5、1、2、4、7及び24時間後に40μl容量の血液試料が眼窩採血により回収され、当該血液より血漿が遠心分離によって分離された。2.LC−MS/MSによるDB、4−ヒドロキシDB(4−OH DB)、WF及び7−ヒドロキシWF(7−OH WF)の定量 DB及び4−OH DBの血漿中濃度は以下の方法で測定された。マウス血漿5μLに蒸留水150μLを添加し、内標準物質である20nM imipramineのエタノール溶液が20μl混入された後に、固相抽出にかけられた。5%メタノールで洗浄した後、2−プロパノール/アセトニトリル混液で溶出された。溶出液がLC−MS/MSにて定量された。観測イオンはDBに対してはm/z 176及び134、4−OH DBに対してはm/z 192及び132、内標準物質に対してはm/z 281及び86であった。 WF及び7−OH WFの血漿中濃度は以下の方法で測定された。マウス血漿5μLに蒸留水150μLを添加し、内標準物質である50nM 2−benzylphenolのエタノール溶液が20μl混入された後に、固相抽出にかけられた。5%メタノールで洗浄した後、2−プロパノール/アセトニトリル混液で溶出された。溶出液が前記と同様にLC−MS/MSにて定量された。3.薬物動態解析 解析ソフトWInNonlinを用いてDB、4−OH DB、WF及び7−OH WFの血漿中濃度から、血漿中薬物濃度下面積(AUC)が算出された。統計解析はSASプログラムを用いて実施された。指定時間経過後のdebrisoquin、および、CYP2D6によるその代謝産物4’−hydroxydebrisoquinの血液中濃度がそれぞれ図35A及び図35Bに示される。Debrisoquinの血液中濃度変化は、コントロールであるNOGとhu−Liverの間に差を認めなかったが(図35A)、4’−hydroxydebrisoquinは、いずれの時間においてもNOGに比べhu−Liverにて高濃度で検出された(図35B)。算出されたAUC値は、NOGに比べhu−Liverで有意に高値であった(図35C)。同様に、warfarinを投与したとき、CYP2C9によるその代謝産物7−hydroxywarfarinのAUC値はコントロールに比べhu−Liverで高値を示した(図35D)。CYP2D6、および、CYP2C9による代謝反応は、マウスでは進行しにくいことが知られており、Debrisoquin、および、Warfarinのこれら酵素による各代謝産物がコントロールに比較してhu−Liverにおいてより多量に検出された結果は、キメラマウスに生着したヒト肝細胞がマウス生体内においても機能性を保持し、これら代謝反応へ寄与していることを示唆するものである。 ドナー細胞中の増殖性細胞(肝幹細胞、肝前駆細胞等)の検出1.ヒト正常肝細胞の移植 市販の凍結ヒト肝細胞がドナー細胞として用いられ、以下の一般的な方法で移植が行われた。TK−NOGマウスにおいては、6〜8週齢の成体がレシピエントとして用いられ、移植の5及び3日前にGCV(0.5〜1.5mg/kg)が腹腔内に投与された。uPA−NOGにおいては、6週齢の成体ホモ接合体がレシピエントとして用いられた。40μlのHank’s Balanced Solution(HBSS)又はWilliam’s medium Eに浮遊させた1〜2×106の肝細胞が26ゲージの注射針をつけたハミルトンシリンジを用いて脾臓内に移植された。2.増殖性ヒト細胞の検出 フォルマリン固定された肝臓がパラフィンに包埋され、その5μm切片が調製された。切片はtarget retrieval solution(0.1M citrate buffer,pH6.0;1mM EDTA,pH9.0)に浸漬され10分間オートクレーブの処理を受けた後に20分間室温に置かれた。モノクローナルマウス抗ヒトKi−67antigen抗体(clone MIB−1;Dako)が1次抗体として用いられた。明視野免疫組織染色のために、マウスIgがアミノ酸ポリマー/ペルオキシダーゼ複合体標識抗体(Histofine Simple Stain Mouse MAX PO(M);Nichirei Bioscience)及びジアミノベンジジン(DAB;Dojindo Laboratories)基質(0.2mg/ml 3,3’−ジアミノベンジジンテトラヒドロクロリド,0.05M Tris−HCl,pH7.6,and 0.005% H2O2)を用いて可視化された。切片がヘマトキシリンを用いて対比染色された。3.ヒト化肝臓を有するマウスにおけるヒト増殖性肝細胞の検出 TK−NOG、および、uPA−NOGマウス肝臓に生着したヒト正常肝細胞を細胞増殖マーカー(MIB−1)で免疫染色した結果を図36に示した。Ki−67抗原は機能面で不明な点も多いが、S期で発現量の増加がおこり、M期で最大となるといわれている。そのため、Ki−67抗原の発現が見られた細胞は、細胞周期に入っていることを表わしている。図36AではTK−NOGマウス肝臓に形成されたヒト肝細胞コロニー中に、細胞増殖マーカー(抗ヒトKi−67抗原)陽性細胞が多数認められた。また、uPA−NOGマウス肝臓に形成されたヒト肝細胞コロニー中にも細胞増殖マーカー陽性細胞が同様に認められた(図36B)。 市販のヒト正常肝細胞(肝臓を酵素処理で分散した細胞)は肝臓中のすべての細胞集団を含んでいる。この細胞をドナー細胞としてTK−NOG、および、uPA−NOGマウスに移植したいずれの場合も肝臓内にヒト肝細胞コロニーが形成された。更にヒト肝細胞コロニー中にはヒト特異的な細胞増殖マーカー染色陽性の細胞が認められた。このことはドナー細胞中に分裂増殖する能力を有する肝細胞、あるいは肝前駆細胞、肝幹細胞が存在することを示し、本発明のマウスを用いることにより、容易にドナー細胞中の肝前駆細胞や肝幹細胞の存在を評価することが可能となる。 TK−Balb/c dKOマウス、及び、TK−NOD dKOマウスを用いたヒト肝臓再構築キメラマウスの作製1.TK−Balb/c dKOマウスの作製 TK−Balb/c dKOマウスは、TK−NOGマウスとBalb/cA dKOマウス(RAG−2 KO,IL−2Rnull)を交配した結果得られたF1世代マウスと、Balb/cA dKOマウスとの交配を繰り返すことにより作製された。Balb/cA dKOマウスによる戻し交配の過程において、産仔マウスのHSV−Tk、SCID、RAG−2、及び、IL−2R遺伝子の検査が行われ、遺伝背景をBalb/cとするTK−Balb/c dKOマウス(HSV−Tk(+),SCID wild,RAG−2 KO,IL−2Rnull)が得られた。2.TK−NOD dKOマウスの作製 TK−dKOマウスは、TK−NOGマウスとNOD dKOマウス(RAG−2 KO,IL−2Rnull)を交配した結果得られたF1世代マウスと、NOD dKOマウスとの交配を繰り返すことにより作製された。NOD dKOマウスによる戻し交配の過程において、産仔マウスのHSV−Tk、SCID、RAG−2、及び、IL−2R遺伝子の検査が行われ、遺伝背景をNODとするTK−NOD dKOマウス(HSV−Tk(+),SCID wild,RAG−2 KO,IL−2Rnull)が得られた。HSV−tk遺伝子型検査用プライマーとして以下の配列;scid遺伝子型検査用プライマーとして以下の配列;RAG2/IL−2R遺伝子型検査用プライマーとして以下の配列;IL−2R遺伝子型検査用プライマーとして以下の配列;が、実施例1に記載されたPCRで使用された方法に準じたPCR反応に用いられた。3.TK−Balb/c dKOマウス、及び、TK−NOD dKOマウスを用いたヒト肝臓再構築キメラマウスの作製 ヒト肝キメラマウスはTK−NOGマウスでの方法に準じて作製された。TK−Balb/c dKOマウス、及び、TK−NOD dKOマウスの腹腔内にGCVが5mg/kgで隔日にて2回投与された。2回目のGCV投与後の3日目に、HBSSに懸濁されたヒト肝細胞が26Gの注射針を備えたハミルトンシリンジを用いてマウス脾門部より移植された。血中GPT値の経過観察に基づくと、高い肝傷害がモニターされたにもかかわらず当該肝傷害を有するマウスの著しい体重減少は認められなかった。血液中にヒトアルブミンが確認された個体は安楽死され、その肝臓が採取された。採取された肝臓から、パラフィン包埋された組織切片が作製され、当該切片に対して抗ヒトサイトケラチン8/18抗体による免疫組織染色が行われた。ヒト肝細胞を移植したTK−Balb/c dKOマウス、及び、NOD dKOマウスの肝臓の抗ヒトサイトケラチン8/18抗体による免疫組織染色像が、それぞれ図37A、及び、図37Bに示される。TK−Balb/c dKOマウス、及び、NOD dKOマウスにおける、ヒトサイトケラチン8/18抗体にて染色されるヒト肝細胞の生着が確認された。 本発明のマウスは肝臓細胞がヒト肝臓細胞に置換されたマウスであり、ヒトの肝臓の構造又は機能を有するマウスである。本発明のマウスを用いてヒトに特異的な肝炎ウイルスの感染や、投与された薬剤の代謝、又は、ヒト肝臓の増殖を解析することが可能である。 本発明のヒトの肝細胞が移植されたマウスは、ヒトの肝臓の機能を発揮し得、医薬のヒト肝臓における代謝のされやすさ等を評価することができる。配列番号2〜46、48〜63 プライマー 本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。[配列表] ヒト単純ヘルペスウイルス1型-チミジンキナーゼ(HSV-tk)遺伝子がその肝臓において特異的に発現可能に保持され、マウスの肝細胞の80%以上がヒトの肝細胞に置換され、ヒト肝臓が再構築され該肝臓がヒト肝臓の3次元的構造及びヒト肝臓の機能を有している、ヒトの肝細胞が移植されたNOG(NOD/SCID/γcnull)マウス。 マウスの肝細胞の90%以上がヒトの肝細胞に置換された請求項1に記載のヒトの肝細胞が移植されたNOG(NOD/SCID/γcnull)マウス。 ヒト肝臓の肝胆管システムが構築され、ヒト肝臓の機能的小葉構造を有し、肝臓の異物排泄機能が正常に働いている、請求項1又は2に記載のヒトの肝細胞が移植されたNOG(NOD/SCID/γcnull)マウス。 ヒトの肝細胞がヒト肝細胞株である請求項1から3のいずれか1項に記載のヒトの肝細胞が移植されたNOG(NOD/SCID/γcnull)マウス。 ヒト肝細胞株が、HepG2、Hep3B、又はHuH-7である請求項4に記載のヒトの肝細胞が移植されたNOG(NOD/SCID/γcnull)マウス。 ヒトの肝細胞が初代培養された肝細胞である請求項1から3のいずれか1項に記載のヒトの肝細胞が移植されたNOG(NOD/SCID/γcnull)マウス。 ヒト単純ヘルペスウイルス1型-チミジンキナーゼ(HSV-tk)遺伝子がアルブミンプロモーター、LST-1プロモーター、αフェトプロテインプロモーター、又はα-TTPプロモーターの制御下に配置されることによりヒト単純ヘルペスウイルス1型-チミジンキナーゼ(HSV-tk)遺伝子がその肝臓において特異的に発現可能に保持される請求項1から6のいずれか1項に記載のヒトの肝細胞が移植されたNOG(NOD/SCID/γcnull)マウス。 さらに、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子遺伝子がその肝臓において特異的に発現可能に保持された請求項1から7のいずれか1項に記載のヒトの肝細胞が移植されたNOG(NOD/SCID/γcnull)マウス。 ヒト単純ヘルペスウイルス1型-チミジンキナーゼ(HSV-tk)遺伝子がその肝臓において特異的に発現可能に保持され、マウスの肝細胞がヒトの肝細胞に置換され、ヒト肝臓が再構築され該肝臓がヒト肝臓の3次元的構造及びヒト肝臓の機能を有しており、マウスの肝細胞の80%以上がヒトの肝細胞に置換された、ヒトの肝細胞が移植されたNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスの作製方法であって、(i) ヒト単純ヘルペスウイルス1型-チミジンキナーゼ(HSV-tk)遺伝子をNOD/Shiマウスの受精卵にマイクロインジェクトする工程、(ii) (i)の工程で得られた、ヒト単純ヘルペスウイルス1型-チミジンキナーゼ(HSV-tk)遺伝子を有するNOD/ShiマウスをNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスと交配させ、NOD.Cg-PrkdcscidIl2rgtm1Sug Tg(Alb-UL23)7-2/ShiJicマウス(TK-NOG)であるNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスを得る工程、及び(iii) 該マウスに自殺基質、及びヒトより単離された肝細胞を投与し、マウス肝細胞を傷害しマウス肝細胞をヒト肝細胞で置換する工程を含む、ヒトの肝細胞が移植されたNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスの作製方法。 自殺基質がチミジンキナーゼにより毒性物質に代謝される物質である請求項9に記載のヒトの肝細胞が移植されたNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスの作製方法。 毒性物質に代謝される物質がアシクロビル、又はガンシクロビルである請求項10に記載のヒトの肝細胞が移植されたNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスの作製方法。 ヒトの肝細胞がヒト肝細胞株である請求項9から11のいずれか1項に記載のヒトの肝細胞が移植されたNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスの作製方法。 ヒト肝細胞株が、HepG2、Hep3B、又はHuH-7である請求項12に記載のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスの作製方法。 ヒトの肝細胞が初代培養された肝細胞である請求項9から11のいずれか1項に記載のヒトの肝細胞が移植されたNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスの作製方法。 ヒト単純ヘルペスウイルス1型-チミジンキナーゼ(HSV-tk)遺伝子がアルブミンプロモーター、LST-1プロモーター、αフェトプロテインプロモーター、又はα-TTPプロモーターの制御下に配置されることによりヒト単純ヘルペスウイルス1型-チミジンキナーゼ(HSV-tk)遺伝子がその肝臓において特異的に発現可能に保持されることを特徴とする請求項9から14のいずれか1項に記載のヒトの肝細胞が移植されたNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスの作製方法。 請求項9から15のいずれか1項に記載の方法で得られたヒトの肝細胞が移植されたNOG(NOD/SCID/γcnull)マウス。 請求項1から8及び16のいずれか1項に記載のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスを用いて被験物質の血漿中動態を測定する方法。 請求項1から8及び16のいずれか1項に記載のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスを用いて被験物質の代謝物を同定する方法。 請求項1から8及び16のいずれか1項に記載のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスから単離された肝細胞を用いて被験物質の代謝物を同定する方法。 請求項1から8及び16のいずれか1項に記載のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスを用いて被験物質の代謝速度を測定する方法。 以下の工程;(i) 請求項1から8及び16のいずれか1項に記載のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスを作製する工程;及び(ii) ヒトHCVを(i)に記載のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスに接種する工程;を含む、ヒトC型肝炎ウイルス(HCV)が感染したNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスを作製する方法。 請求項21に記載の方法で作製されるヒトC型肝炎ウイルス(HCV)が感染したNOG(NOD/SCID/γcnull)マウス。 以下の工程;(i) 請求項1から8及び16のいずれか1項に記載のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスにヒトHCVを投与する工程;及び(ii) 宿主内でヒトHCVの複製が起こる十分な期間をおいた後にヒトHCVを感染宿主から単離する工程;を含む、ヒトC型肝炎ウイルス(HCV)の培養方法。 以下の工程;(i) 請求項1から8及び16のいずれか1項に記載のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスに候補薬剤を投与する工程;及び(ii) 候補薬剤がHCV感染に及ぼす作用を分析する工程であって、未投与のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスに対する、又は候補薬剤投与前のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスにおける感染量に対するヒトHCVの感染量の低下が、該薬剤の抗HCV活性を意味する工程;を含む、抗HCV活性を有する候補薬剤をスクリーニングする方法。 候補薬剤をヒトHCVの感染前に投与する、請求項24記載の方法。 抗HCV活性を有する候補薬剤が抗HCV抗体又はそのHCV結合性断片である、請求項24又は25に記載の方法。 以下の工程;(i) 請求項1から8及び16のいずれか1項に記載のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスの免疫を再構成する工程;(ii) (i)に記載のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスに候補ワクチンを投与する工程;及び(iii) 該ワクチンがHCV感染に及ぼす作用を分析する工程であって、未投与のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスに対する、又は該ワクチン投与前のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスにおける感染量に対するヒトHCVの感染量の低下が、該ワクチンの抗HCV活性を意味する工程;を含む、能動免疫療法に用いる抗HCV活性を有する候補ワクチンをスクリーニングする方法。 以下の工程;(i) 請求項1から8及び16のいずれか1項に記載のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスの免疫を再構成する工程;(ii) (i)に記載のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスに治療用ワクチン接種用の候補ワクチンを投与する工程;及び(iii) 該ワクチンがHCV感染に及ぼす作用を分析する工程であって、未投与のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスに対する、又は該ワクチン投与前のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスにおける感染量に対するヒトHCVの感染量の低下が、該ワクチンの抗HCV活性を意味する工程;を含む、抗HCV活性を有する治療用ワクチン接種用の候補ワクチンをスクリーニングする方法。 請求項1から8及び16のいずれか1項に記載のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスを用いて肝幹細胞を探索する方法であって、NOG(NOD/SCID/γcnull)マウスに生着した肝組織から肝幹細胞を同定することを含む方法。 請求項1から8及び16のいずれか1項に記載のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスを用いて肝幹細胞を含む細胞集団を採取する方法であって、NOG(NOD/SCID/γcnull)マウスに生着した肝組織から肝幹細胞を含む細胞集団を採取することを含む方法。 請求項1から8及び16のいずれか1項に記載のNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスを用いて再構築されたヒト肝臓組織。 (i) ヒト単純ヘルペスウイルス1型-チミジンキナーゼ(HSV-tk)遺伝子をNOD/Shiマウスの受精卵にマイクロインジェクトする工程、及び(ii) (i)の工程で得られた、ヒト単純ヘルペスウイルス1型-チミジンキナーゼ(HSV-tk)遺伝子を有するNOD/ShiマウスをNOG(NOD/SCID/γcnull)マウスと交配させる工程により得られる、ヒト単純ヘルペスウイルス1型-チミジンキナーゼ(HSV-tk)遺伝子がその肝臓において発現可能に保持され、ヒト肝細胞を肝臓に生着させることができるNOD.Cg-PrkdcscidIl2rgtm1Sug Tg(Alb-UL23)7-2/ShiJicマウス(TK-NOG)であるNOG(NOD/SCID/γcnull)マウス。


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