タイトル: | 特許公報(B2)_マイクロカプセル及びその製造方法並びにマイクロカプセルを含む飲食品 |
出願番号: | 2010521720 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | B01J 13/04,A23L 1/00,A61K 9/50,A61K 47/36,A61K 47/02 |
田中 眞人 土本 紀彦 JP 5632746 特許公報(B2) 20141017 2010521720 20090722 マイクロカプセル及びその製造方法並びにマイクロカプセルを含む飲食品 国立大学法人 新潟大学 304027279 サッポロビール株式会社 303040183 長谷川 芳樹 100088155 清水 義憲 100128381 古下 智也 100160897 城戸 博兒 100139000 池田 正人 100152191 田中 眞人 土本 紀彦 JP 2008191360 20080724 20141126 B01J 13/04 20060101AFI20141106BHJP A23L 1/00 20060101ALI20141106BHJP A61K 9/50 20060101ALI20141106BHJP A61K 47/36 20060101ALI20141106BHJP A61K 47/02 20060101ALI20141106BHJP JPB01J13/02 AA23L1/00 CA61K9/50A61K47/36A61K47/02 B01J 13/04 A23L 1/00 A61K 9/50 A61K 47/02 A61K 47/36 特開2005−257561(JP,A) 特表2001−522820(JP,A) 国際公開第2007/103186(WO,A1) 12 JP2009063124 20090722 WO2010010902 20100128 26 20101201 ▲吉▼澤 英一 本発明は、マイクロカプセル及びその製造方法並びにマイクロカプセルを含む飲食品に関する。 マイクロカプセルは、芯物質となる機能性内包物質を保護するために、その周りに壁膜物質である被覆層を形成したものである。近年、マイクロカプセルは、内包される芯物質と該芯物質を被覆する壁膜物質との組み合わせにより、様々な分野において使用されている。特に、食品又は医薬品等の用途で使用することを目的として、マイクロカプセルを製造することが検討されている(例えば、特許文献1〜4参照)。 マイクロカプセルは、例えばW/Oや、W/O/W等の多層構造を有するものが知られている。W/O/W三層構造のマイクロカプセルについては、例えば水中乾燥法(例えば、特許文献5参照)や、多重ノズルを用いた方法(例えば、特許文献6,7参照)等が挙げられる。特開平05−049899号公報特表2002−511796号公報特開平05−049433号公報特開平06−254382号公報特開平05−031352号公報特開平06−055060号公報特開平08−010313号公報 食品又は医薬用途に用いられるマイクロカプセルには、食感及び服用感を向上する観点から、粒径がより小さいマイクロカプセルが求められてきている。しかしながら、特許文献5〜7のW/O/W三層構造のマイクロカプセルでは、粒径が小さいマイクロカプセルを製造することができなかった。 そこで、本発明は、粒径が小さいマイクロカプセルを得ることのできる製造方法、当該製造方法により得ることのできるマイクロカプセル、並びに該マイクロカプセルを含む飲食品を提供することを目的とする。 本発明は、水溶性物質と脂溶性物質とを混合し、水溶性物質が脂溶性物質中に分散した一次分散物を得る一次分散工程と、上記一次分散物とアルギン酸ナトリウム水溶液とを混合し、上記一次分散物が当該アルギン酸ナトリウム水溶液中に分散した二次分散物を得る二次分散工程と、上記二次分散物を噴霧してカルシウムイオン含有溶液と接触させることで、アルギン酸カルシウムゲルを形成させ、上記一次分散物が当該アルギン酸カルシウムゲル中に分散したマイクロカプセルを得る噴霧工程と、を備えるマイクロカプセルの製造方法を提供する。 また、本発明は、水溶性物質が脂溶性物質中に分散した一次分散物が、さらにアルギン酸ナトリウム水溶液中に分散されている二次分散液の液滴を、カルシウムイオン含有溶液と接触させることで、アルギン酸カルシウムゲルを形成させ、上記一次分散物が当該アルギン酸カルシウムゲル中に分散したマイクロカプセルを得る、マイクロカプセルの製造方法を提供する。 本発明では、一次分散物がアルギン酸ナトリウム水溶液中に分散した二次分散物を噴霧してカルシウムイオン含有溶液と接触、又は、一次分散物がアルギン酸ナトリウム水溶液中に分散されている二次分散液の液滴をカルシウムイオン含有溶液と接触させてマイクロカプセルを製造することにより、得られるマイクロカプセルの粒径を小さくすることができる。 また、上記一次分散物中に分散して存在する水溶性物質は、上記脂溶性物質と同一又は異なる脂溶性物質が分散した水溶性物質であってもよい(当該脂溶性物質中には、さらに上記水溶性物質と同一又は異なる水溶性物質が分散していてもよく、脂溶性物質と水溶性物質について、一方の物質中に他方の物質が分散するという繰り返しがさらに複数回生じていてもよい。) また、上記アルギン酸ナトリウム水溶液の粘度は、25℃において5〜2000mPa・sであることが好ましい。これにより、マイクロカプセルの粒径をより一層小さくすることができる。 本発明のマイクロカプセルの製造方法において、上記カルシウムイオン含有溶液は、塩化カルシウム水溶液、乳酸カルシウム水溶液又は硫酸カルシウム水溶液であることが好ましい。これにより、噴霧により瞬時に二次分散液からなる粒子をアルギン酸カルシウムゲル中に内包でき、より一層粒径が小さいマイクロカプセルを得ることができる。 本発明は、上記製造方法により得ることのできるマイクロカプセルを提供する。このようなマイクロカプセルは、粒径が小さいものとなる。 また、本発明は、アルギン酸カルシウムゲルで構成され、平均粒径が200μm未満であるマイクロカプセルであって、上記アルギン酸カルシウムゲル中には、脂溶性物質が分散しており、当該脂溶性物質中には水溶性物質が分散しているマイクロカプセルを提供する。このようなマイクロカプセルは、粒径が小さいものとなるため、食感を低下させることなく、様々な飲食品に添加することができる。 また、上記水溶性物質は、上記脂溶性物質と同一又は異なる脂溶性物質が分散した水溶性物質であってもよい(当該脂溶性物質中には、さらに上記水溶性物質と同一又は異なる水溶性物質が分散していてもよく、脂溶性物質と水溶性物質について、一方の物質中に他方の物質が分散するという繰り返しがさらに複数回生じていてもよい。)。 また、上記マイクロカプセルは、異形度が1.8未満であることが好ましい。このようなマイクロカプセルは、球状に近く耐久性に優れることから、飲食品への水溶性物質及び脂溶性物質の漏出を抑制し、飲食品の品質低下を抑制することができる。 更に、本発明は、上記本発明のマイクロカプセルを含む飲食品を提供する。このような飲食品は、粒径が小さいマイクロカプセルを含むことから、食感及び服用感に優れるものとなる。 本発明によれば、粒径が小さいマイクロカプセルを得ることのできる製造方法、当該製造方法により得ることのできるマイクロカプセル、並びに当該マイクロカプセルを含む飲食品を提供することができる。本発明に係るマイクロカプセルの製造方法を模式的に示す図である。本発明に係るマイクロカプセルの製造方法を模式的に示す図である。本発明に係るマイクロカプセルの製造方法を模式的に示す図である。本実施形態の製造方法で作製したマイクロカプセルを模式的に示す図である。実施例1で作製したマイクロカプセルの光学顕微鏡写真である。実施例4で作製したマイクロカプセルの光学顕微鏡写真である。実施例5で作製したマイクロカプセルの光学顕微鏡写真である。実施例13で作製したマイクロカプセルの光学顕微鏡写真である。実施例19で作製したマイクロカプセルの光学顕微鏡写真である。 以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。(マイクロカプセルの製造方法) 図1〜図3は、本実施形態に係るマイクロカプセルの製造方法を模式的に示す図である。本実施形態のマイクロカプセルの製造方法は、水溶性物質1と脂溶性物質3とを混合し、水溶性物質1からなる一次分散粒子10が脂溶性物質3中に分散された一次分散液(一次分散物)15を得る一次分散工程(図1)と、一次分散液15とアルギン酸ナトリウム水溶液5とを混合し、一次分散液15からなる二次分散粒子20がアルギン酸ナトリウム水溶液5中に分散された二次分散液(二次分散物)25を得る二次分散工程(図2)と、二次分散液25を噴霧してカルシウムイオン含有溶液9と接触させることで、アルギン酸カルシウムゲル30を形成させ、二次分散粒子20がアルギン酸カルシウムゲル30中に分散されたマイクロカプセル100を得る噴霧工程(図3)とを備える。 以下、図1〜図3を参照しながら、本実施形態のマイクロカプセルの製造方法における各工程について更に詳細に説明する。(一次分散工程) まず、図1(a)に示すように、水溶性物質を含む水層(以下、単に「水溶性物質」という)1と、脂溶性物質を含む油層(以下、単に「脂溶性物質」という)3とを準備した後、図1(b)に示すように、水溶性物質1と脂溶性物質3とを互いに混合することで脂溶性物質3中に水溶性物質1からなる一次分散粒子10を分散させる(以下、場合により「一次分散」という)。一次分散する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、ホモミキサー又はホモジナイザーを用いて、混合・分散することができる。 水溶性物質1は、飲食品用途で使用されるものであれば特に制限されないが、例えば、水溶性生理活性物質、澱粉、苦味料が挙げられる。水溶性生理活性物質としては、アスコルビン酸、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン等)、葉酸、シアノコバラミン等の水溶性ビタミン類、水溶性食物繊維(ペクチン、グアー豆酵素分解物、アガロース、グルコマンナン、ポリデキストロース等)、デキストリン、カフェイン、ナリンジン、アミノ酸、アミノ酸誘導体、水溶性ペプチド、水溶性タンパク質、水溶性ポリフェノールが挙げられる。また、水溶性物質1は、1種を単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。 水溶性物質1の粘度は、25℃で10000mPa・s以下であることが好ましく、5000mPa・s以下であることがより好ましい。水溶性物質1の粘度が10000mPa・sを超えると、分散(乳化)しにくく、一次分散粒子10の粒径が大きくなる傾向がある。 脂溶性物質3としては、飲食品用途で使用されるものであれば特に制限されないが、脂溶性生理活性物質が挙げられ、例えば、ビタミンA類、ビタミンD類、ビタミンE類及びビタミンK類等の脂溶性ビタミン、ユビキノン等の補酵素Q類、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、フコキサンチン、βカロチン、DHA、EPA、食用油脂(コーン油、菜種油、大豆油等)が挙げられる。ビタミンA類としてはレチノール、レチノイン酸、レチノイド、カロチン等が挙げられ、ビタミンD類としてはコレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール等が挙げられ、ビタミンE類としてはトコフェロール、酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、トコトリエノール等が挙げられ、ビタミンK類としてはフィトナジオン、メナテトレノン等が挙げられる。また、脂溶性物質3は、1種を単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。 脂溶性物質3の粘度は、25℃で10〜10000mPa・sであることが好ましく、20〜5000mPa・sであることがより好ましい。脂溶性物質3の粘度が10000mPa・sを超えると、分散(乳化)しにくくなる傾向があり、10mPa・s未満となると、一旦分散(乳化)した粒子が合一して一次分散粒子10の粒径が大きくなる傾向がある。 水溶性物質1の配合割合は、水溶性物質1を良好に分散させるという観点から、100質量部の脂溶性物質3に対して、100質量部以下であることが好ましく、50質量部以下であることがより好ましく、40質量部以下であることが更に好ましく、30質量部以下であることが特に好ましい。また、マイクロカプセルの収率を向上する観点から、水溶性物質1の配合割合の下限値は、10質量部程度であることが好ましい。 また、水溶性物質1の配合割合は、水溶性物質1を良好に分散させるという観点から、100体積部の脂溶性物質3に対して、100体積部以下であることが好ましく、50体積部以下であることがより好ましく、40体積部以下であることが更に好ましく、30体積部以下であることが特に好ましい。また、マイクロカプセルの収率を向上する観点から、水溶性物質1の配合割合の下限値は、10体積部程度であることが好ましい。 また、一次分散工程では、必要に応じて、水溶性物質1及び脂溶性物質3の混合時に乳化剤を添加して乳化させることにより、更に安定な一次分散液15を形成することができる。乳化剤としては、医薬品、飲食品用途で使用されるものであれば特に制限を受けないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド、レシチンが挙げられる。乳化剤の添加量は、100質量部の脂溶性物質3に対して、0.01〜15質量部程度であることが好ましい。 一次分散工程では、一次分散液15を一層高速・高圧の方法で撹拌することで、一次分散粒子10を脂溶性物質3に微分散させてもよい。一次分散粒子10を微分散させる方法としては、高いせん断力をかけることが好ましく、例えば、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー、ホモミキサー、コロイドミル、ディスパーミル又はスタティックミキサー等を用いて撹拌する方法が挙げられる。 以上により、水溶性物質1からなる一次分散粒子10が脂溶性物質3中に分散された一次分散液15を得ることができる。(二次分散工程) まず、図2(a)に示すように、上記で調製した一次分散粒子10を含む一次分散液15と、アルギン酸ナトリウム水溶液5とを準備する。次に、図2(b)に示すように、一次分散液15と、アルギン酸ナトリウム水溶液5とを互いに混合することで、アルギン酸ナトリウム水溶液5中に、一次分散粒子10を一つ又は複数内包する二次分散粒子20を分散させ、二次分散液25を得る(以下、場合により「二次分散」という)。二次分散する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、ホモミキサー又はホモジナイザーを用いて、混合・分散することができる。 二次分散粒子20の平均粒径は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましい。二次分散粒子20の平均粒径が20μmを超えると、マイクロカプセルの粒径が小さくなり難く、マイクロカプセルに凹凸が生じ、球状になり難い傾向がある。なお、二次分散粒子20の平均粒径は、レーザー回析/散乱式粒度分布計を用いて測定することができ、体積平均粒径をいう。 一次分散液15の配合割合は、二次分散粒子20を良好に分散させるという観点から、100質量部のアルギン酸ナトリウム水溶液5に対して、100質量部以下であることが好ましく、50質量部以下であることがより好ましく、40質量部以下であることが更に好ましい。一次分散液15の配合割合は、マイクロカプセルの平均粒径が更に減少すると共に異形度が向上する観点から、20質量部以下であることが特に好ましい。また、マイクロカプセルの収率を向上する観点から、一次分散液15の配合割合の下限値は、5質量部程度であることが好ましい。 また、一次分散液15の配合割合は、二次分散粒子20を良好に分散させるという観点から、100体積部のアルギン酸ナトリウム水溶液5に対して、100体積部以下であることが好ましく、50体積部以下であることがより好ましく、40体積部以下であることが更に好ましい。一次分散液15の配合割合は、マイクロカプセルの平均粒径が更に減少すると共に異形度が向上する観点から、20体積部以下であることが特に好ましい。また、マイクロカプセルの収率を向上する観点から、一次分散液15の配合割合の下限値は、5体積部程度であることが好ましい。 アルギン酸ナトリウム水溶液5の濃度は、0.1〜5.0質量%であることが好ましく、0.5〜3.0質量%であることがより好ましく、0.5〜2.0質量%であることが更に好ましい。アルギン酸ナトリウム水溶液5の濃度が0.1質量%未満では、後述する噴霧工程においてアルギン酸カルシウムがゲル化しにくくなる傾向があり、5.0質量%を超えると、噴霧工程において二次分散液25が供給路内で流れにくくなり、ノズルより噴霧されにくくなる傾向がある。 アルギン酸ナトリウム水溶液5の粘度は、25℃において5〜2000mPa・sであることが好ましく、10〜500mPa・sであることがより好ましく、15〜100mPa・sであることが更に好ましい。アルギン酸ナトリウム水溶液5の粘度が5mPa・s未満では、マイクロカプセルの耐久性が低下する傾向があり、2000mPa・sを超えると、マイクロカプセルの粒径が増大する傾向がある。 また、二次分散工程では、必要に応じて、二次分散液25とアルギン酸ナトリウム水溶液5との混合時に乳化剤を添加して乳化させることにより、更に安定な二次分散液25を形成することもできる。乳化剤としては、医薬品、飲食品用途で使用されるものであれば特に制限を受けないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド、レシチンが挙げられる。乳化剤の添加量は、アルギン酸ナトリウム水溶液に対して、0.1〜5質量部程度であることが好ましい。 二次分散工程では、二次分散液25を一層高速・高圧の方法で撹拌することで、二次分散粒子20をアルギン酸ナトリウム水溶液5に微分散させてもよい。二次分散粒子20を微分散させる方法としては、高いせん断力をかけることが好ましく、例えば、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー、ホモミキサー、コロイドミル、ディスパーミル又はスタティックミキサー等を用いて撹拌する方法が挙げられる。 以上により、水溶性物質1が脂溶性物質3中に分散された一次分散液15が、二次分散粒子20としてアルギン酸ナトリウム水溶液5中に分散されている二次分散液25を得ることができる。(噴霧工程) 次に、図3に示すように、二次分散液25をカルシウムイオン含有溶液9中にノズル7を通して霧状に噴霧することにより、二次分散粒子20がアルギン酸カルシウムゲル30で内包されたマイクロカプセル100が作製される。このように二次分散液25を噴霧することにより、二次分散液25の液滴をカルシウムイオン含有溶液9と接触させ、二次分散液25の液滴がアルギン酸カルシウムゲル30により内包されたマイクロカプセル100を得ることができる。 すなわち、カルシウムイオン含有溶液9は、ゲル化剤(凝固剤)として機能するものであり、二次分散液25がカルシウムイオン含有溶液9中へ噴霧されると、噴霧された二次分散液25の液滴表面のアルギン酸ナトリウムがカルシウムイオンと反応し、不溶性のアルギン酸カルシウムのゲルとなる。その結果、二次分散粒子20がアルギン酸カルシウムゲル30に内包され、マイクロカプセル100が形成される。 なお、カルシウムイオン含有溶液9は、瞬時にゲル化するという観点から、塩化カルシウム水溶液、乳酸カルシウム水溶液又は硫酸カルシウム水溶液であることが好ましく、更にカルシウムイオンが容易に遊離するという観点から、塩化カルシウム水溶液であることがより好ましい。 カルシウムイオン含有溶液9におけるカルシウムイオンの濃度は、0.5〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましい。カルシウムイオンの濃度が0.5質量%未満では、ゲル化しにくくなる傾向があり、20質量%を超えると、コストが増加すると共に後述する洗浄工程が長時間化する傾向がある。 ノズル7の吐出口径は、1.7mm以下であることが好ましく、1.2mm以下であることがより好ましく、1.1mm以下であることが更に好ましい。吐出口径が1.7mmを超えると、マイクロカプセルの粒径が増大する傾向がある。なお、ノズル7は吐出口を1つだけ有していてもよく、複数有していてもよい。 二次分散液25を噴霧する際のノズル7への噴霧気体圧力は、0.1〜1.0MPaであることが好ましく、0.3〜0.5MPaであることがより好ましい。上記圧力が0.1MPa未満では、マイクロカプセルの粒径が大きくなる傾向があり、1.0MPaを超えると、マイクロカプセルに凹凸が生じ、マイクロカプセルの異形度が大きくなる傾向がある。 二次分散液25のノズル7への送液速度は、0.1〜2.0mL/minであることが好ましく、0.25〜1.0mL/minであることがより好ましい。上記送液速度が0.1mL/min未満では、製造能率が低下する傾向があり、2.0mL/minを超えると、マイクロカプセルの粒径が大きくなる傾向がある。(洗浄工程) 次いで、マイクロカプセル100はろ過回収され、使用する用途に応じて適宜洗浄処理や分級等を行った後、W/O/W三層マイクロカプセルとして単離される。図4は、本実施形態の製造方法で作製されたマイクロカプセル100を模式的に示す図である。このように、本実施形態によれば、一次分散粒子10を内包する二次分散粒子20が、アルギン酸カルシウムゲル30に内包されており、粒径が小さく、かつ、球状に近いマイクロカプセル100を得ることができる。すなわち、マイクロカプセル100は、水溶性物質1からなる層、脂溶性物質3からなる層及びアルギン酸カルシウムゲル30からなる層の三層構造を有しており、二次分散粒子(複合エマルジョン)20は、水溶性物質1が脂溶性物質3に分散されてなる。 マイクロカプセル100の平均粒径は、200μm未満であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。マイクロカプセル100の平均粒径が200μm以上では、飲食品に配合した場合に、その飲食品の食感又は服用感が低下する傾向がある。なお、マイクロカプセル100の平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布計を用いて測定することができ、体積平均粒径をいう。 マイクロカプセル100の異形度は、1.8未満であることが好ましく、1.6未満であることがより好ましく、1.4未満であることが更に好ましい。異形度が1.8以上では、マイクロカプセルの耐久性が低下する傾向がある。ここで、異形度とは、マイクロカプセルを光学顕微鏡で観察して撮影した写真から長径(マイクロカプセルにおける最も長い径)及び短径(マイクロカプセルにおける最も短い径)をそれぞれ計測し、長径を短径で割った値である。すなわち、異形度が1.00に近いほど球状に近いことを意味する。 マイクロカプセルに内包される水溶性物質1の内包率は、マイクロカプセル全体に対して、0.1%以上であることが好ましく、0.5%以上であることがより好ましい。ここで、内包率は、以下のようにして得ることができる。まず、マイクロカプセルを所定の乾燥条件で乾燥し、エタノールを加えた後に破砕処理する。そして、破砕されたマイクロカプセルを含むエタノール溶液を遠心分離した後、上清の吸光度を測定し、乾燥マイクロカプセル中の水分が除去された状態での水溶性物質1の含量(質量割合)を算出することで内包率が得られる。 マイクロカプセルに内包される脂溶性物質3の内包率は、マイクロカプセル全体に対して、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。ここで、内包率は、上記水溶性物質1の内包率と同様の手法により、乾燥マイクロカプセル中の脂溶性物質3の含量(質量割合)を算出することで得られる。 本実施形態に係るマイクロカプセル100は、内包される水溶性物質1及び脂溶性物質3を適宜変更することにより、医薬品、機能性飲食品、又は飲食品添加剤として使用することができる。中でも、粒径が小さく、かつ、球状に近いことから、飲食品に好適に添加することができる。よって、上記マイクロカプセル100を含む飲食品は、食感及び服用感に十分優れるものとなる。このようなマイクロカプセル100は、球状に近く耐久性に優れることから、飲食品への水溶性物質1及び脂溶性物質3の漏出を抑制し、飲食品の品質低下を抑制することができる。 以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに制限されるものではない。 本実施形態のマイクロカプセルは、アルギン酸カルシウムゲルで構成されるマイクロカプセルであって、上記アルギン酸カルシウムゲル中には、脂溶性物質が分散しており、当該脂溶性物質中には水溶性物質が分散しているマイクロカプセルであるが、三層構造に限定されるものではない。例えば、上記水溶性物質が、上記脂溶性物質と同一又は異なる脂溶性物質が分散した水溶性物質である(当該脂溶性物質中には、さらに上記水溶性物質と同一又は異なる水溶性物質が分散していてもよく、脂溶性物質と水溶性物質について、一方の物質中に他方の物質が分散するという繰り返しがさらに複数回生じていてもよい。)マイクロカプセルのように、四層以上の構造のマイクロカプセルであってもよい。 四層以上の構造のマイクロカプセルは、一次分散液中に分散して存在する水溶性物質が、上記脂溶性物質と同一又は異なる脂溶性物質が分散した水溶性物質であればよい(当該脂溶性物質中には、さらに上記水溶性物質と同一又は異なる水溶性物質が分散していてもよく、脂溶性物質と水溶性物質について、一方の物質中に他方の物質が分散するという繰り返しがさらに複数回生じていてもよい。)。 四層構造のマイクロカプセルは、例えば、以下の工程により得ることができる。まず、一次分散工程において、水溶性物質と脂溶性物質とを互いに混合することで水溶性物質中に脂溶性物質を分散させた分散液を調製し、当該分散液を更に脂溶性物質に分散させて一次分散液を調製する。次に、二次分散工程において、一次分散液とアルギン酸ナトリウム水溶液とを互いに混合することでアルギン酸ナトリウム水溶液中に一次分散液を分散させて二次分散液を調製する。そして、上記実施形態と同様の噴霧工程及び洗浄工程を行うことにより、四層構造のマイクロカプセルを得ることができる。 五層以上の構造を有するマイクロカプセルについても、一次分散工程において、水溶性物質が分散された脂溶性物質を更に水溶性物質に分散する工程や、脂溶性物質が分散された水溶性物質を更に脂溶性物質に分散する工程を複数回繰り返し、一次分散液を調製することにより、当該分散液について上記実施形態と同様の二次分散工程、噴霧工程及び洗浄工程を行うことにより得ることができる。 以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。(実施例1) ポリフェノール粉末(サンプライト株式会社製、ブドウ種子抽出物OPC30)を蒸留水に溶解し、20質量%のポリフェノール水溶液を調製した。次に、ビタミンE(和光純薬工業株式会社製)14.4gに乳化剤(理研ビタミン株式会社製、商品名「POEM PR−100」)1.6gを溶解し、更にポリフェノール水溶液4.0gを添加した溶液を調製し、この溶液をホモミキサー(日本精機株式会社製、商品名「BM−2」)を用い、12000rpm、5分間、60℃の条件下で一次分散(乳化)し、W/O分散液を調製した。 そして、アルギン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を蒸留水に溶解した1質量%、粘度80mPa・sのアルギン酸ナトリウム水溶液176.4gを調製後、乳化剤(阪本薬品工業株式会社製、商品名「ML−750」)3.6gと、W/O分散液20gとを添加し、ホモミキサー(日本精機株式会社製、商品名「BM−2」)にて8000rpm、5分間、60℃の条件下で二次分散(乳化)し、体積平均粒径が3μmの二次分散粒子を含むW/O/W分散液を調製した。 その後、このW/O/W分散液を噴霧ノズル(アトマックス社製、商品名「AM−6型」、ノズル吐出口径:1.1mm)を通して、送液速度1.0mL/min、噴霧気体圧力0.3MPaで、5質量%の塩化カルシウム水溶液に噴霧し、W/O/W三層マイクロカプセルを形成した。上記W/O/W三層マイクロカプセルを5Aろ紙(アドバンテック東洋株式会社製)を用いてろ過して回収し、3倍量の蒸留水で洗浄した。そして、W/O/W三層マイクロカプセルを再度5Aろ紙でろ過することにより、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。 得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径をレーザー回折/散乱式粒度分布計(島津製作所株式会社製、商品名「SALD−3000」)で測定したところ、体積平均粒径は25μmであった。(実施例2) 濃度0.75質量%、粘度70mPa・sのアルギン酸ナトリウム水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、体積平均粒径が3μmの二次分散粒子を含むW/O/W分散液を得た。このW/O/W分散液を用い、実施例1と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は26μmであった。(実施例3) 濃度0.5質量%、粘度15mPa・sのアルギン酸ナトリウム水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、体積平均粒径が8μmの二次分散粒子を含むW/O/W分散液を得た。このW/O/W分散液を用い、実施例1と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は36μmであった。(実施例4) 噴霧工程において噴霧ノズル(アトマックス社製、商品名「AM−12型」、ノズル吐出口径:1.2mm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は89μmであった。(実施例5) 噴霧工程において噴霧ノズル(アトマックス社製、商品名「AM−25型」、ノズル吐出口径:1.7mm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は198μmであった。(実施例6) 20質量%ポリフェノール水溶液の配合量をビタミンE14.4gに対して5.8gに変更したこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は143μmであった。(実施例7) 20質量%ポリフェノールの配合量をビタミンE14.4gに対して7.2gに変更したこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は135μmであった。(実施例8) 20質量%ポリフェノールの配合量をビタミンE14.4gに対して11.5gに変更したこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は115μmであった。(実施例9) 20質量%ポリフェノールの配合量をビタミンE14.4gに対して14.4gに変更したこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は117μmであった。(実施例10) 噴霧気体圧力を0.1MPaに変更したこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は156μmであった。(実施例11) 噴霧気体圧力を0.5MPaに変更したこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は72μmであった。(実施例12) 塩化カルシウム水溶液のカルシウムイオン濃度を0.5質量%に変更したこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は97μmであった。(実施例13) 塩化カルシウム水溶液のカルシウムイオン濃度を10質量%に変更したこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は90μmであった。(実施例14) 塩化カルシウム水溶液のカルシウムイオン濃度を20質量%に変更したこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は124μmであった。(実施例15) 5質量%の塩化カルシウム水溶液を2.5質量%の硫酸カルシウム水溶液に変更したこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は133μmであった。(実施例16) 5質量%の塩化カルシウム水溶液を2.5質量%の乳酸カルシウム水溶液に変更したこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は119μmであった。(実施例17) アルギン酸ナトリウム水溶液の濃度を0.2質量%に変更し、アルギン酸ナトリウム水溶液の粘度を5mPa・sに変更した以外は、実施例4と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は114μmであった。(実施例18) アルギン酸ナトリウム水溶液の濃度を1.2質量%に変更し、アルギン酸ナトリウム水溶液の粘度を500mPa・sに変更した以外は、実施例4と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は124μmであった。(実施例19) アルギン酸ナトリウム水溶液の濃度を1.5質量%に変更し、アルギン酸ナトリウム水溶液の粘度を1000mPa・sに変更した以外は、実施例4と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は112μmであった。(実施例20) アルギン酸ナトリウム水溶液の濃度を2.0質量%に変更し、アルギン酸ナトリウム水溶液の粘度を2000mPa・sに変更した以外は、実施例4と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は117μmであった。(実施例21) W/O分散液の配合量をアルギン酸ナトリウム水溶液187.1gに対して9.3gに変更したこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は67μmであった。(実施例22) W/O分散液の配合量をアルギン酸ナトリウム水溶液131.0gに対して65.4gに変更したこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は142μmであった。(実施例23) W/O分散液の配合量をアルギン酸ナトリウム水溶液98.2gに対して98.2gに変更したこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセルを回収した。得られたW/O/W三層マイクロカプセルの体積平均粒径は139μmであった。(顕微鏡観察) 実施例1で得られたW/O/W三層マイクロカプセルを光学顕微鏡(オリンパス株式会社製、商品名「BX−51−PRF」)により観察した。図5は、実施例1で得られたW/O/W三層マイクロカプセルの光学顕微鏡写真である。また、実施例4、実施例5、実施例13、実施例19で得られたW/O/W三層マイクロカプセルをデジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、商品名「デジタルマイクロスコープVHX−100F」)により観察した。図6〜9は、それぞれ実施例4、実施例5、実施例13、実施例19で得られたW/O/W三層マイクロカプセルの写真である。(マイクロカプセルの異形度) 実施例1〜23で得られたW/O/W三層マイクロカプセルのそれぞれについて、上記と同様に光学顕微鏡観察を行い、W/O/W三層マイクロカプセルの長径及び短径を計測して異形度を算出した。W/O/W三層マイクロカプセル50個についてそれぞれ異形度を算出し、50個の異形度の平均値を各実施例における異形度とした。<W/O/W三層マイクロカプセルの内包率測定> 実施例1〜23で得られたW/O/W三層マイクロカプセルを105℃で6時間乾燥させて、乾燥質量を測定した。その後、乾燥したマイクロカプセルにエタノールを加え、700rpmで12時間攪拌した。次いで、超音波式ホモジナイザー(タイテック株式会社製、商品名「VP−050」)で40分間処理し、処理後のマイクロカプセルを破砕した。破砕されたマイクロカプセルを含むエタノール溶液を、7000rpmで10分間遠心分離し上清を回収し、吸光度測定機(日立計測器サービス株式会社製、商品名「分光光度計U−3210」)にて285nmにおける上記上清の吸光度を測定した。測定された吸光度からポリフェノール及びビタミンEの質量割合をそれぞれ求め、W/O/W三層マイクロカプセル中のポリフェノール及びビタミンEの内包率をそれぞれ算出した。<W/O/W三層マイクロカプセルの耐久性試験> 実施例1,3,19で得られたW/O/W三層マイクロカプセルを蒸留水に懸濁させ、振とう機(ヤマト科学株式会社製、商品名「SA−31」)で240rpmの速度で1時間振とうさせた。その後、上記内包率の測定と同様の操作を行い、W/O/W三層マイクロカプセル中のポリフェノール及びビタミンEの内包率をそれぞれ算出した。振とう前の内包率を100%とした場合の振とう後のポリフェノール及びビタミンEのそれぞれの残存率に基づき、ポリフェノール含有層及びビタミンE含有層の耐久性を評価した。 実施例1〜23で得られたW/O/W三層マイクロカプセルについて、作製条件、及び、各測定結果(平均粒径、異形度、ポリフェノール及びビタミンEの内包率)を表1〜4に示す。更に、実施例1,3,19で得られたW/O/W三層マイクロカプセルについての耐久性試験の結果を表5に示す。 実施例1〜23により得られたW/O/W三層マイクロカプセルは、表1〜4により、平均粒径が小さいことが確認され、異形度が小さく、球状に近いマイクロカプセルが得られていることが確認された。 1…水溶性物質、3…脂溶性物質、5…アルギン酸ナトリウム水溶液、7…ノズル、9…カルシウムイオン含有溶液、10…一次分散粒子、15…一次分散液、20…二次分散粒子、25…二次分散液、30…アルギン酸カルシウムゲル、100…マイクロカプセル。 水溶性物質と脂溶性物質とを混合し、水溶性物質が脂溶性物質中に分散した一次分散物を得る一次分散工程と、 前記一次分散物とアルギン酸ナトリウム水溶液とを混合し、前記一次分散物が当該アルギン酸ナトリウム水溶液中に分散した二次分散物を得る二次分散工程と、 前記二次分散物をノズルを通して噴霧してカルシウムイオン含有溶液と接触させることで、アルギン酸カルシウムゲルを形成させ、前記一次分散物が当該アルギン酸カルシウムゲル中に分散したマイクロカプセルを得る噴霧工程と、を備え、 前記二次分散物を噴霧する際の前記ノズルへの噴霧気体圧力が0.1〜1.0MPaであり、 前記マイクロカプセルの平均粒径が200μm未満であるマイクロカプセルの製造方法。 水溶性物質が脂溶性物質中に分散した一次分散物が、さらにアルギン酸ナトリウム水溶液中に分散されている二次分散物をノズルを通して噴霧して形成される液滴を、カルシウムイオン含有溶液と接触させることで、アルギン酸カルシウムゲルを形成させ、前記一次分散物が当該アルギン酸カルシウムゲル中に分散したマイクロカプセルを得る工程を備え、 前記二次分散物を噴霧する際の前記ノズルへの噴霧気体圧力が0.1〜1.0MPaであり、 前記マイクロカプセルの平均粒径が200μm未満であるマイクロカプセルの製造方法。 前記二次分散物の前記ノズルへの送液速度が0.1〜2.0mL/minである、請求項1又は2に記載のマイクロカプセルの製造方法。 前記ノズルの吐出口径が1.7mm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法。 前記マイクロカプセルに内包される前記脂溶性物質の内包率が65.7質量%以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法。 前記一次分散物中に分散して存在する水溶性物質は、 前記脂溶性物質と同一又は異なる脂溶性物質が分散した水溶性物質である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法。 アルギン酸ナトリウム水溶液の粘度は、25℃において5〜2000mPa・sである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法。 カルシウムイオン含有溶液は、塩化カルシウム水溶液、乳酸カルシウム水溶液又は硫酸カルシウム水溶液である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法。 請求項1〜8のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法により得ることのできる、マイクロカプセル。 アルギン酸カルシウムゲルで構成され、平均粒径が200μm未満であるマイクロカプセルであって、 前記アルギン酸カルシウムゲル中には、脂溶性物質が分散しており、当該脂溶性物質中には水溶性物質が分散しており、 前記水溶性物質が、前記脂溶性物質と同一又は異なる脂溶性物質が分散した水溶性物質であり、 前記脂溶性物質の内包率が65.7質量%以上であるマイクロカプセル。 異形度が1.8未満である、請求項10に記載のマイクロカプセル。 請求項9〜11のいずれか一項に記載のマイクロカプセルを含む、飲食品。