タイトル: | 特許公報(B2)_におい抑制方法 |
出願番号: | 2010524712 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 31/4178,A61K 47/40,A61K 31/4422,A61K 31/549,A61P 9/12,A61K 9/20 |
濱浦 健司 長谷川 晋 JP 5688799 特許公報(B2) 20150206 2010524712 20090806 におい抑制方法 第一三共株式会社 307010166 石橋 公樹 100146581 北野 範子 100113583 竹元 利泰 100161160 児玉 博宣 100164460 金原 玲子 100119622 濱浦 健司 長谷川 晋 JP 2008206998 20080811 JP 2008213837 20080822 20150325 A61K 31/4178 20060101AFI20150305BHJP A61K 47/40 20060101ALI20150305BHJP A61K 31/4422 20060101ALI20150305BHJP A61K 31/549 20060101ALI20150305BHJP A61P 9/12 20060101ALI20150305BHJP A61K 9/20 20060101ALI20150305BHJP JPA61K31/4178A61K47/40A61K31/4422A61K31/549A61P9/12A61K9/20 A61K 31/4178 A61K 9/20 A61K 31/4422 A61K 31/549 A61K 47/40 A61P 9/12 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特開平01−197432(JP,A) 特開2007−063142(JP,A) 国際公開第2007/097452(WO,A1) 国際公開第2006/123765(WO,A1) 国際公開第2006/123766(WO,A1) 13 JP2009063922 20090806 WO2010018777 20100218 15 20120731 伊藤 清子 本発明は、薬剤のにおい抑制方法に関する。 医薬品の中には、薬剤の品質自体に全く問題がないものの、不快な臭いを有する薬剤があることが知られている。これら薬剤は、服用者のコンプライアンス向上のため、臭いを低減した製剤とすることが求められる。 従来技術では、例えば糖衣錠とし、臭いをマスキングすることは可能であったが、糖衣錠では錠剤が大型化し服用しにくくなる欠点があった。また、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(特開2003−300883号公報)やカルボキシメチルセルロースナトリウム(国際公開第2006/123765号パンフレット)を配合したフィルム層でコーティングされたフィルムコート錠が、処方の臭いを低減することは知られているが、フィルムコート製剤は錠剤の分割性、溶出性、安定性の観点で好ましくないケースが存在する。また、分子内に(5−メチル−2−オキソー1,3ジオキソレン−4−イル)メチル基(以下、「メドキソミル基」という)を有する特定の化合物を有効成分とする医薬組成物において、臭い低減のためにシクロデキストリンを配合する技術は知られていない。特開2003−300883号公報国際公開第2006/123765号パンフレット 本発明の目的は、フィルムコートを施さなくても薬剤の有する臭いを低減できる製剤を提供することにある。 本発明者らは前記目的を達成するために鋭意検討の結果、驚くべきことに、シクロデキストリンを添加剤として配合することにより、処方中の臭い、特に不快臭を低減できることを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は、(1)メドキソミル基を有する薬物を有効成分として含有し、シクロデキストリンを添加剤として含有することを特徴とする医薬組成物、(2)メドキソミル基を有する薬物が、オルメサルタンメドキソミルである(1)に記載の医薬組成物、(3)シクロデキストリンが、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン及び化学修飾されたシクロデキストリンから選択される化合物の1種又は2種以上である(1)又は(2)に記載の医薬組成物、(4)シクロデキストリンが、β-シクロデキストリン及び化学修飾されたβ-シクロデキストリンから選択される化合物の1種又は2種以上である(1)又は(2)に記載の医薬組成物、(5)シクロデキストリンが、β-シクロデキストリンである(1)又は(2)に記載の医薬組成物、(6)医薬組成物が、固形製剤である(1)乃至(5)のいずれかに記載の医薬組成物、(7)固形製剤が、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤又は錠剤である(6)に記載の医薬組成物、(8)固形製剤が、錠剤である(6)に記載の医薬組成物、(9)錠剤が、1種又は2種以上のフィルムコートの設けられたフィルムコート錠である(8)に記載の医薬組成物、(10)シクロデキストリンの処方重量比が、オルメサルタンメドキソミルとシクロデキストリンの処方重量比99:1以上である(1)乃至(9)いずれかに記載の医薬組成物、(11)添加されるシクロデキストリンが、フィルムコート中成分として含有されるフィルムコート錠である(9)に記載の医薬組成物、(12)シクロデキストリンの処方重量比が、オルメサルタンメドキソミルとシクロデキストリンの処方重量比99:1以上である(11)に記載の医薬組成物、(13)有効成分として他薬剤の1種又は2種以上をさらに含有する(1)乃至(12)のいずれかに記載の医薬組成物、(14)他薬剤がアムロジピン(ベシレート塩を含む)、アゼルニジピン及びヒドロクロロチアジドから選択される化合物の1種又は2種以上である(13)に記載の医薬組成物、(15)高血圧症治療又は予防のための(1)乃至(14)のいずれかに記載の医薬組成物、(16)臭いの発生が低減された(1)乃至(15)のいずれかに記載の医薬組成物、(17)発生が低減された臭いが不快な臭いである(16)に記載の医薬組成物、(18)(1)乃至(15)に記載の医薬組成物による臭い発生の低減方法、(19)(1)乃至(15)に記載の医薬組成物による不快臭発生の低減方法、(20)臭い発生を低減化した(1)乃至(15)に記載の医薬組成物の製造方法、(21)不快臭発生を低減化した(1)乃至(15)に記載の医薬組成物の製造方法、(22)オルメサルタンメドキソミル含有製剤製造のためのシクロデキストリンの使用、(23)臭い低減化オルメサルタンメドキソミル含有製剤製造のためのシクロデキストリンの使用等を提供するものである。 本発明によれば、実質的に不快臭のない、商品性に優れた医薬組成物を提供することが可能となる。 本発明における医薬組成物においては、メドキソミル基を有する薬物、例えば、オルメサルタンメドキソミルにシクロデキストリンを配合するだけで十分なにおい低減効果を得られる。シクロデキストリンはα、β、γに加え、化学修飾されたものでも構わない。化学修飾されたシクロデキストリンとしては、例えば、メチル化、アセチル化、ヒドロキシプロピル化、モノクロロトリアジノ化、スルフォブチル化のようなシクロデキストリンを挙げることができる。また複数のシクロデキストリンを組み合わせても構わない。シクロデキストリンの添加量が多いほどその効果は大きいが、比較的少量からでも効果を発揮する。その他、一般に製剤に添加される添加剤を加えても構わない。エタノール等の溶媒で造粒やスラーリー調製をしてもその効果に影響はない。また打錠機等により加圧成型してもその効果に影響はない。シクロデキストリンは、医薬組成物全体に均一に含まれていてもよく、医薬組成物の一部に含まれていてもよい。フィルムコーティング層を設ける場合には、フィルムコーティング層中に含まれていてもよい。 医薬組成物中のシクロデキストリン含有比は、通常、下限は、オルメサルタンメドキソミル:シクロデキストリン=99:1以上であればよく、オルメサルタンメドキソミル:シクロデキストリン=9:1以上であっても、オルメサルタンメドキソミル:シクロデキストリン=4:1以上であっても、オルメサルタンメドキソミル:シクロデキストリン=2:1以上であってもよい。好ましくは、オルメサルタンメドキソミル:シクロデキストリン=1:1以上であり、より好ましくは、オルメサルタンメドキソミル:シクロデキストリン=1:2以上であり、さらに好ましくは、オルメサルタンメドキソミル:シクロデキストリン=1:9以上であり、上限は、におい低減効果の観点からは制限はないが、製剤化の観点からオルメサルタンメドキソミル:シクロデキストリン=1:19以下が好ましい。また、フィルムコート中成分としてシクロデキストリン含有される場合のシクロデキストリン含有比は、通常、下限は、オルメサルタンメドキソミル:シクロデキストリン=999:1以上であればよく、オルメサルタンメドキソミル:シクロデキストリン=99:1以上であっても、オルメサルタンメドキソミル:シクロデキストリン=19:1以上であっても、オルメサルタンメドキソミル:シクロデキストリン=8:1以上であってもよい。好ましくは、オルメサルタンメドキソミル:シクロデキストリン=4:1以上であり、より好ましくは、オルメサルタンメドキソミル:シクロデキストリン=2:1以上であり、さらに好ましくは、オルメサルタンメドキソミル:シクロデキストリン=1:1以上であり、上限は、におい低減効果の観点からは制限はないが、製剤化の観点からオルメサルタンメドキソミル:シクロデキストリン=1:2以下が好ましい。 本発明において、医薬組成物に含まれる有効成分としては、臭いを有する薬物であればその構造、程度、機構等により限定されるものではなく、例えば、オルメサルタンメドキソミル、2-アミノ-5-イソブチル-4-{2-[5-(N,N'-ビス((S)-1-エトキシカルボニル)エチル)ホスホンアミド]フラニル}チアゾール、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メチル (5R,6S)-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-2-[(R)-2-テトラヒドロフリル]ペネム-3-カルボキシレート、2-エトキシ-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル又はその塩(以下、「アジルサルタンメドキソミル」と称する場合がある)、2-エトキシ-1-{[2'-(5-オキソ-2,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル又はその塩(以下、「アジルサルタンカメドキソミル」と称する場合がある)、2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル又はその塩、2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-2,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル又はその塩等を挙げることができる。好適にはオルメサルタンメドキソミル、2-アミノ-5-イソブチル-4-{2-[5-(N,N'-ビス((S)-1-エトキシカルボニル)エチル)ホスホンアミド]フラニル}チアゾールまたは(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メチル (5R,6S)-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-2-[(R)-2-テトラヒドロフリル]ペネム-3-カルボキシレートであり、特に好適にはオルメサルタンメドキソミルである。尚、オルメサルタンメドキソミルは、高血圧症又は高血圧症に由来する疾患(より具体的には、高血圧症、心臓疾患[狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全若しくは心肥大]、腎臓疾患[糖尿病性腎症、糸球体腎炎若しくは腎硬化症]又は脳血管性疾患[脳梗塞若しくは脳出血])の予防又は治療に有効であり、特許第2082519号公報(米国特許第5,616,599号公報)等に記載の方法に従い、容易に製造することができる。2-アミノ-5-イソブチル-4-{2-[5-(N,N'-ビス((S)-1-エトキシカルボニル)エチル)ホスホンアミド]フラニル}チアゾールは、糖尿病、高血糖症、耐糖能不全、肥満症、糖尿病合併症等の予防又は治療に有効であり(好適には糖尿病の予防又は治療)、国際公開第2001/047935号パンフレット等に記載の方法に従い、容易に製造することができる。また、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メチル(5R,6S)-6-[(R)-1-ヒドロキシエチル]-2-[(R)-2-テトラヒドロフリル]ペネム-3-カルボキシレートは、抗菌剤として期待されているペネム化合物であり、国際公開第1992/003442号パンフレット等に記載の方法に従い、容易に製造することができる。さらに、アジルサルタンメドキソミル、アジルサルタンカメドキソミル、2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル又はその塩ならびに2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-2,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル又はその塩は、高血圧症などの治療薬として有望視されており、国際公開第2005/080384号パンフレットもしくは国際公開第2006/107062号パンフレット等に開示された方法又はそれに準じた方法などによって製造することができる。なお、分子内にメドキソミル基を有する化合物、例えば高血圧症治療薬であるオルメサルタンメドキソミルは、メドキソミルエステルが徐々に切断され活性本体に変化することにより、低分子の2、3−ブタンジオン(以下、「ジアセチル」という)を発生する化合物である。このジアセチル自体は特異な臭気の原因物質として知られており、メドキソミル基を含有する医薬組成物の臭い原因物質であると考えられている。しかしながら、分子内にメドキソミル基を有する化合物を有効成分とする医薬組成物処方中にシクロデキストリンを加えることにより、臭い低減を図る技術は知られていない。 また、本発明における医薬組成物は、必要に応じてその他の有効成分を含有していてもよい。該有効成分としては、例えば、トリクロルメチアジド(Trichloromethiazide)、ヒドロクロロチアジド(Hydrochlorothiazide)、ベンジルヒドロクロロチアジド(Benzylhydrochlorothiazide)、のような利尿剤;アゼルニジピン(Azelnidipine)、アムロジピン(Amlodipine)(ベシレート塩を含む)、ベニジピン(Benidipine)、ニトレンジピン(Nitrendipine)、マニジピン(Manidipine)、ニカルジピン(Nicardipine)、ニフェジピン(Nifedipine)、シルニジピン(Cilnidipine)、エホニジピン(Efonidipine)、バルニジピン(Barnidipine)、フェロジピン(Felodipine)のようなカルシウム拮抗剤;ピオグリタゾン(Pioglitazone)、ロジグリタゾン(Rosiglitazone)、リボグリタゾン(Rivoglitazone)、MCC-555、NN-2344、BMS-298585、AZ-242、LY-519818、TAK-559のようなインスリン抵抗性改善剤;プラバスタチン(Pravastatin)、シンバスタチン(Simvastatin)、アトルバスタチン(Atorvastatin)、ロスバスタチン(Rosuvastatin)、セリバスタチン(Cerivastatin)、ピタバスタチン(Pitavastatin)、フルバスタチン(Fluvastatin)のようなHMG-CoA還元酵素阻害剤;SMP-797、パクチミベ(Pactimibe)のようなACAT阻害剤などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの有効成分の量は、特に限定されるものではなく、通常製剤に用いられる量を用いればよい。 本発明の医薬組成物は、さらに必要に応じて、適宜の薬理学的に許容される賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、乳化剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤等の添加剤を含むことができる。 使用される「賦形剤」としては、例えば、乳糖、白糖、葡萄糖、マンニトール若しくはソルビトールのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α−澱粉若しくはデキストリンのような澱粉誘導体;結晶セルロースのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;又はプルランのような有機系賦形剤;或いは、軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム若しくはメタ珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪酸塩誘導体;リン酸水素カルシウムのような燐酸塩;炭酸カルシウムのような炭酸塩;又は、硫酸カルシウムのような硫酸塩等の無機系賦形剤を挙げることができる。 使用される「滑沢剤」としては、例えば、ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;タルク;コロイドシリカ;ビーズワックス若しくはゲイ蝋のようなワックス類;硼酸;アジピン酸;硫酸ナトリウムのような硫酸塩;グリコール;フマル酸;フマル酸ステアリルナトリウム:安息香酸ナトリウム;D,L−ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム若しくはラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪酸若しくは珪酸水和物のような珪酸類;又は、上記澱粉誘導体を挙げることができる。 使用される「結合剤」としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、又は、前記賦形剤と同様の化合物を挙げることができる。 使用される「崩壊剤」としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム若しくは内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;架橋ポリビニルピロリドン;又は、カルボキシメチルスターチ若しくはカルボキシメチルスターチナトリウムのような化学修飾されたデンプン・セルロース類を挙げることができる。 使用される「乳化剤」としては、例えば、ベントナイト若しくはビーガムのようなコロイド性粘土;水酸化マグネシウム若しくは水酸化アルミニウムのような金属水酸化物;ラウリル硫酸ナトリウム若しくはステアリン酸カルシウムのような陰イオン界面活性剤;塩化ベンザルコニウムのような陽イオン界面活性剤;又は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル若しくはショ糖脂肪酸エステルのような非イオン界面活性剤を挙げることができる。 使用される「安定剤」としては、例えば、メチルパラベン若しくはプロピルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール若しくはフェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール若しくはクレゾールのようなフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;又は、ソルビン酸を挙げることができる。 使用される「矯味矯臭剤」としては、例えば、サッカリンナトリウム若しくはアスパルテームのような甘味料;クエン酸、リンゴ酸若しくは酒石酸のような酸味料;又は、メントール、レモン若しくはオレンジのような香料を挙げることができる。 使用される「希釈剤」としては、例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、スクロース、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶性セルロース、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム又はこれらの混合物を挙げることができる。 本発明における医薬組成物は固形製剤であることが好ましく、例えば、錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、細粒剤、散剤、丸剤、チュワブル剤、トローチ剤等を挙げることができ、好適には散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤又は錠剤であり、より好適には錠剤であり、さらに好適にはオルメサルタンメドキソミル及びシクロデキストリンが均一に配合された錠剤である。 本発明における製剤の製造方法としては、The Theory and Practice of Industrial Pharmacy (Third Edition)(Leon Lachman 他:LEA & FEBIGER 1986、3-99ページ、293-373ページ)や、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets volume 1(Second Edition)(Herbert A.Lieberman他:MARCEL DEKKER INC. 1989、131-284ページ)のような刊行物に記載されている一般的な方法を用いて製造すればよく、特別な制限は設けない。 本発明の錠剤は、例えば、それ自体公知の方法で主薬を賦形剤、結合剤、崩壊剤等とともに造粒、乾燥、整粒し、滑沢剤等を加えて混合し、製錠することにより錠剤を得る。ここで、造粒は、湿式造粒法、乾式造粒法あるいは加熱造粒法のいずれの方法によっても行うことができ、具体的には、高速攪拌造粒機、流動造粒乾燥機、押し出し造粒機、ローラーコンパクターなどを用いて行われる。また、造粒の後、必要により乾燥、整粒などの操作を行ってもよい。主薬と賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の混合物を直接打錠することもできる。また、本発明の錠剤には少なくとも1層のフィルムコーティングを設けてもよい。 コーティングは、例えば、フィルムコーティング装置を用いて行われ、フィルムコーティング基剤としては、例えば、糖衣基剤、水溶性フィルムコーティング基剤、腸溶性フィルムコーティング基剤、徐放性フィルムコーティング基剤などが挙げられる。 糖衣基剤としては、白糖が用いられ、さらに、タルク、沈降炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、プルラン、などから選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。 水溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマーなどの合成高分子;プルランなどの多糖類などが挙げられる。 腸溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース誘導体;メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーLD、メタアクリル酸コポリマーSなどのアクリル酸誘導体;セラックなどの天然物などが挙げられる。 徐放性フィルムコーティング基剤としては、例えば、エチルセルロースなどのセルロース誘導体;アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・共重合体乳濁液などのアクリル酸誘導体などが挙げられる。 上記コーティング基剤は、その2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。また、さらに必要に応じて、適宜の薬理学的に許容される可塑剤、賦形剤、滑沢剤、隠蔽剤、着色剤、防腐剤等の添加剤を含むことができる。 かくして得られる本発明の医薬組成物は、通常の製剤と同様に投与すれば良い。 以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。(実施例1) オルメサルタンメドキソミルとシクロデキストリン(α-シクロデキストリン((株)林原生物化学研究所)、β-シクロデキストリン(和光純薬工業(株))、γ-シクロデキストリン(和光純薬工業(株))、及びヒドロキシプロピル(HP-)β-シクロデキストリン(ロケットジャパン(株)))をある比率(オルメサルタンメドキソミル/シクロデキストリン=19/1〜1/19)において乳鉢混合し、10gの混合末を得た。 得られた混合末の内、約5gを適当量のエタノールを用いて混練し、ペーストを調製した。本ペーストを80℃で1時間乾燥後篩過(目開き:850 μm)し、処理末を得た。 混合末、処理末をΦ7.5mmの臼杵10MPaで加圧し錠剤を得た(油圧ポンプ(理研精器))。(比較例1)無処理オルメサルタンメドキソミル原薬(試験例1) ガラス瓶に、無処理オルメサルタンメドキソミル原薬(比較例1)または実施例1で製造した、混合末、処理末をオルメサルタンメドキソミルとして100 mg入れ、密栓後、40℃で30分保存した。この後、ガラス瓶を開栓して、被験者6人(A〜F)により下記評価基準で臭いの官能試験を実施した。結果を表1に示す。 (官能評価基準(表1、2とも))<評点> <内容> 0 : 臭わない 1 : やや臭う 2 : 臭う 3 : かなり臭う(表1)混合末、処理末の臭い評価CD:シクロデキストリン、OM:オルメサルタンメドキソミル、a:混合末、b:処理末*無処理オルメサルタンメドキソミル原薬(試験例2) ガラス瓶に、無処理オルメサルタンメドキソミル原薬(比較例1)または実施例1で製造した、混合末、処理末、錠剤をオルメサルタンメドキソミルとして100 mg入れ、密栓後、40℃で30分保存した。この後、ガラス瓶を開栓して、被験者6人(A〜F)により前記評価基準で臭いの官能試験を実施した。結果を表2に示す。(表2)混合末、処理末、錠剤の臭い評価CD:シクロデキストリン、OM:オルメサルタンメドキソミル、a:混合末、b:処理末、c:混合末錠、d:処理末錠*無処理オルメサルタンメドキソミル原薬(試験例3) ガスクロマトグラフィー用のバイアル(20 mL)に、無処理オルメサルタンメドキソミル原薬(比較例1)または実施例1で調製した混合末をオルメサルタンメドキソミルとして500 mg入れ、密栓後40℃/75%RHで4日間保存した。その後、ヘッドスペースガスをガスクロマトグラフィーにインジェクションし、検出されるガス成分(ジアセチル)の濃度を測定した。結果を表3に示す。なお、ガスクロマトグラフィーの測定条件を下に示す。〔ガスクロマトグラフィーの測定条件〕装置:ガスクロマトグラフ 島津GC-2014((株)島津製作所)検出器:水素炎イオン化検出器分析カラム:DB-WAX(アジレントテクノロジー(株)、0.53 mm i.d. ×30 m、膜厚:1.00 μm)カラム温度:50℃キャリヤーガス:ヘリウム流量:5.0 mL/min注入口温度:200℃検出器温度:230℃注入量:1.0 mL(表3) ジアセチル濃度 (ng/mL)ND:検出されないCD:シクロデキストリン、OM:オルメサルタンメドキソミル(実施例2)(実施例3) 表4に示す処方において、以下の方法にて錠剤を作成した。オルメサルタンメドキソミル、β-シクロデキストリン(日本食品化工(株))、乳糖(ラクトケム(株))、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業(株))、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株))を高速撹拌造粒機(VG-10、パウレック(株))で5分混合後、精製水を適量添加し3分造粒した。得られた造粒物を流動層乾燥機(FLO-5M、フロイント産業(株))で乾燥させた。この乾燥品を目開き約1 mmのスクリーンを付けたコーミル(パウレック(株))で整粒し、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ(株))、ステアリン酸マグネシウムを添加し、V型混合機(徳寿製作所(株))で5分間混合した。混合顆粒をロータリー式打錠機(菊水製作所(株))で打錠して錠径8 mmの錠剤を得た(打錠圧:1ton)。得られた錠剤をPress Through Package(以下PTP)包装機にて10錠1シートのPTP包装(材質は無延伸ポリプロピレン、以下CPP)とした。(表4) 実施例2および実施例3処方 (mg/錠)(比較例2) 表5に示す処方において、以下の方法にて錠剤を作成した。オルメサルタンメドキソミル、乳糖(ラクトケム(株))、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業(株))、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株))を高速撹拌造粒機(VG-10、パウレック(株))で5分混合後、精製水を適量添加し3分造粒した。得られた造粒物を流動層乾燥機(FLO-5M、フロイント産業(株))で乾燥させた。この乾燥品を目開き約1 mmのスクリーンを付けたコーミル(パウレック(株))で整粒し、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ(株))、ステアリン酸マグネシウムを添加し、V型混合機(徳寿製作所(株))で5分間混合した。混合顆粒をロータリー式打錠機(菊水製作所(株))で打錠して錠径8 mmの錠剤を得た(打錠圧:1ton)。得られた錠剤をPTP包装機にて10錠1シートのPTP包装(材質はCPP)とした。(表5)比較例2処方 (mg/錠)(試験例4) 実施例2、実施例3および比較例2で調製した錠剤(PTP包装品)を25℃/75%RHで1, 2, 3箇月保存した。保存したPTP包装品1錠分をPTPシートから切り取り、ガスクロマトグラフィーのバイアル(約20 mL)に入れ、密栓した。ニードルを用いて錠剤をPTPシートから取り出し、PTPポケット内に溜まったガスをバイアル内で均一に拡散させた。その後、ヘッドスペースガスをガスクロマトグラフィーにインジェクションし、検出されるガス成分(ジアセチル)の濃度を測定した。ガスクロマトグラフィーの測定条件は試験例3と同一とした。結果を表6に示す。(表6)ジアセチル濃度(25℃/75%RH) (ng/mL)ND:検出されないCD:シクロデキストリン(試験例5) 実施例2、実施例3および比較例2で調製した錠剤(PTP包装品)を40℃/75%RHで1箇月保存した。保存したPTP包装品1錠分をPTPシートごと切り取り、ガスクロマトグラフィーのバイアル(約20 mL)に入れ、密栓した。ニードルを用いて錠剤をPTPシートから取り出し、PTPポケット内に溜まったガスをバイアル内で均一に拡散させた。その後、ヘッドスペースガスをガスクロマトグラフィーにインジェクションし、検出されるガス成分の濃度(ジアセチル)を測定した。ガスクロマトグラフィーの測定条件は試験例3と同一とした。結果を表7に示す。(表7)ジアセチル濃度(40℃/75%RH)(ng/mL)ND:検出されないCD:シクロデキストリン(実施例4)(実施例5)(実施例6) 比較例2の処方、製法にて未包被錠を製し(杵は錠径7.5 mmのR杵使用)、β-シクロデキストリン(日本食品化工(株))を含有するコーティング液をコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント産業(株))にて、固形分として10 mgもしくは20 mgコーティングした。処方を表8に示す。なお、コーティング液はβ-シクロデキストリン水溶液に、ヒプロメロース、酸化チタン、タルクから成るOpadry OY-S-9607(日本カラコン(株))またはポリビニルアルコール、酸化チタン、タルク、マクロゴールから成るOpadryII 85F48011(日本カラコン(株))を懸濁させ調製した。(表8)実施例4、実施例5および実施例6処方 (mg/錠)(比較例3)(比較例4) 比較例2の処方、製法にて未包被錠を製し(杵は錠径7.5 mmのR杵使用)、β-シクロデキストリンを含まないコーティング液をコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント産業(株))にて、固形分として10 mgまたは20 mgコーティングした。処方を表9に示す。なお、コーティング液は、ヒプロメロース、酸化チタン、タルクから成るOpadry OY-S-9607(日本カラコン(株))またはポリビニルアルコール、酸化チタン、タルク、マクロゴールから成るOpadryII 85F48011(日本カラコン(株))を精製水に懸濁させ調製した。(表9)比較例3および比較例4処方 (mg/錠)(試験例6) ガスクロマトグラフィー用のバイアル(20 mL)に、実施例4、5、6、比較例2、3、4で製した錠剤を各3錠入れ、密栓後40℃/75%RHで3日間保存した。その後、ヘッドスペースガスをガスクロマトグラフィーにインジェクションし、検出されるガス成分(ジアセチル)の濃度を測定した。ガスクロマトグラフィーの測定条件は試験例3と同一とした。結果を表10に示す。(表10)ジアセチル濃度 (ng/mL)ND:検出されない 本発明によれば、実質的に不快臭のない、商品性に優れた医薬組成物が得られる。 メドキソミル基を有する薬物を有効成分として含有し、β-シクロデキストリンを添加剤として含有することを特徴とする、該シクロデキストリンの処方重量比が、該メドキソミル基を有する薬物とシクロデキストリンの処方重量比1:1以上である直接打錠剤(但し、フィルムコート錠及び糖衣錠を除く)。 メドキソミル基を有する薬物が、オルメサルタンメドキソミルである請求項1に記載の直接打錠剤。 有効成分として他薬剤の1種又は2種以上をさらに含有する請求項1又は2に記載の直接打錠剤。 他薬剤がアムロジピン(ベシレート塩を含む)、アゼルニジピン及びヒドロクロロチアジドから選択される化合物の1種又は2種以上である請求項3に記載の直接打錠剤。 高血圧症治療又は予防のための請求項1乃至4のいずれかに記載の直接打錠剤。 臭いの発生が低減された請求項1乃至5いずれかに記載の直接打錠剤。 発生が低減された臭いが不快な臭いである請求項6に記載の直接打錠剤。 請求項1乃至5記載の直接打錠剤による臭い発生の低減方法。 請求項1乃至5記載の直接打錠剤による不快臭発生の低減方法。 臭い発生を低減化した請求項1乃至5記載の直接打錠剤の製造方法。 不快臭発生を低減化した請求項1乃至5記載の直接打錠剤の製造方法。 β-シクロデキストリンの処方重量比が、オルメサルタンメドキソミルとシクロデキストリンの処方重量比1:1以上であるオルメサルタンメドキソミル含有直接打錠剤(但し、フィルムコート錠及び糖衣錠を除く)製造のためのβ-シクロデキストリンの使用。 β-シクロデキストリンの処方重量比が、オルメサルタンメドキソミルとシクロデキストリンの処方重量比1:1以上である臭い低減化オルメサルタンメドキソミル含有直接打錠剤(但し、フィルムコート錠及び糖衣錠を除く) 製造のためのβ-シクロデキストリンの使用。