タイトル: | 特許公報(B2)_血清又は血漿の分離方法 |
出願番号: | 2010536813 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | G01N 33/48 |
須藤 邦宏 小島 靖 前川 麦 JP 5516415 特許公報(B2) 20140411 2010536813 20091109 血清又は血漿の分離方法 日立化成株式会社 000004455 大谷 保 100078732 平澤 賢一 100119666 須藤 邦宏 小島 靖 前川 麦 JP 2008286435 20081107 20140611 G01N 33/48 20060101AFI20140522BHJP JPG01N33/48 CG01N33/48 D G01N 33/48 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) CiNii 特公昭63−48310(JP,B1) 米国特許出願公開第2008/0132874(US,A1) 須永 智子, 平田 真理子, 一戸 一晃, 斎藤 悦子, 鈴木 幸子, 谷本 義文,「血清分離剤の動物生化学検査値に及ぼす影響」,Experimental Animals,日本実験動物学会,1992年10月,Vol. 41, No. 4,p. 533-536 10 JP2009069062 20091109 WO2010053181 20100514 20 20121001 藤田 都志行 本発明は、全血液試料を遠心分離操作により血清又は血漿と血球に分離する血清又は血漿の分離方法に関する。 臨床検査における血液成分の検査は、全血を血清又は血漿(以下「血清等」と称する場合がある。)と血球を含む成分(以下「血球成分」と称する。)に分離することが要求される。その方法の一つとして、血清等と血球成分の中間の比重を有する物質を配した血液採取管(以下「採血管」と記載する。)に全血液試料を採取し、遠心分離操作によって該物質を血清等と血球成分の中間に位置させることで、分離する方法がある。この方法によれば、ピペット操作、デカンテーションなどにより、血球が血清等に混入することがなく、血清又は血漿を分取することができる。 これまで、この血清又は血漿分離材としては、主にゲル状のものが使用されており、例えば、特定の粘度範囲を有するα−オレフィン・マレイン酸ジエステル共重合体を主成分とし、比重が1.035〜1.055に調整された血清分離材などが提案されている(特許文献1参照)。 しかしながら、ゲルによる血清及び血漿の分離ではゲルが柔らかいために、検査部所で血清等を分離した後に、試料取扱時の振動や、分注時の分離材の誤吸入などにより、血清等と血球成分が混ざることがあり、検査結果が誤ったものになる原因となっていた。また、分離材がゲル状であるため、長期間保存した場合や冷凍保存時に、採血管の内壁と分離材の界面、もしくは分離材内部にできた隙間から血球に含まれる電解質成分などが血清等に混入することで、測定結果を誤らせる場合があった。 また、採血する場所と血液を検査する場所が異なる場合などでは、採血から検査までの間に時間を要することがある。このような場合には、血清及び血漿分離材として、血液中の水分等と反応する材料を用いることができなかった。 そこで、これらの問題点を解決するために、血清等を分離した後に、分離材を紫外線照射などにより硬化させ、完全に分離する方法が提案されている(特許文献2〜5参照)。この方法では、紫外線照射により完全に硬化するため、硬化後に血清等と血球成分が混ざることがなく、また、紫外線照射前は、分離材は血液と接しても安定に存在しているために、採血から遠心分離までの間に時間を要しても特に支障はない。 しかしながら、紫外線照射による分離材の硬化においては、紫外線によって変質する成分(例えばビルビリンなど)の測定に影響することが考えられる。また、通常、採血管を滅菌する必要があり、γ線などによる滅菌を行う際に分離材が硬化してしまうために、滅菌操作を行えないという弊害がある。 一方、紫外線による成分の変質を避けるために、少量の紫外線で硬化させる方法もあるが、血液成分が分離材の上下に存在していることから、紫外線が樹脂の中心部分まで到達できず、採血管内部の樹脂まで完全に硬化させることが困難である。その結果、未硬化のゲルを使用する場合と同様に、血球成分の血清等への混入が問題となる。 また、遠心分離操作を行った後の、血液分離用部材の停止位置部分の内壁面に撥水性表面を固着した筒状の血液分離管が提案されている(特許文献6参照)。該血液分離管は、分離層を形成した際の該分離層と採血管内壁との密着性を高め、遠心分離操作後、時間を経て血清を取り出す場合でも、純粋な血清を分取することができるとされている。また、ここで用いられる血清分離剤は、その比重が1.04に調整され、遠心分離法によって血清が分離される点で本発明と類似する。しかしながら、特許文献6で用いられる血清分離剤は、長期の保存後や、冷凍保存後は、採血管の内壁と分離剤の界面、分離剤内部にできた隙間から、血清部分に血球部分が一部混合することを防止できないという問題がある。 さらに、血清又は血漿分離用組成物を必要に応じて簡便に容器へ収容し、収容部材に弱シール部を設けて、遠心分離によって破断させることでゲル状の組成物を漏出させることができる血清又は血漿分離用部材が提案されている(特許文献7参照)。しかしながら、特許文献7に開示される分離用組成物は、ゲル状の組成物であり、上記したのと同様の問題点があり、また、弱シール部のシール強度を調整するのが難しく、弱すぎると取扱時に漏出し、強すぎると遠心分離時に破断しないという問題点がある。 また、特許文献8には、全血液を血球成分と血漿又は血清とに分離するための血液分離フィルター装置が開示されており(特許文献8、特許請求の範囲及び段落0001参照)、その材質として合成高分子からなる繊維、ガラス繊維、多孔質高分子などが開示されている(特許文献8、段落0024)。しかしながら、特許文献8では、遠心分離を用いないことを前提とする方法であり(特許文献8、段落0003)、本発明のような課題を解決するものではなく、全く構成を異にするものである。 さらに、一底に開口部を有する有底の管状容器である外筒と、その内壁に係止され、外筒と非接触な入れ子構造を形成する内筒を有し、内筒の内壁面を摺動する血清分離材と、気密性を有する栓体からなる血液検査器が提案されており、血清分離材として、比重1.03以上、好ましくは比重1.05以上の分離材を用いることが開示されている(特許文献9、特許請求の範囲、段落0020及び0021参照)。特許文献9に開示される容器は、血清の写し替えを必要とせず、凍結乾燥ができる点に特徴があると記載される(特許文献9、段落0010〜0012参照)。しかしながら、特許文献9に開示される方法では、内筒の弾性で保存状態を保っているが、長期保存では、クリープ現象により内筒の弾性が低下することが考えられるため、やはり長期の保存後や、冷凍保存後は、採血管の内壁と分離剤の界面、分離剤内部にできた隙間から、血清部分に血球部分が一部混合することを防止することができないという問題がある。特公昭63−48310号公報米国特許第6248844号明細書米国特許出願公開第2007/187341号明細書米国特許出願公開第2008/108493号明細書米国特許出願公開第2008/132874号明細書特公平6−77014号公報特開2001−318091号公報特開2006−3340号公報特開平9−222427号公報 本発明の目的は、採血管における血清又は血漿成分の分離に際し、遠心分離前は血液と接しても安定に存在し、遠心分離した後には血清等と血球成分の間に硬化した状態で存在し、採血管内において、血清等と血球成分が分離した状態で、長期間の保存安定性が良好であり、かつ冷凍や解凍時の安定性、試料取扱時の安定性に優れるとともに、紫外線等の照射を必要とせずに硬化させることのできる血清又は血漿分離方法を提供することにある。 本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、分離材に硬化成分を含み遠心分離操作によってその硬化成分の硬化が開始するようにすることで、上記課題を解決し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。すなわち、本発明は、採血管に血清又は血漿分離材を配し、これに血液を採取して、遠心分離する血清又は血漿の分離方法であって、該分離材は硬化成分を含み、遠心分離によって該硬化成分の硬化が開始することを特徴とする血清又は血漿の分離方法を提供するものである。 本発明の方法を用いることで、採血管内において、遠心分離前は血液と接しても安定に存在するため、採血から検査までの間に時間を要しても支障をきたすことがなく、また遠心分離後は血清等と血球成分が分離した状態で、長期間にわたって良好な保存安定性が得られ、冷凍や解凍時の安定性、試料取扱時の安定性にも優れたものとすることができる。さらに、紫外線を用いることなく硬化させることができるため、紫外線の影響を考慮することなく血液の検査が行えるとともに、γ線照射による滅菌操作にも何ら支障を来たさない。本発明の方法の一態様を示す模式図である。本発明の方法の他の一態様を示す模式図である。本発明の方法の他の一態様を示す模式図である。本発明の方法の他の一態様を示す模式図である。本発明の方法の他の一態様を示す模式図である。本発明の方法の他の一態様を示す模式図である。本発明の方法の他の一態様を示す模式図である。本発明の方法の他の一態様を示す模式図である。本発明の方法の他の一態様を示す模式図である。本発明の方法の他の一態様を示す模式図である。1.採血管2.管腔3.蓋4.湿気硬化性成分4'.2液硬化型成分5.血液隔離材6.全血7.血清又は血漿(血清等)8.血球成分9.カプセル10.高比重固体11.容器12.蓋21.A液(2液硬化型成分の一方の成分)22.B液(2液硬化型成分の他の一方の成分)23.フィルム31.溝もしくは孔41.表面処理ビーズ42.水溶性樹脂51.成形体 本発明の血清又は血漿の分離方法は、採血管に血清又は血漿分離材(以下、単に「分離材」と称することがある。)を配し、これに血液を採取して、遠心分離する血清又は血漿の分離方法であって、遠心分離によって該分離材中の硬化成分の硬化が開始することを特徴とする。 遠心分離によって硬化が開始する具体的な方法としては、分離材中の硬化成分の硬化速度と血液採取から遠心分離までの時間を制御することによって、遠心分離によって硬化を開始させることもできるが、より好適には該硬化成分を硬化反応が開始する要因と隔離した状態にしておき、遠心分離操作によって、該隔離状態が解除されるようにすることが好ましい。 本発明の方法は、遠心分離によって血清等と血球成分を分離するため、分離材に含まれる硬化成分の比重は、血清等と血球成分の中間であることが好ましい。具体的には、比重が1.03〜1.09の範囲であることが好ましく、1.03〜1.07がより好ましく、さらに好ましくは、1.035〜1.055の範囲である。比重を上記範囲内にするためには、硬化成分として用いる樹脂又は化合物に使用する材料の種類、樹脂を構成するモノマーの種類等を選択することで調整することができ、これらの構成要件で調整することが分離材の安定性の観点からは望ましい。一方、その他の方法として、比重調整材を配合して、比重を上記範囲内とすることもでき、この方法では比較的容易に比重を制御し得る点でメリットがある。 比重調整材としては、具体的には、日本アエロジル(株)製「アエロジル130」や「アエロジルR972」、「アエロジルOX50」等のシリカ、ゼオライト、エレメンティス・スペシャリティーズ社製「ベントン38」や「ベントンSD−1」等のベントナイト、スメクタイト粘土、カオリン粘土、アンティゴライト粘土等の鉱物、炭酸カルシウムや二酸化チタン等を含む無機質微粉末、又はポリスチレン、ポリウレタン、ポリメチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ゴムなどのポリマー微粒子などが挙げられる。この比重調整材は、粘度調整材としても使用でき、無機質微粉末はチキソトロピー付与剤としても使用できる。 硬化成分として、後述する湿気硬化性樹脂を用いる場合に、湿気硬化性樹脂に比重調整材のみを添加するときの該湿気硬化性樹脂組成物の粘度は、0.1〜1000Pa・sが好ましく、0.5〜500Pa・sがより好ましく、1〜100Pa・sがさらに好ましい。粘度が0.1Pa・s以上であると、遠心分離した際に比重調整材と樹脂が分離されないために好適である。一方、粘度が1000Pa・s以下であると、樹脂の粘度が高くなりすぎず、適度であるために、遠心分離した際に壁面との接着性が低下することなく、十分な接着性を有する。 本発明の方法において、分離材に含まれる硬化成分とは、何らかの要因によって硬化するものであれば特に制限はなく、モノマー又はオリゴマーが重合して硬化する場合、ポリマーが架橋して硬化する場合、表面処理された粒子が接触することで架橋体を作って硬化する場合などを含むものである。 以下、分離材に含まれる硬化成分の種類ごとに詳細に説明する。(1)湿気硬化性成分を用いる場合 湿気硬化性成分を用いる場合は、血清又は血漿分離材は血液中の水分によって硬化が開始するため、遠心分離によって血清等と血球成分を分離する前は水分と接しないようにする。分離材と血液を接触させない態様としては、血液隔離材を配して、湿気硬化性成分と血液とを接触させないようにすることが好ましく、例えば、湿気硬化性成分をカプセルに内包させる方法、容器に収納する方法、フィルター等の隔離壁を設ける方法などが挙げられる。 図1は、本発明の方法の一態様を示す模式図であり、隔離壁を設ける方法である。 (1−1)は採血管1を示した図であり、採血管1の底部に湿気硬化性成分4が配されている。図1に示す例では、湿気硬化性成分の表面に血液との接触を防ぐための血液隔離材5が配置されている。湿気硬化性成分4の硬化速度と血液採取から遠心分離までの時間によっては、血液隔離材5は必ずしも必要ではないが、血液隔離材5によって、湿気硬化性成分4と血液中の水分が完全に隔離され、遠心分離によって硬化反応を開始できるため好ましい態様である。 (1−2)は採血管1に全血6が採血された直後の状態図であるが、血液隔離材5によって、湿気硬化性成分と血液が接することがないために、硬化は開始されない。 遠心分離によって湿気硬化性成分と血液とを接触させる方法としては、遠心による重力によって血液隔離材と採血管内壁との結合が解除されるように血液隔離材を配する方法、比重の大きい固体(以下、「高比重固体」と称する)を血液隔離材の近傍に配する方法などがある。前者の方法では、血液隔離材を採血管内壁に結合させている物質(血液隔離材そのもの、接着剤、密着材、粘着剤等)の結合力が遠心分離の重力によって解除されるような物質を選択すればよい。また、後者の方法では、遠心分離前は、血液隔離材によって湿気硬化性成分と血液が接触することがなく硬化は進まないが、遠心分離によって、該高比重固体が該血液隔離材を破り、湿気硬化性成分と血液が接触して硬化が開始するものである。高比重固体の存在位置の態様としては、種々のものがあり、後に詳述するように、血液隔離材の上部に高比重固体を配置する方法がある。また、高比重固体を湿気硬化性成分とともにカプセルに内包させる場合も該カプセルの近傍に配するに含まれる概念である。 血液隔離材及び高比重固体の材質、大きさ、厚さ、質量等については、遠心分離操作前は、血液隔離材によって湿気硬化性成分と血液とが接触せず、遠心分離操作後は、高比重固体によって血液隔離材の少なくとも一部が容易に破られ、湿気硬化性成分と血液が接触するように、選定されることが肝要である。また、血液隔離材及び高比重固体は、遠心分離後は血球成分中に存在するように、湿気硬化性成分の比重よりも大きい比重を有するものを使用することが好ましい。血球成分は通常検査対象ではないために、血液隔離材及び高比重固体が含まれていても問題とはならないためである。 図1に示す態様では、遠心分離がなされると、血液隔離材5が移動するか又は破れるかして、湿気硬化性成分と血液が接触して硬化が開始されるものである。 すなわち、遠心分離によって、湿気硬化性成分が血球成分と入れ替わり、湿気硬化性成分が血液に接することで硬化が始まり、それと同時に(1−3)に示すように血清又は血漿7と血球成分8に分離され、湿気硬化性成分4は血清等7と血球成分8の間に位置した後に、又は位置するに伴って硬化し、上下の成分の混合を防止するものである。 血液隔離材5としては、湿気硬化性成分と血液の隔離が行えるものであれば特に制限はなく、液状、固体状のいずれでも良いが、運搬時の安定性や採血時の隔離性の面からフィルム状のものがより好ましい。液状血液隔離材の素材としては、鉱物オイルや植物オイル、シリコーンオイルなどがある。また、固体状血液隔離材の素材としては、湿気硬化性成分の硬化体と同じものであってもよいし、異なっていてもよい。また、弾性体であっても、非弾性体でもよく、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類;ポリスチレン類;ポリメチルメタクリレート等のアクリレート類;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン樹脂;プルラン、カラギーナン、コラーゲン、ゼラチン、デンプン等の多糖類;タンパク質、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子;天然ゴム、ウレタンゴム等のゴム;アルミ等の金属などからなるフィルムやゲルなどを好適に用いることができる。さらに、血液隔離材5は、1種類の素材から構成されていてもよいし、複数の素材から構成されていてもよい。血液隔離材5が膜状の場合、その膜厚は、1〜10000μmの範囲が好ましく、5〜500μmの範囲がより好ましい。 血液隔離材5を移動させ、又はこれを破り、湿気硬化性成分と血液を接触させる方法としては、例えば、血液隔離材5を高比重固体で作製しておき、遠心時の重力で移動させる方法がある。また、高比重固体を血液隔離材5の上部に配置して、遠心時の重力で血液隔離材を移動させ、またはこれを破る方法もある。 次に、図2に示す態様は、湿気硬化性成分を血液隔離材であるカプセル9に内包させるものである(2−1参照)。この方法では、(2−2)に示すように、全血6が採血されても、湿気硬化性成分が水分と接しないために、硬化が開始されない。そして、その後の遠心分離によってカプセルが破れて、該湿気硬化性成分が血液と接することで硬化が開始し、(2−3)に示すように、遠心分離後は、血清等7と血球成分8を分離し、かつその間に配置された後に、又は配置されるに伴って湿気硬化性成分4が硬化するので、上下の成分の混合を防止することができる。 血液隔離材であるカプセル9を破る方法としては、例えば、該カプセル内に高比重固体10を内包させておく方法がある。この状態で遠心分離操作を行うと、遠心時の重力によって、高比重固体10がカプセル9に孔を開け、内包されている湿気硬化性成分4をカプセル外に出すことができる。また、カプセルの膜厚を薄くすることで、高比重固体を用いずに、遠心分離操作のみでカプセルをこわすこともできる。 高比重固体10としては、プラスチック、シリカやガラス等のセラミックス、金属などが使用でき、該高比重固体の比重としては、1.1〜15.0の範囲であることが好ましく、1.2〜10.0の範囲がさらに好ましく、1.3〜8.0の範囲が特に好ましい。 なお、ここでは高比重固体が内包される場合について説明したが、高比重固体は必ずしもカプセルに内包されている必要はなく、カプセル外部近傍に存在して、該カプセルを外側から破壊し、湿気硬化性成分をカプセル外に流出させてもよい。さらには、血液隔離材5と一体型になっていてもよい。例えば、血液隔離材5のフィルム表面に高比重固体を配置することもできる。この血液隔離材は、延伸性が少なく、適度な強度を持つものが好ましい。 高比重固体の形状としては、球体、多角体、円柱、直方体、板状など様々な形をもちいることができる。運搬時に物理的に破れにくいように面取り体が好ましく、さらには球体が好ましい。高比重固体は1つでもよいし、複数使用することもできる。 高比重固体の大きさとしては、採血管内に入る径であれば、特に制限なく用いることができる。具体的には、採血管直径より1mm以上小さい径を有するものであることが、遠心分離時に血液の移動を妨げずに好ましい。一方、下限値としては、湿気硬化性成分を放出させるのに十分な重さがあればよく、特に制限はないが、通常、0.5mm以上の径を有するものが、湿気硬化性成分を放出させるのに十分な重さになるために好ましい。 カプセル9は、上述した血液隔離材5において用いられる固体状血液隔離材と同じ素材を好適に使用することができ、また膜厚についても血液隔離材5が膜状の場合と同様である。また、カプセルの形状としては、球状、円柱状、多角体、直方体など様々な形状にすることができる。 なお、図2に示すようなカプセルに内包させる態様と、図1に示すような血液隔離材5を用いる方法を併用することもできる。 また、図3に示すように、湿気硬化性成分を容器11に入れた後、血液隔離材であるフィルム状の蓋12をすることで密閉する方法もある(3−1参照)。この方法では、(3−2)に示すように、全血6が採血されても、湿気硬化性成分が水分と接しないために、硬化が開始されない。そして、その後の遠心分離によってフィルム状の蓋12が破れて、該湿気硬化性成分が血液と接することで硬化が開始し、(3−3)に示すように、遠心分離後は、血清等7と血球成分8を分離し、かつその間に配置された後に、又は配置されるに伴って湿気硬化性成分4が硬化するので、上下の成分の混合を防止することができる。 容器11は成型品やフィルムからなる血液隔離材であって、蓋12はフィルム等を用いることができる。この容器には、開口部を1ヶ所以上配置することができる。開口部が1ヶ所の時は、例えばPress−Through−Package(PTP)包装等のように、プラスチックの成形容器を血液隔離材として用い、これに湿気硬化性成分を充填し、アルミ蒸着フィルム、アルミ箔フィルム等の血液隔離材で蓋をすることができる。また、2ヶ所開口部を配置する場合には、筒状の容器の下部にフィルムを貼付、湿気硬化性成分を充填後、上部に蓋をする。このとき、高比重固体が容器上下に孔を開けることができるので、より湿気硬化性成分をカプセル外に出しやすくなる。この容器11の外部に高比重固体10を配置し、遠心により高比重固体が蓋のフィルムを破ることで、容器11から湿気硬化性成分を容器外に出すことができる。このとき、フィルムを高比重固体が破りやすいように、フィルム上面に接着しておくこともできる(3−2)。 ここで、蓋12として使用するフィルムは、通常の状態では、十分に湿気硬化性成分4を密閉することが可能であり、かつ遠心分離操作の際に、高比重固体10により容易に破断するものが好ましい。具体的には、破裂強さ(JIS P8112)が1〜10000kPaであり、破断伸びが1〜40%であることが好ましい。破裂強さが1kPa以上であると、フィルムが脆くなることがなく、十分な密閉性が得られる。一方、破裂強さが10000kPa以下であると、遠心分離の際に、高比重固体10によりフィルムを破断することができるため好適である。以上の観点から、破裂強さが5〜1000kPaであることが、さらに密閉性を十分にし、かつ破断を確実にする点で好ましく、10〜500kPaであることが特に好ましい。 また、破断伸び(JIS P8113)が1%以上であると、フィルムが脆くなることがなく、十分な密閉性が得られる。一方、破断伸びが40%以下であると、遠心分離の際に、高比重固体10によりフィルムを破断することができるため好適である。以上の観点から、破断伸びは5〜35%であることが、さらに密閉性を十分にし、かつ破断を確実にする点で好ましく、10〜30%であることが特に好ましい。 上記フィルムは単独又は複数のポリマー及びフィラーなどからなり、これらを組み合わせ、含有量などを特定することで、上記破裂強さ及び破断伸びを制御するものである。 湿気硬化性成分を用いる場合の分離材の硬化の程度については、遠心分離操作終了時に湿気硬化性成分の表面が取扱時の振動や横置き、ピペットによる接触等により破れない程度に硬化していればよく、任意の硬化時間を設定することができる。さらには、遠心分離操作終了時に湿気硬化性成分の硬化が完了していることが望ましい。遠心分離操作中に、全血を血清又は血漿と血球成分を湿気硬化性成分で分けた後に、湿気硬化性成分の硬化が終わるようにすることがさらに好ましい。 また、上記高比重固体10は、(2−3)及び(3−3)に示すように、遠心分離後は血球成分8中に存在し、また容器11も(3−3)に示すように、遠心分離後は血球成分8中に存在するが、血球成分は通常検査対象ではないために問題とはならない。(2)2液硬化型を用いる場合 次に、分離材に含まれる硬化成分として2液硬化型を用いる場合(以下「2液硬化型成分」と称する。)について説明する。2液硬化型成分の場合は、2液(ここではA液及びB液と称する。)が接しないようにし、遠心分離によって、該A液及びB液が接するようにすることが肝要である。 具体的には、図4に示す態様がある。すなわち、2液硬化型成分の2液を互いに接しないように、それぞれカプセルに内包させる方法である。例えば、(4−1)に示すように、A液21及びB液22をそれぞれカプセル9に内包させることで両者は接触しないために硬化が開始されない。この状態で全血6が採血されても、カプセル9は破壊されないため、A液21及びB液22は接触することはない(4−2参照)。次に、遠心分離操作を行うと、カプセル9内に配しておいた高比重固体10が、遠心時の重力によって、A液のカプセルとB液のカプセルを破壊し、両者を混合させる。すなわち、遠心分離によって、A液とB液が接触し、該2液硬化型成分の硬化が開始する。そして、(4−3)に示すように、遠心分離後は、血清等7と血球成分8を分離し、かつその間で2液硬化型成分4’が硬化して、上下の成分の混合を防止することができる。なお、高比重固体はカプセル外に配置し、遠心時にカプセルを割る方法も用いることもでき、さらには、カプセルの膜厚を薄くすることで、高比重固体を用いずに、遠心操作でカプセルをこわすこともできる。 2液硬化型を用いる場合の分離材の硬化の程度としては、遠心分離操作中に、2液が混合されて、全血を血清又は血漿と血球成分を2液硬化型成分で分けたところで、ピペット操作などで破れない程度に硬化していることが好ましく、さらには、遠心分離操作終了時に2液硬化型成分の硬化が完了していることが望ましい。 また、図5に示すように、一方のカプセル内にもう一方のカプセルを配置することも可能である。すなわち、(5−1)に示す例では、A液21を内包するカプセル内に、B液22を内包するカプセルが2重になっており、B液22を内包するカプセル内に高比重固体10を内包するものである。遠心分離操作によって、高比重固体10によりカプセルが破壊され、A液とB液が混合されて硬化が開始するものである。また、カプセルの膜厚を薄くすることで、高比重固体を用いずに、遠心操作のみでカプセルを破ることもできる。 なお、カプセルの素材としては、前記と同様のものを用いることができる。 また、2液硬化型成分を用いる場合の別の態様としては、図6に示すように、2液硬化型成分のA液21及びB液22を、管腔内にフィルム23を挟んで積層させる方法がある。遠心分離前は、2液の間にフィルムが配置されているため、接触されずに硬化は開始されない(6−1参照)。この状態で全血6が採血されても、2液が接触しない状態は維持される(6−2参照)。次に、遠心分離操作を行うと、遠心時の重力によって、フィルム23が破れ、A液とB液が互いに混合し、硬化を開始するものである。そして、(6−3)に示すように、遠心分離後は、血清等7と血球成分8を分離し、かつその間に2液硬化型成分4’が硬化した状態で存在するので、上下の成分の混合を防止することができる。 ここで用いるフィルムとしては、A液21及びB液22が混合せず、かつ遠心分離操作で破壊もしくは移動されるものであれば制限はなく、前述した血液隔離材と同様の素材を用いることができる。このフィルムは、延伸性が少なく、適度な強度を持つものが好ましい。 また、図7に示すように、A液21を採血管1の蓋内に、B液22を管内に配置し、遠心時にA液が蓋から導入され、B液と混合する態様をとることもできる。より具体的には、蓋3に2液硬化型成分の一方の液(A液)を配し得る溝もしくは孔31を設けておき、ここにA液21を入れ、封印しておく。なお、A液の蓋内への設置方法としては、採血時に血液と触れることで流れ出ない形状であれば特に制限はなく、例えば、円筒形、直方体等の孔などが挙げられる。 一方、採血管1の底部にはB液22が配されており、遠心分離前は、2液は接触しないため硬化は開始しない(7−1)。この状態で全血6が採血されても、2液が接触しない状態は維持される(7−2参照)。 この状態で遠心分離操作を行うと、遠心時の重力によって、A液21が全血6に流出し、また、B液も全血6中に混合されるので、A液とB液が接触して硬化を開始するものである。ここでA液には、チキソトロピー性を持たせて、通常の取扱いでは蓋内から出ないようにし、遠心時の応力により蓋内から管内に導入されるようにすることが好ましい。 そして、(7−3)に示すように、遠心分離後は、血清等7と血球成分8を分離し、かつその間に2液硬化型成分4’が硬化した状態で存在するので、上下の成分の混合を防止することができる。(3)表面処理ビーズを用いる場合 次に、分離材中の硬化成分として表面処理ビーズを用いる場合について説明する。ここで用いる表面処理ビーズは互いに接触すると、表面間で架橋反応等を起こして硬化するビーズである。該表面処理ビーズは、図8の(8−1)に示すように、遠心分離前は、表面処理されたビーズ41と水溶性樹脂42が混合されて、採血管1に導入されるため、表面処理ビーズ同士が接触していない状態である。ここに採血を行うと(8−2)、水溶性樹脂は血液内に溶解し、表面処理ビーズが血液内に拡散する。次いで、遠心分離を行うと、血清等と血球成分の間の比重を有するビーズは、(8−3)に示すように、血清等と血球成分の間の部分に集められ接触する。この時点で、表面の官能基の架橋が開始され、結果として、高強度の分離層を形成するものである。 ビーズの表面処理としては、種々の方法があり、例えば、高濃度のカルボキシル基やグリシジル基などの官能基を多量に含む樹脂を溶剤に溶解した溶液を、流動層を備えるスプレーコーティング装置等を用いてビーズの表面を処理する湿式法や、同じく高濃度のカルボキシル基やグリシジル基などの官能基を多量に含む樹脂固体を粉砕した粒子を高速気流中衝撃法等により、直接、母粒子であるビーズに固着させる方法などがある。また、懸濁重合によりコア粒子を合成し、続けて官能基濃度の高いシェル層を続けて懸濁重合することで得られるコアシェル型の粒子もビーズの表面処理方法の一例として挙げられる。 表面処理ビーズの粒子径としては、本発明の効果を奏する範囲で特に制限はなく、1μm〜10mm程度のビーズを用いることができる。 また、水溶性樹脂42は、血液中に溶解しても血液検査には影響しない材料で構成されている必要があり、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、水溶性シリコーン、デキストラン、セルロース誘導体(例えば、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロースなど)が好適に挙げられる。 本発明の分離材には、必要に応じ、補強材として、ビーズ、粉末、成形体等を加えることができる。分離材の硬化度が低い場合でも、補強材を加えることで分離材の強度が増し、例えば、臨床検査における血液成分の検査を自動分析装置で行う場合に、該自動分析装置のプローブが分離材を誤って吸入することを防ぐことができる。さらに、分離材の強度が強くなることで、分離材と壁面との接着強度を強くでき、分離材と壁面との界面から血球成分が血清もしくは血漿成分に漏出するのを防ぐことができる。 補強材としては、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン、シリコーン樹脂等を用いることができるが、ポリスチレンがより好ましい。また、補強材として分離材中に含まれる湿気硬化性成分の硬化物である成形体を用いてもよい。 補強材は、血球成分と血漿もしくは血清成分の中間に位置させるために、比重が1.03〜1.09のものが好ましく、1.03〜1.07のものがより好ましく、1.035〜1.055のものがさらに好ましく、分離材の比重と同等の比重であることが特に好ましい。また、補強材を加える場合、その添加量としては、硬化成分100質量部に対して2〜900質量部とすることが好ましい。補強材の添加量が、硬化成分100質量部に対して2質量部以上であれば分離材の強度が増し分離材と壁面との接着が確保でき、900質量部以下であれば、分離材の流動性が低下することもなく、血球成分と血清等の分離が充分に行え、かつ管壁との接着力も確保される。以上の観点から、補強材の添加量は、硬化成分100質量部に対して5〜250質部がより好ましく、10〜100質量部がさらに好ましい。 補強材の添加方法としては、硬化成分と混合して用いても、硬化成分とは別に添加してもかまわない。より具体的には、粉末の形態の補強材であれば、硬化成分にフィラーとして混合し、後述するカプセルや容器等に内包させる態様が好ましく、ビーズの場合には、硬化成分に混合してもよいし、カプセルや容器等に硬化成分とともに内包してもよいし、カプセルや容器等の血液隔離材の外側に配置してもよい。また、補強材として成形体を用いる場合にも、カプセルや容器等に硬化成分とともに内包してもよいし、カプセルや容器等の血液隔離材の外側に配置してもよい(図9及び図10参照)。そして、いずれの態様であっても該補強材は、硬化成分が硬化するに際して、該硬化体の内部に少なくともその一部が取り込まれる形で、分離材の強度を高めるものである。 次に採血管中に、補強材として成形体を配する場合について説明する。例えば、図9の(9−1)に示すように、湿気硬化性成分4と成形体51を採血管内の血液隔離材5内に配置する。ここに、採血を行うと血液隔離材5により、湿気硬化性成分は硬化しない(9−2)。遠心することで成形体51が血液隔離材5を破壊もくしは移動させ、湿気硬化性成分4が血液と接触することで硬化が開始される。成形体は、図9に示すように、湿気硬化性成分4とともに血液隔離材5の中側にあってもよいし、図10に示すように、血液隔離材5の外側、例えば血液隔離材5の上部にあってもよい。成形体の数としては、1つ以上であればよく、複数あってもよい。また、成形体の形状は円柱状、円盤状、球状、直方体状など様々な形状を用いることができる。成形体の素材は、分離材又は分離材に含まれる硬化成分と同じでも、異なっていてもよく、また、固体状の血液隔離材と同様の素材を用いることができる。また、高比重固体などを配置して、血液隔離材を壊すもしくは移動させてもよい。 成形体の比重としては、分離材に含まれる硬化成分の比重と同程度であることが好ましく、具体的には1.03〜1.09が好ましく、1.03〜1.07がより好ましく、1.035〜1.055がさらに好ましい。(9−3)及び(10−3)に示したように、遠心後に血清等7と血球成分8の間に位置した後に、又は位置するに伴って、湿気硬化性成分4が硬化し、成形体51とともに、上下の成分の混合を防止するものである。 なお、図1〜8の採血管の中にも、補強材として成形体を配置してもよい。前述のように分離材に含まれる硬化成分の比重と同程度の比重の成形体を含むことにより、硬化成分の使用量を減らすことができる。また、未硬化状態でもピペット操作の誤吸入などを防止することができるため、使用できる硬化成分の硬化までの時間を長く設定することもできる。さらには、採血後に遠心操作した場合に、硬化成分に血液を巻き込む場合があるが、これを低減することができる。 また、本発明の分離材には、試験管壁との接着力を向上させるための接着付与剤を加えることができ、例えば、シランカップリング剤などを用いることができる。シランカップリング剤としては、アミノプロピルトリメトキシシラン、グリシジルトリエトキシシランなどが挙げられる。 次に、上述した各方法に用いられる材料について、以下詳細に説明する。 まず、上記(1)で用いられる湿気硬化性成分とは、水分の存在により硬化反応を生じる成分であり、例えば、分子内に一つ以上の加水分解性反応基あるいは水により反応を開始する官能基を有し、空気中の水分などによって硬化を開始する樹脂や化合物を含むものである。本発明の場合には、血液中の水分と接触することによって硬化を開始するものであれば、特に制限はないが、具体的には、反応性シリコーン系化合物、α―シアノアクリレート系化合物、一液湿気硬化性ポリウレタン樹脂、湿気硬化性エポキシ樹脂組成物、湿気硬化性ポリサルファイド樹脂組成物などが挙げられる。これらのうち、硬化速度が早く、血液検査への影響が少ない点で、反応性シリコーン系化合物、α―シアノアクリレート系化合物、及び一液湿気硬化性ポリウレタン樹脂を使用することが好ましく、特に濡れた面への接着に強く、弾性があるため温度変化による壁面との剥離が少ない点で反応性シリコーン系化合物が特に好ましい。 反応性シリコーン系化合物としては、ポリシロキサン構造を主鎖とし、末端に水と反応をすることで硬化反応を開始する反応基を持つ湿気硬化性のシリコーン樹脂や、ポリシロキサン構造と共に主鎖にポリエーテル,ポリエステル、あるいはポリ(メタ)アクリル酸エステルなどの構造を持つ重合体で,重合体1分子あたり少なくとも1つの反応性硬化基を持つ変性シリコーン系樹脂などが好適に挙げられる。反応性硬化基は水と反応することによってシラノール基を生成する構造を有する官能基であり、脱離する基の種類によって、脱アルコール型シリコーン樹脂、酢酸などのカルボン酸脱離型シリコーン樹脂、脱オキシム型シリコーン樹脂、脱アミド型シリコーン樹脂、脱アミン型シリコーン樹脂、脱アセトン型シリコーン樹脂などを挙げることができる。その中でも、(株)カネカ製「カネカサイリルSAX220」や、「カネカサイリルSAT400」等の脱アルコール型変性シリコーン樹脂が好ましい。 次に、α―シアノアクリレート系化合物としては、代表的には次の一般式(I)で示されものが好適に挙げられる。 式中のRとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基などのアルキル基;アルケニル基;シクロヘキシル基;アリール基;アルコキシアルキル基などが挙げられる。 一般に、α―シアノアクリレート系化合物は水を硬化触媒として急速にアニオン重合を開始し、硬化速度が非常に早いため、カプセルを含む上述の血液隔離材を用いることが好ましい。 また、Rがメチル基や、エチル基などの低分子量アルキル基の場合、低粘度の液状であり、そのままでは分離材として取り扱い難い。分離材としての取扱い性の向上のためには、硬化速度や粘度を調整することが好ましい。α―シアノアクリレート系化合物を用いた場合の硬化速度や粘度の調整方法としては、湿気硬化に関与しない他の樹脂や化合物を多く配合したり、一般式(I)中のRとして、炭素数8以上の長鎖の直鎖アルキル基又は分岐アルキル基で示される化合物を用いることで、粘度を高くしたり硬化速度を遅くするなどして、調整が可能である。他の樹脂として、具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエステル、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。また、長鎖アルキル基の例としては、n−オクチル基、ラウリル基、ステアリル基またはイソステアリル基などが挙げられる。 一液湿気硬化性ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネート類とポリオール、ポリエーテルポリオール、多価フェノールなどを反応させて得られる末端に複数のイソシアネート基を有するポリイソシアネートウレタンプレポリマーなどを例示することができ、イソシアネート基が水と反応して、炭酸ガスを発生しながら、架橋反応するものである。具体的には、ポリイソシアネート類として、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。 ポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ポリテトラメチレングリコール、ポリエステルジオール、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。また、多価フェノールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF等が、ポリエーテルポリオールとしては、前記のポリオール、多価フェノールとエチレンオキシドやプロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドとの付加物などが挙げられる。 本発明で使用できる一液湿気硬化性ポリウレタン樹脂は、上記のポリイソシアネート類とポリオール等をNCO基/OH基比で、通常は1.5〜5.0の範囲で、好ましくは1.7〜3.0の範囲で配合し、通常の合成方法で得られる。一液湿気硬化性ポリウレタン樹脂のイソシアネート基含有率は通常は0.5〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%である。0.5質量%以上であると硬化速度向上効果が十分に認められ、血清又は血漿と血球成分の分離が十分に達成し得る。一方、20質量%以下であると、硬化速度が早くなり過ぎず、制御が容易である。 本発明の分離材には、必要に応じて、湿気硬化性成分の硬化触媒として、一般的な硬化触媒を含有させてもよい。硬化触媒の含有量は、湿気硬化性成分100質量部に対して、通常0.01〜20質量部の範囲で用いることができる。0.01質量部以上では十分な硬化速度が認められ、血清又は血漿と血球成分の分離が十分に達成し得る。一方、20質量部以下であると硬化速度が早くなり過ぎず適当であるため好ましい。 例えば、湿気硬化性成分として反応性シリコーン系化合物を用いる場合、本発明の分離材には、必要に応じて、有機スズ、金属錯体や有機リン酸化物などの硬化触媒を含有させることが可能である。具体的には、ジブチルスズジラウリレート、ジブチルスズフタレート、オクチル酸第一スズ等のスズ化合物;テトラブチルチタネート,テトライソプロピルチタネート等のチタンアルコキシド、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックスTC−750」,「オルガチックスT−2970」等のチタンキレート、チタンアシレート、トリエタノールアミンチタネート等のチタネート化合物;ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアシレート、ジルコニウムキレート等の有機ジルコニウム化合物;オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト等のカルボン酸金属塩;アルミニウムアセチルアセテート錯体,バナジウムアセチルアセトナート錯体等の金属アセチルアセテート錯体;ジブチルアミン−2−エチルヘキソエート等のアミン塩等が挙げられる。これらのうち、スズ化合物や、チタネート化合物が好ましく、チタネート化合物がより好ましい。さらにチタネート化合物のうち、チタンキレートが特に好ましい。これらの硬化触媒は検査項目によっては血液検査結果に影響を与える可能性もあるため、そのような場合には使用しないことが望ましい。 また、チタネート化合物を使用した場合には、湿気硬化性成分が黄色く着色するが、硬化により樹脂は白色、もしくは薄い黄色に変化する。この色の変化を用いて、採血管の外側から樹脂の硬化状態を確認することができ、好適である。 硬化触媒の含有量としては、十分な硬化速度を得るために、反応性シリコーン系化合物100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましく、0.2〜3質量部がさらに好ましい。0.01質量部以上であると硬化速度向上効果が十分に認められ、10質量部以下であると硬化速度が早くなり過ぎることがなく、また十分な保存安定性が得られる。 また、湿気硬化性成分として一液湿気硬化性ポリウレタン樹脂を用いる場合、本発明の分離材には、必要に応じて、ジブチルスズジラウリレート等のスズ化合物及びチタン化合物などの有機金属触媒、ならびにトリエチルアミン及びトリエチレンジアミン等の三級アミン化合物などの硬化触媒を配合することができる。 これらの硬化触媒は検査項目によっては血液検査結果に影響を与える可能性もあるため、そのような場合には使用しないことが望ましい。上記硬化触媒の配合量としては、十分な硬化速度を得るために、一液湿気硬化性ポリウレタン樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましい。0.01質量部以上であれば十分な硬化速度向上効果が得られ、10質量部以下では硬化速度が早くなり過ぎることがなく、また十分な保存安定性が得られる。 本発明で用いられる分離材には、上記のような湿気硬化性の樹脂、化合物などの湿気硬化性成分に加え、それ自体は反応性を持たない他の樹脂や化合物、及び/又は熱硬化性や電子線硬化性などの他の硬化性を持つ樹脂や化合物などを、必要に応じて配合することも可能である。 次に、上記(2)で用いられる2液混合型成分としては、一般に2液混合型の樹脂があり、通常、塗料や成型材料に使用されるような、ウレタン硬化型の各種樹脂や酸エポキシ硬化型、エポキシ・アミン硬化型などの樹脂系が用いられ、好ましくはウレタン硬化型の樹脂が用いられる。 次に、上記(3)で用いられる表面処理ビーズの素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類等の有機系材料の他にシリカやガラス、セラミック等の無機系の材料が挙げられる。これらの材料は1種を単独でもしくは、複数種を併用することができるが、比重を調整して、1.03〜1.09の範囲にするのが好ましく、1.03〜1.07の範囲とすることがより好ましく、特に、1.035〜1.055が好ましい。 比重の調整方法としては、比重の異なる素材を組み合わせる方法や中空のビーズとする方法などがある。表面処理方法としては、上述の通りである。 本発明の方法に用いられる採血管としては特に制限はなく、従来使用されているものをそのまま用いることができる。材質についても従来使用されているものを用いることができ、例えば、ガラスや、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレートなどのプラスチックス等を使用することができる。市販品としては、テルモ(株)製の「ベノジェクトII」(登録商標)などがある。 また、採血管の内壁は、分離材が硬化時に接着しやすいように表面処理をすることができる。たとえば、酸やアルカリによる処理、シランカップリング剤による処理、光照射処理、オゾン処理などがある。これらの表面処理により、管壁に官能基を導入し、分離材と反応しやすくする効果がある。 また、採血管には、検査項目に応じた添加剤を加えることができ、血液を凝固させるための血液凝固促進剤や血液の凝固を抑制するための血液抗凝固剤などを加えることができる。血液凝固促進剤としては、例えば、硫酸プロタミン及びトロンビン、珪砂、結晶シリカ粉末、珪藻土、ガラス粉末、カオリン、ベントナイト等を挙げることができ、また、血液抗凝固剤としては、ヘパリンやEDTA(エチレンジアミン四酢酸)などが挙げられる。 なお、本発明において遠心分離によって得られる上清として、血清を得たい場合には、血液に上述の凝固促進剤を用い、血漿を得る場合には、抗凝固剤を加えればよい。 ここで用いられる添加剤の量は、添加剤の種類によって異なるが、通常、採血した血液10mL当たり0.3〜10.0mgの範囲である。0.3mg以上であれば、それぞれの添加剤の効果を発揮することができ、10.0mg以下であれば溶血の問題が生じない。 本発明において用いられる分離材の硬化後の硬度については、ピペット等による分注の際にピペット先端が接触しても硬化後の分離材が破れなく、運搬時や取扱時の振動などで破れない強度であればよい。 次に、本発明の血清又は血漿の分離方法は、上記血清又は血漿分離材をあらかじめ採血管に配し、これに血液を採取して、遠心分離するものである。遠心分離の方法としては、従来と同様の方法を用いることができ、例えば、1200G程度の遠心力で、10分間程度遠心分離することにより、血清又は血漿と血球成分を分離することができる。 すなわち、本発明において用いられる血清又は血漿分離材は、通常その比重が血清等と血球成分との中間であるので、採血管内において、血清等と血球成分とを分離させた状態で、その中間に位置し、硬化がなされる。したがって、遠心分離操作を行うだけで、血清等と血球成分の分離が行われ、かつ血清等と血球成分の混合が生じない。したがって、分離後、病院から検査センター等に血液検体が輸送されるような場合でも、血清等と血球成分が混じり合うことがない。 以下、本発明の実施例をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。実施例1 血液として、ウマの保存血液(コージンバイオ(株)、ウマの血液にアルセバー氏液を1:1の割合で混合したもの)を準備した。湿気硬化性成分として、湿気硬化性のシリコーン樹脂であるモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製「TSE397」(1成分縮合型(脱アルコール型)シリコーン樹脂、比重1.04、粘度50Pa・s)2mLを、低密度ポリエチレンチューブ(LDPEチューブ、外径11mm、厚み0.4mm、長さ20mm)に充填し、その両端をパラフィルム(Pechiney Plastic Packaging製Parafilm PM-992)で上下に蓋をしてカプセルとし、これに湿気硬化性成分を内包させたものを用いた。 採血管(テルモ(株)製硬化促進剤入り真空採血管)の蓋を開けて、これに上記湿気硬化性シリコーン樹脂が内包されたカプセルを入れ、そのカプセルの上に高比重固体(形状:球状、直径:6mm、材質:ガラス、比重:2.5)を入れた。次いで、上記ウマの保存血液8mLを入れ、プラスチックフィルムで開口部に蓋をして、3時間静置した。その後、遠心分離を行い、血清等と血球成分の分離を行った。遠心分離条件としては、3000rpm(1200G)で10分間行った。その後、3時間静置し、血漿部分をデカンテーションにより取り除いた後、長さ10cm、直径2mmの木製の棒で、硬化した湿気硬化性成分を押したところ十分に硬化していることが確認された。血漿の分離が行えたが、僅かに溶血が見られた。比較例1 湿気硬化性シリコーン樹脂をカプセルに封入しなかったこと以外は実施例1と同様にして遠心分離操作を行ったところ、湿気硬化性成分が遠心分離操作前に硬化しており、遠心分離が行えなかった。実施例2 血液として、ウマの保存血液(コージンバイオ(株)、ウマの血液にアルセバー氏液を1:1の割合で混合したもの)を準備した。補強材として、湿気硬化性のシリコーン樹脂であるモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製「TSE397」(1成分縮合型(脱アルコール型)シリコーン樹脂、比重1.04、粘度50Pa・s)を硬化させて、円柱形の成形体(直径11mm、高さ6mm、重さ0.6g)を作製した。 採血管(テルモ(株)製硬化促進剤入り真空採血管、内径13mm)の蓋を開けて、これに湿気硬化性成分として、湿気硬化性シリコーン樹脂「TSE397」0.9mLを底に充填した。ポリエチレンフィルムで蓋をした後、該ポリエチレンフィルムの上に上記成形体を配置した。次いで、上記ウマの保存血液8mLを入れ、プラスチックフィルムで開口部に蓋をした。その後、遠心分離を行い、血清等と血球成分の分離を行った。遠心分離条件としては、3000rpm(1200G)で10分間行った。その後、3時間静置し、血漿部分をデカンテーションにより取り除いた後、長さ10cm、直径2mmの木製の棒で、硬化した湿気硬化性成分を押したところ十分に硬化していることが確認された。血漿の分離が行えたが、僅かに溶血が見られた。実施例3 血液として、ウマの保存血液(コージンバイオ(株)製)を準備した。湿気硬化性成分として、変性シリコーン((株)カネカ製SAT400、粘度24Pa・s)94質量%と、比重調整材としての炭酸カルシウム(和光純薬工業(株)製)6.0質量%とを混合し、比重を1.05に調整した。該混合物(湿気硬化性成分)100質量部に対して、チタン系硬化触媒(マツモトファインケミカル(株)製TC−750)を0.5質量部加えたものを、ポリプロピレン製の容器(直径1cm、長さ2cmの丸底チューブ)に、1.5mL充填し、血液隔離材としてのアルミフィルム(日本製箔(株)製、厚さ0.02mm)を熱により接着して蓋をして、カプセルとした。 採血管(テルモ(株)製硬化促進剤入り真空採血管)の蓋を開けて、これに該カプセルを入れ、ガラスビーズ(直径6mm)をカプセルの上に配置した。次いで、上記ウマの保存血液8mLを入れ、再栓用蓋で蓋をして遠心分離を行った。遠心分離条件としては、3000rpm(1200G)で10分間行った。遠心によりカプセルが壊れて樹脂が放出され、血漿と血球成分の間に樹脂が配置された。血漿の分離が十分に行え、血球成分は血漿に混入していなかった。実施例4 実施例3において、ポリプロピレン製容器に充填する成分として以下のものを用い、再栓用蓋で蓋をした後、1日経過後に遠心分離操作を行ったこと以外は、実施例3と同様にして、分離操作を行った。 湿気硬化性成分として、変性シリコーン((株)カネカ製EST280、粘度7Pa・s)86.35質量%と、比重調整材としてのベントン38(エレメンティス・スペシャリティーズ社製)13.65質量%とを混合し、比重を1.05に調整した。該混合物(湿気硬化性成分)100質量部に対して、チタン系硬化触媒(マツモトファインケミカル(株)製TC−750)を0.5質量部加えて、ポリプロピレン製容器に充填する成分とした。 遠心によりカプセルが壊れて樹脂が放出され、血漿と血球成分の間に樹脂が配置された。血漿の分離が十分に行え、血球成分は血漿に混入していなかった。実施例5 実施例3において、ポリプロピレン製容器に充填する成分として以下のものを用い、再栓用蓋(テルモ(株)製ベノジェクトII再栓キャップ)で蓋をした後、1日経過後に遠心分離操作を行ったこと以外は、実施例7と同様にして、分離操作を行った。 湿気硬化性成分として、変性シリコーン((株)カネカ製SAT400、粘度24Pa・s)91質量%と、比重調整材としてのシリカ粒子(日本アエロジル(株)製OX50、粒径40nm)9質量%とを混合し、比重を1.05に調整した。該混合物(湿気硬化性成分)100質量部に対して、チタン系硬化触媒(マツモトファインケミカル(株)製TC-750)を0.5質量部加えてポリプロピレン製容器に充填する成分とした。 遠心分離操作によりカプセルが壊れて湿気硬化性成分が放出され、血漿と血球成分の間に湿気硬化性成分が配置された。血漿の分離が十分に行え、血球成分は血漿に混入していなかった。実施例6 血液として、ウマの保存血液(コージンバイオ(株)製)を準備した。湿気硬化性成分として、変性シリコーン((株)カネカ製SAT400、粘度24Pa・s)91質量%と、比重調整材としてのシリカ粒子(日本アエロジル(株)製OX50、粒径40nm)9質量%とを混合し、比重を1.05に調整した。該混合物(湿気硬化性成分)100質量部に対して、チタン系硬化触媒(マツモトファインケミカル(株)製TC−750)を0.5質量部、補強材としてのポリスチレンビーズ(直径0.3mmの球状、日立化成工業(株)製)を30質量部加えたものを、ポリプロピレン製の容器(直径1cm、長さ2cmの丸底チューブ)に、1.5mL充填し、血液隔離材としてのアルミフィルム(日本製箔(株)製、厚さ0.02mm)を熱により接着して蓋をして、カプセルとした。 採血管(テルモ(株)製硬化促進剤入り真空採血管)の蓋を開けて、これに該カプセルを入れ、高比重固体としてのガラスビーズ(直径6mm、比重2.5)をカプセルの上に配置した。次いで、上記ウマの保存血液8mLを入れ、再栓用蓋(テルモ(株)製ベノジェクトII再栓キャップ)で蓋をして、1日経過後に遠心分離操作を行った。遠心分離条件としては、3000rpm(1200G)で10分間行った。遠心によりカプセルが壊れて湿気硬化性成分が放出され、血漿と血球成分の間に湿気硬化性成分が配置された。血漿の分離が十分に行え、血球成分は血漿に混入していなかった。実施例7 血液として、ウマの保存血液(コージンバイオ(株)製)を準備した。湿気硬化性成分として、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製「TSE397」(1成分縮合型(脱アルコール型)シリコーン樹脂、比重1.04、粘度50Pa・s)を用いた。補強材として、湿気硬化性のシリコーン樹脂であるモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製「TSE397」(1成分縮合型(脱アルコール型)シリコーン樹脂、比重1.04、粘度50Pa・s)を硬化させて、円柱形の成形体(直径11mm、高さ6mm、重さ0.6g)を作製した。 採血管(テルモ(株)製硬化促進剤入り真空採血管)の蓋を開けて、これに上記で作製した成形体の補強材を入れて、採血管内に配置し、そこに前記湿気硬化性成分を1mL入れ、上記ウマの保存血液8mLを入れ、再栓用蓋(テルモ(株)製ベノジェクトII再栓キャップ)で蓋をして遠心分離を行った。遠心分離条件としては、3000rpm(1200G)で10分間行った。血漿の分離が十分に行えたが、ごく僅かに溶血が見られた。実施例8 血液として、ウマの保存血液(コージンバイオ(株)製)を準備した。湿気硬化性成分として、変性シリコーン((株)カネカ製SAX220、粘度46Pa・s)93.75質量%と、比重調整材としての炭酸カルシウム(和光純薬工業(株)製)6.25質量%とを混合し、比重を1.05に調整した。該混合物(湿気硬化性成分)100質量部に対して、チタン系硬化触媒(マツモトファインケミカル(株)製TC−750)を1質量部加え、これに、補強材としてポリスチレン製の円柱形の成形体(直径9mm、高さ6mm、比重1.05、重さ0.4g)をさらに加えて分離材とした。 採血管(テルモ(株)製硬化促進剤入り真空採血管)の蓋を開けて、これに前記ポリスチレン製の成形体を入れて、採血管内に配置し、そこに前記湿気硬化性成分と硬化触媒の混合物を1.3mL入れ、上記ウマの保存血液8mLを入れ、再栓用蓋(テルモ(株)製ベノジェクトII再栓キャップ)で蓋をして遠心分離を行った。遠心分離条件としては、3000rpm(1200G)で10分間行った。血漿の分離が十分に行え、血球成分は血漿に混入していなかった。実施例9 実施例8と同様の血液、湿気硬化性成分、硬化触媒、及び補強材を用い、以下の手順としたこと以外は、実施例8と同様に分離操作を行った。すなわち、採血管(テルモ(株)製硬化促進剤入り真空採血管)の蓋を開けて、これに湿気硬化性成分と硬化触媒の混合物を1.3mL入れ、その上に、補強材としてのポリスチレン製の円柱形の成形体(直径9mm、高さ6mm、比重1.05、重さ0.4g)を配置したこと以外、実施例8と同様にして分離操作を行った。血漿の分離が十分に行え、血球成分は血漿に混入していなかった。 本発明によれば、採血から検査までの間に時間を要しても、遠心分離による血清又は血漿と血球成分の分離が確実に行え、かつ遠心分離後は血清又は血漿と血球成分が分離した状態で、長期間にわたって良好な保存安定性が得られ、また冷凍や解凍時の安定性、試料取扱時の安定性にも優れた血清又は血漿の分離を行うことができる。すなわち、時間が経過しても血清又は血漿と血球成分との混合が生じず、高い精度の検査が可能となる。 さらに、紫外線を用いることなく硬化させることができるため、紫外線の影響を考慮することなく血液の検査が行えるとともに、紫外線又はγ線照射による殺菌操作を行うことができる。 採血管に血清又は血漿分離材を配し、これに血液を採取して、遠心分離する血清又は血漿の分離方法であって、該分離材は硬化成分を含み、遠心分離によって該硬化成分の硬化が開始することを特徴とする血清又は血漿の分離方法。 前記血清又は血漿分離材中に血液隔離材を有する請求項1に記載の血清又は血漿の分離方法。 前記血液隔離材がカプセルであって、該カプセルに前記硬化成分が内包される請求項2に記載の血清又は血漿の分離方法。 前記血清又は血漿分離材中にさらに補強材が配される請求項1〜3のいずれかに記載の血清又は血漿の分離方法。 前記補強材が成形体である請求項4に記載の血清又は血漿の分離方法。 前記硬化成分の比重が1.03〜1.09である請求項1〜5のいずれかに記載の血清又は血漿の分離方法。 前記硬化成分が湿気硬化性成分であり、該湿気硬化性成分が遠心分離によって血液に接することで硬化が開始する請求項1〜6のいずれかに記載の血清又は血漿の分離方法。 前記硬化成分が2液硬化型であり、遠心分離によって該2液が接触して硬化が開始する請求項1〜6のいずれかに記載の血清又は血漿の分離方法。 前記硬化成分が表面処理樹脂ビーズであり、遠心分離によって該表面処理樹脂ビーズが互いに接触して硬化が開始する請求項1〜6のいずれかに記載の血清又は血漿の分離方法。 前記湿気硬化性成分が、反応性シリコーン系化合物、α―シアノアクリレート系化合物、及び一液湿気硬化性ポリウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載の血清又は血漿の分離方法。